ママの安心感のために、先回り教育をしない【ママが「しない」子育て Vol.4】

2017年1月5日 18:00
 

楢戸ひかる ライター
楢戸ひかる

育児の「不要なもの」を捨てるとは
「ほかの子と比べたくなる」気持ちに悩まない
ママの『こうすればよかった』を投影しないの続きです。

心配で、子どものことを囲いこみたくなるママ。そんなママの奥底にある気持ちについて、「花まる学習会」代表の高濱正伸さんに伺った。

© Africa Studio - Fotolia.com


しない4:「心配する生きものである」自分を否定しない

ママとは心配する生きものです。子どものことが心配で、心配でたまらないというのは、ママになって初めてわかる感情なのかもしれませんね」と、高濱さん。

「心配する」生きものであるなら、「心配しない」というのは無理。だからこそ、自分を客観視した上で、「ママとは、心配事が次々に出てくるものだ」と心に留めておくだけでも、気持ちが少し楽になるかもしれない。

「『自分が心配し過ぎているな』と思ったら、信頼できる誰かに、その心配事を話してみてください。『それは、心配しすぎだよー』という周りからのひとことで、すっと心が軽くなれば、また新しい一日を迎えられます」(高濱さん)

しない5:「いやなこと」を完全ブロックしない

「子どもが心配で大事に育てるあまりに、安全な場所に囲いすぎて、反対に子どもを弱らせてしまうこともあるんですよ」という高濱さんの言葉に、この記事を書いている私は、ドキっとする。

次男に発達障害があるせいか、どうしても、息子を安全な場に囲い込みたくなるからだ。

親から見るととてもつらいことで、できるならば避けて通らせてあげたい経験はたくさんある。なぜなら、子どもが大変な思いをしているのを見るのが悲しくならないママはいないから。

「でも、その経験がその子の将来のためになります。子ども時代にいやな経験をひととおりしているからこそ、大人になったときに人の痛みを理解することができるようになるし、逆境でも『やるしかない』と思え、耐性がつくのです。少しのことではめげない心の強さを身につけることができます」(高濱さん)

しない6:親の安心感のためだけに、先回りの教育をしない

子どもを「いやなこと」から回避させたいという私の気持ちは、相当強いものだ。痛い思いはさせたくないし、失敗だってしてほしくない。

「その思いが強いと、次々と先回りをして、ママがすべての準備を整えてしまいがち。そうすると、どんどん、その子の考える力は奪われてしまいます」(高濱さん)

高濱さんは、続ける。 
「たとえば、人間関係。乱暴者もいるし、意地悪な人もいる。立派なことを言いすぎてしまう人もいる。教科書どおりが通用しない環境で、生身の人間のコミュニケーションを、子ども時代にたくさん経験しておかなくてはいけない。ところが親が理想だけで『そういうことをすると嫌われるよ』と常に先回りしていると、子どもの試行錯誤の経験を奪ってしまいます」(高濱さん)。

「先回りするのは、親が安心したいから」。この部分について、もうひとつ、高濱さんが警告を鳴らすのが先回りしすぎる教育について。

「わが子がほかの子よりも先にいると、『親の自分が安心できる』というのが落とし穴です」(高濱さん)

小学校6年生になったら並ぶ力であるにも関わらず、少しでも早く身につけた方が親は安心するというだけで、幼児期に詰め込みすぎてしまう場合がよくあるという。

「結果、子どもは、いろいろなことに対して伸びるはずの適切な時期を失ってしまうのです」(高濱さん)

子ども自身も、最初のうちは「ほかの子よりできる」ことが自慢で勉強が得意と思っているかもしれない。しかしそれは表面的にできるようになっただけ。しだいに「あと伸び」してきた子どもたちに抜かされてしまい、そこで自信を失ってしまう場合もあるそうだ。

「先回りの教育を与えていると、親はまったく悪気なく、一番大切なことを見落としてしまうこともあるのです」(高濱さん)

次回は、『「○○しなくちゃ!」にとらわれない』の話です。
■今回取材を受けてくださった高濱正伸さんの著書

「しない」子育て」(花まる学習会代表 高濱正伸/KKベストセラーズ)』
(本体1,250円+税)


●高濱正伸

花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。算数オリンピック委員会理事。
保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30,000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など多数メディア出演もしている。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳なぞぺー』など、著書多数。2016年7月からニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカーとして活躍中。

新着子育てまとめ
もっと見る
子どもの教育アンケート
もっと見る
ピックアップ
現在の賛同数:
記事配信社一覧
facebook
Facebook
instagram
instagram
twitter
twitter
ピックアップ
上へ戻る

Copyright © 1997-2017 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.