不登校支援から生まれた一冊の絵本 ー子どもの「なぜ?」との向き合い方ー
不登校支援から生まれた一冊の絵本
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11017014914
「なぜ学校に行かなければならないの?」
「どうしてみんなと一緒じゃなければいけないの?」
子どもから「なぜ?」と問いかけられた時、あなたならどうしますか?
簡単に答えられそうで、よくよく考えると難しい…今回ご紹介するのは、そんな子どもの「なぜ?」と向き合う中で生まれた、『僕のナゼ、私のナゼ』という絵本です。奈良県北葛城郡にある「自遊空間ゼロ」という子どもと保護者のためのフリースペースを運営している桐生敏明さんが企画・編集をし、5月に編集工房DEPから発行されました。
この絵本が生まれたきっかけは、桐生さんとつながりのある北海道のNPOを訪れた際に出会った一人の不登校児の疑問でした。その疑問は、「なぜ学校に行かなければいけないの?」といういたって、シンプルな疑問だったと言います。
自遊空間ゼロは、桐生さんが陶芸教室などの親子のつながりを育むためのイベントを開催しています。その活動の根幹には、子どもとその保護者が一緒に過ごせる場所を提供したいという桐生さんの強い想いがあります。活動を続ける中で、「自然と不登校児と触れ合う機会が増えた」という桐生さん。
ある時、北海道に住む昔からの知り合いを訪ねることがありました。
そこで出会った不登校児の一人から「『なぜ学校に行かなければならないの?』と聞かれたんです。子どもたちの『なぜ?』という素直な疑問に対して大人はどう接すればよいのかを自分でもしばらく悩みました」(桐生さん)。
そして、この子どもが抱く疑問との向き合い方を考えるうちに、不登校児の保護者たちから気づいたことがありました。「なぜ、不登校になってしまったの?」「どうすれば、学校に行くようになるの?」といった子どもの不登校の問題に、何とか「正しい答え」を出そうとするあまり、いつしか自分自身の本当の気持ちを忘れてしまう。自分の「なぜ?」に対して、模範解答を求めるあまり、もがき苦しむ。そんな保護者たちの姿です。
「不登校の子どもと向き合い続けることは、保護者にとっても苦しいこともあると思います。子どもの問題を考えるあまり、大人のほうが自分と向き合えなくなってしまうことがあるんです」(桐生さん)
答えを探すことは、もちろん大きな意味があります。