「できているから大丈夫」じゃない。思考方法もコミュニケーションも違うから――発達障害の私が社会に出て気づいた、得意と苦手のはざまの仕事
と言われたことがありました。
システムエンジニアがシステムを開発する際には、どこで動くようにするか(スマホアプリ・webページ・PCにインストールするソフト など)、どういうツールを使って開発するか、どんなプログラミング言語(システムの動きを記述するためのもの)を使うかなど、決めなければならないことが山ほどあります。
「このシステムはwebページで使われる」「androidアプリとして配布する」というような制約事項が先に決まっていれば開発は進めやすいのですが、作るものだけが決まっていて、そこに向けての手立てが何も決まっていないような場合には、すべて自分で決めていく必要があります。
このときは、あらゆる状況を想像して、一つひとつの制約をじっくり決めていきました。社会人になり仕事をしていく中で、苦手なあいまいな状況の中では自分で条件を付けて状況を整理していくことで、業務が進めやすくなることを経験から習得していたため、このときもなんとか完成させることができました。
しかし、普段の業務と比べてかなりの労力を使い、非常に疲れる経験でした。
あいまいな状況が苦手な上に、「えいや!」で理由なく物事を決めることができない性格や特性も災いして、細かいことでも何かしら理由をつけて最善を選ぼうとしてしまうことが、こうした自由度が高い環境で私が「やればできるけれど疲れる」大きな原因なのだと思います。
日常生活に置き換えると、今日の晩御飯何がいい?と家族に聞いて、「なんでもいいよ」と言われ、さらに今日は食材も調理器具もなんでも揃っている、というような状態がかなり近いかなと思います。
人によっては苦もなくメニューを決めることができるかもしれませんが、私の場合、栄養面・味付け・最近食べたもの・使いたい調理器具・ガスかIHか... など、いろいろなことを考えて、決めるまでにかなり疲れてしまうのです。
利害関係者に仕事を依頼することが疲れる
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038022858
また別のシステム開発では、他の部署の人に仕事をお願いしながら、共同で進めなければいけないこともありました。その際に私が非常に疲れたのは、コミュニケーションの面です。
最初に述べたように「それまで全く想像もしていなかった相手の気持ちを想像すること」