子育て情報『「空気を読む」って何?ASDの私、日本語教師の勉強で「コミュニケーションでの違和感」を一歩脱せた理由』

2023年6月6日 06:15

「空気を読む」って何?ASDの私、日本語教師の勉強で「コミュニケーションでの違和感」を一歩脱せた理由


知って驚いた、「社会的語用」という概念

言語学の分野では、会話の辞書的な意味、字義どおりの意味について扱う分野を「意味論」、場面・文脈・相手との社会的な関係性の中でどのような会話をするかについて扱う分野を「社会的語用論」と言います。

例えば、職場で、部長Aさんの部下のBさんがAさんに対してこう言ったとします。

「私がお茶を入れました。部長も飲みたいですか?」

この発言では、文法上の誤りもなく、語彙も十分です。意味論的には、「AさんがBさんの入れたお茶を飲みたいかどうか」を聞いており、まったく問題ありません。

しかし、社会的語用論の観点から言うとこの発言は不適切で、文化的社会的にはナチュラルでないと言えます。
―といった説明が、日本語教師用のテキストに書いてあり、私はとても驚いたのでした。

社会的語用論の観点からは、
・場面(公的で改まった場なのか、私的でフランクな場なのかなど)
・文脈(それまでにどんな話をしていたかなど)
・相手との関係(親しいのか親しくないのか、立場が上なのか下なのか、ウチなのかソトなのかなど)
に配慮して話をすべきなのだそうです。


社会的語用の範疇では、文化によるのですが
・目上または親しくない相手に対して直接意向を聞いてはいけない
・人に何かをしてあげたときに主語をあいまいにして押しつけがましくないようにする
・断るとき、禁止するときなど、はっきり言うと相手や関係性にショックを与えそうなときにあいまいな言い方にしたり「言いさし」にしたりする
などといったルールがあるのだそうです。

これ、私のようにASDのある人にとっては、とても苦手なものですよね。話し手になる場合にも聞き手になる場合にも、いわゆる、「空気を読む」「行間を読む」が必要になってくることですから。だからこそ、社会的語用の概念を知った私は驚いたのだと思います。

これらを総合して、上記の例の場合、日本において社会的語用の観点から正しい(より正確に言うと、日本で最も感じが良いと受け取られて生存戦略上都合がよい)言い方はこんな感じになるでしょうか。

「お茶が入りました。部長もいかがですか」


「お茶が入りました」「お風呂が沸きました」ずっと理解できていなかった社会的語用

私はそこで、自分が生きてくる中でなんとなく疑問に思っていた日本語の表現をざっと思い出してみました。

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