子育て情報『「空気を読む」って何?ASDの私、日本語教師の勉強で「コミュニケーションでの違和感」を一歩脱せた理由』

2023年6月6日 06:15

「空気を読む」って何?ASDの私、日本語教師の勉強で「コミュニケーションでの違和感」を一歩脱せた理由

イギリスなんかは非常に婉曲な言い回しが多く、京都に似ていると言われることもありますね。


言葉の学びの中でようやく興味を持てるようになった、日本の社会的語用

ここまで考えて私が思ったのは、「世の中には、高コンテクスト文化と低コンテクスト文化と、元来ほぼ社会的語用をしないASD文化があるのではないか」ということでした。

私がASDのない人と接触せず、生まれたままのASDとして生きていたら、たぶん本当に辞書通り字義どおりの、意味論的なコミュニケーションをしていたと思います。でも、日本の高コンテクスト文化の人たちと「異文化交流」をする中で、まるで低コンテクスト社会から来た人のように少しずつ「異文化適応」をして、(違和感や疑問を覚えながらも)徐々に社会的語用を学んできたのでしょう。

私は日本のASDのない人たちが「普通」「正しい」とするコミュニケーションにずっと違和感や、ときには怒りを感じてきましたが、こうしたコミュニケーションの機微について研究する学問分野があったことにはある種の感激を覚えました。

以来、人のコミュニケーションを、研究対象を見る感じで興味と好奇心を持って観察し、自分の不全感については「私は異文化に生まれた異邦人なのだから仕方ない」と余裕を持って受け止められるようになりました。


ASDのある子どもの、高コンテクストなコミュニケーションに関するマイナス感情への対処

ASDの子どもの中には、人とコミュニケーションする中で、戸惑いや怒り、不全感を感じる子どもたちも多くいると思います。私がそうだったように。


物事への理解ができるようになってきた思春期以降であれば、単に「これが正解だ」と教え込むのではなく、異文化のひとつとして教えるなどすると、私のように興味を持って客観視できる助けになるかもしれません。

文/宇樹義子

(監修鈴木先生より)

私の外来はASDの患者さんの割合が多いです。外来で患者さんに「KY:空気を読めますか」と尋ねると、「先生、空気は読むものでなく吸うものですよ」と返されることが多々あります。また、 “医師と患者さん”という関係性を踏まえた会話ではなく、あたかも以前から知っていた友人と話すような調子で話されるお子さんの何と多いことか。それは、親御さんも同様です。そうしたお子さんにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)の受講を、親御さんにはペアトレの受講をお勧めしています。

関連記事
新着子育てまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.