2017年7月26日 21:15
「I am. 」~私は存在する。~|12星座連載小説#126~牡羊座 最終話~
感無量だろう。
私もAD時代に初めて番組作りに携わらせてもらったときは、感動したもの。こうして電波に乗って、全国の人たちに視聴されていると思うと、何とも言えない気持ちになる。
後ろから肩をポンと叩かれる。
「タイトなスケジュールの中、よくやったな。ま、及第点ってところか」
木田さんだ。
『ありがとうございます!』
「ただ……マイクが少しこもっているのと、カメラの回し方はもう少し勉強しておいたほうがいいぞ」
チクリとアドバイスを受ける。
『はい……気をつけます』
メンタルがボロボロの中での番組作り、注意が足りなかったところも多々ある。
流石に“あれ”は堪えた―――。
取材を終え、帰宅したあの日、祐也が女を連れ込んでいて……。だけど、その時私は意外と冷静だった。
電気をつけると、祐也も女も最初は何が起きたのか分からないようで、“目が点”になっていたわ……
そして祐也の弁明。
「劇団仲間と打ち上げをしていたんだよ」
女は急いで服を着ながら、
「飲み過ぎちゃって……ゴメンなさい」
……そんな言い訳、通るわけがない。
『裸の男と女が同じ布団で寝ているのって、普通じゃないこと、分かるよね?』
祐也と女を正座させて、明け方まで説教をした。