2017年7月26日 21:15
「I am. 」~私は存在する。~|12星座連載小説#126~牡羊座 最終話~
『正解はないのかも……』
独り言を呟いて、自販機にコインを入れようとした時。
「奢ってやるよ」
木田さんが先に硬貨を入れた。
『そんな、悪いですよ』
「なんで俺があの時お前を推したか、分かるか?」
『え……?』
突然の言葉に、戸惑う。
「お前の“負けん気”こそが、モノ作りをする上では欠かせないからだよ」
『……』
「反骨精神っていうのは、既存のモノに満足しきっている奴らをぶち壊してくれる。俺は見ていて、気持ちよかったよ」
『そういうものですか……』
「だけど、リスクもあることを覚悟しておかなきゃならないんだがな」
そう言って、木田さんはコーヒーのボタンを押した。
『あ……!』
「ん?」
『いえ、私、お茶が飲みたかったんですけど……』
「え……まぁ、お前、あれだ。カフェインで目を覚ませって話さ」
『プッ……アッハハ!』
私は、今の自分に満足している。いつも自分が正しいと思うことをやってきた。
間違っていることもあるのかもしれないけど、自分が“間違いだと思わなければ、それは正しいことになる”。
―――『ありがたく頂きますね』
牡羊座の女の人生は、
“I am.” ~私は存在する。