2018年7月28日 19:00
精神障害者の兄に人生を捧げた両親…その姿を見てきた妹の苦しみ #21
“私の兄は、障害者”。見て見ぬ振りして、直視できない現実を避けるように生きてきた、妹目線の連載です。年齢を重ねるほど、素直な恋愛ができなくなっていった私——。「婚活」という言葉を知りながらも、結婚に対して前向きになれませんでした。
文・心音(ここね)
【兄は障害者】vol. 21
家庭を持つ責任と、結婚の重み
結婚することが女性の幸せである、好きな男性と結ばれて出産し子育てをすることが素晴らしい……。友人の結婚式に出席したり、子ども連れの夫婦を見たりすると、“幸せ” なのは頭で理解できるけれど、いざ自分に置き換えてみると一歩踏み出せない。どこか他人ごととして遠くから眺めている状態が、アラサー近くになっても続いていました。
その理由は、小さい頃から繰り広げられていた、“荒れた家庭” が目に焼き付いているからです。
高校を退学した兄の担任の先生に深く頭を下げる両親、夜中に帰ってきて騒ぎ立てる兄、精神障害者となった兄に安定剤を飲ませるためにタイマーをかけている母、仕事で疲れているのに休日は兄の病院の送り迎えをする父——。
兄のことが疎ましいわけではなく、大事な家族のひとりだと思っています。