2018年10月11日 22:00
死を待つだけだから…ある病棟を「ゴミ捨て場」と呼ぶ「終末期医療」のリアル
妊娠出産の光と影を描いて反響を呼んだ『透明なゆりかご』。その著者である沖田×華さんの新刊『お別れホスピタル』は、終(つい)の住処(すみか)としての終末期医療がテーマだ。またも、命とは何か、人生とは何か、を考えさせる力作と、早くも話題に。
「知り合いのナースをはじめ、いろんな方から、終の住処となった病棟で繰り広げられる、患者さんたちの個性の強いエピソードを聞いていたので、以前から描いてみたいと考えていました。患者さんそれぞれの“人生の最期を、この病院で迎えることになったわけ”を描けば、その人の人生のドラマが浮かび上がってくるのではないかと思ったんです」
余命わずかなのに、死んでいくとは思えないようなパワフルな患者さんがいたり、家族と和解できないままお別れのときを迎える患者さんがいたり…。一話一話がリアルで、読む側の死生観をも揺さぶってくる。
「私自身は終末期病棟で働いた経験こそありませんが、やはり看護師経験があることは描く上で大きいですね。そのベースがあるから、院内でこういうことはあり得るだろう、こんなことは起きないだろうといった、エピソードやディテールに対する価値判断ができるのだと思います」