2020年5月25日 19:00
70年代・名作少女マンガ誕生の熱い現場を描く! 『薔薇はシュラバで生まれる』
笹生那実さんの『薔薇はシュラバで生まれる』は、’70年代の少女マンガ誕生をめぐり、元アシスタントの目線から裏話が楽しめる貴重な一冊。
70年代少女マンガ。金字塔的作品が次々と生まれた舞台裏はこうだった。
「もともと10ページくらいしかなかったマンガを、エピソードを足したり膨らませたりして1冊分に描き直しました。読者が『へえ~っ』と驚くような秘話をこぼさないようにしようと意識しました」
くらもちふさこさんの『わずか5センチのロック』や山岸凉子さんの『天人唐草』についての感動的な秘話、樹村みのりさんが笹生さんにかけてくれた温かな励ましの言葉…。どの逸話も濃い!そして面白い!
驚くのは、笹生さんご自身が〈私の頭の中が録画保存庫だった〉と振り返るように、ほぼ記憶だけで描かれているという点。
「詳しく“記録していた”のは美内すずえ先生と大ファンだった中学生の私との初対面の話だけです。その手帳を発見したときには、我ながら『なんて不気味な中学生なんだ…』と驚きました(笑)。
正確な時系列までは覚えていないので前後している部分もあるかもしれませんが、他のエピソードはすべて記憶だのみです」
また、作中に登場する美内さんや故・三原順さんら諸先生方のご尊顔が、それぞれが描く絵にみなよく似ている。