2021年3月17日 18:40
いじり笑いをイヤだなと感じていた…作家・大前粟生がジェンダー差別に切り込む
ジェンダーがからむ心ないノリに違和感を覚え、自分も無自覚に加害者になっていないかと心を痛める男性主人公を描いた、大前粟生さんの「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」。それを表題作とした短編集は、繊細で生きにくさを感じている読者のもとに届き、一躍注目作家に。待望の新刊『おもろい以外いらんねん』は、お笑い好きな男子3人の、高校時代と10年後を追う青春小説だ。
お笑いに向き合う3人を介して、“既存の当たり前”に風穴をあける。
「僕は、お笑いが好きで、劇場や配信でよく見ているのですが、いわゆるいじり笑いも多いんです。僕自身もイヤだなと感じたし、演者たちも本当に楽しんでやっているのかなとよく思っていました。学校という集団の中でのお笑いを描くことで、お笑いを取り巻く社会全体の空気感までグラデーションで描けるかなと」
みんなを笑わせてクラスの中心にいる滝場、滝場の幼なじみで語り手の〈僕〉こと咲太、そんなふたりと仲良くなった転校生のユウキ。文化祭で漫才をやろうと滝場とユウキは〈馬場リッチバルコニー〉というコンビを組んだ。
そんな高校時代から10年後、精力的にライブに出演していた〈馬場リッチバルコニー〉が、動画配信がきっかけで人気と知名度が上がり始めていた矢先に…。