2021年7月6日 20:10
尾上右近「願ったり叶ったり」 悪役ばかりの“汚いミュージカル”に挑戦
ミュージカルといえば、美しい旋律に乗せて愛や生の悦びを歌い上げるイメージ。しかし今回の舞台を企画した古田新太さんの感性を通ると、まったく違うものになるよう。なんとミュージカル『衛生』~リズム&バキューム~は“汚いミュージカルをやろう”が発端。物語の軸になるのは糞尿の汲み取り業を営む家族。その彼らが軽やかに悪行を重ねていく物語というからすごい。尾上右近さんに話を聞いた。
“汚いミュージカル”に意欲満々。「周りの期待を裏切っていきたい」
「いまって、コンプライアンスの網目がどんどん小さくなっている時代ですよね。
エンターテインメントの中でタブーを描くには、たぐい稀なる技術とセンスを持った者じゃないと容易にすり抜けられなくなっている。古田さんは、それを舞台という場所でとことんやりたいとおっしゃっていて、僕自身も以前からそこに踏み込んでみたいと思っていたので、願ったり叶ったりでした」
と話すのは、古田さんと共に主演に名を連ねる歌舞伎俳優の尾上右近さん。「そもそも歌舞伎自体がアングラだったり、グロテスクな題材とかタブーに触れたりしているんでね」と、涼しげな顔を見せる。
「人って怖いもの見たさというか、どこかに悪に惹かれる気持ちがある。