ファッション小噺vol.108 現役ミューズが演じる“シャネル”伝説
シャネルという魅力的な人物が形成されていった時代性、彼女の成功を後押しした数々の出来事、成功の影で犠牲になった平凡な幸せなど、背景もきちんと描かれているので、シャネルというブランドの精神や、その魅力の必然性などを感じられると思います。
もちろん、「シャネルについてはいろいろ知っている」という大ファンが痺れるような仕掛けもいっぱい。ココが実際に所有していたアクセサリーが登場したり、コンセルヴァトワール・シャネルの協力により貸し出されたドレスとジュエリーが登場したり。特にファッションショーのシーンは注目。モデルたちが着用しているのは、衣裳ではなく全てが本物のシャネル。大変な眩さでした。
ところで、オドレイがシャネルを演じるのでは「キュート過ぎるのでは?」と思うかもしれませんが、なかなかどうして。ボーイッシュ=中性的な魅力で、女性の社会進出の基礎を築いた芯の強さや、“デコラティブ”の対極にある“シンプル”を体現。
意志の強そうな大きな瞳が、ココが秘めていたであろう情熱を、エレガントに魅せてくれました。しかも、彼女はシャネルNo.5の現役ミューズ。広告用フィルムの監督は『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ。