2016年3月14日 13:13
航空機の技術とメカニズムの裏側 (9) 飛行機の操縦(2)動翼にまつわるあれこれ
これが補助翼の逆効き(エルロン・リバーサル)と呼ばれる現象。
これを防ぐにはどうするか。ということで考え出された方法の1つが、高速飛行時にだけ使用する補助翼を別に設ける方法。ボーイング747が典型例だが、主翼の内側寄り、2番エンジンと3番エンジンが取り付く辺りの後縁に、小さな補助翼(高速エルロン)が付いている。余談だが、飛行機のエンジンは左側から順番に数えるので、左端が1番エンジンである。
低速で飛んでいるときは動作せず、高速になるとこちらを使う(逆に翼端の補助翼は使わなくなる)。内側寄りのほうが主翼の前後幅(翼弦長)が長く、強固なのでねじれにくい。すると、ねじれに起因する逆効きも起こらなくなる。
面積が小さくても、速度が速ければちゃんと効く。
○補助翼を使わないで横操縦
ただ、内舷寄りに高速エルロンを設ける手が使えるのは、それなりに翼幅がある機体だから。戦闘機みたいに翼幅が短い機体だと、同じ手は使えない。そこで、補助翼を使わずに横操縦を行う方法がポピュラーになった。
第1の方法として、全遊動式水平尾翼を使う方法がある。前回に触れたように、戦闘機の水平尾翼は全遊動式といって、独立した昇降舵を持たない形が一般的。