2016年9月6日 07:00
波瑠主演『ON』攻める演出も"グロテスクな死体"はNG? 残虐シーンをめぐるドラマ制作現場とBPOのせめぎ合いを解く
意を汲んでいただきたい」というフレーズ。
「配慮を促したい」「意を汲んでいただきたい」…これらは、各局や他番組に対する"強めのけん制球"と言っていいだろう。こうした1つ1つの言葉が、制作現場の人々に「優れた映像を作ろう」よりも先に、「BPOに気をつけよう」と考えさせる。強制力の有無に関係なく、制作現場の人々が感じる圧力は大きいのだ。
願わくば、制作側が「貴重な意見として参考にさせていただく」と大人の対応でサラッと受け流してほしいのだが、幸いにして『ON』は終盤まで制作スタンスを変えずにチャレンジングな演出を続けている。ドラマ業界全体が今作を良き例として、BPOや視聴者の苦情に萎縮することなく、ドラマ制作してくれることを切に願いたい。
○「グロテスク」も「エアギター」も狙いは同じ
ただ、『ON』の制作サイドにも考えるべきところはある。昨今、視聴率獲得のために過剰な描写を連発して視聴者をあきれさせるドラマが増えているが、「グロテスク」もそれに該当しないとは言えないからだ。
『ON』の裏番組『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)も、物語とは関係ない「エアギター」の演技を連発しているが、これは「ネットメディアのトピックス化やSNSのクチコミを狙いつつ、BPOには引っかからない」