くらし情報『映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (12) 殺陣の常識を覆した! 木村拓哉VS海老蔵の死闘 (5人目:殺陣 辻井啓伺氏)』

2017年5月30日 10:30

映画『無限の住人』8人の証言者たち - 「皆さまのもの」になるまで (12) 殺陣の常識を覆した! 木村拓哉VS海老蔵の死闘 (5人目:殺陣 辻井啓伺氏)

普通、人間は死にたくないので、斬られないようにするじゃないですか。立ち回りの根本です。ところが、万次と同じ不死身の閑馬永空役・海老蔵さんとの立ち回りは、一切避けないでやっちまおうと(笑)。

お互い死なないんだから、バツバツ斬っちゃえとなっちゃったわけですけど、もうね、立ち回りにならないんですよ(笑)。避けなくていいんだから。もう、2人でバツバツ! 大丈夫かな? と心配になるくらい斬り合っていました。海老蔵さんも、「もういい加減にしろ(笑)」みたいなことを言ってましたね。

――これまで「互いに斬り合う」シーンを演出したことはあったんですか?

ないです。
斬ったら死にますからね。僕らが時代劇をやる時には、一太刀のための間であり、立ち回りなんですよ。いくらカンカンやりあっても、一度斬られたら終わりという緊張感があります。本当の戦いは一瞬で終わる。

昔の東映は刀をかわすシーンがあったりしたんですけど、黒澤映画や東宝系の三船敏郎さんなんかは、刀を合わせないでバツバツ斬る。かわす間があったら叩き斬る。万次の場合はかわさなくても斬っちゃえばいい。相手に斬らせてまで、相手を殺そうとする。
ただ、それが痛みを伴うことは分かっている。

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