このことは、今後、中国指導部内での合意形成の過程が短縮されることを示唆する良い兆候だと考えられます。
なお、常務委員会には、江沢民前国家主席に近いとされる人物が3、4名選ばれたものの、胡錦濤氏に近い人物としては、李克強副首相が選ばれたのにとどまりました。
ただし、胡氏、李氏とも、共産主義青年団(共青団)の出身であり、互いに関係が深いことから、胡氏は今後も一定の影響力を持ち続ける可能性があります。
高級幹部の子弟「太子党」の代表格である習氏と、共青団出身の李氏との組み合わせは基本的に、向こう10年で中国共産党がより民主化を進めることを示唆している可能性があります。
重慶市のトップを務め、新指導部入りが確実視されていた薄熙来氏の失脚もあり、現時点では、中国共産党内の主要派閥の力関係に大きな歪みはないと考えられます。
王岐山副首相が党中央規律検査委員会のトップに選ばれたことは驚きです。
同氏は、欧米流の金融自由化の支持者であり、経済・金融改革を牽引してきた経験から、金融・経済を担当する副首相に就くとの見方が有力でした。
2、3週間前に、同氏が他の担当に就くとの噂が流れると、改革が滞り、中国の経済成長が危ぶまれるとして、株価に影響が見られました。