小川糸が最新刊エッセイで語る、シンプルな暮らしするための方法
「一生付き合いたい」ものだけで、暮らすヒント「ものを選ぶときに、
ゴールを決めることは必要だと思います。これでもういい、と思ったら、とことん繰り返し使うのが好き。たどり着いたものに関しては、あまり浮気はしないですね。引越をしたことも、いかに自分が無駄なものを溜め込んでいたかがわかる、いい機会でした」
撮影:大坪尚人
「来客が多く、以前は同じティーセットを6客欲しいと考えていましたが、ベルリンのカフェに行くと、ティーセットだけでなく、椅子や家具も古くてバラバラ。でもお店の人のセンスでバランスが取れていて。6人のお客さまに同じもので出さなくてもいいんだなって。年に数回のためだけに、
スペースを取ることがすごく
無駄だと気付くと、逆に同じもので揃えていることの方が変な感じがするようになりました」
収納スペースの半分は空けるようにして、たっぷり隙間を作るという小川さん。1年に1回は見直し、全然使っていないものは場所を取るだけ、と考えて手放すのだといいます。
「毎年夏は、ベルリンで普通の家を借りるのですが、すごく
スッキリしているんですね。もちろん住環境がいいというのもありますが、それにしても必要なものしか置いていなくて。自分の家も、
誰にでも貸せるような空間にしたいなと思います。それには
わかりやすくしておかなきゃいけないし、そうできたら理想ですね」
モンゴルと
ドイツで目覚めた小川糸さんのシンプルな暮らし。<後編>は、もの、人との付き合い方、五感が喜ぶ環境づくりについて伺います。
小川糸(おがわ・いと) プロフィール
2008年に発表した小説『食堂かたつむり』(ポプラ文庫)が映画化され、ベストセラーに。同書は、2011年イタリアのバンカレッラ賞、2013年フランスのウジェニー・ブラジエ小説賞をそれぞれ受賞。そのほかおもな著書に、『喋々喃々』『ファミリーツリー』『リボン』(以上、ポプラ文庫)、『にじいろガーデン』(集英社)、ドラマ化された『つるかめ助産院』(集英社文庫)などがあり、最新の長編小説では、『サーカスの夜に』(新潮社)がある。
新刊は『これだけで、幸せ 小川糸の少なく暮らす29ヶ条』(講談社)。
壁にぶち当たったときこそ冷静に考える。佐野玲於が考える“スランプの乗り越え方”