電力自由化のメリット・デメリットと選び方【前編】

最近テレビCMなどで頻繁に耳にするようになってきた「電力自由化」。電力会社を自分で選べるようになるとはいえ、いったいなにを基準に選び、いつまでにどうすればいいのか分からない方も多いのでは。

コンセントプラグの上で会話をしている男女カップル

(c) beeboys - Fotolia.com



そこで『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』の著者で、エネルギービジネスに詳しい、RAUL株式会社代表・江田健二さんにお話をお伺いしました。

■安定から競争へ。電気というサービスを高める「電力自由化」

―電力自由化とは、どういうことなのでしょうか?

電気を使おうと思ったら現在のわたしたちは暮らしている地域の電力会社と契約すればいいですよね。

これを「地域独占」といいます。今まではこのように発電、送電、配電、売電までを、地域の電力会社が一括して担っていました。

戦後、大きな目標として進められてきたのは「電力の安定供給」だったからです。
その結果、日本の電力供給技術は世界的にも高い評価を受けるまでに成長しました。

次は、競争し、サービスを高めていく段階なのです。

2016年4月から始まる「電力自由化」は、地域独占ではなく電力事業が自由化され、消費者が選択できるというものです。

たとえば東京にあるご家庭でも、関西の電力会社を選べるようになるのです。

■電力自由化の魅力とリスク

―生活者のわたしたちが、知っておかなければいけないことはなんでしょうか?

電力自由化によって起こる利点と、懸念点を知っておくのがいいと思います。

利点は、なんといっても自分に合った利用プランが生まれること。

たとえば、「家を買うと10年分の電力がついてきます」というものも出てくるでしょう。

他には、バラバラに住んでいる家族全員が、同じ電力会社に契約することで「家族割り」ができたり、サッカーや野球ファンが「電力を使うことでチームを応援する地産地消プラン」だったり、趣向やコミュニティ単位でアプローチするプランも出てくると思いますよ。


電力自由化はイギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパやアメリカではすでに導入されており、日本は先進国の中で導入に慎重な方だったといえます。

いままで電力会社といえば、発電から売電まで同じ会社が行ってきましたが、これからの電力会社は、発電会社から電力を買って売電する会社のことを指すようになります。

電力会社は自社発電に限らず、価格や地域、発電方法などにこだわって電力を買い付けます。

つまり、ある一定の認可を受ければ誰でも電力会社になれるということ。

安さだけで選んでしまっては、突然会社が倒産してしまう可能性もあるので注意したいところです。

イギリスでは電力自由化に伴って、多くの電力事業を始める会社が生まれました。しかし、競争の結果ほとんどの会社が吸収合併され、現在6社くらいに集約されています。

近い将来、電気だけでなくガスや携帯電話、インターネットなどたくさんのサービスが統合し、大きなエネルギーカンパニーが出てくる可能性もあるのではないかと考えています。


では、どのように電力会社を選べばいいのでしょうか? 後編では、選ぶ際の基準や、導入時期なども教えてもらいました。電力自由化に伴い予想される、とっても便利な近い将来のお話も!

後編へつづく

RAUL株式会社 代表取締役社長 江田健二さんプロフィール


電力自由化のメリット・デメリットと選び方【前編】

アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年にRAUL株式会社を設立。

2016年1月25日に出版された、2016年4月からスタートする「電力自由化」(電力小売完全自由化)について、図解を交えて分りやすく解説した入門書『かんたん解説!! 1時間でわかる 電力自由化 入門』は、Amazonベストセラー1位(エネルギー一般関連書籍部門)に。

一般社団法人 エネルギー情報センター 理事/一般社団法人 エコマート 運営委員



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