【エルピス 第10話 感想】国家権力や報道責任を描いただけでなかった『エルピス』の本質
狂っているのは、本当はどっちの方なんだろうか。
そして、浅川の強行を知った滝川は、放送前のスタジオに斎藤(鈴木亮平)を呼び出す。そして浅川に、斎藤は大門のニュースを外してほしいと願い出る。
案ずるはこの国の行く末。緊迫した世界情勢の中での国政と司法の混乱。国際的信用の失墜の中で起こり得る悲劇。このカードを今切るべきではない…斎藤はそう強く説得する。
確かに先を見据えれば真っ当な意見に聞こえるし、浅川が取れる責任で賄えきれるほどその波紋は小さいものではないだろう。
だがこんな時だけ都合良く国家や世界という大きな存在を提示して良いのだろうか。
紛れもない真実を権力で押し潰すような腐り切った存在に、未来を預ける方が余程怖いことなのではないのか。
国際的信用を失う行動をしている人間は、私達ではなく、力を持った貴方達のはずなのに。
おかしいものをおかしいと声を上げる者の小さな声を無視したって、何事もなかったかのように世界は回り続ける。
国家を形成する一細胞である自分が何かを成しても人生も世界もマシになんてならない。
だがもう目の前にいる誰かを裏切り続けるなんてできない。浅川には迷いはなかった。