2019年5月10日 11:00
石井ふく子語るこれからのドラマ「ネット検索で本物作れない」
「そのとき機銃掃射があって、本来、私がいるべき最前列の学生が撃たれて、亡くなったんです。遺族になんと言って頭を下げていいものか、すごく苦しみました」
悲惨な戦時下だったからこそ、それぞれの家族の結びつきは強かったという。
「父や母との一緒の時間は、すごく愛おしく、大切なもの。たとえぶつかり合って、怒ったり泣いたりしても、最終的にはみんなで笑い合える。何があっても味方となって愛してくれる存在でした」
しかし戦後、生活が豊かになるにつれて、関係が希薄になっていった家族は多い、と指摘する。
「平成の世になると、家に帰ってもおのおのが個室で、パソコンやスマホ画面を相手に話しているので、家族間の争い、けんかすら起きなくなりました。せっかく最大の味方でいてくれるにもかかわらず、家でのつながりをないがしろにしていては、人はダメになってしまいます」
近年放送されているドラマについては、“個性がない”とバッサリ。新たな時代のドラマ界に託したい思いもあるようだ。
「わざわざ派手な殺しのシーンを入れたサスペンスドラマを作る必要はない。家を舞台にすれば、さまざまな“事件”が起きますからね。ドラマを作るときのロケハン(ロケの下見)