2022年7月8日 11:00
元夫の墓前で泣いた瀬戸内寂聴さん 17年密着した監督が見た素顔
寂聴さんからは“裕さん”と呼ばれていた中村裕監督
「先生がお住まいの寂庵で、おそらく6回か7回、先生と2人きりで新年を迎えたことがあります。寂庵のまわりにはたくさんの寺院があるので、それは見事な除夜の鐘の合奏が聞こえるそうなのですが、実は私は一度も聞いたことがないんです。いつも日中から先生とお酒を飲んで、早い時間に寝てしまったから……」
そう語るのは、ドキュメンタリー監督の中村裕さん(62)だ。昨年11月に99歳で逝去した瀬戸内寂聴さんの晩年に、中村さんは17年にわたって密着してきた。その集大成となるドキュメンタリー映画『瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと』(配給:KADOKAWA/制作スローハンド)がいま公開され、好評を博している。
7月9日にはシネモンド(石川県金沢市)と福井メトロ劇場(福井県福井市)で、10日にはCINEX(岐阜県岐阜市)で、中村監督の舞台挨拶が予定されている。
寂聴さんに“裕さん”と呼ばれていた中村さん。中村さんは寂聴さんのことを“先生”と呼ぶ。
出会いのきっかけは、2004年に寂聴さんに密着した『情熱大陸』(MBS)の担当になったことだ。
「最初は緊張でカメラを回せないときもありました。