2022年9月25日 06:00
精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」
学生時代は遊んでいるイメージでしたが、地域医療に根差しているのを見て感心したんです」
また、北海道の空港で別の同級生に声を掛けられたこともあった。
「彼は公衆衛生学の研究者でしたが、やめてオホーツク海のそばで地域医療をしていると聞かされました。1年間研修を積み、医療過疎地域で頑張っていると知り、ビックリしましたね」
香山さんは、医者として、どれだけ医療分野に貢献できてきたのかと自問自答した。
「ぜんぜん。せっかく医師免許を持っているのに、私はちっとも生かしていないじゃないかって」
まず同級生に倣うように、専門外の知識や総合診療の修得のため、母校・東京医大病院で研修を。
「血圧測定や聴診器で心音を聴くことから始め、ほとんどしていなかったことを、20代の若い先生に教わりながら、1年間、研修しました」
しかし病床の母は、教授を辞めることに大反対だったそうだ。「母にとっては、立教大学は憧れでしたし、そこで教授職を得たことを誇りに思ってくれていました。私のキャリアに、母は満足していたんです」
だから当初は医療貢献への転身時期を、定年後と想定していた。
ところが、大きな出来事が立て続けに起きるのだ。