2022年9月25日 06:00
精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療に取り組む新たな生き方選んだ理由
そんな感覚もいいかな」。
60代を迎えての挑戦は周りの人に支えられて
「穂別には農家の方が多いので、野菜を持ってきてくれたり、塩蔵して冬越しする知恵を教えてくれたりもします。
ここでは通販に頼ったりせず、住民の方がお互いにやりくりしたり、そんななかに私も入らせてもらっている気になってきますね」
■町のシンボルとなったむかわ竜の全身復刻骨格が展示されている穂別博物館でほっと一息
そんな香山さんがホッとできる空間が、穂別にはもうひとつある。
いまや町のシンボルとなった、全長8mのむかわ竜(カムイサウルス・ジャポニクス)の全身復元骨格が展示されている穂別博物館である。「私はもともと、10代のころから考古学や生物学が大好きでした。
’18年の胆振東部地震の被害で遅れている博物館の改修にも、ぜひ協力したいんですーー」
50代の最後に母をみとり、「人生で一回くらいは、人の役に立ちたい」と一念発起しての“北帰行”のはずだった。
それが「まだまだできないこと、知らないことがある」と気づかされ、診療所のスタッフや、町の人々に「理解され、助けられている」ことを思い知ったのだ。
「まだ私自身は、穂別でぜんぜん役に立っている気はしないけれど、『いないよりはまし』。