くらし情報『寂聴さん元秘書が語る 出家前の“はあちゃん”の素顔と孤独』

2022年12月30日 06:00

寂聴さん元秘書が語る 出家前の“はあちゃん”の素顔と孤独

「中学2年の資料調べのころから、報酬はなくて『好きなだけシュークリームを買っていいから』とはたまに言われました(笑)。

取材後など、出版社の方たちと食事になったりする。でも瀬戸内は払わないで、さっさと行っちゃうんです。カードを持たない母は『現金30万円持っていても足りなかったわよ』と言っていました」

親戚でもある作家の創作活動を支えているという自負があったのだろうか。

「それは違います。私たち母子も好奇心旺盛でしたから、瀬戸内と一緒にいることが、ただただ楽しかった。また、瀬戸内もケチというのとは違うんです。そういう面には頭がまわらない性分なんだと、付き合いの長い母も知っていましたから」

やがて’73年の秋が訪れ、“はあちゃん”は、師僧の今東光(法名・春聴)大僧正に導かれて岩手県の中尊寺において天台宗で得度する。


「出離者は寂なるか、梵音を聴く」という仏教の言葉から、法名は寂聴となった。その名には、森羅万象の音に寄り添い、出家者は寂かな心で聴く、との意味があるという。

この出家は長尾さん母子にとって突然のものだった。血縁者として、ずっと思い詰めた様子だった寂聴さんの自殺まで心配していた2人は、出家の報にふれて、大きなショックを受けたそうだ。

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