2023年3月30日 15:50
大企業は平均3.8%の賃上げ実現も「中小企業に波及しない」と専門家
(末廣さん)
だが、これまでに賃上げが確定したのはほとんどが大企業。会社員の約7割が働くとされる中小企業の春闘はこれからが本番だ。
■中小企業は賃上げは望めない
“この春こそ収入アップを”と期待する、中小企業に勤める人は多いはずだが……。
「難しいと思います。中小企業は国内向け製品を作る内需型の企業が多く、円安はむしろ逆風になる。今はエネルギー価格や原材料費の高騰で厳しい状況にあり、そのうえ賃金を上げる余力のある中小企業は少ないでしょう」(末廣さん)
経済ジャーナリストの荻原博子さんも「厳しい」という意見だ。
「大企業は安倍政権下から内部留保を積み上げていますから、それを原資に賃上げは可能でしょう。でも中小企業は、消費税増税やコロナ不況、原材料費の高騰などに苦しんでいます。
さらに原材料費などのコスト上昇分を、製品価格に転嫁できない中小企業は多い。会社の存続さえギリギリで、賃上げなど無理だというところが多いのでは」
2022年12月発表の経済産業省の調査では、発注側企業がコスト上昇分の価格転嫁に応じたのは46.9%にとどまり、約20%はまったく価格転嫁できていないという。中小企業の賃上げが望めないなら、家計のひっ迫は今と変わらず続くことになる。