2023年7月2日 06:00
売野雅勇語る『少女A』誕生秘話 中森明菜は“繊細で傷つきやすい少女”に見えた
になったんです」
これがきっかけとなり、作詞家として道が一気に広がると、新たな人との出会いにもつながった。シャネルズの大ヒット曲『ランナウェイ』を作曲した井上大輔さんの目に留まったのだ。
「井上さんがソロアルバムを出すとき『シャネルズの曲を書いている、麻生麗二ってやつがいい』って誘ってくださり、井上さんの作家事務所に入ったんです」
プライベートでは、’82年の2月に長女に恵まれた。
「夜中に仕事していたんで、深夜の授乳とかはボクがやる。ゲップをさせるのが、楽しくてね。おかげで妻は夜、ずっと寝られたから『時間が不規則の作詞家と結婚するのも、いいわね』と」
そんな売野のもとに、井上さんのマネージャーから「中森明菜というアイドルがデビューしたんだけど、セカンドアルバムの曲を集めているから書いてみてはどうですか」と連絡があった。「『ボク、アイドルとか、そんな好きじゃないんですけど』って言うと、『プロの作詞家でやっていくには、こういうのを書かないとダメだよ』ってやさしく言われて」
先方からは、曲のイメージなども伝えられなかった。
「ダメならボツにすればいいやっていうくらいで、そこまで期待もされてなかったんでしょう。