突然の左遷を好機へと変えた「服薬補助のゼリー」女性開発者
と、意欲満々だった。
しかし、入社してみると、200年を超える歴史ある企業には、旧態依然とした空気が蔓延していた。今と違って、男尊女卑の風潮も根強かった。
入社当初は、千葉工場勤務で、開発と兼任で、自社製品を営業するMR(医薬情報担当者)も任された。自作の資料を手に、熱心に説明して回り、瞬く間に営業成績トップクラスに。同期入社のなかで、誰よりも早く主任に出世し、30歳で本社勤務となった。
当時の龍角散は、40億円の年商に対して、40億円の負債を抱え、倒産の危機に瀕していた。しかし、社員の危機感は希薄で、保守的な古参役員には、会社を立て直そうという気概もない。
福居さんは、千葉工場時代から、新製品の開発を始めているが、そこには常に古参の役員との対立がついて回った。苦闘の末に新製品が完成しても、古参の役員たちは、反対しかしない。開発した製品が、ことごとく否定され、嫌気がさして、転職を決意。別会社の内定をもらって、役員室に行ったこともあった。
「辞めさせてもらいます!」
福居さんの大きな声に、隣室から出てきて「私は1カ月後に社長になる。