くらし情報『突然の左遷を好機へと変えた「服薬補助のゼリー」女性開発者』

突然の左遷を好機へと変えた「服薬補助のゼリー」女性開発者

一緒に改革をしよう。一度、思う存分やってみてから辞めても、遅くはないよ」と、慰留したのが現社長の藤井隆太さんだ。

’95年10月、社長に就任した藤井さんを中心に、上司と福居さんの3人で改革チームが結成された。「もう龍角散だけでは生き残っていけない」と危機感を募らせる改革チームは、保守的な古参役員の反発を尻目に、新製品の開発を推し進めていった。

服薬補助ゼリーの開発を始めたのは、’97年ごろからだ。糖衣チョコを錠剤に見立て、ゼリーに包んで何十個も飲み込むなど、無謀ともいえる体を張った実験までした。そして’98年、ついにレモン味をつけた服薬補助ゼリーが完成する。

福居さんは、地域の医師会や医師の勉強会などにもサンプルと実験データを持って押しかけ、営業にも奮闘。
介護施設でもそのニーズが高まっていった。ほどなく、子ども向けの服薬補助ゼリーを販売し、ヒット商品になりそうな手ごたえを感じた’00年。福居さんは何の前触れもなく、突然、古参役員から「明日から、千葉の工場へ行きなさい」と、人事異動を言い渡された。

異動先は、書類管理の部署だった。

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