2022年12月9日 17:00
次世代による活発な作品づくり安住の地『凪げ、いきのこりら』稽古場レポート
また、日下演じる猫のナナシは戦争孤児という役どころ。争いの最中に生まれ物心ついた頃にはひとりだったことがその声に表れていて、つい大人として謝りたい思いに駆られる。
バッハ役の池浦さだ夢(男肉 du Soleil)がラップを披露する場面も
もちろんシリアスばかりではなく、池浦演じる動物バッハはムードメーカーで、彼が動くと稽古場から笑い声が漏れ和ませる。ほかにも沢栁が演じるミドリの計算高さや、古野演じる退役軍人ロッコの信じるもの、森脇演じる獣人リヒテの思想や、山下演じる獣人クロワの深層心理などもどこか覚えがあり、だからこそこの登場人物たちがどこに向かうのか、手に汗握り見つめてしまう。
ミドリ役・沢栁優大
ナナシ役・日下七海(左)とクロワ役ほか・山下裕英
脚本について岡本と私道に尋ねると、最初は岡本の「異種格闘技をしたい」というアイデアだったそう。そこからふたりで脚本について話しているうちに「今起きていることと重なっていった」と言い、そこから私道が広げたり言葉にしていった。脚本の最後には、戦争にまつわる本、災害にまつわる本、暴力にまつわる本など数多くの参考文献が記されている。岡本はSNSで「誰かにとって、今すぐに必要な作品ではないかもしれません。