くらし情報『懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート』

2023年11月10日 13:10

懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

二作品をつなぐ重要なファクターでもあるからだ。『消えなさいローラ』劇中歌「夢を創る」にはカタルシスを感じた。

『消えなさいローラ』の《女》は3バージョン。吉岡の回では『ガラスの動物園』の後日譚であることがダイレクトに伝わってくる。また彼女の巧みな間合いは、シニカルな笑いを生む。渡辺の回は《女》はローラなのかアマンダなのか、二重三重にも惑わされ、サスペンス色が強い。情熱的で強い歌唱は胸を打つ。男性である和田琢磨の回は滑稽かと思いきや、最も哀愁を誘う。
ローラとアマンダの幻影が現れる演出で追憶の中に生きる女の像が色濃く映し出されるからだ。時間が許すならば、3人の《女》を味わってほしい。魅力はそれぞれ、松也の《男》も相手によって変わる。そのうえ別役実作品の懐の深さも体感することができる。

懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

『消えなさいローラ』吉岡里帆
懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

『消えなさいローラ』渡辺えり
懸命に生きるすべての人々へ贈る鎮魂劇 ―『ガラスの動物園』『消えなさいローラ』オフィシャルレポート

『消えなさいローラ』和田琢磨
最後に、本公演プログラム掲載の古木圭子氏(『ガラスの動物園』)、内田洋一氏(『消えなさいローラ』)による作品解説もお勧めしたい。

文=金田明子
撮影=細野晋司

<公演情報>
COCOON PRODUCTION 2023
『ガラスの動物園』 『消えなさいローラ』

作:テネシー・ウィリアムズ(『ガラスの動物園』 翻訳:田島博)

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