2021年9月15日 12:00
「愛は祝福であり、呪いでもある」リサ・ジョイ監督が語る映画『レミニセンス』
ノワールで男性が女性にダマされるのは多くの場合、その女性が“良くない女性”だから、あるいは愛する女性が”良い人間”なので間違ったことをするはずがないからだったりする。でも私は、女性はそれより複雑だし“ファム・ファタル”だとか“完璧な人”で終わるようなシンプルなものではないということを、もう少し自然に見せられるようなものを作りたかったのです。主人公のニックも同じで、ノワールで彼のようなキャラクターはすごくストイックで感情を表に出さないことが多いのですが、私は彼のようなヒーローがプライベートな瞬間を見せたり、ミスしたり、間違えたりするところを見てみたかった。
ノワールはダークという意味(noirはフランス語で“黒”を意味する)だし、もちろんとてもダークなんだけど、その闇を光に転化してみたかった。だから昼は夜で、夜は昼。ノワールにおけるキャラクターの隅々にまで光を当てることに何かあると思ったから」
リサ・ジョイ監督
そこでジョイ監督は、登場人物たちを"悪女”や"探偵”などの役割で描くのではなく、キャラクターそれぞれの内面を掘り下げる形で描いていった。さらにビジュアル面では“水”が重要な役割を果たしている。