2023年9月11日 12:00
松本幸四郎×市川染五郎 「秀山祭九月大歌舞伎」で初役に挑戦、そして親子競演も。
そして今回は上演されませんが、二條城の広間の空気、緊迫感、それがあった上での御座船であるということを大事に勤めたいと思います。そして清正は秀頼が物心つく前から当たり前のように傍らにいたわけで、その距離感、空気が出せればいいなと思います。
昼の部『二條城の清正』左から)加藤清正役の祖父・松本白鸚と共演する、豊臣秀頼役の市川染五郎提供:松竹(株)
『二條城の清正』より、豊臣秀頼=市川染五郎提供:松竹(株)
幸四郎秀頼を初めて勤めたのは僕も十代のころでした。とにかく凛としていること。これに尽きます。二條城という敵陣に清正とたったふたりで乗り込んで敵に囲まれた状態で、何が起こっても不思議じゃない、それどころか99%ダメだろうという覚悟でやってきています。そんな中でも感情を見せずに凛としている。
――初役のときの家康が(十三世片岡)仁左衛門さん、二度めが(五世中村)富十郎さんでした。
幸四郎家康は本当の感情は全く見せないですし、外見はいいおじいちゃんの風情ですから。だからこそ怖かったですね。
今月のポスターにもなっていますが、御座船の上では秀頼は私服の姿なんです。清正と二人になり大坂城まであと少し。