2024年2月15日 17:00
映画『オッペンハイマー』におけるノーランらしさとは? ひとりの科学者の苦悩をどのように描くのか
ノーラン監督は語る。
「映画は、物語を語るメディアだから、観客を主観的な経験の中に引きずり込み、登場人物が判断する出来事に、自分だったらどう判断するか考えさせるのに適している」
ノーラン作品にはいつも無駄な“説明”はない。どんな入り組んだ世界が舞台でも観客は主人公と一緒になって作品世界に入り込み、気がついたら、日常では体験できないような場所に行き、これまでに考えたことのないような問題や感情に直面する。観客は映画館から“未体験の時空間”に旅に出る。それこそがノーラン作品の醍醐味だ。
そんなノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』はどんな映画になるだろうか?
伝記などに描かれるオッペンハイマーは天才科学者で、第二次世界大戦下に“あるアイデア”を思いつく。それは、彼の知的好奇心や研究への情熱を掻き立てるものだが、同時にその研究は“世界の在り方を根本的に変えてしまうかもしれない”ものだった。もし、あなたの目の前にそんなアイデアがあったとしたら、どうするだろうか?それは自分の人生をかけてもいいほどのチャンスだ。
しかし、同時に世界を破滅させてしまうかもしれないリスクでもある。あなたはそんな状況に立ったことがあるだろうか?
多くの人は(教科書に載っている著名な科学者でさえ)