2021年11月6日 12:00
浦井健治×高岡早紀 対談 新しい試みに刺激を受ける日々―『愛するとき 死するとき』インタビュー【後編】
撮影:牧野智晃
東西統一前後の東ベルリンを舞台に、社会主義体制の中で生きる人々の愛の交錯を三部構成で描いた『愛するとき 死するとき』。ドイツ人劇作家フリッツ・カーターが2002年に発表した戯曲を、ドイツで生まれ育ち、ドイツ発の舞台『チック』(17年初演、19年再演)で高い評価を得た気鋭の演出家、小山ゆうなが、現代の日本で立ち上げようとしている。その挑戦に共鳴し、カンパニーを先導するのは浦井健治と高岡早紀、初顔合わせとなる実力派のふたりだ。数々の経験を積んで来たふたりにとっても、これまでにない実験的魅力にあふれた今回の舞台、稽古渦中の手応えをじっくりと伺った。
「これまでにない不思議な体験をしています」(浦井)
――社会主義体制下のドイツにおける人間模様が描かれた、三部構成の戯曲です。とても興味深い作品への挑戦ですね。
浦井今作のお話を世田谷パブリックシアターさんからいただいて、演出の小山ゆうなさんとは初めまして、ですが、ドイツで生活され、演劇を学ばれた方なので、ドイツ演劇にお詳しい。戯曲を読ませていただいたらとても難しくて、うわ、これは大変だ……!というのが第一印象でした。
高岡私は、「小山さんという若くて才気あふれた演出家さんがいるんですよ」