2021年11月6日 12:00
浦井健治×高岡早紀 対談 新しい試みに刺激を受ける日々―『愛するとき 死するとき』インタビュー【後編】
浦井ただ、一部、二部、三部でまったく違うシチュエーションではあるんですけど、最初の本読みで皆の声を聞いた時に、直感的に一貫した空気を感じたのは不思議でしたね。小山さんが「ここに出てくる“彼”も“彼女”も、実はひとりの作家だ、というところに着地すればいい」と言ってくれたこととか、この戯曲の冒頭に「〜のために」といった献辞が入っていることから、この作品って小説のようだなと感じていて。だから、句読点なしで書かれているのはそういうことかな、と。歌もあるけどメロディアスに歌う感覚じゃないので、とにかく言葉で伝える、言葉を置いていく……という、これまでにない不思議な体験をしています。
「浦井さん、さすがだなあ〜って稽古の最初からずっと思っています」(高岡)
――キャスト全員が複数のキャラクターを演じますが、一部、二部、三部で、ここまでさまざまな個性を演じ分けることも、これまでなかった体験では?
高岡そうですね。私が演じる母親役にしても3人いるから、それぞれのお母さんを表現しないと(笑)。演じ分けも、着替えを含めてすごく大変なんですけど、ただ浦井さんがおっしゃったように、すべての登場人物が“僕”の中のピースなのかもしれないということ。