6月24日(土) にいよいよプレビュー公演初日を迎える『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』より、稽古場オフィシャルレポート&稽古風景写真が到着! 三つのシーンから見えてきた日本版ならではの魅力とは……?劇場に一歩足を踏み入れた瞬間、そこは絢爛豪華な別世界──。“観劇”の概念を覆す規格外の超大作にして、トニー賞14部門ノミネート・作品賞含む10部門受賞作、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル(以下MRTM)』の日本での上演が発表されてから実に2年余り。プレビュー公演開幕までついに1カ月を切り、いよいよカウントダウンが始まった。佳境を迎えた稽古場を訪れると、そこにはオーストラリアから来日したクリエイティブスタッフ及び日本側スタッフと共に、作品に息を吹き込むべく奮闘する日本版キャストの姿が。見学できた三つのシーンから見えてきた、本作ならではの、そして日本版ならではの魅力をレポートする。振付、パフォーマンス、ダブルキャスト!1899年のパリを舞台に、ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」の花形スター・サティーンと、アメリカからやってきた作曲家志望の青年クリスチャンの燃え上がる恋模様を描く本作。そのオープニングを飾るのは、クラブの支配人ジドラーと踊り子たちが観客を一気に物語世界へと引き込む、まさに目を見張るようなビッグナンバーだ。本番の舞台では、セットと照明と音楽によって別世界へと作り変えられた劇場に足を踏み入れた観客が、いよいよ本格的に“『MRTM』マジック”にかかる瞬間でもある。そんなオープニングシーンの稽古から見えてきた本作の魅力は、何よりもダンス! そもそも官能的でアクロバティックでクリエイティビティに満ちたソニア・タイエの振付を、踊り子役の俳優たちがつま先から顔の筋肉まで、すべてを最大限に動かしながら、凄まじいまでのエネルギーで踊って“ダンスの力”を見せつけていく。絢爛豪華という言葉では片付けられないほど壮大なセットや照明の力は確かに大きいが、それに決して負けない人間のパフォーマンスがあるからこそ“マジック”はかかるのだと、実感させられた思いだ。サティーンとクリスチャンの出会いの場となるのもこのクラブだが、その初対面は少々トリッキー。サティーンは彼を、クラブの経営危機を救ってくれるパトロンのデューク(モンロス公爵)だと勘違いして楽屋に招き入れるのだ。二人が良い雰囲気になったところに本物のデュークが現れて……というコミカルなシーンは、稽古場での通称「エレファント・チーム(望海風斗、井上芳雄、橋本さとし、上川一哉、伊礼彼方、中井智彦)」と「ウィンドミル・チーム(平原綾香、甲斐翔真、松村雄基、上野哲也、K、中河内雅貴)」の両方で観ることができた。となるともちろん、見えてきた魅力はダブルキャストの面白さ。ややこしい状況にひたすら翻弄されている様子の望海サティーンと、どこか楽しんでいるようにも見える平原サティーン。少年のように素直で少しやんちゃな井上クリスチャンと、等身大の青年らしさが光る甲斐クリスチャン。まだ稽古段階の、ひとつのシーンだけでこれだけ印象が異なりながら、しかしどちらも成立しているのだから、この魅力は底知れない。組み合わせを変えて何度か観ることで、『MRTM』を多角的に味わうことができそうだ。ヒット曲、マッシュ・アップ、日本語歌唱!見学できた三つ目のシーンは、「エレファント・ラブ・メドレー」と呼ばれる一幕のクライマックス・ナンバー。本作に登場する音楽はすべて既存のヒット曲で、しかもほとんどのナンバーにおいて、複数の楽曲がフレーズ単位でつなぎ合わされている。物語の流れや人物の心情を細やかに表現しながら、耳馴染みあるフレーズが次々に飛び出す快感を観客にもたらす効果もある、このマッシュ・アップという手法。オープニングでも楽屋のシーンでも用いられている手法だが、その効果がより鮮明に感じられたのがこのシーンだった。その理由は、ここで登場する楽曲がどれも──具体的な曲名のネタバレは避けるが──、日本でも誰もが知る“超特大”のヒット曲だから。英語詞の響きと共に馴染んでいるフレーズが日本語で、しかも抜群の歌唱力を誇るキャストによって歌われると、音も意味も新鮮かつダイレクトに届いてくる。その上その日本語詞を手掛けているのは既報の通り、日本を代表するミュージシャンやアーティストなのだから、美しさもまた折り紙付き。マッシュ・アップによる心躍る音楽は本作の、その日本語歌唱は日本版の、間違いなく最大の魅力のひとつだ。三つのシーンとも、すでに十分な見応えだったが、稽古場の面々はさらなるブラッシュアップに余念がない様子。シーンを当たり終える度に豪日の演出・振付・音楽スタッフからあちこちで、同時多発的にノート(ダメ出し)があり、またキャスト側からも活発に質問が飛んでいた。この熱量ならば、音楽とダンス、キャストの魅力はさらに磨き上げられていくことだろう。そこにセットと照明、さらにはバンドや衣裳の魅力も加わる日本版『MRTM』が観劇できる──いや、“マジック”にかかれる日が、心の底から待ち遠しい!文=町田麻子<公演情報>『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』2023年6月29日(木)~8月31日(木) 帝国劇場※プレビュー公演:6月24日(土)~28日(水)チケット情報はこちら:
2023年06月19日全4公演で計23万人を動員したKing Gnuによる初のスタジアムライブツアー『King Gnu CLOSING CEREMONY Stadium Tour 2023』の千秋楽が、2023年6月4日に横浜・日産スタジアムで開催された。数日前の天気予報を覆した奇跡の快晴である。しかも超満員での声出し解禁ライブだ。7万人を収容する巨大スタジアム。ステージセットでキーとなる赤色はセレモニー感を打ち出し、会場中にフラッグがはためいた。スタジアムライブが解き放つ高揚感を倍増させていく。左右に展開される巨大LEDモニター。ステージ奥には黄金の聖火台が鎮座している。そう、本公演は、タイトルともども2020年1月15日にリリースした3枚目のアルバム『CEREMONY』に起因する。リリース直後、パンデミックの影響のために延期となった2020年初頭に予定されていた幻のツアー。しかしながら、様々な制約を乗り越え、その後開催された2度にわたる全国ツアーや東京ドーム2デイズ公演を経て、さらに大きな群れとなったKing Gnuは現時点での集大成として本公演=クロージングセレモニーを行ったのだ。それは、この3年間の社会の閉塞感を塗り替えていく、そんな気概を感じられたライブとなった。オープニングは、ストリングスのチューニング音からはじまり、荘厳なオーケストレーションを醸し出す「開会式」からスタート。今回、ステージにはメンバー以外にもホーン&ストリングス隊が演奏に参加。より奥行きの広いサウンドを豊潤に繰り広げていく。聖火台モニュメントへの輝かしい聖火の点火。LEDモニターには、アニメーションで描かれた聖火台に揺れる炎が指揮棒を振って舞っている。Photo:Kosuke Itoこの日に最もふさわしい曲「飛行艇」では、屋根のないスタジアムで大空へ向かってドッシリとロックビートを解き放つ。“どんな夢を見に行こうか”という歌い出しの本作だが、まさに夢の光景が眼前に広がっているのだ。勢喜遊(ドラムス・サンプラー)はサングラス越しに笑み、井口理(ボーカル・キーボード)は左手を頭上に掲げ、新井和輝(ベース)はビートと呼応しながら揺れ、常田大希(ギター・ボーカル)はゆっくりと客席を見回している。印象的なワンシーンだ。Photo:Ayumu Kosugi間髪開けずに「Tokyo Rendez-Vous」を披露。井口による「みんな元気?元気だね。ここでMCをするつもりはなかったんだけど。せっかくの千秋楽だからね。来てくれてありがとう。俺らもさ、6、7年前は下北沢や渋谷のライブハウスで、誰も聴いていなかったようなところで演奏してたんだけどさ。今どうよ?7万人が聴いてくれていますね。ありがとう!みなさんに提案なんだけど、今日という日をこの先の人生で何度も思い出したくなる日にしませんか?どうか今日はよろしくお願いします」という、第一声となるMCを解き放つ。野外に似合うビートの効いたパンキッシュなアッパーチューン「Teenager Forever」を皮切りに「BOY」、開放感でいっぱいな「雨燦々」など誰もが知るヒットチューンを惜しげも無く立て続けにプレイ。ときには常田、井口、新井がひとつのマイクに向き合ってシャウト、オーディエンスへボーカルを委ね合唱が起きるなど涙腺崩壊な展開だ。そして、疾走感溢れるリズムが、夕涼みのような風の気持ち良さとリンクする「小さな惑星」と呼応し、会場の空気をよりポップに染め上げていく「傘」を披露。しかしながら今日は、時の流れを早く感じる。楽しい時間はあっという間とはまさにこのことだ。King Gnuはとにかくあらゆる面で情報密度が濃い。なのに想いはシンプルで直球だ。それが理由のひとつなのかもしれない。Photo:Kosuke Ito長めのMCタイムでは「いい日だね、今日もいい空だねえ」と井口が空を見上げながら語り、King Gnuらしい距離感の近い雑談のようなトークを繰り広げていく。昨日6月3日公演では「東京じゃない人どれだけいる?」と、オーディエンスがどこの地域からやって来たかを手をあげさせ、今日は「あらためましてKing Gnuです」と挨拶し、タバコに火をともし、続けて常田もタバコを吸いはじめて沸く会場。井口が「今回はほんとに波乱のスタジアムツアーになっちゃいまして。大阪もリハができなかったり。横浜もゲネプロが出来なくて。台風で3日の昼ごろまで雨が降っていて。でも、なんとか出来ましたね!」と話題を広げていく。MC中もずっと、生BGMのごとくアコギを爪弾いていた音楽に寄り添う常田。そんな柔らかい雰囲気そのままに「ユーモア」、そしてホーリーな雰囲気漂う「Donʼt Stop the Clocks」をメランコリックにプレイ。ここからはヒットチューンとして知られる「カメレオン」、そして常田がピアノソロで、東京藝術大学出身の先輩である坂本龍一への追悼として「Merry Christmas Mr. Lawrence」の一節をアレンジを加えながら心を込めて演奏。そのまま、壮大な雰囲気を持つ「三文小説」へと没入感高いハイクオリティーな演奏へ突入。本日のハイライトのひとつだ。気がついたら日没時刻となっており、会場は薄暗くなってきたところで最初期に生み出されたアブストラクトかつドープなナンバー「泡」。淡いレーザー光線による輝きが妖しげに美しい。そして、ドープなインスト曲「幕間」を経て、突如アップテンポに感情が解き放たれる「どろん」、「Overflow」など人気チューンを次々にドロップしていく。ここで再びMCタイム。新井が10数名のホーン&ストリングス隊を紹介しつつ、井口が「後半いきますか?まだまだいけますか?」と煽る。King GnuオリジナルのJ-POPセンスの躍進のきっかけとなった「Prayer X」が演奏され、勢喜によるドラムが映えるイントロダクション、スモーク濃いめに焚かれアッパーな常田のラップが繰り広げられていく「Slumberland」へと続く。さらに、スタジアムが似合うビートの効いた「Stardom」では、会場の温度があがるほどにステージに設置された数々の炎が一斉に燃え上がりまくるなど、かつてない派手な演出へ。勢いそのままに、ビートが研ぎ澄まされたロックチューン「一途」。ドラマティックな「逆夢」へと駆け抜けていく。繰り返すが、あっという間に時間が溶けていくのだ。Photo:Kosuke Itoそして待ちに待った、常田がメインボーカルを務める「壇上」のライブお披露目である。アルバム『CEREMONY』でもキーとなったナンバー。知る人ぞ知る楽曲だ。歌詞は、まるで数年後の自分たちの心情に振り返ったかのようなセンチメンタルな世界観。そんな想いとリンクするかのように走馬灯のごとくこれまでのバンドの歴史がメンバー写真とともに矢継ぎ早に巨大LEDモニターに映し出され、心が真っ白になっていく。頭も空白のまま、本編最後となるサイケデリックなポップバラード「サマーレイン・ダイバー」へ。オーディエンスが自発的にスマートフォンのライトを点灯し、会場中に光が瞬く大海原のようなシーンへと一変。感情が追いつかないほどの大感動だ。声出し解禁、オーディエンスと合唱しながら、メンバーによる満足度の高い笑顔とともに大団円を迎えていく。Photo:Ayumu Kosugiアンコールを経て、ステージでは常田がチェロを独奏。アヴァンギャルドかつアカデミック、色気のある高貴なプレイ。パーカッシヴな弦の響きに目が耳が離せない。そのまま、King Gnuの代表曲と言っていいだろう「白日」を披露。透明感ある伸びやかな歌声が美しい。そしてラストMCタイムへ。井口による、オーディエンスへの感謝の言葉「ありがとう!楽しかったね。あとちょっとだけ付き合ってもらっていいですか?ここに7万人の人がいて。それぞれ生活があって。せっかくなら7万人の心の歌を聴きたいじゃないですか?大きな声で歌えますか?」と、オーディエンスへ問いかけた。そしてラスト2曲。まずはKing Gnuファンが最も愛する「McDonald Romance」を4人のコーラスワークが堪能できるバージョンで演奏。オーディエンスの大合唱とともに、会場にほんわかした暖かみが広がっていく。そして、ラストは井口による「盛り上がろうぜ!」という煽りに続けて「Flash!!!」。超絶アッパーなロックチューンによって、この日最強のハイライトが繰り広げられていく。高揚感でいっぱい、凄まじい熱量がバンドとオーディエンスの垣根をなくし、スタジアムに集まった全員の心が一体化していく。幾千に宙を飛び交うレーザービーム、そしてステージ上空に舞い上がる花火とのシンクロがヤバい。ヤバすぎる。Photo:Kosuke Itoキング率いるヌーの群れは、仲間を巻き込みどんどん大きくなってきた。今回、最多キャパシティーとなる7万人スタジアム・ライブの成功。希望に満ち溢れた最新章のページがめくられたのだ。ヌーの群れの旅は今後も続いていく。テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)<公演情報>King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY6月4日(日) 日産スタジアムセットリストM0. 開会式M1. 飛行艇M2. Tokyo Rendez-VousM3. Teenager ForeverM4. BOYM5. 雨燦々M6. 小さな惑星M7. 傘M8. ユーモアM9. Don’t Stop the ClocksM10. カメレオンM11. 三文小説M12. 泡M13. 幕間M14. どろんM15. OverflowM16. Prayer XM17. SlumberlandM18. StardomM19. 一途M20. 逆夢M21. 壇上M22. サマーレイン・ダイバー【ENCORE】M23. 閉会式M24. 白日M25. McDonald RomanceM26. Flash!!!関連リンクOfficial HPオフィシャルモバイルサイト「CLUB GNU」
2023年06月05日SEVENTEENが、約1年ぶりのファンミーティング『SEVENTEEN 2023 JAPAN FANMEETING ‘LOVE’』を開催。5月17日(水)・18日(木) の京セラドーム大阪、5月27日(土)・28日(日) の東京ドーム、全4日間で約18万人を動員した。ファンミーティングがドームで開催されるのは異例のこと。さらに18日と28日の公演はオンラインライブストリーミングで世界中に配信され、27日の公演は日本全国の映画館でライブビューイングが開催されるなど、会場に足を運べなかったファンとも幸せな時間を共有した。5月28日、東京ドームでの最終公演。会場の四隅からハートをモチーフにしたトロッコで登場した13人(S.COUPS、JEONGHAN、JOSHUA、JUN、HOSHI、WONWOO、WOOZI、DK、MINGYU、THE 8、SEUNGKWAN、VERNON、DINO)に観客は歓喜の声を挙げる。「Run To You (Japanese Ver.)」と「_WORLD」で会場を周回してたっぷりとアイコンタクトをとった後は、センターステージで集合してしなやかなダンスを披露。オープニングトークでは、まずはS.COUPSが、CARAT(SEVENTEENのファンの名称)に向かって「本当に会いたかったです」と笑顔で挨拶。また、韓国で4月24日にリリースし、初動売上がK-POP史上最高記録を達成した10thミニアルバム『FML』のダブルタイトル曲の一つ「Super」のサビのダンスを全員で披露して会場を沸かせた。今回のファンミーティングのタイトルは“LOVE”ということで、ゲームコーナーではメンバーたちが獲得したポイントをハートの数で表現。一番多くハートを獲得したメンバーには“LOVE KING”の称号が与えられる。SEVENTEENのこれまでの歴史を振り返るクイズコーナーに続き、チームに分かれて風船を使ったゲームなどを繰り広げ、最後は障害物競走のようにピンポン玉を運ぶゲームなど、頭脳も身体も駆使してCARATを楽しませた末に、“LOVE KING”の栄誉を手にしたのは反則技のオンパレードでハートをたくさん獲得したJEONGHANとJOSHUAのペア。自称“ひつじヘア“というパーマヘアが話題沸騰中のJEONGHANは「ドライヤーがほしい」とおねだりして笑いをとった。また、メンバーは知らないサプライズで4日間の合計ハート獲得数の順位も発表され、JUNが1位を獲得。副賞には日本限定色の高級ドライヤーが贈られJEONGHANがうらやましそうにしていたが、韓国では電圧の関係で使えないというオチに大爆笑。ライブパートでは「My My」や「Oh My!」のJapanese Ver.などスイートな楽曲を披露したのに続き、SEUNGKWAN、DK、HOSHIの3人で構成されたスペシャルユニットBSS(ブソクスン)が2月にリリースしたアルバム『SECOND WIND』のタイトル曲「Fighting (Feat. Lee Young Ji)」をVERNONのフィーチャリングで日本初披露。『FML』のもう一つのタイトル曲「F*ck My Life」も日本初披露というスペシャルなステージの連続。最後は名曲「舞落ちる花びら(Fallin’ Flower)」のニューアレンジで魅せると、美しすぎるパフォーマンスに深いため息がもれた。一方のCARATも、コロナ禍が明けてからは日本で初の歓声ありのライブとあって、難易度の高い応援法を大合唱してメンバーを盛り立てた。アンコールでは、今回のテーマ“LOVE”の代名詞ともいえる楽曲「All My Love」をニューアレンジのJapanese Verで歌い上げると、CARATはその歌詞に応えるように“永遠に続く私たちのLOVE STORY”とのスローガンを掲げて彼らへの想いを伝える。HOSHIは「皆さんの声を久しぶりに聞けました」と感無量の様子で、大歓声で応援してくれたCARATに喜びと感謝の言葉を述べた。エンディングの挨拶では全員が順番に心を込めた日本語の手紙を読み上げ、最後はDKが「東京ドームでファンの皆さんに会えるなんて本当に幸せで光栄です。僕がSEVENTEENであることがありがたいし、心より幸せなことだと思います」と締めくくった。再びトロッコに乗りこむと、会場のCARATを愛しそうに見つめながら「’bout you」と「Campfire」を笑顔で披露してステージを後にしたSEVENTEEN。5月26日(金) にデビュー8周年を迎え、5月30日(火) には日本デビュー5周年を迎える節目に、彼らの“LOVE”をたっぷりと感じることができた約3時間のファンミーティングだった。写真:(C)PLEDIS Entertainment<イベント情報>『SEVENTEEN 2023 JAPAN FANMEETING ‘LOVE’』5月17日(水)・18日(木) 京セラドーム大阪5月27日(土)・28日(日) 東京ドーム【セットリスト】01. Run To You (Japanese Ver.)02. _WORLD03. My My04. Oh My! (Japanese Ver.)05. Fighting (feat. VERNON)06. Together (Japanese Ver.)07. F*ck My Life08. 舞い落ちる花びら(Fallin’ Flower)09. All My Love (Japanese Ver.)10. ’bout you11. CampfireSEVENTEENオフィシャルHP:
2023年05月30日本日5月24日(水) より東京建物 Brillia HALLにて、『BACKBEAT』の東京公演が開幕する。本作は、結成当初5人編成だった世界的ロックバンド・ビートルズの創成期の青春物語を20曲以上もの生演奏で綴った作品。ここでは、プレビュー、兵庫、熊本、大阪公演を経た本作の公演レポートをお届けする。舞台は、戸塚祥太演じるスチュアート・サトクリフが生き生きと絵を描くシーンから始まる。その表情が、動きが、情熱が、スチュアートは芸術家なのだと一瞬でわからせる。芸術家スチュアートは、親友ジョン・レノン(加藤和樹)に誘われ、ジョージ・ハリスン(辰巳雄大)、ポール・マッカートニー(JUON)、ピート・ベスト(上口耕平)と共に、全員10代で「ビートルズ」となる。印象的だったのははじまりのシーンだ。ジョンはスチュアートにベースを持たせ、弾き方を教え、スチュアートがたどたどしく鳴らす音に歌をあわせてみせる。さっきまでスチュアートは絵筆を持っていて、ベースを弾いたこともなかった。そこでジョンが生み出した音楽は、スチュアートだけでなく客席をも巻き込んだ。音楽というもの、そしてジョンという人から滲み出るカリスマ性を、加藤がとても魅力的に表現している。ビートルズの末っ子ジョージはギターが好きで人懐っこい人だったそうだが、辰巳のジョージはまさにそれ。そして目をこすりたくなるほど10代である。ミュージシャンでもあるJUONの芝居はポールへのリスペクトが垣間見え、それが不思議とポールの才能を予感させるものにもなっている。上口演じるピートは後半まで心情が見えてこない人物だが、その心の内が見えたとき、「感じていたのはこれか」と納得する芝居を丁寧に積み重ねる。愛加あゆが演じるのはスチュアートと恋に落ちるアストリッド。写真家でもある彼女の凛とした姿勢がスチュアートにどれほど影響を与えたか一目で理解させるオーラが放たれる。エルヴィス役の尾藤イサオは1966年のビートルズ初来日公演の際に前座を務め、彼らの生の演奏を体感した歌手でもある。その尾藤の、歌唱はもちろん存在そのものがこの物語にとって大きなものだ。ジョンから放たれる風は周囲の人をどんどん巻き込んでいく。だがスチュアートだけは、そこから飛び出すのだ。それは決別のように思えるが、そうではないことが戸塚や加藤の芝居を観ているとまっすぐに届く。5人の、どんな状況でもどんな状態でも、ライブシーンになると途端に輝きだす姿は感動的だ。この5人の光景を忘れてビートルズを聴くことはもうできないなと感じる舞台であった。撮影:岡千里
2023年05月24日乃木坂46 1期生・齋藤飛鳥の卒業コンサート初日公演が、5月17日(水) に東京ドームにて開催された。昨年12月末をもってグループを卒業済みの齋藤だったが、この日と翌18日に同会場で実施される公演を最後に正式にグループを離れることとなり、初日公演には5万人もの観客が集結し、さらにインターネット生配信も行われるなど、大勢のファンが“アイドル・齋藤飛鳥”として残り少ないステージの模様を目撃した。未来へ向けて羽ばたく白い羽根をモチーフにしたステージセットがそびえる中、暗転とともに客席が白+水色の齋藤カラーのペンライトで客席が染め上げられる。すると、「Overture」に続いてステージには齋藤のシルエットが浮かび上がり、白い衣装を身に纏った彼女にスポットが当たる。彼女は若干緊張した面持ちながらも、ゆっくりと歩いてアリーナ中央のサブステージへと移動。客席から盛大な拍手が送られると、その表情にふと笑みが溢れ、客席を見渡してから深々と一礼する。そのまま流麗なピアノの音色とともに、「ここにはないもの」からライブはスタート。齋藤のソロ歌唱に導かれるように選抜メンバーがステージに上がると、さらに美しい空間が展開されていく。曲のクライマックスでは羽根や銀テープが舞う幻想的な演出も用意されるなど、『齋藤飛鳥 卒業コンサート』DAY1は華々しい幕開けを切った。「ありがちな恋愛」では曲中に観客のコールも加わり、会場の熱量が急加速。間奏では齋藤のソロダンスに合わせて火花が吹き上がる派手な演出も見られ、続く「制服のマネキン」ではこの日の出演メンバーが勢揃いし、激しい爆発音が鳴り響く中で情熱的なダンスを繰り広げる。ここまでクールな楽曲が続いたが、その後は「ハウス!」「ダンケシェーン」と一体感を高めるのに欠かせない楽曲を連発。齋藤は「久々にみんなの声が聞けるのを楽しみにしてました!」とうれしそうに叫びながら、メンバーとともに鳥をイメージしたトロッコに乗って会場を一周する。最初のMCでキャプテンの梅澤美波が「東京ドームで歓声を聞けるのも、初めての東京ドーム(2017年11月)以来のこと」と告げると、齋藤は「これを聞くためにこの数カ月生きてきたので、すごくうれしいです」と口にしてから「ご覧の通り、すごく楽しげです。緊張はするけど楽しさが勝っているし、このライブ自体もすごく楽しいセットリストと演出を用意してもらったので、卒業だけに重点を置かずに、みんなのキラキラを見てもらえたらうれしいです」と笑みを浮かべる。その後、映像を通じて「どうやったらこの人たち(現メンバー)の未来につながりつつ、私もいい旅立ちができるかを擦り合わせるのが難しくて。卒コンなので、どうしても私がめちゃくちゃ出ているんですけど、その中でも満遍なくみんなしっかりと出してあげたいし、絡みたいし、ちゃんと全員と目が合うようにしたい」と齋藤からこの日のセットリストの趣旨が告げられると、「私、起きる。」「のような存在」「僕のこと、知ってる?」と、齋藤に3〜5期生を交えたスペシャル編成で披露。今後二度と見られない組み合わせと選曲に、イントロが鳴り響くたびに客席からはどよめきの声が上がる。また、続くブロックでは現在のアンダーメンバーを携えて、齋藤が初めてセンターを務めたアンダー曲「扇風機」や「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」、3〜4期生とともに「Hard to say」をパフォーマンスして、緩急に富んだセットリストで会場を沸かせ続けた。ライブ中盤は、齋藤が参加したユニット曲を中心に進行。クールでキレのあるダンスとともに「Another Ghost」をソロ歌唱したかと思えば、「Threefold choice」では岩本蓮加&小川彩を迎えて可愛らしさに振り切る。また、「サヨナラ Stay with me」を3〜4期生を交えた布陣でカラフルに表現し、「路面電車の街」を山下美月&賀喜遥香の3人でしっとりと歌い継ぐ。さらに、かつてライブでも披露した経験のある齋藤&遠藤さくらによる「他の星から」の再演で、オーディエンスのボルテージも急加速。エンディングでは齋藤が遠藤の頭をポンと叩くと、遠藤が感極まる一幕もあった。その後は鳥型トロッコやフロートを使ってメンバーが会場中を動き回りながら、「空扉」「全部 夢のまま」をメンバー全員で披露して会場の熱量を上げ続けた。ライブ後半戦は「Wilderness world」をはじめ、ダンスの比重が高い楽曲がずらりと並ぶ。気心の知れた3〜4期生のみならず、加入から1年数カ月の5期生も交えた編成ながらも、齋藤の気迫に追いつこうとする熱量と華麗さが入り混じったパフォーマンスで、見る者を惹きつけた。続く「インフルエンサー」では齋藤&山下がダブルセンターを務め、激しくも情熱的なダンスで会場の空気を掌握。観客のシンガロングが加わり迫力を増した「深読み」、2017年11月の初東京ドーム公演を思い出させる「いつかできるから今日できる」、齋藤と山下が中心のコール&レスポンスを経て、「あらかじめ語られるロマンス」「ジコチューで行こう!」で観客の声援がさらに熱を帯びライブは佳境に突入する。ライブ本編最後のブロックでは、ストリングス隊を含むバンド編成でのステージを用意。バンドメンバーによるインストセッションを経て、齋藤もドラムで演奏に加わると観客もより熱の入った声援を送ることに。そしてメンバーが再登場すると、齋藤もドラム演奏で加わる形で「君に叱られた」を披露する。こういった形のライブが行えるのも、音楽と真摯に向き合ってきた彼女ならではのこと。続く「裸足でSummer」では齋藤もパフォーマンスに加わり、パワフルな生演奏を背に多幸感に満ち溢れたステージが展開され、最後はオーディエンスのクラップ&シンガロングや齋藤の華麗なソロダンスをフィーチャーした「Sing Out!」で、ライブ本編を締め括った。アンコールでは、昨年の『真夏の全国ツアー2022』でも話題にあった“トリンギョ”が再登場するサプライズも。観客との微笑ましいやりとりを経て、トリンギョ型気球に乗った齋藤が会場上空に姿を現すと、「キャラバンは眠らない」「他人のそら似」を立て続けに披露。曲中、齋藤がトリンギョの正体は自分だと明かす場面もあり、ステージ上を縦横無尽に動き回るメンバーとともに笑顔で満ち溢れた空間を作り上げていった。その後、ステージに齋藤がひとり残ると、「明日(のライブを)見られない人のために少しだけお話を」と今の心境を伝えていく。彼女は今年2月の『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』を配信で視聴し、「すごく素敵だったから、みんなが未来に向かって歩き出しているのに、私の卒コンをやったら過去に立ち返らせてしまうからどうしよう」と自身の卒業コンサート開催に対して不安を覚えたという。しかし、周りのスタッフやメンバーからの温かい後押しもあり開催を決意したことを明かす。そして、「私への愛情を、これからはメンバーのみんなに向けてくれたらうれしいです。これからの乃木坂46をどうかよろしくお願いします」とメッセージを届けて、彼女の卒業に際して制作されたソロ曲「これから」をライブ初披露。途中、歌詞を間違える一幕もあったが、最後は笑みを浮かべて深々とお辞儀する。歌唱後も歌詞を間違えたことを悔しがる齋藤だったが、梅澤をはじめメンバーに対して「見守ってくれてありがとう」と告げ、「今日は(感傷的になるよりも)想像していたよりも楽しくて」と今の気持ちを口にする。そして、「乃木坂の詩」で東京ドームを紫色に染め上げ、3時間近くにおよぶ卒業コンサート初日を大成功のうちに終えた。Text:西廣智一<公演情報>乃木坂46 齋藤飛鳥 卒業コンサート5月17日(水) 東京ドームセットリスト00. Overture01. ここにはないもの02. ありがちな恋愛03. 制服のマネキン04. ハウス!05. ダンケシェーン06. 私、起きる。07. のような存在08. 僕のこと、知ってる?09. 扇風機10. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた11. Hard to say12. Another Ghost13. Threefold choice14. サヨナラ Stay with me15. 路面電車の街16. 他の星から17. 空扉18. 全部 夢のまま19. Wilderness world20. インフルエンサー21. 深読み22. いつかできるから今日できる23. あらかじめ語られるロマンス24. ジコチューで行こう!25. 君に叱られた26. 裸足でSummer27. Sing Out!アンコール28. キャラバンは眠らない29. 他人のそら似30. これから31. 乃木坂の詩<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年05月18日5月10日に新作アルバム『PRIVATE』を発表したシンガーソングライターのiriが、5月17日(水) に地元である神奈川県民ホールにて、初のホールツアー『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』の初日公演を行った。アルバムリリースに先駆け、5月5日放送のテレビ朝日『ミュージックステーション』に初出演し、代表曲である「会いたいわ」を披露したiri。ストリーミング総再生回数が8,600万回を超えるバイラルヒットを記録した同曲をきっかけに、肩の力を抜いた音楽への取り組みに自信を深めた彼女は、この日のステージで自信を確信に変えるように躍動した。「声出しがOKになって初めてのツアーです。ゆったりまったりいきましょう」。MCでそう語ると、高揚感のなかにリラックスしたフィーリングが感じられるパフォーマンスを披露。自身のポジティブな心境を投影した「Season」、グルーヴと共に美しい情景を描いた「DRAMA」をはじめとする新作アルバムの楽曲から日本レコード協会の「ゴールド認定」を獲得した「Wonderland」、代表曲「会いたいわ」まで、バンドを携え、ギターを手に披露された表情豊かな楽曲を通じ、取りつくろうことなくありのままのiriを表現してみせた。最終日である6月18日の東京ドームシティホールまで、全9公演からなる今回のツアーは、深くスモーキーな歌声に普遍性を宿し、ジャンルや世代、性別を超えた幅広いオーディエンスに届けられる。Text:小野田雄Photo:田中聖太郎<リリース情報>iri 6thアルバム『PRIVATE』発売中iri『PRIVATE』ジャケット●初回限定盤(2CD):4,180円(税込)●通常盤(CD):3,300円(税込)●アナログ盤(LP):4,400円(税込)【収録内容】※全形態共通1. Season2. STARLIGHT(サッポロ生ビール黒ラベルStar Lyrics企画タイアップ曲)3. Roll4. DRAMA5. 染(Amazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』主題歌)6. Go back7. friends(メルセデスAMG SL タイアップソング)8. moon9. boyfriend10. private【CD DISC2収録内容】※初回限定盤のみ■iri Presents ONEMANSHOW "STARLIGHTS"1. Corner2. ナイトグルーヴ3. Rhythm4. 染5. 会いたいわ6. 半疑じゃない7. 摩天楼8. Sparkle9. 24-2510. STARLIGHT配信リンク:<ツアー情報>『iri Hall Tour 2023 "PRIVATE"』※終了分は割愛5月18日(木) 宮城・トークネットホール仙台OPEN18:00 / START19:005月25日(木) 北海道・カナモトホールOPEN18:00 / START19:006月2日(金) 福岡・福岡国際会議場 メインホール ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月6日(火) 岡山・倉敷市芸文館OPEN18:00 / START19:006月8日(木) 大阪・サンケイホールブリーゼOPEN18:00 / START19:006月9日(金) 大阪・サンケイホールブリーゼ ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月16日(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール ※SOLD OUTOPEN18:00 / START19:006月18日(日)東京・東京ドームシティホール ※SOLD OUTOPEN17:00 / START18:00【チケット料金】前売:7,000円(税込) / 当日:8,000円(税込)※全席指定チケット情報はこちら:関連リンクオフィシャルサイト:::::
2023年05月18日昨年、第一回目が開催された『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』(以下『ラブシュプ』)が、今年も5月13日・14日、秩父ミューズパークで行われた。新世代ジャズフェスティバルと謳ったこのフェスは、ジャズ、ソウル、ファンクを横断する上質で洗練された音楽を奏でる“今見るべき”アーティストが集結。2日間で8千人のファンが、緑の中で繰り広げられた極上セッションの数々を楽しんだ。今年は、初日のヘッドライナーにファンク界のキングと最強軍団GEORGE CLINTON&PARLIAMENT FUNKADELICを、2日目にジャズ/ソウル/ヒップホップシーンのスーパースターTERRACE MARTIN、ROBERT GLASPER、KAMASI WASHINGTONがタッグを組んだ超豪華プロジェクト・DINNER PARTYという、超大物アーティストを迎えたことでも大きな注目を集めた。そして今年のグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされたDOMi&JD BECKの出演も大きなトピックスになった。さらに2月に公開され大ヒットを記録したジャズをテーマにしたアニメ映画『BLUE GIANT』の劇中で、バンドのライブシーンの演奏を担当したサックス奏者・馬場智章と、ドラマー石若駿という現在のジャズシーンを牽引する二人が、自身のリーダーセッションで出演することでも話題を集めていた。ラブシュプはドーム型の屋根が特徴的な「THEATRE STAGE」と芝生エリアの「GREEN STAGE」という2つのステージと、「DJ TENT」でアーティストとDJが一日中素晴らしい音楽を響かせた。初日の「THEATRE STAGE」のトップバッターは馬場智章も参加している、石若駿率いるAnswer to Remember with HIMI / Juaだ。石若とMarty Holoubekの強力なリズム隊と、各パートのアグレッシブでパワフルなソロでたっぷりとストレートなジャズで攻めた前半。そしてボーカリストを迎えた後半は、まずJuaが加わり熱いラップが跳ね、強力な音と融合する。millennium paradeにも参加しているermhoiは、繊細かつ力強い歌で「Tokyo」などを披露。「Tokyo」では石若とTaikimen (Perc) のせめぎ合うようなプレイに歓声が上がる。HIMIが「Down Hill」を歌い始めるとチルな空気が流れ、美しいファルセットの「ゆめからさめるまで」「抱きしめたいよ」とメロウなダブ、ソウルが続く。演奏と歌、それぞれが立体的に交差しどこまで気持ちいい空気が生まれていた。Answer to Remember世界を虜にするZ世代のデュオDOMi&JD BECKがステージに登場すると大きな歓声が上がる。この日出演している多くのアーティストも客席後方から見守り、注目度の高さがわかる。ドラムのJD BECKとピアノのDOMiが向き合うセット。便器を模した、トイレットペーパーも付いたDOMiのイスに目がいってしまう。DOMiは鍵盤を左手でベースラインを弾き、右手で旋律を奏でる。JD BECKの超絶技巧のドラムと重なり、二人だけのミニマムな空間から超高速グルーヴが放たれる。演奏のスピードが増しエネルギッシュになればなるほどその音の渦に巻き込まれた客席の興奮が伝わってくる。ハービー・ハンコックとの共作「MOON」やジョージ・デュークに捧げた「DUKE」とディズニーランドへのトリビュートである「SPACE MOUNTAiN」のメドレーなどを披露し、ウェイン・ショーターの「Endangered Species」やジャコ・パストリアス作曲の「Havona」などレジェンド達のカバーも独自の解釈で投下。「BOWLiNG」では、演奏だけではなく繊細なボーカルで魅了した。全ての人の音楽的好奇心をくすぐる二人の圧巻の世界だった。DOMI&JD BECKこの日は「THEATRE STAGE」にAI, bird, 家入レオ with SOIL&“PIMP”SESSIONS、ALI、「GREEN STAGE」に海野雅威 with Special Guest 藤原さくら、4 Aces with kiki vivi lily、MoMo(OPENING ACT)が出演し、セッションを繰り広げた。初日のヘッドライナーはGeorge Clinton&PARLIAMENT FUNKADELIC。「THEATER STAGE」に“総帥”ジョージ・クリントンが、スパンコールのロングジャケットを纏い登場すると、伝説を目撃しに来た客席から大歓声があがる。オープニングナンバーは『Jump Around (House Of Pain)』。70分ノンストップのファンクの響宴の幕開けだ。ステージ上から煽られ、早速客席は総立ちでジャンプ。「Pole Power」「Meow Meow」とめくるめくグルーヴの洪水に、老若男女がハンズアップし、飛び跳ね、ただただ音楽を楽しむ“自由”な空間ができあがる。ラッパーたちが煽るハードファンク「Get Low」に続いて「FlashLight」が投下されると.ENDRECHERI.こと堂本剛が“ギタリスト”として登場。ジョージ・クリントンへのリスペクトを日頃から語っている.ENDRECHERI.が、総帥と同じくスパンコールのパンツスタイルで長尺のギターソロを披露すると、完全にバンドの音になっているその音色に、客席から大きな歓声が沸く。「(Not Just) Knee Deep」では、バンドのドラマー・ベンゼル・ボルチモアと親交がある天才中学生ドラマー・CHITTAが登場し、.ENDRECHERI.と共に体を揺らし、この瞬間を客席と共に体全体で楽しんでいた。CHITTAはラストの名曲「Give Up the Funk」でドラムソロを披露し、メンバー、客席から歓声が飛び交っていた。終始“Keep the bottom”、ヘヴィな低音のリズムとタフなサウンドが続き、ファンクの深い世界に全ての人を連れ出してくれた。バンドも客席も自由を謳歌する祝祭感と多幸感あふれるステージだった。George Clinton&PARLIAMENT FUNKADELIC2日目、14日の「GREEN STAGE」に馬場智章がバンドを率いて登場。馬場がこのステージの前に出演した「THEATRE STAGE」でのPenthouseとのライヴを観終えた多くのリスナーが、そのまま移動してくる。佐瀬悠輔(Tp) 、ermhoi(Vo)、Marty Holoubek(B)、David Bryant(Key)、松下マサナオ(D)という強力メンバーと緑に囲まれたステージで「過去から未来へとつながる」(馬場)楽曲を次々と披露。タイトなリズムと躍動するピアノが印象的な「Voyage」では、コーラスと共に歌うようなサックスで魅了し、「Circus」でのトランペットとの掛け合いに客席が盛り上がる。ermhoiが歌った「Pine Tree」はその浮遊感を感じる声をバンドの音がさらに際立たせる。馬場のサックスがまさに森に響き渡る「Still Remember」、そして「The Roots of Blood」で極上の“空間”を作り上げていた。馬場智章SOIL&“PIMP”SESSIONSは今年はレジデンシャルバンドとして出演し、2日目の「THEATRE STAGE」では、SKY-HI&BMSG POSSE with SOIL&“PIMP”SESSIONSとして熱狂を作り出していた。まずはSOILが「Meiji-Jingumae ‘Harajuku’」を披露。それぞれのソロプレイに客席は引きつけられる。そしてSOILの“社長”が“社長(SKY-HI)”を呼び込み、SKY-HI率いるBMSG POSSEが登場すると大歓声が沸き起こる。ジャズアレンジされた「何様」からセッションがスタート。SKY-HIの切れ味鋭いラップが会場中に襲い掛かる。そこにREIKOのソウルフルで美しいボーカルが加わる。Debra Lawsの「Very Special」を、MANATOとREIKOでカバーし、さらにSOILの楽曲「comrade」をMANATOがカバーした。SOILの演奏と歌が交差し、心地いいグルーヴを生み出す。SKY-HIは「今日は誰が一番楽しむかが勝負」と自身もステージ上でワインを楽しみ、メンバーも自由にステップを踏み楽しんでいる。Aile The Shotaは「DEEP」とSOILの楽曲「ユメマカセ」を披露するなど、昨年「GREEN STAGE」に出演してから一年、進化したその歌を聴かせてくれた。また、ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO&SOTA from BE:FIRSTとしてはSOILの生演奏で「Thinkin’ bout you」を披露するなどこの日だけのセッションは続き、ラストの「オプティミスティック」では打合せなしのフリースタイルセッションで、とことん自由にそしてクールにステージを楽しみ、楽しませてくれた。この日はBlue Lab Beats featuring 黒田卓也、西口明宏 with 鈴木真海子(chelmico)、ARIWA(ASOUND)、Penthouse with 馬場智章、Kroi、BREIMEN、soraya(OPENING ACT)といった、様々な音楽を奏でる注目アーティスト達が、素晴らしい演奏で、客席を沸かせた。2日目のヘッドライナーは、DINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTONという、待ちに待ったステージが実現。客席はすでに総立ちで、大きな歓声と拍手がスタートの合図だ。Jahi Lake のDJプレイの後、まずはゲストボーカルのArin Rayを迎えた「Sleepless Nights」からスタート。Justin Tyson(Dr)、Burniss Travis(B)という強力リズム隊が生むドープなリズムに、早くも客席は酔っている。「Breathe」ではカマシとテラスのWサックスで、気持ちいいグルーヴが生まれる。「Need U Still」はグラスパーがエネルギッシュなキーボードソロを披露し、徐々に熱を帯び、強固で熱いリズムと絡み、熱狂が生まれる。この日はそれぞれのソロもたっぷりと披露し、レジェンドそれぞれが持つエネルギーが音になって放たれ、客席を熱くさせる。永遠に聴いていたい、そう思わせる演奏の数々だった。ラストは再びArin Rayが参加した「Freeze Tag」。カマシとテラスが曲の印象的なラインを一緒に演奏し、カマシの色気とパワーを感じさせてくれるソロに、客席の熱量が高くなる。まさに夢のような約80分のステージだった。DINNER PARTY出演者もリスナーも、自由なスタンスとスタイルで音楽を楽しむ。それがこのフェスの醍醐味だ。開催前にSOILの社長が語っていた「世界の最前線で今のジャズを牽引するバンドと、JAZZの歴史を作ってきたレジェンドと、それらをミックスしてグルーヴを繋ぐDJという、JAZZの進化に欠かせない3つの要素が全て楽しめるのは『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL』しかありません」という言葉が実感できた2日間だった。文=田中久勝<イベント情報>『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2023』5月13日(土)・14日(日) 埼玉・秩父ミューズパーク開場12:00 / 開演13:00 / 終演20:00(予定)【出演】■5月13日(土)・THEATRE STAGEGEORGE CLINTON & PARLIAMENT FUNKADELIC with Special Surprise Guest .ENDRECHERI. / DOMi & JD BECK / AI, bird, 家入レオ with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Answer to Remember with HIMI, Jua・GREEN STAGEALI / 海野雅威 with Special Guest 藤原さくら / 4 Aces with kiki vivi lily / OPENING ACT:MoMo・DJ TENT荒田洸(WONK)/ SHACHO (SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)/ Chloé Juliette■5月14日(日)・THEATRE STAGEDINNER PARTY FEATURING TERRACE MARTIN, ROBERT GLASPER, KAMASI WASHINGTON / SKY-HI & BMSG POSSE (ShowMinorSavage - Aile The Shota, MANATO&SOTA from BE:FIRST / REIKO) with SOIL&"PIMP"SESSIONS / Blue Lab Beats featuring 黒田卓也, 西口明宏 with 鈴木真海子(Chelmico), ARIWA (ASOUND) / Penthouse with 馬場智章・GREEN STAGEKroi / BREIMEN / 馬場智章 / OPENING ACT:soraya・DJ TENT荒田洸(WONK)/ SHACHO (SOIL&"PIMP"SESSIONS) / 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)/ Chloé Juliette※モノンクルはボーカル吉田沙良の体調不良に伴い、出演キャンセルとなりました。関連リンク公式サイト::::
2023年05月16日カネヨリマサルが4月30日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにてワンマンライブを開催した。同公演は、現在開催中の全国ツアー『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』の7公演目にあたるもの。また、カネヨリマサルにとって約1年ぶりの東京ワンマンでもあり、メンバーのいしはらめい(Ba/Cho)は「あれから1年が経って、こんなにでっかい会場でやらせてもらって、しかもソールドしたんですよ!みんなのおかげです。こんなに幸せな景色を見させてくれてありがとうございます」と笑顔とともに感謝を伝えた。ちとせみな(Vo/Gt)の「最高のライブにします!」という宣言からライブはスタート。1曲目からバンドの演奏は力強く、思いきり楽器を掻き鳴らすメンバーは終始笑顔だ。充実したツアーをまわれていること、そして「ライブハウス楽しんでこうね!よろしく!」と挨拶する彼女たち自身が誰よりもこの場を楽しんでいることが早速伝わってきた。つい最近、人生で初めてマイドラムセットを購入したもりもとさな(Ds/Cho)は、ツアー3本目の新潟公演から新たな相棒とともにライブに臨んでいて、旅とともにドラムの音が育っていくのを楽しみにしているそう。全国各地のファンと作ったサウンドが今後のカネヨリマサルを形作る一部になるだなんて、とてもロマンティックだ。ちとせみな(Vo/Gt)熱量の高い演奏を前に、観客は拳を上げて大盛り上がり。さらに、コンサート開催におけるガイドラインが緩和されたため、今回のツアーからマスクを着用した上で観客の声出しもOKに。疾走感溢れる「二人」では、高まる気持ちを体現したバンドの演奏に誘われる形でフロアからシンガロングが起こった。また、声出しOKということは、コール&レスポンスももちろん可能。「リキッド、元気ですか?」(いしはら)、「イェーイ!」(観客)、「気持ちいい!もう1回やっていい?」(いしはら)といったやりとりが微笑ましい。いしはらめい(Ba/Cho)今年1月25日にメジャー1stフルアルバム『わたしのノクターン』をリリースし、ビクターエンタテインメント内のレーベル・Getting Better Recordsよりメジャーデビューしたカネヨリマサル。ライブではアルバム収録曲を中心に、これまでの活動を彩った様々な楽曲を演奏した。ライブの後半では、サポートギタリストを入れた4人編成で楽曲を披露。ツインギターでパワフルに攻める「背中」など、新編成でも抜群のアンサンブルを聴かせてくれた。もりもとさな(Ds/Cho)ちとせ曰く、「今まで育ててもらった場所をまわって、お礼をしに行くようなツアー」だという『いまを生きるツアー』。カネヨリマサルが恵比寿LIQUIDROOMのステージに立つのは2019年11月の『TRUST NIGHT 2019』以来3年半ぶりだが、当時は「自分たちを観に来てくれた人がこの中にどれくらいいるのだろうか」という不安もあり、思った通りのライブができなかったという。9年もバンドを続けていれば、悔しい想いをする機会も少なくないだろう。しかし一つひとつの経験が3人を強くさせ、バンドを輝かせた。メジャー1stアルバムを完成させた今、自分たちの音楽を信じて、地道に歩んできた9年に間違いはなかったと確信することができている。顔を上げれば、自分たちと同じようにカネヨリマサルの音楽を信じ、慕ってきたファンでいっぱいのフロアが目に映る。ぐっと涙をこらえながら「ずっとやってきたことがちゃんと届いてたんやなって、今は思っています」と、ちとせ。そして、「自信のない私たちやけど、満員のLIQUIDROOMに立たせてもらえているのは、見つけてくれて、チケットを買ってくれて、聴きに行こうって思ってくれたみんなのおかげ。そして、私たちの音楽を信じて、育ててくれたスタッフさんのおかげやと思ってます」と万感の想いを込めて「26」を歌い鳴らした。悔しさや悲しさ、寂しさを全て歌に変え、地道に、一歩ずつ進んできた彼女たちの音楽は、人の痛みに寄り添えるやさしい心を持っている。「生きるの全部、お疲れ様!今日は来てくれてホンマにありがとう!」(ちとせ)というメッセージがどこまでも温かく感じられた夜だった。『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』は6月25日の大阪・心斎橋BIGCAT公演まで続く。ツアーのチケットは、キャパシティ緩和につき追加販売中の広島公演を除き、全公演ソールドアウト済みだが、若手バンドの登竜門と言われる「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2023」をはじめ、カネヨリマサルは今後も様々なイベントやフェスに出演する。バンドの“今”を感じられる機会をお見逃しなく。Text:蜂須賀ちなみPhoto:タマイシンゴ<ツアー情報>カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”※終了分は割愛『カネヨリマサル 1st Full Album リリースツアー 2023 “いまを生きるツアー”』告知画像5月19日(金) 福岡・LIVEHOUSE CB開場18:00 / 開演18:30ゲスト:MOSHIMO5月20日(土) 広島・Live Space Reed開場18:00 / 開演18:30ゲスト:ammo6月25日(日) 大阪・BIGCAT開場17:00 / 開演18:00※ワンマンライブ<配信情報>カネヨリマサル EP『グッドバイ / タンブラー』配信中カネヨリマサル『グッドバイ / タンブラー』ジャケット配信リンク:関連リンクカネヨリマサル オフィシャルサイト:カネヨリマサル Twitter:カネヨリマサル Instagram:カネヨリマサル YouTube:カネヨリマサル TikTok:
2023年05月15日「1年半くらい前かな?このツアーを計画したときはこんなに多くのオーディエンスが来てくれるなんて想像もしていませんでした。たとえ会場に50人、100人くらいの人しかいなくてもベストを尽くそうと信じてこの北米ツアーを決めたんです。それが、結果的にこんなに素晴らしい光景をみんなが実現してくれました。初めてなのに完全ソールドアウトの北米ツアー。本当に信じられないよ」ステージ上で野田洋次郎は噛みしめるようにそう言った。RADWIMPSが現地時間4月29日と4月30日の2日間にわたり自身初となる北米ツアーのファイナルとしてニューヨーク公演を開催した。この北米ツアーは日本を代表するロックバンドが、掛け値なしに世界規模で自らの音楽を響かせるという夢が現実のものとなった物語の第一章であり、未来を生きる日本人アーティストたちがそれを叶える可能性と間口をも広げる旅だった。まず、記憶を2020年に巻き戻そう。本来、RADWIMPSはデビュー15周年を迎えたこの年に初のドーム公演を含む国内ツアーや北米を皮切りにワールドツアーを開催するはずだった。しかし、言うに及ばず新型コロナウイルスによるパンデミックが全世界を覆い尽くし、その全公演が中止となった。それでもバンドは折れることなく前進することを選び、間断なく新曲を発表し続け、2021年11月には10枚目のフルアルバムとなる『FOREVER DAZE』をリリースした。そして、2016年8月公開の『君の名は。』、2019年7月公開の『天気の子』に続き、2022年11月に公開された新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』のサウンドトラックも手掛けた。その後、同作は199もの国と地域で公開され、3月下旬に封切られた中国本土での興行収入は日本を上回る8億元(157億円)を突破するなど、世界中を席巻している。映画はメキシコで4月13日、北米では4月14日に公開初日を迎えた。4月16日にカリフォルニア州サンノゼからスタートしたRADWIMPSの北米ツアーはまさに絶好のタイミングで開催されたことになる。ちなみにこの北米ツアー中に出た全米映画ランキングで『すずめの戸締まり』は7位にランクイン。約1年半前から北米ツアーのスケジュールが組まれたことを思えば、このタイミングの重なりもまた奇跡的と言っていい。RADWIMPSの北米ツアーは、前出のサンノゼを皮切りに4月18日にロサンゼルス、22日にメキシコ、24日にシカゴ、26・27日にカナダのトロントと、タイトなスケジュールで進行し、そして29日と30日のニューヨーク公演へたどり着いた。特筆すべきは初の北米ツアーにして上記の全公演がソールドアウトになったこと。ほとんどが3000~4000人収容の会場で、中でもロサンゼルス公演の会場となったYouTube Theatreは約6000人キャパを誇るのだから、これは間違いなく快挙だ。さらにニューヨーク公演も当初は29日のみの開催予定だったが、早いタイミングでのソールドアウトを受けて、急遽30日も追加されたのである。もちろん、この快挙の理由として一連の新海誠監督作品がもたらした影響の大きさは計り知れない。ただ、RADWIMPSが今回の北米ツアーで自らに課したこと、そして達成したことは新海誠作品という巨大な扉から入ってきた現地のオーディエンスたちをその独立した音楽力をもって引き込み、またいつか絶対に彼らのライブを体感したいと思わせた点にある。筆者がニューヨーク公演で目撃した熱狂は、その揺るぎない証左でもあった。両公演を観たうえ、この稿では主に2日目の模様を記していきたい。会場のPalladium Times Squareはブロードウェイと44番街の角にあり、まさにニューヨークのど真ん中に位置するベニューだ。前方から中央にかけてスタンディングフロア、後方にはスロープ状に設置された椅子席がありライブハウスとホールが融合したような縦長の造りになっている。2200人収容キャパで、オープン前から長蛇の列を成していたニューヨークらしい多様な人種のオーディエンスたちによって埋め尽くされた会場の光景は壮観だった。開演時刻の20時を数分過ぎたころに日本で言うところの前説=間もなくライブが始まるというアナウンスからオーディエンスは歓喜の声を上げ、オープンニングのSEとともにメンバーがステージに現れると、その様相は叫びに近いものとなった。バンドの編成は野田洋次郎、桑原彰、武田祐介に森瑞希とエノマサフミのツインドラムを加えた5人編成。ここからヨーロッパ、日本国内のライブハウスツアー、アジアと続いていくためセットリストの詳細な記述は避けるが、新海誠作品の主題歌群を映像演出とともに要所要所に散りばめながら、RADWIMPSというロックバンドの肉体性を5人編成で際立たせるにはうってつけの構成だった。序盤で披露された「グランドエススケープ」(『天気の子』主題歌)や「前前前世」(『君の名は。』主題歌)、終盤の「カナタハルカ」(『すずめの戸締まり』主題歌)における、イントロの時点で示されたオーディエンスのヴィヴィッドな反応に新海誠作品の影響力をまざまざと感じた。それと同時に、海外で目撃するライブだからこそあらためてRADWIMPSの楽曲がいかに繊細なコードや旋律、重層的な生楽器のアンサンブルとシーケンスの組み合わせによって編まれているかを俯瞰的に思い知るという新鮮さもあった。あるいはRADWIMPSがここまで強靭なグルーヴをたたえたバンドであることに驚きを覚えたオーディエンスも少なくなかったかもしれない。自らピアノを弾く楽曲を除き自由なフォームでステージを縦横無尽に躍動する野田と、下手側と上手側でそれぞれダイナミックにギター、ベースをプレイする桑原と武田のアクションに対してダイレクトに呼応するように会場の熱量は右肩上がりに上昇していった。特に「おしゃかしゃま」で野田が指揮者となり各パートのソロバトルが繰り広げられる日本ではお馴染みのセクションでは、緩急自在のグルーヴを浴びてステージ横にいたセキュリティーさえも我慢できないとばかりに身体を大きく揺らしていて、非常に痛快だった。「音楽は言語や国境の壁を越える」という言説は疑いようのない真理だと思うが、バンドがオーディエンスと温度差なく交歓するうえで、野田がネイティブといって遜色のない流暢な英語でメッセージを届けられるのも大きなストロングポイントだったと思う。「昨日と今日のライブのこと、いや、この北米ツアーすべてのことを絶対に忘れません。こんなにオーディエンスの反応があることを想像していませんでした。僕らの想像をはるかに超えてます。本当に夢のようです。ありがとう。桑原と僕は22年前に出会ったんだけど、22年後にこうやってニューヨークでステージに立っているなんて、まったく想像してなかった。みんなのおかげです。これからも僕たちは音楽を作り続けます。その音楽でこれからもみんなを楽しませ続けたいと思うし、音楽とエンターテイメントで繋がっていけることを願ってます」この日、RADWIMPSは〈ロックバンドなんてもんを やっていてよかった 間違ってなんかない そんなふうに今はただ思えるよ〉という歌い出しから始まる「トアルハルノヒ」も響かせたが、そこに込められたバンドの思いはどこまでもリアルな温度で迫ってきた。オーディエンスが一体となった「ワン、モア、ソング!」の連呼に応えて、バンドは3曲のアンコールを演奏。ライブを終えると野田がフロア前方にいたオーディエンスからたくさんのメッセージが書き込まれたフラッグや星条旗を受け取り、メンバーは鳴り止まない歓声を背に名残惜しそうにステージをあとにした。終演後、ドレッシングルームで10分ほどメンバーに話を聞くことができた。北米ツアーを終えたばかりの彼らの言葉を残し、このニューヨーク公演のライブレポートを閉じたいと思う。──今日のニューヨーク公演を観てもあきらかですが、間違いなく今回の北米ツアーに特別な手応えを覚えていると思います。ライブ直後ですが、その思いから聞かせてください。野田最初から最後まで想像を超える体験でしたね。全公演ソールドアウトしたことも最初は信じられなかったし、今日もお客さんの期待にちゃんと応えたいなと思いながらステージに立ってました。武田ニューヨーク公演も当初は1DAYの予定だったのが、チケットがすぐにソールドアウトして2DAYSやることができて。これだけ僕らを迎えてくれる人たちがいて、実際のその人たちを目の前にしてあれだけの熱量を浴びると、本当にグッとくるものがありましたね。桑原本当に最初に予想していた形とは180度違う反応があって。こんなに温かく迎えてもらえるとは思ってなくて、演奏する側としてもものすごくテンションが上がりましたし、本当にまた来たいなと思います。──昨日と今日のニューヨーク公演はいろんな人種のオーディエンスが集まっていましたね。やはり各地でお客さんの層や反応に違いはありましたか?野田ニューヨークはやっぱり大都市なんだなって。今回の北米ツアーの中で日本人も含めて一番アジア系の人がいて、ヒスパニック系の人も多かったという印象です。逆にメキシコ公演はほとんどメキシカンのお客さんで。シカゴもアジア系の人もいたけど、8割は地元の人だったと思います。各地でそれぞれ異なる空気感があって、どのライブも印象的でしたね。──ツアー初日のサンノゼ公演はどうでしたか?野田前情報がなかった分、サンノゼが一番感動したかも。いきなりお客さんの熱量がすごかったから。武田サンノゼは野性的というと違うかもしれないけど、ダイレクトに「待ってました!」という反応を感じられて。そのあとのロス公演はまた都会的なお客さんだったという印象で、その違いも面白かったです。野田ロス公演はキャパが6000人というアリーナ級に広い会場だったから、余計に俺らも探りながらライブをしてる感じはありましたね。──本来であれば2020年7月に開催されるはずだった北米ツアーが、パンデミックを経て3年後の今、さらには『すずめの戸締まり』の北米公開タイミングと並走するように実現したことにも不思議な巡り合わせを感じていると思います。野田本当に。狙ってもできないタイミングだし、「そうか、こういうことだったんだな」と感じるところもあります。武田サンノゼに到着してからみんなで『すずめの戸締まり』を観に行ってね(笑)。桑原英語吹き替え版のほうをね(笑)。野田ライブのお客さんのリアクションからもすごいタイミングでツアーができてるなと思いましたね。あとは、バンドとしても映画から派生した以外の部分をしっかり見せたいという思いは今回のセットリストを作るときからあって。──それはすごく感じました。RADWIMPSというロックバンドのダイナミズムを体現するという気概を持ったセットリストだなと。野田アフターで会った関係者やロスだったらポーター・ロビンソンも来てくれたんですけど、いかに俺たちがフィジカルなバンドとして面白かったかということを伝えてくれて。今日も現地でインタビューしてくれた人が言ってくれたけど、アニメファンの人たちが知らなかったRADWIMPSの部分を出せて伝わったという手応えがあったし、それはすごくうれしかったですね。──今日もセキュリティーの人が音に反応してましたよ。野田受付の人も「めっちゃいいバンドだね」って言ってくれてたみたいで。武田うれしいなぁ。──ここから海外はヨーロッパ、アジアツアーと続いていきますが、この北米ツアーで得たものをどうアウトプットしていきたいですか。野田ヨーロッパとアジアはさらに映画の熱がものすごいことになっているし、アジアツアーはほぼ全会場、2、3時間で即完しているので。ライブを観られない人のほうが多い状況だから、北米とはまた違う熱量で迎えられると思うんです。そこでもしっかり次に広げる種を植えられるようなライブをやりたいですね。武田ライブでヨーロッパに行くのは8年ぶりで。だいぶご無沙汰してますけど、『君の名は。』以降でRADWIMPSの存在を知ってずっと待ってくれていた人たちもいっぱいいると思うので。ようやく来れましたという思いをしっかり届けたいですね。桑原ヨーロッパツアーはまだ行ったことのないスペインでのライブもあるし今からすごくワクワクしてます。──今後は日本と両軸で海外のオーディエンスと向き合う時間が増えていくと思います。そのうえでRADWIMPSとして実現したいことを最後に聞かせてもらえたら。野田「日本のバンドがここまでの規模で北米ツアーをやるのは奇跡的なことだよ」と現地の人が口々に言ってくれて。いろんなきっかけが重なって実現したツアーだったけど、こういうきっかけが繋がっていけば日本の音楽があたりまえに伝わっていくと思うし、それはものすごく大きなチャンスだと思うんですね。俺らはもう20代ではないし、40代に近づいていて。だから、RADWIMPSがどうこうというよりは、日本の音楽、日本の文化が持っている面白さをちゃんとした方法で提示すれば伝わるという前例になれたらいいなと思うんです。今はRADWIMPSがその役割の一端を担っているけど、ここから次々、ドバドバと日本のアーティストが世界に開いていくきっかけに確実になりたいし、そういう気持ちでこのツアーに臨んでますね。「日本を知ってくれてありがとう。ちょっと引っ込み思案で口下手だけど(笑)、面白い音楽やその他の文化がいっぱいありますよ」という感覚です。──バンドやシンガー、ラッパーも含めて海外のオーディエンスに紹介したい日本のアーティストもたくさんいるだろうし。野田本当にそうで。「RADWIMPSが好きだったら、このアーティストもどう?」という思いがめちゃめちゃある。そういうことを実現したいですね。──希望の間口が大きく広がる北米ツアーだった。野田うん。きっと「RADWIMPSができるなら、俺らも」って思ってくれる日本のアーティストはいっぱいいるだろうし、それってめちゃめちゃポジティブなことで。もしそのアーティストが20代とか、ましてや18歳くらいだったら俺はたまらなくうれしいです。20年前の自分が今のRADWIMPSの状況を見たら羨ましいと思うだろうし。だからみんなもどんどんチャレンジしてほしいし、俺らが伝えられることは全部伝えたいです。Text:三宅正一Photo:Takeshi Yao<配信情報>RADWIMPS「KANASHIBARI feat.ao」配信中RADWIMPS「KANASHIBARI feat.ao」配信ジャケット配信リンク:<番組情報>テレビ朝日系24局ドラマ『unknown』毎週火曜 21:00~21:54 放送中ドラマ『unknown』メインビジュアル公式HP::::『unknown』予告動画(120秒)<ライブ情報>RADWIMPS BACK TO THE LIVE HOUSE TOUR 20236月13日(火) 愛知県・Zepp NagoyaOPEN18:00 / START19:006月14日(水) 愛知県・Zepp NagoyaOPEN18:00 / START19:006月21日(水) 神奈川県・KT Zepp YokohamaOPEN18:00 / START19:006月22日(木) 神奈川県・KT Zepp YokohamaOPEN18:00 / START19:006月26日(月) 大阪府・Zepp Osaka BaysideOPEN18:00 / START19:006月27日(火) 大阪府・Zepp Osaka BaysideOPEN18:00 / START19:007月4日(火) 東京都・Zepp Haneda(TOKYO)OPEN18:00 / START19:007月5日(水) 東京都・Zepp Haneda(TOKYO)OPEN18:00 / START19:007月11日(火) 福岡県・Zepp FukuokaOPEN18:00 / START19:007月12日(水) 福岡県・Zepp FukuokaOPEN18:00 / START19:00特設サイト: European Tour 20235月21日(日) London / Roundhouse5月24日(水) Barcelona / Paral·lel 625月26日(金) Cologne / Palladium5月28日(日) Paris / Salle Pleyel5月30日(火) Berlin / Columbiahalle詳細はこちら: Asian Tour 20237月21日(金) 韓国・ソウル / YES24 Livehall7月23日(日) 台湾・台北 / Zepp New Taipei7月25日(火) 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2023年05月10日乃木坂46『32ndSG アンダーライブ』の最終公演が4月27日(木)、東京ガーデンシアターにて開催された。当ライブは4月5日から東京、大阪、愛知の3都市4会場で全8公演を実施。クライマックスとなる東京ガーデンシアター公演は4月26日、27日の2日間にわたり、両日とも約8,000人、計1万6000人を動員。さらに、27日の最終公演のみインターネットでの生配信も行われた。32ndシングル『人は夢を二度見る』のアンダー楽曲「さざ波は戻らない」参加メンバーによる本公演は、1期生と2期生が卒業して以降初めて3〜5期生のみで行われる新体制のアンダーライブ。ダブルセンターの伊藤理々杏&林瑠奈を中心に、これがアンダーライブ初参加となる5期生を迎えた総勢15名(休演中の中村麗乃、岡本姫奈を除く)で乃木坂46の新たな歴史を刻んでいった。ステージ前に青空を描いた幕が垂らされる中、会場が暗転するとライブは突如「新しい世界」からスタートする。アンダー初参加となった思い出の楽曲を3期生の5人(伊藤理々杏、阪口珠美、佐藤楓、向井葉月、吉田綾乃クリスティー)が情熱的にパフォーマンスし、曲中には伊藤が「私たちが新しいアンダーライブを作ります。だから、ついてきてください!」といった力強いメッセージもフィーチャーされた。続いては、北川悠理、黒見明香、清宮レイ、林瑠奈、矢久保美緒が4期生初参加となったアンダー楽曲「マシンガンレイン」を、さらに5期生の池田瑛紗、小川彩、奥田いろは、冨里奈央、中西アルノがアンダー楽曲の原点でもある「左胸の勇気」を披露。最後に全メンバーが勢揃いし、伊藤&林の「アンダーライブ、スタート!」をきっかけに「Overture」へと突入。ここから観客のボルテージは急加速していった。アンダーライブでは本シーズンが声出し解禁公演。オーディエンスが思い思いのメンバー名をコールする中、幕が開いたところで「さざなみは戻らない」からライブは本格的に開始する。3、4期生が存在感の強いパフォーマンスを見せる中、5期生が必死で食らいついていこうとすることで、統一感の強いステージを構築。また、「ここにいる理由」「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」といった王道のアンダー楽曲では、それぞれ林、伊藤が単独センターを務め、先輩たちの作り上げたオリジナルを踏襲しつつも今の乃木坂46らしさをにじませたダンスで、観る者を魅了し続けた。今回はダブルセンター制ということもあり、伊藤をはじめとする青組(伊藤、黒見、佐藤、冨里、中西、矢久保、吉田)、林が中心の赤組(林、池田、小川、北川、阪口、清宮、向井、吉田)の2チームに分かれパフォーマンスを繰り広げるブロックを用意。まずは、伊藤のソロ歌唱を大々的にフィーチャーした「音が出ないギター」やセンターの吉田がクールな佇まいを見せる「命は美しい」で観客を圧倒すると、続いて林の艶やかなソロボーカルを軸にした「ショパンの嘘つき」や阪口が大人びた表情で楽曲の世界を彩る「ごめんねFingers crossed」と、それぞれの個性の違いを見事に提示。曲間にはダイナミックなダンスパートも用意され、切れ目なくライブは進行していく。そして、「ありがちな恋愛」で2組が勢揃いすると、「狼に口笛を」「13日の金曜日」の定番曲連発でさらなる一体感を高めていった。ライブ中盤に入ると、まずは黒見を筆頭に池田、冨里、矢久保の組み合わせによる「Out of the blue」からユニットブロックに突入。「アトノマツリ」では北川&林が歌にラップにと大活躍し、「もしも心が透明なら」ではグループ最年少の小川を中心に、阪口や佐藤、清宮、向井といった先輩たちが艶やかな空気を作り上げ、伊藤や奥田、中西、吉田と歌唱力に定評のあるメンバーが揃った「パッションフルーツの食べ方」では一人ひとりの個性が際立つボーカルとともに、独特の空気で会場を包み込んだ。いよいよライブも後半戦へ。「自惚れビーチ」では清宮のコール&レスポンスで場内の熱気が再び高まると、阪口センターのキュートな「口ほどにもないKISS」、北川&矢久保がエモーショナルな表情で魅了する「嫉妬の権利」、佐藤が力強いダンスで場の空気を一変させる「届かなくたって…」、吉田が頼もしくチームを牽引する「錆びたコンパス」、向井が圧巻のパフォーマンスで会場の空気を掌握する「日常」と、曲を重ねるごとにライブはクライマックスへ到達する。最後の曲に入る前に、座長のひとりとして今回のアンダーライブを引っ張ってきた林が、今の思いを伝えていく。彼女は「皆さんにとってアンダーライブってなんですか?」と客席に投げかけると、「きっと私たちの中にもこの答えの正解はなくて、皆さんの中でもいろんな捉え方があっていいんじゃないかと私は思っています」と続けてから「アンダーライブはうれしいとか楽しいだけじゃなくて、不安とか焦りとか悔しさ、プレッシャー、そういう気持ちを全部パフォーマンスに乗せられる場所だと思っていて。もしそれが私たちからの一方通行なものだとしても、気づいたら皆さんは私たちの気持ちをいつの間にか受け止めちゃっている、そんな強い力がアンダーライブにはあると信じています。だから、皆さんにはひとときもこぼさずに、私たちの気持ちを受け取ってほしいです」と自身の考えを吐露。そして、感謝の気持ちとともに「誰よりそばにいたい」を15人のソロ歌唱で歌い継いでいく。その素直な歌声からはメンバー一人ひとりの強い思いがダイレクトに伝わり、感動的な空気の中ライブ本編を締め括った。アンコールではTシャツ姿に着替えたメンバーが「そんなバカな・・・」「ガールズルール」とライブの盛り上げに欠かせないナンバーを連発。観客の声援やコールも一段と大きく鳴り響き、これ応えるようにメンバーも笑顔を振りまきながら、その盛り上がりを最高潮にまで達させる。そして、最後のMCではもうひとりの座長である伊藤が「今回ツアーをさせてもらって、しかも最後にこんなに大きな会場で、こんなにたくさんの方に来ていただけてうれしくて。5期生ちゃんたちが初めて参加ということで、前より距離が縮まって仲良くなれて私は楽しかったんですけど、メンバーのみんなは楽しかったですか?ファンのみんなは楽しかったですか?」と問いかけると、盛大なレスポンスが湧き起こる。その声を前に「それが聞けて何よりです。目標が自分の中で達成されました!」と満面の笑みを浮かべると、最後はメンバーと観客が一丸となって「乃木坂の詩」を歌い上げ、乃木坂46新章を飾るアンダーライブを大成功のうちに終了させた。各期を代表して小川、矢久保、向井が挨拶をして、続いて林が伊藤とダブルセンターを務められた喜びを伝えると、伊藤も「本当に皆さんのことが大好きで大好きでたまらないです!」と感謝の気持ちを口にしてから、ステージをあとにする。これでライブは終わったかと思われたが、会場中にさらなるアンコールを求める声援が鳴り響き、これに応える形で「ロマンスのスタート」をダブルアンコールでプレゼント。再び会場が熱狂の渦に巻き込まれると、伊藤が再び「皆さんとこうして過ごせるのがうれしくてうれしくて、しょうがないです!絶対にまた会えるから、そのときまでずっとずっと待っていてください!」と笑顔で告げ、最後は伊藤&林が「ありがとうございました!」と肉声で届けてステージをあとにした。文:西廣智一<公演情報>乃木坂46『32ndSG アンダーライブ』4月27日(木) 東京ガーデンシアターセットリスト01. 新しい世界02. マシンガンレイン03. 左胸の勇気Overture04. さざなみは戻らない05. ここにいる理由06. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた07. 音が出ないギター08. 命は美しい09. ショパンの嘘つき10. ごめんねFingers crossed11. ありがちな恋愛12. 狼に口笛を13. 13日の金曜日14. Out of the blue15. アトノマツリ16. もしも心が透明なら17. パッションフルーツの食べ方18. 自惚れビーチ19. 口ほどにもないKISS20. 嫉妬の権利21. 届かなくたって…22. 錆びたコンパス23. 日常24. 誰よりそばにいたいアンコール25. そんなバカな・・・26. ガールズルール27. 乃木坂の詩ダブルアンコール28. ロマンスのスタート<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年04月28日花も咲き綻ぶ4月12日、“最新が最高”を更新したとファンを興奮させたニューアルバム『異空 -IZORA-』をリリースしたBUCK-TICK。その最新作を引っ提げた全国ツアー『BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-』が4月19日東京・J:COMホール八王子よりスタートした。ふわりと客電が落ち、アルバム1曲目のSE「QUANTUMⅠ」が流れる中、ヤガミ・トール(Ds)、樋口豊(B)、星野英彦(G)、今井寿(G)と1人ずつメンバーがステージに登場すると、拍手とともに歓声が贈られた。このツアーから、マスク着用の上ではあるが約3年4カ月ぶりに“声出し”が解禁されたのだ。センターに櫻井敦司(Vo)が登場し5人がステージに揃うと、その声は最高潮に達した。待ちに待った瞬間である。クラップや歓声を浴び、縦横無尽にパフォーマンスするメンバーは水を得た魚のよう。普段からステージに美しいシンメトリーを作る今井と星野のギター隊は、白を基調にした衣装や揃いの小道具で、まるで両翼のように対になって見えた。2人のギターが絡み合い1つのヘヴィなリフを響かせたり、軽やかなステップを踏みながら心地よいユニゾンを聴かせたりする。一方、ヤガミと樋口のリズム隊は黒を基調にした衣装で、柔らかく温かな低音で歌に寄り添ったり、ズシリと重いリズムで情感を表現する。そして櫻井は両手を広げて、かかしになったり、天使になったり、比翼を持った機体になったりと、様々に変化をする。彼は両手を広げて何を願うのだろうか。銃を構えた手で愛しい我が子を抱きしめることへの許しだろうか。多様性への受容だろうか。LOVE&PEACEだろうか。『異空 -IZORA-』の楽曲で描かれた主人公たちはどれもが強烈で、イントロが始まるとすぐさま彼に憑依する。その一挙手一投足や、主人公たちの感情を乗せた歌の凄まじさたるや。なんとも美しく、鮮烈であった。本公演は、有機的で美しいバイオリンの調べが加わることで温かみの増した「さよならシェルター destroy and regenerate-Mix」や、泡沫のような綺麗で儚い音粒が集まり、幻想的なイントロを紡いだ「無限 LOOP -LEAP-」、「35年以上前のストーリーを最新の機材を使い、ここに再現致しました」と櫻井が紹介した「Boogie Woogie」など、『異空 -IZORA-』の楽曲を中心にした構成。先にも書いたが、どの曲も強烈である。そこにどんな既存曲がどんなふうに組み込まれるのかも興味深いところだったが、それは想像を超えていた。『異空 -IZORA-』の楽曲を肉付けしたり裏付けしたりして、えもいわれぬストーリーを作り上げていたのである。特に「太陽とイカロス」の後、すべてを包み込むような苦しくて切なくて優しくて美しい世界が待っていた。ステージを観ながら、ふと戦時下を生きた詩人・茨木のり子の「さくら」という詩を思い出した。それは花の命になぞらえて、人の命の儚さと尊さを説く。命共よ、“今は 咲き乱れよ”とBUCK-TICKは謳う。一生のうちに何度桜が見られるだろうかと問うその詩に、あと何回BUCK-TICKのコンサートを観られるだろうかという思いを重ねながら、彼らのステージを堪能しているこの瞬間を愛おしく思った。ツアーは今始まったばかりだ。7月23日(日) のファイナル公演まで、晩春〜初夏〜盛夏の季節を巡るツアーの中で『異空 -IZORA-』の楽曲がどんなふうに深化し、観る者それぞれの心にどんな空を描くのか。そして、この作品の物語はどのように変化していくのか、何度も足を運んで確かめたくなるようなステージだ。その移ろいゆく空模様を存分に楽しみたいと思う。Text:大窪由香Photo:田中聖太郎<ツアー情報>BUCK-TICK TOUR 2023 異空-IZORA-※終了分は割愛5月13日(土) 香川・ハイスタッフホール 大ホール(観音寺市民会館)OPEN17:00 / START18:005月14日(日) 岡山・倉敷市民会館OPEN17:00 / START18:005月20日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホールOPEN17:00 / START18:005月21日(日) 兵庫・神戸国際会館こくさいホールOPEN17:00 / START18:005月27日(土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールOPEN17:00 / START18:006月3日(土) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホールOPEN17:00 / START18:006月10日(土) 石川・本多の森ホールOPEN17:00 / START18:006月11日(日) 長野・長野市芸術館メインホールOPEN17:00 / START18:006月17日(土) 大阪・オリックス劇場OPEN17:00 / START18:006月18日(日) 大阪・オリックス劇場OPEN17:00 / START18:006月24日(土) 広島・上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)OPEN17:00 / START18:006月25日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホールOPEN17:00 / START18:007月1日(土) 北海道・札幌カナモトホール(札幌市民ホール)OPEN17:00 / START18:007月9日(日) 宮城・仙台サンプラザホールOPEN17:00 / START18:007月15日(土) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場OPEN17:00 / START18:007月17日(月・祝) 静岡・静岡市民文化会館 大ホールOPEN17:00 / START18:007月22日(土) 東京・東京ガーデンシアターOPEN17:00 / START18:007月23日(日) 東京・東京ガーデンシアターOPEN17:00 / START18:00チケット料金:前売り9,900円(税込)購入リンク:特設サイト:<リリース情報>BUCK-TICK ニューアルバム『異空 -IZORA-』発売中●完全生産限定盤A(SHM-CD+Blu-ray):6,050円(税込)●完全生産限定盤B(SHM-CD+DVD):5,500円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定盤ジャケット●通常盤(SHM-CD):3,300円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』通常盤ジャケット●完全生産限定アナログ盤(2枚組):5,500円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定アナログ盤ジャケット●完全生産限定カセットテープ:3,080円(税込)BUCK-TICK『異空 -IZORA-』完全生産限定カセットテープ ジャケット【VICTOR ONLINE STORE数量限定セット】完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ:9,900円(税込)生産限定盤B+オリジナルTシャツ:9,350円(税込)通常盤+オリジナルTシャツ:7,150円(税込)【CD収録内容】1. QUANTUM Ⅰ作曲:今井寿2. SCARECROW作詞:櫻井敦司作曲:今井寿3. ワルキューレの騎行作詞:櫻井敦司作曲:今井寿4. さよならシェルター destroy and regenerate-Mix作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦5. 愛のハレム作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦6. Campanella 花束を君に作詞:櫻井敦司作曲:今井寿7. THE FALLING DOWN作詞:今井寿作曲:今井寿8. 太陽とイカロス作詞:櫻井敦司作曲:星野英彦9. Boogie Woogie作詞:櫻井敦司作曲:今井寿10. 無限 LOOP -IZORA-作詞:櫻井敦司作曲:今井寿11. 野良猫ブルー作詞:櫻井敦司作曲:今井寿12. ヒズミ作詞:櫻井敦司作曲:今井寿13. 名も無きわたし作詞:櫻井敦司作曲:今井寿14. QUANTUM Ⅱ作曲:今井寿【購入リンク】完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤(SHM-CD)完全生産限定アナログ盤完全生産限定カセットテープ ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤A+オリジナルTシャツ) ONLINE STORE限定セット(完全生産限定盤B+オリジナルTシャツ) ONLINE STORE限定セット(通常盤+オリジナルTシャツ)関連リンクBUCK-TICK オフィシャルサイト デビュー35周年記念特設サイト: Sounda LABEL SITE オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルYouTubeチャンネル 楽曲配信リンク:
2023年04月25日back numberの五大ドームツアー『in your humor tour 2023』が2023年4月23日、福岡PayPayドーム公演をもってツアーファイナルを迎えた。東名阪ドーム会場を舞台に行われた『back number dome tour 2018 “stay with you”』以来約4年半ぶりのドームツアーであり、back number史上初の五大ドームツアーとなる今回の『in your humor tour 2023』。最新アルバム『ユーモア』を携え、3月18日から大阪/名古屋/札幌/東京/福岡の5都市にて開催された9公演はすべて即日完売、計38万人を動員する巨大ツアーとなった。《お洒落ではないけど唯一のダサさで/君が笑えたらいい》――ライブの冒頭、清水依与吏(Vocal & Guitar)がテレキャスターの弾き語りで歌い始めたのは「アイラブユー」の一節だった。NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の主題歌として日本全国で親しまれた名曲が、満場の期待感を真っ向から抱き止めるように強く優しく響いた。そこから一転、小島和也(Bass & Chorus)・栗原寿(Drums)のパワフルなビートから「大不正解」へ流れ込んでいく。サポートメンバーも一丸となったアグレッシブな熱演が、ドーム一面のクラップの渦を巻き起こしたところで、続く「SISTER」の爽快な歌とサウンドが場内の多幸感をさらに煽っていく。ライブ序盤にして、すでにクライマックス級の熱気が客席に広がっている。「早いような、長かったような……」とツアーを振り返りつつ、「いろいろ感極まることもあるんだけど、全部曲に込めて放てるように……今日があなたにとっての特別なものにできるように、最後まで俺たち一生懸命頑張るんで。よろしくお願いします!」と意欲を語る清水。高らかな拍手が湧き起こる。「秘密のキス」「エメラルド」をはじめ、アルバム『ユーモア』の楽曲をセットリストの主軸に据えつつ、「クリスマスソング」「ハッピーエンド」「青い春」など人気の高い既発曲群と織り重ねることで、今のback numberのスケール感をよりいっそう鮮明に描き出したこの日のライブ。長いコロナ禍の期間を経て、ようやくライブでの声出しがOKになったこともあり、熱演の合間には歓声やメンバーの名前を呼ぶ声も聞かれ、広大なドームの空間は刻一刻と高揚感を増していく。『ユーモア』の中でもひときわカラフルなポップナンバー「ヒーロースーツ」では、清水がハンドマイクスタイルで歌う一幕も。ステージ狭しと歩き回りながら、ドーム丸ごと歓喜の頂へと導く清水の姿は、back numberのライブに新たな輝きを与えるものだった。「みんなが手上げてくれたり、声出してくれたり……こういうのはスタジオではないし。みんながいてくれて、今日が成り立ってます」と改めて感謝を伝える小島。「今日、すごく近いよね?物理的な距離は遠いんだけど、心の距離がすごく近く感じる。演奏してて、すごく嬉しい!」と観客の熱量を讃える栗原が続けて、「だから、物理的な距離も、縮めたいと思うんだけど……」と、アリーナ後方のサブステージの存在を告げると、会場は驚きと感激の声に包まれる。広いアリーナの通路を歩いて移動した後、サブステージではお互い向き合うように座った3人。「back numberって、きっとこういうバンドなんじゃないかなって。曲を作り始めた時から、誰かに向かって歌っているようでいて、実は曲の主人公のことばっかり考えてるような気がして……最初からあなたに向けて歌っていたかはわからないけど、あなたの人生とクロスした。本当に光栄に思います」。そんな清水の言葉とともに、アコースティックスタイルで「ヒロイン」「手紙」を披露する3人の姿が、ドームを確かな一体感で包んでいく。これからもあなたに関係ある曲しかやりたくない「Silent Journey in Tokyo」のクールかつソウルフルなグルーヴから、「ゴールデンアワー」のスクエアな躍動感……といった具合に、ライブ後半はさらに深く『ユーモア』の世界に入り込んでいく。ライブ定番曲「高嶺の花子さん」に沸き起こった圧巻のクラップとジャンプを「ありがとう!200万点です!」と清水も絶賛。「赤い花火」から「黄色」、さらにYouTube総再生数1.9億回以上の名バラード「水平線」、と曲を重ねるごとに、その歌と演奏は濃密な訴求力をもって胸に迫ってくる。「一番自分のことを信じてないのって自分だと思う。いまだに人前で歌うのも怖いし。でもさ……今ここで、全然完璧じゃないのにこうやって歌えて、演奏できるのは、そういうカッコ悪いやつだからなんじゃないかなって思う」――ライブ終盤、清水が切実な表情でオーディエンスに語りかける。「あなたの人生を絶対に他人事だなんて思わないから。これからも、あなたに関係ある曲しかやりたくないから。それはイコール、俺たちに関係あるってことだから。生きていくのは簡単じゃないよ。バカにするやつもいるし。だけど、突っ張って、強がって、《人生は素晴らしい》って歌うんで。わかるところがあったら、一緒に歌ってください」そんな清水のメッセージとともに披露された「ベルベットの詩」が、客席一面のコーラス合唱とハンドウェーブを巻き起こしていく。本編ラストの「スーパースターになったら」では銀テープのキャノン砲が客席に舞い、熱烈なクラップ&シンガロングの輪が広がる。「愛してるぞー!」の清水の万感の絶叫が、最高のライブの祝祭感を何より明快に物語っていた。「俺たちじゃなくて、歌が優秀なだけです。なぜか俺たちのところに来てくれて、それを共有できて、本当に嬉しい。もっともっといい曲が書けるように、いいバンドになれるように努力して、また会いにくるんで」……「添い寝チャンスは突然に」でアンコールをスタートさせた後、清水はそんな言葉とともに新たな決意を語っていた。「花束」に続けて、ツアーのフィナーレを飾ったのは「怪盗」。《君が想像した事ないくらい/眩しい世界を見せてあげる》というフレーズが、バンドのさらなる前進への意志そのもののように響いていた。Text:高橋智樹Photo:佐藤祐介、半田安政<公演情報>back number "in your humor tour 2023"4月23日(日) 福岡PayPayドームセットリスト1. アイラブユー2. 大不正解3. SISTER4. 秘密のキス5. クリスマスソング6. ハッピーエンド7. エメラルド8. 青い春9. ヒーロースーツ10. ヒロイン(※アコースティック)11. 手紙(※アコースティック)12. Silent Journey in Tokyo13. ゴールデンアワー14. 高嶺の花子さん15. 赤い花火16. 黄色17. 水平線18. ベルベットの詩19. スーパースターになったらEN1. 添い寝チャンスは突然に2. 花束3. 怪盗<リリース情報>back number『ユーモア』発売中【CD収録】※全形態共通01. 秘密のキス02. 怪盗 ※日本テレビ系水曜ドラマ『恋はDeepに』主題歌03. アイラブユー ※NHK 連続テレビ小説『舞いあがれ!』主題歌04. ゴールデンアワー05. 黄色 ※ABEMAオリジナル恋愛番組『虹とオオカミには騙されない』主題歌06. 添い寝チャンスは突然に07. Silent Journey in Tokyo08. エメラルド ※TBS系日曜劇場『危険なビーナス』主題歌09. ベルベットの詩 ※映画『アキラとあきら』主題歌10. 赤い花火11. ヒーロースーツ12. 水平線●初回限定盤A【CD+2DVD】7,480円(税込)【CD+Blu-ray】8,580円(税込)back number『ユーモア』初回限定盤Aジャケット【仕様】三方背BOXトールケース仕様back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』PHOTO BOOK(52ページ)【DVD / Blu-ray収録】■back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』at 幕張メッセ国際展示場 9・10・11 ホール 2022.09.0801. 怪盗02. 泡と羊03. アップルパイ04. オールドファッション05. エメラルド06. MOTTO07. 赤い花火08. HAPPY BIRTHDAY09. 風の強い日10. サマーワンダーランド11. 恋12. 黄色13. 勝手にオリンピック14. 00315. 半透明人間16. sympathy17. 瞬き18. 水平線19. 高嶺の花子さん20. スーパースターになったらen1. 僕の名前をen2. 日曜日en3. そのドレスちょっと待った■Documentary of back number『SCENT OF HUMOR TOUR 2022』※DVD盤はDISC2となります。●初回限定盤B【2CD+DVD】7,480円(税込)【2CD+Blu-ray】8,580円(税込)back number『ユーモア』初回限定盤Bジャケット【仕様】三方背BOXトールケース仕様【DISC2収録】■清水依与吏 弾き語りCD『依与吏の部屋』【DVD / Blu-ray収録】■ミュージックビデオクリップ1. 水平線2. エメラルド3. 怪盗4. 黄色5. ベルベットの詩6. アイラブユー7. 水平線(SCENT OF HUMOR TOUR 2022 Ver.)●通常盤【CD Only】3,300円(税込)※通常盤初回プレスのみ三方背ケース仕様。在庫終了次第通常盤に切り替わります。back number『ユーモア』通常盤(初回プレス)ジャケット『ユーモア』スペシャルサイト:配信リンク:関連リンクback number official HP number Official YouTube Channel number Twitter number LINE number Instagram number 公式TikTok:
2023年04月24日4月13日に、SiMが全国ワンマンツアー『ROAD TO DPF23 “THE LiBERATiON” TOUR』の川崎公演をCLUB CITTA’で開催した。この日のオープナーは「PANDORA」だった。ブルータルなリフと2ビート、デスヴォイスと幽玄なメロディを矢継ぎ早に繰り出しながら90秒を一気に駆け抜ける本楽曲が、このツアーとこの日のライヴが何たるかを端的に表していたと言ってもいいだろう。この暴動感に満ちたオープニングナンバーは、体も心も解放せよ、声も拳も高らかに掲げろ、というメッセージに他ならない。もっと言えば、“PANDORA”という楽曲タイトル自体が、10年の時を経て「匣を開け放て」という意志のようにも響いてくるから面白い。実際、この曲のイントロが鳴った瞬間に怒号のような歓声が巻き起こり、ピットに激しいモッシュの渦が生まれる。続けざまに披露された「KiLLiNG ME」ではクラウドサーフの嵐。ツーステップとも呼べないような名前のないダンスを爆発させる観客も多数。冒頭から即着火、グチャグチャとしか言いようのない、だけど幸福なフロアが完成する。バラバラなままひとつの音に向かい合う人々の姿は、これぞライヴハウス、これぞロックバンドのライヴだと言いたくなるものだ。この時を誰もが待っていた、ついに自由な遊び場が戻ってきた--クラブチッタはそんな昂りだけに満たされていく。そのすべてに夜明けの瞬間のような感覚がある、ようやく辿り着いた解放の瞬間である。「ようやく」と書いたのは、SiM(及び多くのロックバンドたち)の長い闘いを思ってのことだ。本ツアーは『THE LiBERATiON』(=解放、釈放)の名の通り、声出し、モッシュ、クラウドサーフなどなどに一切の制限を設けていないわけだが、SiMにとっては2021年の『DEAD POP FESTiVAL』から貫いてきた闘争の一旦の結実がこのツアーなのである。「今(声出しなどを)我慢してくれていることは、必ず未来のロックシーンに繋がる。どうせだったらルールに則って正々堂々と生き抜いてやろう」これは2021年のDEAD POP FESTiVALのステージ上でMAHが発した言葉だ。2020年以降、ライヴハウスで新型コロナウイルスのクラスターが発生したことなどに端を発して音楽が槍玉に上がり、人々の鬱屈を発散させるための生贄のようにされたこと。特にフィジカルな爆発が起こるロックバンドのライヴは警戒され、キャパシティ制限やソーシャルディスタンシングの徹底などのルールに縛られていくようになった。そこにいる人と人と人によって自治され、だからこその自由が働いていたライヴの現場が外的なものに干渉されるようになったのだ。MAH(Vo)挙げ句の果てには音楽が「不要不急」という言葉で片づけられるようになっていっていき、ルールだけに限らず世論や世の中の空気自体に音楽が押し込められていった。そんな状況の中で大事にすべきは、何より自分たちが自由でいられる場所を守り続けることなのだと、SiMは徹底して訴え続けた。「ルールに則って」という言葉は、単に爪を隠すことを意味していたのではない。不要不急と言われようが、誰かにとっては取るに足らないものだろうが、どんなに縛られようが、音楽は俺たちの命を繋ぎ続けてくれたものなのだと示そうという想いがその言葉には込められていたのだ。社会の中でNOを突きつけられるであろう衝動を受け入れて自由を体現し続けてきたロックバンド、そしてSiMが、ルールに従ってでも音楽を守りたいと示し続けることが何よりの闘い方なのだと。その姿勢を今の今までSiMは貫き続けてきた。昨年開催した「声出し解禁ツアー」もそう。段階を踏みながら、今ならここまで許容できるだろう、というラインを丁寧に探ることでSiMは進んできたのだ。「3年間、こうなることを見据えて活動してきました。その活動に付き合ってくれたお客さんたち、ありがとう。我々の闘いもここでひと区切り。だけどここで終わりじゃないから。この波を全国のライヴハウス、Zeppみたいな大きい箱にも広げていって、モッシュもクラウドサーフも解禁させていかなくちゃいけないと思ってる。まだまだ満足することなく、とりあえず今日は死ぬまで行きましょう。……コロナが来てから音楽やライヴが槍玉に挙げられて、生活に必要なのかと言われて。そんなバカみたいな質問、俺は本当に下らないと思う。遡れば原始人の時代から、古代から、人は音楽と共に生きて来たんだよ。まぁでも、そんなことすらわからないバカにとっては我々のカルチャーは危険過ぎるってこともわかる。だからこそ、そんなバカにもわかるように、こんな見た目をした危ないバンドが一番安全なライヴをすることで世間に認めさせようとしてきたんだよ。やり切ってよかったと思う。やり切ったからこそ、誰からも文句を言われずに『おめでとう』と言ってもらって今日を迎えてるわけでしょ。……自由になりたかったら、脱獄するんじゃないんだよ!看守たちに鍵を開けさせて、あいつらが見ている前を胸張って歩いて出ていく!それが自由、Liberationなんだ!自由へ突き進もう!」端的かつ的確にSiMのスタンス、ひいては自由の定義までを語り切ってから「The Rumbling」へと雪崩れ込んだライヴ。雄大な情景を描く<if I lose it all/outside the wall/live to die another day>というサビは、今ここを抜け出して自由になるための真っ当な闘い方を突きつけるものとして響いてくる。15年前にリリースされた「set me free」もまた自由を希求して叫び暴れる楽曲だが、己を縛るものを憎みながら解放を求める歌である。そんな楽曲と、上記したMCや「The Rumbling」が同時に存在していること。そのコントラスト自体が、SiMの歩み自体を表しているのだ。憎み、嫌い、ぶち壊すことだけが反抗ではない。自分たちだけの幸福を築き、新たな道を作っていくことこそが、我々を縛るものに対する何よりの対抗手段なのだと。今のSiMはそのことを理解し、体現しようとしている。SIN(Ba)2016年にSiMが最初で最後の武道館公演を行った際にMAHと交わした会話を思い出す。「The Beatlesが武道館でやってから、ここは数多のロックバンドの夢だったわけでしょ。でも近年、ロックバンドにとっての武道館があまりに身近になり過ぎて、ただの都内のホールみたいに思われてる。俺らはそうじゃなくて、ロックバンドのライヴ、ロックの夢っていうのはもっとデカいものだと思ってるんだ。こんな変なミクスチャー音楽で危ない見た目の俺らじゃなくて、いわゆる真っ当なロックバンドの人がそれを見せてくれたらいいのに、誰もやろうとしないからさ。じゃあ俺らがやるしかねえかっていう感じだね」本来ならばヒールでありたいと語り続けてきたMAHだが、常に彼らはロックバンドのどこに夢があって何と闘い続けるのかを間違えない。だから漆黒のダークヒーローとしてロックを背負い、この数年を闘い続けてこられたのだと思う。これは、SiMのバンド名と音楽に関しても同じことが言えるだろう。SiMのバックドロップには「Silence iz Mine」という、SiMの元のバンド名が綴られている。静寂は俺のもの--つまり俺の安穏を踏み荒すことを許さないという意味合いがここにあり、その精神性は多くの楽曲に通じているものだ。冒頭に記した「PANDORA」も、人間という箱の中身を勝手に開けてはならない、人の間にある線を踏み越えず尊重し合うための生き方をしていこうという想いが根底にある歌だ。それをメタファーや示唆的な言葉を用いて皮肉的に綴るのがMAH節なので、攻撃的で毒っぽい歌だと受け取られやすいのも事実。しかしその根幹には、誰かが大事にしているものを無闇に壊さないための生き方を模索する姿勢がある。だからこそ、人の自由、人の痛み、人の宝を我がもの顔で踏み荒らすものに怒り、闘うのがSiMの音楽なのだ。自分だけの穏やかさを守るために、外の喧騒に怒鳴り、ノイズ以上の爆音でノイズを殺す--だからこそSiMはどれだけラウドでもその音の中心に巨大な静けさがあり、どれだけポップなメロディがあっても目だけが笑っていないのだ。自分だけの静寂を守るために怒り、闘う。これはレベル・ミュージックの本質とも言えるものであり、SiMがレゲエとパンクの両方を同線上で消化している理由そのものだとも言えるだろう。自由とは何かを訴え、実際に勝ち取った自由を目の前で叶えているライヴは、そんなSiMの根源にまで思いを馳せる瞬間の連続だった。SHOW-HATE(Gt)「R.P.G」や「Fallen Idols」など多くは聴けないナンバーも交えつつ、主軸にあるのは極端なヘヴィパートとモッシュパートを携えた楽曲たちだ。たとえば「CROWS」。レゲトンとブレイクダウン、モッシュパートとラップと歌謡曲のメロディを矢継ぎ早に繰り出す「SiM全部盛り」と言える楽曲だが、過剰なほどのミクスチャーだからこそ観客の動きは誰ひとり揃うことなく、思い思いの衝動と自由が交錯するだけの幸福なカオスが生まれていく。さらにこれも当然のことだが、そんなピットの熱気を受け取ったSiMの演奏もまた衝動一発に振り切れていく。音以上にエモーションに乗って突っ走るライヴは、BPM以上のスピードを感じさせるもので、汗臭いフロアやびしょびしょのTシャツ姿の観客の姿以上に、つんのめる寸前で爆走していくサウンドにこそ「ライヴハウスの本来の形」を見たのだった。「本当のSiMのライヴはこれだなって思います。コロナ禍中のライヴでも『MAKE ME DEAD!』をやったけど、みんなが歌えないのに<Shut UP>と叫ぼうとして『何がシャラップなんだろう』と思って。そうやって口をつぐむしかなかった私を見ていたでしょう?(笑)。やっぱ、そういう矛盾も出てきちゃうんだよね。こうやって自由に暴れられる客席を想定して曲を作ってきたわけだから。でもね、約束は約束で守りたいと思うんだよね。コロナ禍のガイドラインがあった時のライヴがよかった、ダイヴやモッシュがないから観に行けたっていう親子連れの方がいたり、年齢が上の人がいたり、その人たちの存在があるのもわかってるから。なるべくこれから、ホールとかでもやっていこうかなと思ってます。これまでは全然ホールとかでやってこなかったけど、やろうと思っているので、気長に待っていてください」熱気まみれのフロアを見てどんなに昂ろうとも、今この場にいられない人を排除しようとしないのがMAHである。「ライヴハウスの本来の形」とは書いたが、単に「あの頃に戻った」と捉えるのではなく、コロナ禍を経たからこその新たなライヴハウスカルチャー、ライヴの在り方を築いて行こうとしている言葉が上記のMCだ。自由な場所に人が集まれば、その場所の外が生まれる。そうなれば、本来的な自由との矛盾が生まれる。そのことにまで思考を巡らせ、人を排除しない場所としてのライヴを作り上げていく決意を掲げたのも、この日のライヴの意義だったように思う。GODRi(Ds)クラウドサーフやモッシュを楽しんでいた観客がライヴハウスから離れていた間、ライヴの灯を消さずに維持し続けた新たなオーディエンスたち。その存在もまたSiMにとっての仲間であり、これから先の未来を作っていく同志である。そのことを心から理解している人間ならではの、「取り戻す」だけではなく「新たに作っていく」意志が垣間見えるライヴだった。アンコールでは、「JACK.B」、「f.a.i.t.h」を連打。特に「f.a.i.t.h」で巻き起こった巨大なウォール・オブ・デスを見て、不思議な感慨を覚える人も多かっただろう。不思議な感慨と書いたのは、フィジカルな接触が許されなかったコロナ禍中、ウォール・オブ・デスの代わりに「前髪と前髪を分けて、前髪同士をぶつけてください」と語りかけていたMAHの姿があったからだ。あまりにシュールな代替案を前にして「前髪?」と困惑しながら笑っていた観客の姿が懐かしい。シュールだろうがなんだろうが、必死にもがきながらこの瞬間を迎えたのだと。暴虐性というより歓びが炸裂するようだったウォール・オブ・デスは、まさに夜明けの光だった。「これが俺たちのやり方、これが俺たちの闘い方。これが俺たちの進んで行く道!DEAD POP FESTiVALで会おう」そう言い残してステージを去ったSiM。あの頃に戻ろうとするのではなく、あの頃の先へ進む。その潔さこそがバンドを強靭にしたとわかる、痛烈なライヴだった。Text:矢島大地Photo:スズキコウヘイ<公演情報>SiM『ROAD TO DPF23 “THE LiBERATiON” TOUR』4月13日(木) 川崎CLUB CITTA’セットリスト1. PANDORA2. KiLLiNG ME3. SiCK4. TxHxC5. Set me free6. The Rumbling7. MAKE ME DEAD!8. Fallen idols9. THE KiNG10. GUNSHOTS11. Amy12. R.P.G13. CROWS14. BULLY15. BASEBALL BAT16. Blah Blah BlahEn1. JACK.BEn2. f.a.i.t.h<ツアー情報>SiM『ROAD TO DPF23 "THE LiBERATiON" TOUR』※終了分は割愛4月24日(月) 大阪・ GORILLA HALL OSAKAOPEN17:30 / START18:304月25日(火) 大阪・ GORILLA HALL OSAKAOPEN17:30 / START18:304月27日(木) 福岡・福岡BEAT STATIONOPEN18:00 / START18:30チケット料金:5,000円(税込)※入場時別途ドリンク代※お一人様各公演4枚まで(電子チケットのみ)、6歳以上有料チケット情報はこちら<イベント情報>DEAD POP FESTiVAL 2023 - 解 -6月24日(土)・25日(日) 神奈川・東扇島東公園特設会場OPEN9:00 / START11:30【出演者】■両日:SiM■6月24日(土):04 Limited Sazabys / Fear, and Loathing in Las Vegas / GOOD4NOTHING / ハルカミライ / HEY-SMITH / HOTSQUALL / KUZIRA / ROTTENGRAFFTY / SHANK / SPARK!! SOUND!! SHOW!! / STOMPIN’ BIRD / 山嵐■6月25日(日):10-FEET / The BONEZ / coldrain / Crossfaith / Crystal Lake / Dragon Ash / EGG BRAIN / THE FOREVER YOUNG / おとぼけビ〜バ〜 / THE ORAL CIGARETTES / SUPER BEAVER / tricot【チケット情報】1日券:前売8,900円(税込)2日通し券:前売17,000円(税込)2日通し券セーフティーゾーン:前売18,500円(税込)※電子チケットのみ※小学生以上有料、未就学児は保護者同伴の場合無料※枚数制限:お一人様4枚まで※購入時に購入者様の個人情報の入力が必要です■オフィシャル最終先行予約受付:4月23日(日) 23:59まで※購入時に購入者の個人情報の入力が必要特設サイト: オフィシャルサイト:
2023年04月20日2023年4月16日 Zepp haneda。渋谷すばるが3回目となるオフィシャルファンクラブ『Shubabu』の会員限定ファンクラブイベントツアーをスタートさせた。今回は初の試みとして“渋谷にやらせたいこと”と“聴きたい曲”が事前にファンから投票され、ファン投票に基づいた構成で行われた。とにかくファンが喜んでくれることを、ファンに寄り添った形で創り上げたいという意図で構成された【ファンによるファンのための】『babu会 vol.2』は、これまでのbabu会でも好評だった“入場者全員プレゼント”に加え、今回新たに設置された“等身大パネルとの撮影ブース”や“ウェルカムムービー”なども用意されていた。この日は入場者全員に会場ごとに異なる本人手描きのメッセージ入りオリジナルステッカー(“貼りパス”と呼ばれる通常関係者のみに配られる当日限定スタッフパス)が入場者特典として入口で配布されたこともあり、ファンたちは“貼りパス”越しに会場の様々な場所で今日の思い出を自らの携帯のカメラに収めていたのだった。ロビーからウェルカムムード全開の『babu会 vol.2』は、イベント開始後も終始ウェルカムムード全開で進められていった。前半戦にはトークコーナーとお楽しみコーナーが設けられており、全力でファンを楽しませる企画と向き合った渋谷は、全力のおもてなしモードでファンを喜ばせていたのだった。極度な人見知りで喋るのがとにかく苦手として知られる渋谷は、じっくり人との関係性を噛み締めながら、ゆっくりと長く時間をかけてあたためていく生真面目な性格でもあり、普段そこまで口数が多くないことや、感動や感激も自らの心の中に大切に抱きしめて深く仕舞い込むため、とっつき辛く勘違いされやすい性格でもあるのだが、実は、常に“誰かのためになりたい”と考えているピースフルな人間なのだ。『babu会 vol.2』はまさしく、至るところでそんな渋谷の人間性が浮き彫りとなっていた、思いやりと優しさを感じ取れるファンクラブイベントならではの空間であったと言える。後半戦からのライヴでは、『babu会 vol.2』のロゴとして用いていた“カバ”のイラストで匂わせていたカヴァー曲も何曲も届けられ、声出しが緩和された会場からは歓喜の声や悲鳴が上がっていた。このカヴァー選曲も、渋谷が集まってくれたファンを喜ばせたいという想いから考え抜いて選ばれた楽曲たちであった。ライヴでは、昨年の秋ツアーと同様のバンドメンバー新井弘毅(G)、安達貴史(B)、茂木左(Ds)、本間ドミノ(Key)と共に息の合った最高のライヴパフォーマンスはもちろんのこと、MCでもメンバーに容赦無くイジり倒されたり、安達からの無茶振りで、ガチのぶっつけ本番で届けられた「ハナミズキ」のカヴァーや、新井のチョイスによりギターを託され、事前投票にあった“弾き語りが見たい!”のリクエストに応えさせられることとなり「ぼくのうた」を弾き語るなど、予定にはなかったまさかの展開で絶妙な掛け合いが繰り広げられ、ファンたちを喜ばせた。コロナ禍の規制が緩和されたこともあり、スタンディングで埋め尽くされたフロアは自由に体を揺らし、曲ごとに異なるノリで渋谷の歌に応えたり、予期せぬ選曲に1曲ごとに歓喜の声を漏らしていたのが、とても熱く胸を打った。更に、これまではただただ真摯に自らの言葉とサウンドで想いを懇々と届けて来た渋谷であったが、今年の1月に公開された、3人のドラァグクイーンたちが隠し事のない優しさに触れ、少しずつ前向きになっていく姿を描いた、脚本・監督:田中和次朗・滝藤賢一主演映画『ひみつのなっちゃん。』の主題歌を担当し、“普通ではない臆病な彼女たち”の心情を見事に捉え、“普通とは何か?”という問題定義と共に渋谷すばるイズムを唱えた「ないしょダンス」をキッカケに渋谷が大きな成長を遂げたことを感じることが出来たことも大きかった。映画『ひみつのなっちゃん。』の公開時に合わせて行われた監督の田中和次朗や、俳優の滝藤賢一、ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダらとの対談を通して“人と対面し、しっかりと心から触れ合うことの大切さ”を改めて深く感じ取ったことから、これまで以上に自分に直接会いに来てくれる人たちへの感謝の気持ちと愛おしさが込み上げ、彼がモットーとして掲げる“誰かのためになりたい”という想いがより強くなり、気持ちに大きな変化を与えたのだろう。この日ステージに立った渋谷の立ち姿も、届けられた渋谷の歌も、ライヴ中のファンたちとの対話も、あきらかに少しずつ変化して来ていると切に感じた。『babu会 vol.2』は渋谷の新たな挑戦が詰まった第一歩。そう言っても過言ではない。“とにかく楽しませたい。楽しんでもらいたい”その想いに真っ直ぐに向き合っていた渋谷だったが、それを自分に強いられた役割だと感じることなく、本当に自らも心から笑顔になり、ファンと共に楽しさと喜びを共有出来ていたのが伝わってきた最高にピースフルな空間だった。『babu会 vol.2』はこの先、4月22日(土) 北海道・Zepp Sapporo、30日(日) 愛知・Zepp Nagoya、5月4日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka、5月6日(土) 大阪・Zepp Nambaを回る。尚、渋谷すばるオフィシャルファンクラブ 「Shubabu」() は年会員と月会員を設けており、月会員(税込440円)入会でも今回の『babu会 vol.2』のチケットは購入可能だ。今回事前に寄せられた“すばるにやらせたいこと”投票はまだまだ無限に存在していることもあり、各日程で予想のつかない“ここだけ限定”の貴重な出来事が起こるに違いない。渋谷すばる、覚悟はいいか?震えて待て。といったところだろう。こんな楽しいことはない!そして、来場者のみなさんは、それをどうか心ゆくまで楽しんで頂きたい。本人は自身のライヴでありながら、こんなにも不安に苛まれドキドキし、観る側としては、こんなにもお楽しみ要素が詰め込まれたワクワクするライヴはないだろう。これぞ、生の醍醐味。“ライヴ感”ではなく、まさにこれぞ“ライヴ”そのものである。“普通じゃなく生きる人たち”“生きづらさを感じる人たち”“最近心から笑えていないなと感じる人たち”“人のために生きたいと思っている人たち”“変わりたいなと思っている人たち”はいませんか?日々、同じような想いを背負い込んで、不器用ながらも必死に生きている渋谷すばるに会いに来てみませんか?きっと何かが変わるはず。そんなに固く考えず、ふらっと遊びに来れたら、きっと何かが変わるはず。渋谷すばるの本気と遊ぶ会。ただただそれだけ。それだけがこんなに人を幸せに出来るのかと、あたたかい気持ちになれる空間であること。心から笑顔になれる時間を約束します。何処とも似てない渋谷すばるの感性(唄)と、最強の音楽仲間との最高のバンドサウンドを体感しに来て欲しい。そして、7月15日(土)・16日(日) に出演が決定した(※出演日程は後日発表)北海道岩見沢市のいわみざわ公園にて開催される野外音楽フェス 『JOIN ALIVE 2023』() では、このツアーでの経験が活かされた新たな渋谷すばるに会えることになるに違いない。文:武市尚子撮影:西村彩子(SELF:PSY’S)ヘアメイク:矢内浩美<イベント情報>渋谷すばる『babu会 vol.2』※終了分は割愛4月22日(土) 北海道・Zepp Sapporo4月30日(日) 愛知・Zepp Nagoya5月4日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka5月6日(土) 大阪・Zepp Namba渋谷すばるオフィシャルファンクラブ「Shubabu」新規ご入会はこちら特設サイト:
2023年04月19日5月25日(木) に、越谷サンシティホール大ホールにて開催となる『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演に向けて行った、坂東玉三郎の取材会レポートが到着した。“お話と素踊り”がスタートしたのは2021年。「コロナ禍だったから、伺ってもお客様がいらっしゃるかどうか心配をしていたんだけれども、会場がいっぱいで。こういうときだからこそ気楽にというか、長いお芝居じゃなくて、お話を聞きにいらっしゃいたいんだなと実感しました」と開始当時を振り返る。その後、公演は関東以外でも行われ、好評を博している。トークコーナーでは、事前に募集した質問からピックアップして答えていくが、質問内容は当日まで知らないという。「どんな質問が出てくるのかも楽しいし、思わぬことを聞かれて、自分を発見したりすることもある」と話しながら、「驚くような質問もあるけれど、すべて嘘偽りのないことを、はっきりと言います。繕ってるとお客様にもわかるから。質問コーナーがお客様に気に入っていただけるかどうかは分からないけれど、やっぱりコミュニケーションを取ることが、いま一番大事だと思う」と語る。「なるべく親しく、みなさんが普段お聞きになれないような話をしてきましたが、最近は話が重ならないように“化粧”や“衣装”というふうに題材を決めたり、内容を変えたり、映像を出したりしています。お客様も充実したものを聞きたいと思ってらっしゃるので、精いっぱいやっています」と、回を重ねていくなかでの変化を明かした。後半で披露するのは地唄舞の“雪”。この演目を選んだ理由については、「”雪”は代表的な曲だし、知らない方でもどこかで耳にしている曲。14分くらいで完結するものなので、いいと思って選びました」とのこと。衣装や化粧をつけず、磨き上げられた踊りを堪能できる貴重な機会となっている。最後に、越谷公演を楽しみにしている方に向けて「東京の近くでは何度か公演を行っていますが、同じ話にならないよう、楽しく過ごしたいと思っているので、ぜひご来場ください」と、メッセージを寄せた。<公演情報>『坂東玉三郎~お話と素踊り~』越谷公演5月25日(木) 17:30 開場 / 18:30 開演会場:越谷サンシティホール 大ホール【予定演目】坂東玉三郎トークコーナー地唄舞「雪」坂東玉三郎 / 素踊り休憩なし 約90分【チケット料金】SS席:8,500円S席:7,500円A席:6,500円※全席指定・税込※未就学児入場不可チケットはこちら:公演HP:
2023年04月15日結成23周年を目前に控えたUVERworldが、自身が主宰する恒例の対バン企画『VSシリーズ』を4月12、13日の2日間にわたって神奈川県・横浜アリーナにて開催した。初日はBiSHを迎えて異種格闘技戦とも呼びたい熱いバトルを展開。2日目に予定されていたOfficial髭男dismの出演は急遽、見合わせとなってしまったが、代わりにギターの小笹大輔をゲストに全身全霊のパフォーマンスを見せつけ、詰めかけたオーディエンスのべ2万4千人を魅了した。初日の先攻を務めたBiSHはメジャー2ndアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』に収録された「My landscape」のミュージックビデオ内で着用している赤の衣装に身を包んでステージに登場。「サヨナラサラバ」「GiANT KiLLERS」「NON TiE-UP」と切れ味鋭いアッパーチューンを立て続けに投下、自身のファンのみならずUVERworldファンを容赦なく圧倒する。BiSHなお、BiSHは今年6月29日に行われる東京ドームでのライブを持って解散することがすでに決定しており、UVERworldとの対バンはこれが最初で最後。ロックバンドの雄・UVERworldと、“楽器を持たないパンクバンド”を標榜するBiSHという組み合わせは意外にも思えるが、かねてよりBiSHの音楽性をリスペクトしていたUVERworldが彼女たちの解散を前にぜひ対バンをとオファーしたことから今回の共演が実現したという。ただし、これまでは音楽フェスなどで顔を合わせたことはあるもののプライベートでの面識はほぼ皆無だという。MCではそれをネタにハシヤスメ・アツコが「呼んでいただけて光栄なんですけども、私たち、UVERworldさんとはあんまり絡みないですよね?」と冗談めかしてぶっちゃけ、リンリンが「あるよ。モンバス(MONSTER baSH:毎年香川県で開催される夏フェス)でうどんを食べているときにTAKUYA∞さんが“美味しいかい?”って」となけなしの交流エピソードを明かして、場内の爆笑を誘う一幕も。また、今回のライブでは観客のマスク着用義務を解除、それに伴って声援などの発声も解禁されており、久々に浴びる大歓声に「今日は声も出せて顔も見られる。こんな最高な日はないです」とメンバー一同、歓喜にはずむ場面もあった。今年3月にリリースされた「Bye-Bye Show」を披露したあと、この曲のサビの振り付けが花をモチーフにしていると語り、「みなさんと一緒に東京ドームで花になって、綺麗に散っていきたい。よかったらきてくれませんか?」と呼びかけるアイナ・ジ・エンド。小学生の頃からその音楽を耳にしてきた大先輩、UVERworldへの尊敬と感謝、そして観客への「ありがとう」を改めて口にすると、BiSHの代名詞と呼ぶべき「オーケストラ」に突入。ラストはセンチメンタルなムードを一蹴するかのようにセントチヒロ・チッチが叫んだ「横浜アリーナ!BiSHと一緒に踊れますか?いけるか!」を起爆剤に彼女たちの始まりの1曲「BiSH-星が瞬く夜に-」へとなだれ込み、エンディングまで一気呵成に駆け抜けて、UVERworldへとバトンを渡した。興奮冷めやらぬまま、後攻のUVERworldを迎え入れるや、横浜アリーナはさらなる熱狂の坩堝と化した。ボーカル・TAKUYA∞が「のっけから全力でぶっ飛ばしていくんで、よろしくどうぞ!」と不敵に告げ、その言葉通りバンドは「Don’t Think.Feel」「畢生皐月プロローグ」「ODD FUTURE」とライブに欠かせない鉄板チューンを連投。BiSHファンを“清掃員”とその総称で呼び、「俺らもおまえらと一緒なんだよ。純粋にBiSHの音楽をリスペクトしてるから誘いました」とこの対バンへの意思を明かしたTAKUYA∞。「そのリスペクトの形がこれ。清掃員のみんなも、いつも通り暴れていいんだぜ!」と煽ると演奏はBiSHのカバー「GiANT KiLLERS」へ。敬意は音で表すと言わんばかりに叩きつけられるハードでやんちゃなUVERworldバージョンの「GiANT KiLLERS」にはBiSHファンもUVERworldファンも大喜び。ジャンルの壁はもとより、ファン同士の壁もみるみる取り払われていく。リンリンの“うどんエピソード”を受けて、「あれはリンリンがまったく同じうどんを2個、交互に食べていて。そりゃ“美味しいの?”って聞くでしょ?」と補足を加えたり、BiSHの衣装で何が好きかを問われ「My landscape」はカッコいいねと答えたところ、今日の衣装になっていたことや彼らのマネージャーがハシヤスメの大ファンであることを明かすなど、ファンの心情に寄り添ったフレンドリーなMCからも彼ら自身、この日の対バンを心から楽しんでいることが伝わってくるかのようだ。ドラマ『アバランチ』の主題歌としても大きな話題を呼んだ「AVALANCHE」やアニメ『約束のネバーランド』のオープニングテーマ「Touch off」といったメジャーな楽曲から「誰が言った」「One Last Time」など反骨精神とユーモアを綯い交ぜにしたオリジナリティ溢れるナンバーまで幅広い音楽性とアジテーティブなパフォーマンスでオーディエンスのハートを鷲掴みにするUVERworld。終盤戦、TAKUYA∞は「(BiSHの)東京ドーム、観に行こうぜ。挑戦の最後を見届けよう」と呼びかけ、新たな旅立ちを控えた彼女たちにエールを送ると、ラストはダンサブルな「UNKNOWN ORCHESTRA」で明るく初日を大団円に導いた。2日目はこの日限りの7人での演奏に続く“VSシリーズ”2日目は、出演予定だったOfficial髭男dismのボーカル&ピアノ・藤原聡が声帯ポリープを発症、その療養のため、急遽、対バンは見送られた形となったが、それに代わる演出としてギター・小笹大輔をゲストに迎えたUVERworldにとっても異例のスタイルで開催。冒頭、メンバー6人のみでステージに登場したUVERworldは「AS ONE」からアグレッシブモード全開でオーディエンスに迫る。その後、客席の期待感が最高潮に高まったところで小笹を呼び込むと、まずはOfficial髭男dismのカバー「宿命」を披露。この2日間は“VSシリーズ”と銘打ってはいるが、今日は“VS”ではなく“with”だと告げ、UVERworld with 小笹大輔(Official髭男dism)でヤバいものを見せてやるとバンドを代表してTAKUYA∞が宣言すると、そのまま「CORE PRIDE」「在るべき形」へとなだれ込んでいく。この日、MCで公にされたところによれば、Official髭男dismの出演見合わせが決まった当初、2日目はスタンダードなワンマンライブに切り替えるつもりだったという。しかし熱烈なUVERworldファンでもあった小笹から弾きたい曲があるからとの申し出があり、このようなスペシャルな形での出演が実現。しかも事前にリハーサルはしておらず、ぶっつけ本番の共演だというから驚かされた。加えてUVERworldのライブはセットリストが直前で大幅に変更されることも常であり、小笹もまんまとその洗礼を受けたらしい。にもかかわらず「(変更になった)今のセトリのほうが最高なんです。世界一のエンターテイナーだと思う。好きすぎる!」とUVERworld愛を叫ぶ小笹。UVERworldはUVERworldでOfficial髭男dismのカバーをするために相当に練習を重ねたとのこと、「トリビュートを出すときは声かけて。俺ら、ヒゲダンの曲、8曲ぐらいできるから」とTAKUYA∞もラブコールを贈るなど、相思相愛のムードで客席を和ませる。さらにOfficial髭男dismの「Pretender」をカバーした直後、本来ならここで小笹の出番は終了となるはずだったところ、「でも、もう1曲やりたいんだよ。大ちゃん、いっぱい練習してくれたんでしょ?やりたい曲やろう」と突然、TAKUYA∞が言い出したのだからオーディエンスは大騒ぎ。小笹も目を丸くしていたが、TAKUYA∞に促され「俺がUVERworldと初めて出会った曲!」と「SHAMROCK」をタイトルコール、7人が一丸となって渾身の演奏を轟かせるというライブらしいサプライズも。その後、ライブ終盤にも再び小笹を招いて「ナノ・セカンド」を共にするなど、UVERworldにとっても、おそらく二度とないだろうこの形での共演が心はずむものであったことは間違いない。同じボーカルという立場から喉を痛めた藤原を気遣い、「バンドを10年やっていれば、こんなこともあるよ。俺だって喉を何回潰したか。何が起きても前向きに進んでいればそれは復活したときにロマンチックの材料にしかならないから大丈夫」とわざわざ足を運んでくれたヒゲダンファンも励ましたTAKUYA∞。ラスト直前にも「この2日間、いろんな角度から俺自身にも刺さる特別な時間でした。みんなにとっても今日という日はきっと特別な時間に変わっていくから、みんなであいつ(藤原)の復活を待っていましょう」とも呼びかけた。そしてUVERworldが7月29、30日に神奈川県・日産スタジアムという彼ら史上最大規模のライブが控えていることに触れ、「俺らも自分自身に負けないように今年はでっかいハードルを掲げました。もちろんライブ自体も成功させたいけど、それ以上に、掲げた目標に向かって日々成長していきたいし、その姿をファンに見せたい」と宣言。そんな力強いメッセージを今、彼らがもっとも大切にしているという曲「EN」に託して、まさに一期一会な“VSシリーズ”の2日間に幕を下ろした。前述の通り、7月29日には『UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM』、7月30日には『UVERworld KING’S PARADE 男祭り Reborn at NISSAN STADIUM 6 VS 72000』と銘打ち、神奈川県・日産スタジアムに臨むUVERworld。バンド史上最大級のハードルを彼らはいかにして超えていくのか、その瞬間をぜひとも目撃してほしい。文=本間夕子写真=森好弘<リリース情報>Blu-ray&DVD『UVERworld THE LIVE 2022.12.21 at Yokohama Arena』発売中●初回生産限定盤Blu-ray【2Blu-ray】9,130円(税込)●初回生産限定盤DVD【2DVD】8,580円(税込)●通常盤Blu-ray【Blu-ray】6,930円(税込)●通常盤DVD【DVD】6,380円(税込)【初回生産限定盤 BD / DVD共通】・スペシャルパッケージ三方背ケース(約25cm x 25cm)・写真集・リハーサルドキュメント&メンバーオーディオコメンタリー映像【収録内容】01. NEVER ENDING WORLD~AKIRA GUITAR SOLO02. 7th Trigger03. CORE PRIDE04. ナノ・セカンド05. IMPACT06. AFTER LIFE07. 在るべき形08. AVALANCHE09. Making it Drive10. One Last Time11. ENOUGH-112. WE ARE GO13. 〜流れ・空虚・THIS WORD〜14. a LOVELY TONE15. THE OVER16. ピグマリオン17. Massive18. One stroke for freedom19. Don’t Think.Feel20. PRAYING RUN21. Touch off22. EN23. Theory【Disc-2】(初回生産限定盤)のみ・Rehearsal Documentary・Member Audio Commentary<ライヴ情報>UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM2023年7月29日(土) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72,0002023年7月30日(日) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)お問い合わせ:SOGO TOKYO(03-3405-9999)※月~土12:00~13:00、16:00~19:00(祝日、年末年始除く)UVERworld 日産スタジアムライヴ 告知画像特設サイト:’S PARTY 女祭り LIVE HOUSE TOUR 2024(東京、名古屋、大阪、福岡、札幌)2024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表QUEEN’S PARTY 女祭り THE FINAL at HAWAII 20242024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表UVERworld『QUEEN’S PARTY 女祭り』告知画像関連リンクUVERworld オフィシャルサイト: オフィシャルファンクラブ「Neo SOUND WAVE」:∞ TikTok:∞ Instagram:
2023年04月15日確かな実力と自然体の魅力で音楽シーンに新風を吹き込むK-POPガールズグループ・SECRET NUMBER(シークレット・ナンバー)が4月7日、東京・渋谷ストリームホールでファンミーティングを開いた。彼女たちは韓国で2020年にデビュー。しなやかさと力強さを兼ね備えた歌唱とパフォーマンスで活動当初から注目を集めており、その人気は国境を越えて各国に広がっている。日本でも3月3日よりデジタルシングル「LIKE IT LIKE IT」のリリースを機に本格的な活動をスタート。同曲はフジテレビ系列の人気バラエティ番組『全力!脱力タイムズ』のエンディングテーマ曲に採用され、TikTokでは動画の再生が6000万回に達し、動画作成数は2万5000を超えるほど世界的に“バズる”など、今後の飛躍が期待される。日本のファンとリアルにふれあう機会は今回が初めて。そのせいか、メンバーたちも本番前からすでに緊張気味だ。とはいえ、開演前に行った「LIKE IT LIKE IT」のCD購入予約者とのチェキ撮影会(抽選による参加)を通じて徐々にリラックス。ファンに見守られながらの公開サウンドチェック(同)では、終始穏やかな表情でプロフェッショナルな歌と踊りを見せてくれた。ファンミーティングは定刻通りに開始。観客が期待と興奮をもって眺める中、愛らしく個性的な6人のメンバー(レア、ディタ、ジニ、ミンジ、スダム、ジュ)のシルエットが次々と現れると大きな歓声が沸き上がる。記念すべき1曲目は、日本デビュー曲「LIKE IT LIKE IT」。スマートフォンに耳をあてながら会話をするレアとスダムで始まり、間髪を入れずにパワフルなリズムが鳴り響く。緩急をつけたインパクトのあるサウンドとガールクラッシュ(女性が憧れる女性)的なビジュアルで瞬く間に観る者を引き付ける力量は相当なものである。レアの「みなさん、どうでしたかー!」との呼びかけに熱い声援で応えるファンたち。続いて各メンバーが自己紹介していくと、会場内はすっかり和やかなムードに。次の曲は「Love,Maybe(Japanese Version)」。人気俳優のキム・セジョンとアン・ヒョソプが出演したドラマ『社内お見合い』(2022年)の挿入歌で、オリジナルは実力派の男性デュオ・MeloMance(メロマンス)が歌っている。ドラマでは幸福感あふれるシーンに流れて視聴者に好評だったナンバーだが、今回の日本語バージョンは情感と癒し度が増したおかげで、聴き手の心によりダイレクトに訴えかけてくる。ここでSECRET NUMBERとゆかりのあるダンサー/振付師のKOTARO IDEが登場。彼の進行で、事前に集めたファンの質問に6人が答えるコーナーが始まった。ところが感動のあまり、ジニやミンジなどが次々と泣き出してしまう。そんなハプニングもファンミーティングならではと言えよう。「ダイエットのモチベーションは?」「日本デビューの感想は?」「韓国から観に来た人へメッセージを」といった風にメンバーへの質問は多岐にわたった。なかでも「あなたにとって幸せなことは何ですか?」との問いに、ジュが「やっぱり日本のファンのみなさん(がいてくれること)です」と、日本語でかみしめるように語ったのが印象的だった。楽しい一時のおかげでステージと客席の距離が縮まった後は、再びライブパフォーマンスへ。韓国デビュー曲「Who Dis?」の日本語バージョンが始まると、ファンは再びヒートアップ。自分らしく堂々と生きようと力強く訴える同曲は、既存のアイドルのイメージとは一線を画す。そしてラストは本国での第2弾シングルとなる「Got That Boom」の日本語バージョンを披露。EDMやハウス、ヒップホップをミックスしつつ、韓国、インドネシア、日本、アメリカとメンバーの出身地が異なるグループならではの無国籍なムードがたっぷりと味わえる仕上がりで、オンリーワンの輝きを放っていた。「私の人生の中で忘れられない素晴らしい時間になりました」(ジュ)「今日、(来てくれた)お母さんの前で初めて歌いました。母国のステージに立てて本当に嬉しく思います」(レア)「(涙ぐみながら)インドネシアの両親が来日して私たちの舞台を観てくれているんです。みなさん、本当にありがとうございました!」(ディタ)このような感動の挨拶で最後を締めくくった6人だったが、続く会場内の人たちとの記念撮影では満面の笑みに。そして「アンコール」の大合唱に応えて2度目の「LIKE IT LIKE IT」を全力で歌いきり、名残惜しそうに舞台から去っていった。K-POPシーンは昨年あたりからガールズグループの活躍が目立つ。楽曲派、セルフプロデュース型、ビジュアル派と、各々が独自のスタイルを磨き上げ奮闘する中、SECRET NUMBERは常にナチュラルに自らの可能性を追求していく。この揺るぎのない姿勢こそが“新世代のガールクラッシュ”であり、ファンもそこに引かれているのだろう。とにもかくにも日本での活動は始まったばかりである。今後どのような魅力を振りまいてくれるのか、ファンならずとも注目したいところだ。Text:まつもとたくおPhoto:関口佳代<公演情報>SECRET NUMBER "LIKE IT LIKE IT" FAN MEETING4月7日(金) 東京・渋谷ストリームホールセットリスト1. LIKE IT LIKE IT2. Love, Maybe(Japanese ver.)3. Who Dis?(Japanese ver.)4. Got That Boom(Japanese ver.)EC. LIKE IT LIKE IT
2023年04月10日BABYMETALが、コンセプトアルバム『THE OTHER ONE』のリリース後最初のライブとなる『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』と題した2DAYS公演を4月1日(土)・2日(日) にぴあアリーナMMで開催した。2021年10月から一年以上にわたるライブ活動の封印期間を経て、今年1月に幕張メッセ国際展示場で行われた復活ライブ『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』の後篇となる本公演。BABYMETALのもうひとつの物語として、我々の知らなかったBABYMETALの復元計画「THE OTHER ONE」の物語が遂に完結を迎え、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人体制による新生BABYMETALが誕生。“METALVERSE”という新世界(ニューワールド)へと舞台を移し、新章がスタートすることが告げられた。2日間を通して期待と熱気にあふれた観客約20,000人を動員し、BABYMETALにとって「全てが終わり、全てが始まる」節目となるライブとなった。4月1日(土) の『BLACK NIGHT』は、1月の幕張メッセ公演の最後に披露された「THE LEGEND」で幕が上がった。クリスタルの棺桶からSU-METALとMOAMETALが登場し、ぴあアリーナMMのエンドステージには、巨大LEDスクリーンが設置され、オーディエンスは映し出された多元宇宙の新世界の荘厳な映像美に一気に引き込まれた。Photo by Taku FujiiPhoto by Taku Fujiiその後「メギツネ」「ギミチョコ!!」で会場に一体感が生まれると、コンセプトアルバムから「MAYA」「Mirror Mirror」「Time Wave」と新曲が3曲立て続けに初披露された。バーチャルワールド“METALVERSE”へと誘われると1月の幕張メッセ公演でも出現したBABYMETALとは別の新たな生命体の3人組がステージに登場し「KARATE」が披露された。Photo by Takeshi Yao会場が驚きと熱狂の渦に包まれる中、全編英語詞の新曲「Believing」とトライバルなサウンドとダンスが印象的な新曲「METALIZM」が初披露された。続く「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」でさらに熱気を帯びると、「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」で再び会場がひとつになった。お馴染みの法螺貝の合戦の合図で始まる「Road of Resistance」では、全開のモッシュが起こり、大合唱が沸き起こった。束の間のインターバルを挟み、「DEATH IS THE ONLY WAY TO LIVE」というテーマのストーリームービーが流れ、いよいよライブも終盤戦に近づいていることが予感されると、十字架に磔にされたBABYMETALが再び登場し、新たなアレンジでBABYMETALの代名詞的楽曲「BABYMETAL DEATH - Shin ver. -」が披露された。Photo by Taku Fujii間髪入れずに「イジメ、ダメ、ゼッタイ」へと続くと、一糸乱れぬパフォーマンスとダメジャンプで会場がひとつになった。「We are!!」「BABYMETAL!!」のコールアンドレスポンスの後、SU-METALが銅鑼を鳴らしてBLACK NIGHTの終演が告げられた。BABYMETALコールがしばらく続くと、いよいよ最終段階を迎えた「THE OTHER ONE」復元計画の謎が明らかになるストーリームービーが始まった。これまでの軌跡を辿るように、過去の映像が走馬灯のように流れ、これまで我々が見てきたBABYMETALに永遠の別れを告げ、もう戻ることは無いと告げられた。そしていにしえの時代の終焉と共に新たな時代の幕開けを迎え、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALという新たな命を受けて生まれ変わったBABYMETALは、METALVERSEという新世界を舞台にした新たな旅が始まることが告げられた。Photo by Takeshi Yaoキツネ様に召喚されたメンバーが巨大LEDスクリーンで一人ずつ紹介されると、歓喜の声と鳴り止まない拍手に包まれた会場はBABYMETAL愛であふれた。クリスタルの棺桶を背に、色鮮やかに輝くバトルスーツに身を包んだ新生BABYMETALの3人が、真っ直ぐオーディエンスの方を向くと強烈な光と共に終演を迎えた。4月2日(日) の『CLEAR NIGHT』は、「THE OTHER ONE」のTHRONEの世界と同じ玉座が登場し、SU-METAL、MOAMETAL、そして、1月の幕張メッセ公演では空席となっていた玉座にMOMOMETALが鎮座し、新生BABYMETALのスタートに相応しい「METAL KINGDOM」で壮大に幕を開けた。Photo by Taku Fujii早くも、道なき道を進むBABYMETALのアンセム「Road of Resistance」が披露され、久しぶりに披露されたBABYMETALらしいなんじゃこりゃ!?ソング「いいね!」で会場のボルテージが上がると、勢いをそのままに、「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」で盛り上がりは一気に頂点に届いた。コンセプトアルバムからジェントやプログレ要素満載のメタルチューン「Mirror Mirror」とシティポップ要素も取り込んだ「Light and Darkness」を披露すると、“METALVERSE”に現れる謎の3人組との「KARATE」が披露された。オーディエンスが掲げるスマホライトの演出が美しい「Monochrome」でクライマックスを迎えると、黄金の映像演出が圧巻の「METALIZM」が続き、後半戦は「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」と「Divine Attack - 神撃 -」でたたみ掛け、「THE ONE」の大合唱で会場がひとつになった。Photo by Takeshi YaoPhoto by Taku Fujii少し間をおいて、こちらもファン待望の「BABYMETAL DEATH」のオリジナルver.で十字架に磔にされたBABYMETALが登場すると、最後は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が披露され、「We are!!」「BABYMETAL!!」のコールアンドレスポンスを繰り返し終幕。『CLEAR NIGHT』は、文字通り「THE OTHER ONE」の復元計画の全てがCLEARになり物語が完結を迎え、新生BABYMETALの新たな旅立ちに希望と期待を抱かせる夜となった。Photo by Takeshi Yao■BABYMETAL コメント新生BABYMETALがスタートしました。またここから、自分たちが面白いと思った音楽を言語やジャンルを超えて表現していくので、楽しみにしていてください。私達の魅力であるライブパフォーマンスをより強化させるため、ヨーロッパツアーから世界で修行してきます。日本での公演まで首を長くして待っていてください。<公演情報>『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE -』4月1日(土)・2日(日) ぴあアリーナMMセットリスト■4月1日(土) BLACK NIGHT01. THE LEGEND02. メギツネ03. ギミチョコ!!04. MAYA05. Mirror Mirror06. Time Wave07. KARATE08. Believing09. METALIZM10. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)11. PA PA YA!! (feat. F.HERO)12. Road of Resistance13. BABYMETAL DEATH - Shin ver. -14. イジメ、ダメ、ゼッタイ■4月2日(日) CLEAR NIGHT01. METAL KINGDOM02. Road of Resistance03. いいね!04. PA PA YA!! (feat. F.HERO)05. Mirror Mirror06. Light and Darkness07. KARATE08. Monochrome09. METALIZM10. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)11. Divine Attack - 神撃 -12. THE ONE13. BABYMETAL DEATH14. イジメ、ダメ、ゼッタイ★BABYMETALが表紙を飾る『PMC Vol.27』発売中!詳細は こちら()<リリース情報>『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』6月14日(水) リリース※後日iTunesでコンサートフィルム販売も予定『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』商品イメージ①Blu-ray(完全生産限定盤):9,900円(税込)※アナログサイズジャケット仕様②Blu-ray(通常盤):7,700円(税込)③DVD(通常盤):6,600円(税込)④2VINYL(完全生産限定盤):5,500円(税込)⑤THE ONE限定盤(完全生産限定盤)Blu-ray+2CD+写真集:22,000円(税込)タイトル:『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』- THE ONE LIMITED EDITION -セット内容:Blu-ray(1枚 / 全13曲)、LIVE ALBUM(2枚 / 全13曲)※80ページライブ写真集付きスペシャルパッケージ仕様【収録内容】※全形態共通01. METAL KINGDOM02. Divine Attack - 神撃 -03. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)04. PA PA YA!! (feat. F.HERO)05. ギミチョコ!!06. メギツネ07. ド・キ・ド・キ☆モーニング08. Light and Darkness09. Monochrome10. ヘドバンギャー!!11. イジメ、ダメ、ゼッタイ12. Road of Resistance13. THE LEGEND【予約リンク】■『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』- THE ONE LIMITED EDITION -受付期間:4月16日(日) 23:59■『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE - 』主要販売サイト【Blu-ray & DVD 早期予約・購入特典】■早期予約特典:ジャケットシート(130mm×180mm)※4月16日(日) 23:59までにご予約の方が対象となります。一部対象外の店舗があるため、ご予約の際は事前にご確認ください。■購入特典・Amazon特典:コットン巾着・アスマート特典:A5クリアファイル(Type-A)・TOY’S STORE特典: A5クリアファイル(Type-B)・楽天ブックス:シューレース・7net: アクリルコースター・HMV特典:缶バッジ(40mm四角型)・汎用特典:ポストカード※LIVE VINYL、THE ONE限定盤は映像特典の対象外となります。※早期予約特典はLIVE VINYLと共通となります。THE ONE限定盤は早期予約特典の対象外となります。※各特典絵柄は後日発表【LIVE VINYL 早期予約・購入特典】■早期予約特典:ジャケットシート(130mm×180mm)※4月16日(日) 23:59までにご予約の方が対象となります。一部対象外の店舗があるため、ご予約の際は事前にご確認ください。■購入特典・Amazon特典:メガジャケ・汎用特典:ステッカー(120mm×120mm)※Blu-ray(完全生産限定盤)、Blu-ray(通常盤)、DVD(通常盤)、THE ONE限定盤はLIVE VINYL特典の対象外となります。※早期予約特典はBlu-ray(完全生産限定盤)、Blu-ray(通常盤)、DVD(通常盤)と共通となります。THE ONE限定盤は早期予約特典の対象外となります。※各特典絵柄は後日発表BABYMETAL『THE OTHER ONE』発売中【収録曲】※全形態共通1. METAL KINGDOM2. Divine Attack - 神撃 -3. Mirror Mirror4. MAYA5. Time Wave6. Believing7. METALIZM8. Monochrome9. Light and Darkness10. THE LEGEND●完全生産限定盤5,500円(税込)※アナログサイズ特殊パッケージ仕様+復元パズルBABYMETAL『THE OTHER ONE』完全生産限定盤ジャケット●通常盤【CD Only】3,300円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』通常初回生産限定盤ジャケット※初回生産分のみクリアケース・クリアブックレット仕様※通常盤は、初回生産分終了次第、汎用ブックレット仕様に移行いたします。●アナログ盤(完全生産限定)【VINYL】4,950円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』アナログ盤ジャケット※クリアジャケット・クリアバイナル仕様●アスマート限定盤「BLACK ALBUM」(完全生産限定)【CD Only】3,300円(税込)BABYMETAL『THE OTHER ONE』アスマート限定盤「BLACK ALBUM」ジャケット※ブラックケース仕様■注文ページアスマート限定盤「BLACK ALBUM」(完全生産限定)●THE OTHER ONE 限定盤「CLEAR BOX」(完全生産限定)14,300円(税込)特殊パッケージ仕様+Blu-ray+復元フォトカードセットBABYMETAL『THE OTHER ONE』THE OTHER ONE 限定盤「CLEAR BOX」ジャケット【Blu-ray収録内容】・Divine Attack - 神撃 -(OFFICIAL VISUALIZER)・Monochrome(OFFICIAL LYRIC VIDEO)他3曲、計5曲収録※販売終了【購入者特典】※THE OTHER ONE 限定盤は購入特典の対象外となります。・アスマート:A4クリアファイル(ロゴ ver.)・TOY’S STORE:A4クリアファイル(アー写 ver.)・TOWER RECORDS:ステッカー・HMV:ポストカード(アー写 ver.)・TSUTAYA:マグネットシート・Amazon.co.jp:メガジャケ・楽天ブックス:アクリルキーホルダー・セブンネット:バンダナ・汎用(上記以外):ポストカード(ロゴ ver.)BABYMETAL『THE OTHER ONE』トレーラー映像「THE OTHER ONE」 Special Website:「THE OTHER ONE」購入リンク:<ライブ情報>『Sabaton THE TOUR TO END ALL TOURS』『Sabaton THE TOUR TO END ALL TOURS』告知画像4月14日(金) イギリス・リーズ / First Direct Arena4月15日(土) イギリス・ロンドン / OVO Arena Wembley4月16日(日) イギリス・カーディフ / Motorpoint Arena4月18日(火) イギリス・グラスゴー / OVO Hydro4月21日(金) フランス・パリ / Zénith Paris La Villette4月22日(土) ドイツ・フランクフルト / Festhalle Frankfurt4月24日(月) ドイツ・ハンブルグ / Barclays Arena4月25日(火) ルクセンブルク・エシュ=シュル=アルゼット / Rockhal Main Hall4月28日(金) スウェーデン・ストックホルム / Avicii Arena4月29日(土) ノルウェイ・オスロ / Oslo Spektrum4月30日(日) デンマーク・コペンハーゲン / Royal Arena5月2日(火) ドイツ・ハノーファー / ZAG Arena5月3日(水) オランダ・アムステルダム / Ziggo Dome5月5日(金) ドイツ・ベルリン / Mercedes Benz Arena5月6日(土) ドイツ・ライプツィヒ / Quarterback Immobilien Arena5月7日(日) オーストリア・ウィーン / Wiener Stadthalle5月9日(火) ポーランド・ウッチ / Atlas Arena5月10日(水) チェコ・オストラヴァ / Arena Ostrava5月12日(金) ドイツ・ケルン / Lanxess Arena5月13日(土) ベルギー・アントワープ / Sportpaleis5月15日(月) ドイツ・ミュンヘン / Olympiahalle5月18日(木) エストニア・タリン / Saku Suurhall5月19日(金) フィンランド・ヘルシンキ / Helsinki Ice Hall (Helsingin jäähalli)5月20日(土) フィンランド・クオピオ / Kuopio-HalliSpecial Guest:BABYMETALSupport:LORDI■Sabaton OFFICIAL WEBSITE:『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 ASIA』『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 ASIA』告知画像5月26日(金) ジャカルタ / ICE, BSD CITY, HALL 105月28日(日) バンコク / TRUE ICON HALL5月31日(水) 香港 / ASIA WORLD EXPO6月2日(金) 台北 / ZEPP NEW TAIPEI6月4日(日) クアラルンプール / ZEPP KUALA LUMPUR『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 AUSTRALIA』『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 AUSTRALIA』告知画像6月8日(木) オーストラリア、ブリスベン / FORTITUDE MUSIC HALL6月9日(金) オーストラリア、シドニー / HORDERN PAVILION6月11日(日) オーストラリア、メルボルン / MARGARET COURT ARENA<イベント情報>『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE - DELAY VIEWING』5月20日(土) 14:00開演(4月1日(土) BLACK NIGHT)5月27日(土) 14:00開演(4月2日(日) CLEAR NIGHT)会場:全国各地の映画館※開場時間は映画館によって異なります。『BABYMETAL BEGINS - THE OTHER ONE - DELAY VIEWING』ビジュアル【チケット料金】全席指定:4,500円(税込)※3歳以上有料/3歳未満で座席が必要な場合は有料となります。※プレイガイドでチケットをご購入の際は、チケット代以外に各種手数料がかかります。■「THE ONE」限定チケット先行(抽選)4月2日(日) 19:00~4月12日(水) 18:00※2公演共通詳細はこちら:■プレリザーブ(抽選)4月12日(水) 12:00~4月17日(月) 12:00※2公演共通※おひとり様につき2枚までお申込みいただけます。■一般発売(先着)5月20日(土) 公演販売期間:5月13日(土) 13:00~5月19日(金) 12:005月27日(土) 公演販売期間:5月13日(土) 13:00~5月26日(金) 12:00※おひとり様につき2枚までお申込みいただけます。※一般発売は先着順となりますので、予定枚数に達し次第受付を終了いたします。チケットはこちら:関連リンクOfficial Website Facebook Instagram Twitter TikTok
2023年04月03日乃木坂46 2期生・鈴木絢音の卒業セレモニーが3月28日、LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。2013年3月28日に乃木坂46新メンバーオーディションに合格した2期生も、気づけば鈴木が最後のひとりとなり、奇しくも合格から10年経った大きな節目のタイミングに卒業を迎えることに。そんな鈴木のラストステージでは、彼女がセレクトした思い入れの強い乃木坂ナンバーで構成。また、随所に後輩たちとのトークパートも用意された鈴木の乃木坂愛が詰まった内容が展開された。客席が鈴木のペンライトカラーである白と紫で染まる中、卒業セレモニーは彼女が初めてセンターを務めた「自惚れビーチ」からスタート。この日は掛橋沙耶香、田村真佑を除く総勢37名がステージに立ち、華やかなパフォーマンスを繰り広げる。続いて、彼女が乃木坂46の一員として初めて観客の前でパフォーマンスした「走れ!Bicycle」を披露すると、客席からは「絢音コール」が飛び交い、会場の熱気が急上昇していく。2曲終えると、鈴木は「まだ卒業する実感が全然なくて。このセレモニーが進んでいくにつれて、実感が増していくんだろうな」と現在の心境を吐露。続いて、「鈴木絢音 卒業セレモニー特別企画 後輩ちゃんともっとお話がしたい」と題したトークパートに突入すると、3〜5期生たちとともに「今ハマっている趣味」について語り合うことに。「音楽」「仮面ライダー」「散歩」「スポーツ観戦」「お香集め」「カメラ」「漫画」などが挙がると、鈴木はそれぞれ前のめりで食いつき、後輩と親交を深めていく。そんな中、黒見明香が「カンフーの剣術」、遠藤さくらが「家にいること」と挙げると「それ趣味なの?」と驚きつつも、「私の日常が彩りそうです」と会話を盛り上げた。続いてのブロックでは、鈴木が3〜5期生とそれぞれ楽曲披露。まずは5期生とともに初期の楽曲「失いたくないから」をしっとりと歌い紡いでいく。また、4期生とは爽快感の強い「キャラバンは眠らない」を力強くパフォーマンス。そして、3期生とは「空扉」と息の合った歌とダンスで一体感を高めていった。3曲歌い終えると、鈴木は選曲および衣装を各期のイメージに沿ってセレクトしたと述べる。続くトークパートでは「後輩ちゃんの質問に答えたい」をテーマに、「絢音さんのマイルール」「どんな家に住んでいますか?」「先輩への甘え方」と個性的な質問を次々に繰り出される。中には、五百城茉央の「乃木坂の歌詞を間違えて覚えてしまったことはありますか?」といった最近起きた出来事にちなんだ質問や、金川紗耶の「お弁当は魚派、肉派?」という楽屋での話題なども飛び出し、会場は和やかな空気で包まれていく。イベント中盤では、自身が参加してきた思い出のユニット曲を後輩たちと一緒にパフォーマンス。「Am I Loving?」では久保史緒里、佐藤璃果という東北出身の3人で、笑顔にいっぱいで歌唱する。また、鈴木自身が研修生から正規メンバーへと昇格するタイミングに与えられた「ボーダー」では黒見明香、佐藤璃果、林瑠奈、松尾美佑、弓木奈於という坂道研修生を経験した4期生5人と一緒に、ポジティブさの伝わる表情で元気に歌い上げた。それぞれに強い意味が込められた人選からも、改めて鈴木のグループに対する強い思いが伝わってきた。その後のトークパートでは後輩たちが思う「乃木坂最高!な瞬間」を、鈴木が訪ねていく。ここでは「ツアー中の食事」「(ステージを立つ前に)背中を叩く」「可愛い子がたくさんいる」「誕生日をいろんな人に祝ってもらえる」など、それぞれの視点で最高な瞬間を紹介。後輩たちのコメントを受け、鈴木は「これからも最高な瞬間をどんどん更新していってください」と笑顔で返した。イベントもいよいよ折り返し。まずは「新しい世界」「自由の彼方」といったアンダー楽曲を連発。アンダーでの経験も長かった彼女ならではの選曲で、アンダーライブを通じて培ったひたむきさを、楽曲を通じて表現していく。さらに、後半パートでは初選抜入りを果たした思い出の1曲「ジコチューで行こう!」を、鈴木がセンターにて披露。華やかな楽曲で場を盛り上げたあとは、乃木坂らしさに満ち溢れたミディアムナンバー「羽根の記憶」で唯一無二の空気を作り上げていく。最後の楽曲に入る前、鈴木は「今日は後輩のみんなとお話したり、こうして大好きな曲を披露することができて本当に幸せです。そして、それを皆さんに見届けていただけて、とてもうれしく思います」とここまでを振り返る。そして、「2期生はみんな卒業して、2期生曲のオリジナルメンバーも私しかいなくて、披露するのはちょっと緊張するし寂しいけど、頼もしい後輩の力を借りて今日は歌わせてください」のメッセージとともに、2期生楽曲「アナスターシャ」にて卒業セレモニー本編の幕をドラマチックに下ろした。鈴木絢音「今度は皆さんに見つけていただけるように、私が頑張らせてください」アンコールでは、純白のドレスに身を包んだ鈴木が2期生楽曲「ゆっくりと咲く花」を、ひとりで歌唱。彼女の人柄が伝わる歌声を前に、会場は暖かな空気に包まれる。曲中、感情が込み上げる瞬間もあったが、笑みを絶やさず最後まで歌いきった。その後、鈴木は会場のファンと配信でこのセレモニーを見ているファンに向けて、「10年間振り返ると、出会いに恵まれた乃木坂人生だったなと思います」とメッセージを送る。「自分に誇れることは何ひとつとしてないけれど、私の周りにいてくれる優しい皆さんのことが唯一の誇りです」と感謝を伝える彼女は、この10年を「私は私なりに喜びをみつけながら、乃木坂人生を楽しんできたつもりです。だから悲しい物語じゃなくて、楽しい記憶であってほしい」と表現。続けて、卒業後について「いざ卒業してひとりになって、どうやって頑張ればいいんだろうって、頑張り方がわからなくなってしまう自分がいます。今はちょっとだけお休みして、未来のことを考えて、そんな時間が私には必要なのかなと思いました。まだどんな未来を選択するのか、私の中でも決まっていませんが、頑張りたいと決心がついたときには、皆さんの前に戻ってくると思います」と告げ、「最後にもうひとつ、わがままを言っていいのなら、また私のことを見つけてくれたらうれしいです。今度は皆さんに見つけていただけるように、私が頑張らせてください」と力強く卒業メッセージを締めくくった。「これからの乃木坂46がキラキラと輝き続けますように、そんな願いを込めて歌います」と、鈴木が乃木坂人生最後の1曲として選んだのは、初期の代表曲「君の名は希望」。鈴木を中心に、3〜5期生が次々とステージに登場して彼女に寄り添って笑顔を届ける光景は、大きな節目を感じさせつつも、どこか希望を感じさせるものでもあった。最後の曲を歌い終え、鈴木が「本当に終わってほしくないって願っちゃうほど、幸せな1日になりました」と笑みを浮かべて話すと、彼女へのサプライズとしてグループを卒業した同期の伊藤かりん、伊藤純奈、相楽伊織、新内眞衣、堀未央奈、山崎怜奈がステージに登場。驚きつつ、涙を浮かべる鈴木に対して、同期の5人が次々と労いの言葉をかけていく。そして、新キャプテンの梅澤美波も「絢音さんが守ってきた乃木坂をこれからもしっかり守っていくので、見ていてください」と頼もしい言葉を寄せると、対する鈴木も「これからもみんなが楽しそうにしている姿を見るのが、私の楽しみです。これからも無理せず頑張ってね!」と優しい言葉を伝える。最後に「本当に人生で一番美しい日になったんじゃないかなと思います。皆様のおかげです」と鈴木が改めて感謝を口にすると、客席からは「新しい世界へ」「ありがとう」のメッセージが書かれたメッセージシートを掲げるサプライズも。「次に進んでいく未来も、今日卒業を決めたことを後悔しないような人生にできるように、これからも頑張っていきます!」と強い意志を伝えて、卒業セレモニーは終了した。しかし、その後もアンコールを求める拍手や歓声は鳴り止まず、再びメンバーがステージに勢揃い。最後の最後に肉声で「ありがとうございました!」と感謝を届け、深々とお辞儀してから、改めてセレモニーを締めくくった。これでグループ黎明期を築いた1、2期生は全員乃木坂46を卒業し、翌日の3月29日には3〜5期生のみで作り上げた32ndシングル『人は夢を二度見る』をリリース。最大のターニングポイントを迎えた乃木坂46がここからどんな活躍を見せるのか、この先も注目していてほしい。Text:西廣智一<公演情報>乃木坂46『鈴木絢音 卒業セレモニー』3月28日(火) LINE CUBE SHIBUYAセットリストOverture01. 自惚れビーチ02. 走れ!Bicycle03. 失いたくないから04. キャラバンは眠らない05. 空扉06. Am I Loving?07. ボーダー08. 新しい世界09. 自由の彼方10. ジコチューで行こう!11. 羽根の記憶12. アナスターシャアンコール13. ゆっくりと咲く花14. 君の名は希望セットリストプレイリスト:<リリース情報>乃木坂46 32ndシングル『人は夢を二度見る』発売中●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-A:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-AジャケットM1. 「人は夢を二度見る」(32ndシングル選抜メンバー)M2. 「僕たちのサヨナラ」(秋元真夏センター・全メンバー)M3. 「心にもないこと」(5期生メンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「心にもないこと」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-B:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-BジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「黄昏はいつも」(遠藤さくら・井上和)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「黄昏はいつも」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-C:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-CジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「Never say never」(久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・黒見明香・柴田柚菜)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「Never say never」~off vocal ver.~●初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-D:1,900円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』初回仕様限定(CD+Blu-ray)盤 Type-DジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「さざ波は戻らない」(32ndシングルアンダーメンバー)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「さざ波は戻らない」~off vocal ver.~●通常盤:1,100円(税込)乃木坂46『人は夢を二度見る』通常盤ジャケットM1. 「人は夢を二度見る」M2. 「僕たちのサヨナラ」M3. 「涙の滑り台」(岩本蓮加・筒井あやめ・小川彩)M4. 「人は夢を二度見る」~off vocal ver.~M5. 「僕たちのサヨナラ」~off vocal ver.~M6. 「涙の滑り台」~off vocal ver.~※通常盤はCDのみとなり、特典映像の収録、封入特典なし
2023年03月29日2023年3月12日、東京・LIQUIDROOMにてSANABAGUN.の結成10周年を記念するイベント『SANABAGUN. SUPER ULTRA DYNAMITE PANTIE DESIRE, MARVELOUS MAXIMUM SACRIFICE 10 YEARS DRAGON FESTIVAL』が開催された。略して『SNB.SUDPDMMS10YDF』は2部構成で行われ、1部はサナバの楽器隊がハウスバンドとなり彼らがこの10年で交流を重ねてきたHUNGER(GAGLE)、小出祐介(Base Ball Bear)、Pecori(ODD Foot Works)、Ryohu、YONCE(Suchmos)というゲストボーカルたちをフィーチャー。そして、2部ではサナバのこれまでと今を凝縮するかのように濃密なワンマンショーが繰り広げられ、シークレットゲストとして木村カエラも登場した。実に3時間。掛け値なしのフルハウス、さらにオーディエンスの“声出しあり”という絶好の状況の中でLIQUIDROOMに充満する熱は徹頭徹尾上がりっぱなしだった。ここに本イベントの総括的なライブレポートをお届けする。この日、僭越ながらMCとしてステージに立たせてもらった筆者がライブを思い出しながらまず浮かぶのは、こんなに至近距離の親しみが込められた愛情を向けられているバンドは本当に稀有だということ。それはゲストアーティストとの一回性のスペシャル感に富んだパフォーマンスからも、「SNB.SUDPDMMS10YDF」のお祝いタイトルコール映像に登場した盟友ミュージシャンたちの顔ぶれからも、そしてやっと堂々と解放することができたオーディエンスたちの大きな歓声のエネルギーからも、まざまざと感じた。2013年2月に高岩遼が発起人となってメンバーを集め、池袋デニーズでSANABAGUN.というバンド名が決定してから10年。この10年、いくつかの絶対に忘れない出会いと別れを繰り返しながら、高岩遼(Vo.)、岩間俊樹(MC)、磯貝一樹(Gt.)、澤村一平(Ds)、谷本大河(Sax.)、髙橋紘一(Tp.)、大林亮三(Ba.)、大樋祐大(Key.)の8人が今のSANABAGUN.として威風堂々と存在している。付け加えるならば、サナバは最初からずっとチャーミングなバンドである。その外見とパフォーマンス力は一見近寄りがたいのに、目の前で向き合うと思わず相好を崩してしまうほど愛らしい。どれほどバンドに危機的状況が訪れようと、やっぱりサナバを追いかけたい、サナバをあきらめたくないと思わせるチャームを彼らは持ち続けた。何より、サナバはバンドとして絶対に折れなかった。SNSを動かし続けなければ息を止めているようにさえ扱われるこの奇妙な時代にあって、生音のすごみを込める音源を作り続け、生身の代えがたい迫力を放つライブを重ねた。だからこそ、この日、LIQUIDROOMにはこんなにも素晴らしい光景が生まれたのだ。Ryohuオープニングナンバーの「Son of a Gun Theme」を経て、一発目のゲストボーカルとしてステージに現れたRyohu。この数日前に日本武道館でKANDYTOWNを終焉させたばかりの彼は「Call Your Name」と「Forever」を情感豊かなメロウネスをもって体現し、続く「One Way」でYONCEを呼び込み腰にくるグルーヴィーなSNB.バンドのアンサンブルの中でふたりはクールでありながら自由闊達な様相でマイクを交わした。Ryohu / YONCE(Suchmos)そのYONCEはなんとサザンオールスターズの「いとしのエリー」をカバー。どこまでもヒューマニスティックでソウルフルと呼ぶにふさわしいYONCEのボーカルの響きにオーディエンスは深く聴き入った。YONCE(Suchmos)高岩&岩間とともに参加したトークパートでRyohuとYONCEはこんな言葉を残した。「最初は同世代で路上ライブをやっているヤバいバンドがいることを噂で知って。直接会ったのは下北沢GARAGEでした。10年来の友達とステージに立っていることを誇りに思います」(Ryohu)「最初は(Suchmosのメンバーである)TAIHEIと隼太(小杉隼太/HSU)からヤベえバンドを始めたって聞いて。一平くんにはSuchmosのサポートでドラムを叩いてもらったこともありました。それ以来、時が経ってまたこうやって一緒にやれてうれしいし、兄弟バンドのおめでたい場に呼んでもらえてありがたいです」(YONCE)Pecori(ODD Foot Works)「Bebop Kagefumi」のイントロが鳴り登場したODD Foot WorksのPecoriは、原曲よりもグッとレアグルーヴ度が増したサウンドを浴びながら活き活きとステージ上で躍動。SNB.バンドによってメロウジャズなフィーリングで再解釈された「KAMISAMA」を終えると、Pecoriは高岩&岩間を呼び込み「デパ地下」を3MCでコラボレーション。Pecoriはそのままエクスクルーシブで用意したヴァースをスピットし、喝采を浴びた。Pecori(ODD Foot Works)さらに「デパ地下」の終盤でマイクを受け継いだのが、HUNGERだ。オリジナルのフリースタイル然としたヴァースをキックし曲を締めくくってみせた。仙台をレペゼンするラッパーとして、東日本大震災から12年にあたる前日の3月11日に仙台市立荒浜小学校でライブを行ったHUNGERは「東北に縁のあるバンド、SANABAGUN.(高岩が岩手県宮古市、岩間が青森県三沢市出身)。その関係性も踏まえて一緒にやってもらいたい曲があります」と語り、高岩とともに「聞こえるよ」を紡いだ。HUNGER(GAGLE)そこから、「リハで急遽やろうと決めた」という「雪の革命」をSNBバンドとのフリーセッションで響かせ、ラストの「屍を越えて」まで、会場にいるすべての個々人と心の声で対話するようなパフォーマンスを見せてくれた。HUNGER(GAGLE)最後のゲストボーカルとして登場したのは、小出祐介。開口一番「こんなにカッコいいバンドを10年も続けてくれて本当にありがとうございます!(オーディエンスに向かって)10年間、サナバを支えてくれて本当にありがとうございます!みなさんがいるからこそカッコいいサナバがいると思います」と語り、「The Cut」へ。オリジナルバージョンではRHYMESTERをフィーチャリングした「The Cut」のラップパートを、小出&岩間バージョンで披露。鋭く跳ねる小出のフロウと岩間のタイトなラップが刺激的に交差した。小出祐介(Base Ball Bear)「続いての曲は、僕が岡村靖幸という日本で一番ダンディーで、セクシーなおじさんと作った曲なんですけど。僕が知る限り、90年代生まれの中で一番セクシーで、ダンディーな男と一緒に歌いたいと思います」という前フリから高岩をステージに招き入れ始まったのは「愛はおしゃれじない」。スタイルが異なるこそ2人の固有の色気が際立つボーカルを交歓させ、落ちサビの掛け合いでは高岩が小出の頬にキスをするというなんとも微笑ましい濃厚接触も実現した。小出祐介(Base Ball Bear)以下、Pecori、HUNGER、小出がトークパートで残した言葉だ。「自分も普段バンドをやっているけど、生音だけではやってないので。今日、それを体感して新しい感覚を得ることができました」(Pecori)「2014年に渋谷にあったVUENOSで初めて一緒になってから、大きな波が来るという予感があった。そのときはいかんせんお客さんの波がなかったんだけど(笑)。あらためて、めちゃくちゃカッコいいバンドだなと。演奏の迫力もそうだし、音の厚みもそう。PAさんが音の出し方も工夫していて、ライブをやりながら自分もお客さん側にいたいと思いました」(HUNGER)「バンドを10年やるのって大変ですよね。メンバーが出ていったり、入ったり。いろんな葛藤があると思うけど、20年バンドを続けた先輩として言えるのは、マジで続けたほうがいい。SANABAGUN.みたいに周りにない音楽をやっているバンドは本当に希少だし、孤高の存在になっていいと思う」(小出)こうして「SNB.SUDPDMMS10YDF」はインターバルを挟んで、2部のSANABAGUN.単独ライブへ。全身黒の衣装に身を包み直した8人は初っ端から「SNB.JAZZメドレー」(「Fast Swing」、「B-Bop」、「居酒屋JAZZ」、「L.G.M」、「Heisei Evidence、「Stuck IN Traffic」、「Fast Swing」」をプレイ。そこで再確認したのは、今のサナバの音と歌とラップの重厚さであり、結成当初から持ち合わせている時にオーディエンスを圧倒するパフォーマンスのキレ(それは怖さとも言える)だ。このあとに続いた「KING」や「三種の神器」もそう。あらゆるいけ好かない事象に中指を立てるレベルミュージックでもある楽曲群の説得力を担保する威圧感があってこそ、サナバである。だからこそ、高岩がメロウに歌を浮遊させる「One Call」のような楽曲もじっくり染み入る。粘度の高いファンクネスで踊らせる「8 manz」から緊張を緩和させる「チョップマン」へなだれ込むと、なんとこの曲の終わりで仮面を被った木村カエラが参上。そのシルエットで正体に気づいたオーディエンスは驚嘆の声を上げた。木村カエラさらにカエラは仮面を取ると、高岩と岩間に挟まれながら祐大のピアノ1本をバックに「Butterfly」のサビをワンフレーズだけ歌ってみせた。言うまでもなく、フロアは大いに沸いた。カエラはOKAMOTO’Sのハマ・オカモトからサナバを紹介されたという。その縁が繋がり2022年2月に開催されたカエラのビルボードツアーではハマ・オカモトがバンマスとなりSNB.バンドのメンバーも参加。さらに同年12月にリリースされたカエラのニューアルバム『MAGNETIC』には彼女曰く「SANABAGUN.のみなさんと作っためちゃくちゃいい曲」である「井の頭DAYS feat. SANABAGUN.」が収録された。最後にカエラとサナバはその「井の頭DAYS」をオーガニックかつポップなムードで彩った。木村カエラあっという間にライブは終盤へ。サナバきってのパーティーチューンである「Warning」ではファンにはお馴染みの野球ネタを挟み込み、本編ラストの「人間」における多幸感は間違いなく過去最高だったと思う。アンコールの1曲目は完全初公開となる8MCの新曲「男の代償」。このメンバー全員によるマイクリレーもまたサナバが幾度のメンバーチェンジを経ても交わしてきた“契”だ。最後のMCで岩間と高岩がこう語った。「一番大変だったのはメンバー(楽器隊)だから。大きな拍手を。そして、今日出てくれたゲスト陣にも大きな拍手をお願いします。このステージを作ってくれているスタッフさんたちにも大きな拍手をお願いします。そして、みなさん(オーディエンス)がいなかったら俺たちは10年も音楽を続けられていなかったので、みなさんも自分たちに大きな拍手を」(岩間)「バンドというのは続けるのが難しいんですよ。メンバーが8人もいるでしょ。輩ばっかで。いろんな考え方やスタンスがあって、メンバーが抜けたり入ったりして、今の8人で10年経って。何を思ったのかなぁ、今日の俺らは。俺たちが一番、SANABAGUN.って超カッコいいなと思いました。ありがとう。お互いの活動やライフスタイルをリスペクトし合えば、俺たちはいつまでもならず者でいられるなと思いました。ぜひ口コミで、今日のお客さんがひとりにつき10人くらい巻き込めば速攻で武道館やれるでしょ。ねずみ講です、ヨロシク!」(高岩)オーラスはやはりというべきか、「FLASH」だった。誰もがこの夜を終わらせたくなかったはずだが、次なる宴が待っているという高揚感を余韻として残したままメンバーはステージを去っていった。そして、終幕の映像で告げられたのは、サナバにとって初となる日比谷野外大音楽堂での単独公演開催決定の報せだった。2023年12月10日。冬の野音にあのかけ声が響き渡る。「俺らがレペゼンゆとり教育。平成生まれのヒップホップチーム。こ、れ、が、SANABAGUN.だ、味わえっー!!」Text:三宅正一Photo:SANA.(Kazuyuki Sanada)<公演情報>『SANABAGUN. SUPER ULTRA DYNAMITE PANTIE DESIRE, MARVELOUS MAXIMUM SACRIFICE 10 YEARS DRAGON FESTIVAL』2023年3月12日(日) 東京・LIQUIDROOMセットリスト第一部01. Son of a Gun Theme02. Call Your Name03. Forever04. One Way feat. YONCE05. いとしのエリー06. Bebop Kagefumi07. KAMISAMA08. デパ地下09. 聞えるよ10. 雪の革命11. 屍を越えて12. The Cut -feat. RHYMESTER-13. 愛はおしゃれじゃない第二部01. SNB. Jazzメドレー02. KING03. 3種の神器04. One Call~消せないテレフォンナンバー~05. 8 manz06. チョップマン07. Butterfly08. 井の頭DAYS feat.SANABAGUN.09. Stay Strong10. Warning11. 人間EN1. 男の代償EN2. FLASH<ライブ情報>『SNB. 10th Anniversary Final』2023年12月10日(日) 日比谷野外大音楽堂OPEN16:00 / START17:004月2日(日) 23:59までチケット最速先着先行予約実施中関連リンクOfficial Site:::
2023年03月28日2023年3月4日(土) より、東京・豊洲のIHI ステージアラウンド東京にて上演中の『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』。企画・演出・出演の尾上菊之助をはじめ、中村獅童、尾上松也、中村米吉、中村梅枝、中村橋之助、坂東彌十郎、中村歌六ら豪華歌舞伎俳優が集結。旅の始まりから終わりまでを一日で追体験できる話題作のオフィシャルレポートが到着。歌舞伎というエンタメの存在は不思議だ。「歌舞伎」と聞いて、誰もが隈取の化粧や見得をするポーズを思い出すのに、それが何なのかというと「よく分からない」という人は多い。分からないのは、歌舞伎の舞台を観たことがないから。二の足を踏むのは、面白いか面白くないかさえフワッとしているからだろう。「セリフも難しそうだし、高いチケットを買って楽しめなかったら、損した気分になるし……」と思うのは当然かもしれない。そんな、「とても身近なのになんだか遠い歌舞伎」への偏見や思い込みを、3月4日に幕を開けた『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』(FFⅩ)は、気持ちよく打ち砕いてくれる。原作は、2001年に『ファイナルファンタジー』シリーズの10作目として発売された大ヒットゲーム。世界累計出荷・ダウンロード販売本数は、続編を含めてなんと2110万本以上(2022年3月末時点)という、今も世界中のゲームファンに愛されている名作だ。「ゲーム」の歌舞伎化は、本作が史上初。誰も観たことがない舞台になるのだから、ゲームファンはもとより、歌舞伎ファンも想像がつかなかったのが正直なところ。もともと『FFⅩ』の大ファンで、コロナ禍の自粛中に再びゲームをやり込んだことから改めて感銘を受け、直接スクウェア・エニックスに企画書を送った尾上菊之助(企画と共同演出、主演)とて、大きな挑戦だったに違いない。これまで『風の谷のナウシカ』などの新作歌舞伎を成功に導いてきた菊之助だが、なにしろ「史上初」の舞台なのだ。だが初日を迎えてみると、ネット上には歌舞伎を知らないゲームファンの「歌舞伎って面白い!」という驚きと、「こんなふうに『FFⅩ』を舞台で観られるなんて」との喜びの声が続々と寄せられている。ゲームを知らない歌舞伎ファンも、「歌舞伎の手法をこんなふうに使ってくるとは……!」と新たな視点で楽しみつつ、『FFⅩ』の普遍的なストーリーを満喫している様子だ。左より)シーモア役 尾上松也、ティーダ役 尾上菊之助主人公は、魔物『シン』が人々を脅かす世界「スピラ」に迷い込んだティーダ(菊之助)。彼が召喚士のユウナ(中村米吉)に出会い、彼女を援護する仲間たちと共に『シン』を倒すまでの波乱の旅が、壮大なスケールで描かれる。ブリッツボールの選手ワッカ(中村橋之助)や黒魔導士のルールー(中村梅枝)、ロンゾ族のキマリ(坂東彦三郎)、そしてティーダの父ジェクト(坂東彌十郎)の盟友アーロン(中村獅童)が、ユウナの「ガード」となっていくつもの戦いを乗り越えてゆく。グアド族の族長シーモアが立ちはだかるなか、ティーダたちが知る『シン』の真実とは……。ティーダ役 尾上菊之助、ユウナ役 中村米吉、アーロン役 中村獅童、ワッカ役 中村橋之助、ルールー役 中村梅枝、リュック役 上村吉太朗冒頭、にぎやかな鳴物(歌舞伎で使われる楽器)と共に23代目オオアカ屋に扮した中村萬太郎が登場すると、「口上」(演目の説明)からスタート。「今日初めて歌舞伎を観に来たという方は? 逆に『FFⅩ』をやったことがありませんという人はどれくらい?」と観客に手を挙げさせる。「これだけの人が未知の世界に飛び込んでくれたんですねぇ」と両方のファンに目配りしつつ、「ご安心ください、私が歌舞伎の楽しみ方をお伝えします」と頼もしいひと言。「ツケ打ち」(木の板を打ち付けた音で、役者の足音を表したり、見得をする場面を盛り上げたりする)の解説の後は、『FFⅩ』の物語とその背景も教えてくれ、客席はいつのまにかリラックスした雰囲気に。23代目オオアカ屋役 中村萬太郎続いて『FFⅩ』の美しい旋律(邦楽でのアレンジ)が流れると、正面の巨大スクリーンいっぱいにザナルカンドの廃墟が映し出される。どこからか聞こえてきたのは、ティーダ(菊之助)の声だ。「最後かもしれないだろ? だから、全部話しておきたいんだ」。スクリーンに『新作歌舞伎 FINAL FANTASY Ⅹ』のタイトルが浮かび、ゆっくりと消えてゆく……。ふいに照明が明るく変わると、客席のあちこちに出演者による「町の人々」が登場。その頃には自分もすっかり物語の中に入り込んだような気持ちになっていた。オープニングそして町の人々がブリッツボールの人気選手、ティーダを待ちわびてコールすると、ついに幕が開いてティーダが登場! ワクワクしていた分、「待っていたとはありがてぇ」とのセリフがリアルに響く。実はこれ、歌舞伎の『お祭り』という演目で鳶頭が言う有名なセリフ。客席の「待ってました!」の声(気持ち)に応える、いわばテッパンのやりとりだ。ティーダは続けて七五調での「名乗り」をし、最後は「ティーダたぁ、俺がことッス!」で締めくくる。これも『弁天小僧』のクライマックスのセリフ「弁天小僧菊之助たぁ、俺がことだ」から。これだけで、ティーダが華やかな主役であることが分かるし、『弁天小僧』は音羽屋(菊之助の屋号)の代表的な芸なので、菊之助が率いる本作にもピッタリ。「ティーダ」(ゲーム)と「菊之助」(歌舞伎)、どちらの視点からでも楽しめる仕掛けなのだ。ティーダ役 尾上菊之助そんなふうにして、本作には原作ゲームの魅力のほかに、歌舞伎の表現方法の面白さがたっぷり盛り込まれている。登場人物それぞれの「名乗り」や、軍兵たちが前転宙返りをする「トンボ」を切る立廻りをはじめ、女方たちの美しく見事な「海老反り」、『土蜘』のイメージで糸状のものをシュッと投げる「千筋の糸」、仏像が倒れるように手を使わず直立したまま倒れる「仏倒れ」。さらに一瞬で衣裳の表面が変わり、役自体の隠された内面もあらわになる「ぶっ返り」など、長い年月を経て受け継がれてきたそれらの仕掛けが、物語のあちこちで効果的に使われるのだ。おそらく初めて観るらしい客席の辺りから、「おおー!」というようなどよめきが起こるのも楽しい。シーモアとの闘いその一方で、壮大なスケールで展開する世界観を具現化するため、会場であるIHIステージアラウンド東京の舞台機構も大いに活用。通常、演劇の世界では、大海原も広い空も、ゆったりとした浜辺もにぎやかな街の風景も、具象を抽象化することで表現してきた。だが円形の劇場の内側に360度のステージと、高さ8mの巨大なスクリーンが張り巡らされ、囲まれた客席自体が回る機構を持つ同会場。本作ではゲームのCGビジュアルが巨大スクリーンに映し出され、美しく迫力ある映像が堪能できる。序盤にティーダとユウナたちが海原に船を漕ぎ出すシーンや、クライマックスでの飛空艇が空を飛ぶ場面などは、客席の前方と左右が巨大な映像に囲まれるため、かれらと一緒に乗っているような臨場感が。この点も、これまでの新作歌舞伎にはない魅力だろう。船上の場面飛空艇の場面さらに、「マカラーニャ湖」のシーンも必見。ティーダとユウナのお互いへの恋情が、舞台上のミストスクリーンにまぼろしのように映し出され、演じる菊之助と米吉は言葉にできない気持ちを舞いに込めて踊る。客席からも、あちこちからすすり泣く声が。まるで『FFⅩ』の中に入り込んで、ふたりをじっと見つめているかのような、舞台とも映画とも、またゲームとも異なる新しい感覚だった。左より)ティーダ役 尾上菊之助、ユウナ役 中村米吉クライマックスを盛り上げる「召喚獣」のバトルも、手に汗握る迫力! 召喚獣を擬人化させて、さまざまな「毛振り」でリアリティとスピード感あるバトルが実現。夢中になって見入ってしまった。スピラを彩る魅力的な登場人物たちさて、ここまで演出や仕掛けについて書いてきたが、もちろんそれは演者の力があってこそ。最後にそれぞれの登場人物について触れておこう。まず、ブリッツボールの選手で、語尾が「~ッス」な若者、ティーダを演じる菊之助。歌舞伎作品での品格と、最近ではTVドラマでも落ち着いた男性を演じることが多かったために予想がつかなかったが、実際に観てみるとユウナに合わせた少年らしい拵えでまったく違和感なし。なにより溌剌とした若者らしい発声に驚いた。その瑞々しい声音で感情を爆発させたり、ユウナへの想いをにじませたりするのだから、その芸域の幅広さに改めて脱帽。新しい菊之助の魅力に気づかされたのも嬉しい発見だった。左より)ユウナ役 中村米吉、ティーダ役 尾上菊之助獅童はティーダの父の盟友で、旅に同行するアーロンを好演。頼もしい立ち姿にりゅうとした衣装がピタリとハマり、謎めいてはいるが信頼できる大人の男として魅せる。とある過去からダークサイドに落ちてゆくシーモアを大きさと繊細さとで演じる松也も、堂々たる佇まい。オフは盟友同士の獅童と松也だけに、戦いで斬り合うシーンも息がピッタリだ。なにより“芝居の輪郭”が太いふたりが並ぶと、舞台上の空気がピリッと引き締まる。アーロン役 中村獅童左より)シーモア役 尾上松也、アーロン役 中村獅童ユウナの叔父でティーダたちを導くシド役の中村歌六の誠実さ、ユウナが小さい頃に死んだ父で大召喚士のブラスカ役の中村錦之助の温かさも印象的。シド役 中村歌六ブラスカ役 中村錦之助物語のキーとなるジェクト役の彌十郎は、息子ティーダとの相克を招いてしまう人間くささを、持前の懐の深さで魅力的に表現。子ども時代のティーダ(尾上丑之助)とのやりとりが『FFⅩ』ファンの涙を誘っているのも、彌十郎ジェクトならではだ。ジェクト役 坂東彌十郎その丑之助は、幼少期のティーダと、祈り子の2役。前者では子どもらしい可愛らしさを見せつつも、後者ではこの世の者ならざる表情で、物語の核を示す長台詞を明瞭に聞かせる。客席をグッと引き込む求心力には心から驚かされる。ティーダ役 尾上菊之助、ジェクト役 坂東彌十郎、ティーダ役(幼少期)尾上丑之助ティーダたちと共にユウナのガードを務めるキマリ役の彦三郎は、ロンゾ族という設定柄、顔も全身も青い拵え。無口な青年という役ゆえ台詞は少なめで、その分ユウナを守る気持ちを視線や行動に滲ませる。声の良さに定評のある彦三郎だけに、言葉を発したときの言葉が強く印象に残った。キマリ役 坂東彦三郎ユウナの姉のような存在であるルールー役を務める梅枝は歌舞伎の演目では本格の佇まいを見せて若手女方の中でも図抜けた存在だが、その実力を本作でもいかんなく発揮している。悲しい過去がありながらも仲間たちを優しく見つめ、落ち着いた艶を滲ませる梅枝ルールーは、『FFⅩ』ファンの間でも人気急上昇中なのだとか。ルールー役 中村梅枝ユウナを演じる米吉は、「可愛いすぎる女方」として多方面から注目が集まっている中でのヒロイン役。2022年の『風の谷のナウシカ』タイトルロールや、歌舞伎以外の舞台での主演を経て、女方としての居方にもいっそう陰影が加わった。召喚士としての芯の強さや笑顔の可愛らしさの他に、運命をひとりで受け入れようとする生硬さ、想いを秘めた健気さなど、ふとした横顔に少女の憂いが宿る。ユウナの「異界送り」の動画がネットでバズったのも、米吉のユウナだからこそだろう。ユウナ役 中村米吉異界送りの場面ブリッツボールの選手からユウナのガードとなるワッカ役の橋之助は、自身の大らかな持ち味を活かした役づくり。普段は明るいムードメーカーだが、『シン』によって弟を亡くしたことから、ある民族に対するわだかまりがある。その後は戸惑いつつも先へ進もうとする心情を丁寧に演じた。ワッカ役 中村橋之助23代目オオアカ屋として前編・後編共に口上という大役を担った萬太郎は、シン討伐隊のルッツとの2役。ユウナのいとこで、途中から一行に加わる元気な女の子、リュック役の上村吉太朗と共に、若手実力派として頼もしく舞台を支えている。リュック役 上村吉太朗そして伝説の女性ユウナレスカには、中村芝のぶ。最後まで物語の緊張感が途切れないのは、圧倒的なオーラで終盤のクライマックスを盛り上げる、芝のぶユウナレスカの存在が欠かせないだろう。ユウナレスカ役 中村芝のぶ左より)ユウナレスカ役 中村芝のぶ、アーロン役 中村獅童振り返ってみれば、『シン』に立ち向かう旅やティーダとユウナの恋など主旋律のほかに、常に通奏低音のように聞こえているのが、親子の絆だ。ティーダと父のジェクト、シーモアと父で族長だったジスカル、そしてユウナと父ブラスカ。それぞれの親子の情愛が、哀しい、あるいは愛おしい運命と共に描かれる。それは歌舞伎でもしばしば描かれるテーマであって、本作での陰影も、歌舞伎俳優たる演者の力量あってこそだろう。中でもシーモアとジスカルの過去のエピソードは、今回新たに付け加えられたオリジナル。ゲームでは描かれなかったシーモアの葛藤と、彼が闇に落ちた理由が明らかになって胸に迫る。シーモア役の松也と、ジスカル役の澤村國矢の緊張感あるやりとりが見どころだ。左より)ジェクト役 坂東彌十郎、ティーダ役 尾上菊之助左より)シーモア役 尾上松也、ジスカル役 澤村國矢本作の稽古場では、企画から立ち上げて共同演出と主演を担った菊之助だけでなく、獅童や松也、その他の演者からも活発なディスカッションが交わされたという。そもそも出演者へのオファーは、菊之助自ら1人ひとりに電話をかけて進められたのだとか。そんな熱い現場で練り上げられたクリエイティブに、ジャンルは関係ないだろう。「ゲーム」と「歌舞伎」の幸せな邂逅を実現した本作は、たくさんの観客にとって、新たなマスターピースとなるに違いない。文=藤野さくら木下グループpresents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』チケット情報
2023年03月24日『LIVE the SPEEDSTAR』が、3月18日(土) に幕張メッセ国際展示場で開催された。『LIVE the SPEEDSTAR』は、ビクターが毎年3月に幕張メッセで開催をしている『ビクターロック祭り』の特別版。ビクターエンタテインメント内のレーベルであるスピードスターレコーズが設立30周年を迎えたことを記念して、今年は星野源、斉藤和義、スガ シカオ、くるり、KREVAといった所属アーティスト15組が一堂に集うイベントとなった。以下、各アーティストごとのオフィシャルレポートをお届けする。<BARK STAGE>GRAPEVINEGRAPEVINE Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)『LIVE the SPEEDSTAR』、BARK STAGEのトップはGRAPEVINE。スピードスターに移籍したのは2014年だが──以前本人たちにきいたのだが──1997年にメジャーデビューする前の各レコード会社による争奪戦の時、最後まで残った2レーベルのうちのひとつがスピードスターだったという。それから17年を経てめでたく所属、となったわけである。この日演奏した全7曲のうち、5曲目までがスピードスター移籍後のレパートリー。GRAPEVINE屈指のファンク・チューン「Alright」でスタートし、ねばっこさと軽快さが同居する「Evil Eye」へ。特に、3曲目「目覚ましはいつも鳴り止まない」と、4曲目「ねずみ浄土」、最新のデジタルシングルが続いたゾーンが、圧巻だった。こんなにメロウでソウルフルな曲と、こんなにどうかしてる曲を連打して、ライブのピークを作ってしまうロックバンド、GRAPEVINEだけだろう。オーディエンスも「ねずみ浄土」を待っていたことを、曲終わりの拍手の大きさが表していた。サイケデリックで雄大な「Gifted」、初期の名曲「光について」を経てのラストで、サプライズあり。つじあやのが登場、共に「Shiny Day」を歌ったのだ。2005年に根岸孝旨がプロデュースし、GRAPEVINEがバックを務めたこの曲を、そのままの組み合わせでライブで聴ける、サビでつじあやののボーカルにハモリをつける田中和将を観れる、という機会、極めてレアだと思う。Text:兵庫慎司セットリストM1. AlrightM2. Evil EyeM3. 目覚ましはいつも鳴りやまないM4. ねずみ浄土M5. GiftedM6. 光についてM7. Shiny Dayスガ シカオスガ シカオ Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「おはようございます!楽しんでいくよ!」――力強い挨拶の声と共にスタートしたスガ シカオのライブ。オープニングを飾ったのは「Party People」。ファンキーに躍動するバンドサウンドと歌声が、ステージを見つめる我々のダンス衝動を掻き立てて止まない。観客たちが身体を一斉に揺らしながら放つ波動が、会場内の空気をみるみる内に温めていた。「足元の悪い中、ようこそ!短い時間だけど、たっぷり楽しませていくのでよろしく。次に歌うのは、なかなか人前で歌えないかわいそうな曲です(笑)。でも、今日は何の制約もないので」という言葉を添えて歌い始めた「バニラ」は、艶めかしい歌詞の描写が刺激的だった。そして「バニラ」に匹敵するくらいの妖しい風味を堪能させてくれた「19才」に続いて披露されたのは「Real Face」。作曲を松本孝弘(B’z)、作詞をスガが手掛け、2006年にKAT-TUNへ提供されたこの曲は、やはり圧倒的にかっこいい。エネルギッシュなバンドサウンドも抜群に冴えわたっていた。「この間、アルバム『イノセント』が出まして。8年くらい前にSPEEDSTARに移ってきて、まだ新入生的な扱いです(笑)。ちゃんと一歩ずつ階段を上がっていこうかなと。次に歌うのは出たばかりの曲です」と紹介しつつ歌い始めた「さよならサンセット」。『イノセント』の中でも美メロが光っていた曲だが、ライブで聴いても胸に深く沁みた。続いてNHK総合『プロフェッショナル仕事の流儀』のテーマソングとしてお馴染みの「Progress」も披露。そしてラストに届けられたのは「コノユビトマレ」。グルーヴィーなバンドサウンドに包まれながらギターを弾き、歌声を響かせるスガも心底楽しそう。掲げた腕を振りながら盛り上がる観客たちと一緒に幸福な空間を作り上げていた。Text:田中大セットリストM1. Party PeopleM2. バニラM3. 19才M4. Real faceM5. さよならサンセットM6. ProgressM7. コノユビトマレUAUA Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「私はデビューして28年目に突入しているんですけど、最初から今までずっとスピードスターにいる者です。今日の(出演者の)中で、スピードスターではいちばん古株だということで、驚愕しております」と、後半のMCで自己紹介したUAが、BARK STAGE 3番目のアクト。1曲目「太陽手に月は心の両手に」を歌い始めた瞬間、その声の豊かさで、幕張メッセの空気が変わったのがわかる。次は最新アルバム『Are U Romantic?』から「お茶」。1996年の曲と2022年の曲が、違和感なく並ぶさまが楽しい。続いて「情熱」、さらに「雲がちぎれる時」と、初期のヒット曲が惜しみなく放たれる。フロアのあちこちで両腕が挙がる。UAとコーラス隊ふたりの声とアクションが、絶妙にシンクロし続ける「AUWA」は、曲間を空けずにそのまま「TIDA」へと続いていく。途中までピアノだけで歌われた「プライベートサーファー」は、荘厳で、壮大で、まるでゴスペルのような、すさまじい美しさだった。「このレーベルはね、ほんとに人として音楽を見てくれる、育ててくれるレーベルなんです。こういうレーベルが日本でしっかりと活躍できるように、見守っていてくださいね」という言葉から放たれたのは「微熱」。1年前のリリース時、朝本浩文の未発表曲か? と驚いた(GEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーが書いたことを知ってさらに驚いた)この曲を、極上の歌と演奏で、最後に届けてくれた。Text:兵庫慎司セットリストM1. 太陽手に月は心の両手にM2. お茶M3. 情熱M4. 雲がちぎれる時M5. AUWA~TIDAM6. プライベートサーファーM7. 微熱KREVAKREVA Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)KREBandの演奏が華麗に鳴り響いた後、ステージにKREVAが登場。「SPEEDSTAR、30周年おめでとうございます。その中でも新人の部類ですが、よろしくお願いします。KREVA!って呼んでもいいらしいよ。それだけで感無量。やっとだね。初めてライブを観る人、やっと会えたな」――素敵な言葉に早速胸が熱くなる。そしてサングラスを不敵に輝かせながら歌い始めた1曲目は「Finally」。昨年2月にリリースされたアルバム『LOOP END / LOOP START』でもオープニングを飾っていたこの曲は、粋なライミングが満載されている。こんなにも極上のラップを浴びたら、じっとしていられる人類がこの世に存在するはずもない。観客たちは体を揺らして踊り始めた。続いて「基準〜2019Ver.〜」も届けられたが、ビートを巧みに乗りこなしながら放つラップの切れ味が本当にすごい。“かっこいいラップとはこういうことだ!”と堂々と名乗りを上げるかのような姿に痺れてしまった。「みなさんも声を出せるので、声を出せるような曲を持ってきました。ぜひとも参加してもらえたらなと。エンタテインメントの現場は、みんなの声がないと完成しない。みんなで作るものだと思います」というMCの後に披露された「パーティーはIZUKO〜2019Ver.〜」は、まさしく参加型の曲だった。《ねぇ パーティーはIZUKO》に対して《ここだ!》と元気いっぱいに返したくなる。そして「人生」と「居場所」は、会場のムードを瑞々しいものへと塗り替えた。こういう曲もKREVAのライブでいつも魅力を大いに煌めかせる。リリックの言葉の1つ1つに刻まれた深い情感を噛み締めながら、彼の表現力の幅を改めて実感した。「みんなの声、存在のありがたさに気づかされる一方です。このままいろんなイベントが増えていくと思うけど、その時にまたみんなに会えたら嬉しいです。あと数曲で終わりですが、今日という日が特別な日になるように」――観客たちに感謝の想いを伝えたMCを経て、ライブはいよいよクライマックスへと突入していった。夏フェスを先取りするかのような爽やかな昂揚感を噛み締めさせてくれた「イッサイガッサイ〜2019Ver.〜」。最高のビートを徹底的に体感させてくれた「C’mon, Let’s go〜2019Ver.〜」。そしてラストは「音色〜2019 Ver.〜」が飾った。《愛してんぜ 音色》という印象的な一節に表れている通り、音に対するラブソングとでも言うべきこの曲は、音楽愛に満ちた人々がたくさん集まっているこのイベントに実にふさわしかったと思う。ステージから届けられるサウンドに耳を傾けながら、「音楽って最高!」と心の底から感じることができた。Text:田中大セットリストM1. FinallyM2. 基準 ~2019 Ver.~M3. パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~M4. 人生M5. 居場所M6. イッサイガッサイ ~2019 Ver.~M7. C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~M8. 音色 ~2019 Ver.~くるりくるり Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)1998年のデビュー時から所属しているくるりは、「琥珀色の街、上海蟹の朝」でスタート。イントロのギターが響くと同時にフロアが湧き立つ。この曲でフロントマンの岸田繁はハンドマイクになるのが恒例だったが、少し前からギターを抱えたまま歌う形にシフトしている。岸田とベース佐藤征史を支える不動のサポートは、ギターの松本大樹とキーボードの野崎泰弘、ドラムはあらきゆうこだ。「ばらの花」で盛大に拍手を浴び、『NIKKI』(2005年)から「虹色の天使」をプレイし、最新EPのタイトル曲「愛の太陽」へ。ライブでの再現が難しいとされていた実験作『天才の愛』の次は、シンプルな方向に振り切ったようだ。くるりのスタンダード曲に育っていきそうである。目まぐるしく変わる展開がワクワクする「Liberty & Gravity」の後、MCをはさんで「everybody feels the same」へ。岸田が都市名を並べるあたりから、フロアにハンドクラップが響き渡る。締めを飾るのは叙情性の面においてくるりを代表する2曲である「ハイウェイ」と「Remember me」。あまりにも良すぎたからか、曲が終わった時にはすっかり帰る気分になっていた。いやいや、フェスはまだまだ続く。Text:兵庫慎司セットリストM1. 琥珀色の街、上海蟹の朝M2. ばらの花M3. 虹色の天使M4. 愛の太陽M5. Liberty & GravityM6. everybody feels the sameM7. ハイウェイM8. Remember me星野源星野源 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)「ひらめき」からスタートした星野源のライブ。2010年6月にリリースされた1stアルバム『ばかのうた』に収録されているこの曲を、弾き語りでじっくり聴くことができて、早速嬉しくなったファンがたくさんいたに違いない。アコギを爪弾きながら響かせる歌声がとても穏やか。「すごい人!来てくれてありがとうございます。めちゃくちゃ暗い曲をいっぱい持ってきました(笑)。SPEEDSTAR、30周年おめでとうございます。いつもお世話になってます。拾っていただき感謝しかありません」という最初のMCの後に披露された「ばらばら」も『ばかのうた』の収録曲。優しい温もりで包んでくれるかのようなオープニングの2曲だった。続いて「人間の真理が歌われているのでご自身に照らし合わせていただければ。」とMCを挟んで歌い始めたハナ肇とクレイジー・キャッツのカバー「スーダラ節」。『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌「恋」も弾き語りで披露された後、ステージに招き入れられたゲストはギタリストの長岡亮介。「化物」と「地獄でなぜ悪い」は、2人の躍動感に満ちたサウンドに誘われて、観客たちの間から明るい手拍子と声援が起こった。「くせのうた」も2人編成で届けられた後、「日々いろんなことがありますけど。シンプルですけど、生きていきましょう」という言葉が添えられて、ラストは「くだらないの中に」が締め括った。2011年3月にリリースされた1stシングルの曲だが、やはり堪らない魅力がある。耳を傾けていると、心が徐々に潤いを取り戻していくような感覚になった。全曲を歌い終えると、手を振りながらステージを後にした星野。彼を見送る拍手と歓声は、特大級だった。Text:田中大セットリストM1. ひらめきM2. ばらばらM3. スーダラ節M4. 恋M5. 化物M6. 地獄でなぜ悪いM7. くせのうたM8. くだらないの中に斉藤和義斉藤和義 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)今日、斉藤和義が1曲目に持ってきたのは「やさしくなりたい」。ギター×2とベースとドラムと歌、シンプルなバンドサウンドのいかつい鳴りが、とても心地いい。次は2022年7月リリースの、現時点での最新曲「明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ」。斉藤和義が弾くアコースティック・ギターの、激しいカッティング音が響く。歌い終え、おなじみの「東洋一脱力した“いぇーい”」を放ってから、スピードスターと同じく自分も今年30周年である、と告げる斉藤和義。「知らない方もいると思うので。私、せっちゃんと呼ばれてまして……」と、ロックファンはみんな知っているその理由を、不必要なほど丁寧に説明する。そして、来月発売するニューアルバム『PINEAPPLE』から、今日初めてやる新曲を……と、「問わず語りの子守唄」を披露。ひとことひとことが耳に刺さるようなリリックを搭載した曲である。2021年のデジタルシングル「Boy」を経ての「ずっと好きだった」では、サビで腕を振り上げる人、多数。口元はマスクで見えないが、みんな一緒に歌っていたのではないか。続く「ベリーベリーストロング」では、挙がる腕の数がさらに増える。ラストは「歩いて帰ろう」。間奏明けのブロックで歌をオーディエンスにまかせる、本来おなじみだった光景を、久々に見ることができた。感動的だった。去り際に斉藤和義は、「またね」と両手を振った。Text:兵庫慎司セットリストM1. やさしくなりたいM2. 明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだM3. 問わず語りの子守唄M4. BoyM5. ずっと好きだったM6. ベリーベリーストロングM7. 歩いて帰ろう矢野顕子矢野顕子 Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)ステージ中央に置かれたグランドピアノに向かった矢野顕子。最初に届けられたのは「ラーメンたべたい」。ピアノと1つになり、緩急自在に響かせる歌声に引き込まれずにはいられない。続いて「音楽はおくりもの」。弾かれているピアノが喜んでいるように感じられたのは、きっと気のせいではなかったのだと思う。至福のサウンドで完全に満たされた空間で耳を傾けるのは、何とも言えず素敵な体験であった。「幕張メッセ、初めて来ました。SPEEDSTARに拾っていただき、今年で10年になるんだそうです。次にやる曲を書いてくれたのはパット・メセニー。ご本人は歌われないので音域がものすごく広いです(笑)」――ウィットを利かせた紹介を経て披露された「PRAYER」も素晴らしかった。観客たちの心が静かに震えているのが肌で感じられる……。そして「今日、くるりのステージでも演奏されましたが、そんなことは構わず、矢野顕子もこの曲をやります(笑)」という言葉が和やかな笑いを誘ってから届けられたくるりのカバー「ばらの花」。この曲の後に、岸田繁(くるり)がステージに呼び込まれた。「私たちの数多くのヒット曲から厳選したこの曲を(笑)。2人で書いたんでしたっけ?」(矢野)、「はい。漫画喫茶で」(岸田)、「漫画喫茶に行ったのは後にも先にもあれが初めてです」(矢野)、「いい仕事できたかなと」(岸田)、「まだ漫画喫茶ってあるんですか?」(矢野)、「あります。シャワーも浴びれますし」――ほのぼのとしたやり取りの後に披露されたのは、2人の共作で2006年にリリースされた「PRESTO with 岸田繁」。岸田もアコースティックギターを弾きながら歌い、温かなハーモニーを響かせていた。Photo:AZUSA TAKADA(SOUND SHOOTER)くるりとの共演や、レイ・ハラカミも加わった3人で歌ったことは過去にあったが、2人きりの共演は、これが初であることが判明。感慨深そうだったMCタイムの後、NYの矢野のスタジオで共作したのだという「おいてくよwith 岸田繁」も2人で披露。そして岸田を送り出した後、「みなさんを国際宇宙ステーションにご招待します。訓練は要りません。ロケットの名前はドラゴン。行きますよ」と言い、歌い始めた「ドラゴンはのぼる」。この曲は3月15日にリリースされた『君に会いたいんだ、とても』に収録されている。2020年11月16日に宇宙に飛び立った野口聡一飛行士に「宇宙で自由に詞を書いて下さい。私が曲をつけます」と矢野が提案したところから制作がスタートし、完成された最新アルバムの曲も聴くことができて嬉しかった。「ここにいられて嬉しいのでみんなのために歌います」という言葉が添えられて、ラストには「ひとつだけ」が披露された。あんなにも素敵な歌、ピアノに包まれたら、当然ながら心は激しく震えずにはいられない。初めて矢野顕子のライブを観た人もたくさんいたはずだが、心の底から魅了されたのでは?『LIVE the SPEEDSTAR』の最後を飾るにふさわしい余韻を残した名演であった。Text:田中大セットリストM1. ラーメンたべたいM2. 音楽はおくりものM3. PRAYERM4. ばらの花M5. PRESTO with 岸田繁(くるり)M6. おいてくよ with 岸田繁(くるり)M7. ドラゴンはのぼるM8. ひとつだけ<ROAR STAGE>SPECIAL OTHERSSPECIAL OTHERS Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)BARK STAGEのGRAPEVINEの熱演に続いて、ROAR STAGEにはSPECIAL OTHERSが登場。9ヶ月連続リリースの第一弾として2月25日にリリースされた最新楽曲「Fanfare」の晴れやかな躍動感で、幕張メッセの空間を心地好く揺さぶっていく。インストゥルメンタルの演奏を主体としたジャム・バンドではあるが――いや、言葉の意味に頼らないインストゥルメンタル音楽だからこそ、宮原"TOYIN"良太(Ds)/又吉"SEGUN"優也(B)/柳下"DAYO"武史(G)/芹澤"REMI"優真(Key)のアンサンブルは、聴く者の中に伸びやかで色彩豊かなイマジネーションを呼び起こしてくる。「我々がSPEEDSTARに入って、14年ぐらい経ってました。30周年の半分くらい?微力ながら貢献できて嬉しいです!」と宮原。「SPEEDSTARのCD買っときゃ間違いない、みたいなイメージあったよね?『おしゃれでかっこいい』みたいな感じで、憧れてたところもあったんだよね。そんなレーベルの、最高のイベントに参加できて嬉しいです!」と芹澤。レーベルへの想いを語る言葉に、惜しみない拍手が広がる。お馴染みのフライドポテト揚げ上がりサインをダンサブルなグルーヴに昇華した「Potato」の極上の演奏とユーモアでさらに会場の温度を上げたところで、昨年6月リリースの8thアルバム『Anniversary』から「Timelapse」を披露。唯一無二の進化を続けてきたバンドの道程と、その足跡を愛し続けたリスナー/オーディエンスを音で祝福するかのような多幸感が、フロアの隅々にまで温かく広がっていく。そしてラストは「AIMS」!楽器と心で高らかに歌い上げる、スペアザならではのライブアンセムが、メッセを爽快な開放感で満たしていった。Text:高橋智樹セットリストM1. FanfareM2. PotatoM3. TimelapseM4. AIMSつじあやのつじあやの Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「楽しいお祭りです。今日は楽しんでいってください!」という、爽やかな言葉で始まったつじあやののステージ。ROAR STAGEのフロアに笑顔を運ぶ、朗らかで気持ちの良いライブである。ウクレレのメロディに心洗われる「クローバー」が始まると、会場の空気がいきなり変わる。外はあいにくの雨模様だが、パッと晴れ間が広がるような歌声に癒される。踊るような鍵盤、跳ね回るリズムが快活に響き渡る「春風」を、タンバリンを叩きながら歌う姿が印象的だ。「こんにちは、つじあやのです。スピードスター30周年です。私がスピードスターに来てから20数年になります。最初の頃は右も左もわからないけど、怖いものはなくて。個性溢れる先輩に囲まれながら、マイペースにやってきました」という彼女。おっとりしているようで芯のあるその言葉は、そのままつじあやのの音楽に繋がっているように思う。約10年ぶりのオリジナルアルバムとしてリリースされた『HELLO WOMAN』から、「明日きっと」を披露する。雲に乗って青空を飛んでいくようなナンバーで、溌剌とした声は虹色の照明に乗って突き抜けていく。山下達郎のカバー「パレード」は、少ない音数ながら贅沢なアンサンブルが印象的だ。そこからは一転、星空の下で歌っているような照明のもと、「君にありがとう」をスタート。心の奥にそっと流れ落ちるような声が魅力的だ。「スピードスターの素晴らしいアーティストが揃いも揃っています。最後まで楽しんでいってください」というMCから、押しも押されもせぬ代表曲「風になる」へ。イントロを聴いただけで心が踊る、瑞々しい名曲である。自転車に乗って駆け抜けていくようなメロディと、そよ風に揺れるように手を振るお客さんが眩しい。幸運を運んでくるような声で魅了した彼女は、晴れやかにステージを後にした。Text:黒田隆太朗セットリストM1. クローバーM2. 春風M3. 明日きっとM4. パレードM5. 君にありがとうM6. 風になる藤巻亮太藤巻亮太 Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)轟々たるフィードバックノイズを浴びながら、ROAR STAGEには藤巻亮太が意気揚々と登場。今年1月にリリースされた4thアルバム『Sunshine』から「この道どんな道」を歌い上げるアグレッシブな歌声が、会場の期待感を歓喜の先へと導いていく。さらに、レミオロメンとして2004年にリリースした「南風」で、フロア狭しとハンドウェーブが巻き起こしてみせる。「ひとりひとりの思い出の中に、大事な人が浮かんできたり……そんな曲もあるかもしれません。だからこそ、僕も毎回、新鮮な気持ちで歌わせてもらっております」という言葉に続けて歌い上げたのは「3月9日」。ボーカリストとしての類稀なる表現力、感情の機微を珠玉のメロディへと結晶させるソングライティング……。ポップミュージックの訴求力と包容力そのもののような楽曲で、00年代以降の音楽シーンにその足跡を刻み込んできた藤巻の存在感が、この日のステージにも確かに花開いていた。「藤巻亮太の現在地の曲だと思っています。不安なことも多い世の中だと思いますけど、みなさんの、静かに戦ってらっしゃる背中を、少しでも押せたらと思います」と披露したのは、2月にリリースされたばかりの配信シングル「朝焼けの向こう」。《諦めるなこの心よ/自分が自分であるために》——パワフルなバンドサウンドが、そして何より藤巻の圧巻のドライブ感が、ROAR STAGEの高揚感をさらに熱く煽り立てていく。そして最後、「今日は寒いですけど……雪まではいかなかったですよね?最後に、パラッと降らしていきます!」と名曲「粉雪」で大団円!歌の持つ力を誰もが最大限に体感し得た、至上のひとときだった。Text:高橋智樹セットリストM1. この道どんな道M2. 南風M3. 3月9日M4.朝焼けの向こうM5. 粉雪THE BACK HORNTHE BACK HORN Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)荘厳なSEが流れTHE BACK HORNのステージの幕が上がる。地響きのようなドラミングに乗って荒々しくドライヴしていく「シンフォニア」で、いきなりフロアのボルテージはマックスだ。涙を流しながら咆哮するようなギターが響く名曲「罠」。亡霊のように彷徨う上音と、フロアの床を侵食するように迫ってくる低音に飲み込まれる「美しい名前」。まるでのっけからクライマックス同然のテンションである。ここでMCを挟んで小休止。嵐の前の最後の静けさだ。「30周年おめでとうございます。所属してから22年が経ちましたけど、結成してから25周年が経ちました。スピードスターが持つ色の変態っぽさと言いますか、キャラの濃い素晴らしいアーティストがいっぱいいます。力に変えて帰ってください」。さあ、ここから怒涛のフィナーレである。誰もが歌いたくなるようなメロディに惹きつけられる「希望を鳴らせ」が、再びフロアに火を付ける。会場の向こうまでぶっ飛ばすように拳を挙げて歌う山田将司(Vo)の姿が目に焼き付いて離れない。間髪入れずに「コバルトブルー」で畳みかけると、命の限りに叫ぶようなギターと、腹の底にズシンと響くようなベースにクラクラさせられた。強靭なアンサンブルに身を任せ、荒ぶるように身体を動かすヴォーカルもカッコいい。そのどれもが真摯で鮮烈、この歌だけは正面から受け止めなければ、と思わせる迫力があるのだ。最後は「また会おうぜ」という言葉を残し「太陽の花」へ。咲き乱れるように細かいリズムを刻む太いベースに、嫌でも身体が揺さぶられる。美しい旋律とカオスが同居するサウンド、ドス黒いのに眩しいメロディ、間違いなくこのバンドだからこそ築けた音楽だろう。どこまでも愚直で手加減を知らない、聴く者に生きる糧を与えるようなライブに絶え間ない拍手と拳が上がっていた。Text:黒田隆太朗セットリストM1. シンフォニアM2. 罠M3. 美しい名前M4. 希望を鳴らせM5. コバルトブルーM6. 太陽の花AA=AA= Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)荒々しいドラムの響きに続いて、ハンドマイクスタイルで強烈なメッセージを放つ上田剛士のスクリーム、そしてROAR STAGEに吹き荒れるハイパーな轟音の嵐!いきなり未発表の新曲からスタートしたAA=のステージは、コンセプチュアル・アルバム『story of Suite #19』の収録曲「BORDER」へと雪崩れ込み、幕張メッセの熱気を熾烈な緊迫感と狂騒感で塗り替えていく。時代と向き合い時代と戦う音楽としてのハードコアのリアリズムが、2023年の「今」を芯から震わせていく。上田剛士&白川貴善&児島実のパンキッシュな絶唱がメッセの天井を貫くように鳴り渡った「PICK UP THE PIECES」のダイナミズム。「NOISE OSC」から「The Klock」へとシームレスに繋ぐサウンドスケープに、世界の混沌を凝縮し炸裂させてみせた圧巻の展開……。衝撃と衝撃の軋轢の果てに、透徹した世界観と一筋の光を描き出す。まさに唯一無二の表現だ。そして、「SPEEDSTAR RECORDSのレジェンド、そしてロックンロールのレジェンド、シーナ&ザ・ロケッツの曲――日本で一番ロマンチックなロックンロール、やります」という言葉とともに披露されたのは「ユー・メイ・ドリーム」。3月29日リリースの上田剛士初のカバーアルバム『TEENAGE DREAMS』にも収録されるシーナ&ザ・ロケッツの名曲が、時空を超えたロックの道筋を力強く照らし出していた。ラストの「FREEDOM」で再びROAR STAGEを震撼させた後、「みんなにとって、明日がいい日であることを願っています。どうもありがとうございました!」と語りかける上田剛士の姿に、惜しみない拍手が降り注いだ。Text:高橋智樹セットリストM1. 新曲M2. BORDERM3. PICK UP THE PIECESM4. NOISE OSCM5. The KlockM6. ユー・メイ・ドリームM7. FREEDOM竹原ピストル竹原ピストル Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「お世話になっているSPEEDSTARに感謝を込めてやります、竹原ピストルです」が第一声。そう、彼の叫びはいつだって感謝の裏返しなのだろう。1曲目を歌い終わるや否や多くの拍手が起こり、一瞬の静寂が訪れた。のっけから余韻と期待に会場全体が包み込まれていたように思う。「LIVE IN 和歌山」からは一層ゲインが上がっていく。時に語りかけるように、あるいは殴りつけるように歌う彼から目が離せない。一際緊張感を持って歌われたのが、ラップともポエトリーとも言える「ギラギラなやつをまだ持ってる」である。懸命さと隣り合わせの攻撃性、情けなさと引き換えに掴んだ意地、音楽と人生に誠実でいるからこそ歌える<傷跡ひっくるめて魂だ>というリリック。アコギ1本とは思えない迫力満点のサウンドが胸を打つ。「もしよかったら疲れない程度に手拍子ください」と言われれば、ハンズクラップで応えないわけにはいかないだろう。リズミカルな音に乗せて優しいメロディを届ける「よー、そこの若いの」を歌い、本ライブのハイライト「Amazing Grace」へと繋がっていく。「皆さんが健やかに過ごされますように、お祈りの気持ちを込めて歌います」というセリフと、真心込めて呟くような最後の<Amazing Grace>という詩。その清らかさに圧倒された者は多いはずだ。さて、ここで一呼吸を置くMCである。マスクをつけてもつけなくても、街中で誰からも気づかれないというエピソードが微笑ましい。怖いぐらいの誠実さとあどけないユーモア。竹原ピルトルはそのふたつがあるから頼もしい。最後は未発表曲の「アンチヒーロー」で終幕。一度限りの人生を懸命に生き抜く歌、タフな表現者に万雷の拍手が送られた。Text:黒田隆太朗セットリストM1. おーい!おーい!M2. カモメM3. LIVE IN和歌山M4. ギラギラなやつをまだ持ってるM5. よー、そこの若いのM6. Amazing GraceM7. 今宵もかろうじて歌い切るM8. アンチヒーローLOVE PSYCHEDELICOLOVE PSYCHEDELICO Photo:木下マリ(SOUND SHOOTER)「LIVE the SPEEDSTAR」、ROAR STAGEの最後を飾るのはLOVE PSYCHEDELICO。NAOKIのギターが「Free World」のイントロをかき鳴らすと、フロアに自然とクラップがあふれ、KUMIの歌声がオーディエンスの心を重力から解き放つ。エバーグリーンなロックが描き出す、涼やかでタフなポップの多幸感。祝祭の夜はなおも刻一刻と高まっていく。「SPEEDSTAR 30周年、みんなで楽しんでいこう!」というKUMIの言葉に続けて、最新アルバム『A revolution』の「Swingin’」、さらにNAOKIのアコギソロを挟んで、1stアルバム『THE GREATEST HITS』から「Your Song」へと繋いで、フロアを軽快なクラップの渦へと巻き込んでいく。そして、1stアルバムからもう1曲「Last Smile」。日本語と英語をしなやかに織り重ねて美しいグルーヴを刻むKUMIの歌声、聴く者すべてのメランコリアと共振するメロディ、研ぎ澄まされたバンドアンサンブル、むせび泣くようなNAOKIのソロフレーズ――。リリースから20年以上の時を経てなお、いや時代の変遷を経た今こそ、その楽曲の輝きは鮮烈に伝わってくる。「Calling You」のタイトなビートで再びROAR STAGEを揺らしたところで、NAOKIが繰り出す「LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜」のリフに場内が拍手喝采で沸き返り、KUMIの《won’t you cry?》のリフレインに応えてオーディエンスの手が頭上に揺れる。ラウドでもエクストリームでもない、しかし力強く揺るぎないポップの訴求力が、音楽の理想郷の如き高揚の風景を切り開いていく。熱演を締め括ったのは、最新アルバムのタイトルナンバー「A revolution」。《Ten to nothing, we’re behind/それでも奪えない僕らの世界はbeautiful》……困難な日常すらも奮い立たせるロックが、ここには確かに鳴り渡っていた。Text:高橋智樹セットリストM1. Free WorldM2. Swingin’M3. Your SongM4. Last SmileM5. Calling YouM6. LADY MADONNA ~憂鬱なるスパイダー~M7. A revolution鮎川誠FOREVER(スペシャル映像上映)BARK STAGEで斉藤和義のライブが終わった直後、画面に「NEXT ARTIST シーナ&ロケッツ」という文字が。この『LIVE the SPEEDSTAR』に出演するはずだったが、鮎川誠が1月29日に亡くなったため、出演をキャンセルせざるを得なかったシーナ&ロケッツは、スピードスター立ち上げの時から現在まで所属する唯一のアーティストであり、レーベルを象徴する存在だった。その功績を振り返り、追悼の意を表す企画が、彼らの出演の代わりに、ここで行われたのだった。スピードスターからのメッセージと企画の趣旨を文字で伝えた後、「短い時間ではありますが、ありし日の雄姿をご覧ください」と、シーナ&ロケッツ(シーナの産休時に鮎川誠がボーカルで活動していたロケッツの曲も含む)の、テレビ出演時や、MVや、ライブの映像が流れる。「ホラ吹きイナヅマ」。「Rock Is Alright」。キンクス「YOU REALLY GOT ME」のカヴァー。「スイート・インスピレーション」。「ロックの好きなベイビー抱いて」。「ラフネックブルース」……。「レモンティー」の貴重なライブ映像は、長めの尺で見せてくれた。ラストはシナロケの最初の代表曲である「ユー・メイ・ドリーム」。すべての映像が終わり、鮎川誠の声が響き、彼の手書きメッセージが画面に現れた。それが消えると、大きな拍手がBARK STAGEを包んだ。<イベント情報>SPEEDSTAR RECORDS 30th Anniversary『LIVE the SPEEDSTAR』supported byビクターロック祭り3月18日(土) 幕張メッセ国際展示場 9~11ホール開場 9:00 / 開演 11:00(予定)【出演アーティスト】(出演順)■BARK STAGEGRAPEVINE / スガ シカオ / UA / KREVA / くるり / 星野源 / 斉藤和義 / 矢野顕子■ROAR STAGESPECIAL OTHERS / つじあやの / 藤巻亮太 / THE BACK HORN / AA= / 竹原ピストル / LOVE PSYCHEDELICOセットリストプレイリスト:イベント公式サイト:
2023年03月20日沖縄県総合運動公園多目的広場で、『HY SKY Fes 2023』前夜祭が、2023年3月17日(金) 18時より開催された。前夜祭のために設けられたグリーンステージでは、HYによるアコースティックライブのほか、シークレットゲストのナオト・インティライミが3曲を披露。SKY Fesが掲げるテーマである「家族で楽しめるフェスにしたいなと思っています。子供たちの夢につながるきっかけを色々なところに散りばめたいなと思って、僕たちいろいろやりました。最高の3日間にしていきましょうねー!」というメッセージを添えて、明日から始まる2日間のスタートを切った。入場ゲートを超えるとまず目にするのは、ナチュラルな雰囲気の装飾。フォトブースや出演者名を書いた看板、手書きの導線案内やタイムテーブルなど、HYメンバーによる装飾が会場内に散りばめられている。前夜祭開演時刻まで来場者は、装飾を前に写真を撮ったり会場内を散歩したり、フードエリアを利用したりと思い思いに過ごした。今回迎える4回目で『HY SKY Fes』は大きくバージョンアップした。特にテントサイトは早々に完売し、約100組ものキャンパー達がフェスの余韻が残る中、沖縄でのキャンプ泊を満喫する。開演時刻2時間前の16時に入場ゲートが開き、卒業式前の早下校というタイミングもあり、早い時間から子供達が会場内を駆け抜けた。ステージ前には早い時間から場所を確保している来場者も多く、SKY Fesへの期待感が窺い知れた。そして夕刻に差し掛かる18時、前夜祭がスタート。登壇するのはもちろん、HY。「嬉しいね」「はいさい! HYです!」と来場者に挨拶をしたHY。新里英之は何度も「嬉しい」と言い、「こんなにたくさんの方が、前夜祭から参加するなんて通だね〜。沖縄の自然を感じられるのが今日」「装飾を修正するためにメンバーが会場内を走り抜ける、そんな姿を見られるのも前夜祭ならでは」と、前夜祭の楽しみを紹介した。「家族で楽しめるフェスにしたいなと思っています」「子供たちの夢につながるきっかけを色々なところに散りばめたいなと思って、僕たちいろいろやりました」「楽しめるポイントをいっぱい作って行った」と新里が話すと、拍手が湧き上がった。会場内の装飾については仲宗根泉が力説。「前回使ったものも捨てるのではなく、リメイクしたいと思ったので、流木を拾ってきたり」「できるだけお金はかからないように、としているのですが、やはりお金がかかるじゃないですか。自腹です」と仲宗根がコメントし、拍手と笑い声が起きた。フェスについて説明したあとは、ネスレ日本株式会社とHYによるパネルディスカッションを行った。沖縄コーヒープロジェクトについて説明、沖縄のコーヒーをハワイのコナコーヒーのような存在にしていきたいという思いを語った。県産コーヒーは会場内で試飲可能。「実はここで皆さんにサプライズがありまして、どうやらアーティストさんが今日遊びに来てて、前夜祭から楽しみたいということで、呼ぶ?」と名嘉俊が意味深な言葉を語る。シークレットゲストのナオト・インティライミの呼び込みを行った。会場内で観客として座っていたナオトが登壇。ナオトにとってもマスクありで声を出してOKというイベントは、3年ぶりでありSKY Fesが初と話す。来場者と「セイホーオ」という掛け合いをし、声が出せることを喜んだ。ナオトは「ここにいられる喜びを本当に噛み締めているよ」と、SKY Fesが創り出す暖かい雰囲気を噛み締めた。「3年待ってたの俺これ! 音楽ってこうでなくっちゃね。みんなで作り上げていくやつ」と、「あの素晴らしい愛をもう一度」を来場者と共に歌った。そしてNaoto名義で海外で活動をしている楽曲、「El Japones(エルハポネス)」を披露し、会場をラテンの世界へと繋げた。最後にお別れの1曲として「今のキミを忘れない」を歌い、ナオトの前夜祭は終演。「楽しんで最高の夜を」と会場にまた戻っていった。ナオトのパフォーマンスを観ていたHYは、何度も何度も「笑い声が聞こえるっていいね」と、3年待ったこの時を心の底から喜んでいた。沖縄県黒糖協会とのパネルディスカッションでは、黒砂糖協同組合の活動について説明。許田信介は「絶対おばあちゃん家にあるんですよ」とメンバーの黒糖にまつわる思い出を語り合った。そして最後はお待ちかね、HYのアコースティックライブだ。衣装を変えたHYが登壇し、アコースティックライブを開始した。「皆さんHYフェス楽しんでますか?」との声がけに、拍手が沸き起こる。指笛が鳴り、来場者の声が聞こえ、そして新里の声が響きわたり、前夜祭最後のライブが始まった。手拍子からスタートした「未来」。そして続けて「てがみ」では、来場者が音に合わせて手を左右に振り、体を揺らしながら音を楽しんだ。優しさのバトンタッチをしていきたいと、次の楽曲「涙」へ繋いだ。そして「大切な人を思い浮かべて聴いてみてね」と、ギターを沖縄の三線に持ち替えて「三月の陽炎」を披露。「あなたを忘れたくないよ全部覚えてて欲しい」という歌詞で、夜空にHYの優しさが広がった。「最後の曲になります」と新里がいうと「えーーー!もっと聞きたーい!」と返す来場者の声。「最高の3日間にしていきましょうねー!」と最後の曲「エール」を歌った。拍手と横揺れ、そして「えーい!」と叫ぶ来場者たち。アーティストも来場者も、3年間この瞬間を待っていたんだ!という心の声がそこら中から聞こえてきた。最後は子供を舞台にあげ、ジャンプで終演。「きっと一生思い出に残ると思うよ。そういうのを僕たちは残していきたいと思います」。そうして前夜祭は幕を閉じた。3年間封印してきた歓声を、忘れかけていた掛け声を、徐々に思い出してきた来場者。今日からの2日間は大きな声で会場を盛り上げてくれるだろう。『HY SKY Fes 2023』は今日から2日間に渡り、HY含む13組のアーティストが舞台を盛り上げる。DAY1は当日券を販売、DAY2は会場レイアウト、入場者数などを総合的に判断し販売する場合あり。DAY2の当日券販売の有無に関しては、3月18日(土) 15時にオフィシャルサイトにて告知。そして、この3日間の模様は、5月1日(月) 19時30分から24時、CSチャンネルフジテレビTWO ドラマ・アニメにて独占放送されることが決定している。文=五十嵐梨花<公演情報>『HY SKY Fes 2023 前夜祭』2023年3月17日(金) 沖縄県総合運動公園 多目的広場【セットリスト】■ナオト・インティライミM1. いちばん近くに(HYカバー)M2. ありったけのLove SongM3. あの素晴らしい愛をもう一度M4. 今のキミを忘れない■HYM1. 未来M2. てがみM3. 涙M4. 三月の陽炎M5. エール『HY SKY Fes 2023』2023年3月18日(土)・19日(日) 沖縄県総合運動公園 多目的広場10:00 開場 / 12:00 開演【出演者】■DAY1HY、青山テルマ、ORANGE RANGE、スキマスイッチ、當山みれい、ナオト・インティライミ、FUNKY MONKEY BΛBY’S(※HY以外五十音順 ※敬称略、全7組)■DAY2HY、あいみょん、OAU、肝高の阿麻和利、Def Tech、Hilcrhyme、緑黄色社会(※HY以外五十音順 ※敬称略、全7組)SKY Fesオフィシャルサイト:<番組情報>『HY SKY Fes 2023』2023年5月1日(月) 19:30~24:00 フジテレビTWO ドラマ・アニメにて放送番組公式URL:
2023年03月18日“シンクロ”をキーワードに、次のシーンを作り出す期待のニューアーティストが競演する音楽イベント『CLAPPERBOARD –Enjoy the weekend!– vol.11』が3月5日(日)、渋谷WWWで開催された。Apes、THE KEBABS、SEVENTEEN AGAiN の3組を迎えた今回は、爆音が爆音を呼び、観客を熱狂させていく熱い1日となった。まず登場したのは、ヤブソン(Vo/Gt)を中心に結成した3ピースで、2021年にアルバム『世界は君たちを変えることは出来ない』をリリースしたSEVENTEEN AGAiN。「じゃ、やりまーす」と友人にでも挨拶するような口調でヤブソンはギターをかき鳴らし、「東京2021」でライブはスタートした。ピンスポットの元で、フロアに語りかけ、また問いかけるように歌い出す。人と会えない時期や閉塞した日常を経験した数年を経て、ようやく気兼ねなく友人と会い、またライブでの声出しもOKとなってきた今、この歌はその共に戦ってきた時間を労い、優しく包むように聞こえてくる。SEVENTEEN AGAiN挨拶代わりの握手となるようなその曲から、一気にノイジーなギターの音量をあげ、スピード感のあるドラム、ベースとともにシンガロングを響かせる「世界は君たちを変えることは出来ない」では、フロアを湧き立たせる爆音を轟かせる。アンセミックなコーラスに観客はコブシを突きあげ、それが再びバンドの勢いを加速させる。いきなりのノイジーなサウンドに驚く人をも巻き込んで、「DANCING IN THE TRASH」ではビター&スウィートな80’S的メロディで踊らせ、また「絶対君じゃ嫌なんだ」のキャッチーなパワーポップチューンで切なさをバーストさせる。爆裂なパワーによる力技と、それでいて切なさの琴線にさらりと触れていく繊細さとのバランスが絶妙で、気づけばどんどん会場の熱気が上がっている。朴訥とした風でいて、おそるべしバンドである。中盤には新曲だという「STAY GOLD」を披露。哀愁のあるメロディが冴え、突き上げたコブシにさらに力がこもる1曲は、これからのライブでの一体感をより濃くしてくれる曲になりそうだ。短いセットゆえ、多くを語るよりも曲をという思いもあっただろう。縁あってこのイベントに呼ばれたことや、「次はApesです。また、お会いしましょう」(ヤブソン)と飄々とした感じで伝えると、ラストに向けてアンサンブルはうねりをあげていく。「リプレイスメンツ」でぐっとその歌を観客の胸にさしてからの「シュプレヒコール」の爆発感、アグレッシヴなパンクロックの叫びに感情が全解放されたように、フロアの温度もぐっと上がるのが感じられる。さらにまだまだとばかりに汗のほとばしるハードコアナンバー「Don’t Break My Heart」を叩きつけると、観客からワッと歓声があがった。心のど真ん中をてらいなく撃ち抜いていく全身全霊の3人のアンサンブルと、爽快な笑顔に会場は大きな拍手で包まれた。青白いライトとスモークで柔らかに煙ったステージに登場したのは、坂井玲音(Vo/Gt)、アラユ(Gt)、村尾ケイト(Ba)による東京発バンド、Apes。アラユは準備運動のようにギターを持って飛び跳ね、またドラマーのもとに集まって4人で気合いを入れると、「よろしくお願います」(坂井)の言葉とともに、ギターとビートを鳴らしていく。Apes1曲目は2月にリリースしたデジタルシングル「Neighbor」。ギターのリフレインが印象的で、骨太なUKロックをルーツに感じさせるギターオリエンテッドなサウンドと歌心のあるドラマティックなメロディが冴える。続けざまに「Hesitate」で加速するアンサンブルに揺られているうちに、乗せギターふたりの音が密度高く絡み合い、そしてベースとどっしりとしたドラムが織りなす重厚なビートが観客を大きく飲み込んでいく。一気に深みを帯びていったウォールオブサウンドと強力なストロボライトとが相まって、酩酊感が襲う。ロックバンドとしての引力のあるステージだ。この日坂井はややハスキーなボーカルでそれもまた一興とでもいうか、個人的には青白い熱量を持った曲にさらなる陰影を加えていく味が出ていたり、ヒリヒリとした感覚もあっていいなという瞬間も多かったが、「今日はこんな声だけど、めちゃくちゃいいライブをするので」と言ってサウンドの馬力をあげていく。その真骨頂と言えたのが、「Sing for you」に続いた、「Goodbye sea」だろう。フィードバックノイズからザクザクとしたギターリフでキャッチーに観客を曲に引っ張り込んだかと思いきや、曲が進むにつれて甘美なシューゲイザーサウンドで痺れさせ、またエクスペリメンタルに曲が広がっていく。“バンド”ならではの呼吸感とドラマ性、導火線に火をつけその日その場限りの間合いや空気感でジリジリとクライマックスへと上り詰めていく緊張感に会場が息を飲むのがわかる。キャッチーでコンパクトかつわかりやすい曲がもてはやされる世にあって、そこに逆張りするようにギターが咆哮を上げ、ドラム、ベース、歌ともに瞬間、瞬間を音にして編み上げていくタペストリー的なロックサウンドを、堂々とかき鳴らすApes。そしてその頼もしいばかりの音を、観客もまた前のめりで掴み取っていく空間となっていることが嬉しい。そしてこの双方の熱が味わえるのがライブだからこそだと、改めて感じる。ラスト「Boying」で鳴り響くおおらかなビートに合わせて、観客とさらに濃密な空間を作り、ともに歌い上げていくような高揚感のあるメロディを紡ぐ。そのカタルシスが最高だ。ロックバンドの楽しさを見せつけたTHE KEBABSこの日のトリを飾ったのは、2018年に活動をスタートしたTHE KEBABS。佐々木亮介(Vo/G/a flood of circle)、新井弘毅(Gt/ex.serial TV drama)、田淵智也(Ba/UNISON SQUARE GARDEN)、鈴木浩之(Ds/ex.ART-SCHOOL)というスーパープレイヤーがそろい踏みのバンドに“期待のニューアーティスト”というのは憚れるが、しかしそれぞれのバックボーンも活かしながらも、ここでしか鳴らせないアンサンブル、ハジけたユーモア、大人の戯れを存分に感じさせるその音楽は、新鮮であり、常に何が起こるのかわからないワクワクにも満ちている。期待、しかないバンドである。THE KEBABS盛大な手拍子に迎えられた4人は登場から元気で、「やさしくなりたい」「THE KEBABSのテーマ」、そして「すごいやばい」と、ボリュームを上げて突き進んでいく。佐々木は時にアルコールを嗜みながら、しゃがれ声を響かせ、その両サイドでは歪んだ低音で会場を足元から揺らすようなベースと、華やかな色味をほとばしらせるようなギターがせめぎあっている。「オーロラソース」では、快活なドラムビートとロックンロールなギターリフでドライブし、またスピードをあげた「枕を変えたら眠れない」では田淵と新井が向き合って、互いにテクニカルな音で押し合いへし合いする。シアトリカルだが、音を重ね合わせる醍醐味を味わい、圧倒させる。ドラマーの目の前で繰り広げられるその光景に思わず笑みが漏れたのだろう、鈴木はエネルギッシュにビートを刻みながらも満面の笑みである。普段のスタジオでもこんな感じなんじゃなかろうかという、4人の空気感が伝わってくるシーンでもある。ロックバンドって、最高だなというのをそのままこの場で見せてくれる、そんなステージだ。佐々木は、「これでまだ19時でしょ?いかれてるよ」とステージと会場の盛り上がりに笑顔を見せ、「あと3時間くらいやってもいいんじゃない?」とフロアを沸かせる。そして「あとちょっと、ぶち上げて帰ります」と3月15日リリースのEP『幸せにしてくれいーぴー』から、「THE KEBABSを抱きしめて」を披露。すぐさま会場が一体となる、これまたキラーチューンだ。ここからも怒涛で、「恐竜あらわる」「てんとう虫の夏」、そしてラストは大合唱必至のメロディアスな「うれしいきもち」へと、笑顔を加速させていく。バカバカしいくらいの爆音をかき鳴らし、ギターフレーズまで大合唱したくなるようなキャッチーさで、大団円を迎えた『CLAPPERBOARD -Enjoy the Weekend!- vol.11』。まさに最高の1日の締めくくりだ。Text:吉羽さおりPhoto:キセキミチコ<公演情報>『CLAPPERBOARD -Enjoy the Weekend!- vol.11』3月5日(日) 東京・渋谷WWWセットリスト■SEVENTEEN AGAiN01. 東京202102. 世界は君たちを変えることは出来ない03. DANCING IN THR TRASH04. 絶対君じゃ嫌なんだ05. STAY GOLD06. ダイヴ07. 戦争はおわりにしよう08. ピリオド09. リプレイスメンツ10. シュプレヒコール11. Don’t Break My Heart■Apes01. Neighbor02. Hesitate03. ハイライト04. Sing for you05. Goodbye sea06. やさしくなれない07. Boying■THE KEBABS01. やさしくなりたい02. THE KEBABSのテーマ03. すごいやばい04. オーロラソース05. おねがいヘルプミー06. 枕を変えたら眠れない07. ラビュラ08. THE KEBABSを抱きしめて09. 恐竜あらわる10. てんとう虫の夏11. うれしいきもちイベント公式Twitter:
2023年03月17日次世代を担うアーティストがヘッドライナーとなり、今一番共演したいアーティストを迎える音楽イベント『HIGH FIVE』。初年度となった2022年も、2回目の開催となった2023年も、全国各地のZeppで伝説の夜を作り上げてきた。本年度のツアーファイナル公演となる名古屋はZepp Nagoyaにて3月5日(日) に開催され、ヘッドライナーはCody・Lee(李)、そして彼らが指名したのがASIAN KUNG-FU GENERATION。いや、こんな対バンが実現するんだから面白い。勿論意味のない対バンなんて存在しない。どんなライブにだって意味があるし、そのひとつひとつに物語はある。後から付いてくるストーリーだってある。そんな中、『HIGH FIVE』で起きる数々のドラマに僕はもうずっとドキドキしている。実際に目撃した2022年名古屋のハンブレッダーズと04 Limited Sazabysのツーマンなんて目の前で起きたことに口が開きっぱなしだったし、今年だってSNSを通して各公演の様子をチェックしては部屋でひとり興奮していた。そして3月5日。部屋を飛び出して、ライブハウスに早足で向かって、Zepp Nagoyaに到着すると今から始まる物語を想像し体温が上がっていることに気付く。それくらい心拍数も上がっていたのだと思う。憧れの存在と対峙するとき、近くなれば近くなるほどその壁の高さに気付いたりする。今日、Cody・Lee(李) はASIAN KUNG-FU GENERATIONを前にどんな気持ちになるのかな。ASIAN KUNG-FU GENERATIONはCody・Lee(李) の前でどんなライブをするのかな。ステージのバックドロップを眺めながら、改めてこんな機会を作り上げた『HIGH FIVE』に手が真っ赤になるほど拍手を送りたい気持ちになる。ステージにASIAN KUNG-FU GENERATIONが登場する。空気が変わる。いや、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが空気を変える。「Re:Re:」「リライト」と立て続けに演奏されるアンセム中のアンセムの中にASIAN KUNG-FU GENERATIONからの2023年今この瞬間のメッセージを受け取る。形は変わる。時が経って変わりゆくものだと僕らはこの数年で思い知った。どうかなくさないように。そう願って、祈って、有りもしない幻のイメージと戦ってきた。あの頃に戻るのではなく、塗り替えて、書き換えて、新しく始める。何したっていいんだぜ。今日の「Easter」はまるでライブハウスの復活を称えるように聴こえる。燃え上っていいんだぜ。悲しいことが続くけれど、続くから、だからこその音楽だ。勿論悲しみが消えることはない。失ったものは戻らない。生きることが苦なのであれば、その苦しみを共有することで半分こに出来るかもしれない。だって音楽があるから。ライブハウスで会えるから。僕は僕の何を成し遂げたのだろう。大人になって随分経つけれど、子どもの頃になりたかった大人になれているかは分からない。だから、だからこそまだ、終わらせるわけにはいかない。「宿縁」を聴きながら、生きること、死ぬこと、ぼんやりとだけど、考えていた。この日のある意味ハイライトでもあるのだけれど「ブラックアウト」を演奏するASIAN KUNG-FU GENERATIONの姿は何処かいつものASIAN KUNG-FU GENERATIONとは何かが違って見えた。それはCody・Lee(李) からの手紙に「ブラックアウトが好き」と書いてあったこと。Cody・Lee(李) の気持ちに応えることも、今この時代をライブハウスで共有することも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONからのメッセージだと受け取る。この数年を、この数カ月で起きたことを、僕は絶対忘れない。今日のライブも絶対に忘れない。そうやって日々を何度も駆け抜けていきたい。何度も。明けない夜なんてないというけれど、今まさに夜のど真ん中にいる人を温めてあげることが大切で、今日のASIAN KUNG-FU GENERATIONはCody・Lee(李) を前に、そんなライブを見せてくれた。多くは語らない。でも背中を見たら分かることがある。ここに集まった僕らで、憂鬱も退屈も蹴とばして、ライブハウスでハイタッチだ。さあ、Cody・Lee(李) だ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブを受け、どんな攻め方をするのだろうとワクワクしていたけれど、どんな予感よりも超ストレートに、いきなり「愛してますっ!」でラブコール。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きだって気持ちに逆らう術なんてないよね。尖らず、隠さず、「好き!愛してる!」と叫ぶことがCody・Lee(李) の戦い方なんだろう。最高だ。刺激が足りない日々に『HIGH FIVE』で最高な会合、どうせ頭の中は今日のことで頭がいっぱいだったんだろう。Cody・Lee(李) の鳴らす音のひとつひとつに歓びが溢れているのがめちゃくちゃ伝わるし、それがもう本当にめちゃくちゃ嬉しい。妄想はその域を超えて現実となって起こりうるってことを、今日、Cody・Lee(李) は証明してくれた。夢を叶えるために見た沢山の現実、そいつをとことん見たから夢を掴めたんだと思う。こんな日はのぼせるまで踊りたいよ。ライブハウスでビバノンしたいよ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONにCody・Lee(李) が送った手紙に「ブラックアウトが好き」と書いた逸話をついさっき後藤正文の口から聞いたばかりだけれど、その瞬間に僕はCody・Lee(李) のことを信用出来ると思った。いや、誰目線なんだよと思うかもしれないけど、「ブラックアウト」を選んだ彼らの青春時代を抱きしめたいと思った。ニシマケイが「つまらなかった学生時代にアジカン、ART-SCHOOL、Syrup16gを聴いていた。泣きそう」と語っていたけれど、あの言葉は僕らの代表としてそこに立っている彼らの、僕らの言葉だ。Cody・Lee(李) の「ブラックアウト」のカヴァーに全部出てたでしょ。彼らがどんな青春時代を過ごして、その傍にずっとASIAN KUNG-FU GENERATIONがいたこと。全部伝わったでしょ。それは絶対、ASIAN KUNG-FU GENERATIONにも届いたはずだ。音楽に夢があるんじゃなくて、夢を実現させるために何をしたか。行動こそが真実だって教えてくれたのは、今日のCody・Lee(李) だ。回り道したっていい。未知の先に後悔だってあるかもしれない。だったら道を作ればいい。一歩踏み出せばいい。そう教えてくれたのもCody・Lee(李) だったりする。アンコールでCody・Lee(李) が轟音で叩きつけた「When I was cityboy」を涙なしで観ることは僕には出来なかった。憧れも羨望も嫉妬もあれもこれも、ごちゃ混ぜの感情でASIAN KUNG-FU GENERATIONに体当たりしたCody・Lee(李) が最後の最後でかました捨て身の攻撃。まさに「攻めろ、音楽」だ。Cody・Lee(李) は「When I was cityboy」で「寂しささえもすべて溶かしてくれる」と歌う。じゃあ何が溶かしてくれるかって、それは音楽だし、ライブハウスだし、そこに集まっている人たちだし、何よりASIAN KUNG-FU GENERATIONだ。雪は溶けて川になって流れて行く。つくしの子ははずかしげに顔を出す。冬を超えて、もうすぐ春がやってくる。ライブハウスにもその季節がやっとやってくる。もしかしたら『HIGH FIVE』が春を連れてきてくれたのかもしれないなんて、割と本気で思ってしまう自分がいる。『HIGH FIVE 2023』、今年も素晴らしいものを見せてもらった。また春に会いましょう。TEXT BY 柴山順次(2YOU MAGAZINE)PHOTO BY 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2023年3月5日(日) 愛知・Zepp Nagoya【セットリスト】■ASIAN KUNG-FU GENERATION1. Re:Re:2. リライト3. Easter4. 宿縁5. ソラニン6. ブラックアウト7. ブルートレイン8. 転がる岩、君に朝が降る9. Be Alright■Cody・Lee(李)01. 愛してますっ!02. W.A.N.03. 悶々04. DANCE風呂a!05. 異星人と熱帯夜06. ブラックアウト(cover)07. 我愛你08. 世田谷代田09. LOVE SONG10. 初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!En. When I was cityboyHIGH FIVE Official site:※各公演のPHOTO REPORTを随時公開中公式Twitter:
2023年03月13日2022年にメジャーデビュー25周年を迎えたGRAPEVINE。そして、同年夏には、5th Album(2002年発表)の20年越しリビジット(再現)ツアー『grapevine in a lifetime presents another sky』が全国で開催された。同年12月には、本ツアーのLive Blu-ray&DVD『in a lifetime presents another sky』が発売されて、今年2月22日には2nd Album『Lifetime』(1999年発表)と『another sky』のライブ音源も配信リリースされている。今年2月からは『grapevine in a lifetime presents another sky』再追加公演ツアーも開催され、2月23日中野サンプラザホール、3月5日新潟LOTSを経て、3月10日にツアーファイナルがZepp Nambaで行われた。開演時間になり、メンバーがゆっくり登場する中、田中和将(Vo / G)が『in a lifetime presents another sky』のサインボードを、トランクを持つかの様に持って登場する。そのライトが放つ光は神々しくもあり、これから始まるライブにただただ期待してしまう。田中は、そのライトを指差し、観客に向かい一礼。まだ何も音が鳴らされていない状況でありながら、この一連の動作だけで客席は沸く。今年関西一発目のライブがどれだけ待ちわびられていたかがわかる。1曲目は、緩やかなスローナンバー「ふたり」から始まった。アルバムでは12曲目ラストナンバーであり、昨年のツアーでも曲順通り、最後に鳴らされている。『DVDも出てて、ネタバレもクソも無いんで、趣向凝らして逆からやってみました』『another sky』収録楽曲12曲全てをやり終えた後に、こう田中は笑顔で話したが、確かに曲順を逆からやっていくライブは新鮮であり斬新であった。12曲全てをやり終えるまでは、それこそ一切ネタバレせずに、ひたすら黙々と逆からやっていくのはクールでしかない。続いて、本来は11曲目「アナザーワールド」が2曲目に鳴らされる。ギターの緩やかな音色に身を委ねながら、『見ていたよ知っていたよ泣いていたのは』という歌詞に耳を傾けていたら、横後ろ三方へと縦に伸びるラベンダー色の照明に目を奪われた。すると、その照明が前へ倒れる様にして三角のピラミッドを形成したのだが、このあまりにも美しい照明演出には驚いてしまった。逆再生とも言うべきライブが、とにかく味わい深すぎる事を序盤2曲から感じる。すぐに歌い出される「Sundown and hightide」だが、最初の2曲と比較して徐々にアップテンポになっていき、熱を帯びていく。アルバム1曲目から3曲目からの構成ならば納得するが、しつこいようだが、逆からやっていくライブであり、12曲目から10曲目から鳴らされているのに何の違和感もなく、まるで最初から、この曲順だったと錯覚してしまうのが不思議だ。当時シングルカットもされた「ナツノヒカリ」は、クリアに透き通る透明感があり、軽やかで気持ち良い。一転して、「Let Me In~おれがおれが~」にいく前に、田中は『よし!』と気合いを入れて、右手を高く上げてからギターをかき鳴らす。荒々しいサウンドに派手な照明も似合い、観客からも手が上がっていく。曲終わり、充実感ある拍手が起きる中、すぐにギターリフから「Tinydogs」へ。伸びある歌声には解放感があり、駆け抜けるかの様に終わる。早くも6曲、つまり『another sky』12曲の半分が鳴らされた。ここから本来前半の1曲目から6曲目が、どう後半に逆から鳴らされるかが気になる。「Colors」は浮遊感があり、自然に体が揺れ、歪みあるギターサウンドも揺蕩い、とにかく心地よさしかない。まだ、その残響も残ったままで、田中のアコギから「それでも」へ。語り掛けるかの様な田中の歌声が印象的であり、寛大さを感じたナンバー。残すところ4曲と終盤に入り、ギターが唸り、カッティングから渋いシャウトが響き渡る。これぞファンキーであり、荒ぶる音の素晴らしさにやられるだけ。曲中、田中は『さぁ、大阪のみなさんお待たせしました!』とベースの金戸覚へと繋ぐ。痺れるベースの余韻に浸る間もなく、ドラムの亀井亨による速いカウントから「BLUE BACK」が鳴らされる。アップテンポで伸び伸び生き生きしたサウンドに、この日一番くらいに観客から手が上がっていく。高野勲(key)によるテルミンには恍惚感でうっとりしてしまう……。いよいよ11曲目「ドリフト160(改)」。重厚感あるギターのカッティングから高野のシンセが気持ち良すぎるくらいに合わさっていく。遂にラストナンバー「マリーのサウンドトラック」。青いライトにひとり照らされてギターを爪弾く田中の姿は神秘的である。『Mary in the Soundtruck』という言葉がずっと頭の中で鳴り響き、言葉と音に絡みつかれて、どこか遠い所へ持っていかれてしまう感覚に陥る。こうして12曲が鳴らされた1時間は終幕。ラストナンバーでしか有り得ないと感じて想う「マリーのサウンドトラック」だが、アルバムではオープニングナンバー。こんな荘厳なナンバーで幕を開けていたアルバムだったのかと衝撃を受けてしまったし、再度『another sky』を頭から通して聴きたい。そう今日のライブの逆再生として。それにしても、逆再生での再現ライブという発想は素晴らしすぎる。本編ラストナンバーは「Our Song」第二部として最初に鳴らされたのは、「Big tree song」。じゃぶじゃぶという水の音がサンプリングされてリフレインされる。先程までのコンセプトな世界とはまた違う世界であり、水の音の効果もあるのか、心身が浄化されていく。中盤のハンドクラップのパートでは、観客全員でクラップハンドをする。拓けていく快感で満ち溢れていた。現時点では最新アルバムである『新しい果実』(2021年発表)から、「目覚ましはいつも鳴りやまない」「Gifted」「ねずみ浄土」と立て続けに鳴らされる。GRAPEVINEの楽曲全てに言える事だが、重厚さと恍惚さの絶妙のバランスが堪らないのだろう。特に「ねずみ浄土」の独特のリズムと独特の言葉によるマッチングは、何度聴いてもドキドキしてワクワクする。こんな簡単な言葉を使ってはいけないのかも知れないが、新しい音楽を聴いていると、心の底から想う。20年前のアルバム『イデアの水槽』収録の「Suffer the Child」。こんな不穏なムードを持ちながらも、心を焦がされる様なナンバーを20年前から鳴らしていたのは凄すぎる。西川弘剛のギターソロはグルーヴィーであり、ずっとずっと聴いていたい。続く「フラニーと同意」はイントロだけで、観客から歓声が起きる。ロックンロールの重みを感じたナンバーから、カラフルで突き抜けた多幸感に胸が躍る「Alright」へ。本編ラストナンバーは、「Our Song」。ラストナンバーにふさわしい聴き応えがあり、聴き入ってしまうミドルテンポのナンバー。考えてみたら、本来はラストナンバーである「ふたり」から始まったわけで、最後から始まり最後に向かっていくライブは稀有であり、見事であった。アンコールで登場した田中の『よっしゃ!よっしゃ!』といった明るい言葉からも、ライブの充実度が伝わってくる。「MISOGI」の軽快なリズムに乗っかる『魂 掻き鳴らせ』という言葉が突き刺さる。右手を高く上げての「Evil Eye」と抜けの良さを堪能しながら、アンコール〆は「作家の顛末」。じっくりゆっくりと鳴らされるナンバーは、まさに〆にそぐわしい。いつもの事ながらだが、GRAPEVINEのライブは磨きのかかった音と言葉だけが詰め込まれており、その様には格好良いという言葉しか当てはまらない。取材・文=鈴木淳史<公演情報>『grapevine in a lifetime presents another sky』2023年3月10日(金) Zepp Namba【セットリスト】■1部M01. ふたりM02. アナザーワールドM03. Sundown and hightideM04. ナツノヒカリM05. LET ME IN~おれがおれが~M06. TinydogsM07. ColorsM08. それでもM09. マダカレークッテナイデショーM10. BLUE BACKM11. ドリフト160(改)M12.マリーのサウンドトラック■2部M13. Big tree songM14. 目覚ましはいつも鳴りやまないM15. GiftedM16. ねずみ浄土M16. Suffer the childM17. フラニーと同意M18. AlrightM19. Our SongEN1. MISOGIEN2. EVIL EYEEN3. 作家の顛末セットリストプレイリスト:<配信情報>Digital Release『Lifetime Live at SHIBUYA AX 2014.05.19』配信中『Lifetime Live at SHIBUYA AX 2014.05.19』配信ジャケット【収録曲】01. いけすかない02. スロウ03. SUN04. 光について05. RUBBERGIRL06. Lifework07. 2508. 青い魚09. RUGGERGIRL No.810. 白日11. 大人(NOBODY NOBODY)12. 望みの彼方13. HOPE(軽め)配信リンク: Release『another sky live at Hitomi Memorial Hall 2022.07.02』配信中『another sky live at Hitomi Memorial Hall 2022.07.02』配信ジャケット【収録曲】01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり配信リンク:<リリース情報>Live Blu-ray&DVD『in a lifetime presents another sky』発売中●Blu-ray+LIVE CD:7,480円(税込)●DVD+LIVE CD:6,380円(税込)※LIVE CD(1CD / 60min Size)公演1部『another sky』再現ライブ音源CD『in a lifetime presents another sky』ジャケット ※画像はBlu-ray盤【Blu-ray&DVD収録曲】■1部(from al.『another sky』)01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり■2部13. CORE14. さみだれ15. Gifted16. ねずみ浄土17. コーヒー付18. 197719. STUDY20. Scare21. R&Rニアラズ22. 風の歌EN.23. Alright【CD収録曲】01. マリーのサウンドトラック02. ドリフト160(改)03. BLUE BACK04. マダカレークッテナイデショー05. それでも06. Colors07. Tinydogs08. LET ME IN~おれがおれが~09. ナツノヒカリ10. Sundown and hightide11. アナザーワールド12. ふたり■購入リンクBlu-ray::※一部お取扱いのない店舗もございますので、各店舗にお問合せください。※Amazon.co.jp、楽天ブックスでは、特典付商品カートがアップされます。ご要望のお客様は特典付商品カートにてお買い求めください。GRAPEVINE 関連リンクWEBSITE:::::
2023年03月13日2組のバンドストーリーの続きが紡がれた。2月23日(木・祝)、Zepp DiverCityにて開催された『HIGH FIVE 2023』東京公演のこと。『HIGH FIVE 2023』とは全国5会場のZeppにて、次世代を担うアーティストたちがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎えて開催される音楽イベント。この日はヘッドライナーをBREIMENが務め、ゲストとしてKroiが登場した。BREIMENとKroiの対バンは2020年以来、約3年ぶり。前回は『BREIMEN×DinoJr.×Kroi〜TOHANMEI TOUR〜』と題したツアーを行い、東京は収容人数160人程度の六本木VARIT.にて開催。それが今日は2,000人以上を収容するZepp DiverCityだ。両者ともバンド活動のギアを上げたいタイミングでコロナ禍に突入したにもかかわらず、困難をしっかりと乗り越えて、自分たちの音楽に多くの人を巻き込んできたことを証明し祝福する夜となった。両者の関係性を紹介すると、そもそもKroiの内田怜央(Vo,Gt)は高校生の頃からBREIMENの前身バンド「無礼メン」のファンだったという。この日のMCで内田が話していた通り、ライブハウス・渋谷LUSHにてBREIMENの高木祥太(Vo,Ba)がKroiに声をかけたところから交流がスタート。両者ともにロック、ファンク、ジャズ、ソウル、ヒップホップなど、実にさまざまなジャンル・年代の音楽を掘り起こし、音楽史に愛とリスペクトを示しながら今の時代に自分たちだからこそ生み出すことのできる音楽を探求し続けている。不必要な欲や傲慢さなどは一切捨てて、ただただ音楽に誠実に、音の中で遊びながら実現することこそが彼らに共通するスタンス。この日最初に登場したのはKroi。「ついにきたね、このときが!」と内田が叫び、「Drippin’ Desert」からスタート。矢継ぎ早のラップ、こぶしを効かせたシャウト、長谷部悠生(Gt)と千葉大樹(Pf)のコーラスとともに繰り返すサビの聴き心地いい歌など、1曲の中で内田のボーカリゼーションの多さを見せつける。真っ赤に染まったステージの中で投げかけた《Keepしてるだけ no-no/変容変化だけ no-no》というフレーズは、まさにルーツに根ざしながら変化し続けるKroiのスタンスを提示するよう。内田怜央(Vo,Gt)千葉大樹(Pf)そこから「今日は素の感じのKroiでライブができそうです」とこの日の特別感を語って「Pixie」へ。アウトロでは長谷部がステージ前方へ飛び出し、頭を振り、歯ギターも披露し、ジミ・ヘンドリックスばりのスターギタリストプレイで魅せる。長谷部悠生(Gt)MCで、3年前のBREIMENとの対バンツアーに来ていた人に挙手を促すと、ちらほらと手が挙がる。西部劇ファンクがテーマの「Funky GUNSLINGER」、大幅にアレンジしたライブバージョンの「a force」、初期曲「Monster Play」と、益田英知(Ds)のタイトなビートに関将典(Ba)の深みあるベースが絡まり、千葉の冷静と情熱を兼ね備えた鍵盤が乗っかって、その上で長谷部と内田がキッズのように自由に暴れる。そうして5人から繰り広げられる音楽は、曲ごとに、もっといえば1曲の中から、往年のさまざまなバンドやプレイヤーたちの魂が次々と浮かび上がってくる。益田英知(Ds)関将典(Ba)それまで全員主役のプレイをかまし、勢いのいい音で空間を埋め尽くしていたが、次は間を操ることで生まれるグルーヴを堪能させてくれる「Never Ending Story」。そこから内田がボンゴを叩きながら歌う「Juden」へと流れるのだから、スリリングな緩急に気持ちよく振り回されてしまう。そして《止めなきゃ日々confusion》などのフレーズが楽しく身体に入りながらもチクリと心の隅っこを刺す。Kroiの歌は洋楽のような歌い回しに日本語詞を乗せているが、その言葉たちにはごく個人的なことから世の中の状況までを想像させる大きな懐がある。関のベースラインから始まるジャムセッションで「Page」へ繋ぎ、「みんなBREIMEN大好きでしょ?BREIMEN大好きー!」と内田がシャウトし「Fire Brain」へ。初期の反骨精神を今も忘れていないことを示すステージング。そして最後、緑に染まったステージでプレイしたのは「Shincha」。サビで《おい お茶》と歌う一曲だ。遊び心満載な曲なのにグッドミュージックに聴こえてくるのはなぜか。いや、遊び心があるからこそ、グッドミュージックが生まれるのだ。「Shincha」の中で内田は、BREIMENへのリスペクトとこの日の喜びを語った――「大好きなバンドとこんなに大きな会場でライブができることが本当にめちゃくちゃ嬉しいです。絶対にデカいところでライブしようなという話を3年前にして、ここまでやってきました。とりあえずZepp、2組でできました。表現とは何か。より面白い音楽をみなさまに届けられたらいいなと思って日々鍛錬、研究を重ねております。それを同世代でやっているバンドはやはりBREIMENちゃんじゃないでしょうか」。そして、《名古屋のライブのあと みんなで入った温泉 あのとき語り合った また一緒に踊ろうと》と歌ったあと5人で壮大に音を広げて、Kroiのステージを締めくくった。BREIMENのステージではサプライズゲストも登場そしてBREIMENへバトンタッチ。セッティングが終わると、「じゃあいこうか」「っしゃ!」と気合いを入れてから、サウンドチェック代わりにKroi「HORN」をBREIMENアレンジでセッション。これが相当かっこよく、会場全体がざわつく。そして「MUSICA」へ。《奏でていれば 歌っていれば/また会えるかな》という歌はこの日のテーマソングのように聴こえてきたし、《世は損得 忖度 刹那 切ない 節操ないから/響き合っただけの関係 讃えたいな》はソングライターの高木をはじめBREIMENの5人がそういった生き方を大切にしているからこそ、こんな夜を迎えることができるのだと表していた。高木祥太(Vo,Ba)そしてオーディエンスのクラップに5人の音を緻密に編み込んで、「あんたがたどこさ」を披露。《あいつらはKroi》《俺たちはBREIMEN》と歌詞を変更して歌うシーンも。サトウカツシロ(Gt)のソロパートでは、みんな「あの音」を聴きたいところを焦らしに焦らして、1分半以上のカツシロショータイムを繰り広げる。Kroiの長谷部に続けて、ギターをガンガンに浴びられる至福の一時だ。サトウカツシロ(Gt)そして「ODORANAI」を、ルイス・コール「F it up」をマッシュアップしたアレンジで演奏。ここでも《Kroiが好きなのさ》と言葉を変えて歌う。「D・T・F」ではうねるグルーヴでオーディエンスを深いところにまで連れ込んでいく。ライブから音楽の歴史が見えること、そして、本来相容れないとされるものが混ぜ合わさったときの魅力を発明することが、2組に共通する美学だ。「D・T・F」を歌い終えると、もう1本マイクスタンドがステージに設置される。「Kroiはマブダチですね。もう一人マブダチがいて、そいつは今日絶対にいなきゃいけなくて」と、サプライズゲストとしてDinoJr.を呼び込む。「俺もまぜてよ!」「みんなで一緒に遊ぼうぜ!」という掛け合いから「Black or White」へ。曲の途中で会場全体がまたニヤリとさせられたのは、Kroi「Network」を挟んできたから。BREIMEN×DinoJr.「BREIMEN、Kroi、そしてここにいるお客さん、覚えていてください。俺もまたでっかくなって戻ってくるので、そのときはまた一緒にやってくれ。いつもありがとう、BREIMEN!」「こちらこそ!」と、3組がそれぞれを高め合う関係にあることが見える会話を交わして、DinoJr.を送り出した。そしてまたしても今日限りのスペシャルな演奏が。「赤裸々」を、Kroiに合わせたソウルフルバージョンで演奏。どうやら準備していたものではなく、その場の即興で繰り広げられている様子。ステージ上の高木の指示で変わっていく生演奏を堪能できるのは、音の中で阿吽の呼吸ができるBREIMENのライブの醍醐味だ。高木の「Zeppで一番小さく」という指示で、いけだゆうた(Key,Cho)がマイクから離れてコーラスを歌う姿も微笑ましい。そしてSo Kanno(Ds)のビートで繋いで「チャプター」へ。ジョージ林(Sax)のソロパートでは、ステージ前方に堂々と立ち、心の奥底にあるものを引っ張りだして葬ってくれるようなサックスを吹き上げた。いけだゆうた(Key,Cho)So Kanno(Ds)ジョージ林(Sax)BREIMENが最後に演奏したのは「Play time isn’t over」。コロナ禍であらゆるものが奪われたり束縛されたりした中で、能動的に遊び続けることの指針と想いを込めた楽曲。冒頭で書いた通り、BREIMENもKroiもコロナ禍というネガティブな状況に負けず、3年の間にこうして輪を広げることができたのは、両者ともに音楽の中で「遊び」続けてきたから。仲間とともにゲラゲラ笑い合って、時間を忘れるほど無我夢中になる中で、音楽の腕を磨き、楽しそうな輪に引き寄せられた私たちがまだ知らない音を生み出し続けてきた。ライブの途中で高木は「この日のライブを観たことが誇れるようになるかもしれない。マディソン・スクエア・ガーデンとかでやるようになったら」と冗談交じりで語った。『HIGH FIVE 2023』で描かれたBREIMENとKroiのバンドストーリーには、まだ続きがあるようだ。この先も見届けたいと思わせられる、両者の豊かな音楽と心が響き合った夜だった。Text:矢島由佳子Photo:新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2月23日(木・祝) 東京・Zepp DiverCityセットリスト■Kroi1. Drippin’ Desert2. Pixie3. Funky GUNSLINGER4. a force5. Monster Play6. Never Ending Story7. Juden8. Page9. Fire Brain10. Shincha■BREIMEN1. MUSICA2. あんたがたどこさ3. ODORANAI4. D・T・F5. Black or White6. 赤裸々7. チャプター8. Play time isn’t over関連リンクイベントオフィシャルサイト:イベント公式Twitter:
2023年03月07日3月1日に5thアルバム『mirror』をリリースした9人組ミクスチャーユニットSUPER★DRAGONが、発売当日にダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場にてリリースイベントを開催した。アルバムの発表は1年ぶり、リリースに伴うフリーライブに至っては2019年8月から実に3年半ぶりということで、平日にもかかわらず会場には大勢のBLUE(=SUPER★DRAGONファンの呼称)が集結。春の訪れを感じさせる晴天の下、アルバムの新曲も初披露され、懐かしい会場での再会を共に祝った。コロナ禍の下でも自ら積極的に音楽制作に携わり、今作『miror』でも楽曲プロデュースや作詞等、全曲にメンバーが参加。アーティストとしての自覚と精度を急速に高めているSUPER★DRAGONだが、久々のリリースイベントは“懐かしさ”でいっぱいの幕開けとなった。数年前に使用されていた初期SEで流れる“SUPER★DRAGON”の声に呼び出され、ブラックレザーの新衣装でガンダム像前の大階段を上から降りてきたメンバーは、口々に「懐かしい!この感覚!」と感慨深げ。さらにメンバー同士が拳を合わせ、2017年の1stアルバム収録曲「BROTHERHOOD」が始まると、予想外すぎる選曲にBLUEからは歓喜の声が漏れる。“1人じゃ叶えられない”と仲間との熱い絆を歌うナンバーは、実は1stアルバムのリリースイベントの際に、この地で初披露されたもの。懐かしい場所、懐かしいシチュエーション、懐かしい楽曲で9人が肩を組み、最後は全員で一点に向かい拳を突き出すというエモすぎるオープニングには、3年半の時を経てようやく取り戻した場所への喜びがあふれていた。昨年は5月からの8カ月連続リリースで、従来のパワフルでアグレッシブなイメージに留まらない、新たな音楽性を提示してきた彼ら。特にラブソングでは新境地を示してきたが、その中から今回は「Hey, girl」と「So Woo」が贈られた。ミディアムテンポの「Hey, girl」では、ゆるやかな動きの中でも爪先まで神経の行き届いたダンスと色気を滲ませたボーカル、愛おしさから生まれる焦燥を滲ませたラップでオーディエンスを魅了。全身黒の大人びたビジュアルも相まって、誘惑度も爆上がりだ。ディスコファンクな「So Woo」では求愛を意味するタイトルにふさわしく、アッパーなビートに乗せたパフォーマンスには挑発と艶めかしさが交錯し、トドメとばかり田中洸希の攻撃的なヒューマンビートボックスが炸裂。歌、ラップ、ダンスというSUPER★DRAGONの三本柱は、着実に多様性を広げている。結成以来、ダイバーシティでは何度もリリースイベントを行ってきたということで、飯島颯からは「3年前の3rdアルバムの時には、天龍源一郎さんに来ていただいてチョップをしてもらった」という思い出話も。そして「僕たちの魂、愛情が籠ったアルバム『mirror』が遂にリリースされました」という古川毅の言葉から初披露されたのが、MVも併せて先行配信されていたアルバムリード曲「Revolution」だ。田中が大きな蹴りを繰り出し、最年少の柴崎楽が高々と担ぎ上げられるダイナミックなフォーメーションから始まる本作は、華麗なストリングスとダンスミュージックが融合した壮大なナンバーで、王座を目指し、旗を掲げて覇道を進むという強い決意を、古川と池田彪馬が凄まじいハイトーンで絶唱。その激情とシンクロするかのように躍動するダンスが観る者の目を釘付けにし、高揚感をかき立てて、曲がカットアウトした瞬間には息を呑むような空気と拍手が、彼らのRevolution(=革命)を祝福する。さらに、ラストの「Untouchable MAX」では「せっかくこうやって来てくれたので、動画をSNSとかいろんなところでばらまいていただきたい!」(古川)と、なんと携帯カメラでの撮影が許可。結成以来SUPER★DRAGONが押し進めてきたミクスチャーロックの真骨頂ともいえるナンバーは、お馴染みのライブ定番曲でありながらも従来よりスケール感を増して、9人の確かな進化を実感させる。最後にBLUEを背にしてのセルカ棒での記念撮影まで、懐かしのイベントを再現しながらも、間違いなく最新形のSUPER★DRAGONを見せつけた彼らの次のステージは、3月25日のパシフィコ横浜 国立大ホールでのスペシャルワンマン『Persona』。連続リリース時からの目標でもあった、グループ史上最大キャパシティとなる舞台で、古川からは「アルバムの曲マジで全部やるんで、楽しみにしててください!」という嬉しい宣言も飛び出した。「成長するために、まずは鏡に向かって自分と見つめ合え」という意味を込め、ジャン海渡が発案した『mirror』という名のアルバムが、そこでどんな表情を見せてくれるのか?3週間後への期待は尽きない。Text:清水素子Photo:小坂茂雄セットリストM1. BROTHERHOODM2. Hey, girlM3. So WooM4. RevolutionM5. UntouchableMAX<ライブ情報>SUPER★DRAGON SPECIAL LIVE『Persona』3月25日(土) パシフィコ横浜 国立大ホール開場17:00 / 開演18:00チケットはこちら:<リリース情報>SUPER★DRAGON 5thアルバム『mirror』発売中SUPER★DRAGON『mirror』FC限定盤ジャケット●FC限定盤(CD+Blu-ray+60pブックレット):7,700円(税込)※BOX仕様●通常盤(CD):3,300円(税込)【CD収録内容】※全形態共通M01. Are U Ready?(新曲)M02. Revolution(新曲)M03. So WooM04. Don’t Turn It Down(新曲)M05. Pretty Girl(新曲)M06. Honey BabyM07. Not EnoughM08. 相合傘(新曲)M09. Indelible MagicM10. Hey, girlM11. Tap tap tap!(新曲)M12. Pop Star(新曲)【Blu-ray収録内容】※FC限定盤のみ■『Special Live2022 Move On!!!!!!!!!』2022年9月25日豊洲PIT 2部公演01. OVERTURE02. So Woo03. Cruisin’04. Pioneer(Keep It Real)05. MC06. Jacket07. My Playlist08. Ringing, Love09. Caravanサンダードラゴン from SUPER★DRAGON10. On My Way ファイヤードラゴン from SUPER★DRAGON11. 夢で逢えたら12. Beat Box〜Set It Off〜13. Monster! INTER(Dance Part)14. Monster!(Remix Ver.)15. PANDORA16. SAMURAI17. Bad Day18. MC19. Indelible Magic20. Purple Moon21. Distance22. Dance inst.23. BAD BOY24. BADASS25. Shut up, Shout out26. Dragonfly27. SWEET DEVIL28. 君は1000%(Vantage Remix)29. MC30. Brand New Music31. MC32. -Tweedia-関連リンク公式サイト:::::
2023年03月02日布袋寅泰が、ファンクラブ・スペシャルライブ『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』の振替公演を2月26日(日) に東京・Zepp DiverCityで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。布袋寅泰のファンクラブ・スペシャルライブ『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』(振替公演)を目撃した。ファンダムと向き合い、通常のライブやツアーではやらないレアな選曲が魅力のステージだ。いわゆるリリースやアルバムに紐づかない作品が聴けるという、どんな曲が飛び出すかわからない緊張と期待の高揚感。布袋は、今年で結成20周年となるファンクラブ『beat crazy』のスペシャルライブ『B.C. ONLY』について、「ある意味、僕にとって実験の場でもあるし。つべこべ考えず音を楽しめる場所でもあって、パーティーでもあり真剣勝負でもあり」と、MCで語っていたのが印象的だ。しかも、東京会場はZepp DiverCityというライブハウス。距離の近い、爆裂な臨場感に満ちたパフォーマンス。さらに、念願の歓声解禁である。3年間、まさに夢に見ていた光景だ。オープニングは「I’M FREE」。壮大な世界観を持つハイヤーセルフをテーマとしたロックチューン。布袋はピンクのジャケットを羽織り、ギターはZEMAITISのMETAL FRONTを使用。今回のバンドメンバーは、黒田晃年(Guitar)、井上富雄(Bass)、古田たかし(Drums)による4ピース。シーケンスの同期も使わず、骨太なバンドサウンドを「DRIVIN’ TO YOUR HEART TONIGHT」、「DOBERMAN」と続くロックナンバーをこれでもかとプレイ。キーボード、マニピュレーターのいるツアー時のアレンジとは異なる、ギターによるエフェクトを活用した生々しくもレアなプリミティヴなサウンドが耳に新鮮だ。緩急つけて、インストでのダンサブルなパーティーロック「FINGER SKIPPIN’ JIVE」や、レコーディングでは全ギターパートをブライアン・セッツァーに委ねていた「King & Queen」。さらに、シングル『さらば青春の光』のカップリングに収録された「七年目の幽霊」をプレイ。マニアックな選曲だ。さらに布袋は、ジェフ・ベックへ哀悼の意を表した。想いを込めてジェフ・ベック・モデルを用いて、自身のナンバー「ハウリング」を演奏した事は忘れられない。空間をせつなきミストでいっぱいにする、泣きの音色が響き渡った。中盤、SEが鳴り響き、スペシャルゲストにのんが登場するサプライズも。のんは、実は音楽活動もさかんに行っており、テレキャスターを愛好するギタリストでもある。思いがけないゲストに、沸き立つオーディエンスたち。こんなスペシャルなセッションが起こるのも『B.C. ONLY』の楽しいところだ。のんとは、音楽シーンを牽引した先輩であり、天国へ先に旅立だった高橋幸宏、鮎川誠への追悼としてグラムロック・テイストな「タイムマシンにおねがい」(サディスティック・ミカ・バンド)、ウォール・オブ・サウンド風な「ユー・メイ・ドリーム」(シーナ&ザ・ロケッツ)をプレイ。のんによる天をも貫く、ロッキンかつアッパーな歌声によってカバー。様々な思いがよぎり、思わず涙したオーディエンスも多かったことだろう。のんによるソリッドな8ビート・チューン「やまないガール」では、布袋は一歩後ろでギターに徹していた事も印象的だ。布袋による、ボーカリストを斜め後ろから見る視線からは、40年に渡る様々な物語が呼び起こされる。のんオリジナルによる本作は、ニューウェーブ調なビートの効いたロックソングであり布袋サウンドとの相性も抜群だった。のん曰く「布袋さんとこの曲を一緒に演奏できて、めちゃくちゃ楽しい!」とオーディエンス同様に盛り上がっていた。勢いはそのままに、曲順は前後するが布袋寅泰のロマンティックな側面である「Shape Of Pain」、「London Bridge」、「DANCING WITH THE MOONLIGHT」での煌びやかなプレイに酔いしれたフロア。さらに、とどめとして「BEAT EMOTION」、「C’MON EVERYBODY」では、聴き馴染みの深い人気チューンが、4ピースによる圧巻の演奏力によってフレッシュに繰り広げられ、会場は破裂寸前の大盛り上がりへ。オーディエンス全員のジャンプで、Zepp DiverCityがリアルに大きく揺れていた。なかでも「BEAT EMOTION」の間奏のスリリングな掛け合いは鳥肌ものだった。メンバーのスキルフルな極上のプレイに、度肝を抜かれたものだ。ラストは「サンキュー、beat crazy!今日はひさしぶりにみんなとロックンロール出来て嬉しかったです。(beat crazy結成)20周年と言わず、30周年、40周年と言わず50周年。60周年、70周年。とにかくいけるところまで一緒に行こうぜ!今日はありがとう!!!」と語り、最新アルバム『Still Dreamin’』から「Let’s Go」をプレイ。布袋寅泰音楽活動40周年を経て、さらなるネクストへと突き進んでいく決意表明をサウンドを通じて宣言した。本公演は、ライブ配信も行われ3月7日(火) までアーカイブ配信にて目撃可能だ。3月5日(日) までにファンクラブ入会すれば、3月7日(火) 19時のチケット販売終了に間に合う。もし、ファンクラブ・スペシャルライブ『B.C. ONLY』が気になった方は、これをきっかけに『beat crazy』への加入をオススメしたい。常に最新をアップデートし続ける驚きの布袋ワールド、その激レアなアナザーサイドがあなたを待っている。テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)撮影:山本倫子<公演情報>布袋寅泰『beat crazy Presents Special Gig B.C. ONLY +1 2022』(振替公演)2月26日(日) 東京・Zepp DiverCityセットリストI’M FREEDRIVIN’ TO YOUR HEART TONIGHTDOBERMANFINGER SKIPPIN’ JIVEKing & Queen七年目の幽霊ハウリングタイムマシンにおねがい [with のん]やまないガール [with のん]やるだけやっちまえ! [with のん]ユー・メイ・ドリーム [with のん]Shape of painBEAT EMOTIONC’MON EVERYBODYLondon BridgeDANCING WITH THE MOONLIGHTLet’s Go※本公演の模様を3月7日(火) 23:59までアーカイブ配信中。詳細はこちら:関連リンクOFFICIAL HP: Twitter: Facebook: Instagram: Twitter:
2023年03月01日2月19日(日)、Zepp Osaka Baysideにて『HIGH FIVE 2023』の大阪公演が開催された。今年で2回目を迎える本公演は次世代を担うアーティストがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎え、全国5会場で対バン形式のイベントを展開。大阪公演では、昨年に続き梅田サイファーがヘッドライナーを務め、ゲストの盟友・ALIと、一夜限りの饗宴を繰り広げた。先陣を切るのは東京・渋谷発、ボーカルのLEOを中心にメンバー全員がハーフの多国籍バンド・ALIだ。ファンクにソウル、ジャズなどのルーツミュージックをベースに、ヒップホップやロックなどを融合したバンドサウンドを武器に、1月25日には待望のメジャー1stアルバム『MUSIC WORLD』を発表。この日のステージはアルバムリリースツアーの真っ最中とあって、バンドの熱量は存分に昂ったままで当日を迎えていた。ALI濃赤の照明がステージを染めるなか「仁義なき戦いのテーマ」から「Dance you,Matilda」へ。感情を昂らせるホーンセクション、スリルあるギターの音色が鳴り響く。初っ端から血がたぎるような鬱勃としたエネルギーをぶつけられ、観客のテンションが一気に高揚していくのがはっきりと伝わってくる。「ALI、始めます!」、LEOが声を張り上げて突入すると、途端にフロアからワッと歓声が湧きたつ。この日の公演はマスク着用であれば声出しが解禁されていることもあって、観客は瞬間々々の感情を拍手に、歓声に換え、メンバーへ思いを届ける。「踊り狂おうぜ! 歌おうか! お前のハートに火をつけに来たんだよ!」、LEOが声高らかに言葉をかけ「VIM」「I want chance a Romance」へと続く。スカやラテン、ブルースと、ご機嫌で情熱的なサウンドに誰もが腰を揺らして踊りまくる。盛り上がりが大好きな大阪の人間は彼らの音と相性抜群! バチっと決めた揃いの黒スーツによく磨かれた革靴、バンドメンバーの息の合ったパフォーマンス、オールドスタイルなステージングとルーツミュージックの相性もたまらなくいい。観客からの喚声に煽られるようにLEOはマイクスタンドを振り回し、誰ひとり取り残さずALIの世界へと引っ張り込もうと、鋭い視線をフロアに向ける。スタートダッシュで存分にテンションを高めたところで、「MELLOW CRUISE」「STAY IN THE GROOVE」と心地よいグルーヴで今度は感情を内側から解していく。限られた時間の中でも、緩急をつけた楽曲陣でバンドのポテンシャルを存分に打ち出していく彼ら。MCでは梅田サイファーとの出会いについて語りつつ、「素敵な時間を過ごせたら」と、この瞬間にしかない喜びを感じてほしいとライブに懸ける想いを語る。バンドの強い意志を随所に感じ、観客もじっと前を見据え、全身で彼らの音を、言葉を受け止めている。ステージ後半には、もちろん期待していたコラボステージも披露! 彼らのワンマンツアーでもゲストラッパーとして参加しているKAZUOと「Wild Side feat.KAZUO」などをエモーショナルに鳴らし、「TEENAGE CITY RIOT feat.R-指定」ではR-指定と激しく声をぶつけ合う。さらに「FEELIN’GOOD feat.梅田サイファー」ではR-指定に続き、KOPERU、peko、KZも加わるなど、生のバンドグルーヴに張り合うように、縦横無尽に主張するマイクリレーは爽快! ナニワの祭りというより、レゲエやラテンをミックスさせたサウンドは熱帯夜のカーニバルにでも巻き込まれたようで、オーディエンスは音の波に乗っかり大いに踊り、騒ぎまくる。「音楽に性別、肌の色、職種、古いも新しいも、ジャンルも関係ない。音楽はいつだって最高だって伝えたい。怒りや悲しみ、感情を乗り越えてまた会おう!」と、音楽への愛を叫び、ラストはThe Beginning Of The Endのカバー曲「Funky Nassau」へ。ベースのグルーヴが生み出す極上のファンクサウンドで全身から喜悦の声を上げ、ステージを締めくくった。この日初披露の“クソイケてる新曲”「アマタノオロチ」ステージの袖から気合いを入れる声が聞こえ、メンバーが次々とステージに登場。梅田サイファー、この日はILL SWAG GAGA、KZ、KennyDoes、KBD a.k.a 古武道、KOPERU、コーラ、テークエム、Teppei、Peko、R-指定、Cosaqu、SPI-Kでのパフォーマンスだ。梅田サイファー彼らも3月29日(水) にメジャー1stアルバム『RAPNAVIO』のリリースを控えていることもあり、今まさに脂がノリまくった状態。先手のALIのステージの興奮をさらに高めるべく、1曲目にセレクトしたのはコント王決定戦『キングオブコント2022』のオープニングソングをリメイクした「KING」だ。エキサイトするトラックに“Who’s the king?”と、マイクリレーで自身の存在を誇示。10MCともなると、各々のフロウ&リリックが渋滞しそうに感じるけれど、そんな懸念は無用。個性をぶつけ合いながらフロアを練り歩き、会場を盛り上げていく。「熱くなる準備、できてる?」と観客を煽ると、「アチィ」でスリリング&バイタリティ溢れるラップをぶつけていく。爽やかに時に艶っぽく声色を変え、低音や高音に高速ラップ、随所にはめ込むフリースタイルと、ひと癖もふた癖もある10人のラッパーのテクニックとセンスは改めてハイレベルなものばかり。「無敵ライクセブンティーン」での腰砕けになりそうなバースもたまらなくカッコイイ。R-指定に注目がいきがちだけど、良い意味で彼の個性がフラットになる、それほどの強者揃いが梅田サイファーなのだと思い知らされる。そもそも、梅田サイファーは大阪・梅田の百貨店をつなぐ歩道橋で始まったサイファーをきっかけに集まったヒップホップグループ。即興ラップを繋げていくサイファーは全国各地にあるけれど、梅田サイファーは1~2小節でマイクを奪い合う、ファイトクラブにも似た集団で、常に互いが1番を張り合っている。そんな彼らがメジャーの舞台で、どんなパフォーマンスを展開していくのか。「クソイケてる新曲聴きたくない?」と、この日初披露の「アマタノオロチ」でその意気込みを楽曲に打ち出していく。“ヤマタノオロチ”ならぬ“アマタノオロチ”、怪物たちが頭ひとつ抜きん出ようとぶつかり合うパフォーマンスに観客は大興奮。パンチライン効かせまくり、個性を打ち出さないと生き抜けない、梅田サイファーの最たる姿が垣間見える。ライブはその後もグループの進化を見せつけるべく、「トラボルタカスタム」「梅田ナイトフィーバー’19」など、遊び心あるトラックに乗せて10MCの個性をたっぷりと披露。ラスト曲の前には「メジャーデビューだからと浮かれず、地に足をつけてやっていきたい。これからも色々あるだろうけど、それもすべてラップに換えて。末永く愛してください」。「ここ数年激動の2組で、このタイミングでの対バンは必然。1度始めたことは辞めない。色々な感情が渦巻くけど、残ったものを引き継いで歌っていきたい」と、メジャーデビューに向け、そしてALIとの対バンについての想いを吐露するメンバーたち。最終曲には「Show Must Go On」をピックアップ。タイトルのまま、“一生やり遂げる”と決意を込めたリリックを丁寧に歌い上げ、本編を締めくくった。アンコールを前に、DJセットだけだったステージにギターとベースがセッティングされる。となると、もちろん今度は梅田サイファー×ALIとのコラボだ。メジャー1stアルバム『RAPNAVIO』にもALIが楽曲制作に関係しているらしく、この日限りの特別編成でのパフォーマンスが実現。新曲「かまへん」はメンバーいわく“関西弁ならでは。バイブス高まる、便利で気持ちいい神ワード”を用いたリリックが印象的で、メンバーはみなにこやかな表情で歌い上げていく。そして最終曲「いつかまた」、“HIGH FIVE”に両手を掲げ、フロアとの垣根を打ち消すピースフルなテンションのまま、『HIGH FIVE 2023』大阪公演は終幕を迎えた。次の『HIGH FIVE 2023』は2月23日(木・祝) の東京公演が終了し、3月5日(日) の名古屋公演を残すのみ。ヘッドライナーはCody・Lee(李)、スペシャルゲストはASIAN KUNG-FU GENERATIONと、ニューカマーとベテランバンドのぶつかり合いが実現。こちらもどんな化学反応が起こるのか、ぜひとも注目してほしい。Text:黒田奈保子Photo:新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2月19日(日) 大阪・Zepp Osaka Baysideセットリスト■ALI01. 仁義なき戦いのテーマ02. Dance you,Matilda03. VIM04. I want chance a Romance05. MELLOW CRUISE06. STAY IN THE GROOVE07. Wild Side feat.KAZUO08. TEENAGE CITY RIOT feat.R-指定09. FEELIN’GOOD feat.梅田サイファー(KOPERU, peko, KZ, R-指定)10. FIGHT DUB CLUB feat.梅田サイファー(KZ, peko, KOPERU)11. LOST IN PARADISE feat.KAZUO12. Funky Nassau■梅田サイファー01. KING02. アチィ03. 無敵ライクセブンティーン04. アマタノオロチ05. トラボルタカスタム06. 服部半蔵07. Oh!マンマミーア08. 梅田ナイトフィーバー’1909. Show Must Go On<Encore>10. かまへん11. いつかまた<ライブ情報>HIGH FIVE 2023※終了分は割愛3月5日(日) 愛知・Zepp Nagoya開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:Cody・Lee(李)スペシャルゲスト:ASIAN KUNG-FU GENERATIONチケット一般発売中関連リンクイベントオフィシャルサイト:イベント公式Twitter:
2023年02月28日