乃木坂46のデビュー11周年を祝うバースデーライブ『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』DAY5公演が2月26日、横浜アリーナで開催された。22日から5日間にわたり同会場で展開される今回のバースデーライブ。最終日は乃木坂46二代目キャプテンにしてグループ最後の1期生・秋元真夏の卒業コンサートとして実施された。2012年秋から活動に加わった彼女の、約11年にわたるアイドル人生の集大成を見守ろうと、会場には約1万2000人のファンが駆けつけ、さらにインターネット有料生配信を通じて多くの者がその様子を見守った。荘厳なSEが流れる中、客席が秋元のメンバーカラーである赤&ピンクのペンライトで染まっていくと、アリーナ後方からメンバーが登場。最後にステージ後方から秋元が姿を表すと、「乃木坂46 秋元真夏卒業コンサート、スタートです!」を合図に「ぐるぐるカーテン」でライブは幕を開けた。淡いピンクの衣装に身を纏ったメンバーは、秋元を中心に華麗なステージを展開。「おいでシャンプー」では、梅澤美波の「今日が最後かもしれませんよ?」を合図に、秋元を中心に「皆さんのハートに、ズッキュン!」を披露する一幕も。続く「走れ!Bicycle」とあわせて、乃木坂46の原点を振り返るようなセットリストで観る者を大いに楽しませた。その後、自身の真の意味でのデビュー曲「制服のマネキン」を、当時を彷彿とさせるセーラー服姿で、オリジナルに忠実な振り付けでパフォーマンスする。続く「ガールズルール」では「横アリ、騒げーっ!」と、冒頭の煽りを秋元が担当。会場のボルテージが高まる中、さらに「太陽ノック」を繰り出し、客席は早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。最初のMCでは、秋元との最後のステージについて後輩たちが思いを吐露。鈴木絢音は「私は現役メンバーで唯一の“真夏さんリスペクト軍団”。真夏さんへの愛はこの会場で誰にも負けないと思います」、遠藤さくらは「これまでどれだけ真夏さんに助けられたことか。今日はそんな真夏さんが輝けるよう、精一杯の力で支えたい」と吐露する中、山下美月は「(ステージに登場し、階段を降りるときに)スタッフさんから『絶対に転ぶなよ』と何度も言われていた」ことを明かし、会場の笑いを誘う。そして、秋元は「今日は私が好きな曲をたくさん詰め込んでいます!」とこのあとに披露される楽曲への期待を高めていった。「後輩との関係性を重視した」というブロックでは、各期とのコラボレーションを展開。まずは5期生との「バンドエイド剥がすような別れ方」で勢い付け、続く4期生とのコラボ曲「ジャンピングジョーカーフラッシュ」では会場内の熱量が一気に沸点まで達する。さらに、3期生との共演曲「僕の衝動」ではメンバー1人ひとりと寄り添いつつ力強い歌を響かせる。この曲では伊藤理々杏が「最後に真夏さんの本気のダンスを見せてください!」と、秋元に激しいダンスを促す一幕も。エンディングでは秋元と伊藤がキメ顔対決をして、ファンを大いに楽しませた。続くユニットブロックでは、同期メンバーたちと歌ってきた懐かしい楽曲を後輩たちと歌い紡いでいく。「口約束」では佐藤楓、吉田綾乃クリスティー、金川紗耶、柴田柚菜、林瑠奈、弓木奈於といった3〜4期生たちと落ち着いた雰囲気で、「ごめんね、スムージー」では阪口珠美、田村真佑と一緒に王道アイドルらしい衣装を着て可愛らしく披露。「私は笑顔のイメージが強いけど、カッコいい表情に憧れる。最後にカッコよくキメたい」というフリから始まった「魚たちのLOVE SONG」では、魚の着ぐるみを着て登場した秋元に会場がどよめく。その後、同じく着ぐるみ姿の山下、筒井あやめも登場、最後にはカマキリ姿の黒見明香も加わり、秋元らしい一筋縄ではいかない自己プロデュース力を見せつけた。コミカルな演出で場を和ませたあとは、秋元が乃木坂46の活動に復帰して初めて振り入れをしたアンダー楽曲「涙がまだ悲しみだった頃」と、「私っぽくない、めちゃくちゃカッコいい曲。披露するのに勇気が必要」という1期生楽曲「Against」を、アンダーメンバーと一緒に披露。曲ごとにコロコロと表情を変える、このジェットコースターのような振り幅こそ秋元らしさと言えるだろう。賀喜遥香「これからも真夏さんの言葉を大切にしながら、乃木坂46を守っていきたい」卒業公演もついに折り返し。ここからはパフォーマンスに重点を置いた楽曲が連発される。まずは代表曲のひとつ「インフルエンサー」を遠藤とのダブルセンターで披露。制作当時はダンスに苦戦したこの曲を、秋元はアイドル人生最後の日にセンターを全うし、成長した姿を観る者に強くアピールする。続く「シンクロニシティ」でも難易度の高いソロダンスを見事にやりきり、有終の美に相応しいパフォーマンスを提示。さらに「好きというのはロックだぜ!」「帰り道は遠回りしたくなる」「最後のTight Hug」と緩急に富んだ選曲で、乃木坂46らしい“しなやかさの中にも力強さが存在するダンス”を表現してみせた。ライブ終盤戦には、秋元の「憧れの曲」である「言霊砲」を、これからの乃木坂46を先頭で引っ張っていくことになる久保史緒里、与田祐希、山下の3人と一緒に歌唱。また、自身がかつて卒業生の高山一実と歌ってきたユニット曲「忘却と美学」ではキャプテン、副キャプテンとして苦楽を共にしてきた梅澤美波と一緒に披露する。さらに、「あるメンバーとどうしても歌いたい曲。楽曲も大好きだし、その一緒に歌うメンバーのことが大好き」と“HoneyWorks meets さゆりんご軍団+真夏さんリスペクト軍団 from 乃木坂46”名義で発表した「大嫌いなはずだった。」を、鈴木と2人で歌唱。外周を歩きながら歌う2人は瞳に涙を浮かべ、この曲を噛み締めながら歌う。曲中、鈴木から「真夏さん、今まで本当にありがとうございました」と花束をプレゼントされるサプライズもあり、会場は感動的な空気に包まれた。涙を堪えきれない秋元は、本編最後の曲に入る前に後輩たちにメッセージを送る。秋元は「昨日までやっていた期別ライブが本当に楽しくて。卒業するのが何の不安もないくらい、頼もしい後輩に囲まれていたんだなと感じた3日間でした」「メンバーによって歩んできた歴史は違うけど、その間にたくさんの困難や不安を乗り越えてきたからこそ、今の乃木坂46があると思っているので、絶対に大丈夫だなと思います」と力強く語り、「アイドルとして世代交代が難しいと言われている大人数アイドルグループですけど、乃木坂はちゃんと世代交代できたんじゃないかなと自信を持って言えます」と宣言。最後に、自身が初めてセンターを務めた「ひと夏の長さより・・・」で煌びやかに締めくくった。アンコールでは高山や松村沙友理、西野七瀬、白石麻衣、生田絵梨花、桜井玲香といった同期OGからの労いのメッセージが映像を通して送られる。続いて、ピンクのドレスを着た秋元が登場し、ここまで支えてくれた両親やマネージャー、スタッフ、そしてファンへ感謝のメッセージを伝える。「私を応援していて楽しかったですか?」と客席に問いかけると、客席からは盛大な拍手が湧き起こり、最後に「生まれ変わっても絶対に乃木坂になりたいし、乃木坂のキャプテンを務めたいです。それくらい大好きな場所でした。11年間、本当にありがとうございました」と口にして、自身の卒業ソング「僕たちのサヨナラ」を涙ながらに歌唱した。「2度目のキスから」を歌いながら、メンバーと一緒に会場を一周したあとには、各期を代表して菅原咲月、賀喜遥香、久保が秋元へ感謝の言葉を送る。菅原は「次にお会いするときには、何倍も成長した姿をお見せできるようになりたい」、賀喜は「これからも真夏さんの言葉を大切にしながら、乃木坂46を守っていきたい」と口にし、久保は「これからは真夏さんみたいな優しさを持って、後輩たちと一緒に乃木坂をもっともっと強くしていけるように、3期生も頑張ります」と力強く宣言。すると、秋元がメンバー全員に手紙を書いてきたことを告げ、代表して梅澤への手紙を読み上げる。キャプテンとしての役割について、秋元らしい言葉でエールを送り、最後のお願いとしてメンバーに「キャプテンにはどうしてもふんばらないといけないときがあります。だから、うめのことを絶対に全力で支えてあげてください」と伝えた。最後の曲紹介を噛んでしまう微笑ましい場面を挟み、ラストは「乃木坂の詩」で締めくくり。会場一面が紫色に染まる中、盛大なクライマックスを迎えた。そして、最後にやり残したこととして必殺技の「ズッキュン」を送り、「何も持っていなかった18歳の私をここまで、こんな素敵な場所までつれてきてくれて、乃木坂として11年間歩ませてくれて、本当にありがとうございました」と感謝を口にすると、観客から「まなつさん大好き」のメッセージシートを掲げるサプライズも。こうして秋元真夏のアイドル人生最後のステージは大成功のうちに終了した……かに思われたが、興奮冷めやらない観客のコールを受け、再びステージに登場したメンバーが「ハウス!」「ガールズルール」を最後の最後にプレゼント。こうして5日間におよぶ『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』は、最高のエンディングとともに幕を下ろした。Text:西廣智一<公演情報>『乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE』DAY52月26日(日) 横浜アリーナセットリストOverture01. ぐるぐるカーテン02. おいでシャンプー03. 走れ!Bicycle04. 制服のマネキン05. ガールズルール06. 太陽ノック07. バンドエイド剥がすような別れ方08. ジャンピングジョーカーフラッシュ09. 僕の衝動10. 口約束11. ごめんね、スムージー12. 魚たちのLOVE SONG13. 涙がまだ悲しみだった頃14. Against15. インフルエンサー16. シンクロニシティ17. 好きというのはロックだぜ!18. 帰り道は遠回りしたくなる19. 最後のTight Hug20. 言霊砲21. 忘却と美学22. 大嫌いなはずだった。23. ひと夏の長さより・・・アンコール24. 僕たちのサヨナラ25. 2度目のキスから26. 乃木坂の詩ダブルアンコール27. ハウス!28. ガールズルール関連リンク乃木坂46 公式サイト乃木坂46 Twitter乃木坂46 Instagramチャンネル「乃木坂配信中」
2023年02月27日2月23日(木・祝) に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された『岸谷香 感謝祭2023』のオフィシャルレポートが到着した。岸谷香が「元気に楽しく音楽をやれている事に感謝し、お客様に喜んで頂ける様に、毎回ゲストを迎え特別なセッションをする」、毎年2月に開催している年1回恒例のコラボイベント『岸谷香 感謝祭』。2月23日(木・祝) ソールドアウトの東京・EX THEATER ROPPONGIにて、自身のガールズバンド“Unlock the girls”とともに、荻野目洋子と藤巻亮太を迎え、全21曲を披露し、満員の観客を魅了した。プリンセス プリンセス時代の曲から現在のソロ曲など新旧織り交ぜ、今の岸谷香を真っ直ぐ表現するセットリスト。挨拶代わりに3曲披露し、「雨上がり」のギターの前奏に乗せて藤巻亮太を呼び込む。岸谷は、「ふたりの初めての出会い」や、「藤巻君の曲は大好きな曲が多い」というエピソードも披露。お互いの曲を組み合わせた「南風~ミラーボール」のメドレー、岸谷のピアノと藤巻のエレキギターというふたりだけで、しっとりと聞かせた名曲「3月9日」、新曲の「この道どんな道」、そして最後は今の季節にぴったりの「粉雪」と、誰もが納得の圧巻なステージを披露した。岸谷香×藤巻亮太藤巻を送り出した後、「また恋ができる」をしっとり聴かせ、「Diamonds<ダイアモンド>」で客席は一気に盛り上がる。続いて迎えたゲストは荻野目洋子。ご存知「六本木純情派」のイントロで呼び込まれた荻野目は、圧倒的なステージを披露し、観客も釘付け。岸谷が荻野目に提供した「ラストダンスは私に」、荻野目のウクレレ伴奏とヴォーカルをメンバー全員でコーラスで支えアコースティックに聞かせた「虫のつぶやき」、そしてお待ちかねの「ダンシングヒーロー」では、荻野目の切れのあるダンスに合わせて、ギターを降ろし自身も全力で踊る岸谷香。笑顔のふたりに満員の観客が大いに沸いた。ラストは「OH YEAH!」。荻野目はヴォーカルとともにエレキギターで、全員でセッション。息の合った、特別なコラボレーションとなった。岸谷香×荻野目洋子そこからは「Unlocked」「バタフライ」「Dump it!」と、自身のバンド「Unlock the girls」とともに、今の岸谷香の楽曲たちを披露。ラストの「Signs」では、圧巻のギターソロを魅せ、本編を終えた。Unlock the girlsアンコールはゲストも併せて、全員でステージに。岸谷のピアノの前奏が始まると、どよめきと大きな拍手が起こった「M」。荻野目、藤巻、岸谷の3人で歌い分け、ギターソロは藤巻と岸谷のツインを披露。ゲストを送り出し、岸谷のソロ曲「ハッピーマン」で終演。贅沢な一夜限りのステージとなった。予期せぬダブルアンコールを受け、ひとりでステージに出てきた岸谷から、「今年6月に自身の企画でアコースティックのツーマンライヴを東京、名古屋、大阪で開催します!対バン相手は全部違います!」と発表。満員の観客からどよめきと惜しみない拍手が送られ、イベントは幕を閉じた。<公演情報>岸谷香 感謝祭20232月23日(木・祝) 東京・EX THEATER ROPPONGIセットリスト1. 49th バイブル2. MELODY MELODY3. STAY BLUE<w/藤巻亮太>4. 雨上がり5. 南風~ミラーボール6. 3月9日7. この道どんな道8. 粉雪9. また恋ができる10. Diamonds<ダイアモンド><w/荻野目洋子>11. 六本木純情派12. ラストダンスは私に13. 虫のつぶやき14. ダンシングヒーロー15. OH YEAH!16. Unlocked17. バタフライ18. Dump it!19. Signs<アンコール>1. M2. ハッピーマン<ライヴ情報>岸谷香 プレミアムアコースティック 2マンライヴ6月9日(金) 愛知・名古屋ダイアモンドホール6月11日(日) 大阪・BIGCAT6月18日(日) 東京・日本橋三井ホール※各地対バン相手は後日発表一般発売日:4月15日(土) 予定関連リンク岸谷香 HP:荻野目洋子 HP:藤巻亮太 HP:
2023年02月24日Red Hot Chili Peppersが、16年ぶりの単独来日公演を2月19日(日) に東京ドームで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。Red Hot Chili Peppersが、東京ドームに還ってきた――。2007年に初の東京・大阪2大ドーム公演を行って以来、実に16年ぶりの単独公演が実現した。今回注目すべきは2019年に二度目の再加入を果たしたギタリスト、ジョン・フルシアンテの復活と、それを受けて6年ぶりのアルバムを昨年中になんと2作もリリースした後の新作ツアーでもあるということだ。昨年6月にヨーロッパから始まったツアーは『グローバル・スタジアム・ツアー』と名付けられ、その一環となる東京公演はまさにその名にふさわしい壮大で圧倒的なステージだった。そして鉄板ラインナップのバンドを迎え撃つオーディエンスの熱量も半端じゃなかった。先に16年ぶりの単独公演と書いたが、レッチリはその間夏フェスで3度来日し、洋楽アーティスト屈指の人気を定着させている。もはや伝説となった第一回目のフジロックでのステージや、東日本大震災が起きた2011年にサマーソニックのヘッドライナーとして来日してくれたことなど、日本のファンにとって思い入れの強いバンドだ。開演前の会場内外に漂う高揚感からは、バンドに対する絶大な信頼感も伝わるようだった。イントロのジャムからドラムのチャド、ベースのフリー、そしてジョンの3人はいきなりフルスロットルで、オーディエンスを温めるどころか早くもノックアウトする勢いで超絶技巧のプレイを見せ付けた。実質的なオープニング曲「Can’t Stop」のイントロが始まると、ボーカルのアンソニーの登場と相俟って会場は一気に熱狂の渦に巻き込まれ、同じくアルバム『By The Way』収録の「The Zephyr Song」の心地良いメロディに身体を揺らし、レッチリのライブが始まった喜びをかみしめた。Photo:Kazumichi Kokei続いて披露されたのは新作『Unlimited Love』からの「Here Ever After」で、リズミカルなドラムにベースとギターが寄り添うように絡み合い、その波をボーカルがなめらかに乗りこなしていくという、ジョンが復活した今の4人ならではのケミストリーが感じられる新曲だ。日本の前に周ってきたオーストラリアなどでは、セットリストにヒット曲が少ないと不満の声が上がったりもしていたが、今回の東京公演ではアンコールを含めた全17曲中、新作2作からの曲は6曲だった。ジョンのギター・ソロに痺れる「Eddie」やタイトなドラムが際立つ「These Are the Ways」、「ヤーヤヤヤー」の掛け声が耳に残るグルーヴィーな「Tippa My Tongue」、『Unlimited Love』のファーストシングルで新生レッチリの到来を告げたメロディアスな「Black Summer」など、新しい曲はどれもこの4人で再び集まって曲作りができる喜びにあふれていて、それをライブで聴くオーディエンスにはそんな今のレッチリを体感できる喜びを与えてくれた。ステージにはバックドロップ全体と両サイドに大きなスクリーンがあり、グルーヴをそのままビジュアルにしたようなサイケデリックな映像(メンバーの姿とリアルタイムで合成されていたのもかっこよかった)で視覚的にも楽しめた。「Snow(Hey Oh)」では左にアンソニー、右にジョンの顔が大きく映し出され、2人でコーラスをハモる姿にじーんときた。演奏中のメンバーの手元がアップになるのも見どころで、ベースの弦の上で叩き付けるように力強く、それでいてステップを踏むように軽やかに動き回るフリーの指には何度見ても驚かされた。還暦の概念を変えるチャドのパワフルなドラミングはどれだけ体力があるのかと恐ろしくなるほどで、常に楽しそうにしているのがまたすごい。真っ赤なスカジャンを着て登場したアンソニーは、その後黄色いメッシュのシャツ姿になり(裾をめくり上げて頭にかぶり、のしのしと歩き回るところが最高)、気が付けばそれも脱いで股間に稲妻が走るハーフパンツ一丁になっていた。それぞれ熟練の技を見せる彼らだが、いくつになっても大人と子どものいいとこ取りのような、仲間と一緒に音楽をやるのが楽しくてたまらないという変わらなさがあるのがいい。曲のアウトロでフリーとジョンが向き合って長いジャムを続けたり、アンソニーも加わって全員がドラムキットの前に集まったりする場面は、ここがドームであることを一瞬忘れさせ、まるでスタジオでの様子を覗き見ているかのような親密感があって心温まる光景だった。この日一番饒舌だったフリーは、スパッとしたエンディングがかっこいい「Suck My Kiss」の後で、今朝食べた和朝食に小鉢がいっぱい並んでいて何を食べているのかまったくわからなかったけどおいしくて、ミステリアスでビューティフルなのが日本のいいところだと言って笑っていた。そして科学者と相談した結果、史上最もスローな曲のやり方がわかったと言って始めたのが、超絶速弾きベースの「Nobody Weird Like Me」! 89年の名盤『Mother’s Milk』からのレア曲に会場が沸いた。そんな沸騰状態はフリーとジョンがひとしきり絡んで始まった「By the Way」で最高潮に達し、ジョンのボーカルで完璧な形になったこの曲で本編の幕が閉じた。アンソニー・キーディス「君たちの笑ってる顔が見えるよ」アンコールでステージに戻ってきた彼らが鳴らし始めた「Under the Bridge」に、オーディエンスはスマホのライトで応えた。絶望的な孤独を歌ったこの曲が、満天の星のようにキラキラと輝く数万の光に照らされて、みんなの歌へと昇華していく様は泣けてくるほど感動的だった。そしてラストの「Give It Away」の大爆発で涙は吹き飛ばされ、あまりの盛り上がりに笑うしかなかった。途中アンソニーがフリーに質問があると言って(「恥ずかしいやつ?」との返しが笑えた)、どうやったらマスクをしていても笑顔かどうかわかる?と訊くと、「目を見たらわかるよ」とフリーが答える場面があったけれど、エンディングでアンソニーは「見える、君たちの笑ってる顔が見えるよ」と満足そうに言っていた。最後にオーディエンスに向かって「今夜のショウに来てくれてありがとう。君たちを愛してる。また会う日まで、みんな仲良くな。グッバイ!」と言ってステージを去った。その言葉は未来への確かな約束のように響いた。生のサウンドを浴びて踊って(マスクの下で)歌ってジャンプして、あっという間に過ぎ去った1時間40分あまりは、ただただ最高に楽しかった。Photo:David Mushegain<公演情報>レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワールドツアー 2023 ライブ・イン・ジャパン2月19日(日) 東京ドーム2月21日(火) 大阪城ホール東京公演 セットリストIntro Jam1. Can’t Stop2. The Zephyr Song3. Here Ever After4. Snow(Hey Oh)5. Eddie6. Suck My Kiss7. Reach out8. Soul to Squeeze9. Nobody Weird Like Me10. These Are the Ways11. Tippa My Tongue12. Californication13. Carry Me Home14. Black Summer15. By the WayアンコールUnder the BridgeGive It Away来日公演の詳細はこちら:<リリース情報>Red Hot Chili Peppers『Unlimited Love』Now On Sale価格:2,860円(税込)【収録内容】1. Black Summer2. Here Ever After3. Aquatic Mouth Dance4. Not The One5. Poster Child6. The Great Apes7. It’s Only Natural8. She’s A Lover9. These Are The Ways10. Whatchu Thinkin’11. Bastards of Light12. White Braids & Pillow Chair13. One Way Traffic14. Veronica15. Let ‘Em Cry16. The Heavy Wing17. Tangelo18. Nerve Flip ※日本盤ボーナス・トラックRed Hot Chili Peppers「Black Summer」MVRed Hot Chili Peppers「Poster Child」MVRed Hot Chili Peppers「These Are The Ways」MV購入・配信リンク: Hot Chili Peppers『Return of the Dream Canteen』Now On Sale価格:2,860円(税込)【収録内容】1. Tippa My Tongue2. Peace And Love3. Reach Out4. Eddie5. Fake As Fu@k6. Bella7. Roulette8. My Cigarette9. Afterlife10. Shoot Me A Smile11. Handful12. The Drummer13. Bag Of Grins14. La La La La La La La La15. Copperbelly16. Carry Me Home17. In The Snow18. The Shape I’m Takin’ ※日本盤ボーナス・トラックRed Hot Chili Peppers「Tippa My Tongue」MVRed Hot Chili Peppers「The Drummer」MV購入・配信リンク:来日記念キャンペーン実施店舗はこちら:ワーナーミュージック・ストア限定で『Unlimited Love』『Return of the Dream Canteen』のCD&Tシャツセットや限定バイナル等を販売中。詳細はこちら:関連リンクオフィシャルサイト::::: Hot Chili Peppers Warner Music Japan オフィシャルサイト:
2023年02月21日aikoのファンクラブ「Baby Peenats」&モバイルサイト「team aiko」会員限定ライブ『Love Like Rock Limited vol.2』が、2月17日、Zepp Fukuokaにて開催された。『Love Like Rock Limited vol.2』は、約15年ぶりのファンクラブツアーとなっており、本来は2022年10月12日にツアーファイナルを迎える予定だったが、Zepp Nagoya公演、Zepp Fukuoka公演、Zepp Osaka Bayside公演の1日が2023年に延期されたことで、この日のZepp Fukuoka公演がツアーファイナルとなった。赤い幕が上がり、aikoの姿が見えると同時に歓声が上がる。オープニングナンバーの「果てしない二人」でたちまち会場をハッピーな風で包み込み、オーディエンスを一気に引き込む。ライブ最初のMCで「今日はみなさん長いことお待たせしてしまってごめんなさい。本当にありがとうございます」「特別な時間を過ごしましょう」と言葉にすると、拍手と歓声があがる。その後、友達と話すかのようなaiko流のコミュニケーションを交えて、笑いと歓声の絶えないMCも束の間。すかさず「赤いランプ」「ドライブモード」とアップテンポの曲を、赤いレーザーと共にステージを縦横無尽に駆け回りながら歌い上げる。メインステージからセンターステージまで伸びる花道を、二つに結んだ髪を激しく揺らし、ステップを刻みながら一人一人に歌を届けるaiko。それに応えるかのように、体全体で音を楽しむ観客。クラップ音と歓声に比例して、会場の熱気と一体感は増していく。ライブ中盤のメドレーでは、「明日の歌」から始まる計11曲を披露。「シャワーとコンセント」のイントロが始まると、Aメロを歌い始める前にメドレー最後の曲にあたる「ばいばーーい」のサビに突如切り替わる。その予想だにしないドラマティックなメドレー構成に胸を打たれる。メドレーが終わり、「あと3曲で終わるからな!」とaikoが投げかけると、「ええー!」「朝まで!」「終電までいける!」の声が会場中を飛び交う。その後「列車」で熱量を加速させ「磁石」ではバンドメンバーを1人ずつ紹介していく。最後にaikoが「そして、ボーカルはー?」と叫ぶと、会場からは、割れんばかりの「aikoー!!!」が響き渡る。熱気に包まれた中「58cm」で本編ラストを盛大に飾った。アンコール1曲目は、2023年1月9日に配信リリースした「あかときリロード」(フジテレビ系木曜劇場『忍者に結婚は難しい』の主題歌)を披露。紫と青みがかった夜更けの空のような照明が、次第に曙の空を思わせる朝焼けのような淡い黄赤色に変わっていく。まるで、タイトルの「あかとき」(暁)の空の下で、想いを馳せて歌っているかのようなaiko。観客は、そのなんとも儚げで美麗な姿と声を全身で浴びながら、ひたすら聴き入っていた。アンコール最後の「ストロー」では、歌詞にある「君にいいことがあるように」を歌うと同時に一人一人に指をさしていく。指をさされた観客も、そうでない人も、全員が笑顔で溢れる、幸せな空間が広がっていた。そして、「aiko!aiko!!」とaikoコールが止まないまま、Wアンコールに突入する。「milk」「未来を拾いに」「キラキラ」で会場のボルテージは最高潮に。凄まじい熱気と一体感の中「be master of life」が始まる。イントロでaikoお決まりの「男子ー!女子ー!そうでないひとー!全員ー!」のコールアンドレスポンスに会場からは歓声が湧き起こる。アウトロで終わるかと思いきや再びサビが始まるエンドレスな展開に会場の盛り上がりは最高潮に。曲が終わっても、万雷の拍手とaikoコールが鳴り止む気配が全くない。そして、トリプルアンコールに入り、「ボーイフレンド」を披露。演奏に合わせてのクラップとZepp Fukuokaの壁を突き破りそうな合いの手。言葉にできないほどの熱量と一体感のままトリプルアンコールを終える。aikoとaikoファン全員で作り上げた15年ぶりのファンクラブツアーは、「特別な時間」のまま幕を閉じた。なお、本公演のセットリストをまとめたプレイリストが、各サブスクリプションサービスにて公開されているので、こちらもぜひチェックしてほしい。また、3月29日(水) に発売されるアルバム『今の二人をお互いが見てる』初回限定仕様盤には、本ツアーaiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』のZepp Haneda公演の映像が収録される。本日のセトリとは違う内容になっているので、こちらもぜひチェックしてほしい。さらに、3月7日(火) 23時からは、『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』のリハーサルや当日の裏側に密着した60分の特別番組『aikoはじめてのロックフェス「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022」』の放送が決定。そのほか、SPACE SHOWER TVにて3月度マンスリーアーティスト“V.I.P.”に選出され、3月30日(木) 19時30分より『V.I.P. -aiko-』撮り下ろし特別番組が放送される。<公演情報>aiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』2023年2月17日(金) Zepp Fukuokaセットリストプレイリスト:【セットリスト】01. 果てしない二人02. ねがう夜03. 白い服黒い服04. くちびる05. 赤いランプ06. ドライブモード07. 遊園地08. 小鳥公園09. させないで10. 親指の使い方11. さよなランド12.メドレー(明日の歌/なんて一日/青空/かばん/恋をしたのは/うん。/運命/こんぺいとう/犬になる/シャワーとコンセント/ばいばーーい)13. 列車14. 磁石15. 58cm■アンコール16. あかときリロード17. ロージー18. ストロー■Wアンコール19. milk20. 未来を拾いに21. キラキラ22. be master of life■トリプルアンコール23. ボーイフレンド<番組情報>『V.I.P. -aiko-』2023年3月30日(木) 19:30~20:30 SPACE SHOWER TV『aikoはじめてのロックフェス「FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022」』2023年3月7日(火) 23:00~24:00 SPACE SHOWER TV番組リンク:『aiko MUSIC VIDEO SPECIAL』2023年3月30日(木) 20:30~22:00 SPACE SHOWER TV<リリース情報>15th Album『今の二人をお互いが見てる』2023年3月29日(水) リリース予約リンク:●初回限定仕様盤A【CD+LIVE Blu-ray】5,830円(税込)●初回限定仕様盤B【CD+LIVE DVD】5,830円(税込)●通常仕様盤【CD Only】3,204円(税込)※初回限定仕様盤A、初回限定仕様盤B:カラートレイ&三方背ケース仕様/パスステッカー封入【CD収録】・あかときリロード・食べた愛・ねがう夜・果てしない二人・夏恋のライフほか 全13曲収録予定【DVD / Blu-ray収録】■aiko Live Tour『Love Like Rock Limited vol.2』2022.10.11 Zepp Haneda01. ゆあそん02. させないで03. ねがう夜04. くちびる05. その目に映して06. 赤いランプ07. beat08. エナジー09. 夏恋のライフ10. そんな話11. アスパラ12. メドレー13. クラスメイト14. 花火15. 列車16. 果てしない二人17. 帽子と水着と水平線18. ストロー※詳細は後日発表【予約購入先着特典】■TOWER RECORDS全店(オンライン含む)「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(TOWER RECORDS ver.)■HMV全店(HMV&BOOKS online含む)「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(HMV ver.)■セブンネットショッピング「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(セブンネットショッピング ver.)■Amazon「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(Amazon ver.)■楽天ブックス「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(楽天ブックス ver.)※aikoオリジナル配送BOXでのお届け■その他法人+aiko online store「シューレース〜想紐がいっぱい〜」(応援店ver.)※全国のCDショップにて2023年3月29日発売『今の二人をお互いが見てる』をご予約・ご購入のお客様に、先着で上記オリジナル特典をプレゼント。各店舗でご用意している特典数量には限りがございますので、お早目のご予約をおすすめいたします。※特典デザインは決定次第発表させていただきます。※特典は数に限りがございますので、発売前でも特典プレゼントを終了する可能性がございます。※一部取り扱いの無い店舗やウェブサイトがございます。ご予約・ご購入の際には、各店舗の店頭または各サイトの告知にて、特典の有無をご確認ください。■楽天ブックス「aikoオリジナル配送BOX」につきまして※楽天ブックスにて対象商品をご購入いただいたお客様限定で、オリジナル・デザイン仕様の“aikoオリジナル配送BOX”で商品をお届けします。※数量に限りがあります。無くなり次第終了とさせていただきます。※配送BOXは、配送伝票やバーコード、テーブが直接貼付された形態でのお届けとなります。また、配送中の汚れ、破損による交換はお断りいたします。<配信情報>配信シングル「あかときリロード」配信リンク:<タイアップ情報>フジテレビ系木曜劇場『忍者に結婚は難しい』毎週(木) 22:00~22:54 放送原作:横関大(『ルパンの娘』シリーズ、『K2 池袋署刑事課 神崎・黒木』シリーズなど)脚本:松田裕子(『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』『レンアイ漫画家』など)■出演者菜々緒、鈴木伸之、勝地涼、山本舞香、吉谷彩子、藤原大祐、筧美和子/ともさかりえ、古田新太、市村正親 ほか公式HP:公式Twitter:公式Instagram:公式TikTok:<ツアー情報>aiko Live Tour『Love Like Pop vol.23』5月24日(水) 東京・J:COMホール八王子6月2日(金) 愛媛・松山市民会館6月4日(日) 香川・レクザムホール6月10日(土) 宮城・仙台サンプラザホール6月11日(日) 宮城・仙台サンプラザホール6月15日(木) 新潟・新潟県民会館6月24日(土) 東京・NHKホール6月25日(日) 東京・NHKホール7月4日(火) 宮崎・宮崎市民文化ホール 大ホール7月6日(木) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール7月11日(火) 大阪・フェスティバルホール7月12日(水) 大阪・フェスティバルホール7月22日(土) 広島・上野学園ホール7月23日(日) 広島・上野学園ホール7月28日(金) 京都・ロームシアター京都 メインホール7月30日(日) 滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール8月4日(金) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru8月6日(日) 青森・リンクステーションホール青森8月10日(木) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール8月12日(土) 福井・フェニックス・プラザ8月24日(木) 岡山・倉敷市民会館8月26日(土) 島根・島根県民会館9月3日(日) 大阪・フェスティバルホール9月4日(月) 大阪・フェスティバルホール9月9日(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール9月10日(日) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール9月14日(木) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール9月15日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール9月27日(水) 東京・NHKホール9月28日(木) 東京・NHKホール■チケット料金:6,800円(税込)※入場時、別途ドリンク代必要※未就学児入場不可、小学生以上はチケット必要※公演日によって開場/開演時間が異なりますのでご注意ください。※開場/開演時間は変更になる可能性がございます。関連リンクaiko official website: official YouTube配信サイト official on Twitter(@aiko_dochibi) official Instagram(@aiko15_official) official Facebook
2023年02月18日花火の玉は、勢いよく空に飛んでいき、放射線状の軌跡を描きながら、大空で美しく色とりどりの光を放つ。今まさに、空で広がっていく花火の光に見えた。2023年2月12日Zepp Fukuokaで行われた『HIGH FIVE 2023』。今年2回目を迎えるイベントの福岡公演でヘッドライナーを務めたのはOmoinotake。彼らが対バン相手に指名したのは、2015年、渋谷のライブハウスでの自主企画に招いて以来、8年ぶりの共演となるiri。それぞれの音楽を知っている者にとっては、メロディアスで切なくも美しい楽曲をつくるOmoinotakeとソウルフルでジャジーな音楽を魅せるiriとでは、ベクトルが違い過ぎるのでは?と感じた人も多いだろう。『HIGH FIVE』は、札幌を皮切りに、福岡、大阪、東京、名古屋の5会場のZeppで行われる。その年の各地のヘッドライナーが、今一番対バンしたい相手と共演するというのが醍醐味のひとつ。いい意味で期待を裏切ってくれたこの組み合わせが、どう融合するのか期待に胸が膨らむ。先手で登場したのはiri。ギターを抱えて登場し、ブルーライトに照らされると途端に会場が沸き立った。まだコロナ禍の余波で、立ち上がり手拍子や身体を揺らすことは解禁になっても、継続的な声援ができないことが本当に残念だが、着席したままの昨年のそれよりも、はるかにライブ感が蘇った印象を受けた。iriギターを弾きながらディスコサウンドに乗せて切ない恋心を唄う「ナイトグルーヴ」から始まった。その歌声が会場に響き渡ると、会場全体がiriのナイトグルーヴィングへと一気に引き込まれた。音楽に呑まれるように、誰もが自然に身体を揺らす。ライブのスタートダッシュといったところだ。2曲目はギターをおろし、CMソングとしても話題となった「Sparkle」。ソウルフルでパワーのある歌声でありながらも、どこかポップさを感じるのは、『揺れる、肝銘な未来』という不安を抱えつつも肯定的に終える歌詞を、楽しみながら歌う姿がそこにあるからだろう。この人は、本当に楽しそうに歌を歌う。低音でブルージーな歌声と、英語のようにも聞こえる日本語の歌い方は、まさに音(曲)と歌詞を紡いでいるようだ。続いて沈みがちな心境の時、自らを奮い立たせるために作ったという「渦」。憂いを感じながらもサビで躍動的になる。その感情がダイレクトに身体に入ってくるようだった。MCでは「明けましておめでとうございます。今年初のライブなので、やっとみなさんに会うことができて、うれしいです」と年末から制作活動をしていたので、と少し遅めの新年の挨拶。Omoinotakeとの縁について「8年前、デビュー前で大学生の頃以来なので、挨拶をした時にとても感慨深かった」と思い出を語った。続いてデビュー前から歌い続けて今でも人気が続くラブソング「会いたいわ」、iri自身が「一日の終わりに崩れかけていく女性のメイクに、その人が1日をどれだけやりきったかが出ていて美しさを感じる」として制作した「Corner」と切ないバラードが続き、後半はヒップホップのビートに疾走感のあるトラックがmixした「friends」「STARLIGHT」などアップテンポの楽曲が続き、ライブ初披露の「Roll」で会場をさらにヒートアップさせる。iriというアーティストの存在を世に知らしめたひとつは『井上陽水トリビュート』で「東へ西へ」がある。日本人離れしたリズム感とブルージーな歌声、類を見ない日本語リズムの捉え方だ。観客がiriの波に乗ってきた瞬間を見逃さず掬い上げて巻き込んでいく。iriのファンだと公言するOmoinotakeが、今回のゲストに彼女を選んだのは、彼らの音楽と対局にありながらも、自身の音楽で観客の心を掴んで放さないという火種が同じだからだろう。そのまま「24-25」と続きMVの再生回数が2300万回を超える人気曲「Wonderland」で締めくくった。「ゲストを決める時に満場一致でiriさんに決まりました」そして、iriから受け取ったライブの高揚感をヘッドライナーのOmoinotakeが登場しデビュー曲の「EVERBLUE」でのっけからトップギアを入れてさらに会場に火を放った。最初にこの曲を聴いたときに清涼感とポップな感じがお気に入りだったのだけど、ライブで聴くそれが、ここまで“君をさらって行くよ!”感があるとは思いもよらなかった。往年のシティーポップミュージックの表情をしながらも力強く疾走していく声と音楽は、グイグイと彼らのコアスポットに引き込む。よく“沼落ち”というが、Omoinotakeの沼の深さと幸福感は簡単には抜け出せないんだ、と改めて知ることになった。さらに追い打ちを掛けるように名曲「彼方」へ続く。巧妙に構成された楽曲を、透明感と安定感と繊細でありながらも力強いレオの歌声は、彼方まで届いているかのようだ。Omoinotakeは、ギターレスのスリーピースバンド。ステージには前面に下手からベースのエモアキ、ヴォーカル&キーボードの藤井怜央、ドラムのドラゲ、後方下手にサックス柳橋玲奈、パーカッションぬましょうの配置。このセッティングがどうも気になっていたら「僕らの音楽を正面から浴びて欲しいから」とのこと。きっと観客は、真っ正面から音楽を浴びる快感を得ることだろう。そしてファンにはたまらないドラマチックな名曲「この夜のロマンス」。この前半のセトリはズルい。誰だって好きにならずにはいられない(あくまでも女子目線)。Omoinotakeのメンバーは、どこか“安全な男子”感があるのだが、こういう楽曲が並ぶのだから、むしろ危険な男たちだ。ただ人間とはそうそう自分の心を思い通りに操れるわけではないので、危険な方へと惹かれていくのだ。OmoinotakeMCでレオは今回のゲストiriについて「3人全員が大好きだというアーティストは、そうそういないけど、ゲストを決める時に満場一致でiriさんに決まりました。8年前に渋谷で対バンをした時からなんてカッコいいアーティストなんだ!と全員が思って、普通にいつも聴かせてもらってるんです」と全員がファンだということを公言した。さらに「福岡でのヘッドライナーであることがうれしい。負けないように最後まで楽しくやりたい」と語った。中盤はラテンのリズムにのせながらも切なさが漂う「空蝉」、インディーズ時代からライブで何度も披露している「雨と喪失」。失った大切な人のことを想い綴った曲でファンからも人気が高い。80年代のエレクトロニカを彷彿させるビートがより切なさを演出しているようだ。サックスの響きが楽曲の奥行きを増幅させるほどジャジーで躍動的な「Blanco」から劇場アニメ『囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather』の主題歌として書き下ろした「モラトリアム」。憂いを帯びたレオの声が本当に切ない。Omoinotakeの楽曲の中でもトップクラスに壮大でありながらも脆く泣きそうに切ない。思わず“好きだ……”と噛みしめたい名曲として常にプレイリスト入りしている(個人的に)。この日、レオはかなり緊張していたようで、後半に突入する前のMCで、ものすごく真面目に今回ヘッドライナーに選ばれた感謝を語り始めるが、途中で自身の超マジメ発言に気恥ずかしくなり、「っていうようなことを、もっと楽しく言って」とエモアキに無茶振り。歌っている時とは裏腹なレオの緊張が、今ここでライブが出来ていることの心からの喜びを表現しているようで、観客も“レオがんばれ!”という空気になっていたところに笑いが起こった。たとえおもしろくMCができなくても、言葉が詰まっても、会場全員がレオの気持ちを受け取っていたに違いない。そんなほっこりムードから、オレンジの夕暮れを思わせるライトを浴びて「心音」から終盤に入った。会場が両手を挙げて手拍子をしながら身体を揺らす。サンバのようなポップさとEDMが融合した「トロイメライ」から、さらに会場がひとつになって盛り上がっていく。携帯電話会社とコラボ企画で誕生した「By My Side」ではハンドクラップで完全に一体となり、ラスト「トニカ」では、まさに“胸を打つ音を今響かせ”の歌詞どおり、今ここにいる全ての人を肯定してくれるポップソングで、大団円を迎えてZepp Fukuokaでの『HIGH FIVE 2023』が幕を降ろした。音楽が好きで、音楽で誰かをハッピーにしたい、音楽で表現する幸せを火種にして、真っ直ぐに打ち上がったOmoinotakeとiri。火花が広がった方向は異なるが、この福岡で大きな打ち上げ花火が上がったことは間違いない。きっと彼らの想いは次の場所へ繋がっていく。TEXT BY 筒井あやPHOTO BY 新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』2023年2月12日(日) 福岡・Zepp Fukuoka【セットリスト】■iri01. ナイトグルーヴ02. Sparkle03. 渦04. 会いたいわ05. Corner06. friends07. STARLIGHT08. Roll09. 24-2510. Wonderland■Omoinotake01. EVERBLUE02. 彼方03. この夜のロマンス04. 空蝉05. 雨と喪失06. Blanco07. モラトリアム08. 心音09. トロイメライ10. By My Side11. トニカ『HIGH FIVE 2023』Zepp Osaka Bayside2023年2月19日(日)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:梅田サイファーSPECIAL GUEST:ALI『HIGH FIVE 2023』Zepp DiverCity2023年2月23日(木・祝)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:BREIMENSPECIAL GUEST:Kroi『HIGH FIVE 2023』Zepp Nagoya2023年3月5日(日)OPEN 17:00 / START 18:00HEADLINER:Cody・Lee(李)SPECIAL GUEST:ASIAN KUNG-FU GENERATION公式サイト:公式Twitter:
2023年02月17日ももいろクローバーZが、2月11日(土)・12日(日) の2日間横浜アリーナにて、『ニッポン放送 ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』(以降、バレイベ)を開催した。11日の「裏」公演は「昭和レトロ」をテーマに、だるまさんが転んだやけん玉など懐かしいゲームで対決したり、ゲストの三宅裕司とコントに挑戦。12日の「表」公演は「3年後の未来」をテーマに、島田秀平をゲストに招いて“ももクロの未来”を占ってもらうなど、バレイベらしい趣向を凝らした企画でリスナーを楽しませた。2月11日(土) 裏公演のテーマは「昭和レトロ」ということで、昭和の街並みや当時の様子など昔懐かしい映像がスクリーンに映し出される。「昭和にももクロがタイムスリップしたらどうなる?」というナレーションの後、「アッと驚く為五郎~!」という懐かしの昭和ギャグが会場に響き渡ると、ももクロの4人がステージに登場した。会場に集まったリスナーが総立ちでメンバーカラーに染まったペンライトを振る中、ももクロは「Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~」と「夢の浮世に咲いてみな」の2曲を披露。迫力あるパフォーマンスで会場全体を一気に盛り上げた。MCと恒例の自己紹介の後は、再びライブステージへ。「マホロバケーション」「ゴリラパンチ」の2曲を花道からセンターステージ、バックステージ、外周と隈なく動き回り、リスナーに笑顔を届けた。ここで、毎年バレイベの進行役を務める垣花アナウンサーが登場。「昭和レトロゲーム対決〜!」との掛け声と共に、これから始まるゲームの説明と、優勝者には「駄菓子食べ放題」の権利が与えられると発表が。ステージに設置された駄菓子屋を前に、「駄菓子絶対食べたい!」(佐々木彩夏)、「100円の使い方は駄菓子屋で学んだ」(玉井詩織)、「子供の頃毎日行ってた」(高城れに)と、駄菓子屋の思い出と意気込みを語る。くじ引きで百田夏菜子&佐々木vs高城&玉井とチーム分けをしたところで、最初の戦い「エアホッケー対決」に突入。本物のエアホッケー機がステージに用意されると、高城は「ゲームセンターに行きたかったんだよね!」とテンションが上がる。両チーム慎重にゲームを進め、まったくポイントが入らないという展開が続くも、最後に百田が自チームのゴールにホッケーを入れてしまい、高城&玉井チームが勝利した。「エアホッケー対決」より「ライブより汗をかいた(笑)」と言うほど熱中したエアホッケーに続いては「巨大けん玉対決」。ももクロの身長ほどもあるけん玉を、チーム2人が協力して大皿・剣先に決めればポイントが入る。ここでは両チームが大皿に入れ、引き分けに。「巨大けん玉対決」より最後の対決は「だるまさんが転んだ」。メインステージまで早くたどり着いたチームがくじを引け、そこに書かれたポイントで勝敗が決まる。鬼の“ヨシコさん”が振り向くタイミングで、それぞれ工夫したポーズで止まる一同。佐々木が高城をほど良く突き飛ばして脱落させるというハプニングもあり、佐々木が見事にくじをGET。書かれていたポイントがなんと1万ポイントもあり、百田&佐々木チームが見事に駄菓子食べ放題の権利を獲得した。百田と佐々木が横浜アリーナのステージで駄菓子を食べている間に、次のステージ「ソロLIVE」の準備が完了。トップバッターの玉井は、12カ月連続でソロ曲を配信する企画「SHIORI TAMAI 12 Colors」の記念すべき第1弾「暁」をステージ初披露。玉井の思いが込められた同曲を、力強く歌唱した。高城は、誰もが思わず踊ってしまうようなダンスナンバー「Dancing れにちゃん」を。笑顔溢れる彼女の魅力詰まった歌詞とダンスを、リスナーたちはペンライトを紫に染めて盛り上げる。玉井詩織高城れに百田も、自身のメンバーカラー「赤」をテーマにした「赤い風船」をライブ初披露。タイトルにもある“風船”を表すように、ふわふわと体を揺らしながらしっとりと歌い上げた。佐々木は鉄板曲「だって あーりんなんだもーん☆」を歌唱。リスナーに一緒に手拍子や振り付けをするよう求めて、会場全体をピンク色の“あーりんワールド”へと誘っていた。百田夏菜子佐々木彩夏ソロLIVEのステージを終えると、「バレイベ」恒例の豪華ゲストを招くコーナーへ。現在ニッポン放送『三宅裕司サンデーヒットパラダイス』のパーソナリティを務めているだけでなく、『三宅裕司のヤングパラダイス』など、40年以上にわたりラジオに出演し続けている三宅裕司に、昭和と令和の“ラジオの違い”を聞くなど、貴重な時間が繰り広げられた。そんな三宅が座長を務める熱海五郎一座が今年も5月31日から上演される。熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第9弾『幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜』に、玉井がゲスト出演することが決定している。その本番に向けて「予行演習をしておこう」ということで、三宅から「東京喜劇」について学ぶことに。ウォーミングアップとして大喜利に挑戦することになるのだが、メンバーからの「面白くなかったらメンバーチェンジもあるかも?」という言葉に、玉井がプレッシャーを感じる一幕も。「一人だけ振り付けを間違えた時に、何という?」「絶対500万枚売れるアルバムタイトルを考えてください」「暴れん坊将軍が急に暴れだしたけど、どうしたの?」というお題に、玉井はもちろん、メンバーそれぞれが個性ある回答をして、三宅とリスナーを笑わせていた。三宅裕司とのトークコーナーさらに「東京喜劇」について掴めてきたところで、「バレイベ」のために書き下ろした台本をもとにコントにチャレンジ。学校を舞台に、悩みを抱える佐々木を慰めるため、百田、玉井、高城が奮闘する……という台本だったのだが、4人全員がアドリブなのか台本通りなのか分からない演技をすると、先生役の三宅が「どこでツッコめばいいかわからない!」と嘆きつつも、充実したコントに会場は大きく沸いた。コントに挑戦するももいろクローバーZ様々な企画で盛り上がったあとは、最後のライブコーナーへと突入。2019年の「ももいろクリスマス」の時に着用した衣装に着替えた4人は、“レトロ”がテーマの今回にちなんで選曲をしたという、すべて10年以上前にリリースされた楽曲「労働讃歌」「ミライボウル」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」 「オレンジノート」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」の5曲を披露した。アンコールでは、昨年の「バレイベ」にてミュージックビデオを解禁した太田胃散のCM曲「HAND」を、今年は生で披露。メンバー同士が手を繋いで空を飛ぶというハートフルなミュージックビデオ同様、ステージでも手を取り合ったり、リスナーに向かって手を差し伸べる振り付けが印象的な楽曲に。また、スマートフォン向けゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とのコラボ楽曲「Majoram Therapie」では、アイドルらしさ全開のかわいらしいダンスや歌声を会場に響かせた。最後の楽曲は、「走れ! -ZZ ver.-」。1つ前の楽曲で、百田が「次が最後の曲です」と間違えてしまったことから、「これが最後の曲です~!」「これが! 本当の最後の曲になります(笑)!」と間奏でしっかり言い直し、メンバーもリスナーも歌詞にある“笑顔が止まらない”状態で、大盛り上がりのバレイベ「裏」公演の幕を下した。「表」公演では3年後のももクロを占う2月12日(日) 表公演のテーマは「3年後」。未知のウイルスとの戦いが始まった2020年から、わずか3年の間に色々なことが大きく変わった。「3年あれば、悪いこともあれば、良いことへ変えられる」ということで、この「表」公演は“3年後”をテーマに、未来を意識した企画を行っていくことに。オープニングはライブからスタート。黒のシックなドレスを身にまとったももクロメンバーがアリーナ後方のステージに颯爽と登場。花道、メインステージと移動しながら“幕開け”を感じさせる曲調や歌詞が特徴の「ロードショー」を歌い上げ、会場全体の一体感を早速、作り上げる。続けて、大阪府出身のロックバンドGARLICBOYSの名曲をももクロバージョンへアップデートリメイクしたパンキッシュな自己紹介ソング「ダンシングタンク♡」を披露した。3年後の2026年はメンバー全員が30代になる年ということで、年齢についての話題で盛り上がったMCを挟んだあとは、笑顔の大切さを歌った「笑一笑 ~シャオイーシャオ!~」、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手の2022年シーズンの登場曲「一味同心」も歌唱し、昨日の裏公演とは打って変わって比較的新しいリリース曲が並んだ。『ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』2月12日(日)「表」公演より「表」公演の進行を務めるのは、こちらも毎年お馴染みの吉田アナ。『ももクロくらぶ』にも関連する“扉”がステージ上に設置されており、そこから“3年後”というテーマに関わりあるゲストが登場していく。最初に登場したゲストは、現在ブームとなっている「縦型ショート動画」で大人気の土佐兄弟。弟の有輝がモノノフ(=ももクロのファン)で、度々ももクロと共演、昨年末に行われた「ももいろ歌合戦」にも出演するなど、モノノフにもお馴染みとなっているお笑いコンビ。今回、そんな土佐兄弟がももクロのショート動画をプロデュース。ももクロ用に作った「高校生あるある」と「高校生なしなし」ネタを、セーラー服姿に着替えたももクロが実際にステージ上で披露することに。しかし、ネタに行く前に、佐々木&高城のセーラー服姿が「不良っぽい」という話で盛り上がると、金髪に染めたばかりの高城が「エゴサしたら不評だった。来週黒髪に染め直してこようかな?」と嘆く場面も。あるあるネタ「雨の日の持久走前の大発表」でも、「こんな2人がいたら怖いよ~」と百田が言うほど佐々木と高城の不良っぽさが炸裂。そんな中でも、高城が持久走を「じきゅうしょう」と噛んで会場を沸かすなど、キュートな一面を見せていた。百田と玉井は、なしなしネタ「授業中ありえない内職してるヤツ」を披露。見事に、百田と玉井はリスナーから大爆笑を引き出すことに成功。ネタを考えた卓也も「すごい面白かった!」と大絶賛していた。続いての“3年後”をテーマにしたゲストは、島田秀平。実は、毎年ももクロを占っているという島田。ももクロも「ビックリするほど当たっている」と、島田の占いを信頼しているとのこと。そんな島田にそれぞれの3年後を占ってもらうと、高城は「考古学にハマってエジプトで歴史的発見をしそう」「ものすごい勢いで虫にハマってアマゾン奥地で新種を発見しそう」との結果に。百田は「アイドルの枠を飛び越えて、人間パワースポットになっている」、玉井は「マルチタレントとして大活躍。番組出演本数がトップに」、佐々木は「コメンテーターとして大活躍。芸能界のニューご意見番」と、メンバーそれぞれが3年後の占い結果に興味深々の様子を見せる。そして、グループとしての3年後の未来は? というと、島田は「新形態『MCZ』として世界へ!」と意味深なコメント。そんなコメントがありつつも、ももクロはアイドル業だけに留まらない活躍を見せてくれそうということで、会場のリスナーはももクロの3年後に大きな未来を描くことができる占い結果となった。3年後のももクロの活躍に思いを馳せたところで、ソロLIVEのコーナーへ。“未来”を思って百田自身が作詞したバラードナンバー「それぞれのミライ」で、会場をしっとりとした雰囲気に包み込む。そんな空気を一気に爽やかに切り替えたのは、高城。「SKY HIGH」は、「いくつになっても青春を謳歌していたいよね」という高城本人のメッセージが込められている王道青春応援ソング。高城の元気いっぱいの歌声と弾ける笑顔に、リスナーは聞いているだけで自然と体が揺れる。 佐々木は、彼女のキュートな歌声とメルヘンな曲調がマッチした楽曲「空でも虹でも星でもない」を。そして玉井は「SHIORI TAMAI 12 Colors」の2月の楽曲「Another World」を初解禁。4人それぞれ全く違う雰囲気の楽曲を披露し、リスナーは彼女たちの魅力に酔いしれていた。続いては、バレイベ名物のラジオドラマのコーナー。ラジオドラマのタイトルは「靴」。舞台は、3年後の2026年。ステージに用意された白い靴には、3年かけて開発された最新の素材が使われているのだという。それを履いてライブに挑むと、確かにいつもより楽に動けたが……。しかし、4人は靴に頼らず、自分たちの力で頑張っていこうと決意するというストーリー。4人の演技に続いては、ドラマのタイトル「靴」にまつわる楽曲、Mr.Childrenの「足音 〜Be Strong」をももクロがカバー。会場のリスナーは聞き入り、ドラマの余韻に浸っていた。イベントもいよいよラストスパート。再びライブパートとなり、疾走感溢れる爽快なロックチューン「stay gold」から、昨日も披露された「Majoram Therapie」、こちらもGARLICBOYSの楽曲でももクロ史上最高にパンクなナンバー「あんた飛ばしすぎ!!」、田中将大選手の2021年の登場曲だった「吼えろ」、神聖かまってちゃんのの子が作詞・作曲した「孤独の中で鳴るBeatっ!」と勢いのある楽曲が続き、リスナーも懸命にペンライトを振り、ノリノリになって応援していた。アンコールでは、昨日の公演に引き続き、「HAND」をパフォーマンス。会場がハートフルな雰囲気に包まれたところで、4月に12年目へと突入する『ももクロくらぶxoxo』について、百田が「聴いてくれて、こうやって(イベントに)来てくれる方がいるから(続いている)」とリスナーに感謝を伝える。そして「12年目の『ももクロくらぶ』でも、自由に私たちの日常をお送りしていきます」とメッセージを送り、最後の曲へ。2018年のももクロ結成10周年を記念して発表された名曲「クローバーとダイヤモンド」を、リスナー1人1人に届けるように外周を歩いて歌い、最後は「ハッピー!バレンタイン」の掛け声で笑顔溢れるイベントを締めくくった。終演後には、2024年のバレイベが2月10日(土)・11日(日) の2日間にわたって横浜アリーナにて開催されることが発表された。なお、今日のバレイベ「表」公演は2月13日(月) 18時59分まで配信チケットを購入可能。見逃し配信は2月13日(月) 23時59分までとなっている。<公演情報>『 ニッポン放送 ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo ~バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2023』「裏」2023年2月11日(土) 15:00 開場 / 16:30 開演「表」2023年2月12日(日) 14:30 開場 / 16:00 開演会場:横浜アリーナ出演者:ももいろクローバーZゲスト:2月11日(土) 三宅裕司 / 2月12日(日) 島田秀平、土佐兄弟配信チケットはこちら:
2023年02月13日2023年2月4日(土)、Zepp Sapporoにて『HIGH FIVE 2023』初日公演が開催された。次世代を担うアーティストがヘッドライナーに立ち、彼らが今一番共演したいアーティストをスペシャルゲストに迎える音楽イベント。昨年からスタートし、今年2年目となる。札幌公演を飾ったのは、ヘッドライナーにはマハラージャン、スペシャルゲストとしてAwesome City Club(以下オーサム)が出演。グッドミュージックを鳴らす二組の共演とあって、老若男女が集った会場には開演前からピースフルな雰囲気が広がっていた。会場が暗転し、鍵盤の旋律に徐々にビートが重なるとステージに登場したのは先鋒を務めるオーサムのメンバー。atagiとPORINがアカペラによる歌声を届けて飛び込んだのは「青春の胸騒ぎ」だ。PORINが〈渋谷は街じゅう白い世界〉という歌詞を〈札幌は~〉と変化させ、雪国のオーディエンスへの挨拶としては満点の幕開けを披露。その後、初期の代表曲「4月のマーチ」も披露したことも含めて、彼らはここからオーサムのオールタイムベストのようなセットリストを繰り出していった。PORIN(Awesome City Club)もちろん、MCではマハラージャンとのエピソードが飛び出す。「一番マハラージャンじゃなかった」とatagiが話したように、昨年の『SUMMER SONIC 2022』で普段の衣装とは違うステルスモードのマハラージャンから、はじめましての挨拶があったことなどが和やかに語られていた。そんな出逢いを通して辿り着いたツーマンに対して「皆さんも一緒に楽しんでくださればと思います」とPORINがオーディエンスに呼びかけ、ライブは後半戦へと進んでいく。atagi(Awesome City Club)その後披露されたタームは、圧巻とも言えるラヴソングの連続。中でも、代表曲「勿忘」が生み出したステージにはオーサムの特異性が煌めいていた。美しいメロディと透明感の強い楽曲アレンジの中で、相反するように響き渡るモリシーのギターが産む激情--ラヴ/ポップソングにおいて、ある種カオティックに歪んだギターの旋律は、オーディエンスの感情を掻き毟るように鳴り響いていた。この要素は他の曲にも多く存在し、オーサムの音楽が明確なキャラクターを持って世の中に届く証明のような時間となっていたと言っていい。モリシー(Awesome City Club)しかし、この日のピークタイムはその後に訪れる。PORINがラストスパートに向けてフロアを煽る中、「今夜だけのスペシャルゲストをお呼びしてます」と言って登場したのは、何と出番前のマハラージャン!「Awesome City Clubになりたい」と話していた張本人と共に披露されたのは、「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」。“今夜だけ”のトリプルヴォーカルで描かれたオーサム屈指のダンスナンバーに、フロアの熱も最高潮。アウトロでマハラージャンの楽曲である「セーラ☆ムン太郎」のサビをマッシュアップして歌ったシーンも印象的で、オーサムをこのイベントに呼んだ張本人の純粋な笑顔と共に、ハイライトの連続となる特別な瞬間となった。同楽曲の歌詞の通り、飲み干せない感情で膨れ上がった会場はそのままのハイテンションで突き進み、ひとつのピリオドへ。〈Don’t Think / Feel it〉のリフレインがマハラージャンへとストーリーを繋ぎ、鳴り止まない拍手の中、オーサムのステージは終了した。マハラージャンのステージでは電気グルーヴのカバーも披露転換を挟み、遂にマハラージャンのステージの時間が訪れる。アンビエントなSEが流れ、カラフルな衣装とターバンに身を包んだマハラージャンが登場すると会場は大きな拍手で包まれた。SEがやむと間髪入れず、ゴールドカラーのギターが鳴らすバッキングと共に「僕のスピな人」に突入。先鋒のオーサムのステージの余熱もあってか、イントロから「札幌ーー!!」と叫び、のっけからハイテンションのマハラージャン。次に披露された「その気にさせないで」の前に語った「オーサムも最高だったけど、僕らもガンガンいきますよー!!」という言葉の通り、代名詞とも言える軽快なギターカッティングと共に、彼の音楽世界にオーディエンスを誘っていく。マハラージャン同楽曲のラストで魅せた咆哮しかり、音源で受ける印象以上に強固なフィジカルをステージで披露していく。「オーサムに負けないように、皆さんも踊り狂って欲しいのでよろしくお願いします!」と言って披露された「適材適所」には、彼の魅力がたっぷり詰まっていた。ダンサブルかつトリッキーな曲展開だからこそ露わになる、彼独自のリズム感とワードセンス。特に後者に関しては、一聴すれば突飛なように感じるリリックも〈適材適所。ハマりたい。〉のように、実は身近な目線で共感できる余地が含まれていることや、徹底的なリフレインが生み出す中毒性など、抜け感のバランスが絶妙なのである。マハラージャンが掲げるスパイス×ダンスミュージックを感じるには、これ以上ないハイライトのひとつだった。一方、MCは彼のユーモアをたっぷり感じる時間に。「オーサムさんに出てもらって、本当に嬉しいんですよ」と語ったシーンには彼の純朴な人間性が発露していた一方で、サポートメンバーとの絡みがイマイチ噛み合わず「想いが通じないなってところで、次の曲聴いてください。“くらえ!テレパシー”って曲です」と言ってのけたシーンには、彼らしいユーモアが全開。会場は拍手と笑いに包まれていた。リラックスムードから飛び込んだ最新トラック「くらえ!テレパシー」では高速ビートの中で弾けるポップネスを放ち、2月15日に発売となる同シングルに収録される電気グルーヴのカバー「Shangri-La」で更に会場のボルテージを上げたところで、再びMCに。「『HIGH FIVE』楽しんでくれてますか?」と彼が会場に呼びかけるとすぐに話題は、先ほど披露した「Shangri-La」のことへ。実は一部歌詞を間違えるシーンがあったのだが、「“今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる”ってさっき言われたんで……オーサムさんありがとうございます!」と彼らしく笑いに変換していた。その後、彼の口から同イベントの意義や、オーサムとの出逢いや感謝などが語られるが、どんどんとMCに手応えがなくなっていったのか、「そうです、MCが下手です!」と自虐。その後、日比谷野外大音楽堂でのワンマン告知を経て生まれた謎の沈黙にフロアから「頑張れー!!」と声がかかると、「あと2曲なんですど、この状況にふさわしい曲を聴いてください。“何の時間”」と結局またしても痛快なフリオチがついて、ライブはフィナーレへ。「何の時間」から代表曲「セーラ☆ムン太郎」へと雪崩込み、フロアは完全にフリーダム空間へと変貌。「みんなありがとう、オーサムもありがとう!マハラージャンでした」と感謝を告げて、彼のステージは大団円を迎えた。互いにスタイルは違えど、音楽フリークを唸らせる強固な音楽的バックグラウンドを持ちながらも、極彩色のポップネスをシーンへ届ける2組の共演。両者の音楽的なシナジーとリスペクトが生んだ多幸空間は、真冬の札幌に暖かな風を運んでいた。この後、3月初旬まで続く『HIGH FIVE 2023』で紡がれるストーリーにも期待大。是非足を運んで欲しい。Text:黒澤圭介Photo:新保勇樹<公演情報>『HIGH FIVE 2023』札幌公演2月4日(土) 北海道・Zepp Sapporoセットリスト■Awesome City ClubM1. 青春の胸騒ぎM2. 4月のマーチM3. Life still goes onM4. 夏の午後はコバルトM5. ユメ ユメ ユメM6. Setting Sail 〜モダンラブ・東京〜M7. 勿忘M8. 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる(コラボ楽曲 w/ マハラージャン)M9. アウトサイダーM10. Don’t Think, Feel■マハラージャンM1. 僕のスピな人M2. その気にさせないでM3. いいことがしたいM4. 適材適所M5. 君の歯ブラシM6. edenM7. くらえ!テレパシーM8. Shangri-La(電気グルーヴ cover)M9. 持たざる者M10. 何の時間M11. セーラ☆ムン太郎<ライブ情報>HIGH FIVE 2023※終了分は割愛2月12日(日) 福岡・Zepp Fukuoka開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:Omoinotakeスペシャルゲスト:iri2月19日(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:梅田サイファースペシャルゲスト:ALI2月23日(木・祝) 東京・Zepp DiverCity開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:BREIMENスペシャルゲスト:Kroi3月5日(日) 愛知・Zepp Nagoya開場17:00 / 開演18:00ヘッドライナー:Cody・Lee(李)スペシャルゲスト:ASIAN KUNG-FU GENERATIONチケット一般発売中関連リンクイベントオフィシャルサイト:イベント公式Twitter:
2023年02月09日その歌声で全世界を魅了し、アルバム・シングル等で2億枚以上を売り上げたホイットニー・ヒューストン。2012年にこの世を去った伝説の歌姫の「ホログラムコンサート」は、これまでラスベガスやイギリス各地など世界各国で感動の渦を巻き起こしてきました。そんな必見のステージが、ついに2023年1月26日(木)より日本初上陸。1月27日(金)~1月28日(土:昼/夜2公演)にわたってオーチャードホール(東京・渋谷)で開催されます。最新のホログラム技術と生バンド&ダンサーがバックアップするステージは、まるでホイットニーが蘇ったかのような迫力と臨場感あふれるもの。ということで、「ホログラムコンサートって実際どんな感じなの?」という音楽ファンのために、圧巻のパフォーマンス初日をレポートします。撮影:落合由夏時代を象徴する名曲や史上最も売れた映画主題歌に興奮、そして感涙まずはホイットニーを敬愛するシンガー、May J.がゲストアーティストとして登場(初日&28日公演に出演)。ミュージカル「ボディガード」でホイットニーが演じたレイチェル・マロン役を務めたこともあるMay J.は、幼い頃から何度も聴いていたというホイットニーの曲を、躍動感あふれるソウルフルな歌声で披露してくれました(※27日公演のゲストはクリス・ハート)。撮影:落合由夏May J.の歌声ですっかり暖まったステージに、いよいよホイットニーが登場。とてもリアルな等身大ホログラムは、様々な困難を乗り越え“世界のディーヴァ”に上り詰めた彼女の半生に想いを馳せると、早くも涙が溢れてきそうになります。とにかくホイットニーの問答無用の歌声のすさまじさ、その説得力はホログラムコンサートでも不変。「I Wanna Dance With Somebody(Who Loves Me)」から「Greatest Love Of All」の流れなどは彼女が時代の最先端を走っていたことがよく分りますし、とにかく80年代~90年代まで数多のラインナップの中からのまんべんない選曲が嬉しい。もちろん「I Will Always Love You」など国内売上ミリオンを記録した『ボディガード』サントラからも数多くプレイされるのでお楽しみに!忘れてはいけないのが、パフォーマンスの立体感を増幅させるダンサー陣(TAKA、ANGEL、NADiA、RICKY)と、歴戦の熟練バンド(Kaleb James[key]、菰口雄矢[Gt]、Lawrence Daniels[Bass]、Jay Stixx[dr])による鉄壁のサポート。思わず身体が揺れる極太のグルーヴは、コンサートの悦びを純粋に味わわせてくれます。さらにホイットニーの煌びやかな衣装チェンジや、客席に向けるさりげない仕草など、ビジュアル面でも見どころが盛りだくさん。いつの間にかホログラムということを忘れ、ホイットニーの一挙手一投足に釘付けになってしまいます。また、花火が打ち上がり、嵐が吹き荒れ星屑が舞う背景スクリーンの演出はホログラムコンサートならでは。他にも生ライブでは不可能なファンタジックな演出が散りばめられているので要注目です。撮影:落合由夏――もう二度と観られないと思っていたホイットニーが今、目に前にいる。そして、予想をはるかに超えるクオリティで眼前に迫ってくる圧倒的な歌声とパフォーマンス。その事実を受け止めようと考えるまでもなく心は震え、体が沸き立ち、涙がこぼれ落ちる……。ステージを構成する全てが感動を呼び起こす、稀有なオーディエンスを与えてくれました。2022年は、世界中が悲しみに暮れた急逝から10年、主演映画『ボディガード』公開30周年、『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本家が手掛ける伝記映画『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』公開など、ホイットニーの“メモリアルイヤー”となりました。そして2023年、このホログラムコンサートは東京都内3会場を皮切りに、名古屋と大阪でも開催。貴重な日本公演でホイットニー・ヒューストンの魅力をたっぷり味わいましょう。「ホイットニー・ヒューストン ホログラムコンサート」東京公演は2023年1月27日(金)~1月28日(土:昼/夜2公演)までオーチャードホール(東京・渋谷)で開催。名古屋公演は2023年2月11日(土・祝)夜、12日(日)昼 愛知県芸術劇場大ホール、大阪公演は2023年3月25日(土)夜、26日(日)昼 フェスティバルホールで開催です。公演詳細は公式HPをチェックしてください。 撮影:落合由夏【ホイットニー・ヒューストンバイオグラフィ】1963年8月9日に米ニュージャージー州で生まれ、幼い頃から教会で歌っていたというホイットニー。1985年にアルバム『Whitney Houston』でデビューすると、そのボーカルは唯一無二で、のちに“THE VOICE”と称えられるほどの魅力を持っており、大ヒットを記録。シングルも「Saving All My Love For You」から7曲連続でシングルチャート1位を獲得するなど、瞬く間にスターダムを駆け登っていきました。1992年の初主演映画『ボディガード』の主題歌「I Will Always Love You」は全米シングルチャートで14週連続1位を記録して自身最大のヒット曲となりました。2012年に48歳の若さで亡くなりましたが、トータルセールス2億枚を売り上げ、6部門のグラミー賞を受賞するなど、金字塔を打ち立て、今もなお大きな影響を与え続けています。【公演概要】ホイットニー・ヒューストンホログラムコンサート◆東京開催2023年1月26日(夜)、27日(夜)、28日(昼・夜)オーチャードホールチケット料金(全席指定・税込):プレミアム指定席:¥13,200、S指定席:¥9,350<イベント割>プレミアム指定席 ¥11,200、S指定席:¥7,480各プレイガイドにて一般販売中:2022年12月3日より公式ホームページ お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 (平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)主催:ホイットニー・ヒューストンホログラムコンサート日本公演製作委員会後援:TOKYO FM◆名古屋開催2023年2月11日(土・祝)夜、12日(日)昼愛知県芸術劇場大ホールチケット料金(全席指定・税込):プレミアム指定席:¥12,500、S指定席:¥9,000お問い合わせ先 中京テレビクリエイション 052-588-4477 平日11:00~17:00 / 土・日・祝休業◆大阪開催2023年3月25日(土)夜、26日(日)昼 フェスティバルホールチケット料金(全席指定・税込):プレミアム指定席:¥12,500、S指定席:¥9,000、A指定席:8,000お問い合わせ先:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜11:00~18:00)※3歳以上チケット必要/入場に関する年齢制限なし。※車椅子席をご希望の場合は公演の一週間前までに公演問い合わせ先までご連絡ください。※ご購入いただいたチケットは払い戻し対応できません。ご理解の上でご購入ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年01月27日マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Ds)という不動のメンバーで、今年バンド結成20周年を迎えたシド。彼らが、そのアニバーサリーイヤーのスタートアップとなる公演『ID-S限定SID LIVE 2023 〜Re:Dreamer〜』を2023年1月21日(土)、22日(日) の2日間にわたって東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。2021年11月よりマオの治療と調整のため、ライブ活動を休止していたシドは、この公演をもってライブ活動を再開。まずはその姿を常に傍で支えてくれていたファンに最初に届けたいという思いから、オフィシャルメンバーズクラブ“ID-S”の会員限定で行われた2days公演は、両日ともチケットは完売。そんなプレミアムなシド20周年の幕開けを飾ったライブから、ここでは2日目の模様をレポートする。場内が暗転すると波音とともに、静かにライブは開幕。ステージ上のカーテン越しに立奏スタンドにセットしたベースでメロディーを奏でる明希が映し出されると、次に透明感ある音色でギターを重ねるShinji、そこにビートを加えるゆうやのシルエットが次々と映し出され、最後にマオが最新曲「海辺」を歌い出したところでカーテンが上がり、4人のシドが目の前に現れる。オープニングから彼ららしいドラマチックな演出でバンドのライブ再開の合図をファンに届けると、盛大な拍手が広がり、冒頭から場内は感動的な空気に包まれる。花びらのように紫色のライトが咲くなか“令和歌謡”バンドの根底にある懐かしいバラード「紫陽花」、さらにはテクニカルな演奏力を誇る彼らがジャズとロックを融合させて作ったシド流のフュージョンソング「KILL TIME」を続けてアクト。「こんばんは、シドです」と挨拶したマオは、この2days公演でシドが20周年イヤーに突入したことを嬉しそうに報告。「ときにはつまずきながらもここまで走ってこられたのはID-Sのお陰。今日は感謝の気持ちを込めていろんな曲を届けます」と伝え、始まったのはインディーズ時代からいまも根強い人気を誇る「ミルク」。タメをアクセントに入れたゆうやのドラミングが際立ったこの曲では、胸を締め付ける切ないメロディーを、マオがファルセットを多用した歌唱で届け、観客を魅了。マオ(Vo)そうして、ここまで1年2カ月待たせたファンを陽だまりのような温もりで優しく包み込むように「hug」を届けたあとは、妖艶な大人シドワールドへと誘い込むように「刺と猫」へと流れ込む。曲が始まると、フロントに出てきた明希は色気ダダ漏れのパフォーマンスとプレイでファンを悩殺。ジャジーなサウンドとシドが放つセクシーさが交錯するなか、スキャットボイスでアンサンブルに絡んでいたマオが最後、“愛してるぅ〜〜”と吐息混じりの歌声で、色っぽくこの曲を締めくくる。このあとはゆうや、明希、Shinjiが各々異なったスタイルでソロ・パフォーマンスを繰り出し、場内が存分に温まってきたところにマオが加わり、始まったのは「涙雨」。シドのなかでは比較的新しめのバラードだが、スケール感あるロックバラードのなかでは随一。主題となるフレーズをShinjiが骨太のギターで奏でると、たちまち迫力満点のスタジアムサウンドがステージから立ち上がる。舞台上ではそのサウンドに合わせてゆうやの後方から炎が何本も吹き出し、パワフルでエモーショナルなシドを見せていった。そして、このあとはメンバーのMCコーナーへ。「1年以上ぶりのライブですけど、どうですか?久しぶりの4人の姿は」と会場に話しかけた明希は、この日集まったID-Sのみんなに感謝の気持ちを伝えて話を締めくくり「今日のルックスが一番好きです」といって、ヒゲを生やし、メガネをかけてダンディーな姿へとイメチェンしたShinjiへとバトンをタッチ。Shinjiは「昔はみんなが“俺が、俺が”だった会話も、いまは(ステージに上がる前に)エレベーターの中で“Shinちゃん、今日カッコいいね”とかいったりして、ほのぼのしてるんです。かといって、なぁなぁではなくて」と、20年間に起きたメンバー間の変化について打ち明け「今日のこの瞬間が素敵な思い出の1ページになったらいいなと思ってます」と告げた。Shinji(Gt)続いてバトンを渡されたゆうやは、安定の大声で挨拶を届けたあと、1年以上ぶりのライブでドキドキしたりワクワクしたり泣いたり温かい気持ちになったりと感情が忙しいなか「いまボーッとしているのは最大の癒しであり、リラックス」なのだと解説。「この後も好きに楽しんでいってください」と伝えた。マオはシドの前にやっていたバンド時代、この会場の入り口でバイトが終わった後にビラ配りをしていた当時のことを振り返り、その頃敵対していたバンドに在籍していたShinjiともよく会っていたエピソードなどを披露してファンを喜ばせた。マオ「みんなの夢をのせて俺は歌う」そうして「いけるかー!いけるかー!」と観客を煽り立て、ここからの後半戦は、しっとりした楽曲やテクニカルなプレイで魅せていった前半から大きくモードチェンジ。シドのライブのキラーチューンを惜しげもなく連発していく。ステージ後方のカーテンが上がり、会場の背景がむき出しになった中で「ANNIVERSARY」が始まると、客席は一斉に手を頭上に伸ばして前後に振り、明希とマオとShinjiは勢いよく前に飛び出し、舞台を縦横無尽に動き出す。「明希と恋しようか〜」とメンバーの名前を織り込んだおきまりの曲紹介から、「夏恋」へと突入すると、シドのポップネスがキラキラと会場いっぱいに炸裂。ステージとID-Sならではの一体感ある勢いは、もはや誰にも止められない。明希(Ba)たまらず、マオが「いやぁ〜、盛り上がってきたね。シドは盛り上がる曲もいっぱいあるから楽しいね」と上機嫌な表情で観客に語りかける。「もっと、もっと飛ばしていけるかー!」と叫んで、“ウォラ〜”と巻き舌でシャウトを入れた後はタイトなビートにのせて攻撃的な「CANDY」でフロアを攻めまくり、観客はそれにヘドバンで応戦。続けて、歌始まりのロックチューン「delete」を繰り出し、場内の興奮をさらに高めていったところに、「結婚しよう」という曲紹介から「プロポーズ」へ。舞台上で炎がバンバン上がり続けるなか、客席は全員一丸となって拳を振り上げ、ヘドバンで大盛り上がり。カオスがうずめくようなエネルギッシュな狂騒空間を作り上げたところで本編は終了した。ゆうや(Ds)本編の熱狂がまだ残るなか、この日集まったファン、さらには過去の自分たちを愛おしむように“溢れた涙の数だけ僕たちはまた色を纏う”と「君色の朝」を届けて始まったアンコール。このあとは「Dear Tokyo」を投下し、爆発的な勢いで場内の高揚感を高めていった彼ら。そうして、マオが「お前らと俺たち、すべてのみんなの夢をのっけて20周年。準備はいいか?俺は歌うぞ!」と決意を叫んだあと、ゴールド×シルバーのテープがキラキラ場内に降り注ぐなか、最後に「Re:Dreamer」をパフォーマンス。シド20周年イヤーの幕開けにふさわしい、祝祭感あふれる感動的なフィナーレでこの日のライブを締めくくった。終演後、最後に舞台に残ったマオは「いよいよ20周年が始まりました。次は全国各地、シドとして会いに行けるのが嬉しくて。最高のツアーにしようと思うので、みんな待っててください」というメッセージに続けて、生声で「愛してます!」という言葉を残し、ステージを後にした。シドはこのあと、3月29日(水) に20周年アニバーサリーBOXをリリース。そして、4月1日(土) からスタートする全国ツアー『SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」』は“声出し解禁”で行うことを1日目のライブのなかで発表。さらに、このツアー終了後は、7月から『SID EVENT TOUR 2023』の開催も決定しているシド。ここからシドが、20周年イヤーを華々しく、ノンストップで駆け巡る。Text:東條祥恵Photo:今元秀明<公演情報>シド『ID-S限定 SID LIVE 2023 〜Re:Dreamer〜』1月22日(日) LINE CUBE SHIBUYAセットリスト01. 海辺02. 紫陽花03. KILL TIME04. ミルク05. hug06. 刺と猫07. Instrumental08. 涙雨09. ANNIVERSARY10. 夏恋11. CANDY12. delete13. プロポーズEn01. 君色の朝En02. Dear TokyoEn03. Re:DreamerSID 20th Anniversary Special Site:<ライブ情報>シド『SID 20th Anniversary TOUR 2023「海辺」』4月1日(土) KT Zepp Yokohama4月9日(日) Zepp Fukuoka4月14日(金) Zepp Nagoya4月16日(日) Zepp Osaka Bayside5月4日(木・祝) Zepp Sapporo5月6日(土) SENDAI GIGS5月13日(土) Zepp DiverCity TOKYO【チケット料金】1Fスタンディング:7,500円(税込)2F全席指定:7,500円(税込)※4歳以上有料【ID-S BASIC会員優先受付】受付期間:2月1日(水) 12:00~2月7日(火) 16:00※1月30日(月) 時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。シド『SID EVENT TOUR 2023』7月23日(日) Zepp DiverCity TOKYO7月30日(日) Zepp Nagoya8月12日(土) Zepp Fukuoka8月13日(日) Zepp Osaka Bayside8月26日(土) Zepp Haneda(TOKYO)9月2日(土) SENDAI GIGS9月18日(月・祝) Zepp Sapporo※詳細は後日発表<リリース情報>シド 20周年アニバーサリーBOX3月29日(水) リリース●完全生産限定盤(CD15枚組+Blu-ray+グッズ):33,000円(税込)【CD収録内容】[Disc 1] 憐哀-レンアイ-[Disc 2] 星の都[Disc 3] play[Disc 4] センチメンタルマキアート[Disc 5] hikari[Disc 6] dead stock[Disc 7] M&W[Disc 8] OUTSIDER[Disc 9] NOMAD[Disc 10] いちばん好きな場所[Disc 11] 承認欲求[Disc 12] 海辺[Disc 13] Side A complete collection … 「ENAMEL」「White tree」「漂流」「delete」「ほうき星」「siren」「声色」「Star Forest」を収録[Disc 14] Side B complete collection ~e.B 4~ … 「season」「泣き出した女と虚無感」「日傘」「怪盗ネオン」「歌姫」「cut」「すぐ傍で」「暖炉」「秋風」「囮」「Graduation」「レイニーデイ」を収録[Disc 15] Side B complete collection ~e.B 5~ … 「走馬灯」「絶望の旗」「焼却炉」「CELEBRITY」「SENSE」「砂の城」「影絵」「運命の人」「夢心地」「チイサナツバサ」「ASH」を収録【Blu-ray 収録内容】・Music Video Collection【購入者特典】・Amazon.co.jp:トートバック・楽天ブックス:アクリルキーホルダー・セブンネットショッピング:アクリルカラビナ※特典は数量限定・予約優先での先着順配布となり、なくなり次第終了となります。ご予約ご購入の際は、特典の有無を必ずECサイトでご確認ください。予約リンク:関連リンクオフィシャルサイト::::
2023年01月26日現在全国47都道府県ツアー『T.M.R. LIVE REVOLUTION’22-’23 -VOTE JAPAN-』を開催中のT.M.Revolution 西川貴教が2023年1月21日・22日の2日間、日本武道館公演を行った。T.M.Revolutionは2021年、デビュー25周年を記念して西川の故郷である滋賀県内のみ25箇所を回るツアー『T.M.R. LIVE REVOLUTION’21 -VOTE-』を開催(一部公演は2022年に延期)。さらに2022年5月13日のデビュー26周年記念日には、ツアーの内容をさらにシアトリカルな演出で魅せた配信ライブ『the 25th Anniversary:T.M.R. LIVE REVOLUTION’21 -VOTE- Extended Live Edition』を実施。このライブを全国へ届けたいと、2022年6月24日の埼玉県・サンシティ越谷市民ホールでの公演を皮切りに全国47都道府県をすべて回るツアーをスタートさせた。今回の日本武道館ライブは、19カ所目となる東京公演である。武道館のステージにはえんじ色のビロードの幕がかかり、その前には演台が設置されている。客席案内スタッフも、ステージに現れるスタッフもスーツ姿。開演前のアナウンスでも「コンサート」ではなく「大会」が始まると伝えられる。ツアータイトルである「VOTE(投票)」からもわかるように、ポリティカルな雰囲気が満載だ。一体何が始まるのか……。開演時刻、スーツにネクタイ姿の西川貴教がSPに囲まれて登場した。演台の前に立った西川は客席に向かって「党員、党友のみなさま」と呼びかけ、この25年の歴史を演説風に力強く語る。この一見風変わりな演出は、西川いわく「コロナ禍だからこそ生まれたもの」だそう。客席が自由に声をあげることも許されなかった2021年当時、それを逆手にとって観客が声をあげるのを忘れて耳を傾けてしまうようなプロローグを作り上げたのだ。そんなインパクトのあるオープニングでスタートするこのツアーは、デビュー25周年を記念して構成されたとあって、T.M.Revolutionの歴史を彩ってきた数々の名曲が飛び出し、全編が見どころといえる。「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」といったヒット曲から、「INVOKE-インヴォーク-」「ignited-イグナイテッド-」など、アニメ主題歌として世界中で愛されるナンバーをはじめ、シングルリリース曲を中心のセットリストが組まれている。さらに、何の曲がプレイされるかわからない日替わりコーナーもあり、リピートするファンの間でも大きな話題だ。日本武道館では特別な演出としてライブ中盤、うぐいす嬢の「西川貴教が、皆様のお近くにご挨拶にまいりました」というアナウンスとともに西川がアリーナ客席内をトロッコに乗って移動。西川が手の届きそうな場所までくると、客席で泣き崩れるファンの姿もあった。西川は「この3年間、日本だけでなく世界中がしんどい思いをしてきた。こんなことばかり続くのかと思うこともあったけど、今できることをやり続けよう、できないことの言い訳を考えるのではなく、どうやったらできるのか、その方法を考えよう。そうしてこのツアーができた」と話した。また、客席からの大きく熱いリアクションを受けて、「くやしいこともあるけど、続けるってめちゃくちゃご褒美をもらえることなんですね」と目頭を押さえる場面もあった。西川の、音楽やエンタメの力で多くの人を明るい方へ導こうとする思いは本物だ。MCで西川自らが「辛い思いをしている人がいたら『あいつ(=西川)のとこ行ったほうがいいよ、なんか前向きだし!』って伝えて」と話していたように、T.M.Revolution西川貴教のいるところはパワースポットと化してしまうのかもしれない。この全国47都道府県ツアー『T.M.R. LIVE REVOLUTION’22-’23 -VOTE JAPAN-』は5月12日沖縄 アイム・ユニバース てだこホールでのファイナルまで続く。その後6月から9月にかけて西川は、ダンスエンタテインメント『バーン・ザ・フロア』への出演やミュージカル『スクール・オブ・ロック』の主演が控えるため、しばらくT.M.Revolutionとしてのライブは見られなくなりそう。ツアー後半のチケットはこれから発売となるので、このチャンスにぜひT.M.Revolution西川貴教のパワーを浴びてみてはいかがだろうか。Text:フジタアヤコPhoto:小川舞<ツアー情報>T.M.Revolution『T.M.R. LIVE REVOLUTION ’22-’23 -VOTE JAPAN-』※終了分は割愛1月28日(土) 福岡・福岡サンパレス1月29日(日) 大分・J:COMホルトホール大分2月12日(日) 福井・敦賀市民文化センター2月14日(火) 富山・高周波文化ホール2月18日(土) 山形・シェルターなんようホール(南陽市文化会館)2月19日(日) 宮城・仙台サンプラザ2月23日(木・祝) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール2月25日(土) 島根・出雲市民会館2月26日(日) 広島・広島県立文化芸術ホール(上野学園ホール)3月10日(金) 三重・柿安シティホール(桑名市民会館) 大ホール3月19日(日) 岩手・奥州市文化会館Zホール3月21日(火・祝) 福島・いわき芸術文化交流館アリオス3月28日(火) 熊本・熊本県立劇場 演劇ホール3月31日(金) 岐阜・長良川国際会議場メインホール4月2日(日) 山口・下関市民会館4月8日(土) 宮崎・メディキット県民文化センター 演劇ホール4月9日(日) 佐賀・鳥栖市民文化会館4月14日(金) 和歌山・和歌山城ホール4月15日(土) 奈良・なら100年会館4月20日(木) 北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)4月22日(土) 青森・弘前市民会館4月23日(日) 秋田・湯沢文化会館4月27日(木) 長崎・長崎市民会館4月29日(土・祝) 鹿児島・霧島市民会館5月3日(水・祝) 高知・高知県立県民文化ホール5月4日(木・祝) 香川・香川県県民ホール レクザムホール5月6日(土) 徳島・徳島県郷土文化会館(あわぎんホール)5月12日(金) 沖縄・アイム・ユニバース てだこホールチケット料金:全席指定9,000円(税込)購入リンク:特設サイト:関連リンクT.M.Revolution オフィシャルサイト:西川貴教 オフィシャルサイト:
2023年01月23日SUPER★DRAGONが、ファンクラブ限定ライブ『For BLUE』の振替公演を、1月19日・20日に神奈川CLUB CITTAʼにて開催した。昨年夏に大阪・名古屋・神奈川で行う予定だった今回のツアーだが、コロナ禍の影響を受けて神奈川公演のみが延期に。ファンクラブ限定だけあり、通常のストイックなステージングからは想像もつかない“ユルい”姿も垣間見せながら、待たせたぶんだけ濃密な時間を“BLUE”と呼ばれるファンと分かち合いたいという、まさしく『For BLUE』なステージで、2日間3公演にわたり遅れて来た“夏”を楽しんだ。昨年5月からの毎月連続リリースで夏らしい楽曲も新たに多数発表し、新境地を拓いてきたSUPER★DRAGON。開演ベルならぬ機内アナウンスが流れると、飛行機の座席になぞらえたキャスター付きチェアを9人は巧みに操り、座ったままで移動するダイナミックなダンスパフォーマンスで、南の国を目指すフライトは飛び立った。そして7月リリースの「Summer Party」に6月の「Cruisinʼ」と、涼やかな夏風を感じさせるナンバーでライブはスタート。色鮮やかなアロハシャツをまとって、ピタリと動きの揃った軽快なダンス&甘い歌声とシャイな心情の滲んだラップで魅惑のビーチへとオーディエンスを誘う彼らに、客席からはグループカラーである⻘のライトスティックが掲げられる。「年末年始、逃避行で常夏の島にみんなで来た」という古川毅の言葉通り、ステージにはパラソルやビーチチェア、浮き輪にピーチボールが。伊藤壮吾いわく「BLUEのみんなと僕たちの貸し切りビーチ」を舞台に、夏をネタにしたトークからは、メンバーが二手に分かれてFC企画ならではのゲームバトルに突入する。最終日の昼公演では流し素麺派と冷やし中華派が“スイカ早割り競争”で戦い、流し素麺チームのジャン海渡と古川が抜群のチームワークによりスイカを瞬殺。続いて、出されたお題をBLUEがジェスチャーでメンバーに教える“ジェスチャーゲーム”では、両チーム30秒で9ポイントと大健闘するものの、総合点で負けた冷やし中華チームの田中洸希がBLUEにブチ切れて、メンバーに宥められる一幕もあった。夜公演では、マリンスポーツならサーファー派とフライボード派に分かれ、松村和哉をMCに“ビーチバレーしりとり”と“以心伝心ゲーム ”で対決。しりとりでは謎のワードが頻出して審議の嵐となり、以心伝心ゲームでは“スパドラで一番可愛いのは?”という設問にサーファーチームは全員が志村玲於の名を挙げて、最年⻑を照れさせた。“夏に聞きたいスパドラの曲は?”という問いに「Summer Breeze」で一致したフライボードチームも追い上げ、白熱の末にドローとなるが、最終的にはしりとりで勝ったサーファーチームが勝者に。そして敗者チームには、続く「ゲットレジャーニー」の曲中で、メッチャ苦いお茶を飲む(昼)、ゴムパッチン(夜)という罰ゲームが執行された。レゲエ調の脱力したムードのなか、昼公演で濃度を増した激苦茶を飲んだ面々は歌やダンスを放棄し、ステージ上を転げまわって、メインボーカルの池田彪馬もただ茫然と立ち尽くすばかり。夜公演では「(今回のゲームに)勝ったことない!」と憤る田中が、同い年の伊藤から容赦ないゴム攻撃を食らって「痛ッ! タレントの顔傷つけんな!」と大爆発。普段はクールなイメージの強い彼のこんなキレ芸も、通常のSUPER★DRAGONライブでは絶対に見られないものだ。ここで振替公演まで5カ月ものあいだ待たせたお詫びと、来てくれたことへの感謝として、8月に配信リリースされた「So Woo」を特別にパフォーマンス。引き出しの多いラップ&ボーカルで表現力豊かに魅了し、情熱的なダンスと田中の攻撃的なヒューマンビートボックスで、場内の時間を灼熱の夏へと巻き戻す。“求愛”を意味するタイトルの通り、それはまさしくBLUEに対する最高の愛情表現だったろう。さらに、夏祭りの会場を舞台にしたコントで9人は様々な役所を演じ、田中と池田のキュン台詞や、ジャンと柴崎楽の浴衣カップル、犬の着ぐるみで登場した伊藤らに客席は大盛り上がり。そこから“誰が一番キュンとする一言を言えるか?”という、彼らのFCイベントではお馴染みの大喜利タイムが繰り広げられる。“二人きりのビーチでカッコいい告白”というお題の昼公演では、柴崎が「この海を君と一緒に、一生見られたらいいな」と微笑んで優勝。夜公演では“彼女と二人きりのときに甘える一言”で今ひとつピンと来ない台詞を吐く志村と田中に対し、飯島颯が「肩貸して、しばらくこのままいさせて」と満点の答えを出して、客席から拍手喝采を受けた。浴衣に警官、屋台のお兄さんにテキ屋、おじいさんと犬というカオスなビジュアルで、そのままバラエティ豊かな日替わり曲が披露されたのもFC限定だからこそ。初日の和ミクスチャーな「SAMURAI」に続いて、2日目の昼公演はポップな「雨ノチ晴レ」でメンバー同士はしゃぎ、夜公演では鉄板曲の「PAYAPAYA」でセンターに立つや、突然、手でウサ耳を作った年男の志村にメンバーもならってBLUEを沸騰させた。「最後までブチ上がっていこうぜ!」伊藤、田中、池田、松村、柴崎によるMCでは、年末年始の過ごし方をトークしたり、田中が20歳の誕生日を迎える2月27日に発売する1st写真集について「挑戦をテーマに韓国でロケした。需要と供給しか詰まってない!」と主張したり。その間に全身シックな白の衣装に着替えた志村、古川、ジャン、飯島の4人が再登場すると、グループ内ユニットが楽曲を交換してパフォーマンスするという、これまたレアな光景が現れる。まずは年⻑組のファイヤードラゴンが、年少組サンダードラゴンのラブソング「真冬の熱帯夜」を紳士なオーラでアピール。飯島が松村のラップパートを担当したりと、ここでしか見られない見所も満載で、同じく白衣装に着替えたサンダードラゴンは、ファイヤードラゴンの「Piranha」を初パフォーマンスしてみせた。“ピラニア”というタイトルを体現するように、食らいつくような5人の表情は今までに見たことのないもので、法的には全員が成人を迎えた彼らの成⻑を思わせる。そして再びステージに全員が揃い、ジャンがかき鳴らすアコースティックギターに乗せて贈られたのは「Distance」。ダンサー陣もタンバリンやカホンなどの鳴り物でリズムを取り、BLUEのクラップと共に温かな空気を醸し出して、「キャンプファイヤーを囲むようなイメージ」(古川)を再現する。場内に大きな拍手を呼んだひと時は、実は360度カメラで撮影されており、後日ファンクラブで映像が公開されるというので、ぜひチェックしてほしい。真昼のビーチ、夕暮れのお祭り、そして夜のパーティーへと場面は進み、銅鑼の音が始まりを告げる「WARNING」からは、松村いわく「『For BLUE』というタイトルに恥じぬような」メドレーが展開。夏の恋を彷彿させる「Ringing, Love」に続くと、「最後までブチ上がっていこうぜ!」というジャンの号令で「Mada` Mada`」に「Shut up, Shout out」と切っ先鋭いラップが挑発し、明滅するライトとタフなダンスが目を焼くヘヴィロックを畳みかける。さらに、共にタオルを回す一体感の中に確かな絆を感じさせる全英詞曲「Dragonfly」で生まれるのは、夏の暑さのみならず、身の内から湧き上がるような熱。どれだけコミカルなシーンで笑わせても、結局は心を揺り動かして熱い感慨を残すのは、SUPER★DRAGONライブの大きな特徴である。胸震えるような余韻のなか、ライブを締めくくったのは連続リリースの第1弾で、SUPER★DRAGONの新たな扉を開いたポップチューン「Brand New Music」。頭上に回るミラーボールの光に負けないほど眩い未来を感じさせる響きに、客席のライトスティックも勢いよく揺れ動く。ライブタイトルに掲げられた『For BLUE』というワードは、今回に限らず常に持っている気持ちだと古川が語っていたように、この⻘い光は彼らの絆と互いに向けられた愛情の象徴でもあるのだろう。3月1日(水) には5thアルバム『mirror』をリリース。作詞や楽曲プロデュース、アートワークやスタイリングにメンバー自身が携わっており、ジャンの発案によるタイトルには“まずは鏡に向かって自分と見つめ合え”という想いが込められているのだという。3月25日(土) には念願だったパシフィコ横浜でのワンマンライブ『Persona』も決定。さらに、5月から全国5都市6公演を回るホールツアー『∞〜 INFINITY 〜』の詳細も終演後に発表された。果てなき無限の未来に向かって、2023年も9人は進み続ける。文=清水素子<公演情報>『For BLUE』振替公演2023年1月19日(木)・20日(金) 神奈川・CLUB CITTAʼ【セットリスト】M01. Summer PartyM02. Cruisin’■コーナー119日公演:ビーチバレーしりとり / 以心伝心!!「大切な想い出」ゲーム!!20日公演:スイカ早割り競争 / 教えて BLUE!ジェスチャーゲーム!(1部)/ビーチバレーしりとり / 以心伝心!!「大切な想い出」ゲーム!!(2部)M03. ゲットレジャーニーM04. SoWoo■コーナー2お祭りシーン導入コントシチュエーション大喜利M05. 19日公演:SAMURAI/20日公演:雨ノチ晴レ(1部)/PAYAPAYA(2部)M06. 真冬の熱帯夜M07. PiranhaM08. Distance~Acoustic ver~M09. WARNINGM10. Ringing, LoveM11. Mada`Mada`M12. Shut up,Shout outM13. DragonflyM14. Brand New Music<ツアー情報>『∞〜 INFINITY 〜』■2023年5月19日(金) 千葉・市川市文化会館開場 17:30 / 開演 18:305月20日(土) 千葉・市川市文化会館開場 16:30 / 開演 17:306月4日(日) 宮城・東京エレクトロンホール宮城開場 16:15 / 開演 17:006月25日(日) 愛知・名古屋市公会堂開場 17:45 / 開演 18:307月9日(日) 大阪・NHK大阪ホール開場 17:45 / 開演 18:307月16日(日) 東京・TOKYO DOME CITY HALL開場 17:30 / 開演 18:30<リリース情報>SUPER★DRAGON ニューアルバム『mirror』2023年3月1日(水) リリースSUPER★DRAGON『mirror』FC限定盤ジャケット●FC限定盤(CD+Blu-ray+60pブックレット):7,700円(税込)※BOX仕様●通常盤(CD):3,300円(税込)【CD収録内容】※全形態共通M1. Are U Ready?(新曲)M2. Revolution(新曲)M3. So WooM4. Don’t Turn It Down(新曲)M5. Pretty Girl(新曲)M6. Honey BabyM7. Not EnoughM8. 相合傘(新曲)M9. Indelible MagicM10.Hey, girlM11.Tap tap tap!(新曲)M12.Pop Star(新曲)【Blu-ray収録内容】※FC限定盤のみ■『Special Live2022 Move On!!!!!!!!!』2022年9月25日豊洲PIT 2部公演1.OVERTURE2.So Woo3.Cruisin’4.Pioneer(Keep It Real)5.MC6.Jacket7.My Playlist8.Ringing, Love9.Caravanサンダードラゴン from SUPER★DRAGON10.On My Way ファイヤードラゴン from SUPER★DRAGON11.夢で逢えたら12.Beat Box〜Set It Off〜13.Monster! INTER(Dance Part)14.Monster!(Remix Ver.)15.PANDORA16.SAMURAI17.Bad Day18.MC19.Indelible Magic20.Purple Moon21.Distance22.Dance inst.23.BAD BOY24.BADASS25.Shut up, Shout out26.Dragonfly27.SWEET DEVIL28.君は1000%(Vantage Remix)29.MC30.Brand New Music31.MC32.-Tweedia-CD購入特典会情報詳細:店舗販売特典詳細:<ライブ情報>SUPER★DRAGON SPECIAL LIVE『Persona』2023年3月25日(土) パシフィコ横浜 国立大ホール開場17:00 / 開演18:00関連リンク公式サイト:::::
2023年01月21日宮本浩次が、名曲カバーを中心としたスペシャルなコンサート『ロマンスの夜』を1月16日(月) に東京・東京ガーデンシアターで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。『ロマンスの夜』は、当初2022年11月から12月に東京と神戸の2会場4公演で予定されていたが、東京2公演が宮本の体調不良により延期となり、神戸公演終了後に代替公演として東京ガーデンシアターで実施された。2019年にソロ活動を本格スタートしてから丸4年。コロナ禍で一度はツアー全公演中止を余儀なくされながらも、2021年10月から2022年6月には『日本全国縦横無尽』と題した47都道府県ツアーが行われた。一方、2020年秋にリリースしたカバーアルバム『ROMANCE』はヒットを記録。昭和歌謡の名曲を女性の歌に限定してカバーするという試みは、ロックバンドのフロントマンとしての顔とは別の表情を世間に知らしめ、第71回芸術選奨 文部科学大臣賞 大衆芸能部門を受賞した。本コンサートはこの『ROMANCE』の延長線上にあり、「『ロマンスの夜』の招待状として制作した」と本人が語るカバーミニアルバム『秋の日に』も昨秋発売されている。暗闇の中、旅を想起させる駅の雑踏のような音で開演。下手から小林武史(key)、名越由貴夫(G)、須藤優(B)、玉田豊夢(Ds)の4人に続いて宮本が登場する。大きな歓声を禁じられた客席から熱い拍手がわき起こる中、歩きながら頭を下げ、1曲目は「ジョニィへの伝言」。『ROMANCE』に収録された1970年代のヒット曲だ。歌いだしの1音目、宮本がやわらかく水分を含んだ歌声を発したとたんに、主人公の女性その人の声を聞いているような感覚に陥る。アンティーク感のある白い部屋のセット。全身黒で揃えたシックな5人。趣向を凝らしたオープニングから、小気味よい場面転換を経て2時間余、23曲。迫真の歌と分厚い演奏で観客を魅了した一夜となった。「ジョニィへの伝言」から中島みゆき作詞作曲「春なのに」、松任谷由実作詞作曲「まちぶせ」と一気に3曲を歌い、「エブリバディ、今日はようこそ」と挨拶後、「会場に入った時からほんとに嬉しくて……」。ソロ活動の一つの夢だったカバーコンサート、その東京の夜を待ち望んでいたことを隠さず吐露するのが宮本らしい。椅子に座ってギターの弾き語りで始まる宇多田ヒカルの「First Love」では、終盤気持ちが高まって立ち上がり、右手でマイクを、左手でギターを掴んで熱唱。ジャジーな「September」では思わず踊り出したくなるようなスイングする演奏に会場がグッと熱くなり、宮本自身も解放されていく。やがて手拍子をしはじめた客席が、一変「化粧」で静まり返ったのは、涙をこらえて心で泣いているかのような歌唱だったから。この緩急、女性の心情の様々な機微を、小林武史のエレガントなピアノが繋いでいく。玉田豊夢のドラムの繊細さと大胆さ、名越由貴夫のテクニカルなギターは愛情にあふれ、47都道府県を一緒にまわった信頼関係をうかがわせる。須藤優のはつらつとしたプレイもハマっていてバンドの一体感は揺らぐことがない。ダンサーふたりを従え披露した「飾りじゃないのよ 涙は」第2部ではセットがシンプルに変わり、シアトリカルな照明が映えるステージに。客席が待ってましたとばかりに大きく拍手したのは「翳りゆく部屋」だった。2008年、エレファントカシマシのアルバムに収録された初のカバー曲。歌い終えると会場は、感嘆のため息と余韻に包まれていた。「異邦人」ではすっかりロックのライブの様相に。ステージの端から端まで何度も往復し、客席を指さし、語りかけ、シャウトする。アウトロの演奏陣の大セッションは鳥肌ものだ。そこから「ロマンス」「DESIRE -情熱-」と派手派手の照明でハードに決めていく。客席は総立ち、大きな手拍子。宮本は高揚し、シャツをはだけてボタンをバリバリと飛ばす。シャウトはやはりこの人の真骨頂だ。驚いたのは「飾りじゃないのよ 涙は」で、神戸公演では見られなかった、女性ダンサーふたりが参加。白シャツに黒スーツ、音に合わせて激しくクールなコンテンポラリーダンスを繰り広げる。圧巻だったのは曲の終盤で2人が退場する場面。左右に分かれ、1人は下手に、1人は上手に、真っすぐ進行方向を見つめ胸を張って悠々と去っていく。宮本は、ふたりをたたえるように両手を広げる。まるで、今夜披露した歌の主人公たち全員をたたえているかのような粋な演出だった。アンコールでは「恋人がサンタクロース」の歌詞を忘れ、途中で演奏を止めるハプニングが。「完全に歌詞を忘れてしまいました」「さすが俺」と言いながら、観客が口々に歌詞を教えてくれるのを制して「みんなバラバラですね」と毒づく。「歌詞見ちゃおうかなー」とお茶目な顔を見せ、「ごめんなさい」とやり直し。これも宮本らしさで、ますますアットホームな空間ごとラストに向かっていく。気付けば黒いスキニーパンツの膝が白い。全身全霊で歌い、何度も空を仰ぎ、何度もうずくまり、何度も膝をついたから。鳴りやまない拍手に迎えられたダブルアンコールでは、この日唯一のオリジナル曲「冬の花」。魂ごと迫ってくるような歌唱に大きな拍手がわき起こる。やはりオリジナル曲は別格だ。縦横無尽ツアーのハイライトだった赤い花びらが舞う演出もファンを喜ばせた。メンバー紹介では、名越を「ギター名人」、玉田を「日本代表」、須藤を「スーパーべーシスト」、小林を「頼りになる男、司令塔」とコールし、「そしてガーデンシアターのエブリバディ!」に続けて二重丸ならぬ「ゴジュウマル!」と叫ぶ。最後の最後は沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」。幼少のころからファンだったジュリーの曲、この日唯一の男性曲カバーだ。ダンディにちなんで律儀にジャケットを着、粋な大人の男と少年時代の宮本が邂逅する。この1曲だけでも今日来た甲斐があると思わせるほど本領発揮のパフォーマンスだった。「これで終わりかい?終わりでーす!」。もっと歌いたいと言わんばかりに、まだ帰りたくない子どものように叫ぶ。小林とハグし、須藤と握手し、玉田、名越とハグした後、5人横並びで手をつなぐ、おなじみストーンズ挨拶で締める。退場するかと思うと、さっきしそびれた須藤とニコニコしながらハグ。律儀な宮本らしさ全開、満面の笑みでの終幕だった。撮影:岡田貴之<公演情報>宮本浩次『ロマンスの夜』1月16日(月) 東京・東京ガーデンシアターセットリストM1. ジョニィへの伝言M2. 春なのにM3. まちぶせM4. First LoveM5. 赤いスイートピーM6. SEPTEMBERM7. 白いパラソルM8. 化粧M9. あばよM10. 喝采M11. 二人でお酒をM12. 翳りゆく部屋M13. 愛の戯れM14. 異邦人M15. ロマンスM16. DESIRE -情熱-M17. 飾りじゃないのよ 涙はM18. あなたM19. 恋におちて -Fall in love-M20. 恋人がサンタクロースM21. 木綿のハンカチーフM22. 冬の花M23. カサブランカ・ダンディ※本公演の模様を1月19日(木) 23:59まで配信中。詳細は特設サイトをご確認ください。<リリース情報>宮本浩次 カバーアルバム『秋の日に』Now On Sale宮本浩次『秋の日に』ジャケット ※画像は初回限定盤●初回限定盤(CD+2CD):4,180円(税込)●通常盤(CD Only):1,980円(税込)【CD収録内容】※全形態共通1. あばよ作詞:中島みゆき作曲:中島みゆき2. 飾りじゃないのよ 涙は作詞:井上陽水作曲:井上陽水3. まちぶせ作詞:荒井由実作曲:荒井由実4. 愛の戯れ作詞:橋本淳作曲:筒美京平5. DESIRE -情熱-作詞:阿木燿子作曲:鈴木キサブロー6. 恋におちて -Fall in love-作詞:湯川れい子作曲:小林明子全曲プロデュース・アレンジ:小林武史【初回限定盤 収録内容】『TOUR 2021-2022 日本全国縦横無尽』at 川口総合文化センター リリア メインホール 2021.10.20をフル音源収録宮本浩次映像作品『縦横無尽完結編 on birthday』Now On Sale宮本浩次『縦横無尽完結編 on birthday』ジャケット●DVD:8,800円(税込)●Blu-ray:9,900円(税込)※「宮本浩次 縦横無尽完結編 on birthday」60pフォトブック※スリーブケース仕様【収録内容】『縦横無尽完結編 on birthday』本編「Documentary of TOUR 2021-2022 日本全国縦横無尽」「Memories of TOUR 2021-2022 日本全国縦横無尽」『秋の日に』『縦横無尽完結編 on birthday』スペシャルサイト:エレファントカシマシ ニューシングル『yes. I. do』3月8日(水) リリース●初回限定新春盤(CD+Blu-ray):6,050円(税込)●初回限定野音盤(CD+Blu-ray):6,050円(税込)●通常盤(CD):1,100円(税込)【CD収録内容】※全形態共通・「yes. I. do」(※映画『シャイロックの子供たち』主題歌)ほか全2曲収録予定<ツアー情報>エレファントカシマシ『35th ANNIVERSARY TOUR 2023 YES. I. DO』■神奈川・横浜アリーナ3月11日(土) 開場16:30 / 開演18:003月12日(日) 開場15:30 / 開演17:00お問い合わせ:ディスクガレージTEL:050-5533-0888(平日12:00~15:00)■東京・有明アリーナ3月18日(土) 開場16:30 / 開演18:003月19日(日) 開場15:30 / 開演17:003月21日(火・祝) 開場15:30 / 開演17:00お問い合わせ:ディスクガレージTEL:050-5533-0888(平日12:00~15:00)■愛知・日本ガイシホール4月1日(土) 開場16:30 / 開演18:004月2日(日) 開場15:30 / 開演17:00お問い合わせ:サンデーフォークプロモーションTEL:052-320-9100(全日12:00〜18:00)■大阪・大阪城ホール4月22日(土) 開場16:30 / 開演18:004月23日(日) 開場15:30 / 開演17:00お問い合わせ:キョードーインフォメーションTEL:0570-200-888(平日・土 11:00〜18:00)【チケット料金】指定席:9,900円(税込)※3歳以上有料 ※3歳未満入場不可※詳細はエレファントカシマシ公式HPをご確認ください。関連リンク宮本浩次 HP宮本浩次 Instagram宮本浩次 Twitter宮本浩次 YouTube
2023年01月17日ニッポン放送で毎週月曜~金曜日深夜24時から放送中の『オールナイトニッポンX(クロス)』の初となるライブイベント『オールナイトニッポン55周年記念 オールナイトニッポンXスペシャルライブ2023』が、1月15日(日) に横浜アリーナで開催された。本イベントには、火曜日のパーソナリティ・長屋晴子がボーカルを務める緑黄色社会、水曜日のパーソナリティを担当するJO1から佐藤景瑚、金曜日のパーソナリティ・EXITのほか、スペシャルパーソナリティを担当した超特急、&TEAMが出演。ライブパフォーマンスのほか、この日だけの特別な企画も行い、会場に集まった多くのリスナーを魅了した。イベントは、月曜日のパーソナリティを務める山田裕貴のナレーションでスタート。放送開始55周年を迎えた『オールナイトニッポン』の歴史を振り返ると共に、「盛り上がる準備はできていますか!?」という煽りで集まったリスナーを盛り上げ、「オールナイトニッポンXスペシャルライブ2023、スタートです!」という山田の掛け声でイベントは幕を開けた。2021年4月からの1年間『オールナイトニッポンX(クロス)』のパーソナリティを務めていたYOASOBIのAyaseが手がけた「Bitter Sweet Samba –Ayase Remix-」が会場に流れる中、ステージに登場したのは、この日MCを務めるEXITとJO1の佐藤景瑚。佐藤は出演予定だった同グループの白岩瑠姫の代演として急遽、会場に駆け付けてくれたのだが、佐藤は「緊張しています」と話しつつも「EXITさんや(リスナーの)皆さんの力を借りて頑張ります!」と熱く意気込みを語る。EXITが「3人でぶち上げていきましょう!」「(白岩)瑠姫君に元気を届けられるように、みんなで楽しんでいきましょう!」と会場全体を煽ると、集まったリスナーも反応し、開始早々から盛り上がりを見せる会場。そんな会場のボルテージをさらに上げたのは、トップバッター&TEAMのライブだ。昨年12月にデビューしたばかりの彼らだが、世界で活躍するアーティストが所属するレーベルを有するHYBEの日本支社、HYBE JAPAN傘下のHYBE LABELS JAPANから初めて輩出されるグローバルグループということもあり、パフォーマンスのクオリティは相当なもの。「The Final Countdown(&TEAM ver.)」「Scent of you」と立て続けに披露し、「デビューから1カ月も経たずに、こんな大きな会場でライブさせていただけて光栄です!」とファンに挨拶する。&TEAMデビューからわずか1カ月だが、メンバーに負けずファン「LUNÉ(ルネ)」の熱量も高く、花道を歩く彼らにうちわやサイリウムを振って盛大に応援。&TEAMを初めて見るリスナーも、彼らがレクチャーした振り付けをすぐに覚えて「Melody(&TEAM ver.)」を一緒に踊ったり、さらに坂口健太郎がMVに出演し話題となった「Under the skin」に聴き惚れたりと、さっそく会場は一体感に包まれた。「皆さんのおかげで最高のステージになりました!」とリスナーに感謝を述べる&TEAM。そんな彼らは、昨年12月22日に『オールナイトニッポンX(クロス)』のパーソナリティを担当。ラジオ初挑戦だったということで、その時の感想を聞かれたメンバーのYUMAは「どんどん言葉が出てきました」と、好きなことを語れるラジオという媒体に魅力を感じたと話していた。この日、ラジオには欠かせない「メール」を紹介するコーナーも。事前に募集した「質問」に超特急が答えていくという場面転換を挟み、続いてはEXITによるライブへ。ペンギンの着ぐるみを着たダンサーを背負って「Winter Wonderland」を歌い、自らもかわいいダンスを披露した。歌だけでなく、お笑い芸人らしく漫才も。かなりアレンジを加えた「どんぐりころころ」を情緒たっぷりに歌い上げるりんたろー。に兼近がツッコミを飛ばすのだが、りんたろー。に煽られて兼近も歌い出し、だんだん兼近の方が調子に乗って「行き過ぎたどんぐりころころ」になっていく……。というネタに、会場のリスナーも笑い声を抑えられないようだった。EXIT再びライブに戻って「SUPERSTAR」と「なぁ、人類」の2曲を熱唱。お笑い芸人アーティストというふたつの姿を見せつけ、観客を大いに沸かせていた。JO1川西拓実「音楽やラジオを通して1つになれた気がしました」EXITのライブの後は、『オールナイトニッポンX(クロス)』の各曜日のパーソナリティがステージ上で交流する『オールナイトニッポンX(クロス)』レギュラートークの時間。ステージには、MCの3人に加え、緑黄色社会の長屋晴子も加えて『オールナイトニッポンX(クロス)』の思い出深い回の話に花を咲かせていた。その後は、超特急のライブへ。「NEW WORLD」でクールなダンスで魅せたかと思いきや、「BakaBakka」「宇宙ドライブ」で振り切った変顔を披露するなど、彼らのギャップに観客は目が離せない様子。MCでも「オールナイトニッポンが大好きな皆様!」と観客を煽る手を止めず、客席の熱量をもう一段階上げていく。さらにもっと勢いづけようと「Billion Beats」曲中に「一緒に踊って!」と振り付けをレクチャーしたり、花道を走りながら「SAY NO」を歌ったり、続く「バッタマン」と「Burn!」でも会場全体を巡ってリスナー1人1人に手を振る超特急。最後まで、全員が全力疾走でリレーを行ったりと、最後まで全力すぎるパフォーマンスを繰り広げた。超特急これを見ていたMC陣は「見ているだけでもめちゃめちゃ楽しかったですね!」と裏で一緒に盛り上がっていたよう。超特急の汗の量を見て、兼近は「尋常じゃない汗の量。戦ってきた後なの?」と驚き、佐藤も「体があったまってきました!」と見ているだけで体が熱くなったと話した。続いて、ライブパートに登場したのは、きょうMCでも大活躍のJO1、佐藤景瑚。川西拓実と金城碧海とともに登場すると、リスナーからは思わず歓喜の声が上がる。「Are You Ready!?」という掛け声と共に始まった1曲目は「KungChiKiTa」。3人によるスペシャルユニットを披露し、ワイルドでパワフルなラップとシンクロダンスでファンを魅了した。佐藤景瑚、川西拓実、金城碧海(JO1)突然のサプライズに驚いたリスナーたちに向かって「盛り上がってますか~?」と3人が呼びかけると、声は出せないもののリスナーたちはペンライトを振って熱気を伝える。JO1の3人も「こんな大きなイベントに出させていただけるなんて、光栄に思っています!」と気合十分。そしてもう1曲は「Dreaming Night」を披露。1曲目と打って変わってキュートな曲調のこの曲で、花道を3人それぞれが歩き、会場のリスナーとコミュニケーションを取りながらハートフルな歌声を響かせた。ライブを終えて「楽しかった!」と感想を語った川西。3人のスペシャルユニットとなり、いつもとは違うパートを歌うということで「他の人に(歌い方を)寄せたりしたの?」とEXITに聞かれると、佐藤は「それより上手く歌おうとした(笑)」と負けず嫌いな一面で笑いを誘った。その後、JO1のメンバーとEXITがアリーナ―外周を歩きながらファンサービス。リスナーと交流を終えた後も、昨年末に出場した紅白を振り返って「めちゃくちゃ緊張しました」と感想を語ったり、本日欠席となってしまった白岩瑠姫について「いつも本当に頑張ってくれている」と知られざる一面を明かしたりと、トークでもリスナーを盛り上げていた。スペシャルライブのトリを飾ったのは、緑黄色社会。きょうの出演者の中で唯一のバンドアーティストということで、力強い長屋晴子のボーカルと一緒に楽器のサウンドを会場内に響かせる。長屋の表現力が活きる、メッセージ性の強い楽曲の多い緑黄色社会の楽曲。この日は「始まりの歌」「キャラクター」「Shout Baby」「LITMUS」「Don!!」「Mela!」という6曲を披露し、圧巻のステージを繰り広げた。緑黄色社会「Mela!」の最後の間奏にある《LaLaLa…》という曲とリズムに合わせて銀テープが飛ぶと共に、この日の出演者たち全員が手を左右に振りながら登場。エンディングでは、「オールナイトニッポン55周年を一緒にお祝いできて、僕たちも光栄でした」(&TEAM/FUMA)。「今年初めてのライブがここでした! みんな最高だった! ありがとう!」(超特急/リョウガ)、「普段はラジオで音だけで繋がっているけど、今日は顔を見てライブができて楽しかったです」(緑黄色社会/長屋)、「良い経験になりました。音楽やラジオを通して1つになれた気がしました。景瑚も頑張った!」(JO1/川西)とそれぞれが感想を語り、リスナーをバックに写真を撮って、3時間半にわたる『オールナイトニッポンX(クロス)』のスペシャルライブは幕を閉じた。<イベント情報>オールナイトニッポン55周年記念 オールナイトニッポンXスペシャルライブ20231月15日(日) 横浜アリーナ出演者:EXIT、&TEAM、佐藤景瑚、川西拓実、金城碧海(JO1)、超特急、緑黄色社会(※50音順)イベント公式サイト:
2023年01月16日舞台『風都探偵 The STAGE』が29日に東京・サンシャイン劇場にて開幕し、オフィシャルレポート、舞台写真、キャストコメントが届いた。同作は平成仮面ライダー第11作目として放送された『仮面ライダーW(ダブル)』の正統続編である、漫画『風都探偵』(脚本-三条陸/作画-佐藤まさき)の舞台化作。やさしさ故に煮え切らない“ハーフボイルド”探偵・左翔太郎と、頭脳派探偵にして彼の永遠の相棒・フィリップの2人が、所属する鳴海探偵事務所の元に訪れた事件を解決していく。原作漫画は2017年8月より『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載を開始し、累計発行部数240万部を超える人気作品となっており、さらに22年8月にはアニメ化も。今回の舞台化に際しては、2019年に舞台「『仮面ライダー斬月』鎧武外伝」で仮面ライダーシリーズ初の演劇化を手掛け、自身も仮面ライダーシリーズの多くに脚本で携わる毛利亘宏(少年社中)が脚本・演出を担い、マンガ『風都探偵』の脚本をつとめテレビ本編から『仮面ライダーW』を描いている三条陸が脚本監修を行った。さらにテレビ『仮面ライダーW』からアニメ『風都探偵』まで全ての音楽を担当している中川幸太郎と鳴瀬シュウヘイが本作のために全ての楽曲を書き下ろし、主題歌には上木彩矢wTAKUYAが歌う「W-L-X〜Wgot Lost in Matrix〜」(作詞:藤林聖子、作曲:鳴瀬シュウヘイ)が使用されている。左翔太郎役として和田雅成、フィリップ役として木津つばさ、鳴海亜樹子役として生駒里奈、照井竜役として上野凱、ときめ役として能條愛未が出演するほか、なだぎ武が『仮面ライダーW』から刃野幹夫役を続投、『仮面ライダーW』で園咲霧彦役を演じた君沢ユウキが今作では万灯雪侍役を演じるなど、キャスティングにも注目が集まっている。ほか相澤莉多、松本寛也、梅澤裕介(梅棒)、伊藤孝太郎らが出演する。東京公演はサンシャイン劇場にて12月29日〜2023年1月15日、大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシテにて2023年1月19日〜25日。12月29日19時公演(初日)、2023年1月25日14時公演(大千穐楽)の計2公演はU-NEXT独占ライブ配信を予定している。○『風都探偵TheSTAGE』初日公演オフィシャルリポート特撮実写ドラマ『仮面ライダーW』の正統続編としてマンガ『風都探偵』へ。そして『風都探偵』はアニメ化を果たし、いま、また舞台演劇へと「変身」を遂げた。舞台の上には、「風都」の風が確かに吹いていた。和田雅成が演じる左翔太郎、木津つばさが演じるフィリップたち。舞台演劇という新たな表現媒体で、果たして役者たちは、それぞれのキャラクターにどのようなアプローチを試みるのか。幕を開けた『風都探偵 The STAGE』には、その答えが示されていた。翔太郎やフィリップ、鳴海亜樹子、照井竜といった、ファンにはおなじみの人物たちは、和田雅成、木津つばさ、生駒里奈、上野凱という新たな役者の肉体を得て、活き活きと舞台上で躍動していた。それぞれのキャラクターのやりとりの妙からは、『仮面ライダーW』から続く作品世界自体の強度や奥深さを感じるとともに、今回の出演者たちが、それぞれのキャリアや感性を総動員して、長く愛されている登場人物たちに、新たな魅力を生み出そうとしている意気込みが、随所でうかがえた。その上で、役者本人も重ねてまた新たなキャラクターが生まれていた。本作では、謎の美女・ときめが風都に現れ、さらに風都とつながっている別次元の世界の存在や、新たなる敵の出現が明らかになるストーリーが語られる。ときめは、『風都探偵』を象徴する存在で、生身の役者が演じるのは、今回の能條愛未が初めてである。もともと「日曜の朝」の番組には登場させづらいセクシーなビジュアルのキャラクターだったこともあり、これをどこまで「三次元化」できるかというのも焦点だったが、そのスタイルや、吐息がそのまま声になったかのような口調などで、独特の存在感を放つことに成功していた。その一方、実写ドラマから唯一の「続投」となったジンさんこと刃野刑事役のなだぎ武はそのポジションを最大限に活用し、確実に「笑い」を生んでいく。ドラマ版とは別の役柄=万灯雪侍へと「転生」した君沢ユウキもまた、「風都」を熟知する役者のひとりとして、本作の世界観を高い純度で、さらに新たに生まれたキャラクターを深く表現していた。細かい手法の紹介は避けるが、舞台上ではハードボイルダー(バイク)が走り、仮面ライダーやドーパントの超能力が発揮され、風都から別次元の世界への行き来や、さまざまな風都の光景が映し出され表現されていた。ドラマやマンガが持つテンポの良さを舞台でも再現、あるいは凌駕しようという工夫がいくつも凝らされ、原典を知るファンにとっても刺激的な演出が次々と披露されていく。誤解を恐れずに言ってしまえば、「大人向けのヒーローショー」として、本作は凄まじい完成度を見せてくれているのだ。もちろん、メインキャラクターを演じている役者たちのライブアクションもふんだんに用意されている。終盤には、「ここまでやるか!」というほど、怒涛の展開が続く。純然たるエンターテインメント作品として、その妙味を、存分に味わっていただければと思う。なお、終演後のカーテンコールでは、この初日が誕生日当日だった生駒里奈へ、キャストたちからサプライズでのお祝いが行われた。テレビ『仮面ライダーW』からのファンと公言している彼女にとって、初日が誕生日だったというのは、まさに「奇跡のめぐりあわせ」だったと言えよう。○和田雅成 コメントここまで辿り着けたこと。本当に嬉しく思います。いつもとは違う形の舞台化に最初はどこを掴んで良いのか迷っていました。ですが、キャストの仲間達、スタッフの皆様が自分を「風都探偵 The STAGE」の世界に引き込んでくれました。皆様の貴重な時間をこの舞台に向けて下さってありがとうございます。誰よりも風都の街を愛し、皆様の心に新しい風を吹かせられるよう尽力いたします。○木津つばさ コメント先ず、無事に開幕出来ることを大変嬉しく幸せに思います。仮面ライダーになれるんだ、といつまで経っても慣れません。でもそれでもいい、憧れるという事が心から愛おしく素敵な事だと改めて気付かされております。俳優、スタッフ、関わって下さっている皆様全員が素敵なカンパニー、更には舞台を通して、風都探偵の魅力を存分に伝えるべく原作へのリスペクトは勿論のこと、一人一人が作品に向き合って創り上げて参りました。だからこそ誰一人欠けることなく、最後まで皆様に作品をお届けする事が、僕たちの願いであります。全員がヒーロー、カンパニーの皆様とお客様と一つ一つを大切に、あの日あの時、僕の鼓動が高鳴ったあの言葉を胸に! “変身”がまた誰かの胸の鼓動を鳴らせる様に!「風都探偵 The STAGE」是非、最後まで劇場でお待ちしております!○生駒里奈 コメントついに幕が上がるのかと、ドキドキしています。作品が完成に近づくたびに、これで大丈夫なのかなと不安に襲われながら今日を迎えました。自分はともかく、最高にかっこいい「風都探偵」が出来上がったと思います。仮面ライダーW、仮面ライダーアクセルのアクションがとにかくかっこいいです!!そして刃野さんが最高ですね。7割くらいはファンとして稽古を見て来ましたが、瞬きしたくないくらい、絵になる瞬間が沢山あります。舞台装置やプロジェクションマッピングのかっこよさも含めてご覧ください!○上野凱 コメント待ちに待った、初日を無事に迎えられる事をとても嬉しく思います。小学生の頃に思った、修学旅行の日を待つ子供時代を思い出します。観に来て頂いた皆様と一緒に、風都の街を探検する気持ちで臨みます! 僕たちを信じて、風都の世界を一緒に歩きましょう。「風都探偵 The STAGE」思う存分楽しんでください! 劇場にてお待ちしています!○能條愛未 コメント無事に初日の幕が上がる事がどれだけ幸せで当たり前でない事なのか、私も悔しい思いをした経験があるからこそこの幸せをより噛み締めています。全ての演出がつき、皆様と一緒にお芝居を作り上げ、仮面ライダーのアクションを間近で観させていただき、ヒーローのカッコ良さやこの作品の面白さに私自身どんどん引き込まれていきました。私が演じるときめは、どこか掴みどころがない難しい役どころではありましたが、お稽古を重ね自分の中のときめ成分を見つける事が出来たのではないかなと思っています。舞台上にときめが存在していたと思っていただけるよう全力かつ丁寧に演じさせていただきます。劇場でお待ちしております!○なだぎ武 コメント私が最後に刃さんを演じたのが、Vシネマの『仮面ライダーアクセル』の時だったらしく、そこから刃さんを演じるのが11年振りだそうです。11年のブランク、また刃さんを演じる事が出来るかな...と不安もありましたが、マッサージ器具(ツボ押し器)を片手に持った瞬間、一瞬にしてあの頃に戻れました。舞台は新たな風都の街。相変わらずミステリアスで、人間臭い街です。原作の風都がそのまま舞台化されてるので、街の妖艶さやアクション、キャストの活躍を思う存分楽しんで頂けると思います。そんな風都でお待ちしております。○君沢ユウキ コメント12年前に感じたあの頃の懐かしい風を、稽古場で節々に感じました。翔太郎のハーフボイルド、フィリップの冷静と情熱、亜樹子の天真爛漫さ、照井の寡黙な強さ、刃野さんの変わらなさ。そんな彼らと出会ってしまった裏風都の万灯雪侍として、交差する表と裏の『運命』の物語の歯車を強力に回していきたいと思います。舞台上、目の前で仮面ライダー達が闘う臨場感はまさに本物の迫力。ですが完成には最後の1ピースが足りません。それは劇場、いや、風都に皆様が目撃しに来てくださること。最高のスリリングをお約束します。必ず貴方を、美しく後悔させてあげましょう。○脚本・演出:毛利亘宏(少年社中) コメント「風都探偵 The STAGE」の演出と脚本の共同執筆を担当させていただきました毛利亘宏です。お客様の想像を上回るライブエンターテインメントが出来上がったのではないかと自信を持ってお届けします。自分が培ってきた演劇のフィールドと「仮面ライダー」という歴史あるコンテンツが交わるとこんなにも可能性を秘めた作品が生まれるんだ...とひしひしと感じております。新たな“風都”という街を舞台上に生み出すべく、稽古場と劇場でカンパニー全員が誠心誠意、本作に向き合い、試行錯誤してきました。ぜひ劇場で、ライブ配信で、舞台上に生まれる新たな風都の物語をご覧ください。(C)「風都探偵 The STAGE」製作委員会
2022年12月30日UVERworldが、初のスタジアムライヴを2023年7月29日(土)・30日(日) に神奈川・日産スタジアムで開催することが決定した。本公演は、12月21日(水) に神奈川・横浜アリーナで行われた『THE LIVE ~TAKUYA∞生誕祭~』内でサプライズ発表されたもの。1日目は通常公演、2日目は男性限定ライヴ『KING’S PARADE』、通称『男祭り』として開催される。以下、『THE LIVE ~TAKUYA∞生誕祭~』のサプライズ発表のレポートをお届けする。全国ツアー『THE LIVE』の横浜アリーナ公演は、12月20日、21日の2days。2日目はヴォーカルのTAKUYA∞の誕生日であり、『生誕祭』と名づけられた特別なライヴだった。この日のラストナンバーにして、音源未収録の新曲「Theory」の演奏を終える。予定調和のアンコールをやらないUVERworldだけに、“『生誕祭』が終わった”とステージの6人とオーディエンス、アリーナ内の空気が満足感から、ふと緩む。その瞬間に、サプライズは訪れた──。TAKUYA∞が言う。「みんなに素敵な発表があるんだ」彼の言葉を合図にして、設置された巨大なスクリーンに、これまでのライヴをコラージュした映像、そしてメンバーのアップが映し出される。その映像が引き画になり、彼らがいる場所が露わになった。そこが日産スタジアムだと気づいたオーディエンスから、興奮を纏ったどよめきが起こる。そんな中、映像に浮かんだ文字が、2023年7月29日にUVERworld初のスタジアムライヴを日産スタジアムでやることを告げた。サプライズはここで終わらない。さらに切り替わった映像は東京ドームでの『男祭り』の景色。すかさずタイポグラフィが浮かぶ。そして、翌7月30日は日産スタジアムで『KING’S PARADE 男祭りat 日産スタジアム』の開催だと、発表した。その映像をステージでオーディエンスと共に観ていたメンバーから、TAKUYA∞が代表して抱く想いを口にする。「まだまだ、今日観せられなかった景色がある。全員でヤバいスタジアムライヴをしに行こうぜ!」彼の声、メンバーの表情は、新しい1歩を踏み出す喜びと高揚感に溢れていた。日産スタジアムのライヴでは、29日、30日それぞれ7万2000人を動員する予定で、男性限定ライヴとしては、彼らが2019年12月20日に東京ドームで行った『KING’S PARADE 男祭り FINAL』での4万5000人という日本音楽史の動員記録を大幅に更新することとなる。そもそも『男祭り』は、デビュー直後のスマッシュヒットを経て、当時のオーディエンスがほぼ女性だったことに対するメンバーの想いからスタートした。この始まりには、支えてくれる女性ファンに感謝しつつ、“自分たちの音楽に込めたメッセージは性別、年齢を超えるはず”ということと。メンバーそれぞれがバンドを始める前やインディーズ時代に観てきたライヴの景色と、デビュー当時のUVERworldのライヴに大きな隔たりがあり、違和感を覚えていたことが核にあった。そして、2011年に地元・滋賀県のライヴハウスで230人を集め初の男性限定ライヴを開催したところから、日本武道館、横浜アリーナと規模を大きくしていき、2019年に前人未踏の東京ドームまで歩みを進めることとなる。原動力には、押しつけられるパブリックイメージや「叶うはずがない」という声への“反骨心”が常にあったが、自ら“FINAL”と掲げ、ひとつの区切りとして迎えた2019年の東京ドームに至る頃には大きな変化も感じた。それは、認め合い、同じ魂を持った同志の語らいだ。女子会というものがある。そこにある飾らないでいられる気軽さ、本音で語り合う心地良さの男性版、何万人バーションと言えばいいだろうか。予定調和やマンネリを嫌うUVERworldのことだ、一度区切りとした『男祭り』を再始動するにあたって、“反骨心”とは違った目的や動機があるはず。個人的には、メンバー6人と7万2000人が語らい共鳴した先にどんな景色が広がり、どんな熱が渦巻いているのか、が楽しみである。もちろん、『男祭り』だけが特別なわけではない。2019年の東京ドーム2daysをステップにして、いろいろなライヴや活動展開を水面下で動かしていたと聞く。それらのほとんどが新型コロナウイルスの世界的流行で白紙になったが、それでも止まることを良しとせず、できる活動をしてきた彼ら。このコロナ禍の時間で感じたこと、鬱積した想いを糧に、日産スタジアム2daysという新たな1歩を踏むこととなる。さらには、昨夜、12月20日の横浜アリーナ公演では、女性限定ライヴ『QUEEN’S PARTY』を東京、名古屋、大阪、福岡、札幌、ファイナルはハワイという日程で2024年に開催することも発表した。この『QUEEN’S PARTY』でのツアーも初の試みである。彼らはアフターコロナに向けて、動き出している。世界を巻き込んだ、未曾有の出来事の先、その誰も経験したことのない真っ新な世界にどんな足跡をつけていくのか、見届けたい。Text:大西智之Photo:田中和子(CAPS)■UVERworld『THE LIVE』セットリストプレイリスト:<ライヴ情報>UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM2023年7月29日(土) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72,0002023年7月30日(日) 神奈川・日産スタジアムOPEN14:00 / START17:00 / END20:00(予定)【チケット料金】アリーナ指定(お土産付き):12,000円(税込)スタンド指定:9,800円(税込)お問い合わせ:SOGO TOKYO(03-3405-9999)※月~土12:00~13:00、16:00~19:00(祝日、年末年始除く)UVERworld 日産スタジアムライヴ 告知画像特設サイト:’S PARTY 女祭り LIVE HOUSE TOUR 2024(東京、名古屋、大阪、福岡、札幌)2024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表QUEEN’S PARTY 女祭り THE FINAL at HAWAII 20242024年春予定※詳細は後日オフィシャルサイト・オフィシャルSNS等で発表UVERworld『QUEEN’S PARTY 女祭り』告知画像関連リンクUVERWorld オフィシャルサイト: オフィシャルファンクラブ「Neo SOUND WAVE」:∞ TikTok:∞ Instagram:
2022年12月22日『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2022』が、12月17日(土) に東京・東急シアターオーブで開幕。そのオフィシャルレポートが到着した。イルミネーションが輝く12月。一時は中止を余儀なくされていたライトアップも今年は復活し、街を歩くとクリスマスツリーやライトアップ!あちこちで繰り広げられる華やかな光景にワクワクが止まらない。そしてこの時季の風物詩といえば、忘れてはならない『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2022』。2016年から上演されていた本格派のクリスマスショーが、3年ぶりに帰ってきた!何せ、渋谷の駅前で、ブロードウェイらしさ満開のクリスマスショーを楽しめるのだから、行かない手はない。幕が開くと、結晶がキラキラ輝く雪の世界。真っ白な衣裳に身を包んだ6人のシンガーとダンサーたちが「レット・イット・スノー」「ジングル・ベル」「赤鼻のトナカイ」などを披露、一気にクリスマス気分に突入だ!ステージにそびえ立つ巨大なツリーの前での長~いラインダンスは、ニューヨークのラジオシティで毎年上演される『スペクタキュラー・クリスマス』を彷彿させる。サンタクロースも登場し、パワフルに歌って踊って大忙し。そのうち場面はサンタのおもちゃ工場へ。おもちゃがどんどん作られ、プレゼントが準備される様子は、子供たちのクリスマスへの期待を一層盛り上げるに違いない。くまのぬいぐるみがイキイキとステップを踏む、そのキュートなこと!「さやかに星はきらめき(O Holy Night)」ではペアのフィギュアスケーターによるリフトやスピン、スパイラルなど幻想的なパフォーマンスにうっとり。そうそう、ニューヨークのクリスマスにはスケートが欠かせないよね~としみじみ。劇場でスケートが観られるのは粋だなぁ。そこから「アメージング・グレース」「ジョイフル・ジョイフル」と続き、エネルギッシュなゴスペルに。自然と身体がリズムをとってしまう。2幕はステンドグラスで彩られたクリスマスタウンから。「もろびとこぞりて」「まきびとひつじを」など讃美歌のハーモニーが心に響く。そこから徐々にアップテンポな曲へ。6名のシンガーは全員歌が素晴らしく、それぞれ個性豊かな美声で聴き応えたっぷりだ。伝統的なクリスマス曲から、『アナと雪の女王2』の代表曲「イントゥ・ジ・アンノウン」とマライア・キャリーの名曲「恋人たちのクリスマス」、マイケル・ジャクソンも歌ったロックンロール曲「ロッキン・ロビン」など、ポップスも盛りだくさん。タップダンスあり、ボールルームダンスあり。キャスト21名が舞台の縁に座っての手拍子パフォーマンスは愉快で、目を見張ってしまう。何より、このカンパニー全員が観客をとことん楽しませよう!という心意気が伝わってくるのがいい。これでもか!と次から次へと繰り出される怒涛のクリスマスソングに身も心も満たされ、満足度高し。老若男女誰もが楽しめるので、ご家族や友人、大切な人を誘うのもおすすめだ。もちろんおひとりさまでの観劇も全然あり。今年1年の自分へのご褒美にぴったりだ。文:三浦真紀(演劇ライター)撮影:Tomoko Hidaki<公演情報>ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド202212月17日(土) ~25日(日) 東京・東急シアターオーブ『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2022』ビジュアル出演:アメリカ・カンパニー※英語上演※開場は各開演の45分前※上演時間約2時間予定(休憩20分含む)※3歳以上入場可(チケットが必要になります)。ただし、膝上でのご観劇はできません。※チケットはお一人様1枚必要です。※ご来場のお客様全員にサンタ帽をプレゼント【チケット料金】(全席指定・税込)S席9,800円、A席6,800円チケット購入リンク:【お問い合わせ】キョードー東京:0570-550-799(平日11:00~18:00 / 土日祝10:00~18:00)公式HP:
2022年12月20日ブロードウェイミュージカル『シカゴ』3年ぶりの来日公演が、12月14日(水) に東京国際フォーラム ホールCで開幕。そのオフィシャルレポートが到着した。常に新しい作品が求められるブロードウェイにあって、1996年から現在に至るまでロングランが続いている大ヒットミュージカル『CHICAGO』。禁酒法時代のシカゴで実際に起こった事件から着想を得た同名戯曲を原作に、鬼才ボブ・フォッシー(脚本・演出・振付)とカンダー&エッブ(脚本・音楽)が1975年に生み出し、およそ20年の時を経てウォルター・ボビー(演出)とアン・ラインキング(フォッシー・スタイルによる振付)が生まれ変わらせたリバイバル版だ。描かれるのは、殺人の罪で投獄されながら、悪徳弁護士ビリーの力を借りてスターダムにのし上がろうとするロキシーとヴェルマの物語。その来日公演が12月14日(水) 、東京国際フォーラム ホールCにて開幕、同日にゲネプロが行われた。今回で、このリバイバル版の来日ももう10回目。近年の来日公演では、ロキシーを米倉涼子やシャーロット・ケイト・フォックスのように日本でお馴染みの俳優が演じており、となるといきおい、彼女たちが来日カンパニーに交じってどんなパフォーマンスを見せるかに注目が集まった。またどちらでも、ヴェルマ役はアムラ=フェイ・ライトが務めていたため、日本ではヴェルマ=ライトのイメージも強い。だが今回は、ロキシーもヴェルマも来日キャスト。米倉の降板はもちろん残念の極みだが、主役がニューフェイスの俳優であることがかえって、作品の本質的な魅力に改めて目が行く効果を生み出していることも確かだ。『CHICAGO』の本質的な魅力とは、ひとことで言ってしまえば、音楽と振付とストーリーとのベストマッチ。ステージ中央に陣取るオーケストラピットから奏でられる音楽は、管楽器が多用されているため基本的には非常に賑やかで洒脱だが、ミュートされたトランペットや滑稽な打楽器の音色も頻繁に響くおかげでコミカルでもある。そしてフォッシー・スタイルと言えば、感情を解放するような華やかなミュージカルダンスとは一線を画す、遠慮がちでどこかムズムズしているがゆえのセクシーさが特徴的。音楽にも振付にも、一見スタイリッシュで煌びやかななかに一筋縄ではいかないものがあるからこそ、殺人をエンターテインメントにしてしまっているストーリーの面白さと皮肉感が際立つのだろう。日本ではニューフェイスでも、ロンドンで着実にキャリアを重ねているだけあって、ロキシー役のサラ・ソータートとヴェルマ役のソフィー・カルメン=ジョーンズももちろん好演。ソータートの甘い歌声、カルメン=ジョーンズのアグレッシブな役作り、またビリー役キャヴィン・コーンウォールの轟くような低音も実に魅力的だ。それに前髪を切り揃えた黒髪ボブ姿のヴェルマは、金髪ショートカットのライトのヴェルマを見慣れていると、登場した瞬間からもう新鮮。振付や衣裳こそ厳密に決まっているが、ヘアスタイルやキャラクター造形については俳優各々の個性にゆだねられる部分が多いのが『CHICAGO』であり、その多様性もまたロングランが四半世紀にも及んでいる一因であると、改めて実感させられた。なお、今回の公演では劇場ロビーに巨大な撮影スポットが用意されている。撮影するならぜひ、フォッシー・スタイルのポーズを決めてみよう。取材・文:町田麻子撮影:Tomoko Hidaki<公演情報>ブロードウェイミュージカル『シカゴ』12月14日(水)~31日(土) 東京国際フォーラム ホールC※生演奏、英語上演、日本語字幕ありブロードウェイミュージカル『シカゴ』メインビジュアル【作詞】フレッド・エッブ【作曲】ジョン・カンダー【脚本】フレッド・エッブ&ボブ・フォッシー【初演版演出•振付】ボブ・フォッシー【オリジナルNYプロダクション演出】ウォルター・ボビー【オリジナルNYプロダクション振付】アン・ラインキング【出演】サラ・ソータート、ソフィー・カルメン=ジョーンズ、キャヴィン・コーンウォール and more【チケット料金】(全席指定・税込)S席:15,000円A席:11,000円B席:9,000円※12月18日(日) まで「ペア割チケット」「ステージセット見学付きチケット」を特別販売中。詳細は公式HPをご確認ください。チケット情報はこちら:公式サイト:
2022年12月15日12月9日(金) に東劇で開催されたMETライブビューイング 2022-23《椿姫》のスペシャルトークイベントに柿澤勇人が登壇。そのオフィシャルレポートが到着した。ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称:MET(メト))の世界最高峰の最新オペラ公演を大スクリーンで楽しめるMETライブビューイング。現在最新の2022-23シーズンが“開演”中。第2作目には、泣けるオペラとして高い人気を誇るヴェルディ《椿姫》が12月16日(金) ~22日(木) に全国公開(※東劇のみ2023年1月5日(木) まで)。トニー賞受賞演出家マイケル・メイヤーはじめ、ブロードウェイのクリエイターたちによる演出とスター歌手陣で贈る舞台となっている。劇団四季の出身で、退団後も舞台や映画など幅広い分野で活躍中の柿澤。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で演じた源実朝役に集中していたと今年1年を振り返り、トークが始まった。今回の《椿姫》で演出を手がけたマイケル・メイヤーのミュージカル『春のめざめ』で主役に抜擢された経験がある柿澤は、メイヤーの演出について「セットが絵画のように見えて、かっこいいし、綺麗でお洒落でセンスがいい」と熱く語った。今回の《椿姫》での好きなシーンは?という質問には、「冒頭のパーティーのシーンの衣装やセットが本当に見入ってしまうような色使いで、お金かけたんだろうなぁ~(笑)」と世界最高峰の舞台に感激した様子。「メイヤーの春夏秋冬をイメージした四季の移ろいで、人間関係をリンクさせている」と演出にも注目していた。今回、主役のソプラノが涙を流しながら熱演している様子を受け「ミュージカルでも涙を流しながら演じるのは難しいからこそ、声が命のオペラで泣きながら演じるのはすごい技術だと思う」と感心。学生時代には、実際にニューヨークのメトロポリタン歌劇場に訪れたことがあり、「規模がとても大きく、METの前の噴水に行くとテンションが上がる」。当時観た『ライオンキング』の演出家ジュリー・テイモア演出の《魔笛》については「日本の伝統芸能からインスパイアされた演出がすごく印象に残っています」と語った。また、「オペラは声が命で、音が外れるとブーイングや役を下ろされることが普通にあると聞いて驚いた」と劇団四季の創立メンバーであり、オペラ公演の演出も手掛けた恩師である浅利慶太氏からの言葉を振り返る場面も。フォトセッションでも会場のファンに向けてにこやかに手を振り、トークイベントは終了となった。<作品情報>METライブビューイング 2022-23《椿姫》12月16日(金) ~22日(木) 全国公開※東劇のみ2023年1月5日(木) まで。詳細はこちら:
2022年12月12日“すかんち結成40周年記念「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」”の初日が11月29日、川崎CLUB CITTA’で開催された。彼らが10代の時、地元、大阪の高槻のAPMスタジオに集まるバンド仲間によって結成された『すかんち』。すかんちという名前はAPMスタジオスタッフが、とりあえずで付けた“ちんかすトリオ”に由来する。そのトリッキーなバンド名に関して、ROLLY自身はカッコいいバンド名に対してアンチテーゼを発信する意味で活動してきたそうだ(世の中にはそういうマインドでバンド名を決めてるケースも多々あると思うが)。そんなロックの王道からちょっと外れた独自の路線を突き進むバンドが40年も続くと誰が想像しただろうかーー。あれから40年。初期メンバーのドクター田中(Key)の逝去、後のメンバー・小川文明(Key)の逝去、Shima-changの事故……数々の試練を乗り越え、ザ・キャプテンズのテッド(Ba&Cho)と小川文明の弟子、村原康介(Key)にサポートされ、今、すかんちを観られること自体、なんとも感慨深い。開演時間が近づくと会場に流れてきたのは影アナによる注意事項のアナウンス。時々、言い間違えては「コホン(咳払い)、間違えました」と律儀に詫びを入れつつ注意事項を読み上げていたのはROLLYだ。一度、すかんちの世界に足を踏み入れた人に対して、隅から隅まで楽しませたい、そんな心意気の現れなのだろう。正に真のエンタテイナー。深紅の幕で閉ざされたステージから何が飛び出すのか、お客さんたちの期待が高まる中、幕が左右にサーッと開くと、まず目に飛び込んできたのはセンターのROLLY、小畑ポンプ、そして上手にはShima-chang!! その瞬間、お客さんのワーッ!という歓喜の声が響く(ような感覚を覚える)。というのもイベントを除き、すかんちのワンマンライブでShima-changが最初からステージにいるのは、あの事故以来、初めてのことだから。Shima-changギターのリフとROLLYの唄からスタートする「スローソンの小屋 」からライブはスタート。ドラムのキックとタンバリン、テッドのベースと、村原康介のエレピの音……どんどんぶ厚くなっていくサウンド。ああ、これが今のすかんちサウンドなのだとお客さんも噛みしめているようだ。時折、「レッツゴー!」と合いの手を入れるShima-chang、以前より元気そうで何より。にしても、ROLLYのギターの音は時に攻撃的で、時に柔らかで、とてもより表情豊かになってるなと思う。月日を重ね、益々味わい深く芳醇な味わいになっている、まるでワインのように。そして♪Kiss Kiss~♪のSEから彼らのデビュー曲「恋のT.K.O.」へ。馴染み深いポップチューンにお客さんは体を揺らし、♪Kiss Kiss For Your Love~♪のサビでは手を振り上げる。それぞれ平等に年を重ねたという切ない現実はあれども、そこに広がるのはデビュー直後、渋谷egg manでの光景とまったく一緒だ。そしてドクター田中のパートをテッドがオリジナルキーで唄い、ハモる。お見事!「ハロー、エヴリバディ!レディース、アンド、ジェントルマン!ボンジュール、ムッシュ、マドモアゼール、セニョール、セニョリータ、イタリアーナ、食べてみーな、美味しいですか?」40年前から変わらぬROLLY節満載のMCに目尻が下がる。時折、お客さんをイジるのも彼のサービス精神のひとつだ。「結成40周年コンサートにご来場いただき、誠にありがとうございます!何しろ40年ぶんあるので大変なんですけど—―。紹介するまでもないんですが、久しぶりに(ステージに)帰ってきてくれたShima-changさん。とうとう、今日は最初から最後までいる予定です」。そうROLLYが言うと、会場からは割れんばかりの拍手。その後もサポートメンバーを紹介し……小畑ポンプの紹介を忘れると、すかさず「俺、誰だかわかる?」と小畑ポンプから突っ込みが入る(笑)。ROLLY「小畑ポンプさん!本当に、僕らはアンヴィル(※80年代~活動している鳴かず飛ばずのバンド。2013年にドキュメンタリー映画が公開されている)みたいな関係ってことだね。じゃ、名曲の数々を順番にいこうかな。よろしいおすか!」(ROLLY)ということで、次に演奏されたのは、先日のラジオ出演時に“ラッセンが好き~”のフレーズでお馴染みのお笑い芸人・永野氏に大好きな曲だと言われた「恋するマリールー」。永野氏に限らず多くのファンに愛され続けていることは、会場の反応から明らかだ。曲終わりから小畑ポンプがリズムを叩き続け、ベース、キーボード、ギターのユニゾンから突入したのは「仏壇返しにはかなわない」。そしてギターをグレコのレスポールに持ち替えて演奏された「恋人はアンドロイド」は、ドクター田中亡き今、彼に代わってROLLYが高いキーで唄い上げる。この曲は、紛れもなく、すかんちの代表曲のひとつであり、今もファンやメンバーに愛され続けているのことが観客の反応から伝わってきて胸が熱くなる。どれもこれもマストで聴きたかった曲がズラリと並んだ前半戦で、すでに涙腺が崩壊寸前だ。途中、洋楽のライブ盤の秘話を盛り込みつつ、「KISSに行く人いる?(ちょうど来日公演前日) チープ・トリックは延期になった……だから代わりに僕がロビン・ザンダーの役をやってる(※70年代後半、ロビン・ザンダーが着ていた白いスーツをオマージュしてるということだろう)。KISSの公演では「デトロイト・ロック・シティ」を演奏した後、お客さんの反応が思ったより薄くてポール・スタンレーはエーッ!?て思ったらしいけど(笑)、僕はね、そういう反応をされてもそんなに傷つかないよ。お客さんも一緒に成長してきたのねって思うから。よく若いバンドは、もっと声出せー!とか言うけれど、いやいや、僕らは温存でいきましょう(笑)」(ROLLY)テッド(Ba&Cho)そんなトークでお客さんを和ませ、労れるのもベテランバンドならでは。それでも「君を好きになった」に綴られた胸キュンでみずみずしい歌詞、プラスROLLYの声のハリや声量は衰えを感じさせないな、と感心していると、「今日、すかんち至上、いちばん演奏曲数が多いんです」(小畑ポンプ)とのこと。「次に演奏するのは、すかんちは1982年に結成しましたけど、結成した年に作った曲で、ドラムを叩いているのは亡くなってしまった岡部貞之さんでした。面白い人やったな」(ROLLY)「岡部さん、よく読み間違えてね。ウーロン茶の缶にOolong Teaって書いてあるのを、ウーロングテアって読み間違えはったりね。ホンマはパンフレットの取材の時に言えばよかったんやけど……後になってどんどん思い出すな」(小畑ポンプ)そんなエピソードの後に演奏された「Mr.ロックンローラー」。この曲は当時、ROLLYが想いを寄せていた地元で人気のレディースバンドのオカダさんの歌詞が原案になっているとか。演奏後、「恥ずかしくてね。19歳くらいの頃の僕を全部を見られている感じですよ」とROLLYが言うのも頷ける。「それをお尻を押さえながら話しなさんな(笑)」(小畑ポンプ)という突っ込みはナイス(笑)。続けて、村原康介のキーボードとROLLYの唄から始まった「石見銀山ねずみ取り」、その後、村原康介のキーボードソロ、重々しい小畑ポンプのドラムが加わり「時間の言葉へ」と繋げられ、スローテンポのたっぷり聴かせるナンバーで第1部終了。村原康介(Key)休憩を挟み第2部は人気ナンバー「恋は最後のフェアリーテール」からスタート。そして、Shima-changゾーンへ。彼女が作曲した「LOVE LOVE HOLIDAY」、ROLLYとShima-changの唄の掛け合いが決め手の「好き好きダーリン」の演奏前にはShima-changとキーを確認。「109で待っててよ」のShima-changのパートはテッドがShima-changと同じキーでフォロー。愛と優しさしかないステージに、お客さんも思わず目頭が熱くなっているようだ。その後、演奏されたのはShima-changが手がけた「セラピスト」を聴けば、彼女の才能は今も楽曲の中で光りを放っているなと思う。演奏した後、デビュー当時の逸話を盛り込みつつ、ディレイを効かせたROLLYのタイトルコールからデビューシングル「恋のT.K.O.」のカップリングに収録された「ウルトラロケットマン」「GRAVE DIGGER」「恋のショック療法」「レターマン」と立て続けに演奏され、オーディエンスも昇天寸前といったところだろうか。「ここでウォー! とかね(コロナじゃなければ歓声が聞こえただろうけれども)。でもね、実を言うと、みんなで(困難を)乗り越えようという大和魂、僕は好きなんですよ。でね、32年もののお札でございましてー」(ROLLY)とくれば、お待ちかねの大人気ナンバー「1,000,000$マン」。シアトリカルな歌詞ゆえリリース当初からミュージカルっぽい表現は多少あったものの、月日を経てよりその要素が強まる方向に進化。ROLLYは高らかに唄い上げて本編終了……のはずだったが――。「このままズバッと、快傑ズバッとやらせてもらうぜ」(ROLLY)ということで、そのままアンコールに予定されていたメニューへ突入。スライドバーを指に装着、ボトルネック奏法で「MANGO JUICE」を披露、古きよきロックの香り漂うサウンドに乗せてROLLYはギターを自在に操り、ブレイクでは声を上げてメンバーとタイミングを計る。アナログなロックバンドならではのテンポの揺れや生々しさ、そして迫力。生ならではの音にオーディエンスはドップリ浸り、陶酔してるようだ。そこから小畑ポンプのドラムソロに繋げられ迫力のプレー、重々しいドラムの音で観客を圧倒した。小畑ポンプ「じゃ、本当の最後の最後に。40周年やりましたんで。45年も47年も――」(ROLLY)「47年?(笑)」(小畑ポンプ)「僕は来年還暦なんでね、来年は真っ赤なちゃんちゃんこでやります。武内さんは永遠の18歳ということでいいかな?」(ROLLY)「永遠の18歳でお願いしまーす(笑)」(Shima-chang)「最後に皆さんに感謝します。本当にどうなることかと思ったけれど……全員に感謝。「恋のマジックポーション」でお別れしましょう」(ROLLY)「エヴリバディ?」と一声かけて『ダウンタウンのごっつええ感じ』のテーマ曲であり、すかんちの大ヒットナンバーでもある「恋のマジックポーション」で華やかに晴れやかに本コンサートを締め括った。「皆様に愛されて創業40年!もっとも珍味なロックバンドが40年、活動してまいりました。また会いましょう!」(ROLLY)そんな言葉を残して、2時間半に及ぶコンサートは幕を閉じた。珍味なロックバンド……そう、彼らは結成以来、やれ色物バンドだの、お笑い歌謡バンドだのと揶揄されてきた。けれど、40年続けて来れたのなら、不名誉な言葉ですらも彼らの勲章となってるのは間違いない。色物とは“寄席で落語などに対して、彩りとして演じられる漫才や奇術などを指し、そこから転じて主要な位置にないもの”を意味する。すなわちそれは、他に類を見ないもの、ともとれるではないか。どこに属さず、オリジナルであることに誇りを持ち、己の信じる道を進んできたバンド、すかんち。その唯一無二のバンドにオーディエンスは、いつまでも惜しみない拍手を送っていた。文=増渕公子写真=土田紘<公演情報>すかんち結成40周年記念「SCANCH’N 40th FANTASY TOUR」2022年11月29日(火) 川崎 CLUB CITTA’【セットリスト】01. スローソンの小屋02. 恋のTKO03. 恋するマリールー04. 仏壇返しにはかなわない05. 恋人はアンドロイド06. 君を好きになった07. Mr.ロックンローラー08. 石見銀山ねずみ取り09. 時間の言葉10. 恋は最後のフェアリーテール11. LOVE LOVE HOLIDAY12. 好き好きダーリン13. 109で待っててよ14. セラピスト15. ウルトラ・ロケットマン16. GRAVE DIGGER17. 恋のショック療法18. レターマン19. 恋の1,000,000$マン■ENCORE1. MANGO JUICE ~ Dr solo2. 恋のマジックポーション<ライブ情報>すかんち結成40周年記念『SCANCH’N 40th FANTASY TOUR』2022年12月13日(火) 東京・ZeppDiverCity(TOKYO)OPEN 18:15 / START 19:00■チケット料金全席指定:7,000円(税込)※入場時ドリンク代別途600円必要問合せ:ウドー音楽事務所公演詳細:公式サイト:
2022年12月09日岸谷五朗・寺脇康文と豪華出演者によるエンターテインメントショー「Act Against Anything VOL.2『THE VARIETY 28』」(通称:AAA2022)が、11月26日(土) に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。「Act Against Anything『THE VARIETY』」は、1993年に岸谷五朗の呼びかけでスタートした「Act Against AIDS『THE VARIETY』」の流れを汲むチャリティプロジェクト。岸谷五朗・寺脇康文、そして2007年から一緒に取り組んできた三浦春馬の想いとともに「Act Against Anything」と名称を改め、“一人でも多くの子供たちとその未来を守りたい”と、貧困、難病、教育問題など多くの困難に立ち向かう世界中の子供たちを支援するチャリティイベントとして2020年12月から新たなスタートを切った。本プロジェクトの利益は、その時々に支援を必要としている子供たちのために充てられる。約30年間続けてきたこのチャリティコンサートだったが、2020年の「Act Against Anything VOL.1『THE VARIETY 27』」は、コロナ禍により無観客の日本武道館からのインターネット生配信での開催となった。今回は4年ぶりの有観客公演となり、“4年ぶりブリ生舞台!全身全霊!心を込めて歌って踊って皆でチャリティ全員集合!”というサブタイトルがつけられた。映画・ドラマ・舞台を中心に活躍中の俳優陣や実力派アーティストたち、バラエティに富んだ総勢32名のメンバーが、その名の通り全身全霊のパフォーマンスで一夜限りのエンターテインメントショーを盛り上げた。ショーの冒頭、場内のBGMが途切れ暗転すると同イベントの開催に向けた想いと感謝を伝える岸谷五朗のメッセージがステージの左右に設置されたスクリーンに流れた。「1993年に始めた頃、30年先の未来にはもっと豊かな社会が、世界が広がっていると思っていました」「愛すべき後輩、三浦春馬と共に考えていたチャリティプロジェクトでもあります。彼の志を胸に頑張らせていただきます」。真摯な言葉に大きな拍手が寄せられる中、スクリーンには歴代のハイライトシーンが流れ、イベントの歴史を振り返った。オープニングを飾ったのは岸谷五朗、寺脇康文が黒い上下の衣装と触角をつけアリに扮装し、アリスの「チャンピオン」のカヴァーをアリスならぬ「アリっす」として披露。アコースティックギターを抱えたふたりが本家のモノマネとコントを交えながら歌い、会場の笑いを誘う。「アリ、がとう!」とステージを捌けたふたりに続いて登場したのはSkoop On Somebody。TAKEの歌とKO-ICHIROのキーボード、KO-HEYのカホンのアコースティックスタイルで、3人のハーモニーが美しい「sha la la」と、「このチャリティが一人でも多くの笑顔に繋がるように」と「祈り」の2曲を届けた。J-POPコーナーのトップバッターを飾ったのは、郷ひろみの「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」をカヴァーした加藤和樹。魅惑の低音ヴォイスで会場を魅了していると、岸谷五朗と大村俊介(SHUN)による“初代 G-Shun Brothers”が現れ、手にした小型のサーキュレーターを使って加藤に風を浴びせたり、バックダンサーになって歌を盛り上げるシーンも。猪塚健太、新原泰佑、水田航生、溝口琢矢による後輩チームは、お揃いのダンスでももいろクローバーZの「Z女戦争」を、パワフルな歌声を聴かせた大野拓朗はウルフルズの「ガッツだぜ!!」を熱唱した。「皆様をお花畑にご招待します」という紹介を受けて登場したのは声優の花澤香菜。「Moonlight Magic」と「SHINOBI-NAI」の2曲を透明感のあるスイートヴォイスで届けた。その後は、“DREAM OF MUSICAL PART1”へ。甲斐翔真、小池徹平が緊迫感のあるツインヴォーカルで聴かせた『デスノート THE MUSICAL』の「ヤツの中へ」、『ライオン・キング』の「愛を感じて」では門山葉子、新原泰佑が柔らかなハーモニーを、加藤和樹は『ディア・エヴァン・ハンセン』の「Waving Through A Window」を歌い上げた。清水くるみと水田航生による『The Last 5 Years』の「The Next 10 Minutes」では、ステージの上を移動する階段を使い、ドラマチックなシーンを作り上げた。そして、鬼気迫るパフォーマンスで魅せたのは、『エリザベート』の「闇が広がる」を歌った劇中でトート役を演じる古川雄大とルドルフ役の甲斐翔真。体調不良のために出演を見合わせた城田優に代わり、このために急遽会場に駆けつけた古川と、ふたりの特別なステージに会場からは大きな拍手が贈られた。地球ゴージャスを彩る役者陣による迫力のステージチャリティ活動報告を行う「AAA報告」のコーナーでは、2020年に開催した日本武道館での無観客インターネット生配信による“AAA2020”で得た寄付金額と、その使い道について報告。“AAA2020”での寄付金の総額は919万7496円。そのうち、739万7496円は「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン」を通じてウガンダの南スーダン難民・コンゴ民主主義人民共和国難民の子供たちへ向けた支援に、残りの180万円は「ChotoBela Foundation」を通じてバングラデシュのチッタゴン丘陵地帯の少数民族の子供たちへ向けた支援に充てられた。今回の寄付金は収支と寄付先が決まり次第、特設サイト内で報告される。中盤に登場した藤原さくらは、「まばたき」と「mother」をアコースティックギターとキーボードとのアンサンブルでしっとりと聴かせた。その後、ステージに再び登場した岸谷五朗と寺脇康文が今回のステージを支えるTHE VARIETY BANDのメンバー、エンペラー福田、高木茂治、五十嵐公太、会田敏樹、原田達也、高橋結子、中村百花、杉山真梨佳を呼び込むと、岸谷五朗・寺脇康文が主催する演劇ユニット「地球ゴージャス」のコーナーがスタート。『海盗セブン』の「海盗セブン」で地球ゴージャスを彩る役者陣がステージに集結。『星の大地に降る涙』から「今宵の宴」、『クザリアーナの翼』からは「ジャメーリアよ!蜂起せよ」「クザリアーナの翼」、桑田佳祐の楽曲による音楽劇『クラウディア』からは「真夏の果実」「匂艶 THE NIGHT CLUB」「Oh!クラウディア」「闘う戦士たちへ愛を込めて」の4曲をピックアップ。スクリーンにはそれぞれの演目の本番シーンが映し出され、過去と今がクロスする演出が感動を呼んだ。さらに『星の大地に降る涙』より「愛すべき未来へ」と、総勢13名による迫力のステージが展開された。続いて2021年に地球ゴージャスプロデュースとして公演したブロードウェイミュージカル『The PROM』から、アリッサ役を演じた三吉彩花が加わり、清水くるみとの「Dance with You」と、TAKEも加わった「It’s Time to Dance」の2曲を披露。凛としたパフォーマンスが印象に残った。そして門山葉子と田村芽実が圧倒的な歌声を聴かせた『クラウディア』の「FRIENDS」で “地球ゴージャス”コーナーを締めくくった。終盤の幕開けは、サンプラザ中野くんとパッパラー河合による「Runner」が盛り上げ、曲に合わせて大きなクラップが沸き上がった。そして「コロナ禍で過ごしてきたみなさん、そして我々みんなに応援歌をお届けしたいと思います」と「旅人よ〜The Longest Journey」を歌唱。続く“DREAM OF MUSICAL PART2”でも有名なミュージカルの中から名曲が続々と登場。甲斐翔真と田村芽実が『ウエスト・サイド・ストーリー』より「Tonight」を、小池徹平は『キンキーブーツ』より「Soul of a Man」を熱唱。大野拓朗と清水くるみが『ロミオ&ジュリエット』より「バルコニー(愛の誓い)」を、田村芽実は来年上演が予定されている『MEAN GIRLS』の「I’d Rather Be Me」を初披露し、パワフルに歌い上げた。『キンキーブーツ』の「Raise You Up/Just Be」では、小池徹平、杉山真梨佳、中村百花とエンジェルス役の穴沢裕介、森雄基、風間由次郎、佐久間雄生、浅川文也、シュート・チェンが、実際の舞台でも使用された豪華な“キンキーブーツ”を履いたパフォーマンスで、ステージを華やかに彩った。6名のダンサーを従え登場したのはDEAN FUJIOKA。真っ赤な照明の中でスリリングなロックナンバー「Apple」を聴かせた後、2曲目の「History Maker」では途中でスペシャルゲストにアーティスト・MIYAVIを呼び込んだ。黒いスーツ姿のDEANと、対照的な白いスーツ姿のMIYAVIとの熱いセッションに、着席していた観客も思わず立ち上がる。DEANがステージを去った後も、熱気そのままにMIYAVIが自身の楽曲「STRONG」を披露。スラップ奏法による骨太なギターサウンドに合わせて観客のボルテージが上がったところで観客は総立ちに。「子供たちの未来のために。一つになりましょう」と渾身のパフォーマンスで「The Others」を演奏し、まるでライブハウスにいるかのような一体感を作り上げた。UNHCRの親善大使として難民キャンプで世界各国に行くたびに無力感を感じていたと言うMIYAVIは、岸谷五朗の熱い想いに共鳴して今回の出演を決めたと語った。DEAN FUJIOKAは15年前からフィランソロピーというチャリティ活動を続けていると言う。彼らの社会貢献活動を紹介したところでステージに全出演者が集結。「THE VARIETY」で歌い継がれている「一人じゃないから」を全員で合唱し、3時間のステージは大団円を迎えた。エンディングで岸谷五朗は「4年ぶりの有観客のAAA、みなさんの顔を見ながら、この歌を歌いながら、感動しております」と語り、「感謝でいっぱいです。ありがとうございました」と、感謝の想いを会場に届けた。岸谷五朗「今回無事に終えられたことは奇跡のよう」終演後には、Act Against Anythingとして初の有観客イベントを終えた岸谷五朗、寺脇康文そして、DEAN FUJIOKA、MIYAVIの4人が集まり、それぞれ感想を語った。岸谷は「2020年のコロナ禍より多くの演劇が中止になってきたことから、今回無事に終えられたことを奇跡のように感じ、本当に感動した」と率直に胸の内を明かし、チャリティをする上でいつも勇気づけてくれるのはお客様だと感謝を述べ、寺脇も「会場全体からあたたかい空気が感じられて、非常に嬉しかった」と頬をゆるめた。また、今回初参加となったDEANとMIYAVIに対し、ふたりの圧巻のパフォーマンスに岸谷と寺脇も、これまでにない盛り上がりを見せてもらったと賞賛を贈った。DEANは、自らのチャリティ活動とAct Against Anythingの目的が自然と合致したと言い、「同じ目標のためにみんなが集まって、一緒に前に進めていくこと、自分もその一部になれたことが嬉しかった」と感想を述べた。一方、UNHCRの親善大使として活動するMIYAVIも「未来をどう作っていけるのだろう。自分たちに何ができるのだろう」と考える中で、「今回のAct Against Anythingのような場があることは有意義だ」と強調し、「アーティストだけでなく、お客様みんなと一緒に発信できることを嬉しく思う」と語った。最後に次回のAct Against Anythingに向けて、岸谷五朗と寺脇康文はチャリティを継続していく大変さに触れながらも、今後も「自分たちが出来ることを出来る限り、出来る範囲で、一生懸命チャリティに貢献していきたい」と今後も変わらない活動に意欲をみせ、また一歩未来へ歩み出した。<公演情報>Act Against Anything VOL.2『THE VARIETY 28』4年ぶりブリ生舞台!全身全霊!心を込めて歌って踊って皆でチャリティ全員集合!2022年11月26日(土) パシフィコ横浜 国立大ホール【出演】岸谷五朗 寺脇康文猪塚健太 / 大野拓朗 / 大村俊介(SHUN) / 甲斐翔真 / 加藤和樹 / 門山葉子 / 小池徹平 / サンプラザ中野くん・パッパラー河合 / 清水くるみ / Skoop On Somebody / 田村芽実 / チームエンジェルス from Kinky Boots(穴沢裕介/森雄基/風間由次郎/佐久間雄生/浅川文也/シュート・チェン) / DEAN FUJIOKA / 新原泰佑 / 花澤香菜 / 藤林美沙 / 藤原さくら / 古川雄大 /水田航生 / 溝口琢矢 / MIYAVI / 三吉彩花※岸谷五朗、寺脇康文以降の出演者クレジットは五十音順となります。■THE VARIETY BANDエンペラー福田 / 高木茂治 / 五十嵐公太 / 会田敏樹 / 原田達也 / 高橋結子 / 中村百花 / 杉山真梨佳セットリストM1.「チャンピオン」(アリス)アリっす(岸谷五朗/寺脇康文)M2.「sha la la」Skoop On SomebodyM3.「祈り」Skoop On SomebodyM4.「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」(郷ひろみ)加藤和樹/初代 G-Shun Brothers(岸谷五朗/SHUN)M5.「Z女戦争」(ももいろクローバーZ)猪塚健太/新原泰佑/水田航生/溝口琢矢M6.「ガッツだぜ!!」(ウルフルズ)大野拓朗/2代目 G-Shun Brothers(岸谷五朗/SHUN)M7.「Moonlight Magic」花澤香菜M8.「SHINOBI-NAI」花澤香菜M9.「ヤツの中へ」(『デスノート THE MUSICAL』)甲斐翔真/小池徹平M10.「愛を感じて」(『ライオン・キング』)門山葉子/新原泰佑M11.「Waving Through A Window」(『ディア・エヴァン・ハンセン』)加藤和樹M12.「The Next 10 Minutes」(『The Last 5 Years』)清水くるみ/水田航生M13.「闇が広がる」(『エリザベート』)甲斐翔真/古川雄大M14.「まばたき」藤原さくらM15.「mother」藤原さくらM16.「海盗セブン」(『海盗セブン』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/大野拓朗/甲斐翔真/門山葉子/SHUN/田村芽実/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M17.「今宵の宴」(『星の大地に降る涙』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/SHUN/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M18.「ジャメーリアよ!蜂起せよ」(『クザリアーナの翼』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/SHUN/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M19.「クザリアーナの翼」(『クザリアーナの翼』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/SHUN/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M20.「真夏の果実」(『クラウディア』)甲斐翔真/門山葉子M21.「匂艶 THE NIGHT CLUB」(『クラウディア』)田村芽実/中村百花/杉山真梨佳M22.「Oh!クラウディア」(『クラウディア』)岸谷五朗/寺脇康文/大野拓朗M23.「闘う戦士たちへ愛を込めて」(『クラウディア』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/大野拓朗/SHUN/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M24.「愛すべき未来へ」(『星の大地に降る涙』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/大野拓朗/甲斐翔真/門山葉子/SHUN/田村芽実/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M25.「Dance with You」(『The PROM』)清水くるみ/三吉彩花M26.「It’s Time to Dance」(『The PROM』)TAKE/三吉彩花/岸谷五朗/寺脇康文/藤林美沙/中村百花/杉山真梨佳M27.「FRIENDS」(『クラウディア』)岸谷五朗/寺脇康文/猪塚健太/大野拓朗/甲斐翔真/門山葉子/SHUN/田村芽実/新原泰佑/藤林美沙/水田航生/中村百花/杉山真梨佳M28.「Runner」サンプラザ中野くん/パッパラー河合M29.「旅人よ~The Longest Journey」サンプラザ中野くん/パッパラー河合M30.「Tonight」(『ウエスト・サイド・ストーリー』)甲斐翔真/田村芽実M31.「Soul of a Man」(『キンキーブーツ』)小池徹平M32.「バルコニー(愛の誓い)」(『ロミオ&ジュリエット』)大野拓朗/清水くるみM33.「I’d Rather Be Me」(『MEAN GIRLS』)田村芽実M34.「Raise You Up/Just Be」(『キンキーブーツ』)小池徹平/杉山真梨佳/中村百花/チームエンジェルス(穴沢裕介/森雄基/風間由次郎/佐久間雄生/浅川文也/シュート・チェン)M35.「Apple」DEAN FUJIOKAM36.「History Maker」DEAN FUJIOKA/MIYAVIM37.「STRONG」MIYAVIM38.「The Others」MIYAVIM39.「一人じゃないから」ALL CAST関連リンクオフィシャルサイト:::
2022年11月29日2022年11月15日、Billboard Live YOKOHAMAで、スカパー!が手がける新たなライヴプログラム『SPOOX MUSIC』が始動した。“芯のある個性的なアーティスト”を積極的に取り上げていきたいという本プログラムの記念すべき第1弾のゲストに選ばれたのは渋谷すばるだった。有観客形式で行われた本公演は配信サービス『SPOOX』でも生配信され、スペースシャワーTVでは12月22日(木) にライヴのメイキングなどを含む特別番組が放送される。渋谷は2022年9月14日の福岡サンパレスホテル&ホール公演を皮切りに、全国7都市14公演で2年7カ月ぶりに開催されたライヴツアー『渋谷すばる LIVE TOUR 2022 二歳と1328日』を11月5日・6日の大阪城ホールで終えたばかり。そのツアーファイナルから9日後とあって、まだまだツアー熱が冷めやらぬ状態でこのステージに立つこととなったのだ。また、このツアーからバンドの体制が変わり、渋谷すばる(Vo)、新井弘毅(G)、安達貴史(B)、茂木左(Ds)、本間ドミノ(Key)という同世代でまとめられた座組で行われていたこともあり、以前に比べ“バンド感”が増したサウンドになっていたことから、ライヴサウンドが似合うホール空間や通常のライヴハウス空間とはまた異なるBillboard Live YOKOHAMAという厳かな空間で、いったいどんな“渋谷すばる”の音と唄を届けることになるのか、とても楽しみなところでもあった。2022年11月15日・Billboard Live YOKOHAMA。渋谷はツアーと同じバンド編成でステージに立った。1曲目に届けたのは「ぼくのうた」。この曲は1stアルバム『二歳』(2019年10月9日リリース)のリード曲でもあり、ソロ活動の始まりの曲でもあり、今回のツアーでも1曲目に届けられてきた曲だ。ツアーでは力強く、そして、観客を包み込む優しさを兼ね備えた曲として絶対的な存在感でライヴのオープニングを飾って来ていたのだが、ジャジーなSEに乗り、ステージ下手後方からメンバーと共に客席通路を通って入場したこの日の1曲目として届けられた「ぼくのうた」は、少し様子を変えていた。渋谷が奏でるイントロのギターフレーズは、テンポは変わらずとも、いつもよりもゆったりとした体感で伝わって来た。一言目に発せられる歌詞と茂木のバスドラの一音がピタリと揃って始まっていった「ぼくのうた」は、ツアーで唄って来た「ぼくのうた」よりも一層、“伝わる唄”へと変化していた。必要以上に力を入れずに唄われていく歌詞は、まるで近しい人間の身の上話を聞いているかのような体温で唄われていったのだ。新井のギター、安達のベースの柔らかな音色がサウンドに厚みを与えていくと、少しずつ渋谷の唄の体温が上がっていった。そして本間の鍵盤が加わり、サビへと繋がったとき、渋谷の1番届けたい想いが唄となって吐き出された。こうして歌が唄えているという喜びと、聴いてくれている人たちに向けて歌が届けられているという喜びが一気に溢れ出した瞬間だったと感じた。そしてその唄は、渋谷の声だけではなく、そこには、このツアーを共にした新井、安達、茂木、本間の渋谷の言葉への共感も重ねられていた様に受け取れた。それほどまでに、4人の放つ音は、聴き手の感情に深く語りかけると同時に、渋谷の唄を大きく包み込んでいたのだった。渋谷すばるの自己紹介と言っても過言ではない、とことんパーソナルに振り切った「ぼくのうた」は、渋谷という人間を知れば知るほど引き込まれ、背中を押される曲である。リハーサルを重ね、ツアーを一緒に周り、お互いがお互いを知ることとなった時間を経て、この時点での最高の「ぼくのうた」は、この日、ここで完成された。きっと聴き手もそんな強さと優しさを、この曲から感じたに違いない。「おえぇ〜〜〜い!Billboard〜〜〜!」(渋谷)渋谷の思わず口を突いて出てしまったかの様な叫びから始まった「BUTT」からは、とにかく勢いのままに走り抜いていった。厳かな雰囲気に似合ったライヴをするのかと思いきや、どうやらそのつもりは毛頭なかった様である。いつもの様にブルースハープをバンドサウンドの中に差し込んでいく渋谷。歌詞の乗った唄と同じくらいに感情が伝わってくる渋谷のブルースハープは、聴くたびに胸を強く打たれる。曲は鍵盤が曲を引っ張る、ブレイクと楽器隊のユニゾンが最高に気持ち良いロックンロール「これ」へと繋げられた。サウンドの力に自然と体の動きを持って行かれ、無意識にリズムを刻みながら踊る渋谷は、間奏に入る直前に、ツアーでは見せなかった姿を魅せた。マイクがギリギリ声を拾う距離で「いきますか!ちょっと聴いてくれますか!?」と呟き、突然客席を指差すと、ステージスレスレの位置まで前に出て客席に向かって激しいブルースハープのソロを届けたのだ。その瞬間、それまで静かに聴き入る体制で観覧していたオーディエンスは渋谷の熱に触発され、手を高く上げた位置で力強いクラップを返した。渋谷のハープソロからバトンが渡った新井のギターソロでは、渋谷と新井が至近距離で向き合い、渋谷は新井に向けて大きく手を広げ、新井の放つギターサウンドを全身で受け止めたのだった。それは、何の飾りもない最高のロックSHOWが目の前で展開された瞬間でもあった。「こんばんは!渋谷すばると申します。Billboard Live YOKOHAMA最後まで楽しんでいきましょう!配信をご覧のみなさんもどうぞ楽しんでいきましょう!最後までよろしくお願いします!」(渋谷)相変わらず不器用な短いMCを挟み、曲は人間関係や恋愛においての距離感を訥々と語る様に唄われていくミドルチューンの「来ないで」へと続いた。歌詞上の問題定義に吸い込まれ、何度聴いても最後にシニカルなオチが待っているとを忘れてしまうこの曲を聴きながら、改めて渋谷の人間らしさと、いつも何処かで常に人を楽しませたいと思っているであろう、隠れたサービス精神を感じさせられた。「エンターテイメントって、絶対に必要だと思うんです」言葉を多く発することのない渋谷の本質が見えてくるのは、やはり“唄”なのだ。音楽とは無条件に人の心を癒し、寄り添ってくれるものだが、その唄を歌っている人間や演奏する人間の人間性と対面したとき、その音楽はより深く心の中に浸透していく気がする。この日のライヴには、そんな人間性と関係性が浮き彫りになったセッションがこのライヴの中盤に置かれていた。本間の鍵盤と渋谷の唄のみで届けられた「Noise」、新井のギターと渋谷の唄のみで届けられた「さられ」、安達のベースと渋谷のブルースハープ唄のみで「水」、茂木のドラムと渋谷のギターと唄で届けられた「ライオン」だ。スペイシーな鍵盤ソロから、とことん優しく柔らかな音色のイントロを本間が奏で渋谷を誘うと、渋谷はそっとそこに唄を置いた。渋谷の唄う姿に終始視線を送りながら、鍵盤で一緒に唄う本間。“悲劇の文明が 今日も手招きしてる 目を合わせ流されず 上手く流れて行けるかな”意味深いメッセージを載せたその唄は、会場に静かに響いた。新井のループするギターに唄を載せていく渋谷。“晒され者が 全てのものを抱きしめながら 次の世界へ大きな声で”そう唄われる歌詞の意味を新井は深く理解しているかの様に、大きく頭を振って激しくギターフレーズをループさせていく。渋谷はそんな新井の姿を時折見つめ、新井が放つ感情が赤裸々にぶつけられたギターの音に激しく頭を振って曲の中に入り込んだ。ベースがリズム楽器であることを忘れさせる安達のメロウなベースプレイから幕を開けた「水」。渋谷はそこに唄を載せ、ブルースハープを加え、流れる曲に抑揚を付けていった。安達のベース音は、ホールツアーで聴いた歪みのある音よりも、少しクリアで優しかった。この日ならではの優しい音は、この曲の終盤に置かれた“流れのままに 流れて よせられ 別れの先に 君といれば笑う ”という、ツアーでたくさんの笑顔に包まれて来た渋谷の唄(心情)をそっと後押ししていた様にも感じ取れた。そして、それぞれのソロパートと唄とのセッションのラストは茂木と届けられた「ライオン」だった。シンバルやフロアタムをマレットで力強く叩く茂木のドラムプレイから始まったその曲に、渋谷は少し寂しげなアルペジオを沿わせた。“勢い良く飛び出したものの 外は知らない世界”という歌い出しから続いていく歌詞は、渋谷の人生そのものを書き下ろしたかのような景色がリアルに描かれている。真っ直ぐにその言葉を届ける渋谷の後ろで、茂木は全身の力を振り絞ってドラムを叩いて応えていった。“0か100いつだって”。抑えきれない想いのままに迷うことなく行動する渋谷そのものだ。茂木と2人で進められていった「ライオン」のラストで、新井、安達、本間がそこに入って音を重ねた瞬間、ステージを薄暗く照らしていた照明は会場全体を明るく照らしたのだった。賭けてみたいと思って1人で飛び出した世界で声を放つ今、渋谷にはこんなにも多くな仲間が居るということを証明していた景色だった。間違いなく、この日のハイライトはこの瞬間だったと思う。渋谷はここで改めて自己紹介をし、しっかりとカメラを見つめて配信を見てくれている画面の向こうのオーディエンスにも挨拶をし、少し照れ臭そうな笑みをこぼした。このMCの流れの中で、『SPOOX MUSIC』の番組共通質問として設けられていた【アーティストとしての原点】という質問に応えた場面では、15歳から現41歳まで身を置いているこの世界と、そこで経験させてもらった時間への感謝を改めて言葉にしたのだった。そして、目の前に居るお客さんと一緒にライヴを作っていくことを主とする番組『SPOOX MUSIC』が新たにスタートしたことを心から喜び、第一回目のゲストとして呼んでもらったことへの感謝と、『SPOOX MUSIC』と音楽シーンが更に盛り上がっていく様にと客席に呼びかけたのだった。「まだまだ世界中安心出来ない状態が続いてますが、だからこそ、音楽とかエンターテイメントというのを大事に大事に守っていきたいし、盛り上げていきたいと思ったんです。なので、盛り上げていきましょう。楽しんでいきましょう。音楽とかエンターテイメントって、絶対に必要だと思うんです。だからみんなも来たんでしょ?ね(笑)。だから一緒に盛り上げていきましょう!」(渋谷)口下手な渋谷の心からの言葉に客席からは拍手が起こった。“ありがとうございます”と嬉しそうに笑う渋谷。“あのバンドも見たいし、このバンドも見たいし”と、一音楽ファンとして熱い想いを語る場面もあった。ライヴ終盤に届けられたフックの効いたロックナンバー「きになる」では、楽しさ余ってステージを降りた渋谷が、客席に近づくなどの予定にはなかったサプライズ度の高いパフォーマンスを魅せ、オーディエンスを喜ばせていたのだった。そこからサウンド的にも最高のセッションが行われたのも是非とも記しておきたいところ。「きになる」のアウトロから「ワレワレハニンゲンダ」へと繋がれたのだが、「ワレワレハニンゲンダ」の間奏では、この日の会場の雰囲気に合わせ、この日の為にアレンジされたブルージーなバンドセッションが挟み込まれたのである。思わず全身の力を抜いて項垂れて音に酔ってしまいたくなる程に最高なサウンドだった。最高の笑顔を見せ、ステージ上で撮影していたカメラマンのカメラを何度も覗き込み、配信で楽しんでいるお客さんに向かっても全力で唄う姿は、とても自然体だった。これが今の渋谷すばるである。冒頭にも記した通り、12月22日(木) には『スペースシャワーTV』で、ライヴメイキングなども含む特別番組が放送されるので、“今の渋谷すばる”を是非、その目で確かめて欲しい。今、彼は最高に自然体でいて、そして最高にカッコイイ。最高のロックと最高のエンターテイメントと最高の生き方と道標を感じてもらえるはずだから。取材・文=武市尚子撮影=柴田恵理<リリース情報>4カ月連続リリース第四弾「Stir」2022年12月7日(水) 配信リリース「Stir」配信ジャケット4カ月連続リリース第一弾「7月5日」購入リンク:「7月5日」 配信ジャケット4カ月連続リリース第二弾「ぼーにんげん」購入リンク:「ぼーにんげん」配信ジャケット4カ月連続リリース第三弾「これ」購入リンク:「これ」配信ジャケット<作品情報>『ひみつのなっちゃん。』2023年1月13日(金) 全国公開 ※1月6日(金) 愛知・ 岐阜 先行公開『ひみつのなっちゃん。』ビジュアル脚本・監督:田中和次朗出演:滝藤賢一 / 渡部秀 / 前野朋哉 / カンニング竹山 / 豊本明長 / 本多力 / 岩永洋昭 / 永田薫 / 市ノ瀬アオ / アンジェリカ / 生稲晃子 / 菅原大吉 / 本田博太郎 / 松原智恵子主題歌:「ないしょダンス」渋谷すばる公式サイト:<イベント情報>『babu会 vol.2』■2023年4月16日(日) 東京・Zepp Haneda4月22日(土) 北海道・Zepp Sapporo4月30日(日) 愛知・Zepp Nagoya5月4日(木・祝) 福岡・Zepp Fukuoka5月6日(土) 大阪・Zepp Namba※詳細は後日発表渋谷すばるオフィシャルファンクラブ「Shubabu」:
2022年11月25日King Gnuが初となる東京ドーム公演を11月19日(土)・20日(日) に開催した。本公演は、前身バンドSrv.Vinci(読み:サーバ・ヴィンチ)からKing Gnuへと改名し、初の楽曲「Tokyo Rendez-vous」をMusic Videoで発表した2017年4月27日からちょうど5年となる、2022年4月27日に開催が発表され、チケットは全席ソールドアウト。2日間で約10万人を動員した。当日はこれまでの集大成となるセットリストをメンバー4人のみで2時間以上にわたりパフォーマンス。本編ラストではサッカーワールドカップ開催と同時期に日本代表を応援する新曲「Stardom」がライブ初披露された。以下、本公演のオフィシャルレポートをお届けする。東京ドームの会場に入ると、眼前に拡がったのは廃墟のビルがそびえ立つ大きなステージ。LEDモニターの巨大さにも驚きを隠せない。よく見るとビルはペイントされ、一つの巨大なアート作品と化している。2019年、『Sympa』ツアーのセットが東京ドームという会場に合わせて巨大に進化したようなセットだ。17時を過ぎ、会場に深遠なるシンセ音が鳴り渡る。沸き起こる拍手。突如暗転し、オープニング映像からスタート。1曲目は、いきなりフルスロットルにギアを入れた「一途」からはじまった。縦横無尽にレーザーが飛び交うドーム空間。MC第一声は、常田大希(Gt.Vo.)による「King Gnuはじめるぞ!」とシャウト。勢いそのままに、まさにこの日のためにふさわしいスタジアム・ロック「飛行艇」では、ダイナミックなビートに5万人の気持ちが早くもひとつとなった。ドームを沸かせるビートチューン「Sorrows」、「千両役者」が続き、疾走感溢れるアグレッシブなプレイで、会場の空気を沸点を超えてヒートアップさせていく。開始からたった数分、いきなりのハイライトシーンの連続に揺れる東京ドームの超満員の客席。常田大希(Photo:川上智之)2019年、メジャーデビューから3年で駆け上がった東京ドーム公演。しかも、二日間のチケットは即完だ。しかしながら、東京ドームだからといってKing Gnuは気負わない。注目すべきは、ライブハウス時代から変わらないオーディエンスとの関係性である。ドームやスタジアム公演でありがちな距離感は一切感じさせず、ポップチューン「BOY」における<君は誰より素敵さ>と歌うポジティビティ同様に、ハイレベルな音楽性でありながらも等身大に音楽と向き合う様にあらためて心揺さぶられた。井口理(Vo.Key.)が開口一番に語りかけた「みなさん!こんばんはKing Gnuです。今ちょっと客電があがりましたけど、とんでもない人っすね……。上の方までぎっしり。全員、King Gnuが好きなんですよね?俺も好き。今日は、5万人も集まったので祭といきましょう。最後まで全力でついてきてください。よろしくお願いします!」。井口理(Photo:川上智之)ここからがすごかった。ミディアムかつメロディアスなKing Gnuらしい世界観を表現する「カメレオン」、でかい空間が似合う「Hitman」、常田のピアノソロからはじまる名曲「The hole」で魅せていく、空間を支配する演奏力、そして没入感高いボーカリゼーションのヤバさ。ある種、今日1番の見どころとなった静かに熱いステージ。深遠なる雰囲気を漂わせるドラマティックなKing Gnuワールドの真骨頂を堪能させてくれたのである。ここからは、King Gnuの4人が多彩な音楽センスに満ちた特異な音楽集団であることを証明するレパートリーのオンパレードが続く。照明ともども、サウンドに溶け合うようにたゆたう「NIGHT POOL」。そして、映像の浮かぶシアトリカルなポップセンスを堪能させてくれる「It’s a small world」。好きあらば、リズムを泳ぎだす新井和輝(Ba.)と勢喜遊(Drs.Sampler)によるテクニックに裏付けされたリズム隊によるズバ抜けた演奏力に、心が満たされていく。火柱があがる中披露された新曲「Stardom」十二分に会場が暖まったなか、国民的ヒット曲となった「白日」では、バラードから徐々にエモーショナルにロックする展開が絶品だった。常田によるせつなきピアノ・メロディーから拡張するバンド・アンサンブルに鳥肌がたった。さらに、開かれたエモーショナルさを解き放つ「雨燦々」によるえもいわれぬ解放感。1億再生数を超えるナンバーが続く音楽のパワー。変わりゆく時代へのテーマソング。新境地の感動へと誘われる。新井和輝(Photo:川上智之)モニターに「PILLOW TOWN」とキャッチが映し出された幕間映像では、人形劇によるカオスな麻雀シーンが繰り広げられた。よくみると人形に紛れて井口が着ぐるみを着ていた。途中、勢喜によるドラムのアタック感強い響きから、「WAKE UP!」と現実へ呼び戻される。そう、あの曲だ。聴き手の心の目を開眼させてくれる「Slumberland」では、常田が拡声器片手にシャウト。ノイジーかつアバンギャルドなアレンジが、異様なほどに研ぎ澄まされたロック体験を刻みつける。歌詞における<Rock’n roller sing only ’bout love and life(訳:ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ)>のフレーズが胸に響く。King Gnuというロックバンドのアイデンティティーの根幹だ。勢喜遊(Photo:伊藤滉祐)続く「どろん」では、ドープかつハードコアな展開へ。モニター映像も、グリッチ・エフェクトへとサウンドとともに変化していくからあらゆるシーンが見逃せない。常田がアコギを手にとり、井口とともに「破裂」をプレイ。モノクロームな世界から色に溢れたドープな「Player X」では、サビで目の前の景色が開かれていく。新井によるシンセベースのうねりが勢喜のビートの鼓動とともに、ドーム空間へとダイナミックに響き渡る。オーラスへの入り口は「Vinyl」だ。インディーズ時代のKing Gnuが注目を集めたきっかけとなった歌謡テイスト強めなナンバー。耳に残るキャッチーなフレーズの応酬、常田によるソリッドなギターが胸に響く。続いてトドメを刺す、ライブで欠かせないキラーチューン「Flash!!!」では、勢喜によるアップビートなドラミング、新井のスラップベース、左手でタンバリンでリズムを刻みながら右手でキーボードを弾きながら歌う井口。これでもかと盛り上がりが止まらないプレイの応酬で、会場のテンションがレッドゾーン最高潮へ。ラスト、セッション風にフリーダムに盛り上がるメンバー。そう、これぞ音楽の楽しさだ。ここで井口が「ありがとう!あと2曲になりました。楽しい時間は早いですね。まだいけますかね?悔いを残さず帰りましょう!」とメッセージ。ここまで全18曲。King GnuのライブにしてはMC少なめ。ドーム公演初日含め、こんなにも楽曲に集中したライブはKing Gnu史上初めてかもしれない。ラスト2曲は、「逆夢」によるせつなきメロディーが響き渡るナンバーからプレイ。高みへと昇り詰める高揚感。「新曲やります!」と、挑戦し続ける人のエネルギーに着火する「Stardom」では、文字通り炎があがりまくるステージ。ギリギリの精神状況で勝ちにいく人々を鼓舞するサウンドに一体感が生まれる会場。眩い光のなか、ラストを迎えるステージ。Photo:伊藤滉祐もっと広い会場でやりたいよね。ここがゴールじゃなくて。アンコール、誰に指示されることなく自然発生的にオーディエンスによるスマートフォンのライトが光りだす。ゆらゆら瞬く光で埋め尽くされていく光景。Photo:川上智之再びステージに帰ってきた4人の勇姿。壮観な東京ドームの空間を見渡し、井口が感謝を述べた。「アンコールありがとう!昨日、帰りのタクシーでふと思い出したんだけど。僕らが、Srv.Vinciっていう前身バンドをやっていて、(覚えづらい名前だから)改名することになったときに下北沢で4人で飯を食いながら新しいバンド名どうする?って話をしたんですよ。(常田)大希がKing Gnuというバンド名を出してきて。意味も、ヌーの大群の王様ということで。この東京ドーム(の満員のお客さん)を目の前にすると、やっとKing Gnuになれたんじゃないかなと。今まで、名前負けしてました(苦笑)。いやほんと地道に4人で仲良くまじめにやってきて、この光景をみれて良かったと思います。じゃあ、昔から渋谷や下北でやっていた曲をやります」。常田が爪弾くギターからはじまる、バンド初期から披露していたナンバー「McDonald Romance」が素晴らしかった。シンプルにメンバー4人が、メロディーと歌詞を噛み締めながらハモるライフソング。<もう財布の底は見えてしまったけど/それさえも笑い合った/それさえも恋だった>。そんなパーソナルな姿を5万人が見守るシーンに感情が揺さぶられていく。ああ、なんていい曲なんだ。なんて素敵なシチュエーションなんだ、と。そして、4人の結束を確認したようにキラーチューン「Teenager Forever」へとなだれ込む本日数度目のハイライト。そう、会場の誰もが笑顔になるナンバーだ。途中、常田のマイクに井口が歩みより、ベースを弾きながら新井も近づいた。楽曲の決めポイントを3人一緒に<煌めきを探せよ>と歌い、それを笑顔で見守るドラマー勢喜という高まる構図。オーディエンスによる歓声があがる。忘れられないシーンだ。Photo:伊藤滉祐勢いそのままに、King Gnuはここからはじまったと言える大切な曲「Tokyo Rendez-Vous」で大団円を迎えるステージ。常田による感情むき出しのエモーショナルなギターソロが熱い。ここで井口が「ライブ楽しいね。次で本当に最後の曲なんでスマホライトを」と、5万人のスマートフォンが再び瞬きだす。井口がラストにもう一言語りはじめた。「さっきね。やっと(名実ともに)King Gnuになれたって言いましたけど、もっと広い会場でやりたいよね。ここがゴールじゃなくて。5年でここまでいったんだから」。常田は「ちっちゃいライブハウスでやっていた曲を、(東京ドームでも)そのまま出来ているのがありがたいよね」。新井が「昔の曲も映えるよね」。勢喜が「でかい曲が多いんだよ」。井口が「良かったねえ」。常田が「良かったよ」という、一連のやりとりに和む5万人。ラストは、ゆるやかな高揚感に酔いしれる「サマーレイン・ダイバー」で5万人がひとつの思いで通じ合った東京ドーム。まさに夢が叶った瞬間だ。あの日、ライブハウスで生まれた楽曲が、変わらずに東京ドームで鳴り響く感動。演奏後、ステージ前方にて肩を組み深々と頭を下げる4人。キング率いるヌーの群れは、仲間を巻き込みどんどん大きくなってきた。5万人(二日間で10万人)が集まった東京ドームでの景色を一生忘れることはないだろう。バンド、オーディエンスにとって大切な時間となった夢の光景だった。どこにも属さない誰にも似ていない、オリジナリティーの高さ。King Gnuは変わることなく音楽を続けていく。ヌーの群れの旅は続いていくのだ。Photo:伊藤滉祐Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)<公演情報>King Gnu Live at TOKYO DOME11月19日(土)・20日(日) 東京・東京ドームセットリストM1. 一途M2. 飛行艇M3. SorrowsM4. 千両役者M5. BOYM6. カメレオンM7. HitmanM8. The holeM9. NIGHT POOLM10. It’s a small worldM11. 白日M12. 雨燦々-幕間-M13. SlumberlandM14. どろんM15. 破裂M16. Prayer XM17. VinylM18. Flash!!!M19. 逆夢M20. Stardom-ENCORE-M21. McDonald RomanceM22. Teenager ForeverM23. Tokyo Rendez-vousM24. サマーレイン・ダイバー特設サイト:<リリース情報>King Gnu ニューシングル『Stardom』11月30日(水) リリース●Blu-ray Disc付き初回生産限定盤:5,500円(税込)●通常盤:1,100円(税込)King Gnu『Stardom』ジャケット【CD収録曲】01. Stardom(2022 NHKサッカーテーマ)02. 雨燦々(TBS系 日曜劇場『オールドルーキー』主題歌)03. Stardom -Instrumental-【Blu-ray収録内容】※初回生産限定盤のみ■King Gnu Live Tour 2021 AW Tour Final December 15th, 2021 at YOYOGI NATIONAL STADIUM FIRST GYMNASIUM01. 飛行艇02. 千両役者03. Vinyl04. Sorrows05. ユーモア06. 白日07. 破裂08. Prayer X09. The hole10. 泡11. Hitman12. 三文小説13. Slumberland14. Tokyo Rendez-Vous15. 傘16. どろん17. Flash!!!18. Teenager Forever-Encore-19. BOY20. ⼀途21. サマーレイン・ダイバー関連リンクOfficial HPオフィシャルモバイルサイト「CLUB GNU」
2022年11月21日櫻坂46の全国ツアー『2nd TOUR“As you know?”』の最終公演が11月9日、東京ドームで行われた。彼女たちにとって1年ぶりとなる今回のツアーは、1stアルバム『As you know?』を携えて全国6都市・12公演にわたり開催。ツアーファイナルは2019年9月に欅坂46として行った東京ドーム公演から約3年ぶりとなり、約7年間にわたり欅坂46、櫻坂46のキャプテンとしてグループを牽引し続けた菅井友香のラストステージでもある。事前にオープニングから最初のMCまでペンライトの使用が制限された今回のライブは、曲間にもシアトリカルな演出を挟んだ終始見どころの多い構成。英語アナウンスに続いてメンバーの高いパフォーマンス力が遺憾なく発揮されたダンストラックに突入し、そのまま「条件反射で泣けて来る」でライブは幕を開ける。無数ものLEDスクリーンが激しく点滅する中、曲中盤には山﨑天が激しく髪を振り乱しながらピアノを弾くようなソロパートを披露し、その高い表現力で観る者を圧倒。ミラーボールの煌びやかな光が天井を照らす中、暗闇の中で限られた光を用いた対比が見事に活かされた演出とともに、早くも唯一無二の世界を構築していく。続く「BAN」ではムービングステージに乗ったメンバーが、アリーナ中央から左右に移動するなどして、会場の広さを感じさせない演出で魅せる。堂々とした佇まいの森田ひかるを中心に、鋭さとしなやかさを併せ持つダンスで会場の熱量を高めると、「Dead end」「断絶」とグルーヴィーなダンスチューンを連発。特に後者では小池美波や小林由依といったダンススキルの高い1期生に混じって、山﨑や藤吉夏鈴、守屋麗奈などの2期生もその存在感の強さを示す。そして田村保乃をセンターに据えた「流れ弾」では、田村の鬼気迫る表現とメンバーが一丸となっての全身全霊のパフォーマンスとともに、この日最初のクライマックスを迎える。MCを挟んで場の空気が和んだあとは、ユニット曲が連発される。一期生6人がトロッコに乗ってアリーナを1周しながら披露する「タイムマシーンでYeah!」では、東京ドーム2DAYS公演にて怪我から復帰した上村莉菜も元気な姿を見せる。「One-way stairs」では森田と藤吉が黒基調の衣装で、クールさが強調されたパフォーマンスを展開。その一方で、「ずっと 春だったらなあ」では井上梨名、大園玲、田村が温かな空気を放ちながら柔らかな歌声を届け、「制服の人魚」では武元唯衣、森田、守屋、山﨑が優雅さと可愛らしさを織り交ぜたダンスで会場のBuddies(=櫻坂46ファンの総称)を夢中にさせる。ストーリー性の強かった序盤5曲とは相反し、ここでは曲ごとにテイストが異なるカラフルさを見せ、結成からの約2年で表現の幅がどんどん広がっていることを証明してみせた。その象徴と言える1曲が、続いて披露された4thシングル「五月雨よ」だろう。大園が開く本のページにあわせて、スクリーンには星空や夜の街明かり、大自然などが映し出される演出に続いて始まったこの曲では、楽曲に備わったスケール感の大きさを、センターの山﨑を筆頭に切ない表情や微笑みとともに楽曲の世界を表現していくことで、巨大な東京ドームを感動的な空気で包み込む。続く「なぜ恋をして来なかったんだろう?」では誰にも止められない恋する気持ちをアッパーなサウンドに乗せて、センター藤吉のワイヤーアクションによるフライングもフィーチャー。デビュー曲「Nobody’s fault」ではダークさを伴うサウンドに重厚感の増した歌とダンス、メンバー1人ひとりの自信に満ちたパフォーマンスを乗せて、それまでの多幸感に満ちた空気を一変する。かと思えば、BACKSメンバーによる「I’m in」にて会場が再び笑顔いっぱいになる。センターの土生瑞穂の繊細な表情作り、幸阪茉里乃や増本綺良、ドーム公演からツアーに復帰した関有美子など2期生の全力ぶりなど見どころも多く、一瞬たりとも目が離せない展開が続く。そして、メンバーと観客との絆の強さを示す「Buddies」でライブは再びクライマックスへと到達した。前日に菅井からサプライズで新キャプテン就任を告げられた松田里奈を中心としたMCでは、このツアーでの手応えを菅井、小林、小池がそれぞれの視点で語っていく。続けて松田が「皆さんから頂いた愛を、このステージで返していきたい」と述べると、ライブもいよいよ終盤戦へ。櫻坂46の楽曲群を織り交ぜたリミックストラックに乗せてメンバーが次々とソロダンスを見せていくと、一面真っ赤に染まった客席を前にボックス型フロートに乗ったメンバーが「車間距離」を披露。続く「恋が絶滅する日」では柔らかな表情を浮かべながらも、メンバー個々がスキルの高いダンスで誰にも真似できない独創的な世界を展開していく。その独創性の極みとして用意されたのが、アルバム『As you know?』のリードトラック「摩擦係数」。森田と山﨑のダブルセンターを起用したこの曲では、衣装や照明、ステージセットなど含め目の前で同曲MVの世界観が再現されていく。難易度の高いブレイクダンスを取り入れたこの曲は、新メンバー加入を控えた櫻坂46の第1章における集大成と言える内容で、「As you know?」、そして「Thank you TOKYO」のメッセージを添えた最高のパフォーマンスとともに最高潮を迎え、ライブ本編が終了した。菅井友香「楽しかったこと苦しかったこと、すべて抱きしめて前に進んでいきたい」初日公演ではアンコールに欅坂46の「Overture」とともに、卒業を控えた菅井が「今歌いたい曲」として「10月のプールに飛び込んだ」「世界には愛しかない」など欅坂46楽曲を複数披露したが、この日も欅坂46の「Overture」が流れ始めると客席からどよめきの声が上がる。これに続いて披露されたのが「不協和音」とあって、予想外の1曲に客席のボルテージも急加速。当時の青い衣装を着用し、鬼気迫る表情で渾身のダンスを見せる菅井やメンバーたちは、3年前の欅坂46東京ドーム公演がフラッシュバックするほどの鮮烈なパフォーマンスで観る者を圧倒させた。欅坂46『THE LAST LIVE』で初披露して以来となる「砂塵」へと続くと、場の空気も一変。笑みを浮かべながら踊るメンバーの中、菅井がフライング演出で中を舞うなど、楽曲の世界観が目の前で再現されていった。貴重な2曲を終え、菅井の7年を振り返るVTRへと続くと、いよいよ菅井の卒業セレモニーへと突入する。ティアラとドレスを身にまとった菅井は、「思い返すと本当に波瀾万丈なアイドル人生でした」とこの7年へ想いを馳せながら今の素直な気持ちを吐露。なかなかうまくいかない日々に対して、彼女は「私はキャプテンとして、せめて皆さんとグループをつなぐ架け橋になろうと向き合っていました」と語り、「周りを信じることが難しくなってしまって、心に嘘をつかなくちゃいけなくなり、笑えることが難しくなってしまう時期もありました。そんなときに、応援してくださる皆さんがいてくださることが本当に心の救いでした」とBuddiesへの感謝を告げる。さらに、「大切な欅坂46も、大好きな櫻坂46もそれぞれにしかない楽曲、メンバーの魅力がたくさんあります。どっちがいい悪いではなく、それぞれを尊重しながら、どっちも愛してもらえたらうれしいと思います」を口にしてから、「私自身もまた皆様とお会いできるよう私の道を頑張って、これまでの経験を忘れずに、楽しかったこと苦しかったこと、すべて抱きしめて前に進んでいきたいと思います」と今後の抱負を掲げて挨拶を締め括った。その後、菅井へのサプライズとしてメンバーがひとりずつ、菅井へのメッセージを認めた手紙を読み上げ、1輪の花をプレゼントしていく。二期生たちは誰に対しても平等に、無償の愛をくれたキャプテンへの感謝を伝え、同期の一期生は7年間の思い出とともに労いの言葉を贈る。そして、「次の道に踏み出すために、今日ここで大切に歌えたらと思います」とこの日のために用意された新曲「その日まで」を披露。二期生から一期生へと、メンバー1人ひとりが菅井を介して絆を繋いでいくような演出・振り付けとともに、菅井は観る者へ感謝の気持ちを表現。曲中には「今日までグループを守るために戦ってきました。悲しいこともありましたけど、最高に楽しかったです。7年間の応援、ありがとうございました!」と力強く語る一幕もあり、最後は大量の紙吹雪が舞う中、彼女のトレードマークでもある「がんばりき」ポーズを見せながら笑顔でステージをあとにした。そして、菅井が去ったあとに新キャプテンとなる松田が「このメンバーならどんな困難も乗り越えられると思うし、どんな道も進んでいけると思います。またこのステージに立てるように切磋琢磨していきたいです」と新たな抱負を口にし、3時間を超える東京ドーム公演を終えた。12月にはデビュー2周年を迎える櫻坂46は今後、三期生を迎え新たな一歩を踏み出すことになる。この大きな節目を経てどんな未来を見せてくれるのか、今後の飛躍に期待したい。Text:西廣智一Photo:上山陽介<公演情報>櫻坂46 2nd TOUR 2022“As you know?”TOUR FINAL11月9日(水) 東京・東京ドームセットリストOverture01. 条件反射で泣けて来る02. BAN03. Dead end04. 断絶05. 流れ弾06. タイムマシーンでYeah!07. One-way stairs08. ずっと春だったらなあ09. 制服の人魚10. 五月雨よ11. なぜ恋をして来なかったんだろう?12. Nobody’s fault13. I’m in14. Buddies15. 車間距離16. 恋が絶滅する日17. 摩擦係数OvertureEn1.不協和音En2.砂塵W-En.その日までセットリストプレイリスト:<配信情報>櫻坂46 Digital Single「その日まで」Now On Sale櫻坂46「その日まで」ジャケット配信リンク:櫻坂46「その日まで」MV<リリース情報>櫻坂46 2nd Blu-ray & DVD『櫻坂46 RISA WATANABE GRADUATION CONCERT』12月7日(水) リリース■完全生産限定盤・Blu-ray2枚組:10,000円(税込)・DVD2枚組:8,000円(税込)※三方背BOX仕様・豪華フォトブックレット付き※ポストカードセット6枚1セット封入(全46種を6枚ずつ8セットのうち1セット)※応募特典シリアルナンバー封入■初回仕様限定 / 通常盤・Blu-ray:7,200円(税込)・DVD:5,200円(税込)初回仕様限定盤:応募特典シリアルナンバー封入予約リンク:関連リンクオフィシャルサイト:::
2022年11月10日11月5日、あいみょんが弾き語りでのワンマンライブ『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』を開催した。兵庫県西宮市出身のあいみょんにとって、甲子園は「実家の屋上から光る球場が見えた」というまさに地元であり、甲子園で弾き語りのワンマンが行われるのは史上初という快挙。駅を出ると、この日のグッズとして作られた「AIMYONS」のオリジナルユニフォームを着たファンが大勢いて、広場にはそのユニフォームを着た巨大なあいみょんのバルーン人形が設置されたりと、さながら5周年イヤーと地元凱旋をお祝いする「あいみょん祭り」のような雰囲気が広がっていた。開演時刻の17時を過ぎると球場内にサイレンが響き渡り、まず映像で登場したのはあいみょんと同じく西宮出身のスターで、親交の深い笑福亭鶴瓶。「みなさん、わずか9年前に梅田で路上ライブをやってたあいみょんが、この憧れの甲子園でライブをするというのはすごいと思いません?7年前に上京して、あっという間にスターになって、これ漫画やで。そのあいみょんが地元に帰ってきたんですよ!みんな褒めたろう!ビッグになって帰って来たっていうのを!」と呼びかけて、「『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』はじまり!」と開会宣言をすると、割れんばかりの拍手の中であいみょんが登場した。モッズコートを着たあいみょんが客席の間を通ってセンターステージに到着し、もう一度盛大な拍手が起こると、一曲目に披露されたのはメジャーからのファーストアルバム『青春のエキサイトメント』のオープニングに収録されていた「憧れてきたんだ」。敬愛する表現者への憧れを歌った一曲だが、この日ばかりは憧れの地である甲子園に捧げられた一曲だったと言っていいだろう。さらには「ハルノヒ」「ジェニファー」と曲を続けると、オーディエンスはペンライトを振ったり、手拍子をしたりと思い思いにこの特別な一日を楽しんでいる。「甲子園球場にお集りのみなさん、あいみょんです。よろしくお願いします!」と挨拶をすると、オーディエンスで埋まった球場を見渡して「ホンマにすごい!」を連発し、「西宮まで来てくれてありがとう!」と感謝を伝え、ファンキーな「愛を伝えたいだとか」、メランコリックな「3636」、ポップな「ら、のはなし」と続けていく。アコギ一本の弾き語りでも曲調に合わせて表現力豊かに歌い上げるあいみょんの姿は、バンドセットと弾き語りのライブを交互に行ってきた、この5年のシンガーとしての確かな成長を感じさせるものだ。「みんなどこから来たんですか?」という問いかけに、北海道から沖縄まで全国各地からこのお祭りに集まっていることがわかった一方、「宮っ子はどれくらいいるんですか?」「小連体・中連体やったことある?」と地元トークも展開するあいみょんのライブは、スタジアムという広さにもかかわらず、やはりアットホームな雰囲気が漂う。「次の曲の頭、みんなのお手てを借りていいですか?」と言って、会場中の手拍子から始まった「満月の夜なら」の演奏時には、ちょうどあいみょんの頭上にほぼ満月に近い月が浮かぶというミラクルも。さらに、シリアスな表情で「さよならの今日に」を歌うと、円形のステージから無数のサーチライトが天に向かって伸びる幻想的な光景の中、「裸の心」を情感たっぷりに歌い上げて、第1部のハイライトを作り出した。みんなはすごいな。私を幸せにする天才やな。ここであいみょんはお色直しのために一旦退場。30分の休憩時間中も、クイズ大会が行われたり、「西宮でやり残したこと」として、福女にチャレンジしたり、ドラマに挑戦したり、3球連続ストライクに挑む映像が流されて、やはり特別な一日であることが伝わってくる。するとライブでは珍しく髪をお団子に結んであいみょんが再登場。今年行われたアリーナツアーでも使用された、お客さんをズームしてスクリーンに映す特注の双眼鏡を使い、12球団のユニフォームを着た人を捜したりと、やはりこういったファンとのコミュニケーションもあいみょんのライブの魅力だ。「18歳のときに声をかけてもらって、弾き語りで路上ライブを始めて、きっとこの曲を一番歌ったんじゃないかな?最初はホンマに0人、全く集まらんかったけど、徐々に徐々に人が増えていって、ついに甲子園でこの曲が歌えるなんて。当時のことを思い出しながら歌えたらと思います」と話して、第2部は「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」からスタート。インディーズデビュー曲でもあるこの曲をパワフルに歌い上げ、オレンジの照明の中で「マリーゴールド」を歌うと、ハーモニカを用いたトーキングブルース調の「tower of the sun」へ。この曲はあいみょんにとってのもうひとつの憧れの地である、太陽の塔の下で歌うことを夢見る曲であり、西宮時代の葛藤や苦悩が綴られた一曲。思わず涙ぐみながら、声を振り絞って歌う姿に、場内からは長く温かな拍手が贈られた。「地元の甲子園球場の景色を見ながらこの曲を歌うのは、自分の中でグッと来るものがあるし、救われた気持ちになりました」と語り、「やりたいことをやらせてくれた父ちゃんと母ちゃんに感謝したいです」と言って、家族が観に来ていることを話す場面も。第2部の中盤は最新作『瞳へ落ちるよレコード』から「姿」、「実家で作った最後の曲」だというメジャーデビュー曲「生きていたんだよな」、「弾き語りでやるのはたぶん初めて」という「マトリョーシカ」と、この日ならではのセットリストが続き、「この曲で今の事務所に声をかけてもらった」という「分かってくれよ」では途中でキーを見失ってやり直しをしたものの、そんな瞬間も記憶に残る思い出となった。あいみょんの弾き語りではその日のライブやツアーのタイトルを冠した新曲を書き下ろすことが定番となっていて、この日も新曲「サーチライト」を披露。たくさんのサーチライトが場内を照らし、さらに間奏ではオーディエンスが一斉にスマホのライトを光らせて、会場中がキラキラと輝く美しい光景と〈サーチライト どこまでもどこまでも照らしていて この瞬間の特別を 演出して お願い〉という歌詞がリンクして、まさに特別な瞬間を作り上げた。「みんなはすごいな。私を幸せにする天才やな。最高の夜、グッドな夜ですね」と言って始まった「GOOD NIGHT BABY」では再び大きな手拍子が起こって、場内がさらなる一体感に包まれる。「もうひとつ願いが叶うなら、みんなの歌声がここで聴けたらなと思ったけど、きっとまたみんなの歌声が聴ける日が来ると思うので、またいつか甲子園に帰ってきたいです」と話して、最後に披露されたのは「この曲があるから私はシンガーソングライターになれるのかなと思えた曲」という「君はロックを聴かない」。バックスタンドのライトも点灯して、明るくなった場内にあいみょんの歌声とオーディエンスの手拍子が響き渡る、素晴らしい大団円に。「大きな拍手ときれいな光、全部忘れません。まだまだ未熟なことばっかりで、悔しいことも悲しいこともいっぱいあるけど、こうやってみんながいる景色を見られることが一番幸せで、音楽やっててよかったなって、西宮というこの街でシンガーソングライターになることを夢見てよかったなって思います。今日は本当にありがとうございました!」と感謝を伝えると、この日一番の拍手が巻き起こった。センターステージを降りたあいみょんは、オリジナルのユニフォームを羽織り、カートに乗って場内を一周。最後までお祭りムードのまま、メモリアルな一夜が幕を閉じた。あいみょんは来年2023年4月7日(金) の神奈川・よこすか芸術劇場を皮切りに、ファイナルの7月23日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールAまで3カ月以上にわたって開催されるホールツアーを発表。2022年に実施した全国ツアー『AIMYON TOUR 2022 “ま・あ・る”』以来、約8カ月ぶりのツアー開催となり、ツアータイトル、チケット発売日程などの詳細は後日発表となるので楽しみにお待ちいただきたい。あいみょんは2023年1月11日(水) に今年発売した4thアルバム『瞳へ落ちるよレコード』のアナログ盤の発売も決定。今後も精力的に活動していくあいみょんにぜひ注目していただきたい。Text:金子厚武Photo:横山マサト<公演情報>『AIMYON 弾き語りLIVE2022 -サーチライト- in 阪神甲子園球場』11月5日(土) 兵庫・阪神甲子園球場セットリスト1. 憧れてきたんだ2. ハルノヒ3. ジェニファー4. 愛を伝えたいだとか5. 36366. ら、のはなし7. 満月の夜なら8. さよならの今日に9. 裸の心(休憩)10. 貴方解剖純愛歌~死ね~11. マリーゴールド12. tower of the sun13. 姿14. 生きていたんだよな15. マトリョーシカ16. 分かってくれよ17. サーチライト18. GOOD NIGHT BABY19. 君はロックを聴かない<ツアー情報>あいみょん『AIMYON TOUR 2023(タイトル未定)』※詳細は後日発表2023年4月7日(金)神奈川・よこすか芸術劇場2023年4月12日(水) 長崎・長崎ブリックホール2023年4月14日(金) 鹿児島・川商ホール第一2023年4月18日(火) 沖縄・沖縄コンベンション劇場2023年4月19日(水) 沖縄・沖縄コンベンション劇場2023年4月26日(水) 香川・レクザムホール2023年4月27日(木) 愛媛・愛媛県県民文化会館2023年5月1日(月) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場2023年5月9日(火) 福井・フェニックスプラザ2023年5月11日(木) 富山・オーバードホール2023年5月16日(火) 三重・三重県文化会館2023年5月18日(木) 愛知・センチュリーホール2023年5月19日(金) 愛知・センチュリーホール2023年5月23日(火) 宮城・仙台サンプラザホール2023年5月25日(木) 秋田・あきた芸術劇場ミルハス2023年5月29日(月) 大阪・フェスティバルホール2023年5月30日(火) 大阪・フェスティバルホール2023年6月13日(火) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール2023年6月14日(水) 京都・ロームシアター京都メインホール2023年6月19日(月) 北海道・函館市民会館2023年6月21日(水) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru2023年6月22日(木) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru2023年6月30日(金) 栃木・宇都宮市文化会館2023年7月4日(火) 広島・広島文化学園HBGホール2023年7月5日(水) 広島・広島文化学園HBGホール2023年7月7日(金) 岡山・倉敷市民会館2023年7月12日(水) 福岡・福岡サンパレス2023年7月13日(木) 福岡・福岡サンパレス2023年7月19日(水) 東京・東京ガーデンシアター2023年7月20日(木) 東京・東京ガーデンシアター2023年7月23日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA<リリース情報>あいみょん 4thアルバム『瞳へ落ちるよレコード』12inchレコード2023年1月11日(水) リリース2枚組:4,400円(税込)※完全生産限定【収録内容】■SIDE A1. 双葉2. スーパーガール3. 姿■SIDE B1. 初恋が泣いている2. 君のこゝろ3. 36364. 強くなっちゃったんだ、ブルー■SIDE C1. 桜が降る夜は2. ペルソナの記憶3. 神秘の領域へ■SIDE D1. ハート2. インタビュー3. 愛を知るまでは予約リンク:あいみょん 4thアルバム『瞳へ落ちるよレコード』Now On Sale●初回限定Blu-ray盤(CD+Blu-ray):7,700円(税込)●初回限定DVD盤(CD+2DVD):6,600円(税込)あいみょん『瞳へ落ちるよレコード』初回限定盤ジャケット【初回限定Blu-ray / DVD盤共通】・7インチサイズ特殊パッケージ仕様・『AIMYON 弾き語りTOUR 2021 “傷と悪魔と恋をした♡ in 武道館”』をノーカットで完全収録。ツアーのバックステージの模様を記録したOFF SHOT MOVIEと本人によるオーディオコメンタリー付・豪華56Pツアーフォトブックレット付●通常盤(CDのみ):3,080円(税込)あいみょん『瞳へ落ちるよレコード』通常盤ジャケット【CD収録内容】※全形態共通01. 双葉(NHK『あいみょん18祭』テーマソング)02. スーパーガール03. 姿04. 初恋が泣いている(カンテレ・フジテレビ系月10ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』主題歌)05. 君のこゝろ06. 363607. 強くなっちゃったんだ、ブルー08. 桜が降る夜は(ABEMA『恋とオオカミには騙されない』主題歌)09. ペルソナの記憶10. 神秘の領域へ11. ハート(TBS系火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』主題歌)12. インタビュー13. 愛を知るまでは(日本テレビ系土曜ドラマ『コントが始まる』主題歌)【DVD / Blu-ray収録内容】※初回限定盤のみ■『AIMYON 弾き語り TOUR 2021 “傷と悪魔と恋をした♡ in 武道館”』2021.11.30 日本武道館01. 傷と悪魔と恋をした!02. 青春と青春と青春03. ポプリの葉04. マリーゴールド05. スーパーガール06. 朝陽07. 裸の心08. 恋をしたから09. ハート10. 夜行バス11. 19歳になりたくない12. TOWER OF THE SUN13. 生きていたんだよな14. 愛を知るまでは15. 今夜このまま16. サラバ17. 君はロックを聴かないoff shot movie “オフ恋ムービー”購入リンク:特設サイト:関連リンクあいみょんオフィシャルサイトワーナーミュージック・ジャパンHP
2022年11月07日10月31日(月) に東京国際フォーラム ホールAにて、乃木坂46 1期生・樋口日奈の卒業セレモニーが行われた。2011年8月から約11年にわたり、選抜メンバーやアンダーメンバーとしてグループを牽引し続けた樋口の旅立ちを祝福しようと、大勢のファンが会場での観覧や配信を通じて彼女のラストステージを見守った。2011年8月の1期生オーディション最終審査の映像から始まったセレモニーは、樋口がセンターを務めるアンダー楽曲「My rule」で幕開け。5期生を含むメンバーで、優雅さに満ち溢れたパフォーマンスを披露し、早くも観る者を釘付けにした。また、MCでは「感謝を胸に楽しみたい」と語る樋口は、この日のセットリストが「今までの年表みたいなもの」であることを明かし、彼女の乃木坂人生を時系列に沿って振り返るような選曲/構成は、ファンと思い出を振り返るものであると同時に、後輩たちへとバトンをつなぐようなものにも感じられた。当時を振り返るVTRとメンバーとのトークを交えつつ進行する卒業セレモニーは、樋口の原点的楽曲である「左胸の勇気」で再開。続く「狼に口笛を」では5期生と共にパフォーマンスするなど、最後だからこその興味深いコラボレーションも実現した。続く「やさしさとは」は、樋口が“同志”と表現する1期生の秋元真夏、齋藤飛鳥、2期生の鈴木絢音の4人で歌唱。活動初期から苦楽を共にしてきた4人だからこその絆の深さが伝わる、愛情に満ちた歌声が会場中に響き渡る。また、樋口が初選抜入りを果たした8thシングル「気づいたら片想い」では、4期生とのパフォーマンスも実現。続くトークパートでは、賀喜遥香や柴田柚菜が樋口との思い出を明かす中、弓木奈於は独特の話題で場の空気を和ませた。続いて、アンダーメンバーを交えて「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」「シークレットグラフィティー」を披露すると、樋口は前者を「私を奮い立たせてくれた曲」、後者を「私に責任感を与えてくれた初センター曲」と紹介。特に後者では曲後半を観客のハンドクラップのみをバックに歌い、会場の一体感を高めていく。そして、トークパートでは3、4期生のアンダーメンバーを前に愛のあるメッセージを送り、会場は感動の空気でいっぱいに。さらに樋口は、3期生楽曲「思い出ファースト」を3期生と一緒に披露するなど、彼女がグループ在籍時にやり残したことを後輩たちと一緒に実現させていった。セレモニー後半に突入すると、樋口にとって忘れられない2曲が立て続けに披露される。2017年〜18年に発表された「インフルエンサー」と「シンクロニシティ」は共に日本レコード大賞を獲得した、グループの歴史においても欠かせない2曲だが、彼女はこれらの楽曲を通じて「乃木坂でよかったと思えた瞬間」が感じられたと明かす。この日のパフォーマンスはいつも以上に繊細さと華麗さが強く伝わるもので、樋口にとっても集大成と言えるものだったのではないだろうか。樋口を慕う後輩・阪口珠美をセンターに据えた「口ほどにもないKISS」では、樋口の希望で阪口やアンダーメンバーと一緒に披露。また、この日出演予定のなかった1期生・和田まあやがサプライズで登場すると、2人の絆を深く刻むように「孤独兄弟」をパフォーマンスする。曲中では、樋口が和田の優しさに触れたエピソードが初めて明かされるなど、終始笑顔と涙が入り混じったパフォーマンスで会場を感動の渦に巻き込んでいく。そして、「これからも少しでも多くの人に元気や笑顔を与えられる、そんなきっかけの一部になれるように強く生きていきたい。最後は強い気持ち、強い意志を持ってこの大好きな乃木坂46から旅立ちたいと思います」と強い思いを込めて、「きっかけ」で卒業セレモニー本編を締め括った。幸せです。また会おうね!アンコールでは紫色のドレスを身にまとった樋口が「これからも皆さんのそばに、誰よりもいたいなと思います」との思いを込めて、「誰よりもそばにいたい」をひとりで歌唱。続く「ロマンスのスタート」では本編には出演できなかった山下美月、清宮レイが駆けつけ、この日の出演者全員で多幸感溢れるパフォーマンスを展開していく。曲中には樋口へのサプライズとして、メンバー1人ひとりが似顔絵やメッセージを書き込んだみかんをプレゼントする一幕も。さらに、客席も樋口のメンバーカラーである紫とオレンジのペンライトで染め上げられ、彼女の新たな旅立ちを祝福した。最後の曲に入る前に、秋元から樋口へメッセージが送られる。ここでは秋元がキャプテンに就任した際、抱えていた悩みを樋口が前向きな言葉でフォローしてくれたことに対する感謝が告げられ、「ちまは優しさの塊みたいな人」と称する。そして、「自分を犠牲にしてみんなを守ってきてくれたちまだから、これからはちま自身のことだけを考えて幸せになってほしい。それを約束して、次の道に進んでくれたらうれしいです。本当に11年間お疲れ様でした」と労いの言葉を送ると、樋口も「みんながいたから優しくなれたと思うし、乃木坂って本当に素敵な場所だなって、11年いても思うってすごいことだと思う。みんながいたから今の私がいます」と思いの丈を口にし、最後は「乃木坂の詩」で11年にわたる乃木坂46でのアイドル人生を締め括った。最後の挨拶を終えると、客席からは「ひなちま ありがとう」と記されたメッセージカードが掲げられるサプライズも。これに感極まった樋口は「幸せです。また会おうね!」と再会を約束して、ステージをあとにした。メンバーのみならず、スタッフや多くのファンから愛され続けてきた樋口日奈。この思い出を胸に、彼女はこれから新たな道を、周りの人たちに愛情と笑顔を振り撒きながら進んでいくことだろう。Text:西廣智一関連リンク乃木坂46 公式サイト乃木坂46 Twitter乃木坂46 Instagramチャンネル「乃木坂配信中」
2022年11月01日10月25日、Saucy Dogが対バンツアー『SUNNY BOX』をスタートさせた。全国11公演、ジャンルも世代もさまざまな相手と熱いライブを繰り広げる大注目のツアーだ。初日の会場は横浜・KT Zepp Yokohama。対バン相手はサウシーの面々とも親交の深い先輩バンド・KANA-BOONである。もちろん両バンドとも気合十分、お互いを繋ぐ固い絆を感じさせる、すばらしい一夜となった。まずステージに登場したのはKANA-BOON。彼らもちょうど久しぶりの対バンツアーを終えたばかり、かなり脂が乗った状態でここ横浜に乗り込んできた。「調子はどう?」という谷口鮪(Gt/Vo)の一言をきっかけに「1.2. step to you」でライブをスタートさせると、いきなり前のめりなバンドサウンドが会場を覆い尽くす。谷口鮪(KANA-BOON)「Saucy Dogのツアー初日です!存分に楽しめよ!」という谷口の言葉、そして手拍子を煽る古賀隼斗(Gt/Cho)の姿に、ソールドアウトで満員のフロアも一気に沸騰状態だ。2曲目は「彷徨う日々とファンファーレ」。さらに「ロックバンドのライブ、楽しめよ!」と「Torch of Liberty」を繰り出していく。小泉貴裕(Ds)が叩くビートは躍動感たっぷり、今年4月に正式加入したマーシーこと遠藤昌巳(Ba/Cho)も力強いプレイでアンサンブルを牽引している。古賀隼斗(KANA-BOON)ここまでを一気に走り抜けると、「思ったより楽しんでくれているみたいで嬉しいです」と笑顔を見せる谷口。そしてSaucy Dog・石原慎也との関係を「仲良いんですよ、“クソ坊主”と」と話し始める。「後輩やけど、俺は親友だと思ってる。アホなんですよ。アホっていうのは大阪の言葉で“最高”っていう意味なんです」と距離が近いからこその言い回しに、フロアにあたたかな空気が広がる。それを表すエピソードとして以前一緒に飲んでそのまま谷口の家に石原を泊めたときのことを語る谷口。その翌朝、谷口がシャワーを浴びている間に石原は何も言わずに帰ってしまったそうで、その話にフロアには「納得」というようななんとも言えないリアクションが起きる。そしてここからはその石原がリクエストしたという曲を披露。まずは「アスター」だ。気持ちのいい裏打ちのリズムでオーディエンスを踊らせると、「久しぶりにやる」と言って演奏したのはメジャー1stアルバムに収録されている「羽虫と自販機」だ。エモーショナルなメロディと歌が、ライブ後半に向けてさらにボルテージは上がっていく。遠藤昌巳(KANA-BOON)小泉貴裕(KANA-BOON)「鉄板曲を」と「シルエット」を投下すると、「先輩としての一言も言っておいたほうがいいかな」と「バンドが頑張って、ファンも一緒に成長して、また力になっていけばいいと思います。これからもSaucy Dogをよろしくお願いします」と後輩にエールを送る谷口。もちろんKANA-BOONもさらに進んでいくという決意表明のように新曲「きらりらり」を見せつけると、「先輩としての音楽を一発かまそうと思います。ロックバンドKANA-BOONです!」とSaucy Dogとそのファンに「宣戦布告」すると「まっさら」を力強く披露。ラストは「スターマーカー」の眩いサウンドがオーディエンスの手を揺らし、最高のフィナーレを描き出した。「どうもありがとう!先輩KANA-BOONでした!」。4人は最後まで満面の笑みでステージを降りていった。KANA-BOON石原慎也「かっこいいバンドだって思わせて見せます」そしていよいよSaucy Dogの出番。SEが鳴り響いた瞬間にフロアの温度が上がったのが肌で感じられるようなオープニングから、サウシーらしい優しさに満ちたライブが展開していく。Saucy Dog石原慎也(Saucy Dog)「よろしくね!」とオーディエンスに語りかける石原。「楽しい1日にしようね」と笑顔を見せつつ、歌いながら先ほどのKANA-BOON谷口のMCを受けて「鮪さん!俺はアホじゃないです!」と叫んだりもしている。さらに後ろにいるせとゆいか(Ds/Cho)の方を振り向いて「アホじゃないよね?」と問いかけるも、せとは「え?アホやん」と一蹴して大笑いしている。せとゆいか(Saucy Dog)そのせとは今回のKANA-BOONとの対バンがSaucy Dogにとっては念願だったことを明かす。もともとは2020年に開催しようとしていた対バンツアーでKANA-BOONも呼んでいたのだが、新型コロナウイルスの影響で中止に。そのリベンジとして武道館に対バンする予定だったバンドを集めてイベントを開催したのだが、そのときはちょうど谷口が休養中でKANA-BOONを呼ぶことができなかった。この対バンはせとの言葉を借りれば「リベンジのリベンジ」なのだ。「これからみんなと一緒に歩んでいけるように。そういう願いを込めてライブできたらと思います」という彼女に、フロアからはひときわ大きな拍手が送られた。まだツアーが始まったばかりなのでその内容についてすべてをお伝えすることはできないのだが、「あなたがあなたらしく今日も生きていけますように」(石原)という願いを込めた「Be yourself」に、オーディエンスとの美しい一体感が生まれた「スタンド・バイ・ミー」など、過去曲も最新曲も織り交ぜたカラフルなセットリストが展開していく。もちろん「ゴーストバスター」のような代表曲もしっかり披露。ソリッドさと柔らかさを兼ね備えたせとのドラムに、曲を一番下で支えながらここぞというときには前に出て主役級の活躍を見せる秋澤和貴のベース。ますます勢いを増したバンドサウンドの魅力も、石原の表情豊かな歌声も、以前に観たときよりも明らかにスケールアップしていることがわかる。前のめりなのにどこかリラックスした感じが、今の彼らにみなぎる自信を象徴しているようだ。秋澤和貴(Saucy Dog)「初日から満員で、めちゃめちゃ嬉しいです!ハッピーじゃん!」と石原。「SNSでもいい、YouTubeでもいい。出会いは何だっていいんです。そこからは俺たちに任せてください。かっこいいバンドだって思わせて見せます」。いろいろな考え方がある中で、全部を引き受けて進んでいく覚悟を言葉にすると、オーディエンスから大きな拍手。そしてそんな覚悟も全部込めて鳴らされた「優しさに溢れた世界で」が、ここから始まるこのツアーの、そしてSaucy Dogの未来に向けたテーマソングのように鳴り響いた。「今日会えて本当によかった!」。最後まで笑顔を絶やすことのなかったサウシーの3人の表情を見ていると、このツアーの成功が確信できた。すでに発表されている来年のホールツアーも含めて、たくさんの経験が彼らをさらに成長させていくはずだ。取材・文:小川智宏撮影:白石達也<ツアー情報>Saucy Dog 対バンツアー2022 “SUNNY BOX”※終了分は割愛11月2日(水) Zepp Fukuoka開場18:00 / 開演19:00ゲスト:SIX LOUNGE(問)キョードー西日本:0570-09-242411月4日(金) Zepp Nagoya開場18:00 / 開演19:00ゲスト:DISH//(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-910011月6日(日) 仙台GIGS開場17:00 / 開演18:00ゲスト:高橋優(問)EDWARD LIVE:022-266-755511月9日(水) Zepp Osaka Bayside開場18:00 / 開演19:00ゲスト:優里(問)GREENS:06-6882-122411月10日(木) Zepp Osaka Bayside開場18:00 / 開演19:00ゲスト:THE ORAL CIGARETTES(問)GREENS:06-6882-122411月17日(木) Zepp Sapporo開場18:00 / 開演19:00ゲスト:WANIMA(問)WESS: info@wess.co.jp(mailto:info@wess.co.jp)11月30日(水) Zepp Nagoya開場18:00 / 開演19:00ゲスト:Vaundy(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-910012月6日(火) Zepp DiverCity(TOKYO)開場18:00 / 開演19:00ゲスト:indigo la End(問)DISK GARAGE:050-5533-088812月7日(水) Zepp DiverCity(TOKYO)開場18:00 / 開演19:00ゲスト:ハルカミライ(問)DISK GARAGE:050-5533-0888■前売チケット1Fスタンディング・2F指定:4,800円(税込)※ドリンク代別途必要※4歳以上チケット必要特設サイト: Dog オフィシャルサイト:
2022年10月27日2022年9月14日の福岡サンパレスホテル&ホール公演を皮切りに、全国7都市で開催されている渋谷すばるのライヴツアー『渋谷すばる LIVE TOUR 2022 二歳と1328日』。福岡サンパレスホテル&ホール(9月14日・15日)、名古屋国際会議場センチュリーホール(9月21日・22日)、広島文化学園HBGホール(10月12日・13日)、仙台サンプラザホール(10月17日・18日)、札幌カナモトホール(10月24日・25日)と10公演を大成功に収め、残すは東京ガーデンシアター(10月31日・11月1日)とファイナルの大阪城ホール(11月5日・6日)のみとなった。このツアーが実に熱い。熱さにもいろいろ種類があるのだが、今回のツアーで魅せている“渋谷すばるの熱さ”は、自我を押し付ける暑苦しい熱さではなく、とても自然体でナチュラルに、“聴き手の為に唄う熱量”を深く感じ取ることが出来る。大きな変化として感じ取れるのは、ツアーの1曲目に唄われる「ぼくのうた」だ。この曲は、1stアルバム『二歳』(2019年10月9日リリース)のリード曲でもあり、ソロ活動の始まりの曲でもあり、ソロ活動初のツアーのセットリストの1曲目にも同楽曲をオープニング曲として選曲している。“歌を歌わせて頂けませんか”と連呼される「ぼくのうた」を渋谷が最初に唄っていた頃は、【歌を歌いたいという自らの渇望】だったと思うのだが、今回のツアーでは、その言葉の前に“貴方のために”という歌詞が聴こえてくる程、聴き手に寄り添う優しさが宿ったことを感じ取れるのだ。この変化は「ぼくのうた」に限ったことではなく、ライヴ全体を通して感じ取れるものである。現在、渋谷すばる(Vo)、新井弘毅(G)、安達貴史(B)、茂木左(Ds)、本間ドミノ(Key)という同世代でまとめられた座組で行われており、日を追うごとにそのバンド力は結束力を強め、最高のグルーヴと熱量で観客を魅了している。不器用にしか生きられなかった渋谷の心が、仲間と共に織り成す最強のサウンドによって解き放たれていると感じる今回のツアーでは、バンドメンバー達と他愛のない話で盛り上がるMCや、オーディエンス弄りなど、今までにはなかった和やかな空気感も生まれている。9月7日には4カ月連続配信リリースの第1弾として「7月5日」、10月5日には第2弾「ぼーにんげん」がリリースされ、11月2日には第3弾「これ」、12月7日には第4弾[タイトル未定]のリリースが控えている渋谷。これらの新曲がいち早く聴くことが出来るのも今回のツアーの見どころ。今回のツアーのラストで聴かせたいという想いで作られたという「7月5日」は、“あの日の君と これからの君が失くした日々を見失わずに 歩けるように”という願いが込められた優しいバラード。今作4曲の中で最初に出来たという「ぼーにんげん」は、表に感情が漏れない為に真意がなかなか伝わりづらいのだが、実は深い想いと暖かな人間性を持った人への愛しさを唄ったのほほんソング。今ツアー前にコロナ規制後初めて有観客で行ったファンクラブライヴの1曲目に届けたくて書かれたという「これ」は、多くを語らず、全てはここにあるんだ!と元気付けてくれるご機嫌なロックンロール。12月7日にリリースされる第4弾は、今までのレパートリーにはなかった音楽性に挑んだ新たな一面を提示した渋谷すばるの新境地となっている。また、ツアー初日の9月14日には、俳優の滝藤賢一が映画初主演を務める『ひみつのなっちゃん。』(2023年1月13日公開)の主題歌として、「ないしょダンス」を書き下ろしたことが発表された。同映画は、岐阜県・郡上八幡の町を舞台に、大切な友人・なっちゃんの死をきっかけに集まった3人のドラァグクイーン(滝藤賢一、渡部秀、前野朋哉)が、なっちゃんがオネエであることを知らない家族のために、“普通のおじさん”として葬式に参列するまでの珍道中が描かれた物語だ。“臆病な彼女たち”が隠し事のない優しさに触れ、少しずつ前向きになっていく姿を描く、ハートフルなヒューマン・コメディは、本作が映画デビューとなる田中和次朗が自らのオリジナルの脚本で監督を務めた期待作でもある。田中和次朗とプロデューサー・中野剛からオファーを受けた渋谷は田中監督と話を重ね、台本を何度も読み返して“主題歌”を意識した曲作りに向き合ったのだという。今回のツアーでは「ないしょダンス」も歌われており、映画の予告と重なって流れる力強い楽曲と、自らも表現者としてステージに立つ者、自らも“変わり者扱いされていつも一人ぼっち(歌詞引用)”だと感じているのであろう渋谷のリアルな葛藤が聴き手の胸を打ち、オーディエンスは高く拳を上げ、既に新曲とは思えないほどの盛り上りを魅せている。8月20日に『SUMMER SONIC 2022』のMOUNTAINステージで、“渋谷すばる”そのものと言える実に真摯なロックを多くのオーディエンスに魅せ、新たなファンを獲得しつつある渋谷すばるだが、まだまだ“渋谷すばるの唄”の本当の魅力が伝わりきっていないと感じる今、この唄を、この音を、渋谷すばるという存在を知らない人にも届けたい。是非とも東京ガーデンシアター10月31日(月)・11月1日(火)、大阪城ホール11月5日(土)・6日(日) の公演に足を伸ばして、“渋谷すばる”に触れて欲しい。きっとそこには、求めていた音と唄があるはずだから。Text:武市尚子<公演情報>渋谷すばる LIVE TOUR 2022 二歳と1328日※終了分は割愛10月31日(月)・11月1日(火) 東京ガーデンシアター11月5日(土)・6日(日) 大阪城ホールチケット情報はこちら:<リリース情報>渋谷すばる 4カ月連続配信リリース第1弾「7月5日」Now On Sale渋谷すばる「7月5日」ジャケット配信リンク:渋谷すばる 4カ月連続配信リリース第2弾「ぼーにんげん」Now On Sale渋谷すばる「ぼーにんげん」ジャケット配信リンク:渋谷すばる 4カ月連続配信リリース第3弾「これ」11月2日(水) 配信リリース渋谷すばる「これ」ジャケット<作品情報>映画『ひみつのなっちゃん。』2023年1月13日(金) 新宿ピカデリー他、正月第2弾ロードショー映画『ひみつのなっちゃん。』ポスター画像 (C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会映画公式サイト:渋谷すばる オフィシャルサイト:
2022年10月27日次世代の音楽シーンを担う新進気鋭のアーティストが競演する注目の音楽イベント『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!-』が10月11日(火) に東京・渋谷クラブクアトロで開催された。第10回目となる今回は、24歳のidom、23歳のクボタカイ、21歳のMyuk、20歳の八木海莉という、まさにブレイク間近であろうブライテストホープが集結し、それぞれがパワー全開で他の誰にも似ていない自らの個性とクリエイティビティを存分に発揮して見せてくれた。エモーショナルな音像でフロアの熱気をあげるidomトップバッターとして登場したのは、新人ながらもフジテレビ月9ドラマ『競争の番人』主題歌に抜擢され、「GLOW」でメジャーデビューを果たしたことでも大きな話題を集めているidom(イドム)。楽曲制作だけでなく、映像やイラスト、デザインなどもこなす新世代型のマルチクリエイターである彼が、眩い光を背にステージに登場した瞬間にフロアの空気がガラッと変わった。時に左手をポケットに突っ込み、時に気だるそうに体を揺らしながら甘くしなやかな歌声を発する姿は、モデルのような風貌と不思議な名前も相まって、まるでヨーロッパ映画の1シーンを見ているような風景を連れてくる。音楽を始めてからたったの1年でソニーXperiaやTikTokのCMソングに起用された「Awake」「Moment」「Freedom」をメドレーでダイナミックに繋ぎながら、「Hey, What’s going on eveybody!(みんな、調子はどう?)」と呼びかけ、シンセベースが効いたオルタナティヴR&B「soap.」やラップもフィーチャーしたアーバンR&B「i.d.m.」でフロアの熱気をどんどんとあげていった。idomMCではギター、ベース、ドラムを率いたバンド編成でのライブがこの日が初めてであることを明かし、「自分が弱い時に勇気を出せるような曲が届いたらいいな」という思いを込めたというドラマ主題歌「GLOW」をエモーショナルに歌い、高らかなハイトーンを鳴り響かせた。言いようのない孤独感を抱えながらもなんとか生きていこうとする「帰り路」と二度と会えない相手への未練や後悔を綴った「二人」で、洗練されたサウンドだけではなく、彼の“歌の言葉”が持つ力をオーディエンスにしっかりと届けた。Myukは詩の朗読をはさみ物語を丁寧に編んでいく現在21歳のシンガーソングライター・熊川みゆの音楽プロジェクト、Myuk(ミューク)はストーリー性を感じるステージを展開した。1曲目はTVアニメ『NIGHT HEAD 2041』のためにEveが書き下ろしたバラード「シオン」。タイトルは“君を忘れない”や“追憶”という花言葉を持つ紫色の花の名前だ。彼女は、吐息まじりの歌声で忘れたくない思いを綴り、歌詩の朗読から“真実の愛”や“私を忘れないで”という花言葉を持つ勿忘草をモチーフにした尾崎豊のバラード「Forget-me-not」のカバーへとつなげ、観客を楽曲の世界観へと引き込んでいった。Myukアコースティックギターを抱えながら、「今の精一杯の心を込めて歌いたいと思います」と語った後、気鋭のトラックメイカーであるShin Sakiuraがプロデュースと作曲を手がけ、フレンズのおかもとえみが作詞を担当した「あふれる」では、先程までの切なく物悲しげな雰囲気から一変して、柔らかな笑みを湛えて歌い、日常の何気ない恋愛模様を描いた「Pancake」ではさらにチャーミングにポップに弾む。10月26日にデジタルシングルとしてリリースされる新曲「フェイクファーワルツ」ではジャズロックのようなパンチの効いたサウンドからはっきりとした輪郭を持って歌声を浮かび上がらせるなど、楽曲ごとに多彩な表情を見せた。そして、再び、歌の詩の一部分をピアノの伴奏に乗せて語り、Eveとの運命的なコラボレーションの第1弾となったTVアニメ『約束のネバーランド』のエンディングテーマ「魔法」で儚くも力強い癒しの歌声を届け、「憧れのクアトロ。素敵な時間でした」と感想を述べてステージを後にした。透徹した歌声と凛とした佇まいが印象的な八木海莉自身のYouTubeチャンネルでの弾き語りカバー動画で注目を集め、昨年12月にメジャーデビューした20歳のシンガーソングライター・八木海莉は、夜明けを知らせるようなハミングとともに、アンニュイでメロウなムードの「Sugar morning」でライブをスタートさせた。「今日は思いやりを大切に自由に楽しんでください」と語りかけた後、夏の3カ月連続リリース第3弾として配信された、ORANGE RANGEのNAOTOが編曲したエレクトロポップ「刺激による彼ら」ではフロアから自然とクラップが湧き起こり、ポップしなないでが作曲と編曲を担当したギターリフが特徴的なドライビングなサマーチューン「君への戦」では速いパッセージのラップに君への思いをぶつけながらも、間奏では観客に手を振る仕草も見せるなど、明るく楽しい雰囲気で会場を包み込んだ。八木海莉今年4月にリリースされた1st EP『水気を謳う』のオープニングを飾っていた「お茶でも飲んで」では、笑顔で<お話にならないよ>と自問自答を繰り返し、同作に収録されたシティポップ「海が乾く頃」では、会いたくても会えない人への思いが詰まった感情をSEとして流れる波の音に紛らわすように表現。MCでは、「先月、初めてワンマンライブをして。今日は他のアーティストさんとライブをするのが初めてで緊張しています」と正直な気持ちを吐露し、TVアニメ『魔法科高校の劣等生 追憶編』の主題歌に起用されたデビュー曲「Ripe Aster」で、強い信念を持って生きていく姿勢を歌声で示すと、彼女の清く凛とした佇まいに観客の目は釘付けになった。クボタカイがフリースタイルで届ける今、この瞬間この日のトリを務めたのは、adieuやSnow Manらへの楽曲提供でも知られるラッパーでシンガーソングライターのクボタカイだ。ギター、ベース、ドラム、キーボードというフルバンド編成でステージに登場した彼は、「しゃべるより音楽がしたい!」と声を上げ、全7曲をシームレスに繋ぎ、ノンストップでパフォーマンス。ラテンのフレーバーも感じるブギーファンク「ひらめき」ではスタンドマイクを握りながら夏の余韻を残したときめきを放ち、ラブソング「ピアス」「せいかつ」ではアコースティックギターを弾きながらフォーキーにブルージーに歌唱。淡々とした日常生活を題材にしている分だけ、その目線の鋭さと、数々のMCバトルで名を馳せたラッパーとしての独特の言語感覚が際立って胸に迫ってきた。クボタカイここで、アコギを置いて、ハンドマイクに持ち替えると、「拝啓(Freestyle)」に乗せて、<idomが盛り上げ、Myukにドキドキし、八木海莉の歌が心に響く。そいつを音楽で返す……>と、この日のイベントを振り返ると同時に、目の前に観客がいる今、この瞬間の感情をフリースタイルの即興ラップで展開。観客からは興奮にも似た歓声と拍手が沸き起こり、中原中也の詩を引用した「ベッドタイムキャンディー2号」ではビートを刻むようなブレスによって官能的なムードを引き連れ、フロアをミラーボールの光が照らした「MIDNIGHT DANCING」では演者も観客も一体となって踊り、開放的で多幸感に満ちた空間を作った。そして、最後に<愛している>から始まる失恋ソングで、彼の代表曲でもある「ロマンスでした」に、同じ時間と空間を過ごした思い出を観客と共有し、様々な恋と青春の物語を届けてくれたライブイベントは甘酸っぱい気持ちを残して幕を閉じた。会場を後にした観客が、階段を降りながら「いい日だったね」と口にしていたのが印象に残る1日となった。Text:永堀アツオPhoto:新保勇樹<公演情報>『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!- vol.10』10月11日(火) 東京・渋谷CLUB QUATTROSET LIST■idom01. Awake~Moment~Freedomメドレー02. soap.03. i.d.m.04. GLOW05. 帰り路06. 二人■Myuk01. シオン02. Forget-me-not03. あふれる04. Pancake05. フェイクファーワルツ06. 魔法■八木海莉01. Sugar morning02. 刺激による彼ら03. 君への戦04. お茶でも飲んで05. 海が乾く頃06. Ripe Aster■クボタカイ01. ひらめき02. ピアス03. せいかつ04. 拝啓(Freestyle)05. ベッドタイムキャンディー2号06. MIDNIGHT DANCING07. ロマンスでしたイベント公式Twitter:
2022年10月17日くるり主催のライブイベント『京都音楽博覧会2022 in 梅小路公園』が10月9日に京都・梅小路公園 芝生広場で開催された。『京都音楽博覧会』は、くるりが2007年から京都市中心部にある梅小路公園を舞台に毎年開催しているイベントで、これまでに国内外から多くのアーティストを招聘。だが、近年の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年は京都の老舗ライブハウス・拾得、2021年はくるりの母校である京都・立命館大学にある以学館と学生会館から配信ライブとして実施。今年は梅小路公園での開催が3年ぶりに実現した。イベントは岸田繁(Vo&Gt)、佐藤征史(Ba&Vo)による恒例の開会宣言で幕開け。通算16回目にして久しぶりの現地開催に、佐藤が「音博が始まった年に生まれたお子さんも来てくれてるかもしれないよね」と感慨深げに会場を見渡し、岸田は「今年は梅小路に帰ってくることができました、ただいま!」と満場の観衆に感謝を告げる。そして、「今年は若いアーティストに出演していただこうというとき、真っ先に名前が挙がって。くるりの遺伝子を引き継ぐところもあり、さっき会ったら何だかキラキラしてました(笑)」と岸田から紹介を受けたトップバッターは、マカロニえんぴつ。冒頭からくるりの「尼崎の魚」を一節カバーしリスペクトを表した後も、「レモンパイ」「洗濯機と君とラヂオ」等ライブ映えするナンバーを連発。マカロニえんぴつMCでは、「ロックにおいて先陣を切って道を切り拓いてくれて、曲を作る上では教科書にもなっている。ずっとリスナーだったので、呼んでいただいたときは感無量でした」と、はっとり(Vo&Gt)が思いを述べる。後半戦も、岸田がはっとりとの雑誌の対談企画でフェイバリットに挙げた「恋人ごっこ」や、人気曲の「ヤングアダルト」などを惜しみなく披露し、「大好きなくるりがくれた出会いに感謝します。この後はお客さんとして楽しみたいと思います。もっともっと京都に来たいと思いました」と、最後の「なんでもないよ、」までみずみずしいメロディを届け続けた。今年は全国各地のフェスのラインナップに名を連ね、先述のマカロニえんぴつと共に2022年を代表するアーティストの一組と言っても過言ではない二番手のVaundy。岸田が「2022年、一番歌がうまいと思った」と称賛すれば、佐藤が「本当に老若男女のファンがいるのがすごい」と感嘆の声を上げるのも納得の才気溢れるパフォーマンスを冒頭から展開し、「不可幸力」「踊り子」では自ずとハンズアップが巻き起こる。Vaundyくるりとも縁の深いドラマー・BOBOのリズムに支えられ、きらめきと切なさが同居する「恋風邪にのせて」や叙情の極みたる「走馬灯」など、比類なきソングライティング力をまざまざと感じさせていく。その後も、「裸の勇者」「東京フラッシュ」とやる曲やる曲キラーチューンとも言うべきセットリストで畳み掛け、「雨降り過ぎじゃね?」と時折、客席を気遣いながら、「ラストスパート、いきましょうか!」と「花占い」「怪獣の花唄」で怒濤のエンディング!2000年生まれの次世代のポップスターここにありと証明した、初出演にして鮮烈なステージだった。三番手のAntonio Loureiro & Rafael Martiniは、今年唯一の海外アーティスト。10種類近い楽器を演奏するマルチ奏者・シンガー・コンポーザーのAntonio Loureiroは2015年、コンポーザー・シンガー・鍵盤および弦楽器奏者のRafael Martiniは2017年の『音博』でも素晴らしい演奏で観客を魅了したが、今回は現代ブラジル/南米音楽をリードする2人による最強タッグに。Antonio Loureiro & Rafael Martini岸田も「すごい人とすごい人が一緒にやるとすごい音楽になる」と、その出番を前に誰より高揚している様子で、降雨による機材トラブルに見舞われたものの、その雨がライブをよりドラマチックに演出。舞台中央に向かい合う形で鍵盤とドラムセットが設置され、「Universo」ではRafael、「Me dê a mão」ではAntonioとボーカルをスイッチしつつ、インプロヴィゼーション感のあるスリリングな旋律とビートを創出。静寂と雨音が交差する曲間すら美しい、豊潤でメロウな全6曲の音楽体験となった。岸田も「もう天才でしょ」と太鼓判を押すスリーピースロックバンド・SHISHAMOも、今年の『音博』を象徴する若きアーティストの一組。とは言え、すでに歴戦のライブバンドとしてのキャリアを持つ彼女たちは、1曲目からくるりのカバー「THANK YOU MY GIRL」をさらりとやってのけ、続く「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」でも、余裕と貫禄すら感じる堂々のステージング。SHISHAMO宮崎朝子(Gt&Vo)は、「来月からCDデビュー10周年なんですけど、本当にいろんなことがあって。でも、こうやって素敵なステージに呼んでいただけて、間違ってなかったんだなと思えました」と、くるりへの敬意をカバーだけでなく言葉でも伝え、「夏の恋人」「ハッピーエンド」「夢で逢う」と胸が締め付けられる珠玉のラブソングのゾーンには、オーディエンスもグッと息を飲む。一転、終盤戦はアグレッシブなバンドサウンドで疾走する「狙うのは君のど真ん中」を皮切りに、「明日も」「明日はない」と駆け抜ける!パワフルでタフな存在感に魅了されっぱなしの40分間だった。くるりより上の世代のレジェンドとのマジカルな化学反応も『音博』の見どころの一つだが、今年その役を担うのはご存じ、槇原敬之。佐藤が「知ってるけどライブで見たことがない曲を味わえるのが『音博』」と言えば、岸田が「中学生ぐらいの頃に夢中で聴いてました」と返す期待感を受け、いきなり涙腺を刺激する名曲「遠く遠く」からライブはスタート。梅小路公園に手のひらが舞う絶景を生み出したかと思えば、あのピアノのイントロに一同がざわめいた「どんなときも。」と、たった2曲で今日ここにいてよかったと心底思わせる、槇原敬之の音楽の力に包まれる。槇原敬之「くるりのおかげで、今日のこの場所でコンサートができること、本当に幸せに思ってます。見えてます~?(と手を振る)ちゃんと届くように歌いますので」と、見る者を優しくすくい上げるMCに続いては「LOVE LETTER」へ。先の佐藤の言葉通り、脳裏に刻まれたグッドメロディが次々と目の前で蘇っていく。レパートリーから新旧のアーバンポップを聴かせた「Fall」「Hungry Spider」、無数に伸びる手が声の代わりとなった「僕が⼀番欲しかったもの」、そして、国民的ヒット曲「世界に一つだけの花」と、曲を追うごとにピークを超えていく。ラストは「新しい世界にみんなで行こうという気持ちで作りました」と語った壮大で力強い「宜候」、愛に満ちた「四つ葉のクローバー」で、くるりへとバトンをつないだ。いよいよ『音博』もフィナーレへ。ここでピースの又吉直樹が登場し、「今日は皆さんと同じ一人のくるりファンが、どのようにくるりと関わってきたかを話します」と、椅子に腰掛け朗読を始める。18歳の頃、くるりの「東京」とラジオで出会い、上京した後も、お笑い芸人としての転機に、恋人とのささやかな日々に、何者でもなかった自分のそばに、常にくるりの音楽があった。ここにいる多くのファンと同じように。又吉直樹又吉が重ねたそんな言葉の先に、切々と響くギターが導いたのは、『音博』の開催記念シングルにもなった「真夏日」。土砂降りの雨に打たれ、どこか物悲しくも温かいメロディが広がっていく。岸田繁(くるり)佐藤征史(くるり)淡々と奏でられるギターリフが今なおどうしようもなく胸を揺さぶる「東京」に、聴けば聴くほど心に染み渡る「ハイウェイ」に、まばゆい閃光を浴び放った「潮風のアリア」の神々しさに、何度も何度もくるりのスペシャルさを再確認。「琥珀色の街、上海蟹の朝」に「ばらの花」にと、そのコンポーザーとしてのすさまじい才能に打ちのめされる楽曲群に身を委ねる幸福を、3年ぶりの梅小路公園で改めて思い知った人も多かったことだろう。岸田が「天候はあいにくとなりましたが、皆さんのおかげで素晴らしい日になりました。ありがとうございました」とあいさつし、最後に「奇跡」を万感の表情で歌い上げる。鳴りやまない拍手に応えたアンコールでは、「来年もできたらお越しください、ありがとう!一曲だけやって締めたいと思います。またね!」と、毎年『音博』を締めくくっている「宿はなし」を送り、16回目の宴は幕を閉じた。Text:奥“ボウイ”昌史Photo:井上嘉和<公演情報>京都音楽博覧会2022 in 梅小路公園10月9日(日) 京都梅小路公園芝生広場開場10:00 / 開演12:00出演:くるり、SHISHAMO、槇原敬之、マカロニえんぴつ、Vaundy、Antonio Loureiro & Rafael Martini、又吉直樹(朗読)オフィシャルサイト:<リリース情報>くるり「真夏日」Now On Sale価格:550円(税込)くるり「真夏日」ジャケットビクターオンラインストア:配信リンク:<番組情報>スペースシャワーTV『くるり presents 京都音楽博覧会2022』12月8日(木) 22:00~23:30※くるりが2007年から毎年開催している主催イベント「京都音楽博覧会」。3年ぶりに梅小路公園での現地開催となるそのイベントの模様を、舞台裏の様子も含めてお届けします。詳細はこちら:関連リンクオフィシャルサイト:::::
2022年10月10日2022年9月21日に不動のメンバーでメジャーデビュー35周年を迎えたBUCK-TICKが、9月23日・24日に神奈川・横浜アリーナで『Debut 35th Anniversary LIVE「BUCK-TICK 2022 “THE PARADE” 〜35th anniversary〜」』を開催した。今回の35周年公演の特徴は大きく2つ。1つは12台のレーザーと、大型のLEDスクリーンを駆使したダイナミックな光と映像の演出。過去に開催された“PARADE”と冠するアニバーサリーライブは、2007年の横浜みなとみらい 新港埠頭特設野外ステージ、2012年の千葉ポートパーク、2017年のお台場野外特設会場と、すべて野外ステージだったため今回が初のアリーナ公演であった。野外では陽が落ちるまで照明や映像の演出が活きないため、今回はオープニングから世界観をしっかりと作り込むことができる。ステージの左右に1枚ずつ固定されたスクリーンがあり、さらにステージのバックに巨大スクリーンが1枚と、ステージの前にも大きなスクリーンが1枚。このステージ前のスクリーンが可動式になっていて、演奏するメンバーの姿を覆うように映像が前に出るシーンもあれば、ぐっと上がってバックのスクリーンとの奥行きを活かした立体感を生み出した。たとえば両日ともに演奏された楽曲の中から印象的だったシーンをピックアップすると、重厚なグルーヴと陶酔感に引き込むストーリーをもつ2曲目の「BABEL」では、真っ赤な背景に描かれたバベルの塔が映し出されたのだが、それまでメンバーを覆っていたステージ前のスクリーンがゆっくりと上昇することにより、バベルの塔が積み上がっていく不穏な様が表現された。衝撃だったのは中盤に演奏された今井寿(G)がメインボーカルを取る気だるいジャングルビートの「相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)」。メンバーの前の真っ赤に染まったスクリーンにうごめく無数の手形と、バックスクリーンに映る櫻井敦司(Vo)の顔が合体するシーンはホラー映画のような不気味さがあった。戦争の悲劇をストーリーにしたミディアムナンバー「ゲルニカの夜」では星空の下、時間経過と共に崩れゆく遊園地の様子を表現。アンコールの「惡の華」では赤青緑のレーザーがステージからフロアへ放たれ、Wアンコールで披露された「夢見る宇宙」では、ステージ前のスクリーンが天井近くまでせり上がり、バックスクリーンと一体になってスケール感のある宇宙空間を生み出した。楽曲の世界観を広げるための映像やライティングは、時にメンバーの姿をかき消すこともシルエットにすることもあり、ライブはプレースタイルや表情を生で楽しむものだと言う人がいたならば、今回の演出はかなり大胆なものに思えたかもしれない。しかし、BUCK-TICKは35年前に“ヴィジュアル・アーティスト”としてビデオデビューしたバンドだということを考えると、今回はその“原点”を意識したステージだったと言える。そして2つ目の特徴は、35周年を記念するライブではあるが、35年の軌跡を網羅する祝祭ムード満載のメニューではなかったということ。今回同様、1日目に“FLY SIDE”、2日目に“HIGH SIDE”と名付けた2017年のお台場公演では、「FLY HIGH」をはじめとするインディーズ時代や初期のナンバーから各時代を比較的満遍なく網羅する楽曲群で30年を振り返ったが、今回は今伝えたいメッセージを組み込んだバンドの現在地と、未来を指し示すメニューになっていたのではないかと思う。というのも、これまで各メンバーからあがった候補曲を元にメニューを組むことが多いBUCK-TICKだが、今回のメニューは9月21日にリリースしたベストアルバム『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』のラインナップも意識しつつ、全面的に櫻井が中心となって舞台演出チームと一緒に構成を組んだという。そのため、彼のメッセージ色が色濃く出る内容となった。特に顕著だったのは、両日共通の「楽園」「REVOLVER」「ゲルニカの夜」と、今回初演奏された新曲「さよならシェルター」(ベストアルバム収録)のゾーン。「楽園」では黒いベールを頭から纏った櫻井が、手にしたティンシャを鳴らしながら戦禍の国を対岸の火事と日和見する状況を皮肉り、攻撃性の高いスピード感のある「REVOLVER」では、こめかみに指を当て“あの子の未来を 撃て!”とシャウトする。空爆直下の惨状を主人公の少年の視点で歌う「ゲルニカの夜」のラストパート、“そんな夢見て 目覚めた”でほっとしたのも束の間、現在の世界情勢をモチーフにした「さよならシェルター」が、優しいサウンドに乗せてリアルな狂気を描いた。さらに特筆したいのは、1日目に披露した「禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-」だ。トラウマを抱えて内へと閉じこもっていたアダルトチルドレンが、“この部屋を 出て行くよ”と外へ足を踏み出す過程を歌う今作では、ステージ前のスクリーンに大きな白い壁が現れ、ちょうど櫻井の立つ位置にぽっかりと黒い出口が描かれたことと、歌い終わりに櫻井が放った「すべてのアダルトチルドレンに捧げます」というメッセージが印象的だった。思想や感情はストーリーに昇華して歌詞世界に落とし込む櫻井が、今回のメニューでここまで強くメッセージを露わにするのには、それなりの覚悟もあっただろう。その眼差しは鋭く、歌声は力強くもあり、慈愛にも満ちていた。両日それぞれ21曲のうち約半分の10曲が固定曲だったが、そこに加えた11曲により違う景色を味わうことができた。1日目はインダストリアルなEDMナンバー「ICONOCLASM」からスタート。ステージ前に降りたままのスクリーンの向こうから、硬質なハンマービートとエッジの効いたギターリフ、無機質な低音ヴォイスがレーザーと共に繰り出される。荘厳な「BABEL」を経て、ヤガミ・トール(Ds)の張り詰めたドラムイントロから骨太なグルーヴで展開する「唄」、メランコリックな「月下麗人」へと流れる。櫻井の「いらっしゃいませ。楽しんでね」とちょっと科を作った短いMCは、「舞夢マイム」の入り口。台湾の九份のような街並みから部屋の中へとクローズアップした映像の中で、黒いつばの広い帽子と椅子、ちらりと見える太ももを使って、なんとも艶やかな男女の駆け引きを一人演じる櫻井。ハイパーな疾走感で駆け抜ける「狂気のデッドヒート」では、ムービーカメラを持ったカメラマンたちがステージにあがり、上手と下手に伸びる花道を闊歩するアグレッシブなメンバーの姿を捉えた。本編終盤は希望に向かうアップチューンを3曲。演出も華やかで、「Go-Go B-T TRAIN」では、ステージ左右に配した大きなミラーボールが光を放ち、CDジャケットを彷彿とさせるカラフルなグラフィックと、蒸気機関車の蒸気のように吹き上がるスモーク、重厚な車体を軋ませながら軽快に駆け抜けていくような賑やかなアンサンブルで会場のボルテージを引き上げる。続く「Memento mori」では炎が灯ったステージに、トライバルなリズムと沖縄音階、「ウッハ!」の掛け声が鳴り響く。そしてラストは闇から光ある未来へと導く「New World」で締め括った。アンコールは、「Django!!!-眩惑のジャンゴ-」からスタート。エキゾチックな今井のギターに、星野英彦(G)の軽やかなアコースティックギター、間奏からは樋口豊(B)のベースも前面に出てきて濃密なグルーヴを生み出す。櫻井はというと、頭にはシルクハット、首には黒い羽根を纏い、ホットパンツにニーハイで太ももを露わにしたバーレスクスタイルで腰をくねらせながら歌い上げる。ヘヴィネスな「惡の華」の後、「35年前デビューした時のアルバムから懐かしい曲を聴いてください」と、バラードナンバー「ILLUSION」へ。今作がこの2日間で演奏された曲の中では一番古い楽曲で、思い出をなぞるような歌詞と相まって郷愁を誘う。Wアンコールでは、儚さと力強さを併せ持つレクイエム「恋」をしなやかに聴かせた後、宇宙広がるステージで「夢見る宇宙」を披露。そして大ラスは「Solaris」。マクロの世界である宇宙と、ミクロの世界であるヒトの細胞。その繋がりを感じさせるような感動的な映像に乗せた、楽器陣が描く美しいサウンドスケープと、櫻井によるうっとりするようなファルセットが、大きな余韻を残した。35周年を迎えたBUCK-TICKのこれからストレートなロックチューン「エリーゼのために」でオープニングから一体感を生んだ2日目は、1日目よりも歌も演奏も肩の力が抜け、リラックスしているように見えた。櫻井のゆらゆらと綱を渡るようなパフォーマンスで浮遊感を表現した「Tight Rope」や、ずっしりとしたベースリフにギターの硬質なカッティングが映える「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」、月へと抜けるほど伸びやかなヴォーカルで聴かせた「MOONLIGHT ESCAPE」では、アウトロで今井が寝転がったままギターをかき鳴らすエモーショナルな場面も。「ダンス天国」では演奏の前に「Let’s Dance〜」とデヴィッド・ボウイの声真似で1フレーズ歌ってみせたり、今井のギターによるインタールードから始まった「BOY septem peccata mortalia」ではステージ上のカメラクルーとの追いつ追われつの攻防を繰り広げたり、這いつくばってカメラを睨みつけたりと、自由なステージングを展開するメンバーに、こちらの目も追いつかなくなる。ステージに炎が揺らめいた「ROMANCE」では美しいファルセットを響かせ、ラストは1日目と同じく「New World」。光を湛えたようなクリーントーンのリフ、4つ打ちのパワフルなリズムと、前へと突き進む力強いボーカル。ここからまた新しい一歩を踏み出した彼らのステージのエンディングに相応しいナンバーだ。一度目のアンコールは、ベストアルバムで新たにリミックスした「ANGELIC CONVERSATION(2022MIX)」「惡の華」、そしてドラマティックなポップチューン「HEAVEN」の3曲。Wアンコールは、深遠なバラードナンバー「忘却」「夢見る宇宙」、そしてラストは「鼓動(2022MIX)」。すべての生命に捧げるBUCK-TICKの壮大な人間讃歌を高らかに歌い上げ、2日間にわたり行なわれた祝祭の幕を閉じた。35周年を記念する大舞台にありながら、BUCK-TICKはすでに新しいフェーズの中にいた。しかもどうやらすでに追い込まれている様子だ。「35周年始まったばかりなので、いろいろやることがたくさん幸せなことにあります。今日が終わりましたら、明日からアニイとユータはツアーのリハーサルに入ってもらいます。そして今井さんとヒデは新曲を作ってもらいます。私は……寝ます(笑)」という櫻井のMCを聞きながら、3rdアルバムのレコーディングの後に2ndアルバムのツアーに出ていたという激務だった初期のエピソードを思い出し、当時とあまり変わっていないところを見つけて少し笑ってしまった。だけど、そんな5人のドキュメンタリーをこれからも見せてほしいのだ。来春発売予定の新作は、これまでにない新しいコンセプトに基づいた作品になると聞いている。35周年を迎えてもなお、貪欲に進化し続けるBUCK-TICKの未来に期待したい。文=大窪由香撮影=田中聖太郎<公演情報>『Debut 35th Anniversary LIVE「BUCK-TICK 2022 “THE PARADE” 〜35th anniversary〜」』2022年9月23日(金・祝) OPEN 17:00 / START 18:00【FLY SIDE】2022年9月24日(土) OPEN 16:00 / START 17:00【HIGH SIDE】会場:神奈川:横浜アリーナ【セットリスト】■9月23日SE. THEME OF B-TM01. ICONOCLASMM02. BABELM03. 唄M04. 月下麗人M05. 舞夢マイムM06. 狂気のデッドヒートM07. 禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-M08. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)M09. 楽園M10. REVOLVERM11. ゲルニカの夜M12. さよならシェルター(新曲)M13. Go-Go B-T TRAINM14. Memento moriM15. New WorldEN1-1. Django!!!-眩惑のジャンゴ-EN1-2. 惡の華EN1-3. ILLUSIONEN2-1. 恋EN2-2. 夢見る宇宙EN2-3. Solaris■9月24日SE. THEME OF B-TM01. エリーゼのためにM02. BABELM03. Tight RopeM04. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だM05. MOONLIGHT ESCAPEM06. ダンス天国M07. BOY septem peccata mortaliaM08. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)M09. 楽園M10. REVOLVERM11. ゲルニカの夜M12. さよならシェルター(新曲)M13. Go-Go B-T TRAINM14. ROMANCEM15. New WorldEN1-1. ANGELIC CONVERSATION(2022MIX)EN1-2. 惡の華EN1-3. HEAVENEN2-1. 忘却EN2-2. 夢見る宇宙EN2-3. 鼓動(2022MIX)<リリース情報>Debut 35th Anniversary Concept Best Album『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』発売中『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』ジャケット●完全生産限定盤【5SHM-CD+BD】11,000円(税込)●通常盤【5SHM-CD】6,600円(税込)●数量限定盤【5SHM-CD+BD+GOODS】15,400円(税込)※VICTOR ONLINE STORE限定商品【DISC1:RIBELO】01. ICONOCLASM02. NATIONAL MEDIA BOYS (2015MIX)03. ANGELIC CONVERSATION (2022MIX)04. 唄05. 楽園06. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ07. 相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり(2022MIX)08. 無知の涙09. CHECK UP10. 極東より愛を込めて11. BUSTER12. 天使は誰だ13. エリーゼのために14. REVOLVER15. ゲルニカの夜16. さよならシェルターMastered by Randy Merrill at Sterling Sound (USA)【DISC2:GOTIKA】01. BABEL02. Mr.Darkness & Mrs.Moonlight03. masQue04. 月蝕05. SABBAT (2015MIX)06. MISTY BLUE07. 誘惑08. Lullaby-III09. ROMANCE10. 凍える11. 月下麗人12. Django!!! -眩惑のジャンゴ-13. Alice in Wonder Underground14. DIABOLO15. 夢魔 -The Nightmare16. 愛の葬列Mastered by John Davis at Metropolis Studios (UK)【DISC3:ELEKTRIZO】01. DADA DISCO -G J T H B K H T D-02. ケセラセラ エレジー03. GUSTAVE04. Baby, I want you.05. Devil’N Angel06. BOY septem peccata mortalia07. 美 NEO Universe08. メランコリア -ELECTRIA-09. Villain10. 獣たちの夜 YOW-ROW ver.11. 独壇場Beauty -R.I.P.-12. 羽虫のように13. 光の帝国14. 狂気のデッドヒート15. PINOA ICCHIO -躍るアトム-16. MY FUCKIN’ VALENTINE17. BRAN-NEW LOVER18. タナトスMastered by Clemens Schleiwies at SCHLEIWIES STUDIO (Germany)【DISC4:FANTAZIO】01. JUPITER02. ドレス03. 密室04. さくら05. Long Distance Call06. 無題07. 形而上 流星08. RAIN09. 禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-10. Moon さよならを教えて11. 舞夢マイム12. Cuba Libre13. LOVE PARADE14. 夢見る宇宙 -cosmix-15. 忘却Mastered by Alexis Bardinet at GLOBE AUDIO MASTERING (France)【DISC5:ESPERO】01. 疾風のブレードランナー02. RENDEZVOUS〜ランデヴー〜03. 鼓動(2022MIX)04. 世界は闇で満ちている05. GIRL06. 幻想の花07. RHAPSODY08. Memento mori09. FUTURE SONG -未来が通る-10. STEPPERS -PARADE-11. セレナーデ -愛しのアンブレラ-12. JUST ONE MORE KISS Ver. 202113. ONCE UPON A TIME14. ユリイカ15. New WorldMastered by Takahiro Uchida at FLAIR MASTERING WORKS (Japan)【DISC6:VIDA】(Blu-ray)01. JUST ONE MORE KISS02. 惡の華03. スピード04. M・A・D05. JUPITER06. ドレス07. die08. 唄09. 鼓動10. 見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ11. キャンディ12. ヒロイン13. 囁き14. 月世界15. BRAN-NEW LOVER16. ミウ17. GLAMOROUS18. 21st Cherry Boy19. 極東より愛を込めて20. 残骸21. 幻想の花22. ROMANCE23. 蜉蝣 -かげろう-24. RENDEZVOUS 〜ランデヴー〜25. Alice in Wonder Underground26. HEAVEN27. GALAXY28. 独壇場Beauty29. くちづけ30. エリーゼのために31. MISS TAKE 〜僕はミス・テイク〜32. 形而上 流星33. New World34. BABEL35. Moon さよならを教えて36. 獣たちの夜37. RONDO38. 堕天使39. MOONLIGHT ESCAPE40. 凍える41. Go-Go B-T TRAIN購入リンク:完全生産限定盤【5SHM-CD+BD】通常盤【5SHM-CD】数量限定盤【5SHM-CD+BD+GOODS】※数量限定盤は完全生産限定盤とオリジナルTシャツを同梱したVICTOR ONLINE STORE限定セット。※Tシャツのサイズはフリーサイズ(Lサイズ相当)となります。※本セットは数に限りがございますため、発売日前であっても予定数に達し次第、予約・販売終了となります。※本商品は、2022年9月21日(水)より順次お届けを予定しております。※本セットは、お客様都合でのキャンセル・交換・返品はお断りさせていただきます。ベストアルバムオフィシャルレビュー:『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』視聴トレーラーBUCK-TICK LIVE Blu-ray & DVD『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜 in 日本武道館』発売中●Blu-ray完全生産限定盤【BD+2SHM-CD+PHOTOBOOK】12,100円(税込)●DVD完全生産限定盤【2DVD+2SHM-CD+PHOTOBOOK】12,100円(税込)●Blu-ray通常盤【BD】7,700円(税込)●DVD通常盤【2DVD】7,700円(税込)『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜 in 日本武道館』完全生産限定盤ジャケット■完全生産限定盤(Blu-ray / DVD共通)・LIVE TRACKS CD(2枚組)付属※すべてのCDプレーヤーで再生できる高品質CD「SHM-CD」を採用・全64Pフォトブック付属・スペシャルパッケージ仕様【Blu-ray収録】SE. THE DUSK 〜start〜01. DIABOLO02. 夢魔 -The Nightmare03. 楽園04. 謝肉祭 -カーニバル-05. Lullaby-III06. 絶界07. Living on the Net -Acoustic Ver.-08. 光の帝国09. ユリイカ10. 忘却11. BABEL12. 獣たちの夜13. 堕天使 YOW-ROW ver.14. Villain15. 舞夢マイム16. MOONLIGHT ESCAPE17. 形而上 流星 -Acoustic Ver.-18. JUST ONE MORE KISS Ver.202119. 唄 Ver.202120. ICONOCLASM Ver.202121. Alice in Wonder Underground22. 恋23. Go-Go B-T TRAIN24. 独壇場Beauty -R.I.P.-【DVD収録】■DISC1SE. THE DUSK 〜start〜01. DIABOLO02. 夢魔 -The Nightmare03. 楽園04. 謝肉祭 -カーニバル-05. Lullaby-III06. 絶界07. Living on the Net -Acoustic Ver.-08. 光の帝国09. ユリイカ10. 忘却■DISC201. BABEL02. 獣たちの夜03. 堕天使 YOW-ROW ver.04. Villain05. 舞夢マイム06. MOONLIGHT ESCAPE07. 形而上 流星 -Acoustic Ver.-08. JUST ONE MORE KISS Ver.202109. 唄 Ver.202110. ICONOCLASM Ver.202111. Alice in Wonder Underground12. 恋13. Go-Go B-T TRAIN14. 独壇場Beauty -R.I.P.-購入リンク:Blu-ray完全生産限定盤【BD+2SHM-CD+PHOTOBOOK】完全生産限定盤【2DVD+2SHM-CD+PHOTOBOOK】通常盤【BD】通常盤【2DVD】<ライヴ情報>Debut 35th Anniversary LIVE『BUCK-TICK 2022“THE PARADE”〜35th anniversary〜』【ライヴ放送】■FLY SIDE10月23日(日) 18:00~ WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド■HIGH SIDE11月23日(水・祝) 21:00~ WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド詳細はこちら:特設サイト:『BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.』10月13日(木) 東京・立川ステージガーデン開場 17:30 / 開演 18:3010月15日(土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール開場 17:00 / 開演 18:0010月18日(火) 埼玉・川口総合文化センター リリアメインホール開場 17:30 / 開演 18:3010月21日(金) 長野・ホクト文化ホール 大ホール開場 17:30 / 開演 18:3010月22日(土) 石川・本多の森ホール開場 17:00 / 開演 18:0010月29日(土) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール開場 17:00 / 開演 18:0010月30日(日) 岡山・倉敷市民会館開場 17:00 / 開演 18:0011月4日(金) 東京・東京国際フォーラム ホールA開場 17:30 / 開演 18:3011月6日(日) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場開場 17:00 / 開演 18:0011月12日(土) 北海道・札幌カナモトホール(札幌市民ホール)開場 17:00 / 開演 18:0011月19日(土) 宮城・仙台サンプラザホール開場 17:00 / 開演 18:0011月20日(日) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホール開場 17:00 / 開演 18:0011月26日(土) 広島・上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)開場 17:00 / 開演 18:0011月27日(日) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール開場 17:00 / 開演 18:0012月3日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホール開場 17:00 / 開演 18:0012月4日(日) 香川・レクザムホール 大ホール(香川県県民ホール)開場 17:00 / 開演 18:0012月10日(土) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール(旧:名古屋市民会館)開場 17:00 / 開演 18:0012月11日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホール開場 17:00 / 開演 18:0012月15日(木) 千葉・千葉県文化会館 大ホール開場 17:30 / 開演 18:3012月19日(月) 大阪・大阪フェスティバルホール開場 17:30 / 開演 18:3012月20日(火) 大阪・大阪フェスティバルホール開場 17:30 / 開演 18:30【チケット料金】9,900円(税込)発売中オフィシャルファンクラブ[FISH TANK]:オフィシャルモバイルサイト[LOVE & MEDIAPORTABLE]:周年スペシャルサイト:関連リンクBUCK-TICK オフィシャルサイト デビュー35周年記念特設サイト: Sounda LABEL SITE オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルYouTubeチャンネル 楽曲配信リンク:
2022年09月27日