WANIMAが、12月17日(金) 東京ガーデンシアターにて『Boil Down 2021』を開催。そのオフィシャルライブレポートが到着した。昨年12月に初開催されたWANIMAのワンマンライブ『Boil Down』が今年も帰ってきた。会場は前回と同じく東京ガーデンシアター。開演時間を迎え、オープニングSE「Boil Down」が流れ出し、カラフルな照明がステージを照らし出すと、嵐のような手拍子がフロアから巻き起こる。そして登場したKENTA、KO-SHIN、FUJIの3人。登場するや否や大興奮の観客をさらに煽り立てていく。「忘年会やぞ!いこうか!」。そんなKENTAの言葉を合図に、ライブは1曲目「GET DOWN」からスタートだ。そこから「今日はとんでもない1日になるぞ!」とKENTAが宣言し「夏の面影」へ。「久しぶりやんけ!WANIMAのライブ久しぶりやんけ!」と客席に語りかけながら、ファストな2ビートで突っ走るサマーチューンが12月の東京に真夏の熱を運んでくる。KENTAの歌はもちろん、その横でマイクに向かって叫ぶKO-SHINのコーラスも元気いっぱい。「ジャンプ!ジャンプ!」という彼の声に、観客も全力のジャンプで応える。演奏を終えるとKENTAとKO-SHINがハグ。まだたった2曲だが、KENTAは息を切らしている。確かにド頭からとんでもないテンションだ。「ちょっと落ち着こう、いったん座ろう」と観客を座らせると、KENTAが改めて挨拶。「めっちゃ会いたかった!」と言いながら、取り出したオペラグラスで客席を見渡している。「みんなが声出せないぶん、WANIMAのKENTA、みんなの代わりに歌うので。楽しんでください!」。ヤバい、ヤバいと繰り返すKENTA、確かに彼のテンションもいつもと違う。「テンション上がったらステージに上がってきてもいいので」という言葉も、本気なんじゃないかと思わせる。まだ2曲だが、すでに会場のボルテージはマックス。このまま最後までいけるのか、ちょっと心配になるほどである。さて、ライブは「Cheddar Flavor」で再開。KO-SHINのギターが気持ちよくコードを刻み、KENTAのベースが轟音でそれを迎え撃つ。さらに「Chilly Chili Sauce」「月の傍で」「LIFE」と3部作からの楽曲を披露すると、KO-SHINの優しいギターに乗せてKENTAが再び歌い始める。「ありがとうを込めて歌った」。そう、「THANX」だ。だがこの日の「THANX」は今まで聴いたことのない「THANX」だった。もちろん歌詞に込められた思いは変わらないが、それをWANIMAの3人はより力強くぶっ放す。いつもよりアッパーに、そして軽快に聞こえるこの曲のあり方が、「Boil Down」というイベントの意味を象徴しているように思えた。FUJIが鳴らす鈴の音も加わり、この季節らしい色合いを帯びた「SNOW」では客席でスマホのライトが揺れるなか、KENTAの壮絶な歌が会場に広がっていく。天を指さして歌い終えると、KENTAは拍手をしながらこの曲を美しく彩ってくれたオーディエンスに「ありがとう」と言葉をかけた。と、ステージから放たれた青白いレーザー光線が、まるで青空のように会場を覆っていく。力強いギターリフとともに鳴らされたのは「ANCHOR」だ。またしても観客の熱い手拍子がバンドを後押しする。ギターをかき鳴らすKO-SHINの顔には笑み。軽くステップを踏む姿からは、心からこのライブを楽しんでいる様子が伝わってくる。「おい、Boil Down!この音は、KO-SHINが弾きよるギターは、FUJIくんが叩きよるドラムは、俺らにとって必要なものだから。目の前におるお前たち、俺らにとって必要なものだから。おらんとダメやから!となりにおってくれよ!となりにおってくれよ!今もこうやって変わらずに歌っとるぞ、いつでも帰ってこいよ!あのとき、あのとき、今やったら……」。思いの丈を叫び、「SHADES」を歌い始めるKENTA。彼が「必要なもの」と言ったKO-SHINのギターが、FUJIのドラムが、がっちりとスクラムを組んでその歌声を支えている。シンプルなロックナンバーだが、そのぶんWANIMAというバンドの骨格をまざまざと見せつけられるような気分になる。「いつでも帰ってこいよ!いつでも会いに来いよ!」。毎年続けるイベントとしてこの『Boil Down』を始めた意味が、KENTAが繰り返すそんな言葉にも宿っている気がする。毎年12月、ここに来ればWANIMAに会える約束の場所。そんな場だからこそ、ステージの3人は全力でオーディエンスを楽しませにかかるのだ。4つ打ちのリズムに乗せて「今日はBoil Down」と繰り返しながらクルクルとダンスをするKENTA。マイクを向けたKO-SHINが「今日……」と独特の調子で歌うと、たまらず笑い転げてしまう。「毎日は守ってあげられないけど、今日1日やったら守ってやるからな!全員で楽しもう!」という言葉から「昨日は今日の踏み台に好きに飛べ、ここ有明で!」と叫んで「つづくもの」へ。FUJIが「みなぎる〜!」と叫べば、KENTAは「チカラー!!」と声を上げる。そんな彼の姿をライブで観るのもずいぶん久しぶりという感じがする。そこからコール&レスポンスへ。もちろん歓声は上げられないので声のレスポンスはないが、それでも心と心でがっちり受け答えが成立していることが、確かに感じられる。さらにそこに重ねられるのが、鉄板パーティチューン「オドルヨル」だ。観客総出でのジャンプで、客席が大きく波打つように揺れる。歌い終え、楽しくて暴れすぎたのか「ちょっと1回、息整えんと」と言うKENTA。だが、そう言ったそばからいきなりステージの端から端までダッシュを決めてみせる。相変わらずのハイテンションである。「めちゃくちゃ楽しいです!ありがとう!」という言葉には素直な気持ちが溢れている。「よかった、またみんなに会えた」ツアーで感じたこと「WANIMAとみんなで忘年会みたいなライブができたらいいなっていうので、毎年1回だけの楽しみを作りたくて」とこのイベントを始めた理由を語り、「まだ2回目なんやけどさ、もうすでに来年が楽しみ」と笑顔を見せる。いつも観客ひとりひとりにめちゃくちゃ近い距離で喋るKENTAだが、忘年会だけあって今日はますます近い。そんな口調で、24公演を回った『Cheddar Flavor Tour 2021』で感じたことを話し始める。「みんなで作り上げてみんなで成功させるっていうツアーを終えて今日なので、なんかほっとしてるのと、『よかった、またみんなに会えた』っていうので、今3人、めちゃくちゃ音楽できてます」という言葉に客席から送られる温かな拍手。「いつでも楽しい場所作っとくけん、何かあったら頼ってほしいなって、変わらずに思っとる。見た目はちょっと変わったかもしれんけど、気持ちはあのときのままやってます。なんなら今が一番かっこいいと思ってる。みんなもそうよ。今が一番かっこいい。他の人はいろいろ言うかもしれんけど、自分が思ってること信じて」。WANIMAの真ん中にあるメッセージを丁寧に言葉にすると、KENTAは静かに歌い始める。KO-SHINの弾くアルペジオに合わせて「帰る場所がわからなくなっても 忘れないでいてほしい こんな歌があること」という特別なフレーズから入っていった「HOME」。曲が進めば進むほど、歌や演奏に込められた感情が高まっていく。全力を出し切るように打ち鳴らされるドラム、KENTAの歌に重ねられるコーラスの力強さ、それが合わさったときの問答無用の頼もしさ。「もう一回、全員で!」。そんなKENTAの呼びかけに、満場の手拍子が響き渡る。そしていよいよ本編最後の曲へ。「みんな聞こえとるか?ひとりひとりに言うんやぞ!知らんとこで悩むなよ!知らんとこで迷って、知らんとこでコケて、知らんとこで苦しい思いすんなよ!いつでも弱音吐いていいんやからな!WANIMAがおるんやからな!負けるなよ、みんな負けるなよ!」。めちゃくちゃストレートなKENTAの言葉からまばゆい光のなかで鳴らされたのはWANIMAがみんなに伝えたいことをまっすぐに歌った「ネガウコト」だ。歌もベースもドラムもギターも、とても丁寧に音楽を届けてくる。大変なことや苦しいこともたくさんあったこの1年が、そんな音楽によって照らし出され、肯定されるような、そんな響きだった。鳴り止まない拍手に応えたアンコールでは、12月15日に配信リリースされたばかりのABEMAオリジナル恋愛番組『シャッフルアイランド』主題歌「曖昧」をライブ初披露。緑のライトに照らされるなか、タイトなグルーヴが繰り出されていく。KENTAの弾くベースラインがシリアスなムードを醸し出し、韻を踏みながら進んでいく歌詞が軽やかにヒリヒリとした思いを伝えてくる。沸騰寸前ギリギリの状態でずっと続いていくような展開が新鮮だ。時折身振りを交えながら歌うKENTA。歌い終えて「新曲の『曖昧』でした、ありがとう!」と笑顔を見せると、「来年はどんな年になるやろうな。いろんなことあるかもしれんけど、WANIMAついてるから」と客席に語りかけ、「ともに心で歌ってください」と「ともに」を歌い始める。人差し指を天高く掲げると、それが合図のように客席では一面のジャンプが広がっていく。それを見ながらドラムを叩くFUJIも笑顔だ。KO-SHINは上階スタンドに目を向けながらひたすらギターをかき鳴らす。そしてラスト、「よいお年を!」という言葉とともに1stミニアルバム『Can Not Behaved!!』からのショートチューン「Hey Lady」をぶちかます。最後は客席とタイミングを合わせてのジャンプで締め。やり切った表情の3人は笑顔でステージから去っていった。この『Boil Down』は来年も続いていくだろう。去年の『Boil Down』はコロナ禍のなかで久々に開催された有観客ワンマンということで特別な意味を持っていたが、今回2回目の開催を経て、このイベントはもっと大きな意味でWANIMAとファンを繋ぐものになった。もうすぐやってくる新しい年も生き抜いて、またこの場所で会おう――そんな約束を交わすような、熱くて楽しくて特別なライブだった。文:小川智宏<リリース情報>WANIMA「曖昧」配信中WANIMA「曖昧」ジャケット配信リンク: オフィシャルHP:
2021年12月18日HYが、12月12日に『HY SKY Fes』を沖縄県総合運動公園多目的広場で開催。そのオフィシャルレポートが到着した。「子供たちが夢を見つける場所をつくる。家族を繋げる場所をつくる」をテーマに2011年、2014年に開催されたHY主催による音楽フェス『HY SKY Fes』。3回目となる『SKY Fes2020』は、当初2020年3月に開催予定だったものの、新型コロナウイルスの感染流行による影響を受け、2度の延期を余儀なくされ、2021年12月12日(日) に満を持して開催されることとなった。会場となった沖縄県沖縄市の沖縄県総合運動公園多目的広場は周囲を緑に囲まれた海のそばの広大な公園。地元の人々の憩いの場として親しまれている。豊かな大自然を存分に体感できる会場は複数のエリアに分けられており、音楽だけでなく様々なコンテンツが用意された。主催のHYをはじめとする豪華アーティストがライブを行うメインステージの他、人気マジシャンであるMASA MAGICによるマジックショーが行われたり、HYと子供たちが一緒に楽器作りに挑戦するなど様々なワークショップやアスレチックなどファミリー向けのコンテンツが充実した野外広場、沖縄で人気のキッチンカーが一堂に会するフードエリアなどだ。さらに、今回は初の試みとして、会場にテントを張って宿泊できるキャンプサイトを設置。前日からフェスを楽しめるようになった。フェス前日の12月11日(土) には前夜祭も行われ、キャンプサイト宿泊者のためだけのHYアコースティックライブが披露された。ランタンの灯に照らされた幻想的な空間の中、美しい星を眺め、潮風を感じながら、HYの演奏を至近距離で楽しめるプレミアムなライブとなった。今回は環境にやさしい手作りのフェスもテーマのひとつとし、メンバー自ら会場の装飾やワークショップ企画に取り組んでいる。仲宗根泉は学生ボランティアとともに板やランプを使って会場装飾を手掛け、細かいところにまでこだわって仕上げた。「今日も朝からずーっと作業しててさ、スタッフかと思うよ(笑)。舞台監督みたいになってるもん(笑)。メンバーも手伝ってくれて、スタッフもボランティアのみなさんも、泉さんの世界観を崩したくないからって細かいところまで全部聞きにきてくれて、おかげでこんなに素晴らしい装飾になりました」と話す。「予算削れっていわれてるから、自腹で材料買ってさ、土日も返上して娘にも手伝ってもらったんだよ。あーちゃん(※泉さんのお子様のお名前)、ありがとうね!」手作りのぬくもりあふれる会場で、翌朝には気持ちのよい空気のなかでのヨガ、HYと一緒に自然のものや身の回りのものを使って楽器を作るワークショップやサンゴ染め体験、焼き芋作りやピザ焼き体験などが行われた。SDGsをテーマにしたHYの新たな取り組み「HeartY Clean活動」の一環として、公園内や砂浜でのごみ拾いも実施。音楽を聴いてライブを見るだけでなく、親子で参加できるコンテンツが多いのもSKY Fesの特徴のひとつだ。「前回のフェスでぼくらがライブしているときに、小さいお子さんがきてくれてたんだけど、ぼくらのこと全然見てなくてさ、ずーっとギター持ってるスタッフ見てるわけ。『かっこいい~!』って。一応ぼくらそこそこ売れてるアーティストだよ(笑)?でもそういうのなんかいいなと思ってさ。料理作ってるひと見て料理人になりたいとか、そういう子供たちの夢が生まれるんじゃないかって(新里英之)」2022年3月には名嘉俊が絵本を出版することも決まり、子供の夢を応援するための活動に力を入れるHY。SKY Fesはその活動の集大成ともいえる。前夜祭にはHYの名曲「AM11:00」を題材にした映画の監督を務めた山下歩監督も駆けつけ、メンバーと共に行ったことのあるサンゴ保護活動の紹介を通してともに自然保護を訴えた。「この環境はあたりまえじゃない。このフェスを通してみんなで一緒に学んで、力を合わせて守っていきましょう」と訪れた人々に語りかけ、星空の下での前夜祭を終えた。「空はどこまでも繋がっている」HYの想いが人々の心に響いた、HY SKY Fes。次回開催の2023年が待ち遠しい。SDGsを意識したフェスづくり1回目、2回目のSKY Fesはあいにくの天気だったが、3回目は雲ひとつない見事な晴天で、会場の沖縄県総合運動公園多目的広場には全国から約7000人が来場した。緊急事態宣言が解除され、入場制限が緩和されてはいたが、感染対策としてソーシャルディスタンスが徹底され、マスク着用、アルコール禁止など様々なルールが用意された。オープニングでは主催のHYが登場し、新里英之が「みんなが一日一日頑張ったから今日のこの日がある。最後までルールを守ってすてきな思い出を作ろう!」と呼びかけた。大声を出すこともできないなか、手を叩いたりタオルを振ったりという動作でステージに思いを届け、これまでのフェスにはなかった新たな一体感が生まれた。メインステージの出演アーティストはHY含め7組。全員がこの日を心待ちにしていた。トップバッターはアカネキカク。80年代のカルチャーをコンセプトにしたバブリーダンスはYouTube再生回数1億回を超え、小さな子供からお年寄りまで幅広い世代に人気だ。主宰のakaneによるレクチャーで来場客も一緒にバブリーダンスを踊り、会場を盛り上げた。アカネキカク2組目の大城美友は沖縄県名護市の出身。地元沖縄での凱旋ステージとなる。デビュー曲の「オレンジバタフライ」や「今の時代に合っている曲だと思う」と自ら語る「輝き人」を伸びやかな声で歌い上げた。大城美友肝高の阿麻和利はHYの地元でもあるうるま市の中高生が出演する現代版組踊。沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描くいわば「沖縄版ミュージカル」だ。今回はSKY Fesのために本来2時間を超える大作を20分のダイジェスト版にまとめた。SKY Fesでは伝統芸能にもスポットをあてており、子供たちの夢づくりと地域おこしの両方を兼ね備えたステージとなった。肝高の阿麻和利FUNKY MONKEY BΛBY’Sとして8年ぶりとなる再始動を発表したファンキー加藤は、「花」「冷めた牛丼をほおばって」など熱量の高いナンバーを完全熱唱し、会場を盛り上げた。「告白」、「あとひとつ」、「希望の唄」、「ちっぽけな勇気」などファンモン楽曲もメドレーで披露。「次はFUNKY MONKEY BΛBY’Sとしても沖縄に戻ってきます!」とファンを喜ばせた。ファンキー加藤清水翔太は、生バンドに自らもピアノを弾きながら「HOME」を歌うなど、圧巻のステージ。「コロナもあってあまりライブはできなかったけど、2021年に注目していただいたTHE FIRST TAKEで歌った2曲を披露したいと思います。」として、一発撮りパフォーマンスTHE FIRST TAKEで話題を集めた2曲「花束のかわりのメロディーを」、「恋唄」を披露。そして自身のカバーアルバムにも収録されている桑田佳祐の「白い恋人達」もしっとり歌い上げた。清水翔太沖縄でのライブは20年ぶりとなるKICK THE CAN CREWは「20年もたったらほぼ新人と一緒でしょ。全部新曲といっても過言……ではあるか(笑)。でもせっかくだからさ、夏の曲も冬の曲も、季節関係なくやりたい曲全部やります(KREVA)」と、「地球ブルース~337~」、「マルシェ」、「sayonara sayonara」、「クリスマス・イブRap」など名曲を中心に披露。若手に負けないエネルギッシュなステージを見せた。「昨日の夜も3人でホテルで部屋飲みしてさ、なんか新鮮な気持ちになれたよね。また3人で沖縄にきたいです(LITTLE)」と、20年ぶりの沖縄に3人のボルテージも上がったようだった。KREVA(KICK THE CAN CREW)トリはもちろんHY。他では見られないSKY Fesならではのコラボステージが披露された。「no rain no rainbow」ではアカネキカクがダンサーとしてパフォーマンス、「帰る場所」では那覇市の真和志高校手話部と地元団体「琉球国祭り太鼓(りゅうきゅうこくまつりだいこ)」が手話と太鼓でコラボした。さらに、清水翔太とは「清水翔太 feat. HY」として名曲「366日」を披露。圧倒的パフォーマンスに会場の拍手がなりやむことはなかった。仲宗根泉×清水翔太名嘉俊「7年ぶりのSKY Fesです。ここにこられなかった人たちのぶんまで楽しんでいってください。声は出せないけど、手叩いてジャンプして一緒に盛り上がろう(新里英之)」と、アンコールの「ホワイトビーチ」まで7曲をやりきった。新里英之許田信介「今年1年いろいろあったよね。やりたいこと、できなかったことたくさんあったと思うけど、最後はみんなで飛び上がろう」と約7000人の観客がHYの曲に合わせて飛び跳ね、手を叩いて、会場がひとつになった。アーティストだけでなく、観客も含めたすべての人たちが待ち望んでいた瞬間だった。様々な制限を課されたなかでのSKY Fesだったが、トラブルもなく、だれもがルールを守って互いに協力し合ってフェスを成功させようと思いをひとつにしていた。ソーシャルディスタンスやマスク着用の順守にも文句が出ることはなく、フェス終了後にはゴミを持ち帰る人の姿も多く見られた。コロナ禍のなかでそれぞれにできることを探しながら、それでも未来に向かって進む気持ちが形となった、そんな一日だった。次回開催は、2023年だ。そして今回、このライブ&フェスの模様が、舞台裏と合わせて来年2月26日(土)にフジテレビTWOで放送される。(放送楽曲は未定)文:普天間伊織撮影:Yuta Nakama / Keita Higa<公演情報>『HY SKY Fes 2020→2021』12月12日(日) 沖縄県総合運動公園多目的広場セットリスト■アカネキカクバブリーダンス■大城美友M1. 一帆風順(short ver.)M2. wonderM3. ブルーホライズンM4. オレンジバタフライM5. 輝き人■ファンキー加藤M1. MUSIC MAGICM2. 花M3. OUR MIC FESメドレー(告白~あとひとつ~希望の唄~ちっぽけな勇気)M4. 冷めた牛丼をほおばってM5. まわせ!M6. 本当のこと■肝高の阿麻和利「肝高の阿麻和利」スペシャルダイジェスト・ハッタラーMC・あは節・伊計離節・カチャーシー・棒術・あまわり誕生~歓喜・肝高の詩■清水翔太M1. Sorry Not SorryM2. FridayM3. You&IM4. 花束のかわりのメロディーをM5. 恋唄M6. 白い恋人達M7. HOME■KICK THE CAN CREWM1. 千%M2. 地球ブルース~337~M3. マルシェM4. イツナロウバM5. クリスマス・イブRapM6. sayonara sayonaraM7. アンバランス■HYM1. no rain no rainbow withアカネキカクM2. ココロホシゾラM3. 366日 with清水翔太M4. 帰る場所 with 真和志高校手話部&エイサーM5. AM11:00M6. 隆福丸EN1. ホワイトビーチ<番組情報>『HY SKY Fes 2020→2021 & 前夜祭』2022年2月26日(土)18:00~20:30 フジテレビTWO ドラマ・アニメで放送出演:アカネキカク / HY / 大城美友 / KICK THE CAN CREW / 肝高の阿麻和利 / 清水翔太 / ファンキー加藤 / MASA MAGIC(※50音順)※放送楽曲未定※スカパー!放送サービスでフジテレビONE / TWO契約の方はスカパー!番組配信でもご視聴いただけます。番組公式サイト:
2021年12月14日GLIM SPANKYの全国ツアー追加公演『GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”』のオフィシャルレポートが到着した。2021年12月7日。GLIM SPANKYが全国7箇所を回ったツアー「GLIM SPANKY Live Tour 2021 」の追加公演、「GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”」を新木場USEN STUDIO COASTで開催した。STUDIO COASTは2022年1月をもって約20年の歴史に幕を閉じる。バンドには全国津々浦々、思い出の地や音楽性を磨いてきた聖地があるものだが、GLIM SPANKYにとって同所は、ワンマンライブや数々のイベントで何度もその舞台を踏んだ、もっとも思い入れがある場所のひとつだ。そして新型コロナウイルスのパンデミックによって思うようにライブ活動ができなかった期間を経て、未だ予断を許さぬ状況は続いているものの、約2年ぶりに開催することができたツアーの最終日。さらにこの日は松尾レミ(Vo / Gt)の誕生日(本人はステージが楽しくて自分のことは忘れていたとMCで話していたが)ということで、いつにも増して素晴らしいステージになるであろうと、期待に胸を膨らませながら会場に足を運んだ観客も多くいたことだろう。結論から言えば、まさにスペシャルな夜。初期の曲から2020年10月にリリースされた最新アルバム『Walking On Fire』まで、ライブでの定番曲あり、痒いところに手が届くチョイスありの、アンコールも含めた全21曲の流れに痺れた。舞台のセットや照明も含め、持ち前の変わらぬ魅力や音楽的な進化をこの上ないレベルで味わうことができた、ここまでのキャリアの集大成と言っていい至極の時間。それと同時に、バンドの未来に指す光が見えるようなパフォーマンスだった。『Walking On Fire』のオープニングを飾るダイナミックなインスト曲「Intro: Walking On Fire」が流れると、お馴染みのサポートメンバー、栗原大(Ba)、かどしゅんたろう(Ds)、中込陽大(Key)とともに松尾と亀本寛貴が登場する。1曲目はファーストアルバム『SUNRISE JOURNEY』から「サンライズジャーニー」。The Rolling Stonesの60年代後半から70年代初頭に架かる橋をさっそうと渡るような、小気味良いブルースロックサウンドとともにアンセミックなメロディを展開する、GLIM SPANKYのキャリアのなかでもオーセンティックなロック色の強い人気曲だ。しかし、意外と近年のライブでは演奏していなかったこともあり、声こそ出せないご時世だが場内の空気が大きく沸いた。続いて「THE WALL」から「BIZARRE CARNIVAL」で、サードアルバム『BIZARRE CARNIVAL』の冒頭の流れを体現する。青と黄の照明と舞台に敷かれたレトロな赤のカーペットの色彩感や、音源よりもヘビーなサウンドの迫力に割れんばかりの手拍子が起こった「THE WALL」、浮遊感のあるサウンドと優しいメロディにフロアがほのぼのと揺れた「BIZARRE CARNIVAL」。そんなGLIM SPANKY流サイケデリアのコントラストが見事だった。松尾レミそして土くさいギターリフと120BPM台の四つ打ちを掛け合わせたブルースディスコとでも言いたくなる「いざメキシコへ」から、映画『ONE PIECE FILM GOLD』の主題歌としてもお馴染みの「怒りをくれよ」へと、序盤は“GLIM”で“SPANKY”なバンドの持つ色を明快に示す名刺代わりのセットを披露した。次のゾーンは亀本が「前半からやりすぎた(笑)」と冗談交じりで話していたほどに弾きまくる。インディーデビューのミニアルバム『MUSIC FREAK』から、ライブでは亀本の全力で気ままなギターソロから始まるパターンが定番になっている「ダミーロックとブルース」、そして「Flower Song」へと、プリミティブなギターサウンドが炸裂。亀本寛貴そしてGLIM SPANKYのレパートリーのなかでも最大のアンセム「大人になったら」を早くもここで演奏したことは、今となってはどこに何の曲を入れても問題ない、純粋に表現したい世界感を向き合ってライブを構築できる今の二人とサポートメンバーの耐久力を象徴しているように思えた。そんな初期の曲を中心に情熱的なロックを展開した前半から、中盤ではGLIM SPANKYの新しいチャンネルが顔を出す。妖しげな夜の世界を演出するように深くて青い照明の幕がメンバーの前に照らされると、その向こうで「NIGHT LAN DOT」が響く。そして最新アルバム『Walking On Fire』から「こんな夜更けは」と「Up To Me」へ。60年代のロックンロール / R&Bや、そういったサウンドがリバイバルした00年代の洗礼を受けたバンドが、90年代から00年代、現代へと続く、モダンでスムースなソウル / R&Bにアプローチ。松尾がギターを下ろしハンドマイクでステージ上を踊りながら動く。亀本も心地よいグルーブに体を横に揺らしながらギターを弾く。そして観客も踊る。2020年にGLIM SPANKYが提唱したロックサイドからのクロスオーバーカルチャーが結実した瞬間だった。色とりどりの豊かな引出しで魅せたクライマックスステージは終盤へ。前述したようにジャンルの幅を広げた『Walking On Fire』のなかでも、トラディショナルなロックの真ん中を射抜く精神は忘れない「Singin’ Now」、陽のサイケポップ「The Flowers」ではタイトル通りの派手で鮮やかな照明の演出で楽しませてくれた。そして濃厚でブルージーなナンバー「いざメキシコへ」に対して、同じサイケなダンスナンバーでも、2015年にTame Impalaがアルバム『Currents』でエレクトロを大胆に取り入れ、サイケとポップの関係性を新たに構築しシーンの流れを変えたことと共鳴するドリーミーな「In the air」から、ハンズクラップや大合唱できるコーラスの効いた、シンプルでパワフルなロック「NEXT ONE」へ。冒頭で示した色とりどりのGLIM SPANKYさながらの豊かな引出しを、再びここで展開した。締めはスローなナンバーを3曲続けて演奏。幻想的なサウンドスケープが美しい「ストーリーの先に」のテイストを汲みつつ、よりメロディの輪郭が強く「大人になったら」を塗り替える力を持った「美しい棘」の流れは涙ものだった。そしてラストは『Walking On Fire』から、もっとも挑戦的なダウンテンポと宇宙を描いたようなビッグで先鋭的なサウンドが響く「Circle Of Time」で大団円。時代とともに進化を求める姿勢が“変わらない”からこそ“変わりゆく”メンタリティとファンとの信頼関係によって、ロックの現在に大きな旗を打ち立てた瞬間だった。アンコールはストイックな本編から一転してアットホームなムードで。まずは亀本いわく「5年ぶりくらい」に演奏したという「夜が明けたら」。松尾がまだ大学生の頃に書いた曲だそうで、確かに、現在のGLIM SPANKYに繋がるサウンドの片鱗はあるが、初期衝動に溢れた青いメロディが心に響く。そして松尾が「最後はやっぱり盛り上がっていきましょう」と「褒めろよ」と「リアル鬼ごっこ」で終了。攻めに攻めて新しいサウンドを投げかけ続けることも、なんだかんだベタが一番だという気持ちも、同じ“ポップ”という枠の中で捉えられる柔軟さや寛容さ、ユーモアこそがGLIM SPANKYでありロックなのだと強く思った。すべてを終えて記念撮影をしたあと、満面の笑みでステージを見ながら去っていく亀本、何度も何度もぴょんぴょんと跳ねながらフロアを振り返って手を振る松尾の姿が印象的だった。GLIM SPANKYはここから本格的なアルバムの制作に入り、そう遠くないうちにニューアルバムをリリースするという。二人の次なる一手と、再びライブ会場で会えることを、首を長くしながら待つ。Text:TAISHI IWAMI / Photo:上飯坂一<公演情報>GLIM SPANKY Live Tour 2021 “Extra Show”2021年12月7日(火) 東京・USEN STUDIO COASTセットリスト1. サンライズジャーニー2. THE WALL3. BIZARRE CARNIVAL4. いざメキシコへ5. 怒りをくれよ6. ダミーロックとブルース7. Flower Song8. 大人になったら9. NIGHT LAN DOT10. こんな夜更けは11. Up To Me12. Singin’ Now13. The Flowers14. In the air15. NEXT ONE16. ストーリーの先に17. 美しい棘18. Circle Of Time-encore-1. 夜が明けたら2. 褒めろよ3. リアル鬼ごっこ<リリース情報>GLIM SPANKY 5th アルバム『Walking On Fire』Now On Sale購入・配信リンク:『SUNRISE JOURNEY』『LOOKING FOR THE MAGIC』『Walking On Fire』アナログ盤3タイトル発売中価格:各4,840円(税込)関連リンクGLIM SPANKY オフィシャルサイト: SPANKY オフィシャルモバイルサイト「FREAK ON THE HILL」: SPANKY ユニバーサルミュージック サイト:
2021年12月08日MONOEYESが11月2日にライブツアー『Between the Black and Gray Tour 2021』の東京・日本武道館公演を開催。そのオフィシャルレポートが到着した。いつもは謙虚な戸高賢史が「各地でみんなの気持ち背負ってきた、今日の俺らは強いと思う。ぶちかますんで」と珍しく宣言していた。スコット・マーフィーはバンドに誘われた7年前を振り返り「あの時、不安だったけど日本に行ってよかった。MONOEYESやってほんとよかった」と広い会場を見上げて微笑んだ。一瀬正和は2時間ほとんど笑顔のまま。1年前の記憶が蘇るのか「お客さんのいる武道館っていいですね」と偽らざる本音をこぼす。そして細美武士は、最初に「こんな幸せな日はねぇよ」と一言。後半になると「一回やれればいいやと思ってたけど……ここは楽しいね」と次の可能性さえ匂わせる発言を飛ばす。もちろん予定はなく、自分でも思っていなかったことがつい口に出ただけなのだろう。日本武道館がそんなことを言わせるのだ。この会場の歴史と雰囲気が特別であること、さらに昨年10月、少数のスタッフのみでこの場所から無観客配信ライブをやらざるを得なかった事実が、4人の口調をいろいろと浮つかせている。細美武士これが本当に特別な、待ちに待った夜であることは誰の目にも明らかだった。両脇の巨大ヴィジョン、ステージ後方のLED CG映像、さらにド派手なムービングライトや上下使いのミラーボールが次々と楽曲に華を添える。指定席で座っていても十分に楽しい演出がたっぷり用意されていた。それに見合うだけのスケールを今のMONOEYESは手に入れたのだ。サードアルバム『Between the Black and Gray』の楽曲たち。映画のスクリーンに飲み込まれていくような「Fall Out」や「Bygone」のずっしりしたリズム、力強く踏み鳴らすようなリフの重量感は、まさに武道館のためのもの。この4人にしか出せない熱の滾りがあり、会場の隅々にまで音を手渡していく技術力とマンパワーがある。戸高賢史さらには中間に響き渡ったミドルテンポの「Nothing」。暗がりの中でひとつの灯りをゆっくり手繰り寄せるような曲調、その灯りの温もりまでが伝わるようなディティールは、ライヴハウスでバカスカ飛び跳ねているだけでは絶対に手に入らないものだ。そういう「ザ・武道館」仕様の提示をしながら、同時にとにかくバカスカ飛び跳ねるライヴバンドのままであるところが最高だった。幕開けこそ威風堂々でも、4曲目「Free Throw」あたりで空気は変わる。細美と戸高はこれ以上近づけないほど接近して対面し、スコットはぐるぐると楽しそうに回転。そして曲の終わりには3人が自然にドラムセットへと向かう。観客に背を向け、天井の日の丸などもそっちのけで「一瀬、お前のキメで最後にジャンプするぞ」と待ち構えているわけだ。まったく、この広いステージでどんだけ密にくっついてるのか。距離の近さが可笑しくて仕方がない。一瀬正和待ちに待った「ザ・武道感」のMONOEYESと、ずっと変わらない「ディス・イズ・ライヴハウス」のMONOEYES。継続とはどちらも手に入れられる豊かさのこと。小バコで大汗かきながら大声で騒いでも、伝統ある武道館の客席でゆったり見ても、同じだけ心が沸き立っていく。どちらもあることがコロナ禍の今は最大の贅沢だ。スコットが細美のマイクを使い誇らしげにセンターに立った「Roxette」。一度しっとり聴かせた後に後半戦の火蓋を切るきっかけとなった「グラニート」。昨年の配信ライブ同様に、パンダの被り物(の下の素顔にもパンダメイク!)をしたTOSHI-LOWが乱入した「Two Little Fishes」。印象に残るシーンは数えきれないほどあったが、脳裏に一番焼きついたのはラスト直前の「My Instant Song」だった。スコット・マーフィー「My Instant Song」は、4人が動き出してすぐの時期、細美の脳内に天啓のごとくに流れ出した曲だ。結果MONOEYESのデビュー曲となり、すぐさま全国ツアーがスタート、旅のはじまりの歌となった。そこから6年、武道館でイントロが鳴った瞬間、アリーナ、1階、2階席の全員が「自分の歌だ!」という顔になった。細美の曲でもバンドの曲でもなく、まさに「俺の歌、私の歌」といった受け止め方。ここまで共有され、かけがえのないものとして愛でられてきたのかと、4人がヴァンに乗って走り続けた時間の長さを思ってしまう。《暗がりにいると感じるときはただ歌を歌うんだ即興の歌さ》ストレートなポップパンクに乗った歌詞の和訳である。結成当時、東北のハコを回るためのバンドとして始まったMONOEYESは、難しいこと一切抜き、中高生がみんなで騒げる賑やかしの歌があればいいと、ごくシンプルな目的を掲げてツアーに奔走した。もちろん歌は一瞬でキッズに共有された。つまり目的はわりと早くに達成されたわけだが、さらなる“Sing A Song”を何百回と繰り返していれば、武道館で何千人と祝福できる日が来るのだ。会場全体を照らす虹色のライトは夢みたいに美しい。まばゆく光る七色、それに照らされるみんなの笑顔が、MONOEYESのパンクソングの無限性を物語っていた。Text by 石井恵梨子Photo by Maki Ishiiなお武道館公演のセットリストは、Apple Music、Spotify、LINE MUSICで公式プレイリストとして公開されている。<公演情報>Between the Black and Gray Tour 202111月2日(火) 東京・日本武道館セットリスト01. Fall Out02. Bygone03. Run Run04. Free Throw05. Interstate 4606. Cold Reaction07. Like We’ve Never Lost08. Roxette09. Get Up10. Iridescent Light11. Nothing12. グラニート13. When I Was A King14. Somewhere On Fullerton15. 明日公園で16. Borders & Walls17. Two Little Fishes18. Outer Rim19. My Instant Song20. リザードマンEN1. 3,2,1 GoEN2. 彼は誰の夢ダブルEN. Remember Meセットリストプレイリスト:<ライブ情報>MONOEYES『Between the Black and Gray Tour 2021』※終了分は割愛11月21日(日) 桜坂セントラル問)ピーエムエージェンシー:098-898-1331(平日 / 月〜木 11:00〜14:00)<リリース情報>MONOEYES 3rd Full Album『Between the Black and Gray』Now On Sale価格:2,640円(税込)【収録曲】1. Bygone2. Fall Out3.リザードマン4. Iridescent Light5. Thermite6. Castles in the Sand7. Nothing8. Satellite9. Interstate 4610. Outer Rim11. 彼は誰の夢関連リンクMONOEYES Official Site:www.monoeyes.netMONOEYES Official Twitter: Official Instagram: Official Facebook:
2021年11月16日SUPER★DRAGONが恒例のイベントライブ『DRA FES 2021』を11月14日に豊洲PITで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。トークや企画も交えてファン感謝祭的立ち位置で毎年秋に実施される『DRA FES』だが、オンライン開催となった昨年を挟み、今年は年長組4人のファイヤードラゴンVS年少組5人のサンダードラゴンというユニット内バトルをフィーチャー。通常のライブではなかなかお目見えしないユニット曲や久々披露のレア曲、初期曲も満載で、2年ぶりにファンと共に『DRA FES』を祝える喜びを、グループカラーである青のペンライトが埋めつくす客席を前に爆発させた。例年通り今年の『DRA FES』も2部制で行われ、昨年と同じく“龍崎高校学園祭”と銘打たれた1部では、龍崎高校の生徒として学ラン姿のメンバーが登場。ライブパフォーマンスを交えながら、彼らの本音や結束力をコーナー企画で探ってゆくという構成が取られた。ステージ上に並んだ学校机に着席するなり“柴崎楽はメンバーのオフショットを撮ってくれる”、“田中洸希はニンニク入りのラーメンを食べるたびマスク越しでも「くさい!」とメンバーからイジられる”等、内輪話を暴露する9人に場内のムードもユルユル。しかしひとたび音が鳴れば一転、スリリングに連なるペアダンスや息の合ったシンクロダンスで魅了する「WILD BEAT」を皮切りに、「HACK MY CHOICE」から1stシングル「Pendulum Beat!」と初期曲を切れ味鋭い最新のパフォーマンスで叩きつけ、6年の進化を見せつける。学園祭成功に向け、誰と誰が仲良いのか連想クイズで探ったり、今夏のFCツアーで“BLUE”という名称が決まったファンに対して、会えなかった期間の想いを男前な一言で伝えようというパートでは、難易度が高すぎるお題に池田彪馬が何度もダメ出しを喰らう一幕も。普段のライブではあり得ない場面の数々に、客席を埋め尽くすBLUEも笑顔の花を咲かせてゆく中、印象的だったのが3組に分かれて1年ぶりに披露されたユニットソングだ。田中、池田、松村和哉が放つ「Cross Counter」の縦ノリに合わせて青いペンライトが一斉に上下に動く様は壮観で、続いて志村玲於、古川毅、ジャン海渡の「ゲラゲラ」では、太いダンスビートに添って揺れる一面の光の海に、思わずジャンが「最高だぞ!」と一言。さらに飯島颯、伊藤壮吾、柴崎が「NICHIYOUBI」を爽やかに届けると、今度は青い光が大きく左右に。BLUEが創り上げる青い景色の美しさに、恐らくその場にいた全員が有観客の喜びを噛みしめただろう。続いてファイヤードラゴンの古川、サンダードラゴンの池田という歌唱面におけるスパドラの双璧が、珠玉のラブソング「Song For You」を切なくクリアに歌い上げるものの、終盤ではファイヤーとサンダーの対立が激化。最年長の志村が「年下のサンダーから舐められてる」と零せば、6学年下の松村が「年上らしくないじゃん」と返したり、ファイヤーの4人を最年少の柴崎が「おじさーん!」と揶揄したりとバチバチの火花を散らしつつ、ジェスチャーゲーム対決では松村の渾身のナマケモノ擬態に度肝を抜かれた。以降はサンダードラゴンが“フレッシュな勢い”、ファイヤードラゴンが“大人の落ち着いた色気”という個性を各チーム曲で存分に表現。「懐かしい!」と言いながらサンダードラゴンが披露した「INAZUMA」は、約5年前のリリースだけあって曲中に入っている声変わり前のコーラスが5人の成長を否が応でも実感させる。続くファイヤードラゴンの「Gong」は重低音が床を揺らすドープなナンバーで、その鮮やかな対比には、これが本当に同一グループの楽曲なのか!?と驚愕するばかり。最後はアニメ主題歌にもなった「ワチャ-ガチャ!」でにぎやかに締めくくり、古川が「この決着は2部でつけないとじゃねーか。お前らブッ潰してやるからな!」とサンダードラゴンに宣戦布告すると、伊藤が可愛らしいパンチを返して、白熱のバトルへの期待を駆り立てた。攻撃的な姿勢が詰め込まれた最新曲「X」“6th Anniversary Live”と名付けられた2部は、1部から趣向をガラリと変えファイヤードラゴンの4人赤、サンダードラゴンの5人が黄色と、衣装から完全に色分けして登場。ステージ後方に展開するモニターに稲妻と炎が走り、龍神が降臨するかのようなオープニング映像と噴き上がる炎に導かれて上手にファイヤー、下手にサンダーの面々が揃うと、センターで古川と池田がガンを飛ばし合ってバトルの幕は切って落とされた。まず、先攻のサンダードラゴンが人気曲「リマカブロ!」を投下すれば、まさに“Remarkable(=驚くべき)”な勢いに場内は沸騰。突き抜ける池田のボーカルにCo2も噴出して、もう「ブチ上がろうぜ!」と煽られずともブチ上がるしかない。対する後攻ファイヤードラゴンは、ディスコ調の「Let’s Get Down」を志村が付けた振りも交えながら披露し、さすがのシャレオツなムードで魅せる。以降2チームが持ち歌を交互にメドレー形式で4曲ずつ畳みかけてゆくが、その楽曲のほとんどは2年前にファイヤーがファンク、サンダーがロックをテーマに個別リリースしたミニアルバム『TRIANGLE』のもの。当時はファイヤードラゴンとサンダードラゴンに分かれてツアーも敢行したが、各楽曲のイメージを増幅させる映像もバックに、こんなハイブリッドな形で2年ぶりに拝めるとは感慨深いことこの上ない。また2チーム共に4曲の中でしっかり幅を見せてくれたのも特筆すべきところ。スタイリッシュなムードの強いファイヤーは、タフな「Piranha」でタイトル通り危険な香りも振りまきつつ、バラードの「MIKAZUKI」では古川のしっとりした歌唱で拍手を巻き起こす。そして「Hard Days」でタオルを振りたくったサンダーは、ステージから上がる火の手がピッタリのロック曲「Rock Tonight」で観る者の胸に放火しまくりながらも、「真冬の熱帯夜」では年上女性への恋情を熱に浮かされたような低音ラップや歌唱で甘く演出。反抗期真っ盛りから急に大人の顔を見せられて、思わずドキリとしてしまう。続く「Drive Me Crazy」では古川とジャンが繊細な歌声で、志村と飯島がエモーショナルなムーブで苦しい胸の内を表現するという、このラブソング対決は実に甲乙つけがたいものだった。ここで古川と池田がステージの逆サイドに立ち「夢で逢えたら」をデュエット歌唱。聞くたびに透明感を増してゆく美しいハーモニーが休戦を告げるが、それも束の間、今度は他の7人によるダンスバトルが開幕する。目に眩しい赤と黄色の一団がソロで、集団でぶつかり合い、殊にジャンと飯島の長身2人によるダイナミックなムーブの狭間から、身軽な志村が跳び上がるファイヤーの攻撃は見応え十二分だ。さらに「俺たちが精一杯戦うにはみんなの応援が必要なんだ!」とクラップや拳を指南すると、BLUEも巻き込んでのハーフタイムショーに突入。青い光が激しく揺れる中、シックなスーツに着替えて9人全員で豪快なステップを踏み、SUPER★DRAGONとしての一体感を見せつけてゆく。そこから志村のアクロバットが炸裂する「My Playlist」が贈られるが、9人が揃うことで際立ったのがシンクロ率の上昇。続く「Summer Breeze」でも、歌唱するメンバーを常にセンターに置きながら、精密で難易度の高いダンスを事も無げにこなし、ビーチな曲をスーツでパフォームするというギャップを見事に“オシャレ”に昇華する彼らの胆力には敬服させられた。ようやくのメンバー紹介では、田中が十八番のヒューマンビートボックスを普段より長尺で披露して、「大会と間違えてる?」とメンバーに突っ込まれる場面も。先月20歳になったばかりの飯島は「お酒を飲んだら顔が赤くなって、全身ファイヤードラゴンになったんで、サンダー倒す気満々で来ました!」と宣言して、すぐに「今日は素面です!」と弁解する。おまけに温厚な伊藤が「オープニングの壮吾の目つきがホント怖くて!」とジャンに怯えられたほど、それぞれがバチバチだ。そんな中で不協和音から幕開けた最新曲「X」は、サウンドプロデューサーに久保田真悟(Jazzin’park)を迎え、これまで以上に彼らの攻撃的な姿勢が詰め込まれたミクスチャーチューン。キャッチーなサビから低音極まるラップパート、2番では呪文のような英語ラップをジャンが放ち、どこか禍々しい空気感の中で、しかし、ジャン、古川、松村も作詞に携わったリリックは、確かに光を目指している。“全てに意味があるのさ”というサビ詞は、ある意味彼らのスタンスを物語っているようで、まさにSUPER★DRAGONの音楽と活動は常に動機と意味合いが明確だった。閉塞した時代を生き抜こうというメッセージを表すように、「X」で9人が踏むステップには大地を踏みしめるような力強さが感じられ、その逞しさは波動となって五感の全てから伝わってくる。だが、そこに続く曲が「SHOPPING TIME」だとは、誰が想像しただろうか?スパドラ史上一、二を争うほど軽快なナンバーで、「X」からは想像もつかない笑顔を浮かべる9人に、高低差で脳髄がやられそうになったのは筆者だけではないだろう。それでいて、サビで鉄オタ・伊藤が繰り出す車掌ムーブを見ると、なんだかホッとしてこちらまで笑顔になってしまうのだから、結局は彼らの掌で踊らされているということなのだ。2022年春ツアー開催をサプライズ発表序盤のメドレーを振り返り、互いにしかできないことがあると確かめ合うと、「相思相愛……尊敬です!」という古川の言葉から突然暗転し、なんとサンダードラゴンの持ち歌である「Take It To The Top」をファイヤードラゴンの4人で披露。同じ曲でも瑞々しさから温もりへと、受ける印象が変わったのは不思議であり、必然とも言うべきか。逆にファイヤーの「BlackJack」に挑んだサンダーの5人は、ステージの段差を上手く使いながら今持てる精一杯のアダルティを醸して、ファイヤーの4人に肉薄する。驚きのシャッフルステージを挟んだせいか、ファイヤーの「On My Way」にサンダーの「Caravan」は共に安心感とこなれ感が増幅。前者ではメンバーが実に楽しそうにステージ上を移動し、古川がフェイクを入れれば、普段はダンスに専念している飯島も自信満々にラップする。後者では“Everybody shake it”という歌い出しの通り、客席のペンライトが辺りをかき混ぜるように大きく振られ、場内のテンションも上がりきったところで「最後に思いっきり騒ぐ準備はいいかい!?」(ジャン)と「SWEET DEVIL」をドロップ。炎の映像をバックに本物のファイヤーボールが上がり、松村がデスボイスを放つアグレッシブなナンバーの突き抜けるようなパワーは、これから自らの手で道を切り拓いてゆくのだという彼ら自身の決意を表しているかのようだった。そんな道の先にある夢へと向かう9人とBLUEに対するエールのようなクラップが満ちた「Endless Dance」を1曲目に、アンコールでは昨年同じ豊洲PITで行われた『DRA FES』を振り返り。無観客だった無念さを語り、「笑い合える時間を共有できるのが幸せ。この2年間、特にBLUEのみんなからパワーを頂いて活動できたので、そのエネルギーを倍返しにしていきたい」と古川は誓った。そして「“きっと絶対会えるよ”という気持ちを込めて」と続け、池田と古川が一言一言、たっぷりと時間をかけて噛みしめるようにアカペラで「KITTO→ZETTAI」を歌い出すと、場内には声にならない感動があふれ出す。君と出会えたのは運命だから、きっと絶対に会える――結成初期から歌い継がれてきたこの言葉が、コロナ禍の今ほど響く時はないだろう。しかも現在、彼らはワンマンツアー『SIX DAY』を開催中。会える機会はまだまだあるが、さらに9人が退場した直後、“2022年春ツアー決定!!”の文字がモニターに映し出されると、客席からこらえきれない喜びが漏れる。加えて楽屋に戻ったばかりの9人がモニターに映り、「BLUEのみんな、春ツアーが決定したぜ!2022年もBLUEのみんなとSUPER★DRAGON駆け上がっていくからよろしくな!」とメッセージ。ファイヤードラゴン、サンダードラゴン、そしてSUPER★DRAGON――この9人だからこそ成し得る三位一体は、BLUEの光を糧にさらに大きな奇蹟を起こしてゆくだろう。文:清水素子写真:笹森健一<公演情報>SUPER★DRAGON『DRA FES 2021』11月14日(日) 豊洲PITセットリスト■1部 -龍崎高校学園祭-M1. WILD BEATM2. HACK MY CHOICEM3. Pendulum Beat!M4. Cross CounterM5. ゲラゲラM6. NICHIYOUBIM7. Song For YouM8. INAZUMAM9. GongM10. GETSUYOUBIM11. ARIGATOM12. ワチャ-ガチャ!■2部 -6th Anniversary Live-M1. リマカブロ!M2. Let’s Get DownM3. Hard DaysM4. MIKAZUKIM5. Rock TonightM6. PiranhaM7. 真冬の熱帯夜M8. Drive Me CrazyM9.夢で逢えたらM10. My PlaylistM11. Summer BreezeM12. XM13. SHOPPING TIMEM14. Take It To The Top(ファイヤードラゴンver.)M15. BlackJack(サンダードラゴンver.)M16. On My WayM17. CaravanM18. SWEET DEVILM19. Endless DanceM20. KITTO→ZETTAI<ツアー情報>『SUPER★DRAGON 2022 SPRING ONEMAN LIVE TOUR』(仮)3月24日(木) 東京・Zepp DiverCity3月25日(金) 東京・Zepp DiverCity(2部制)3月28日(月) 福岡・Zepp Fukuoka3月30日(水) 大阪・Zepp Namba4月1日(金) 愛知・Zepp Nagoya4月3日(日) 宮城・仙台 GIGS4月5日(火) 北海道・Zepp SapporoSUPER★DRAGON オフィシャルサイト:
2021年11月15日ビッケブランカが、11月6日に『FATE TOUR 2147』のツアーファイナルを東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。このツアーは9月1日にリリースされたビッケブランカにとって4枚目のアルバム『FATE』を引っ提げて行われたもの。当日は新型コロナウイルス感染拡大予防対策ガイドラインに則って、観客数はキャパシティの半分である1000人にまで制限して開催された。多くの人の心に残る優れたポップスというのは、調理でたとえるならば誰しもに馴染みのある調味料や食材を使ってバランスのとれた味わいに仕上がっているもの、ではない。日本の音楽史に名を刻んできたポップスターたちはみな、どこかしら癖の強さや凡人が驚く発想力があって、その人々が生んだ曲は聴き手にとって意外性や違和感がある。ビッケブランカも、心地よい歌声と綺麗なビジュアルを1枚剥がせば、癖と違和感だらけの表現者だ。そして、人間、振り切ってとことん突き詰めている人を見ると、珍しさと、人間の全力のエネルギーと、憧れの気持ちが湧いてきて、笑いがこぼれてしまうことがあると思う。ビッケブランカのライブは、そんな笑いが自分の顔にこぼれる瞬間が続く音楽ステージなのだ。ダンスミュージックを磨き上げて、しかしビッケブランカとして、そして日本から音楽を届ける者として、ダンスミュージックの派手さに埋もれないようにJ-POPならではのメロディと歌も磨き上げた結果、とてつもなく強度のある歌とトラックができあがった。それが『FATE』というアルバムだ。本公演で披露されたのは、テレビから流れてきてビッケブランカを知った人も、ロックフェスで飛び跳ねることが好きな人も、EDMフェスで踊ることの快感を知る人も、レジェンド級のロックバンドの来日を待ち望んでいるような洋楽ラバーも、「こっちへ遊びにおいでよ」と迎え入れるビッケブランカの音楽性の幅広さと豊かさと新鮮味を証明する計18曲だった。開演時間になると、それまでは粉雪の映像が投影されていたステージ前の紗幕に、SFテイストの映像が流れる。そして、紗幕の後ろには、高い位置に立っているビッケブランカの姿が見える。DJセットの後ろに立つビッケブランカはミキサーのツマミをいじりながら音を操っていて、「FATE」という文字が大きく映された後に紗幕が落ちた瞬間、すでに会場のテンションがピーク状態に。1曲目に演奏されたのはEDMとJ-POPの融合サウンドといえる「蒼天のヴァンパイア」。《予期せぬ展開は いつだって感動的》と冒頭で歌ったその言葉は、このライブは驚きのある展開でオーディエンスを感動させようとしているビッケブランカの意気込みのようにも聴こえてきた。たしかにビッケブランカが言う通り、人間とは予測できる範囲のことが起きても感動と呼べるほど心を揺さぶれることはなく、予想外のことが起きたときにこそ全身に感動が湧いてくるものだ。「蒼天のヴァンパイア」から、岡崎体育とのコラボ曲「化かしHOUR NIGHT」へとスムースに曲をつないでいき、岡崎体育のパートも自ら熱唱。どちらの曲においても、サビ以上に盛り上がるドロップパートでは4つ打ちに合わせて4本のスモークが上がって、照明がチカチカと眩しく光り、ビッケブランカもオーディエンスも腕を上げて飛び跳ねる。その振り切ったステージングは、LINE CUBE SHIBUYAで見るポップス / ロックアーティストのライブとしてはあまりに予期せぬ展開となった。そしてここでバンドメンバーの横山裕章(Key / Cho / Band Master)、井手上誠(Gt / Cho)、若山雅弘(Ds / Cho)、HALNA(Ba / Cho)、岩村乃菜(Cho / Synth / Per)、岡部磨知(1st Vn)、天野恵(2nd Vn)がステージに上がり、「Winter Beat」へ。ライブアレンジが加わったイントロが演奏された瞬間に涙が込み上げるような心の揺さぶられ方をする。EDMフェスさながらの盛り上げをど頭から繰り広げた後に、こんなに琴線に触れるイントロを弾かれるとそのギャップに涙腺がバグる。たとえるなら、M-1の決勝戦で漫才師に爆笑させられた後、優勝者が人間くさいコメントをしていると通常の5倍くらい涙腺を刺激されるようなあの感覚に近いかもしれない。次に「Death Dance」「Want You Back」「Shekebon!」と続けてプレイされ、今日のライブはJ-POPやロックのライブだけでも、EDMフェスだけでも、クラブのフロアだけでもない、でもそれら全部がある、デビューから5年経った今のビッケブランカにしかできないショーであることを確信させられる。サプライズゲストでシム・ウンギョンが登場「次はかっこいいゾーンに入らせてもらおうかなと。目一杯、かっこつけさせていただきます」と言って歌ったのは「FATE」と「ミラージュ」。どちらも音源よりもハードロックテイスト強めなバンドアレンジで魅せ、このバンドの多様さとタフさを見せつけられる。アルバムのタイトル曲である「FATE」では、「自分らしく」「ありのままで」といった近年音楽・映画等の作品やあらゆる場面で取り上げられるテーマが描かれているが、その描き方はビッケブランカらしく一筋縄ではいかない。宮沢賢治『よだかの星』を曲のモチーフとした日本文学の要素と打ち込みサウンドと鳥の鳴き声を混ぜ合わせてしまうような意外性に満ちている。「アルバム『FATE』、いろんな曲を収録することができました。ここから1曲ずつ、僕のお気に入りの曲をしっかり聴いていってほしいなと思っています」と言って演奏したのは「夢醒めSunset」「ポニーテイル」「オオカミなら」「Divided」。「夢醒めSunset」の《誰も意味を探さない この瞬間は戻せない》という印象的なフレーズは、意味や理屈ばかりを追い求めてしまう現代人にとって、特に意味も生産性もない時間がどれだけ尊いかを見事に切り取っている。夕焼けが綺麗な海辺の景色が浮かんでくる曲ではあるが、ここLINE CUBE SHIBUYAで演奏されると、ライブの一瞬一瞬がミュージシャンにとってもオーディエンスにとっても、言葉で表せるような理屈や理由を一切抜きにして、人間の心に作用をもたらす尊い時間であることが表現されているようだった。本間昭光をアレンジャーに迎えたJ-POP王道サウンドの「ポニーテイル」と「オオカミなら」から、ビッケブランカがフェイバリットに挙げているエルトン・ジョンやビリー・ジョエルなど時代を超えて愛されているUS / UKのポップススタンダードのような存在感がある「Divided」へとつなぐビッケブランカにはまた憎いと感じてしまう。そして「Divided」と同じくピアノ弾き語りで歌い始めたのは、ビッケブランカにとって代表曲のひとつでもある冬のバラード「まっしろ」。クライマックスに入る前のMCでは、コロナ禍で実施したこのツアーを振り返って、「みんなの顔、一人ひとり見えてるんですよ。マスクで見えてないように思うかもしれないけど、思ってくれてること、感じてくれてることが全部わかるんですよ」とオーディエンスに伝えた上で、制限や規制がなくなった日常で今以上に熱気に包まれた状態でライブができる日をミュージシャンたちがどれほど待ち望んでいるかを代弁して、「2022年もたくさんの音楽、僕を筆頭に、すべての音楽を愛してもらえたらいいなと思います。どうぞよろしくお願いします」と、すべてのミュージシャンや音楽シーンへの愛を語る。最後は、バイオリンの二人も立ち上がった状態で「Slave of Love」「Ca Va?」「ウララ」「天」を演奏し、壮大な音の重なりで会場を満たした。ビッケブランカは、バイオリンの旋律とダンスミュージックのビートや、EDMとJ-POPの展開など、本来セオリーが違うものを組み合わせることで誰も予期していないサウンドスケープやライブでの景色を立ち上がらせ、オーディエンスを感動させる。さらにラストの「天」では、明るくて至福感のあるトーンで包みながらも、人生の切なさや儚さを大きく歌い、だからこそ聴き手を現実と向かい合わせながらも希望のある次の章へと送り出すようだった。アンコールでは、またもや予想外の展開が!この日だけのサプライズゲストがいることをビッケブランカが明かす。その方を呼び込む彼の足も震えているほどの意外なビッグゲストだ。その人物とは、ビッケブランカが主題歌を担当する、NHKドラマ10『群青領域』の主演を務める俳優・シム・ウンギョンであった。オーディエンスもざわつく中、大きな花束を持ってステージに登場したシム・ウンギョンは「お祝いできて嬉しい」と言ってその花束を、ツアーファイナルを迎えたビッケブランカに贈った。シム・ウンギョンが「素敵な主題歌をありがとうございました」という言葉を残してステージを去った後、北斗七星をイメージした照明演出の中で主題歌「北斗七星」を初歌唱。10月22日にリリースされたばかりのこの新曲は、代表曲のひとつと先述した「まっしろ」に続く冬の名バラードに仕上がっている。ビッケブランカ×シム・ウンギョンビッケブランカは、10月26日よりメジャーデビュー5周年イヤーとして特別な1年をスタートさせることを宣言している。なお本公演のセットリストは、ビッケブランカ公式プレイリストとして各ストリーミングサービスにて配信されている。文:矢島由佳子写真:藤井拓<公演情報>ビッケブランカ『FATE TOUR 2147』11月6日(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYASet List1. 蒼天のヴァンパイア2. 化かしHOUR NIGHT3. Winter Beat4. Death Dance5. Want You Back6. Shekebon!7. FATE8. ミラージュ9. 夢醒めSunset10. ポニーテイル11. オオカミなら12. Divided13. まっしろ14. Slave of Love15. Ca Va?16. ウララ17. 天EN. 北斗七星セットリストプレイリスト:<リリース情報>ビッケブランカ デジタルシングル「北斗七星」2021年10月22日(金) リリース※NHKドラマ10『群青領域』主題歌ビッケブランカ「北斗七星」ジャケット【収録内容】M1. 北斗七星M2. 北斗七星(Instrumental)ビッケブランカ「北斗七星」リリックビデオ配信リンク:<ライブ情報>ビッケブランカ『French Link Special Live 2021』12月12日(日) 大阪・Billboard Live OSAKA1stステージ 開場14:30 / 開演15:302ndステージ 開場17:30 / 開演18:3012月18日(土) 東京・Billboard Live TOKYO1stステージ 開場14:30 / 開演15:302ndステージ 開場17:30 / 開演18:30【チケット料金】サービスエリア:8,000円カジュアルエリア:7,500円(1ドリンク付き)※全席特典グッズ付※ご飲食代は別途ご精算となります。■FC先行受付期間(抽選)受付期間:11月2日(火) 12:00〜11月9日(火) 23:59※受付方法等、詳細は後日ファンクラブサイトにてご案内いたします。<番組情報>NHKドラマ10『群青領域』10月15日(金) 22:00~NHK総合で放送中(全10回)出演:シム・ウンギョン / 若葉竜也 / 柿澤勇人 / 細田善彦 / 落合モトキ / 田中俊介 / SUMIRE / 樫山文枝 / 徳永えり / 板谷由夏番組公式サイト:関連リンクビッケブランカ HP:ビッケブランカ Twitter:ビッケブランカ YouTube:ビッケブランカ TikTok:ビッケブランカ Instagram:ビッケブランカ オフィシャルファンクラブ「French Link」:
2021年11月08日サイダーガールが10月31日に東京・Zepp Tokyoで自主企画ライブ『ぼくらのサイダーウォーズ5』を開催。そのオフィシャルレポートが到着した。「Zepp Tokyoでライブするのは最初で最後。ギリギリ間に合った。Zepp Tokyoでライブができてよかったと思いながらステージに立たせてもらってます」(Yurin / Vo, Gt)「Zepp Tokyo(のステージ)から見る客席、めちゃめちゃエモだね」(知 / Gt)「あのサイダーガールがZepp Tokyoでワンマンするって、まるで天地がひっくり返るような出来事だよ。だって、バンドを結成したとき、Zepp Tokyoでワンマンするなんて考えてなかったじゃん」(フジムラ / Ba)中盤のMCでそんなふうに語っていたように念願のZepp Tokyoワンマンにはメンバー3人それぞれに思うところがあったらしく、この日のライブは前回『ぼくらのサイダーウォーズ4』LINE CUBE SHIBUYA公演とはまた違うやり方で趣向を凝らした見どころ満載の2時間となった。ステージの上手と下手に置かれた打ちっぱなしのコンクリート風の壁と言うか、パーテーションが何かを予感させる中、SEが流れ、知、フジムラ、サポートドラマーの3人がハロウィンを意識したマスクを被ってステージに登場。日頃から陰キャと自ら言っている彼らの仮装に2階席まで埋めた観客が思わず「おおっ」となったところにハンドマイクのYurinが飛び出してきて、演奏は「週刊少年ゾンビ」でスタート。「Clap your hands!!」(Yurin)「Zepp Tokyo、遊ぼうぜ!」(フジムラ)そこからYurinとフジムラが観客に声を掛けながら、バンドはダンサブルな「パレット」「ベッドルームアンドシープ」を繋げ、その場で飛び跳ね始めた観客とともに序盤から一体感を作っていく。フジムラ(Ba)「今日を特別な1日にできたら!アットホームな感じもありつつ、(ステージには)ソファーもあるし、ゆっくり楽しんでもらえたらいいなと思います」(Yurin)改めての挨拶を挟んでからのブロックでは、「いろいろな曲をやっていくので、自由に楽しんでいってください!」と知が言ったとおり、それまでのダンサブルなノリとは打って変わって、轟音のイントロから緊張感を演出した「空にこぼれる」、テンポをちょっと落として、メランコリーを観客と共有した「ID」、シャッフルのリズムで意表を突いた「月に唄えば」、シーケンスも使ったジャズっぽいインタールードからなだれこんだギター・ロック・ナンバー「成長痛」と、それぞれにユニークな魅力を持つ4曲を披露。ぐいっと観客の気持ちをひきこんだところで、「後ろの人は見えるかわからないけど」とフジムラがこの日メンバーそれぞれにサイダガちゃん(フジムラ)、コウモリ(Yurin)、キズ(知)を顔に描きこみ、陰キャなりにハロウィンを楽しもうとしていることをアピール。それに応え「ハロウィンにぴったりの曲、持ってきました。みんなでワチャワチャできたらと思います!」と知が声を上げ、バンドが演奏したのがこの日初披露の新曲「トロール」だ。知(Gt)するとステージ下手のパーテーションが回転して、ハロウィン風のセットとともに「待つ」のMusic Videoに出てきた(着ぐるみの)熊が2匹現れ、踊り始める!怪しいムードもある「トロール」のダンス・サウンドに観客も手拍子しながらゴキゲンだ。そこからバンドがたたみかけるように繋げていったのが、ちょっと投げやりなパーティー・ソングの「なまけもの」、ファンキーな「化物」、高速ファンクの「フューリー」だった。Yurin(Vo, Gt)そんなふうにバンドが演出した曲のタイトルからしてハロウィンにふさわしいパーティータイムを観客も大歓迎。会場の温度もぐっと上がる。そしてそんなパーティータイムを締めくくった「待つ」では、今度はステージ上手のパーテーションが回転して、「待つ」の歌詞とMVに出てくる《ルーム・ワンオーワン》を再現したと思しきセットとともに再び熊が登場。アーバンかつグルービーな演奏を繰り広げるバンドとともにダメ押しでパーティータイムを盛り上げたのだが、そんなパーティータイムの終わりが《一人きりのミッドナイト》と歌う「待つ」というところがなんともサイダーガールらしい……。バンドの最新モードを物語る新曲「シンデレラ」その「待つ」と「トロール」が12月1日にリリースのニューアルバム『SODA POP FANCLUB 4』に収録されることに加え、来年全国ツアーを開催することをさりげなく発表したバンドは、「未来について語ることはうれしいけど、過去を振り返ることも大事。懐かしい曲を1曲」(知)と「群青」から後半戦をスタート。ギターのコードをかき鳴らす、このロック・ナンバーは、15年6月に自主レーベルからリリースしたミニアルバム『サイダーのしくみ』の収録曲だが、そこに繋げたのが『SODA POP FANCLUB 4』から一足早くライブで披露しているノスタルジックなロックナンバー「猫にサイダー」。そんな展開が印象づけたのは、サイダーガールが持つエモーショナルなギター・ロック・サウンドというバックボーンだったのが、どんなにバンド・サウンドの幅が広がったとしてもそのバックボーンが失われることはないということを、さらに「NO.2」でアピール。その「NO.2」ではエキサイトしすぎたフジムラが転倒するというハプニングも見どころに変えたのだった。そして「サイダーガールらしく最後まで全力で駆け抜けていきます。みなさんついてこられますか!?」とYurinが声を上げ、観客の気持ちを煽るように前述したバックボーンを象徴する代表曲「エバーグリーン」でラストスパートをかける。そこに「新曲やります!」(Yurin)と繋げたのが「トロール」同様、この日ライブ初披露となる「シンデレラ」。ワイプを求めるYurinに応え、観客が一斉に手を横に振る光景はまさに壮観の一言――と当たり前のように書いてしまったが、TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』のオープニングテーマとしてファンの多くがすでに耳にしているとは言え、ライブ初披露でいきなりバンドと観客が1つになれるということは、キャッチーであることも含め観客の気持ちをいきなり鷲掴みにできる魅力があるということだろう。サイダーガールの最新モードを物語るダンサブルなポップ・ナンバーは、語りかけるようなYurinの歌が新境地も思わせた。「みんなとまた歌って踊れるようなライブができる日もそんなに遠くないと思います。そんな日が早く来ることを願って終わりたいと思います。心の中で歌って、踊ってください!」(Yurin)バンドがこの日本編ラストに選んだのは「メランコリー」。ライブでみんなと踊るためにサイダーガールが初めて作ったパーティー・ソングだ。《ぐるぐるしてるんだ》という歌詞に合わせ観客がぐるぐると手を回す。その「メランコリー」がいつも以上に力強く感じられたのは、これまで何度もライブで演奏してきたこともさることながら、この日この曲に込めた願いがそれだけ強かったからだ。「アルバムのリリース・ツアーじゃないから、今度出るアルバムからやったり、懐かしい曲をやったり、いろいろな曲をたくさん聴いてもらえてよかったと思えるライブになりました」とラストスパートをかける前にYurinが振り返ったように初披露も含め、新旧の曲を織りまぜた全20曲のセットリストは、常に新しいことに挑戦しながらバンドの芯は決して揺らぐことはないサイダーガールの歩みを今一度印象づけるものとなった。もちろん、その歩みという言葉は成長と言い換えてもいい。アンコールは『SODA POP FANCLUB 4』から「ライラック」と最初期の「くじらの街」という、ともにギター・ロックと言える2曲を披露。同期でピアノとストリングスも鳴らした前者と荒々しい後者のコントラストがダメ押しで、ぐっと広がったバンドの表現の幅を印象づけると、終演後には「シンデレラ」のMVをフル尺で初公開して、来年1月15日からの『サイダーガール TOUR2022サイダーのゆくえ-SENTIMENTAL THEATRE-』の開催を発表するというサプライズも。2月23日のツアー・ファイナルでは、サイダーガール史上最大キャパとなるTOKYO DOME CITY HALL公演に挑戦する。なお新曲「シンデレラ」のMVは本日11月1日21時にプレミア公開される。サイダーガール「シンデレラ」MV※11月1日(月) 21:00〜プレミア公開文:山口智男撮影:Tetsuya Yamakawa<公演情報>サイダーガール 自主企画ライブ『ぼくらのサイダーウォーズ5』2021年10月31日(日) 東京・Zepp TokyoセットリストM1. 週刊少年ゾンビM2. パレットM3. ベッドルームアンドシープM4. 空にこぼれるM5. IDM6. 月に唄えばM7. 成長痛M8. トロールM9. なまけものM10. 化物M11. フューリーM12. 待つM13. 群青M14. 猫にサイダーM15. NO.2M16. エバーグリーンM17. シンデレラM18. メランコリーen.1. ライラックen.2. くじらの街『ぼくらのサイダーウォーズ5』セットリストプレイリスト:<配信情報>サイダーガール「シンデレラ」配信中※TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』オープニングテーマ配信リンク:<リリース情報>サイダーガール 4th Album『SODA POP FANCLUB 4』2021年12月1日(水) リリース●初回限定盤(2CD+DVD+ブック):6,600円(税込)※BOX仕様●通常盤(CD):3,025円(税込)【CD収録内容】 ※全形態共通1. 待つ2. 猫にサイダー3. シンデレラ(TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』オープニングテーマ4. 足りない5. ピンクムーン6. かいじゅうのゆめ7. トロール8. 再見9. melt10. マーブル11. ライラック(2021年2月~3月 NTTドコモCM『みんなに好きをつなごう篇』タイアップソング)【インストCD収録内容】※初回限定盤のみ全曲オフボーカル(インスト)CD【DVD収録内容】※初回限定盤のみサイダーガールのアルバム制作過程の全貌が明らかになるレコーディングドキュメントを収録。(20分)【スペシャルブック収録内容】※初回限定盤のみ11組のイラストレーターコラボ作品となるアートブックと全曲手書き歌詞とコード譜にメンバー全員のセルフライナーノーツが加わった特別な内容に。(40p)『SODA POP FANCLUB 4』予約リンク:『SODA POP FANCLUB 4』特設サイト:<ツアー情報>『サイダーガール TOUR2022 サイダーのゆくえ-SENTIMENTAL THEATRE-』1月15日(土) 高松DIMEOPEN 17:30 / START 18:001月16日(日) 広島LIVE VANQUISHOPEN 17:30 / START 18:001月22日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGEOPEN 17:30 / START 18:001月23日(日) 金沢EIGHT HALLOPEN 17:30 / START 18:001月29日(土) 盛岡CLUB CHANGE WAVEOPEN 17:30 / START 18:001月30日(日) 仙台CLUB JUNK BOXOPEN 17:30 / START 18:002月5日(土) 札幌PENNY LANE 24OPEN 17:30 / START 18:002月11日(金・祝) 名古屋DIAMOND HALLOPEN 17:00 / START 18:002月13日(日) 福岡スカラエスパシオOPEN 17:30 / START 18:002月19日(土) 大阪 なんばHatchOPEN 17:00 / START 18:002月23日(水・祝) 東京 TOKYO DOME CITY HALLOPEN 17:00 / START 18:00関連リンクサイダーガール オフィシャルサイト:サイダーガール Twitter:サイダーガール Instagram:サイダーガール YouTube:サイダーガール TikTok:
2021年11月01日BUCK-TICKが、7月17日21時よりStreaming Live『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜』を配信した。そのオフィシャルレポートをお届けする。本公演はBUCK-TICKにとって2021年初のライヴであり、無観客状態での2度目の配信ライヴ。昨年9月に行なった『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』は、アルバム『ABRACADABRA』の発売日に曲順通りに演奏し、バンドの熱量をストレートに届ける生配信ライヴだったが、今回はタイトルが表わす通り、観客を甘美な毒で淫美な世界へと誘うコンセプチュアルなステージを展開した。櫻井敦司(写真:田中聖太郎・渡邊玲奈)21時といえば、本来ならば一つ公演終えた頃だろう。20時以降は“闇営業”などと揶揄されるこのご時世に、ひっそりと明かりを灯す小屋がある。BUCK-TICK Streaming Live『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜』の始まりだ。背徳感を弄ぶようなイントロダクションに誘われて、幕の奥深くへと突き進んだ先に現れたのは電飾で飾られた円形のステージ。“魅世物小屋”一座よろしく強烈な個性を放つ衣装に身を包んだメンバーが、まだこちらの心が整わないうちに音を鳴らし始めるのだ。それはよく知っているはずのメロディなのにまったく違うグルーヴで、その新しい感触に異世界へと足を踏み入れてしまったことを自覚する。星野英彦(写真:田中聖太郎・渡邊玲奈)今回の公演は、一部はアコースティックセット、二部はバンドセットの二部構成。一部のアコースティックセットでは既存のアコースティックナンバーだけでなく、本公演のために新たにアコースティックバージョンにアレンジしたナンバーも加えた。中でも、ガレージロックからシャッフルへと変貌した「唄」や、清涼感のあるミディアムナンバーに変わった「JUST ONE MORE KISS」は必聴もの。シンプルなアンサンブルゆえにより一層歌が際立ち、それぞれの楽曲がもつ“匂い”が画面を通して伝わってくる。さらにステージ横に作られた場末のキャバレーのボックス席、ステージを囲う炎、照明やカメラワークなど大舞台の大掛かりな演出とはまた違う、細やかな演出が楽曲のストーリー性を鮮やかに映し出していた。ヤガミトール(写真:田中聖太郎・渡邊玲奈)二部のバンドセットは従来通りのライヴセットだが、こちらでもニューアレンジされたナンバーが盛り込まれているので油断ならない。そもそもこの公演のメニューは、“魅世物小屋”のような佇まいをもつ今回の会場の雰囲気に合わせてセレクトしたそうで、特に二部の方のメニューは倒錯と夢幻の世界が色濃い。疲弊するような情報ばかりが飛び交う毎日の中で、この瞬間だけはそんな現実を忘れさせてくれる。目の覚めるような、もしくは心安らぐような夢を見させてくれる。それこそがエンターテインメントの真価であると思う。観客が夢から醒めてしまわないように、一度も言葉を発することなく魅せる歌と演奏でコンセプトを貫いたところも印象的だった。しかしながら、そんな中でも彼らが伝えたいメッセージは、本編の中でしっかりと伝えられていたのだ。一部二部を通して櫻井敦司(vo)が何度か送っていたのが、人差し指と中指をクロスする“Good Luck”のハンドサイン。これからアーカイブをお楽しみになる方々には、ぜひこのポイントにも着目していただきたい。樋口豊(写真:田中聖太郎・渡邊玲奈)幕が閉じても何度も覗きに行きたくなるようなショータイム。この配信ライヴのアーカイブは7月23日(金)23時59分まで。きっと新しいBUCK-TICKに出会えるだろう。昨日、配信終了後、BUCK-TICKは9月22日(水)にニューシングル「Go-Go B-T TRAIN」のリリースと、10月3日(月)よりスタートする全国ツアーの日程を発表した。今井寿(写真:田中聖太郎・渡邊玲奈)これまでのBUCK-TICKのイメージを打ち壊すかのような破壊力のあるシングルタイトルに、“魅世物小屋”の余韻に浸っていた観客たちもざわついているのではないだろうか。来年の2022年にはメジャーデビュー35周年を迎えるBUCK-TICKが、未だ攻め続けていることに感服する。どんな新しいBUCK-TICKの世界を見せてくれるのか、今から期待に胸が膨らむ。text:大窪由香<ライヴ配信情報>『魅世物小屋が暮れてから〜SHOW AFTER DARK〜』7月23日(金・祝) 23:59までアーカイヴ配信中配信詳細はこちら:<シングルリリース情報>『Go-Go B-T TRAIN』9月22日(水) リリース●完全生産限定盤A【SHM-CD+Blu-ray】2,640円(税込)●完全生産限定盤B【SHM-CD+DVD】2,090円(税込)●通常盤【SHM-CD】1,320円(税込)【全形態共通仕様】SHM-CD(すべてのCDプレーヤーで再生可能な高品質CD)プレイパス対応※有効期限:2022年9月30日【完全生産限定盤仕様(Blu-ray / DVD共通)】■Blu-ray / DVD付属・Go-Go B-T TRAIN(MUSIC VIDEO)ほか■スペシャルパッケージ仕様【CD収録曲】※全形態共通1. Go-Go B-T TRAIN(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿)2. 恋(作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦)3. 唄 Ver.20214. JUST ONE MORE KISS Ver.2021【予約】■タワーレコードオンライン完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤■HMV&BOOKS online完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤■TSUTAYA オンラインショッピング完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤■Amazon.co.jp完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤■楽天ブックス■セブンネットショッピング■ビクターオンラインストア完全生産限定盤A完全生産限定盤B通常盤<ツアー情報>BUCK-TICK『TOUR2021 Go-Go B-T TRAIN』10月3日(日) 静岡・静岡市民文化会館 大ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):サンデーフォーク静岡054-284-999910月15日(金) 東京・立川ステージガーデンOPEN 17:30 / START 18:30(問):SOGO TOKYO03-3405-999910月23日(土) 石川・本多の森ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):FOB金沢076-232-242410月24日(日) 長野・長野市芸術館 メインホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):FOB新潟025-229-500010月30日(土) 岡山・倉敷市民会館OPEN 17:00 / START 18:00(問):HIGHERSELF082-545-008211月3日(水・祝) 千葉・千葉県文化会館 大ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO TOKYO03-3405-999911月6日(土) 兵庫・神戸国際会館こくさいホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO OSAKA06-6344-3326(問):GREENS06-6882-122411月7日(日) 愛知・愛知県芸術劇場OPEN 17:00 / START 18:00(問):サンデーフォークプロモーション052-320-910011月11日(木) 北海道・札幌市教育文化会館 大ホールOPEN 17:30 / START 18:30(問):マウントアライブ011-623-555511月20日(土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):KMミュージック045-201-999911月21日(日) 群馬・高崎芸術劇場 大劇場OPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO TOKYO03-3405-999911月25日(木) 東京・東京国際フォーラム ホールAOPEN 17:30 / START 18:30(問):SOGO TOKYO03-3405-999911月27日(土) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO TOKYO03-3405-999912月3日(金) 香川・サンポートホール高松 大ホールOPEN 17:30 / START 18:30(問):デューク高松087-822-252012月4日(土) 京都・ロームシアター京都(京都会館) メインホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):ナウウエストワン075-252-515012月11日(土) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):BEA092-712-422112月12日(日) 広島・広島県立文化芸術ホール(上野学園ホール)OPEN 17:00 / START 18:00(問):夢番地 広島082-249-357112月18日(土) 大阪・グランキューブ大阪 メインホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO OSAKA06-6344-3326(問):GREENS06-6882-122412月19(日) 大阪・グランキューブ大阪 メインホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):SOGO OSAKA06-6344-3326(問):GREENS06-6882-122412月26日(日) 宮城・仙台サンプラザホールOPEN 17:00 / START 18:00(問):GIP0570-01-9999【チケット一般発売】9月11日(土) 10:00〜チケット料金:11,000円(税込)※チケットは顔写真付の電子チケットとなります。※5歳未満入場不可 / 5歳以上有料※客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合があります。※公演日当日にチケットをお持ちでない場合、入場できませんのでご注意ください。※開演間近の来場は、演出の都合上、座席までの案内をお待ちいただく場合があります。※オフィシャルホームページ等にて最新情報を必ずご確認の上、チケットのお申込みと公演への来場をいただきますよう、ご理解とご協力をお願いいたします。※チケットをお求めの際は、オフィシャルページ等にて掲載の「ご来場の際のお願い / 公演・公演当日に関しての注意事項」を必ずご確認の上、お申し込み、来場下さい。※本公演は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府の感染防止ガイドラインに沿った対策を十分行った上で開催いたします。<ライブ映像作品情報>LIVE Blu-ray&DVD『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN / ABRACADABRA LIVE ON THE NET』2021年8月18日(水) リリース●Blu-ray完全生産限定盤(2BD+PHOTOBOOK)13,200円(税込)●Blu-ray通常盤(2BD)7,700円(税込)●DVD完全生産限定盤(2DVD+PHOTOBOOK)12,100円(税込)●DVD通常盤(2DVD)6,600(税込)『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN / ABRACADABRA LIVE ON THE NET』完全生産限定盤BD / DVD 共通ジャケット『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN / ABRACADABRA LIVE ON THE NET』通常盤ジャケット 写真はBD盤【仕様】●完全生産限定盤(Blu-ray / DVD共通)・LPサイズスペシャルパッケージ仕様・LPサイズ全100Pフォトブック付属・マルチアングル映像収録DISC1収録「URAHARA-JUKU」「ユリイカ」DISC2収録「獣たちの夜 YOW-ROW ver.」「ICONOCLASM」●通常盤(Blu-ray / DVD共通)・ディスクのみ【収録内容】(全形態共通)[DISC1]『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN』SE. PEACE01. 月の砂漠02. ケセラセラ エレジー03. 獣たちの夜 YOW-ROW ver.04. SOPHIA DREAM05. URAHARA-JUKU06. 凍える07. 舞夢マイム08. Villain09. 堕天使 YOW-ROW ver.10. ダンス天国11. MOONLIGHT ESCAPE12. ユリイカ13. 忘却14. Luna Park15. FUTURE SONG -未来が通る-16. MISTY ZONE17. Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-18. GIRL19. ROMANCE20. 世界は闇で満ちている21. New World[DISC2]『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』SE. PEACE01. ケセラセラ エレジー02. URAHARA-JUKU03. SOPHIA DREAM04. 月の砂漠05. Villain06. 凍える07. 舞夢マイム08. ダンス天国09. 獣たちの夜 YOW-ROW ver.10. 堕天使 YOW-ROW ver.11. MOONLIGHT ESCAPE12. ユリイカ13. 忘却14. Living on the Net15. Cuba Libre16. ICONOCLASM17. Memento mori18. 独壇場Beauty -R.I.P.-『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN / ABRACADABRA LIVE ON THE NET』トレーラー■BUCK-TICK楽曲配信リンク:<LINEスタンプ情報>新作LINEスタンプ【BUCK-TICKスタンプ3】1セット:全24種類 120円(税込)スタンプショップ:50コイン関連リンクBUCK-TICK オフィシャルサイト Sounda LABEL SITE オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルYouTubeチャンネル
2021年07月18日6月25日、にしながワンマンライブ『hatsu』をZepp Tokyoで開催。そのオフィシャルレポートが到着した。4月にファーストアルバム『odds and ends』を発表したにしなにとって、この日が初めてのワンマンライブ。貴重な機会を目撃しようと、場内はたくさんのオーディエンスが埋め尽くした。バンドメンバーに続いてにしながステージに姿を現し、一曲目に披露されたのは「真白」。アコギを抱えたにしなが愁いの中に芯の強さを感じさせる声で歌い出すと、それだけで場内の空気がガラリと変わる。《返してよ 私のはじめてを》という歌詞と初のワンマンであることのリンクにニヤリとさせられ、エネルギッシュなギターソロを挟み、歌声はさらに熱を帯びていった。真っ赤な照明が爽やかな青に変わると、曲調も一転してAOR風の「夜間飛行」へ。ブラックミュージックからの影響を消化し、カッティングによる軽快なグルーヴも自由なフロウで乗りこなす姿からは、シンガーとしての幅の広さが感じられる。印象的なシーケンスフレーズで始まる「ケダモノのフレンズ」でも、ハンドマイクで心地よいループに身を委ね、軽やかに歌を紡いでいく。ハーッと大きく息を吐き、「やっほー」と客席に呼びかけると、場内からは大きな拍手。「初めてのワンマン、遊びに来てくださってありがとうございます」と挨拶をして、「せつない曲をやろうかなと思います」と始まったのは「ダーリン」。フォーキーなグッドメロディーに乗せて、優しさがゆえにせつない関係性を切々と歌い上げるこの曲は、にしなの真骨頂と言ってもいいだろう。ライブ序盤こそやや緊張も感じられたものの、中盤に差し掛かると堅さも消えて、「ランデブー」ではリズムに合わせて体を揺らし、早口のパートを見事に決めて、「centi」でもさらに伸びやかな歌声を聴かせる。バンドメンバーを紹介し、「ここまではアルバムの曲をやってきましたが、次はアルバムに入ってない曲をやろうかなと思います」と話すと、ここでも場内からは大きな拍手。デビュー前のにしなはライブとYouTubeで弾き語りを披露し続け、まだ音源化されていない曲も多く、彼女を長く応援してきたであろうファンの多さを感じさせる。「アレンジされたバージョンを宇宙初公開しようかなと思います」と言って演奏された「夜になって」は、シンセやギターのソロをフィーチャーし、弾き語りとは異なるバンドならではの魅力を感じさせた。ライブ後半戦は華やかなダンスナンバーを連発。アカペラから始まった「透明な黒と鉄分のある赤」では4つ打ちに乗って《Shall we dance dance dance》と歌い、場内をダンスフロアに変え、CMソングとして書き下ろされた最新曲「U+」では間奏でステージ上に星空が浮かび上がり、そこからのシンガロングパートは音源以上の高揚感を感じさせる。さらに、アルバムではラストを飾る「桃源郷」を続け、ストリングスを配した重厚なバラードを堂々と力強く歌い上げた。「数日前からか一ヶ月前からか、ずっと緊張してて、でも始まったら一瞬で、残り2曲になりました」と話し、「次は煙草ばっかり吸ってる人に向けて書いた曲をやります」と言って披露されたのは、現在の代表曲とも言える「ヘビースモーク」。にしなもエレキギターを弾き、そのざらついた音の感触と、《手持ち無沙汰ならば 両の手を私が握って拘束する》という歌詞に象徴されるヒリヒリした関係性がリンクして、エモーショナルな歌声が聴き手に突き刺さる名曲だ。仲間に別れを告げ、自分が選んだ道に進むと決めた分岐点の曲本編ラストに披露されたのは、「ヘビースモーク」同様に活動の初期から披露されている大切なナンバー「ワンルーム」。台詞調の序盤から徐々に上り詰めて行き、間奏の轟音ギターを経て、せつないメロディーが歌い上げられるラストは圧巻。その場の誰もがジッとステージを見つめ、歌い終えたにしなが「ありがとうございました」と挨拶をすると、この日一番の盛大な拍手が贈られた。アンコールを求める拍手に応えて再度姿を現したにしなは「アンコールをしてもらえたらやりたかった曲がある」と話し始め、「私の音楽の小さな分岐点、それまで一緒に切磋琢磨しながらやってきた仲間にお別れを告げて、自分が選んだ道に進んで行こうと決めたときに書いた曲です。そのときは寂しさや恐怖があったけど、ここから先は仲間のことを忘れちゃうくらい、今に対して必死にならなきゃいけないし、必死でいたいと思って書いた曲。そのときから時間が経って、今日はかっこいいバンドメンバーと、一緒にステージを作ってくださる方と、観に来てくださった方がいて、ワンマンができて、本当に幸せに思います」と、音楽に対する切実な想いと、初のワンマンを迎えることができた喜びを語った。そして、「これから先も、広い宇宙の中を私たちがどこまでも自由に泳いでいけることを願っています」と伝え、バラードナンバー「青藍遊泳」を情感たっぷりに歌い切り、最後は再びエレキギターを持って、「昔バンドでやっていた曲」という爽快なロックナンバーの「アイニコイ」で大団円。まだまだ物語は始まったばかりだが、この歌声が僕たちを、私たちを、どこまでも連れて行ってくれる。そんな可能性を確かに感じさせるステージだった。文:金子厚武写真:上山陽介-SET LIST-M1. 真白M2. 夜間飛行M3. ケダモノのフレンズM4. ダーリンM5. ランデブーM6. centiM7. 夜になってM8. 透明な黒と鉄分のある赤M9. U+M10. 桃源郷M11. ヘビースモークM12. ワンルームENCOREEN1. 青藍遊泳EN2. アイニコイ【リリース情報】デジタルシングル「U+(ユー アンド)」2021年6月23日(水)配信楽曲リンクにしな 関連リンクにしなオフィシャルHP: Link::(スタッフ):::
2021年06月26日BAND-MAIDが5月10日の“メイドの日”に、約3カ月ぶりとなるONLINE OKYU-JI(=配信ライブ)『BAND-MAID “THE DAY OF MAID”』を開催。この度、オフィシャルレポートが到着した。本来、この日は豊洲PITにて約1年3カ月ぶりの有観客お給仕を行う予定だったが、緊急事態宣言の発令に伴い、関係省庁から公演中止の要請が為されたため有観客での開催を断念。急遽会場を変更し、2021年二度目のONLINE OKYU-JIとして実施された。この日はBAND-MAIDのステージが始まる前に、小鳩ミク(Gt.Vo)のソロプロジェクト・cluppoがオープニングアクトを担当。普段のメイド服とは異なるカラフルな衣装を身にまとい、開演時間5分前にステージへ姿を現した小鳩は、「くるっぽー!『PEACE&LOVE』聴いてっぽ」と挨拶してから、4月1日にゲリラ配信をしたオリジナル曲「PEACE&LOVE」を披露した。小鳩はハードロック色の強いBAND-MAIDとは異なる、ニューウェイヴの流れを汲むポップでラブリーな楽曲で新境地を見せ、今後の展開にさらなる期待が高まる結果となった。cluppoがキュートなパフォーマンスでステージを温めたあと、いよいよBAND-MAIDが登場。オープニングSEに導かれ、眩くカラフルな照明が照らされるステージ上にメンバーが1人ずつ登場すると、最後にSAIKI(Vo)が中央に立ったところでSAIKI&小鳩のボーカルが印象的な「Different」でお給仕をスタートさせる。激しく硬質なサウンドで、冒頭から攻めまくりのBAND-MAID。その様子はさながら、豪速球の音の塊を素手で受け止めるような感覚といったところだろうか。間髪入れずに「NO GOD」へと流れると、演奏の激しさはさらに増すばかり。AKANE(Dr)&MISA(Ba)のリズム隊と小鳩、KANAMI(Gt)が織りなすスリリングなアンサンブルと、SAIKIの伸びやかなボーカルが絡み合うことで生まれる絶妙なグルーヴは、もはや誰にも真似できない域に達している。特にこの曲では、中盤でKANAMIとMISAのソロパートも含まれおり、緩急に富んだアレンジで観る者を楽しませてくれた。以降も「I still seek revenge.」「DICE」「After Life」と間髪入れずに演奏を続ける5人。その熱量は途切れることなく、曲を重ねるごとに高まっていく。5曲ぶっ続けで披露し終えたところで、この日最初のMCへ。小鳩が恒例となったファンへ向けての挨拶「お帰りなさいませ、ご主人様お嬢様」をAKANEに振ると、「いらっしゃいませ、ご主人様お嬢様」と間違えるハプニングが発生。思わぬ爆笑ポイントが発生しリラックスしたところで、バンドは再び演奏に戻っていった。第2ブロックのオープニングに用意されたのは、最新アルバム『Unseen World』の完全生産限定盤のみに収録されたレア曲「Youth」。この曲と「Dilemma」「Why Why Why」ではフロントメンバー4人が会場のフロアに降り、ドラムのAKANEと向き合って演奏するという、ONLINE OKYU-JIならではの演出が用意された。カメラマンがメンバーと同じ目線から撮影、しかもフロアでより近くからカメラに収めることができるので、モニターに映るメンバーの姿はより臨場感の高いものだったのではないだろうか。現場での空気感も通常のライブとは異なり、より親密度の高いパフォーマンスのように感じられた。その後、再びステージ上に勢揃いした5人は「Manners」「H-G-K」と緩急に富んだ選曲を用意。ここまで『Unseen World』収録曲が多数披露されたことは、ファンにとってもうれしかったのではないだろうか。続くMCでは、2月のONLINE OKYU-JIで海外から届いたメッセージについて触れ、小鳩が国内外のご主人様お嬢様に向けて感謝の言葉を送る。そして、「前半戦、飛ばしてきましたが、後半戦も飛ばしていきます!」というSAIKIの言葉に続いて「CHEMICAL REACTION」から演奏再開。最新作『Unseen World』の中でも異彩を放つミドルヘヴィチューンは、この日のお給仕でも独特の空気を存在感に満ち溢れていた。怪しげなメロディが耳に残るこの曲を終えると、今度はシンフォニックなイントロダクションが流れ始め、新たなキラーチューン「Warning!」へと突入。楽器隊の演奏はよりキレが増し、SAIKIも体が温まったのか、声量がどんどん上がっていく。その様子は、続く「本懐」での伸びやかな歌声からも感じ取れたことだろう。「Wonderland」では、パワフルなAKANEのビートにストリングス隊のそれぞれ異なるフレーズと、SAIKI&小鳩の歌声が絡み合うことで独特な磁場を作り上げていく。さらにこの日唯一の、じっくり聴かせるミディアムバラード「about Us」では音数の少ないアンサブルの上で、SAIKIがモニターの先にいるご主人様お嬢様に向けて思いを届けるようなボーカルで、圧倒的な存在感を示した。また、「endless Story」では「世界の皆さん、歌ってくれてますか?」と、モニターの向こうに向けてシンガロングを求める一幕も。楽器隊のインストセッションから「Play」へと続く流れでは、フロントメンバーが再度フロアに降りて縦横無尽に動き回るなど、見応えのある演出が用意され、小鳩がリードボーカルを務める「サヨナキドリ」では切なくも激しい演奏と歌で、観る者の心を鷲掴みにした。怒涛のブロックを終えると、ステージには小鳩ひとりを残し、モニターの前のご主人様お嬢様とのコミュニケーションタイムへ。カメラ越しにトークを続ける小鳩は、そのままモニターからの質問に対してひとつずつ答えていく。場が和んだところでメンバーがステージに戻り、恒例のおまじないタイムへ。序盤のAKANEによるハプニングをネタに、ここでもひと笑い起こり、さらにリラックスした空気に包まれるが、ライブはここから終盤戦。SAIKIの「ラストスパート、画面の前で声を出してください!」を合図に、「Screaming」にてフルスロットルのライブが再開する。ステージ後方のLEDスクリーンによる映像演出を用いたここからのブロックでは、視覚面でも多彩さに満ちたパフォーマンスを目にすることができた。特にここでは、先の「Screaming」を筆頭に「Choose me」「BLACK HOLE」といったエネルギッシュな楽曲を連発。否が応でも観る側もテンションが上がり続ける。中でも高速ビートを用いた「BLACK HOLE」の存在感はクライマックスに相応しいものがあり、背景映像も曲に合わせて激しさを増し続ける。そして、SAIKIの「ちゃんと観てくれてましたか?ラスト1曲、まだいけますか?また絶対にお会いしましょう!」のメッセージとともにラストナンバー「FREEDOM」に突入。曲が進むにつれて、フロントメンバー4人はフロアへと降り、好き放題に動きまくる。カメラに捉えられながら演奏するONLINE OKYU-JIという事実を忘れてしまうほど自由なその姿からは、3ヶ月ぶりのお給仕を心の底から楽しんでいる様子が伺えた。「また絶対にお会いしましょう!」と力強く宣言して、2時間にわたるお給仕を終えたBAND-MAD。5月26日には、前回のONLINE OKYU-JIを全曲収録した映像作品『BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)』のリリースも控えており、現在YouTubeでは「Warning!」「Thrill」の映像が先行公開中だ。また、今回の『BAND-MAID “THE DAY OF MAID”』のアーカイブチケットも5月24日まで発売中なので、ぜひこの機会にチェックしてもらいたい。(文/西廣智一)【ライブ情報】無観客配信お給仕「BAND-MAID “THE DAY OF MAID”」開催日:2021年5月10日(月)現在アーカイブチケット発売中<セットリスト>1. Different2. NO GOD3. I still seek revenge4. DICE5. After Life6. Youth7. Dilemma8. Why Why Why9. Manners10. H-G-K11. CHEMICAL REACTION12. Warning!13. 本懐14. Wonderland15. about Us16. endless Story17. セッション18. Playサヨナキドリ19. Screaming20. Choose me21. BLACK HOLE22. FREEDOM
2021年05月20日5月13日(木)、TempalayがZepp Hanedaで開催した「ゴーストツアー」のファイナルとなる東京公演のオフィシャルレポートが到着した。最新作『ゴーストアルバム』からの楽曲を中心とするセットリストが組まれた今回のツアーでは、アルバムのほぼすべての楽曲でベースをプレイしたBREIMENの高木祥太をサポートに迎え、最新のバンドの姿を披露。この日は演出に盟友Margtも迎えた特別な内容で、全12公演に及んだツアーを最高の形で締め括った。不穏なサイレンが鳴り響く中、ステージ前方の幕が開くと、明滅するフラッシュとレーザーによるド派手なライティングですぐにTempalayの世界に引き込まれる。これまでとは上手・下手を逆にして、上手からJohn Natsuki、高木、小原綾斗、AAAMYYYが並び、一曲目は“シンゴ”からスタート。音源より少しだけテンポを落として、4人の呼吸を確かめるような演奏が印象的だ。バンドの背後には全面に巨大なスクリーンが配置され、そこに映し出されるサイケデリックな映像とともに、“人造インゲン”や“のめりこめ、震えろ。”といったアッパーな楽曲が演奏されると、かなりの没入感がある。民謡のようなヴァースと、AAAMYYYのクールな歌声によるコーラスの対比が面白い“ああ迷路”では、〈あの管制塔〉という歌詞が、羽田空港と隣接した会場とのリンクを感じさせたりも。動きの多いプレイでバンドのフィジカルに貢献する高木との化学反応は大きく、リモートを中心としたアルバム制作時は、実際に一緒に演奏する機会こそあまりなかったというが、ツアーを通じて4人のアンサンブルが磨かれたことは明白。高木と初めて一緒に作った曲だという“EDEN”は、ミニマルな前半から一転、歪んだがギターがロックなリフを弾く後半でよりヘヴィな演奏を聴かせる。そんな現在のバンドのグルーヴが爆発したのが、“未知との遭遇”からシームレスに流れ込んだ“my name is GREENMAN”。この曲では全員がこれまで以上にパワフルな演奏を聴かせ、AAAMYYYのコーラスもいい意味でラフなのが曲の雰囲気にマッチしている。小原に紹介され、重低音でのベースソロを聴かせた高木は曲中にステージを自由に動き、小原やNatsukiと向き合って演奏する様は、さながら往年のハードロックバンドのようだった。“忍者ハッタリくん”のイントロではエアロスミスの“Walk This Way”のリフを弾き、あの曲が体現していたハードロックとヒップホップの融合は確かに現在のTempalayとも通じる部分があって、ニヤリとさせられる。一転、「コロナ渦で会いたい人に会えなくなって、ばあちゃんの気持ちになって作った曲」だという“春山淡冶にして笑うが如く”は〈体に気を付けて無理はしないでお元気で〉という歌詞で、ハートウォーミングな雰囲気に。アルバムの曲順通り、アンビエント感のある“Odyssey”、“何億年たっても”が続き、AAAMYYYとNatsukiの共作による“フクロネズミも考えていた”は、シューゲイズな轟音パートが圧巻。さらには、複雑な拍子の“へどりゅーむ”を畳み掛け、音源同様に子供の声の「頑張って練習しました」というサンプリングで終わるユーモアは実に彼ららしい。新作からの曲が続けて演奏されることで、表現の広がりがはっきりと伝わってくる。高木がBREIMENの新曲“赤裸々”を一節歌い、そこにAAAMYYYがコーラスを加えるシーンから、改めて現在のバンドのいい雰囲気が感じられつつ、小原は今回のツアーを振り返り、「『ゴーストアルバム』とはこれでおさらば。成仏して、みなさんに憑依し続けるでしょう。ツアーはすごく疲弊するけど、朝起きるとやっぱり寂しくて、また何かやり出して……そうやって7年やってきました」と話し、スタッフやMargtに労いの言葉をかけ、最後はオーディエンスに「ぜひ生きていてください。幸せに、適当に」と語りかけた。意表をつく曲展開とポップなメロディーの組み合わせによる“GHOST WORLD”でのメンバー紹介に続いて、小原とAAAMYYYの歌から始まる“冬山惨淡として睡るが如し”では、スポットライトによって背景に2人の影が映し出され、リズムが入るとともに4人にオレンジ色のピンスポットが射す演出がじんわりと感動を呼ぶ。ライブで聴くこの曲は音源以上にストレートなロックバラードで、もっと大きな会場で聴きたいとも思った。二胡の旋律とスクリーンに映し出された夜景の組み合わせが幻想的な“大東京万博”から“そなちね”へと続け、「これがアンコールです」と最後に届けられたのは“Last Dance”。ツアーが終わりを迎える一抹の寂しさと高揚感がそのまま伝わってくるかのような演奏が素晴らしく、小原とAAAMYYYが先にステージを下りると、残ったリズム隊が終わりを惜しむかのようにヘヴィなグルーヴを聴かせ、最後はNatsukiが一人でシンバルを叩きまくり、ツアーファイナルが終了。『ゴーストアルバム』という作品は、生きているか死んでいるかわからない、幽霊のような気分で過ごした2020年の反映でもあったが、この日のライブはそれと真逆と言ってもいい、肉体的な実感を伴う、強い生命力を感じさせるものだった。文:金子厚武 / 写真:井手康郎(GRACABI)<セットリスト>01.シンゴ / 02.人造インゲン / 03.のめりこめ、震えろ。04.ああ迷路/ 05.EDEN / 06.未知との遭遇07.my name is GREENMAN / 08.どうしよう / 09.革命前夜10.忍者ハッタリくん / 11.春山淡冶にして嗤うが如く / 12.Odyssey13.何億年たっても/ 14.フクロネズミも考えていた / 15.へどりゅーむ / 16.GHOST WORLD17.冬山惨淡として睡るが如し / 18.大東京万博 / 19.そなちね20.Last Dance【リリース情報】Tempalay『ゴーストアルバム』■アナログ発売日:2021年6月23日(水)品番:WPJL-10138定価:5,500円(税抜価格:5,000円)形態:LP<収録内容>[Side-A]01. ゲゲゲ02. GHOST WORLD03. シンゴ04. ああ迷路05. 忍者ハッタリくん06. 春山淡冶にして笑うが如く[Side-B]01. Odyssey02. 何億年たっても03. EDEN04. へどりゅーむ05. 冬山惨淡として睡るが如し06. 大東京万博「ゴーストアルバム」アナログ購入リンク: ■CD発売日:2021年3月24日(水)・通常盤 定価 3,080円(税抜価格:2,800円)<CD>・初回限定盤 定価 4,400円(税抜価格:4,000円)<CD+DVD>※初回限定盤に付属のDVDには、2020年11月29日(日)「TOUR 2020」新木場STUDIO COAST公演ライブ映像に加え、特別映像収録「ゴーストアルバム」音楽配信サービス・購入リンク:
2021年05月14日5月5日(水・祝)に東京ドームにて開催されたまふまふによるオンラインライブ「ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE」のオフィシャルレポートが到着した。史上初となる、東京ドームから全世界への無料配信ライブ。全世界合計で約40万人以上が同時視聴した記録的なオンラインライブは、沢山の人の記憶に強く刻まれるものになったはずだ。5月5日、まふまふによるオンラインライブ「ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE」が、自身のYouTube公式チャンネルと中国の動画配信サイトbilibiliにて開催された。開演時間の18時30分を少し回ると、オープニング映像を経て、空から羽が降りてくる演出と共に、ステージには絢爛豪華な衣装を身にまとったまふまふが登場。力強く左手を挙げると、そこから光の柱が立ち上がるド派手なスタートだ。「東京ドーム!一世一代の大舞台、幕開けだ!」と叫び、ライブは「ベルセルク」からスタート。「最終宣告」「罰ゲーム」と、序盤はアグレッシヴなナンバーを続けていく。六角形の広いステージの真ん中に立ちハイトーンのシャウトで魅了するまふまふの存在感はもちろんのこと、テクニカルなバンドメンバーの演奏、華やかな演出にも目を奪われる。広いドームの空間にレーザーの光が飛び交い、ステージ周囲に特効の火柱が立ち上がる。背後と頭上の巨大LEDビジョンに映し出された映像、空間全体を照らす照明の光もあいまって、東京ドーム全体が異世界になったかのような不思議な光景が広がる。「この舞台は、今日、俺たちだけのものだ!」と、まふまふが叫ぶ。「みんな、僕の声は聞こえてますか?」と少し緊張気味なMCを経て、激しく情熱的なピアノが駆り立てる「アルターエゴ」、そして『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に提供した「悔やむと書いてミライ」「携帯恋話」の2曲を続ける。「自分の大切な思い出の楽曲たちをドームに連れていきたかったので。一つやり遂げた感があります」と告げると、続いてはダンサブルな「デジャヴ」、そしてこの日が初披露となった新曲「おとといきやがれ」と続ける。どれも2019年リリースのアルバム『神楽色アーティファクト』以降に発表してきた楽曲だ。特に、跳ねるグルーヴのバンドサウンドに乗せて「おとといきやがれ クソ野郎」と挑発的な言葉を歌い上げる「おとといきやがれ」には、新境地の興奮を感じる。三矢禅晃(Gt)、清水"カルロス"宥人(Gt)、白神真志朗(Ba)、宇都圭輝(Key)、新保恵大(Dr)という鉄壁のバンドメンバーによるセッションを経て、続く「女の子になりたい」では、キラキラと光る白いパーカーに身を包んだまふまふが、LEDペンライトが一つ一つの座席に設置されたスタンド席を歩きながらキュートに歌う。見渡す限りのペンライトの光が織りなす光景の中「一人で歌ってるように見えて、お客さんに囲まれてるからね」と語りながらステージに戻ったまふまふは、続けて忍者に扮したダンサーを従えた「忍びのすゝめ」、昨年に久々のボカロ楽曲として投稿された「イカサマダンス」、ドラマティックなバラードの「ユウレイ」、「さえずり」と続けていく。多彩なまふまふの世界にオーディエンス全員を惹き込んでいくような展開だ。再びのバンド演奏を経て、和装に狐の面をつけたまふまふがステージに登場。「ひともどき」の繊細なメロディから、壮大でドラマティックな曲調に乗せて胸が張り裂けるような歌声が響く「生まれた意味などなかった。」、そして“歌ってみた”の投稿が大きな反響を巻き起こしたカンザキイオリ作の「命に嫌われている。」と、後半はダークな楽曲を迫力たっぷりに披露。全身の力を絞り出すかのようなシャウトを響かせた「輪廻転生」から、「暴れ足りねえなあ!」と告げて披露したKemu作の高速ラウドナンバー「拝啓ドッペルゲンガー」へと、この日ならではのスペシャルなセットだ。最後のMCでは「10年間、活動を続けてきました」と、これまで歩んできた道程を振り返る。「顔を出すのが怖い10年間でした。人前で歌うことが大嫌いな日々でした。いつの間にか、このご時世で、みんなの前でライブをすることがなくなり、とてつもない虚無感と喪失感を日々感じていました。いつの間にか、僕はライブが好きだったんだな、みんなと会うのが楽しみだったんだな、人前で歌うこと、上手く歌えても、下手くそな日でも、それよりもみんなに聴いてほしかったんだな。そんなことを感じて、今回のライブをさせていただきました」と、ライブにかけた思いを訥々と語った。そして、ライブは終盤へ。「日本とはまた別のところに住んでいる人達のことを考えて作った曲」という「曼珠沙華」では、中国語を交えた歌詞に双喜紋をデザインした映像が映える。「1年前に約束していたみんな、それを楽しみしていたみんなに向けて作った曲」と告げた「夜空のクレヨン」では、星型の照明がドームの屋根を照らし、幻想的な空間を描き出す。そして最後は「僕の一番大切な曲」と語った「夢のまた夢」。「お別れの時間です。今日、僕を見つけてくれてありがとう」と告げ、万感の思いを込めて歌い上げた。世界中に向けて、自身の音楽を全身全霊で届けきったまふまふ。ライブ配信のチャット欄には英語や各国語での熱い感想も並んだ。国境を超え、多くの人たちが興奮を共有した時間だった。Text by 柴那典Photos by 小松陽祐(ODD JOB LTD.) / 岡本麻衣(ODD JOB LTD.) / 堀卓朗(ELENORE) / 今田和也(ELENORE)<公演情報>『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE』-SET LIST-01. ベルセルク02. 最終宣告03. 罰ゲーム04. アルターエゴ05. 悔やむと書いてミライ06. 携帯恋話07. デジャヴ08. おとといきやがれ09. 女の子になりたい10. 忍びのすゝめ11. イカサマダンス12. ユウレイ13. さえずり14. ひともどき15. 生まれた意味などなかった。16. 命に嫌われている。17. 輪廻転生18. 拝啓ドッペルゲンガー19. 曼珠沙華20. 夜空のクレヨン21. 夢のまた夢『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2021@東京ドーム~ONLINE』まふまふ関連リンク公式HPニコニコ動画まふまふの何でも屋さん
2021年05月11日舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』が16日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで初日を迎え、オフィシャルレポートが到着した。同作は原作・朝霧カフカ、作画・春河35による同名人気漫画の舞台化作で、今回が5作品目となる。劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁が演出を務める。中島敦、芥川龍之介、太宰治といった文豪の名を懐くキャラクターがされ、異能力を用いて戦う。本作の原作は、2018年公開の映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』。異能力者が次々に自らの異能を使い自殺するという不可解な「ヨコハマ連続自殺事件」を発端に、武装探偵社、ポートマフィアはそれぞれ、事件の犯人と目される男・澁澤龍彦を追い始める。時を同じくして澁澤と相見える太宰治と魔人・フョードル。遡ること6年前に勃発した「龍頭抗争」での因縁を経て、骸砦に集う三超人の思惑が、ヨコハマを深い霧闇に覆う。舞台化に当たり、原作の朝霧カフカが自ら筆を執り、自身初となる舞台脚本の書き下ろしを行った。原作映画の公開から3年が経つ今、公開当時にはまだ明かされていなかったエピソードや新たな側面をふんだんに盛り込みながら物語を展開。登場人物である「武装探偵社」の中島 敦(鳥越裕貴)・太宰治(田淵累生)・泉鏡花(桑江咲菜)、ヨコハマの裏社会に巣食う「ポートマフィア」の芥川龍之介(橋本祥平)・中原中也(植田圭輔)、地下組織の盗賊団「死の家の鼠」の頭目であるフョードル・D(岸本勇太)、そして今作の鍵を握る美しくもおぞましい異能力を持つ男・澁澤龍彦(村田充)の7名に焦点が当たる。○オフィシャルレポート物語はヨコハマ、街の雑踏から始まる。武装探偵社の会議をさぼった太宰 治を探して走りまわる中島敦。敦はその後、一人の老婆があわや交通事故という場面に出くわすが、奇妙な長髪の男の出現で事故は回避。敦にはどこか見覚えのあるその男こそ、6年前に起こった龍頭抗争の首謀者・澁澤龍彦だった。時を同じくして武装探偵社では、「異能力者連続自殺事件」の調査に乗り出しており、澁澤はその容疑者として名前が浮上していた。そして、そんな二人を取り巻くように、ヨコハマが深い霧に覆われる。一方、ポートマフィアでもこの事件を追い、芥川龍之介が指令を受けていた。発生した霧は、異能力者から異能を奪う力があるというのだ。芥川へ中原中也から下された指令は、澁澤の打倒でなく、澁澤をヨコハマに招き入れた罪人・太宰 治の殺害だった。浅からぬ想いが太宰にある芥川はその指令に驚愕するも、自らの異能を取り戻すべく、太宰らのいる”骸砦”へと向かう。それぞれの目的を果たすため、探偵社、ポートマフィアが動き出す中、"骸砦"で澁澤と相見える太宰。そしてそこへ現れる魔人・フョードル。白い衣裳を纏った三人は舞台上でも特出して異彩を放つ。高い思考を持つ三人の腹を探り合うような会話のテンポが見ている観客を舞台へと引き込む。今作では、敦、鏡花、芥川が乖離した異能を通じてそれぞれの「壁」と対峙し、それを乗り越えるさまが描かれている。2017年の初演以来、エバーグリーンな輝きを放ち続ける中島敦役の鳥越。今回は敦の内面奥深くに芽生える苦悩に寄り添う姿を、見事に体現している。その過程で、乖離した異能力”月下獣”に立ち向かい、自らの過去を受け入れていく敦。ラストに鳥越が魅せる”生命の輝き”は、まさしく舞台ならではの熱量だといえる。元ポートマフィアの暗殺者、泉鏡花役・桑江が小柄な体躯を生かしながら舞台を縦横無尽に駆ける様子は”文ステ”シリーズではおなじみ。霧の中、鏡花は”両親の仇”である異能”夜叉白雪”と相対する。「鏡花の両親と”夜叉白雪”の真相」に触れ、本当の意味で自らの異能を取り戻す鏡花。鏡花の深い内面を表出させる桑江の熱演は、”文ステ”の新たな魅力となった。今作において、映画と大きく異なって描かれるのがポートマフィアの2人だ。橋本祥平演じる芥川は、異能を喪うという窮地にあっても、ブレることのない意志を以て任務にあたる。橋本の持つクールかつソリッドな魅力はこれまで同様、今作では、一層ストイックな芥川を好演している。また、植田圭輔演じる中也との絡みでは、これまであまり出すことのなかった"後輩顔"もちらりと覗かせる。この点もファンがこれまで見たことのなかった”芥川像”となるのではなかろうか。その中也は作中で八面六臂の大活躍を見せる。演じる植田圭輔の運動神経の高さはもちろん、特筆すべきは”文ステ”初となる「フライング演出」への挑戦だ。舞台表現が難しい「龍」との対決、異能力”汚濁”の発動を、プロジェクションマッピングとの合わせ技で見事に表現している。劇中歌に合わせた一連のステージングは、原作を見たファンであれば、その再現度に感嘆するに違いない。併せて今作では、原作にはなかったアクションシーンや、幹部然とした中也の一面が追加されている。アンサンブルとともに魅せる大立ち回りにもぜひ注目いただきたい。その中也の元・相棒、太宰を演じるのは"文ステ"初登場の田淵累生。陰謀が渦巻く”骸砦”では冷静さが際立つ役回りだが、今作最後に見せた人間味あふれる表情が筆舌しがたいほど素晴らしかった。中也役・植田とも息の合ったコンビネーションを魅せ、これまでのシリーズで積み上げられてきた太宰の魅力をそのままに、さらなる奥深さをキャラクターに与えている。今作ではフョードル役・岸本、澁澤役・村田との”超人同士の騙し合い”を見事に演じきっている。初登場はまだまだ続く。謎多き男、フョードル・D役に挑んだのは岸本勇太。フョードルは今作で超越的な策謀を企てる"魔人"。岸本が舞台に登場するたびに凍てつくような緊張感が漂い、空気がぐっと引き締まる。初登場とは思えぬほど場を支配しており、狡猾なフョードルをすっかり自分のものにした岸本。また、クライマックスに向け盛り上がる中、アンサンブルと魅せるダンスシーンにも注目だ。そして圧倒的な存在感を示したのが、澁澤役の村田充だ。今作ではこの世の全てに退屈を覚え、異常なまでに命の輝きに執着し、歓喜する澁澤。その気味の悪さを表情や立ち姿で表現しながらも、刹那的な美しさや寂しさも同時に醸し出す。澁澤という得体のしれない人物を見事に怪演し、人目を奪った。その澁澤と鳥越演じる敦のバトルは今作のクライマックス。澁澤の、まさしく”人間を超えた”超然たる振る舞いと、真っ向から対立する敦の「あがき、まよい、さけぶ」姿は、ぜひその目でご覧いただきたい。文ステの特筆すべき点のひとつが、シンプルながらも高さと奥行きを生かした舞台美術や、驚きに満ちたアイデアの数々、森羅万象、何にでもなる変幻自在のアンサンブルの活躍と、不可能とも思われる場面を舞台上に出現させる中屋敷の演出力だ。本公演ではそれらがさらにパワーアップ、プロジェクションマッピングを効果的に用いた照明や迫力ある音響を駆使し、歌舞伎のようなケレン味も加わったスペクタクルな一大抗争劇を繰り広げた。そして高い身体能力と豊かな表現力を持つアンサンブルたちの人力による"舞台装置"からも目が離せない。 8名とは思えない、変幻自在な様子はまさしく”文ステ”の華と言えるだろう。本公演は原作映画を知らなくても十分楽しめるが、リンクする場面も織り込まれているので、ぜひ映画も観てほしい。また、舞台ならではの新たな視点が盛り込まれた今作は、映画を視聴したファンにこそ、見ていただきたいものでもある。その両方を知ることで作品世界により深く入り込めることだろう。舞台『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』大阪公演は4月18日(日)まで上演。4月23日(金)より東京・日本青年館で開幕、5月5日(水・祝)まで上演する。東京公演では、全16公演をライブ配信もするので、舞台と配信のハイブリッドでその魅力を堪能できる。全15名のキャストが舞台上で織りなす”赤き果実”。是非ご賞味あれ。○舞台写真(C)舞台「文豪ストレイドッグス DEAD APPLE」製作委員会
2021年04月16日人気脚本家、坂元裕二の作・演出による 「坂元裕二朗読劇 2021」が、4月13日に東京・よみうり大手町ホールにて開幕。初回公演となった高橋一生×酒井若菜の「忘れえぬ 忘れえぬ」のオフィシャルレポートが到着した。この春スタートしたドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』をはじめ、『カルテット』や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』、映画『花束みたいな恋をした』などのヒットで知られる脚本家の坂元が作・演出を手掛ける「坂元裕二 朗読劇 2021」。今回は、過去にさまざまなキャストが演じてきた「カラシニコフ不倫海峡」「不帰の初恋、海老名 SA」の2作に、本公演のために書き下ろされた「忘れえぬ 忘れえぬ」を追加し、1公演につき3つの物語から1つを上演する。高橋一生×酒井若菜、千葉雄大×芳根京子、林遣都×有村架純、風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花、仲野太賀×土屋太鳳の6組が読み手となることも話題の本公演が、4月13日によみうり大手町ホールで幕を開けた。初回は、高橋と酒井による「忘れえぬ 忘れえぬ」を上演。問題を抱える少年の最里(もり)と少女の木生(きお)が、とある場所で出会い、いくつかの夏を越えていく様子を描いた作品で、彼らを取り巻く環境や登場人物の雰囲気は、そのやりとりから知ることとなる。時間が経つにつれてキャラクターの輪郭がくっきりと浮き出て、彩度があがっていくような物語を、ステージ上で台本を手にした高橋と酒井が、純粋かつ巧みに演じていく。さまざまな出来事を通じて起こるふたりの変化や成長を声だけ伝えることで、聞き手の想像を掻き立て、ラストへと繋いでいく姿が印象的だった。主人公である最里と木生は舞台の上のふたりが紡ぐ言葉によって誕生し、1時間半をかけて進んでいくが、演じる役者によってその印象はがらりと変わっていくだろう。そこが「坂元裕二 朗読劇 2021」の面白さであり、奥の深さなのだと改めて感じずにはいられなかった。東京・よみうり大手町ホールでは、4月25日(日)までの期間中に全6組のキャストが日ごとに出演。続く4月28日(水)~5月2日(日)の大阪・松下 IMP ホールには風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花が、5月7日(金)と8日(土)の北海道・道新ホールには、風間俊介×松岡茉優が登場する。東京公演は現在上演中。大阪、札幌のチケットの情報はオフィシャルサイトで確認してほしい。【公演情報】『坂元裕二 朗読劇 2021「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」』出演:高橋一生×酒井若菜、千葉雄大×芳根京子、林遣都×有村架純、風間俊介×松岡茉優、福士蒼汰×小芝風花、仲野太賀×土屋太鳳(出演日順)●東京公演公演期間:2021年4月13日(火)~25日(日)会場:よみうり大手町ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:3月28日(日) 10:00~主催:フジテレビジョン / MA パブリッシング / サンライズプロモーション東京お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~15:00)●大阪公演公演期間:2021年4月28日(水)~5月2日(日)会場:松下IMP ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:4月10日(土) 10:00~主催:関西テレビ放送 / サンライズプロモーション東京運営協力:キョードー大阪お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(月~土 11:00~16:00)●札幌公演公演期間:2021年5月7日(金)~5月8日(土)会場:道新ホール上演作品 :1.「忘れえぬ 忘れえぬ」、2.「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」、3.「カラシニコフ不倫海峡」チケット料金:全席指定 6,800円(税込) ※未就学児入場不可チケット発売日:4月15日(木) 10:00~主催:道新文化事業社 / 道新スポーツ / エフエム北海道お問合せ:道新プレイガイド 0570-00-3871(月~土 10:00~17:00)公式サイト:
2021年04月15日紺野りさの人気漫画を実写化する映画『胸が鳴るのは君のせい』より、2020年10月に撮影が行われた本作の現場オフィシャルレポートが公開された。甘く切ない青春映画の主演を務めるのは、ジャニーズJr.で唯一「VS魂」のレギュラーメンバーに抜擢された「美 少年」浮所飛貴。今回、映画初出演にして初主演となった浮所さんが演じる有馬隼人は、普段はクールで飄々としているが、男友達同士の他愛もない会話で笑顔を見せることもあれば、つかさに対してふとした瞬間に優しい表情を見せることも…と、相手との距離感やシチュエーションによって見せる表情が微妙に変化する。そんなクールさと明るさのさじ加減がカギとなるため、浮所さんはカットがかかる度に監督に声のトーンや表情、顔の向きや体勢、歩き方まで細かく相談していたという。役との向き合い方については「自分がどう映っているか第三者の方に見ていただくことも大切だけど、自分自身の演技を見ることで成長できることもあると思う。自分の演技を見て、違うなと思った部分があれば監督にお願いしてもう一回撮らせていただいたり、やるならとことん徹底的に詰めたいと思って取り組みました」とコメントしている。一方、白石聖演じる本作のヒロイン・篠原つかさは、有馬に告白するも玉砕。しかし、決して諦めずに有馬を一途に思い続けるという、真っ直ぐでピュアなキャラクター。「少女マンガの王道のヒロインというよりも、かっこいいヒロイン。フラれても有馬を一途に思い続ける姿は、『ロミオとジュリエット』の逆バージョンに見えました」とキャラクターを分析した白石さんは、不意打ちの優しさにときめく表情や、片想いの切なさを思わせる儚げな視線といった、恋するつかさの心の変化を絶妙に演じ分けた。また撮影では、重要なシーンでは気持ちを切り替え、少し離れたところで集中力を高める場面もあり、その姿は白石さんとつかさがリンクしているように見えたという。なお、4月24日(土)より全国合計2万枚限定特典付きムビチケ前売券が発売。特典は、有馬とつかさの恋する表情を収めた「ドキドキを挟み込む!胸が鳴り止まない♪オリジナルクリアファイル」。クールで優しい有馬と明るくしっかり者のつかさ、2人の眩しい笑顔が1枚のクリアファイルに収められている。『胸が鳴るのは君のせい』は6月4日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:胸が鳴るのは君のせい 2021年6月4日より全国にて公開©2021 紺野りさ・小学館/「胸が鳴るのは君のせい」製作委員会
2021年04月07日6月4日(金)から全国公開となる浮所飛貴主演『胸が鳴るのは君のせい』より、2020年10月に撮影が行われた本作の現場レポートが解禁された。本作は累計発行部数250万部を突破した紺野りさの同名少女コミックを原作とした青春ラブストーリー。転校生の有馬隼人と、有馬を想い続ける篠原つかさが繰り広げる、親友のように仲が良い友達への“片思い”を描く。有馬を演じるのは映画初主演となる美 少年のメンバー、浮所。またこれまで数々の話題作に出演を果たし2021年大注目の若手実力派女優の白石聖がヒロイン・篠原つかさ役を演じる。そしてふたりの恋のライバルに板垣瑞生、原菜乃華。先日追加キャストとして、河村花、若林時英、箭内夢菜、入江海斗らの出演が発表された。今注目の若手実力派俳優が揃っていることから、SNSを中心に大きな話題だ。映画初出演にして初主演を任された浮所飛貴演じる有馬隼人は、普段はクールで飄々としているが、男友達同士の会話で笑顔を見せることもあれば、つかさに対して優しい表情を見せる瞬間もあり、距離感や場面によって見せる表情が変化するキャラクター。そのさじ加減が鍵となる難しい役どころのため、カットがかかるたびに浮所は声のトーンや表情、顔の向き、体勢、歩き方まで細かく相談をし、監督と2人3脚で“有馬隼人”という役を作る。役との向き合い方については「自分がどう映っているか第三者の方に見ていただくことも大切だけど、自分自身の演技を見ることで成長できることもあると思う。自分の演技を見て、違うなと思った部分があれば監督にお願いしてもう1回撮らせていただいたり、やるならとことん徹底的に詰めたいと思って取り組みました。」と語るなど、本作に対する浮所の熱量も伺えた。また白石聖が演じる篠原つかさは、有馬に告白し玉砕ししても決して諦めずに有馬を一途に思い続けている、ピュアな魅力にあふれたヒロイン。白石自身は「少女マンガの王道のヒロインというよりも、かっこいいヒロイン。フラれても有馬を一途に思い続ける姿は『ロミオとジュリエット』の逆バージョンに見えました」と役を分析しながら、不意打ちの優しさにときめくきゅんとした表情や、片思いの切なさを思わせる儚げな視線など、恋するつかさの心の変化を絶妙に演じ分ける。重要なシーンでは気持ちを切り替え、少し離れたところでじっと集中力を高めている白石の姿は、演じるつかさの芯の強さと通じるようで、まさに白石とつかさがリンクしている様だ。また、いよいよ4月24日(土)より、全国合計2万枚限定の特典付きムビチケ前売券が発売となる。特典は有馬とつかさの恋する表情を収めた「ドキドキを挟み込む!胸が鳴り止まない♪オリジナルクリアファイル」。こちらを手に入れて、迫る公開に備えよう。『胸が鳴るのは君のせい』6月4日(金)より全国公開<オリジナルクリアファイル特典付きムビチケ前売券>料金(税込):一般1,500円発売日:4月24日(土)発売方法:【映画館窓口】※特典付き上映劇場はこちら( )。※販売開始時間の詳細は、販売予定の劇場にお問い合わせください。※一部劇場を除きます。【メイジャー通販サイト】※特典は付きません。※ムビチケカードのデザインは1種です。※本作品では小人券の発売はございません。※舞台挨拶等、特別興行には前売券がご利用いただけない場合がございます。予めご了承ください。※ムビチケカード1枚につき、特典は1つです。※クリアファイルはお一人様一会計につき、4枚までの数量制限がございます。予めご了承くださいませ。※特典はなくなり次第、ムビチケカードのみの販売となりますのでお早めにお買い求めください。※デザインはイメージです。
2021年04月07日3月20日・21日の2日間、横浜アリーナにて坂本真綾25周年記念LIVE『約束はいらない』が開催された。本記事ではそのオフィシャルレポートをお届けする。坂本真綾今回の公演は新型コロナウイルス感染拡大防止のためのガイドラインに沿った形で行われ、イレギュラーなことがいくつかあったが、2日間共に混雑なく開演時間を迎えていたのが、まず素晴らしかった。人数制限(上限5,000人以下)のため座席は余裕を持って配置されており、その間を埋める空席にはフライヤーが貼られ、坂本真綾の自筆で「来てくれてありがとう。私は今日あなたを幸せにするためここに来ました。一緒に楽しもう。」というメッセージが可愛らしいイラストと共に書かれていた。アリーナにはセンターステージが設置され、それを8面LEDと呼ばれる鳥かごのような装置が覆い、左右には長い花道が伸びている。LEDにはライブやCDジャケットなど過去の写真が次々と映し出されて気持ちが高鳴る中、2日間だけの特別なライブが、いよいよ幕を開ける。1曲目はライブのタイトルにも冠されているデビュー曲「約束はいらない」。今回のバンドメンバー、北川勝利(Band master&G)、佐野康夫(Dr)、千ヶ崎学(B)、奥田健介(G)、扇谷研人(Key)、毛利泰士(Percussion&Manipulator)、稲泉りん(Cho)、高橋あずみ(Cho)が丸いステージを中心に向かって取り囲むように演奏し、その中心で坂本が伸びやかな声で歌う。25周年の歩み、その始まりを祝福するようなオープニングだが、まだ全貌は見えない。2曲目の「CLEAR」でセンターステージを覆っていた8面LEDが天井に登っていくと、ショートカットにパープルのドレスを纏った彼女が現れ、キラキラとした表情で歌う姿を頭上のスクリーンが映し出した。その瞬間、会場中に広がった華やかで夢のような景色に胸がいっぱいになる。この日のために切った髪、スタイリストと用意したドレス。彼女がこのステージにかけた「みんなを楽しませたい!」というシンプルな気持ちが伝わって来た。「みんな、よく来たね!会えて本当に嬉しいです。今日は最高の1日にするから最後まで宜しく!」と挨拶。そこからタイトなリズムとノイジーなギターが交差するカオティックな「スクラップ〜別れの詩」を、モノクロの映像と赤いレーザーが印象的な演出で披露。続く「ユーランゴブレット」ではセンターステージの内側から彼女の動きを追うカメラワークとカメラ目線のパフォーマンスが抜群のカッコ良さ。昨年からのコロナ禍でオンラインライブも新たな主流となった中、リアルタイムで届ける映像美は格段に進化しており、それがこうして有観客でのライブでも生かされるという新たなエンタメの在り方にワクワクさせられた。他にも「独白」ではエモーショナルな曲調に合わせてセンターステージに大迫力の火の玉が何度も上がったり、「躍動」では左右に伸びた花道上にブルーのLEDがゆらゆらと揺れていたりと、演出面でも見逃せない場面が次々と繰り広げられていく。衣装チェンジを経て、お待ちかねのゲストコーナーへライブの序盤から「みんなこの1年間、すごく気を張っていた日々を過ごしていたと思います。この時間は心置きなく楽しんで行ってください」と話していた。この日、久しぶりにコンサート会場に足を運んだという人も多かったことだろう。そして「2020年、家にいる時間が長かった時に心に思い浮かんだことを曲にしました」と「いつか旅に出る日」を披露。自身が過去に訪れたクロアチアの景色を思い浮かべながら、今はまだ制約の多い生活を送っている私たちの「いつか」に希望を灯すような優しいメロディが、旅先での写真と共に届けられる。今回の2日間のライブの中で「どんな悪いことも永遠には続かないよ」と話してくれたことも、心に残った。「自分の結婚式でもこんなドレス着てないわよ!」とか「歩くとルンバみたいでしょ?」と笑いながら言っていた豪華な衣装から、いつの間にかピンクのパンツスタイルがキュートな衣装にチェンジしたら、お楽しみのゲストコーナーへ。そう、今回の25周年記念LIVEではリリースしたばかりのアルバム『Duets』で共演したアーティストがゲストでお目見え。まずは内村友美(la la larks)が登場すると、一緒に「色彩」を歌う。言わずもがな「色彩」はla la larksが提供した楽曲なので、ふたりで歌うと更に最強。センターステージの中央部分はせり上がるようになっていて、背中合わせになって歌う姿にはユニット感が漂う。デュエット曲「sync」は難しい旋律をふたりで軽やかに駆け上がる美しさ。MCではふたりで向き合い坂本が「あなた綺麗ね」としみじみ言うと、内村が「そんなディズニープリンセスみたいな真綾さんに言われても!」と返したシーンが面白かった。坂本真綾×内村友美1日目、2日目の共通ゲストとしてもう一人、とびきりのエンターテイナーぶりを発揮して会場を盛り上げたのがポップの貴公子、堂島孝平。花道の端っこから「真綾さんもうちょっとです〜!」とか言いながら走ったり転んだりしながら登場するだけで何でこんなに面白いのだ、この人は。デュエット曲「あなたじゃなければ」では、喧嘩しながらじゃれあうようなカップルをコミカルに、時にアドリブも交えて披露すると坂本のパフォーマンスもいつも以上にハイテンション。その後で堂島がアコースティックギターを奏でながら、彼が作曲を手がけた「レコード」を一緒に歌う場面も。インタビューでも坂本が堂島のことを「本当に何でもできるんですよ!」と絶賛していたが、それを目の当たりにするような客演だった。堂島孝平×坂本真綾ここからは「今日だけのあの人が来ますよー!」と、日替わりのゲストを招く。1日目は原昌和(the band apart)がにこやかに登場し、そのままセンターステージで一人せり上がり「Be mine!」で華麗にベースを弾き倒す。デュエット曲「でも」では、原いわく「高級すぎるスナックに来てる気分」と心底楽しそうにふたりで歌ったが、アルバム『Duets』の制作を通じて「原さんと私の声の相性が本当に良いんですよ!」と言っていた通り、抜群のハーモニーを生で聴かせてもらった。原昌和(the band apart)2日目に登場したのは土岐麻子。デュエット曲「ひとくちいかが?」を、誰もが一聴して「素敵!」と心踊るような声で披露すると、お洒落でポップなムードが会場いっぱいに広がる。坂本も「幸せだな〜!」とうっとり。土岐に対し「私、見つめ合うと何だか女性の方が緊張します」と高揚した表情で言っていたが、1日目に汗だくの原にお水やタオルを手渡すサービスをしながら「使ったタオルは自分で何とかして!」と最後に雑にあしらっていた姿を思い出して笑ってしまった。2曲目は土岐もカバーしている「DOWN TOWN」をふたりでチャーミングに披露すると華やかなサウンドと共に幸せいっぱいのハイライトとなった。土岐麻子これまでの軌跡を巡るようなセットリスト、25周年メドレーもまるでお祭りのようなひと時が終わると、再び8面LEDがセンターステージに降りてきて25周年の軌跡をランダムに辿るように「gravity」「序曲」「birds」と続けて披露し、じっくり聴かせた。「気付けばこの25年の間に200曲以上リリースしてきました。ライブで全てを網羅することはできなくてもみんなが好きな曲がひとつでも入っていたら嬉しいです。限られた時間の中で1曲でも多く聴いてもらいたくて、この日のためにメドレーを作ってきました」と始まった25周年メドレーでは自身のキャリアの中でも節目の一歩を踏み出した「ループ」や、数々のライブを彩ってきた「Private Sky」や「マジックナンバー」、「ヘミソフィア」や「トライアングラー」などの人気曲まで聴かせた。オーディエンスは、時に懐かしくなって心がキュンとすることもあったのではないだろうか。坂本真綾の25周年は、彼女を応援してきたみんなの25周年でもある。ファンとしての歴史がいつ始まったとしても、大好きな曲と思い出を共有しながら、みんなが2日間ここに集まったことが意義深い。メドレー最後の「光あれ」では彼女の、歌手としての風格すら感じさせる神々しさだった。〈もしも今この声が誰かに届いてるなら/手を振ってくれないか〉のフレーズで観客が手にしたLEDバンドが白く光り、みんなで彼女に手を振った。音と光のコール&レスポンスはひときわ美しい名場面だった。声を出せなくても、拍手をして、手を振って、拳を振り上げて、みんなでステージに想いを伝えた。それはステージから坂本真綾が溢れんばかりのたくさんの想いを伝えてくれたからだ。「今回のライブは満席というわけにはいかない形で開催しましたが、みなさんがここに来てくれたことが本当に嬉しいです。ステージがせり上がったり、火が出たり(笑)、私自身お祭りだと思って準備してきました。空席に貼ってあるメッセージは、実は2日分の枚数を印刷したんですが、1日目のお客さんはほとんど持って帰らなかったそうです。きっと2日目も使うだろうからとみなさんが気を遣ってくださったんだと思います。いつも人を想いやる方達に支えられているなとあらためて感じました。よろしかったら今日は持って帰ってください」。そんなエピソードにも坂本とファンの関係性をしみじみと感じた。そして今回のライブは映像収録されて後にリリースすることを発表し、「少し先の未来でこの映像を見る人へ」向けたメッセージをライブ中に話してくれたので、参加できなかった人も楽しみに受け取ってもらいたい。そんな風に坂本真綾自身がいつだってファンへの思いやりを忘れずに活動してきたからこそ、人を思いやり、マナーを守るファンばかりなんだと思う。25年という長い歳月の中でそうやってひとつひとつ、築き上げてきたからこそ、観客全員がマスクをして歓声を上げられなくても楽しい祝祭空間を生み出すことができるのだ。ラストは幸せ最高潮で締めくくるナンバーでいよいよ終わりが近づいてくる。たくさんのシャボン玉の中で熱唱した「誓い」は、「10年前に世の中が大変だった時に作った曲です」と紹介された。〈何を失っても僕は生きていくだろう〉という歌詞に、また新たな今とこれからへの想いを込めて歌われている気がした。そして最後は活動初期から愛され続けてきた人気曲「プラチナ」を披露して幸せ最高潮の状態で締めくくる。「また会う日まで、元気でねー!」と笑顔で最後の挨拶をすると、会場内には「ポケットを空にして」のインスト・バージョンが流れ、バンドのメンバーとみんなでステージの周りや花道をゆっくりと歩きながら別れを惜しんだ。いくつものライブでアンコールを彩ってきた「ポケットを空にして」だが、今回は坂本も観客も全員が心の中で歌っていた。今は歌うことができなくても、私たちには記憶の中のピースフルな大合唱が胸に響いていた。2日間でそれぞれに2時間半強、途中でステージを去っての衣装チェンジも、アンコールもなしで、しかし曲数はたっぷり、という構成にも工夫が感じられた。坂本真綾のキャリアにおいて、これまでにもライブで様々な挑戦やコンセプトがあったが、今回はシンプルに「みんなを楽しませたい!」という気持ちが伝わってきて、それが25周年記念公演だったことも何だか感慨深い。様々な困難を乗り越えて実現した、この2日間のステージはいつか振り返った時にもきっと忘れられないものになるはず。そしてタイトルの「約束はいらない」は、ファンと坂本真綾の絶大なる信頼の上に成り立つ、「またいつか会おうね」を意味する合言葉なんだ。文:上野三樹セットリストM01. 約束はいらないM02. CLEAR-MC-M03. スクラップ〜別れの詩M04. ユーランゴブレットM05. オールドファッション-MC-M06. いつか旅に出る日M07. 独白M08. 躍動M09. 色彩(with 内村友美)-MC-M10. sync(with 内村友美)M11. あなたじゃなければ(with 堂島孝平)-MC-M12. レコード(with 堂島孝平)【Day 1】M13. Be mine!(with 原 昌和)-MC-M14. でも(with 原 昌和)【Day 2】M13. ひとくちいかが?(with 土岐麻子)-MC-M14. DOWN TOWN(with 土岐麻子)M15. gravityM16. 序曲M17. birds-MC-M18. 25周年メドレー・ループ・ヘミソフィア・逆光・奇跡の海・Private Sky・トライアングラー・マジックナンバー・指輪・光あれ-MC-M19. 誓いM20. プラチナこのセットリストのプレイリストはこちら:リリース情報坂本真綾 4thコンセプトアルバム『Duets』2021年3月17日(水)リリース2,500円(税抜)坂本真綾『Duets』ジャケット写真【収録曲】1. Duet! / 坂本真綾×和田弘樹作詞:坂本真綾作曲・編曲:h-wonder2. あなたじゃなければ / 坂本真綾×堂島孝平作詞・作曲・編曲:堂島孝平3. ひとくちいかが? / 坂本真綾×土岐麻子作詞:土岐麻子作曲・編曲:TENDRE4. でも / 坂本真綾×原昌和(the band apart)作詞:岩里祐穂作曲・編曲:原昌和5. sync / 坂本真綾×内村友美(la la larks)作詞:内村友美・坂本真綾作曲・編曲:江口亮6. 星と星のあいだ / 坂本真綾×井上芳雄作詞・作曲:坂本真綾編曲:山本隆二7. ひとつ屋根の下 / 坂本真綾×小泉今日子作詞:坂本真綾作曲:鈴木祥子編曲:山本隆二坂本真綾 - 4th Concept Album『Duets』 Lyric Video【購入特典】坂本真綾コンセプトアルバムコースター(4枚のコンセプトアルバム『イージーリスニング』『30minutes night fligt』『Driving in thesilence』『Duets』のジャケット絵柄の紙製コースター全4種の中からランダムで1枚)※一部、取り扱いの無い店舗もありますので、ご予約、ご購入の際は各店舗にご確認下さい。【配信】3月17日より、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信スタート※対応ストリーミングサービス:Apple Music、Amazon Music、Unlimited/HD、AWA、KKBOX、LINE MUSIC、mora qualitas、RecMusic、Rakuten Music、Spotify、YouTube Music、ANiUTa関連リンクオフィシャルHP「I.D.」坂本真綾 YouTube Official Channel
2021年03月24日1月14日、シドの無観客配信ライブ『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~』が開催された。本記事ではそのオフィシャルレポートをお届けする。2004年1月14日にシドが現在の4人で活動を本格始動して、17回目の結成記念日を迎えたこの日。本当だったら同じ空間に集ってみんなで賑やかに盛大にお祝いしたいところだが、コロナ禍でそれが叶わないのが現状。しかし、それでも大切な記念日をファンと共に過ごしたいという想いから配信で開催された、シド史上初の結成記念日ライブ。初の試みとなった配信ライブは生とも異なる臨場感やライブ感、配信ならではのサウンドや演出で魅せ、4人の熱い想いがしっかりファンに届いた貴重で大切な一夜となった。マオ(Vo)開演時間となり、薄暗い照明に照らされて映ったのはライブハウスのフロアまで広く使った無観客ならではのステージセット。SEが鳴り、ゆうや(Dr)、明希(Ba)、Shinji(Gt)、そしてマオ(Vo)と順に登場するメンバー。昨年の1月以来、シドとしてライブが出来ていなかった4人がステージに並ぶ。画面の前で見守るファンの中には、この光景だけで感極まってしまった人も多いはず。一瞬の静寂から、静かに力強く始まった1曲目は「涙雨」。一音一音、丁寧に気持ちを込めて鳴らされるサウンド、真っ直ぐな目でカメラを見据えて歌い出すマオの切なく美しいヴォーカル。激しく優しく感情を乗せた演奏とともに、伸びやかで感傷的な歌声が胸に刺さる。続いて、イントロのストリングス・サウンドにShinjiと明希がカメラに指差し合図し、軽快な歌と演奏で空気を一変したのは「アリバイ」。演奏することの楽しさや喜びを抑えきれない4人から笑顔が溢れる。後半パートでマオが両耳に手を当ててファンの合唱を誘うと、無観客の会場からファンの歌声が聴こえた気がした。明希(Ba)「初めてのシドの配信ライブに集まってくれてありがとうございます。みんなもこの会場にいるつもりで楽しんでくれたらと思います」とマオが短いMCを挟み、始まった曲は結成記念日のこの日にぴったりの「ANNIVERSARY」。ファンへのありがとうの気持ちを届けたこの曲に続き、アグレッシブな歌と演奏で魅せたのは「V.I.P」。ゆうやと明希が目で合図しながら鳴らす重厚なビートにShinjiがザクザクとリフを刻み、マオのたくましい歌声が響く。配信ながらビシバシ伝わるライブ感と普段は観ることの出来ない角度や距離感からの臨場感溢れる映像が気持ちを高揚させる。「前半から盛り上がってきましたね」とマオが満足そうに語ったMCでは、メンバーそれぞれが自己紹介。「久しぶりだし、元気な姿を見せたいと思ってます」とShinji。「みなさんのいる場所はおウチだけど、心は間違いなくライブハウスにいる」と明希。「おウチだと声が出せるので、思う存分叫んでください」とゆうやが言葉を送って家で見守るファンとの距離を縮めると、「みんなに会いたい気持ちをそのままにしておくのはイヤなので、曲にしました」というマオの曲紹介から、新曲「声色」を披露。画面の前の一人ひとりに届ける優しく温かい歌声、溢れる感情を表現したギターソロ。今の真正直な気持ちと感情を乗せた歌と演奏が胸に突き刺さる。Shinji(Gt)紫の照明が包む中でドラマチックに聴かせた「紫陽花」、メランコリックなギターと艶っぽい歌声が歌謡テイストを醸し出した「土曜日の女」と続き、「シドって本当に曲の幅が広いよね」と語るマオ。「初めてデモで聴いた時、ぶっ飛んだもんな」と、作曲者の明希と「土曜日の女」の思い出話をすると「まさか17年後、無観客ライブでやるとは思いもしなかったね」と感慨深げに語る。続いて「この曲をキッカケに俺たちのバンド人生は大きく変わったんじゃないか?と思います」と始まった曲は、08年リリースのメジャーデビュー曲「モノクロのキス」。積み重ねたキャリアとスキルで表現力や説得力を増した、現在の歌と演奏で魅せる13年目のキスが聴く者の胸を締め付ける。懐かしい曲たちに続いて披露されたのは、新曲「siren」。悲痛でエモーショナルな心の叫びがリアルに響くこの曲は、今だから表現できるシドの最新系サウンド。新旧楽曲が入り交じることで結成17年にしてなお曲の幅を広げ、進化変化し続けているシドの現在もよく見える。さらに増した熱量、また会える日への希望が詰まったライブ終盤演奏後、「siren」も収録された、昨年12月リリースのシングル「ほうき星」について和気あいあいと語った4人。「こっからいよいよ後半戦、行けるかい?」と始まったライブ後半は、メンバー紹介でファンの名前を呼ぶ声や歓声を待つと「聴こえる、お前らの声が聴こえるぞ!」とマオが笑顔を見せ、そのまま「循環」に突入。回っているファンの姿が見えているかのように指を回し微笑むマオ、会場を駆け回って自ら循環するShinjiと、ステージを広く使った自由すぎるパフォーマンスは配信ならでは。エネルギッシュかつ正確なゆうやのドラムプレイが光った「プロポーズ」、「さぁお前ら、拳上げる準備出来てるか?」と煽る明希が力強い掛け声とベースプレイで魅せた「dummy」と続き、激しさと熱量を増していく4人のステージは配信であることを忘れるほどの迫力とライブ感。「ラスト行くぞ!」のマオの叫びから始まった本編ラストは「Dear Tokyo」。「Dear お前ら!」と曲紹介して始まったこの曲は、“きっと大丈夫”と歌う歌詞にファンへのエールや熱いメッセージが込められていたと同時に、手拍子や合唱のパートが会えないファンとの一体感を感じさせた。「みんなに会いたいよ!」と叫ぶマオの声がファンにもどかしさを感じさせながら、幸福感に満ちたエンディングとなった。ゆうや(Dr)アンコールは星空のように瞬くミラーボールの光の下、事前に募集したファンの歌声と共に熱唱した「その未来へ」でスタート。遠く離れていても曲を通じて繋がる心。ファンの美しすぎる歌声と歌に込めた気持ちを両手を広げて受け止めたマオは「今日のみんなの歌声はすごく心に響きました。乗り越えようね、今を一緒に。そして必ず会いましょう」と、感謝と約束の言葉を送った。会いたい気持ちとまた会える日への希望を込めた新曲「ほうき星」は、勇ましいバンドサウンドと願うように祈るように歌う前向きな言葉たちが胸に響く。この日最後となったMCでは「辛いこと、悲しいことがあった時、元気になれる場所が俺たちのライブ会場だったわけで、やり場のない気持ちがあると思う。時には逃げる場所も必要で、その逃げる場所がシドだったらいいなと思って配信ライブをやりました」と、ライブを開催した意味と意義を語ったマオ。「何かあったら、俺たちのところに帰ってきてください」と最後に届けた曲は「live」。たっぷり気持ちを込めた歌と演奏、壮大なサウンドで想いを届けたこの曲。“ここでまた逢おう”の言葉は力強く希望に溢れていた。本公演『SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~』はニコニコ生放送、ローチケ LIVE STREAMING、イープラス Streaming+にて、1月19日23:59までアーカイブ視聴が可能。1月15日0時からはライブ登場SE「residence」の配信リリースがスタートしている。さらにシドは、5月15日、16日には山梨・河口湖ステラシアターにて、昨年延期となった『SID LIVE 2020 -Star Forest-』の振替公演を開催予定だ。文 / フジジュン写真 / 今元 秀明SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~セットリスト01. 涙雨02. アリバイ03. ANNIVERSARY04. V.I.P05. 声色06. 紫陽花07. 土曜日の女08. モノクロのキス09. siren10. 循環11. プロポーズ12. dummy13. Dear TokyoアンコールEn01. その未来へEn02. ほうき星En03. Live公演情報SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~【チケット料金】通常視聴チケット:3,000円(税込)【ニコニコ生放送】受付期間:2021年1月18日(月) 23:59まで視聴・購入はこちら※ニコニコプレミアム会員は2,400円(税込)となります。※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59まで【ローチケ LIVE STREAMING 通常視聴チケット】受付期間:2021年1月19日(火) 19:00まで視聴・購入はこちら※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59まで【イープラス Streaming+】・クレジットカード決済の場合受付期間2021年1月19日(火) 21:00まで視聴・購入はこちら※アーカイブ放送は2021年1月19日(火) 23:59までリリース情報シド「residence」2021年1月15日配信リリース作曲 ゆうや配信まとめURLニューシングル「ほうき星」発売中【初回生産限定盤(CD+写真集)】税抜2,273円※7インチEPサイズ大判紙ジャケ仕様【通常盤(CD)】税抜1,364円<CD収録内容>※2形態共通1. ほうき星2. siren3. 声色<写真集>全32ページ撮り下ろしブックレット「ほうき星」購入まとめURL関連リンクシド オフィシャルサイトシド オフィシャルTwitterシド オフィシャルInstagramシドオフィシャルWeibo
2021年01月16日