本国フランスでは動員数100万人を突破し、大ヒットを記録した実在するソプラノ歌手の物語「Marguerite」(原題)の邦題を『偉大なるマルグリット』とし、日本でも公開されることが決定。併せて、本作のメインビジュアルが解禁された。1920年、パリからそう遠くない貴族の邸宅では、サロン音楽会が開かれていた。参加した新聞記者のボーモンは主役のマルグリット夫人の歌声に唖然とする。彼女は絶望的なほど音痴だったのだ!しかし、儀礼的な貴族たちの拍手喝采を受け、本人だけが気付いていなかった。野心家のボーモンはマルグリットに近付こうと翌日の新聞で絶賛、彼女を出演者としてパリの音楽会に招待する。本物の観客の前で歌う喜びに目覚めたマルグリットは、リサイタルを開くと決意、真実を告げられない夫のジョルジュが止めるのも聞かず、有名歌手から特訓を受け始める――。本作は、誰が聴いても音痴なのに、誰からも愛されたというまさに“耳を疑う”実在したソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンズにインスパイアされた物語。「第72回ヴェネチア国際映画祭」金獅子賞にノミネートされ、本国フランスでは大ヒットを記録している。そんな彼女の歌声を偶然に聴き、心奪われて魅力的な物語を書き上げたのは、『ある朝突然、スーパースター』などを手掛け、「カンヌ国際映画祭」や「セザール賞」の常連である、世界が注目する才能グザヴィエ・ジャノリ監督。主人公の“伝説の音痴”とも呼ばれた歌姫マルグリットを演じるのは、『譜めくりの女』、『大統領の料理人』などで6どのセザール賞ノミネートを誇るカトリーヌ・フロが好演している。今回解禁されたキーアートは、情感たっぷりに大好きなオペラを歌い上げるマルグリットが中央に映し出され、その下には、妻に真実を打ち明けられず苦悩する夫、富豪のマルグリットに取り入ろうとする画家、マルグリットに見いだされる新人歌手、主人の秘密を守るためには手段を択ばない執事、野心からマルグリットを絶賛する記事を書く新聞記者というマルグリットを巡る人物が揃い、それぞれの思惑を心に秘めたキャラクターたちが囲むビジュアルとなっている。音楽に一方通行の情熱を捧げる、切なくも純粋なマルグリットの数奇な運命を描く、ドラマティック人生オペラ。愛と孤独と情熱の人生を「夜の女王アリア」「花の二重唱」などの数々のオペラ楽曲と共に極上のストーリーを楽しんでみて。『偉大なるマルグリット』は2016年2月、シネスイッチ銀座、YEBISUGARDEN CINEMAほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2015年11月24日フランスで100万人を動員した注目作『偉大なるマルグリット』が来年2月に日本公開されることが決定した。本作は、誰が聞いても音痴な女性が、ひょんなことから歌う喜びに目覚めてしまった姿を描く、異色の人間ドラマだ。その他の情報本作は、誰が聞いても音痴なのに、人々から愛された実在の歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの存在を基に、グザヴィエ・ジャノリ監督が作りあげたオリジナル作品。絶望的なほどに音痴なマルグリット夫人がサロンで開かれている音楽会で高らかに歌い上げている場面を目撃した新聞記者のボーモンは、彼女に近づくべく、その歌声を新聞で絶賛。観客の前で歌う喜びに目覚めたマルグリットは、パリでリサイタルを開くべく、特訓を開始する。主演は『大統領の料理人』などで知られる名女優カトリーヌ・フロで、音楽に愛情と情熱を捧げ続けるマルグリット夫人を見事に演じている。他にも妻に真実を打ち明けられずに悩む夫や、富豪マルグリットに取り入ろうとする画家など、クセのあるキャラクターが次々に登場。マルグリットは本人だけが知らない“秘密”に気づくのか? パリでのリサイタルは成功するのか? 先の読めないドラマが描かれることになりそうだ。『偉大なるマルグリット』2016年2月、シネスイッチ銀座、YEBISUGARDEN CINEMAほか全国ロードショー(C)2015-FIDELITE FILMS-FRANCE 3 CINEMA-SIRENA FILM-SCOPE PICTURES-JOUROR CINEMA-CN5 PRODUCTIONS-GABRIEL INC.
2015年11月24日新年度が始まって、早1週間。新しい環境にまだドキドキの人も、新年度に心機一転したい人も、いつも以上にやる気がみなぎっている人も多いはず。そんなあなたに、新たなスタートだからこそ観たい、人生を豊かにするおいしい料理映画をピックアップ!目にもおいしい料理の数々とともに、そっと背中を押してくれる成長の物語が元気と癒しを与えてくれる。■『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』ラテンの料理と陽気なリズムで爽快に!まずは現在公開中の本作。有名レストランのシェフだった主人公カール(ジョン・ファヴロー)が、オーナーや評論家との衝突がきっかけで心機一転、フードトラックを開業し、料理人としての喜びや家族との絆を取り戻していく物語。新年度をきっかけに、「自分の本当にやりたいことってなんだろう?」と見つめ直す良いきっかけになるはず!なお、序盤には美しいコース料理が、中盤からはさらにおいしそうな「キューバサンドイッチ」が登場。シズル感を重視したという料理シーンには、思わずよだれが出てしまうこと請け合い。■『大統領の料理人』フランス大統領も唸らせた孤軍奮闘、女性シェフのドラマ女性で初めて、フランス大統領の専属料理人に抜擢されたシェフ(カトリーヌ・フロ)の挑戦を描いた本作は、なんと実話がベース。男社会の厨房で孤立しながらも、真摯に料理と向き合い、官邸の常識と大統領の心までも変えていく感動のドラマだ。周囲と衝突しながらも、毅然とした態度で自分を貫くヒロインの姿には、共感と憧れを持つ女性も多いはず!そんなヒロインが劇中で大統領に出した最初の1品は、「ポルチーニ茸のスクランブルエッグ」。シンプルながら素材の味を活かすことでおいしさを引き出したこの料理には、大統領も舌鼓を打ち大満足だった。■『マダム・マロリーと魔法のスパイス』チャレンジ精神みなぎる料理の魔法南フランスの地で、マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)がオーナーを務める老舗フレンチレストランと、家族経営の新興インド料理店が真っ向から対立!だが、“絶対味覚”と抜群の“料理のセンス”を兼ね備えたインド料理店の息子・ハッサン(マニッシュ・ダヤル)を中心に、料理が織りなすマジックが人々の心を解きほぐしていく。異文化交流を通して一流シェフへと成長していくハッサンの姿からは、夢をかなえる大切さや、故郷があることのありがたみが伝わって、ますます前向きなチャレンジ精神がみなぎってくるはず。また、ハッサンがインドのスパイスやハーブをベースに、新たに得たフレンチの知識を使って生み出す“ネオ・フレンチ”も見どころの1つ。ハッサンの転機のきっかけとなったのは、マダム・マロリーのために作った、ひと味違う「オムレツ」。目にもあざやかなフランス料理とインド料理の数々の中で、シンプルな1品がひと際おいしそうに映っている。『マダム・マロリーと魔法のスパイス』は4月8日(水)よりブルーレイ&DVDリリース(※同日オンデマンド配信開始)(text:cinemacafe.net)
2015年04月08日フランス大統領官邸史上、唯一の女性料理人として1980年代に2年間ミッテラン大統領に仕えた女性シェフ、ダニエル・デルプシュの真実を描いた映画『大統領の料理人』。ひょんなことから、大統領のプライベートキッチンを任されることになった女性シェフが、型破りな豪快さと絶品料理でお堅い官邸の常識と大統領の「心」までも変えていく様を描きます。本国フランスでも大ヒットし、ミシュランのスターシェフ監修の元、当時のレシピを再現した、とても「美味しい」映画であると共に、スパイスの利いた人間模様が、時には鋭く時にはユーモアに溢れて表現されています。そんな実在する伝説の女性シェフを演じたカトリーヌ・フロのインタビューが映画のキーともなる「世界の果て」から届きました。Q: 「世界の果て」とも言えるロケーションからの撮影開始ですが、ここから始めるということは、あなたが役を演じるにあたって意味のあることですか?この映画は、ここから始まるんです。どう言ったらいいかしら…。そもそも意味のあることなんです。大変なのは、結果的に後で起きる出来事、つまり4年後の出来事を先に撮影するということね。私たちは、まるで世界の果てにいるようです。ですから、私は彼女が世界の果てに来た姿を想像できます。おそらく、何かを流し去るという目的もあって来たのかもしれません。そう、単純でない何かを流し去るためにね。たとえエリゼ宮で多くの感動や出会いなどがあったことを思い返したとしても、ここはある意味、自分自身を洗い流せる場所だと思います。この土地を見て、彼女がそれまでに経験したことを洗い流すのです。Q: ダニエル・デルプエシュと実際に会って、「世界の果て」で経験した特別な出来事について話しましたか? ええ、少しだけ。私は、その出来事が彼女にとって鎮静剤となったのだと感じました。そして、そうした出来事が鎮静剤となるような生き方をするには、気骨のある人物である必要があると思います。ここでの生活は、相当厳しいものですから。丸一年も過ごすなんて、大変なことだと思います。でも、人生の中で時には、自分自身のことだけを考えるために、そういった状況が必要になのだと思います。誰にも頼らず、何も無い所で1人きりになることがね。その人にとって意味のあることだからです。この映画は、そのことも語っています。Q: ダニエル・デルプシュ本人の家で撮影を行うことに、どのような効果があるか教えてください。実在の人物を演じるというのは、実は抽象的なものです。彼女にとって、困惑する事もあるでしょうし、彼女の近くで演じる私も困惑します。なぜなら、私は彼女であると同時に彼女ではありませんし、実体験と比べて台本はフィクションの部分も多いでしょう。本当の彼女から来ている部分が沢山あるのと同時に、そうでないものも沢山あります。ですから、その選別をしなければなりませんでした。それはとても不思議な体験です。なぜなら、ダニエル・デルプシュは強い個性を持つ人物で、私たちが語っているのは彼女のほんの一部分なのですから。私は、彼女の性格の指針となるものを、身につけなければなりませんでした。実在する彼女がいて、そして、彼女から解放されようとする私がいます。今回、特別なのは、その彼女がそこに存在するということです。でも、撮影が進めば進むほど、私は彼女がそこに居ることを忘れるのです。ある意味、ダニエル・デルプシュのことを、私たちはそこまでよく知っているわけではありません。彼女自身というより、彼女の物語が有名なので。私は、そこにあまり感情移入しすぎないようにしました。私はこの役柄を楽しみ、またそれを真剣に受け止めました。エリゼ宮で料理をすることになるという出来事がどういうことなのか、理解しようとしています。おそらく、それは彼女にとって予想外の出来事だったことでしょう。たとえ彼女がすでに素晴しい経歴を持っていたとしても。彼女はアメリカや日本へ行き、研修を受け、フォアグラについて学びました。彼女は野心的で、エネルギッシュで、アイデアに溢れた女性と言えます。かなり模範的な形で、自分の人生を勝ち取ってきた人です。面白いのは、そんな彼女がエリゼ宮で直面する状況です。様々な人物、男性たちに囲まれて。彼女は、誰のために働くのかもよく分かりません。これらが、この物語の面白いところだと思います。そこでは、人々が言うことと彼らが実際にやることは、必ずしも一致しません。それは政治の世界であり、多くの仲介者が存在する世界です。それでも彼女は、力強く頑張る、かなり自由な人物です。ちょっとした革命家であるとも言えますね。勇気があり、恐れを知りません。映画『大統領の料理人』9月7日からシネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ他、全国公開 ・公式サイト Les Saveurs du Palais (C)2012-Armoda Films-Vendome Production-Wild Bunch-France 2 Cinema
2013年08月31日フランスで注目の若手女優レア・セドゥが、シャルロット・ゲンズブール、カトリーヌ・ドヌーヴと共にブノワ・ジャコー監督の新作『Three Hearts』(原題)に出演することが決定した。フランスの映画情報サイト「Allocine.fr」によれば、レアとジャコー監督は『マリー・アントワネットに別れを告げて』(’11)に続く再タッグ。今回は舞台を現代に移してのストーリーとのことだが、詳細はまだ明らかになっていない。名女優カトリーヌ・ドヌーヴは、レアとシャルロットが演じる姉妹の母親役とのこと。また『ココ・アヴァン・シャネル』(’09)のベルギー人俳優ブノワ・ポールヴールドが出演することから、姉妹と彼をめぐる三角関係が描かれるのではないかと同サイトはコメントしている。『イングロリアス・バスターズ』(’09)『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(’11)、『ミッドナイト・イン・パリ』(’11)と着々とハリウッド映画でのキャリアを積んでいるレアは、ハリウッドとフランスを行き来する多忙な日々を送りそうだ。(C) Getty Images(text:Mieko Nakaarai)■関連作品:マリー・アントワネットに別れをつげて 2012年12月15日よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ ほか全国にて公開(C) 2012 GMT PRODUCTIONS - LES FILMS DU LENDEMAIN - MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA - EURO MEDIA FRANCE - INVEST IMAGE
2013年04月04日フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーヴが1月5日(水)放送の昼の人気トーク番組「徹子の部屋」(テレビ朝日)にゲストとして出演することが明らかになった。黒柳徹子が会話を通じてゲストの魅力を存分に引き出し、1976年の放送開始以来30年以上わたって愛され続けてきた「徹子の部屋」。実は、ドヌーヴが本番組に出演するのは19年ぶり2度目となる。昨年10月、ドヌーヴは東京国際映画祭において主演作『しあわせの雨傘』が上映されるのにあわせて来日したが、それを聞いた黒柳さんが出演を依頼。通常、ドヌーヴがトーク番組に登場すること自体、めったにないことだが「徹子の部屋」ならばぜひと出演を快諾し、19年ぶりの再会を果たした。収録が始まってすぐに、ドヌーヴは部屋にあるパンダの小さな置物に興味を持ち、ひざに乗せたりして楽しんでいたという。19年ぶりということで、当初、スタジオ全体が緊張気味だったが、この一件で和やかなムードに。黒柳さんが大使を務めるユニセフのシンボルであるパンダが2人の間の19年という時間と距離を縮めるのにひと役買ったようだ。トークの中で、19年前に彼女が「徹子の部屋」へ出演したときの写真が出されたが、当然のことながら、19年前といまを比べると容姿にかなりの変化が見られる。黒柳さんが「女優さんは若い頃の写真をこうやって出されるのは嫌なんじゃないかと思って収録前に聞いたら『全然構わないわ』っておっしゃるの。すごいなぁと思った」と語ると、ドヌーヴは平然と「“変わること”は全然悪いことではないでしょう?」とコメント。大女優の風格を感じさせた。ちなみに、親日家として知られるドヌーヴだが、大福が大好物とのこと。「白くてふわふわして美味しくて大好き!」と語り、お茶と共に出された大福を収録後に笑顔でほおばっていた。また、スタジオ横の部屋に飾ってあったアレンジメントフラワーにドヌーヴが一目ぼれ!その花は収録後、彼女が宿泊するホテルの一室に届けられたという。黒柳さんは収録後、「19年前と比べてずいぶん“丸くなった”と。容姿ではなく(笑)、性格的にです。おそらく孫ができたりしたことも大きいのではないか」との感想をもらしていた。本番組にはドヌーヴの亡夫マルチェロ・マストロヤンニも出演したことがあり、当初、マストロヤンニの写真も収録で出すという案もあったそうだが、徹子さんの「悲しいお気持ちにさせては良くないのでは」という意見で最終的に出さないことになったという。先の大福や花の件も含め、黒柳さん、そしてスタッフのこうした細やかな気遣いこそが、この番組が30年以上におよび愛され続けてきた秘密なのかもしれない。なお、映画『しあわせの雨傘』においてドヌーヴは病床の夫に代わって会社経営に乗り出す夫人を演じており、ジャージ姿を披露していることでも話題を呼んでいる。早口という点では日仏を代表する(?)2人が展開するユーモアとウィットに富んだ会話に注目!こちらのトークは新年第2回、1月5日(水)の13:20より放送。映画『しあわせの雨傘』は1月8日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。■関連作品:しあわせの雨傘 2011年1月8日よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国順次公開© Mandarin Cinema 2010■関連記事:大女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演『しあわせの雨傘』プレスを5名様にプレゼントメリー・クリスマス!カトリーヌ・ドヌーヴ『しあわせの雨傘』独占試写会に65組130名様ご招待カトリーヌ・ドヌーヴがジャージでラン&ディスコでダンス!『しあわせの雨傘』予告編【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭【TIFFレポート】C・ドヌーヴ舞台挨拶登壇も撮影切り上げ退場「たくさん撮ったわ」
2011年01月04日わずか10歳にして余命を宣告された少年・オスカー。医師も、そして両親でさえも彼を気遣い真実を告げることができない中で偶然出会ったデリバリーピザの店主・ローズは、誰よりも正直に彼に接し、残されたこの世界での日々の少なさに落ち込む少年にこんな提案をする。「1日を10年と考えて過ごすこと。毎日神様に宛てて手紙を書くこと」。このときから少年の人生は大きく動き始める――。想像力を武器に100歳の人生を駆け抜けた少年と彼との交流の中で人生に確かな“愛”を灯していく周囲の人々の姿を描いた『100歳の少年と12通の手紙』。この命の奇跡の物語を手掛けたのは『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』の原作と脚本、そして『地上5センチの恋心』の監督として知られるエリック=エマニュエル・シュミット。このたび、本作に強く共鳴したという『食堂かたつむり』の富永まい監督と来日を果たしたシュミット監督の対談が実現!“命”や“死”を温かさをもって描いてきた2人が熱く語り合った。ファンタジーのなかで描かれる確かなリアリティ富永:映画を拝見して感動したと同時にすごくハッピーな気持ちになりました。私自身、監督として映画を作る上で、人の心の内面や精神世界を映像にしたいという欲求が高いので、そうした作品に感銘を受けることが多いんです。この作品がすごく刺激になって、まず嬉しかったのと、加えて一人の観客として感動したのは、非常に人物を公平に描いていること。命の長さ、短さ、子供、大人に関係なく、命というものが平等で公平なものだということを映像の美しさと共に描かれていたということに感動しました。シュミット:ありがとうございます。私自身も映画のどこに興味があるかと言うと、やはり登場人物の魂の中にどれだけカメラが入り込めるか、彼らの内面をどれだけ映し出せるかというところなんです。今回の作品についても、オスカーの目を通して彼が見た世界や人物を描くのであって、あくまでオスカーの主観に沿っている。オスカーの頭の中に描かれる映像がその映画の中で描き出される、という作りにしました。時に面白いシーンも残酷なシーンもあるけれど、それは彼の目を通した世界だから、そこには嘘はないと思うんです。実は私は、あまりリアリズムな映画には関心がなくて、主観的な物語、映像を大切にしているんです。私にとってカメラというのはペンと同じ存在なんです。劇中の舞台もリアルな場所ではなく、あくまでもオスカーが見たその場所が映し出されており、リアルな場所ではありません。富永:いまおっしゃられたようにリアリティとは離れた世界ではあるんですけど、ある意味ものすごくリアルさを感じるんですね。ファンタジックに描くときに私も気をつける部分でもあるんですが、シュミット監督の作品の素晴らしいところは、人間の内面を映像化しているんだけれど、それが決してただのファンタジーではなくて、心と繋がっているある種のリアリティになっているところ。これは理想ですがすごく難しいことだと思うので、すごく感銘しました。シュミット:確かに想像というのはリアルな世界ではない。けれども存在するんです。人間の心や頭の中に存在する、それはそれでリアルなものだと思います。想像は人生をものすごく豊かにするものだと自分では思っているんです。1日を10年だと思って生きるというローズの提案、それはオスカーにとっては人生最大のプレゼントだったんじゃないかと思います。それがあったからこそ――もちろん、想像の中ではあったけれども――彼は人生の様々なときを経験することができ、深みのある味わい深い人生になったと思います。少年が遺したものシュミット:劇中、“砂漠の花”というものが出てくるんですけど、一日で枯れちゃう花です。「枯れた花のあとに種が残るでしょ」ってローズが言うんです。この言葉はある意味、オスカーにとっては残酷なシーンだと感じていました。なぜなら、彼は想像の中では100歳を超えて生きるけれど、実際はそうではなく、子孫を残すことができませんよね。でも、後になって考えてみたら、オスカーが遺したもの――ローズや両親に伝えた彼の愛情は、しっかりと彼らの記憶に残るでしょう。生きている人たちが彼の死後も人生経験をできると考えたとき、肉体はなくなっても遺すものはあったんだ、と。あれは彼の人生のメタファーなんだと思いました。富永:素敵なシーンでした。陽気に描かれているのも良いですね。日本にも難病の子が死んでしまう映画が山ほどありまして「いかに映画館に泣きに行くか、泣きに行かせるか」が命題だったりするわけです。誰でも幼い子供が難病で死んでしまえば泣きますよ。でも、この映画はかわいそうで泣くんじゃない。この少年が素晴らしく生きたことに感動させてくれる。これが人間の持ってる力なんだと感じさせてくれる。“難病モノ”という点で同じ題材だけど到達点が違うんです。泣く映画を観に行く日本人にぜひ観てほしいと思いました。“命”はみんなに公平――それを象徴するローズ富永:ローズという人物は、乱暴に見えるけど公平な人物に思えました。死ぬんだと言われてる子に「そうだよ」と言うところから2人の関係が始まる。それは勇気がいるし、残酷なことかもしれないけど公平なんですよね、命はみんないつかなくなる、というところで。前作の『地上5センチの恋心』の主人公のオレットさん(カトリーヌ・フロ)も公平な人物であり、そこが魅力的でした。シュミット:2人とも大人の女性ですが幼児性が抜けてない。嘘がつけなくて言動がダイレクトなんです。オスカーがいじけてロッカーで過ごすシーンがあります。ローズはそのことについてオスカーに「楽しかった?」と聞くんです。普通の大人なら「なぜそんなことしたの?」と聞くか説教じみたことを言うものです。そうやって話しながら、彼女が意識してるわけでもないのにオスカーの苦痛は和らいでいく。『地上5センチの恋心』のオレットと作家の関係も同じです。作家が抱える重い問題が、オレットとのやり取りを通じて軽くなっていく。それは、ローズやオレットが持っている率直さ、真っ直ぐな物の見方が作用してる。私は作家として同じようにありたいと思います。話題にされないことについて壁を打ち砕き、言葉でタブーを破るのが作家である、と。富永:2人のようでありたいと憧れますが、一生、子供でいるには才能がいりそうですね(笑)。それから、ひと目見て魅了されてしまうオスカーくん。彼を演じた子役と接する上で、特に今回は難病を抱えた少年ですが、どんなことを大切にされたんですか?シュミット:私と(オスカー役の)アミール、(ローズ役の)ミシェル・ラロックと3人で台本を繰り返し読んで練習しましたね。病気を抱えている、というところを表現するのが難しかったようですが、ミシェルも難しさを感じていたようです。というのも彼女はアミールに心から愛情を感じてかわいがっていたので、それが演技に出ると良くない。突き放す、あっさりした感じで表現しないといけません。堂々とさらっと演じてるようですが、カットが掛かってから外で泣いていたこともありました。富永:自分だったらメロメロで正しい判断ができなくなると思います(笑)。毎回、編集室で「しまった!」と思うんです(苦笑)。最後に、映画からは離れてしまいますが、日本はいかがですか?シュミット:日本を訪れるのは2回目です。来る前はどこかで先入観を持っていたのですが、着いたとたんに日本に魅了されてしまいました。『ロスト・イン・トランスレーション』のように、異国で自分を見失うような感覚を味わっています。ある意味で、日本に対する憧憬が強くなった感じもします。「太れない相撲取り」という短い小説を書いたのですが、今度はそれを日本で映画に撮りたいです。不思議と日本にいると、パリにいるより気持ちよくて違和感がないですよ。富永:私は東京で毎日、違和感を持ってますけど…(苦笑)。シュミット:ここで生活しているわけではないから居心地がいいんでしょう。きっとあなたはパリが気に入ると思いますよ。私の方はパリは大嫌いです(笑)!■関連作品:100歳の少年と12通の手紙 2010年11月6日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2008 Pan-Europeenne-Studiocanal-Oscar Films-TF1 Films Production-Cinemaginaire-RTBF (Belgian Telecision) 地上5センチの恋心 2008年3月1日よりシネスイッチ銀座ほかにて公開© 2008 Crest International Inc. All rights reserved.■関連記事:ゆうこりん、羽根付きドレスで登場し大胆発言、次の夢は敏腕デイトレーダー?第33回セザール賞ノミネート発表!『秘密』と『エディット・ピアフ』の行方は?ありきたりの日常をバラ色に!『地上5センチの恋心』試写会に10組20名様ご招待
2010年11月11日つい先日、来日を果たしたカトリーヌ・ドヌーヴが主演する『しあわせの雨傘』の予告編がいち早くシネマカフェに到着。以前より、真っ赤なジャージ姿のドヌーヴの姿が話題となっていた本作だが、こちらの予告編ではディスコで踊ったり、青いジャージ姿でランニングをする様子も!『8人の女たち』以来となるフランソワ・オゾン監督とのコンビによる本作。ドヌーヴが演じるのは“お飾りの妻”と娘からも揶揄される雨傘工場の社長夫人・スザンヌ。だが、夫が組合との労働争議のさなかに心臓発作で倒れ、彼女が工場を仕切ることになり…。先日の東京国際映画祭のオープニングにはシースルーの黒いドレスで優雅に登場したドヌーヴだが、こちらの予告編のオープニングには真っ赤なジャージ姿で登場。だが、そんな彼女が徐々にその手腕を発揮し、周囲に認められていく中で優雅に“変身”していく姿は見応え十分。やがて夫が休養から復帰するが、夫の「ここのボスは誰だ?」という言葉にスザンヌはあっさり「私よ」とタンカを切る。さらに、昔の恋人であり、いまでは街の市長となっているババン(ジェラール・ドパルデュー)との間には恋の火種まで!?今年で67歳のドヌーヴ&62歳のドパルデューが、ディスコで並んでダンスする様子は圧巻!さらに、青ジャージでジョギングまで…。これだけでも一見の価値アリ!まずは予告編を見るべし。『しあわせの雨傘』は2011年1月8日(土)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:しあわせの雨傘 2011年正月第2弾TOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国順次公開© Mandarin Cinema 2010■関連記事:【シネマモード】今年はドレスも省エネ気味?第23回東京国際映画祭【TIFFレポート】C・ドヌーヴ舞台挨拶登壇も撮影切り上げ退場「たくさん撮ったわ」劇中では赤ジャージのカトリーヌ・ドヌーヴ、華麗なドレスでヴェネチア降臨
2010年10月30日開催中の第67回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されている、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『しあわせの雨傘』の記者会見および公式上映が、9月5日(現地時間)夜、開催された。2002年のベルリン国際映画祭で、8人の女優たちに銀熊賞が贈られるという前代未聞の快挙を成し遂げた『8人の女たち』以来となる、フランソワ・オゾン監督とドヌーヴのタッグによる本作。ドヌーヴは、夫が心臓発作で倒れたことで、雨傘工場を切り盛りせねばならなくなったブルジョワ階級の人妻を演じており、朝のジョギングが日課ということで、劇中、赤いジャージ姿も披露している。オゾン監督は「この作品で描いているテーマは『ひとりの主婦が色々と問題を乗り越えて、自分の居場所を見つける』という、とても普遍的で現代に通じるもの。全体的にはコメディ・トーンで描いたが、リアリティもとても重要だと感じていたので、ドヌーヴが演じるキャラクターが観客にとって共感できるものになるように彼女と話し合ったよ。結果、メロドラマ的要素と笑いの要素とが上手く融合した作品に仕上がっていると思う」と自信をのぞかせる。つい先日、“飾りモノ”を意味する『POTICHE(ポティッシュ)』という原題から、『しあわせの雨傘』という邦題が決定したばかりだが、オゾン監督はこの邦題についても「(ドヌーヴが出演した名作)『シェルブールの雨傘』にかけて、『しあわせの雨傘』と決めたそうだけど、これを私はとても気に入っている。とてもポエティックで美しいタイトルだと思う」と機嫌よく答えた。ドヌーヴは「若いときに何をしたいか分からなかったり、自分が思っているのと違った形で人から受け取られたりもしたけど、これまで自分が“POTICHE=飾りモノ”という存在だったことはないと思う。でも、いまだに男女平等かと聞かれると、そうじゃない部分が多いから、女性の地位向上のために協力していきたいと思う。私は自分のことをコメディ女優だとは思っていないけど、コミカルな役を演じるのは大好き!気持ちがいいわ。劇中で歌うのも、演技とはまた違った面白さがあって楽しい。この作品で劇中で歌うのが最後の機会にならないことを願うわ(笑)」と笑顔で語った。先述のように劇中では微妙な赤ジャージ姿のドヌーヴだが、この日の会見では別人のような真っ白なワンピース、さらにレッドカーペットではゴージャスなドレープの黒いドレスをまとい、大女優の貫禄を見せつけた。『シェルブールの雨傘』を彷彿とさせる色とりどりの傘、そして涙あり笑いありの人生賛歌に観客の反応は上々のよう。日本から出品されている『ノルウェイの森』、『十三人の刺客』にとっては、現地で高評価の『SOMEWHWRE』(原題)に続き、また強力なライバルが増えたと言えそう。『しあわせの雨傘』は日本では正月第2弾でTOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。■関連作品:しあわせの雨傘 2011年正月第2弾TOHOシネマズ シャンテ、新宿ピカデリーほか全国順次公開© Mandarin Cinema 2010第67回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]■関連記事:清水崇が満島ひかり×香川照之×大森南朋で3Dホラー再挑戦!ヴェネチアで一部を上映『ノルウェイの森』に強敵出現ソフィア・コッポラ新作に喝采!現地紙は最高点『ノルウェイの森』にスタンディング・オベーション松山ケンイチ「確信」得た!『ノルウェイの森』に質問続出! 凛子、松山ケンイチと「楽屋にこもって話し合った」ヴェネチア国際映画祭開幕!ナタリー・ポートマン、過激なシーンも「覚悟してたわ」
2010年09月06日最新作『隠された日記〜母たち、娘たち〜』(仮題/ジュリー・ロペス=クルヴァル監督)のPRで来日中のフランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーヴが2月28日(日)、東京・日経ビル内のSPACE NIOで会見し、さばけた素顔をのぞかせた。3月8日(月)の「国際女性の日」に合わせて丸の内ほかにて開催中の、日仏の女性にフォーカスを当てたイベント「ファム@トウキョウ」(主催:フランス大使館、CulturesFrance<仏文化交流機関>、日本経済新聞社)の一環のフランス映画特集「女たちの記憶」で、同日、同作が上映され、ドヌーヴはトークショーも行った。同イベントを通じて日本の女性に伝えたいことを聞かれると、「会話を重ねてとことん話し合うことの重要性を訴えたい。話し合いが足りないよりは、話した上ですれ違う方がマシ」とサバサバ。同作では、娘と確執がある母親役を熱演。役どころに引っ掛けた、自身の娘との関係についての質問には「私自身は娘(故マルチェロ・マストロヤンニとの間の長女で女優のキアラ・マストロヤンニ)と良好な関係を築いているから真逆の役柄で面白かったわ、フフッ」と笑顔。現在66歳で約50年も一線で活躍しているだけに、キャリアについて尋ねる質問が集中。「ヨーロッパとアメリカでは役者の扱い方が違い、ヨーロッパでは、出演作の興行収入が悪くてもアメリカほど悪く見られたりバッシングされることはない。興行収入に結び付かなくてもいいものを作ろうとする風土がある」と説明したほか、「良いシナリオを描く演出家と一緒に働き始めたから、いまになってもその人たちからオファーがあるおかげで女優を続けられている」、「私は女優という職業について恵まれている。365日働いているわけではないし時間も決まっていないから、決まった時間帯に働いている人より家族と生活をしやすいし経済的にも自立できている」と謙虚な答えが続いた。司会者が最後の質問を募ると5人が挙手。数える仕草を見せながらドヌーヴは「いま手を挙げている人の質問には全部答えるわ」と意欲的だったが、2人目まで終えると「これで最後」と言い、3人目で終了と気まぐれな一面も。「今日はみなさんがきちんとした姿勢で静かに座っていらっしゃったから、大学の講師になった気分でした」と楽しげに語り、会見場を後にした。2007年3月に「フランス映画祭2007」の団長を務めて以来、約3年ぶりの来日。和菓子が好きで大好物は大福。一度に4個をペロリとたいらげることもあり、今回もスタッフからの差し入れの大福を美味しそうに食べていた(関係者談)という。『隠された日記〜母たち、娘たち〜』は2010年秋、銀座テアトルシネマほか全国にて順次公開予定。■関連作品:隠された日記〜母たち、娘たち〜 (仮題) 2010年公開予定
2010年03月01日