『フィクサー』(’07)でアカデミー賞助演女優賞を獲得したティルダ・スウィントンが最新作『ミラノ、愛に生きる』(ルカ・グァダニーノ監督)を携え来日し、10月25日(火)、本作がプレミア上映された東京・千代田区のイタリア文化会館で舞台挨拶を行った。日本の地を踏むのは『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のPR来日以来、約5年半ぶり3度目。「本当ならもっとたくさん来たい場所なの。日本のファンは私たちが作る少し奇妙な映画にも興味を示し、大切にしてくれるから、まるで“ホーム”にいるような感覚なのよ」と誰もが見とれる美貌で、笑みを浮かべた。「私にとっては宝物のような作品。普通、映画作りは思い通りにならないものだけど、この作品は奇跡的にすべてが希望通りに仕上がったの」と語る新作『ミラノ、愛に生きる』は、ティルダ演じる富豪夫人・エンマが、息子の友人であるシェフのアントニオとの情事を通して、本来の自分に目覚め、心身ともに解放される姿が描かれる。ティルダはプロデューサーとしても名を連ね、グァダニーノ監督と共に構想期間を含め12年間の歳月を本作に費やした。この日のティルダは、ジル・サンダーの華麗なドレスで登場。実は劇中の衣裳デザインを、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるラフ・シモンズが担当しており、「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、(ピエル・パオロ・)パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指したの。そこで重要な要素となったのが、ジル・サンダーだったの」とティルダ。劇中で、ティルダが着こなす数々のコレクションは大きな見どころだ。また、愛人となるシェフが調理する料理も物語のカギ。例えば、彼が作る「甘酢ソースの海老とカポナータ」がエンマの中に眠る官能を目覚めさせる…そんなシーンも見せ場になっている。さらに舞台となるミラノの美しさは必見。ティルダ自身も「とても特別で愛すべき街なの。スコットランド育ちの私にとっては、エキゾチックな地だし、友人もたくさんいるわ」とその魅力を語っていた。エンマが暮らす豪邸内の調度品(シャンデリアやタペストリー、羽目板張りの壁、絵画や彫像などなど)にも思わずウットリするはず。まさに“衣食住”が華麗なコラボレーションを奏でる作品に仕上がったのだ。「映画が描くテーマは、“愛の革命”ね。それまでアバター(仮の姿)で生きてきた女性の人生が変わる瞬間を見てほしい。自然や愛、そして人生といったお金では買えない豊かさを描いているわ」と熱っぽく語るティルダ。知的でクールな表情の中に、映画に対する情熱があふれ出していた。『ミラノ、愛に生きる』は12月23日(金・祝)から渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。■関連作品:ミラノ、愛に生きる 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開
2011年10月25日鬼才ジム・ジャームッシュの監督最新作は、スペインを舞台にした、いわくありげな不可思議世界を突きつけるロードムービー。「自分こそが最も偉大だと思っている男を墓場に送れ」。そんな指令を受け取った男が、スペインを巡り、行く先々で謎の暗号を受け取りながら、目指すターゲットへと迫っていく。まず、ジャームッシュ作品4度目となるイザック・ド・バンコレ演じる主人公の寡黙なキャラクターが目を引く。登場シーンでは、いきなり空港のトイレで太極拳をし、精神統一!以降もただただストイックに任務遂行を念頭に置き、携帯電話なし、銃なし、たとえセクシー美女が全裸でぺろんと横たわり、迫ってきてもセックスなしの殺し屋生活を黙々と繰り広げていく。さらに、カフェでは2杯のエスプレッソを注文するのが彼のお約束。いわくありげな不可思議世界とは言ったものの、ストーリーラインは至ってシンプル。もちろん、いわくはあるし、不可思議ではあるが、ジャームッシュならではのクスリと笑えるユーモアをのんびりゆるゆるとはらみながら、意外なほど実直に任務の全うを待ちわびるカメラの眼差しが独特だ。ノー・セックス、ノー・バイオレンスの“異色”殺し屋がアートに傾倒し、それらに触れたときのみ表情を崩す一方、彼の前に現れる道先案内人たちは映画や音楽、科学についてとうとうと熱弁。このあたりからは映画人たるジャームッシュの姿勢を慮ることもできるが、ティルダ・スウィントン、ガエル・ガルシア・ベルナルから工藤夕貴まで、豪華な道先案内人たちの妙演を味わうだけでも楽しい。そして、あるコードネームを背負ったビル・マーレイ登場のクライマックス。殺し屋も私たちも、「無に等しい」と作中で繰り返し強調されてきた世界が開けるのを感じる。これはジャームッシュ流の感動作でもあるのだ。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:リミッツ・オブ・コントロール 2009年9月19日よりシネマライズほか全国にて公開© 2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.■関連記事:工藤夕貴インタビュー「二十歳の頃よりもいまの方がずっと元気だなって感じますね」ジャームッシュの世界『リミッツ・オブ・コントロール』試写会に20組40名様ご招待
2009年09月18日壮大なスケールで人類滅亡の危機、そこから派生する人間ドラマを描き人気を博す海外ドラマ「GALACTICA/ギャラクティカ」。日本映画界きってのクリエイターたちの中にも熱狂的なファンを持つ本シリーズが、先日発表された“ジャンル映画”の祭典として知られる第35回サターン賞にてTV部門の主要3部門を獲得する快挙を果たした。サターン賞とは、1972年に発足して以来、毎年、優秀なSF・ファンタジー・ホラー作品に贈られる、名誉ある賞。SF映画部門では、過去の受賞作として『未知との遭遇』や『E.T.』、『ターミネーター』シリーズなど錚々たるSFの名作が並ぶが、映画だけでなくTVドラマやDVDが対象の部門もあり、年々幅広い層に注目が集まっている。アメリカでは3月にファイナル・シーズン【結:season 4】が幕を閉じたばかりの「GALACTICA」だが、同賞TV部門で主要3冠は史上初の快挙!CATVシリーズ作品賞をはじめ、宇宙空母ギャラクティカの艦長・アダマ役のエドワード・ジェームズ・オルモス(写真)が主演男優賞、大統領・ロズリン役のメアリー・マクドネルが主演女優賞受賞と、ベテラン勢の活躍が評される結果に。本国では11月にスピンオフ「THE PLAN」が放送・DVD化されるが、今回の結果がヒットの足がかりとなるのか?ちなみに、映画の主要部門では、『アイアンマン』がSF映画作品賞と主演男優賞(ロバート・ダウニーJr.)、『ベンジャミン・バトン数奇な人生』がファンタジー作品賞と助演女優賞(ティルダ・スウィントン)が2冠。アクション/アドベンチャー・サスペンス作品部門では『ダークナイト』が制し、オスカーに続き、亡きヒース・レジャーに助演男優賞が贈られた。さらに、主演女優賞には『チェンジリング』のアンジェリーナ・ジョリーが選ばれている。<第35回サターン賞主要部門受賞一覧>【映画部門】作品賞SF映画作品賞:『アイアンマン』ファンタジー作品賞:『ベンジャミン・バトン数奇な人生』ホラー作品賞:『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』アクション/アドベンチャー・サスペンス作品賞:『ダークナイト』主演男優賞:ロバート・ダウニーJr.『アイアンマン』主演女優賞:アンジェリーナ・ジョリー『チェンジリング』助演男優賞:ヒース・レジャー『ダークナイト』助演女優賞:ティルダ・スウィントン『ベンジャミン・バトン数奇な人生』【TV部門】作品賞連続ドラマ作品賞:「LOST」CATVシリーズ作品賞:「GALACTICA/ギャラクティカ」主演男優賞:エドワード・ジェームズ・オルモス「GALACTICA/ギャラクティカ」主演女優賞:メアリー・マクドネル「GALACTICA/ギャラクティカ」助演男優賞:エイドリアン・パスダー「HEROES/ヒーローズ」助演女優賞:ジェニファー・カーペンター「デクスター」「GALACTICA/ギャラクティカ」【転:season 3】発売元:デイライトDVD好評発売中■関連作品:GALACTICA/ギャラクティカ [海外TVドラマ]Film © 2004/2005 Universal Stusios.All Rights Reserved.ダークナイト 2008年8月2日、3日先行公開、8月9日より丸の内プラゼールほか全国にて公開TM & © DC Comics© 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reservedアイアンマン 2008年9月27日より日劇3ほか全国にて公開© 2008 MVLFFLLC. TM & © 2008 Marvel Entertainment. All Rights Reserved.ベンジャミン・バトン数奇な人生 2009年2月7日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros.■関連記事:ブランジェリーナ、難民救済のために国連難民支援機関に100万ドルを寄付【ハリウッドより愛をこめて】ブランジェリーナ、遂に結婚?キャメロンは笑顔の復帰未公開映像にライブ・パフォーマンスと今年も盛りだくさんのMTVムービー・アワードリリー・フランキーにも結婚願望あり?映画館大賞トークに登場、過激な役作りも…ゲイリー・オールドマン、『アイアンマン2』には出演しない
2009年07月01日