企画展「西川勝人 静寂の響き」が、千葉・佐倉のDIC川村記念美術館にて、2024年9月14日(土)から2025年1月26日(日)まで開催される。西川勝人、日本初の回顧展西川勝人(にしかわ かつひと)は、1949年東京に生まれ、40年以上にわたりドイツを拠点に活動してきた芸術家だ。彫刻、写真、絵画、素描、インスタレーションなど、さまざまな技法を用いつつ、その作品は一貫して静謐さを湛えている。西川は、光と闇、そしてその間に広がる陰影に心を配り、作品を手がけてきた。たとえば、彫刻。抽象的なフォルムで作られた白い彫刻は、木や石膏を用いた簡素な構造でありながら、その表面に淡い陰影を宿すものである。企画展「西川勝人 静寂の響き」は、日本の美術館では初となる西川の回顧展。1980年代の活動初期から現在まで、《根》や《蓮》、《池のほとり》といった作品約70点を、西川自身の構成によって展示する。作品は、自然光、外光、照明、間接光と、さまざまな光のもとで展示されるため、光と作品、空間が取り結ぶ関係性にふれることができるだろう。展覧会概要企画展「西川勝人 静寂の響き」会期:2024年9月14日(土)〜2025年1月26日(日)会場:DIC川村記念美術館住所:千葉県佐倉市坂戸631開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日に休館)、12月24日(火)〜1月1日(水・祝)入館料:一般 1,800円、学生・65歳以上 1,600円、高校生以下 無料※障害者手帳の所持者および付添者1名は無料【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2024年06月01日展覧会「生誕140年記念 竹久夢二の軌跡」が、東京の竹久夢二美術館にて2024年7月6日(土)から9月22日(日)まで開催される。竹久夢二の生誕140年を記念した展覧会大正ロマンの画家・詩人として知られる竹久夢二。展覧会「生誕140年記念 竹久夢二の軌跡」では、新収蔵を含む約250点の作品・資料を通し、明治末期のデビューから昭和初期に至るまでの約30年間に及ぶ夢二の画業と人物像を紹介する。「夢二式美人」の広まり多彩なジャンルで活躍した夢二の作品の中でも特に話題を呼んだのが、「夢二式美人」と称される女性像を描いた作品たち。展覧会の冒頭では、明治末期から大正期に絶大な人気を博した「夢二式美人」の広まりをテーマに、《黒猫を抱く女》や《夏姿》といった作品を展示する。暮らしを彩るデザイン近代化が急激に浸透していった時代に、自身の理想の美を追求し続けたという夢二ならではの、暮らしを彩る作品も必見。例えば、アール・ヌーヴォー調の動植物を描いた図案は、暮らしに趣を加えるデザインを、雑誌を通して発信したものだ。そのほか、昭和初期に描いた、現代のデザイナーの先駆けともいえるポスターなどが紹介される。【詳細】展覧会「生誕140年記念 竹久夢二の軌跡」会期:2024年7月6日(土)〜9月22日(日)※前期 2024年7月6日(土)〜8月12日(月・祝)/後期 2024年8月14日(水)〜9月22日(日)場所:竹久夢二美術館住所:東京都文京区弥生2-4-2休館日:月曜日 ※7月15日(月・祝)・8月12日(月・祝)・9月16日(月・祝)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)は休館。入館料:一般 1,000円/大学生・高校生 900円/中学生・小学生 500円※弥生美術館と併せて観覧が可能。【問い合わせ先】TEL:03-5689-0462
2024年05月31日2024年6月9日(日)より、栃木県の宇都宮美術館では、「大川美術館コレクションによる20世紀アートセレクション-ピカソ、ベン・シャーンからポップ・アートまで」展を開催する。群馬県にある大川美術館のコレクションのなかから、20世紀アートの名品の数々を紹介する展覧会だ。群馬県桐生市の水道山中腹に位置する大川美術館は、地元出身の実業家、大川栄二が約40年に渡り収集した近代日本洋画コレクションを中心に展示する美術館だ。マルエツ株式会社(旧サンコー)や株式会社ダイエーオーエムシー(旧ダイエーファイナンス)など、名だたる企業の代表取締などを歴任した大川栄二は、週刊誌の表紙絵から収集を始め、自らを「サラリーマン・コレクター」と称して通史にとらわれない、個性的な個人コレクションを確立した。清水登之《祭之図》1918年今回はそのコレクションから、20世紀に誕生した芸術の多彩な表現を紹介する。20世紀の初頭、ピカソとブラックが創始したキュビスムや、第一次世界大戦後にパリに集ったモディリアーニ、藤田嗣治らエコール・ド・パリ。さらにマックス・エルンストらが参加したシュルレアリスム、第二次世界大戦後、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンシュタインがアメリカで開花させたポップ・アート、そして社会派の芸術家ベン・シャーンの作品など、個性豊かな65名の作家による全123点を展示する。アンドレ・ドラン《窓の静物》1948年頃20世紀を代表する芸術の潮流を辿り、多彩な表現を楽しめることはもちろん、個人が作品をコレクションするという行為の魅力を改めて伝える展覧会になるに違いない。<開催概要>『大川美術館コレクションによる 20世紀アートセレクション ―ピカソ、ベン・シャーンからポップ・アートまで』会期:2024年6月9日(日)〜8月18日(日)会場:宇都宮美術館時間:9:30〜17:00(入館は 16:30まで)休館日:月曜(7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)料金:一般1,000円、大高800円、中小600円公式サイト:
2024年05月30日京都府立堂本印象美術館(所在地: )は、企画展「五彩を感じて 印象の墨の世界」、同時開催「第5回京都工芸美術作家展」を、会期:2024年6月5日(水)~9月8日(日)にて開催いたします。チラシ会期 :2024年6月5日(水)~2024年9月8日(日)開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)休館日 :月曜日(祝休日の場合は翌平日休館)予定を変更する場合がございます。ご来館前に当館ホームページなどで最新情報をご確認ください。入場料金:一般510(400)円、高大生400(320)円、小中生200(160)円※( )は20名以上の団体料金※65歳以上の方(要公的証明書)および障害者手帳をご提示の方(介護者1名含む)は無料主催 :京都府、京都府立堂本印象美術館(指定管理者:公益財団法人京都文化財団)、京都新聞助成 :一般財団法人地域創造■展覧会概要「墨に五彩あり」という言葉があります。濃淡の階調や巧みな筆さばきによって、墨のみで色を感じさせる世界を創り出すことが出来ます。中国より伝わった水墨画は、禅の教えと共に広まり、日本において独自に発展しました。堂本印象(1891-1975)は墨を愛した画家でした。印象の場合、本格的な墨の追求は、平安時代の仏画に見られる流麗な線への憧憬から始まりました。その後、仏教の教えを深く学ぶなかで、印象の墨の表現は抽象性を帯びていき、戦後には、海外の抽象芸術の影響を受け、黒色を基調にした独自の抽象表現を確立させました。本展では、初期の水墨の表現とともに、戦後のアンフォルメルの影響を受けた抽象画も展示し、印象ならではの幅広いモノクロームの世界を紹介します。■みどころルネサンス絵画に想を求めた大正時代の水墨表現や瀟湘八景図の他、戦後のアンフォルメルの影響を受けた抽象画まで、印象ならではの幅広い墨の表現を一堂に紹介!昭和8年(1933)に手掛けた東福寺本堂の天井画《蒼龍》の下絵の他、画龍点睛の後に揮毫した書も特別展示します。初公開作品も多数展示!堂本印象 「マリア」 1922年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「倒影」 1959年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「蒼龍(小下絵)」 1933年 京都府立堂本印象美術館蔵■出品作品堂本印象 「はるかなる海」 1967年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「交響」 1961年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「雲収日昇(右隻)」 1938年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「六祖風幡」1930年 京都府立堂本印象美術館所蔵堂本印象 「夕顔図」 1935年 京都府立堂本印象美術館所蔵■イベント<関連イベント>●ギャラリートーク(参加費・申込不要、要入場券)日時:2024年7月13日(土)14:00~2024年8月3日(土)14:00~場所:美術館 2階展示室●夏休み親子向けワークショップ堂本印象美術館をモチーフにガラス作品を作ろう!講師 :徳力竜生氏(ガラス工芸作家・京都工芸美術作家協会理事)日時 :2024年7月28日(日)場所 :旧堂本印象邸(美術館東隣)予定※時間・申込など詳細は後日発表ワークショップ問合せ先:京都新聞COM事業推進局開発推進部Tel. 075-255-9757(平日10時 - 17時)■同時開催●第5回京都工芸美術作家展2024年6月5日(水)~2024年9月8日(日)京都にゆかりのある工芸作家たちが、現代の感性に基づく意匠と技法によって独創的な作品を発表します。場所 :新館展示室出品者:久保田繁雄(染織)、小林英夫(陶芸)、柴田良三(陶芸)、山出勝治(染織)主催 :京都府、京都工芸美術作家協会、京都府立堂本印象美術館(指定管理者:公益財団法人京都文化財団)助成 :一般財団法人地域創造<出品作家によるギャラリートーク>2024年6月23日(日)14:00~ (久保田・柴田)2024年7月21日(日)14:00~ (小林・山出)■出品作品久保田繁雄 「MINAMO M-III」小林英夫 「黎明」柴田良三 「線象嵌染付花瓶」山出勝治 「火床から」 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年05月22日企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」が、愛知の豊田市美術館にて、2024年7月13日(土)から9月23日(月・振)まで開催される。滋賀の佐川美術館などでも開催された巡回展だ。エッシャー、創作の全貌を紹介「だまし絵」的な作品で知られるオランダの版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャー。生き物を様式化した形で画面を埋め尽くしたり、ある形を別の形に変化させたり、あるいは3次元上ではありえない構造を2次元上に作り出したりと、エッシャーは幻視的イメージや錯視を用いて奇想的な芸術世界を展開した。企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」は、「だまし絵」的な代表作を筆頭に、エッシャーの初期から晩年までの作品約160点を展示する展覧会。初期作品に始まり、「テセレーション(敷き詰め)」や「メタモルフォーゼ(変容)」、「幾何学的なパラドックス」といったテーマごとにエッシャーの作品を紹介し、その全貌に光をあてる。初期のイタリア風景など1898年オランダに生まれたエッシャーは、アール・ヌーヴォーの版画家サミュエル・イェッスルン・ド・メスキータのもとで学んだ。その後イタリアを訪れると、各地の風景を題材に、精緻な描写の版画作品を手がけている。20〜30代のイタリア時代の作品には、幾何学的な形態や建築の複雑な構造に対する関心など、のちの作品のルーツを見出すことができる。本展の序盤では、《スカンノの街路、アルブルッツィ地方》など、初期の作品を紹介する。テセレーションとメタモルフォーゼ1922年にスペインを旅し、グラナダ・アルハンブラ宮殿の装飾紋様に触発されたエッシャーは、動物などを様式化させた形で画面全体を埋め尽くす「テセレーション(敷き詰め)」の作品を手がけるようになった。また、これと強い関係を持つのが、ある形が別の形へと変化してゆく「メタモルフォーゼ(変容)」である。会場では、エッシャーのキャリアの転機となった独自のテセレーション作品に加えて、大作《メタモルフォーゼII》などを目にすることができる。矛盾した空間構造エッシャーは、空間の構造にも関心を抱いていた。それはたとえば、《滝》に見るように、3次元ではありえない構造を2次元の作品平面に作りだすことであった。本展の終盤では、こうした「幾何学的なパラドックス」に着目し、《相対性》や《物見の塔》、《滝》といった作品を紹介する。展覧会概要企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」会期:2024年7月13日(土)〜9月23日(月・祝)会場:豊田市美術館 展示室6・7・8住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)休館日:月曜日(7月15日(月・祝)、8月12日(月・振)、9月16日(月・祝)・23日(月・振)は開館)観覧料:一般 1,700円(1,500円)、高校・大学生 1,200円(1,000円)、中学生以下 無料※( )内は、オンラインチケット、前売券、20人以上の団体料金※前売券は、豊田市美術館(4月25日(木)~5月6日(月・振)および6月1日(土)~7月12日(金)販売)、オンラインチケット(6月販売開始予定)ほかにて販売※以下は観覧料無料(要証明):障がい者手帳の所持者および介添者1人、豊田市内在住・在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上【問い合わせ先】豊田市美術館TEL:0565-34-6610
2024年05月18日世界に名だたる大都市として独自の文化を育んできたパリ、東京、大阪の3都市で、優れた近代美術のコレクションを築いてきた3つの美術館、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館。この3館のコレクションから共通点のある作品を選び、「トリオ」を組んで構成するユニークな展覧会が、5月21日(火)から8月25日(日)まで、竹橋の東京国立近代美術館で開催される。セーヌ川のほとりに建つ1930年代の壮麗な建築を拠点とするパリ市立近代美術館は、15,000 点以上の近現代作品を収蔵するパリの重要な文化施設のひとつ。東京の中心・皇居のお濠を前に建つモダン建築の東京国立近代美術館は、19世紀末から現代までの幅広いジャンルの日本美術の名作と海外作品を合わせ、13,000点以上の所蔵品からなる国内最大級のコレクションを誇る。一方、2022年に水の都・大阪市の中心部に開館した大阪中之島美術館は、19世紀後半から今日に至る日本と海外の代表的な美術とデザイン作品を核としながら、地元大阪の芸術活動にも目を向け、多岐の領域に及ぶ6,000点以上の作品を所蔵。斬新な建築が、大阪の新たなランドマークともなっている。アンリ・マティス《椅子にもたれるオダリスク》1928年、パリ市立近代美術館photo: Paris Musées/Musée d’Art Moderne de Paris(トリオ、テーマ<モデルたちのパワー>より)同展は、各々の個性と共通点をもつ3館が、主題やモチーフ、色や形、素材、作品誕生の背景など様々な視点から34のテーマを抽出し、時代や流派、あるいは洋の東西を越えて、そのテーマに最も合った作品を1点選んでトリオを構成・展観する試みだ。「川の流れる都市風景」「空想の庭」「モデルたちのパワー」「日常生活とアート」などのテーマで選ばれた34組のトリオのために、20 世紀初頭から現代まで、西洋と日本で活躍してきた 110 名のアーティストが集結。約150点の出品作のうち、初来日作が32点に及ぶ。各館を代表する作品はそれぞれに見応えがあるが、とりわけ同展で興味深いのは、並んだ3点を見比べ、共通点や相違点を探すといった楽しみがあること。同テーマで東西の巨匠が描いた絵からは、どんなことが見えてくるのか?マティスとモディリアーニと萬鉄五郎のモデルたちの競演、佐伯祐三とバスキアのストリートアート対決など、実際に並んだ作品を見ることで新たな気づきが得られる同展は、自身が見て感じたことを誰かに話したくなるような楽しみをはらんでいる。この機会に、モダンアートの新たな見方を堪能したい。萬鉄五郎《裸体美人》(重要文化財)1912年、東京国立近代美術館(トリオ、テーマ<モデルたちのパワー>より)展示期間:5月21日~7月21日/8月9日~8月25日)<開催概要>『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』会期:2024年5月21日(火)~8月25日(日)会場:東京国立近代美術館時間:10:00~17:00、金土は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜(7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)料金:一般2,200円、大学1,200円、高校700円公式サイト:※9月14日(土)より大阪中之島美術館に巡回
2024年05月16日東京都庭園美術館では、2024年6月1日(土)より『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』を開催する。大正ロマンを象徴する画家・竹久夢二(1884-1934)の生誕140年と没後90年を記念して、その生涯をたどり、新発見の作品や最新の研究成果をもとに紹介する展覧会だ。1884年(明治17)、岡山県に生まれた竹久夢二は、正規の美術教育を受けることなく独学で自身の画風を確立し、「夢二式」と言われる情緒的な美人画で一世を風靡した。さらにデザイナーの草分けとしても活躍。本や雑誌の装丁はもとより、彼が企画・デザインした衣服や雑貨などは若い女性を中心に人気を博し、人々の生活を彩った。《憩い(女)》昭和初期 夢二郷土美術館蔵旧朝香宮邸という邸宅空間で夢二の世界を堪能できる同展でまず注目したいのは、今まであまり紹介されてこなかった彼の油彩画が多数紹介されることだ。なかでもかつて東京・本郷の「菊富士ホテル」の応接間を飾っていた名画《アマリリス》は必見。同作はホテルの閉館後長らく行方不明になり、近年の調査で発見された幻の作品で、鉢植えのアマリリスとともに、後に夢二の恋人となったお葉を描いたとされている。ホテルの常連であった文豪・谷崎潤一郎や坂口安吾も目にしていたことだろう。その他、彼が晩年の1931年(昭和6)から2年に渡って欧米を巡った時のスケッチブックの初公開や、夢二プロデュースの元祖ファンシーショップ「港屋絵草子店」のおしゃれでかわいいプロダクトも紹介する。港屋では封筒や千代紙など、夢二がデザインした様々な小間物の他、帯や半襟、浴衣など身につけるものも扱った。その独得なデザインは、彼の没後90年たってなお、新鮮な感動を私たちに与えてくれるはずだ。《セノオ楽譜〈恨まじ君をば〉》1924(大正13)年 夢二郷土美術館蔵講演会やギャラリートーク、また障害がある人や赤ちゃん連れの人が楽しめる「フラットデー」などの情報は、美術館ウェブサイトで確認を。<開催概要>『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』会期:2024年6月1日(土)~8月25日(日)会場:東京都庭園美術館(本館+新館)時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)休館日:月曜(7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)料金:一般1,400円、大学1,120円、高中・65歳以上700円※第3水曜日は65歳以上の方は無料公式サイト:
2024年05月14日展覧会「横尾忠則 寒山百得展」が、兵庫・神戸の横尾忠則現代美術館にて2024年5月25日(土)から8月25日(日)まで開催される。2023年に東京国立博物館でも開催された巡回展だ。伝説の詩僧「寒山」と「拾得」をテーマにした絵画102点本展で展示されるのは、唐の時代の中国に生きたとされる、伝説上の詩僧の寒山と拾得をテーマした横尾忠則の絵画。中でも、2021年9月から2023年6月の間に制作された最新作を中心とする102点が紹介される。寒山と拾得とは?人物像に不明な点が多い寒山と拾得。世俗から離れて詩作に耽る一方、ぼろきれを身に着けて奇行に走ったという逸話から、“風狂”の詩僧と捉えられており、いつしか文殊菩薩と普賢菩薩の化身として神聖視されるようにもなった。こうした不思議な人物像に魅せられ、俵屋宗達や与謝蕪村など様々な芸術家が作品を残してきている。横尾忠則ならではの現代的なアレンジその中で横尾忠則の作品を特徴づけるのは、現代的なアレンジだ。例えば、寒山が持つ巻物をトイレットペーパーに、拾得が持つ箒を掃除機に変えて描くなど、独自の視点で翻案した新たなイメージを展開している。さらに、“マラソンランナー”に寒山と拾得の要素を取り入れた絵画や、マドリードのスペイン広場に立つドン・キホーテとサンチョ・パンサの像をモデルにした絵画など、大胆に発想を飛ばした作品も展示。横尾忠則ならではの変幻自在な表現に注目だ。【詳細】展覧会「横尾忠則 寒山百得展」会期:2024年5月25日(土)〜8月25日(日)時間:10:00〜18:00(最終入場 17:30)場所:横尾忠則現代美術館住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30休館日:月曜日 ※ただし、7月15日(月・祝)・8月12日(月・振休)は開館、7月16日(火)・8月13日(火)は休館料金:・通常 一般 700円/大学生 550円/70歳以上 350円/高校生以下 無料・団体 一般 550円/大学生 400円/70歳以上 250円/高校生以下 無料※団体割引は20名以上で適用。※予定が変更となる場合がある。※予約制なし【問い合わせ先】横尾忠則現代美術館TEL:078-855-5607(総合案内)
2024年05月12日陶芸、彫刻、建築、音楽など多様な領域で国際的に活躍するシアスター・ゲイツの展覧会『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』が9月1日(日) まで森美術館で開催中だ。アフリカ系アメリカ人のルーツとともに、日本文化からの影響も色濃い。愛知県常滑市で陶芸を学ぶために2004年に来日し、「国際芸術祭 あいち2022」では常滑の旧住宅を音楽・ウェルネス・陶芸研究のためのプラットフォーム「ザ・リスニング・ハウス」として再生し、多くの人を楽しませた。「常滑は私を変え、より良いアーティストになるために刺激を受けた、世界で最も重要な場所のひとつ」だとゲイツは語る。1973年、アメリカ・シカゴ生まれ、在住のゲイツは、イギリスの雑誌『ArtReview』が毎年発表するランキング「Power 100」の上位アーティスト。ニューミュージアム(ニューヨーク)など欧米の美術館や国際展での発表が続く中、待望の日本初個展が実現した。「アフロ民藝」とは、文化的ハイブリディティ(混合性)を追求してきたゲイツが、アメリカでの「ブラック・イズ・ビューティフル」運動と、日本の民藝運動という2つの重要な運動を反映する、芸術的で知的な試みだ。宗教哲学者・柳宗悦が民衆の手による日常的な工芸品に「美」を見出した民藝運動を知的・社会的運動と捉えて共鳴している。そのうえで同展はブラックアートと民藝の関係にとどまらず、「ものづくりと友情を通じて、人が文化の持つ可能性に身をゆだねたときに、何が起こるかを示すもの」だと語る。それでは「神聖な空間」「ブラック・ライブラリー&ブラック・スペース」「ブラックネス」「年表」「アフロ民藝」の5章からなる展覧会を見ていこう。ゲイツにとって音楽や儀礼、詩、彫刻や作陶は神聖なものに触れるためのスピリチュアルな行為。第1章「神聖な空間」は「美の神殿」をイメージし、自作とともに、彼が尊敬するつくり手の作品をインスタレーションした。入口には、民藝という言葉の起点となった江戸時代の僧侶・木喰上人による木彫。ゲイツが屋根にタールを塗る職人だった父に習った技術を生かした「タール・ペインティング」シリーズの作品もある。木喰上人《玉津嶋大明神》1807年シアスター・ゲイツ《年老いた屋根職人による古い屋根》2021年次の部屋の床に敷き詰められているのは、常滑の水野製陶園ラボで制作された1万4000個のレンガ。かつてアメリカでは煉瓦職人の多くが黒人や有色人種の労働者だった歴史も想起される。江戸〜明治期の歌人で陶芸家・尼僧の太田垣蓮月の掛軸。アフリカ系アメリカ人リチャード・ハントの彫刻。抽象表現主義的なゲイツのクロス状の作品は、白人のアーティストを中心に美術史が紡がれたことや、ベトナム戦争時、アメリカ人兵士に黒人が多かったことなどさまざまな解釈を誘う。1台のハモンドオルガンB-3と7個のレスリースピーカーを設置した《ヘブンリー・コード》では、毎週日曜にはオルガン演奏のパフォーマンスが行われる。意味が多重に想像される「もの」と、それぞれの違いを超えて人々が集える「空間」の組み合わせが特徴的だ。京都の香老舗・松栄堂の調香師とともにつくった香の彫刻《黒人仏教徒の香りの実践》(2024年)と《人型I》(2023年)シアスター・ゲイツ《アーモリークロス#2》2022年シアスター・ゲイツ《ヘブンリー・コード》2022年。記者内覧会ではゲイツのバンド「ザ・ブラック・モンクス」のパフォーマンスが行われたゲイツにとって「蒐集」も表現方法のひとつ。第2章「ブラック・ライブラリー&ブラック・スペース」ではものに宿る記憶を語り継ぐ。ゲイツが収集した黒人の歴史にまつわる約2万冊の本をシカゴから移送し、日本語の書籍と合わせてライブラリーを設置。また、公民権運動期に黒人のアイデンティティ確立に重要な役割を果たした出版社「ジョンソン・パブリッシング・カンパニー」の廃業後、雑誌や写真、家具などを買い取ってアーカイブ。観客も閲覧できる。さらに、ゲイツの建築プロジェクトから「リビルド・ファウンデーション」の活動を紹介。シカゴのサウス・サイド地区の廃墟40軒を買い取り、人々が集える文化施設やカフェにつくり変えるなど地域再生にも貢献している。第2章「ブラック・ライブラリー」展示風景第2章「ブラック・スペース」展示風景。ジョンソン・パブリック・カンパニーのアーカイブ展示第3章「ブラックネス」では、「ブラックネス(黒人であること)の複雑な状況から生まれる葛藤とともに、黒人文化のあらゆる表現とそこにある真実を映し出す。サウス・サイド地区の今は取り壊された教会でゲイツのバンド「ザ・ブラック・モンクス」が行ったパフォーマンスを撮影した映像では、都市開発によって教会が壊される問題を問う。デトロイトの小学校の体育館の床を組み合わせた抽象的な絵画。タールに代わり屋根補修剤として使われるアスファルトとポリマーの「工業用トーチダウン」を用いたタール・ペインティング。アメリカの黒人陶芸からアフリカ・日本・朝鮮・中国の陶芸に着想を得た陶磁器シリーズ。いずれも力強く美しい。映像作品《避け所と殉教者の日々は遥か昔のこと》2014年 展示風景《基本的なルール》2015年《7つの歌》2022年《ドリス様式神殿のためのブラック・ベッセル(黒い器)》2022-2023年第4章「年表」では、常滑の歴史、民藝の歴史、アメリカ黒人文化史とゲイツ個人史をひとつの時間軸で並べている。そして最終章「アフロ民藝」の展示スペースは圧巻だ。古常滑を研究しながら制作した陶芸家・小出芳弘(1941-2022年)から受け継いだ約2万点ものコレクションを展示。氷山の形をしたミラーボールが回るディスコのような空間に、明治〜昭和初期、酒屋で少量買いする客への貸し容器「貧乏徳利」1000本を並べたインスタレーション《みんなで酒を飲もう》などを設置した。常滑の澤田酒造とコラボし、ゲイツの名にかけたオリジナル日本酒「門」もつくった。常滑の陶芸家・小出芳弘コレクション第5章「アフロ民藝」展示風景長野県「山翠舎」の協力で古民家の古材を什器に使用。雪の重みによる根曲りの木を天井の梁に利用した「鉄砲梁」を再利用したゲイツが提案する「ハイブリッド」は、膨大なアーカイブとコラボレーションに裏打ちされ、その背景にある一人ひとりの存在を示す。分断する世界を諦めず、違いを認め、共感から新しいものを創り出そうと語りかけている。取材・文:白坂由里撮影:編集部<開催概要>『シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝』2024年4月24日(水)~9月1日(日)、森美術館にて開催公式サイト:
2024年05月10日2024年7月13日(土)~9月23日(月・振休)の期間、広島県立美術館にて「金曜ロードショーとジブリ展」広島展を開催いたします。あなたの「初めての映画」は金曜ロードショーではなかったでしょうか?昭和 平成 令和と「映画」と私たちをつないできた「金曜ロードショー」。公開年に関わらず名画と出会うことができた時間。知らなかった世界に初めて出会う時間。そんな番組が始まった1985年(昭和60年)は、スタジオジブリが“スタジオ開き”をした年でもあります。本展ではその1985年を起点に、「金曜ロードショー」の歩みを辿りながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介します。「金曜ロードショーとジブリ展」広島展 (C)Studio Ghibli■開催概要【展覧会名】「金曜ロードショーとジブリ展」広島展【開催期間】2024年7月13日(土)~9月23日(月・振休)【開催会場】広島県立美術館 3階 企画展示室[〒730-0014 広島市中区上幟町2-22]【開館時間】9:00~17:00(金曜日は20:00まで開館) ※入場は閉館1時間前まで【休館日】 会期中無休【料金】 一般 1,800円/高・大学生 1,500円/小・中学生 1,100円※日時指定券(30分区切りの日時指定)販売期間:5月13日(月)9:00~9月23日(月・振休) ※売切次第終了チケット販売所:広島展公式オンラインチケット、ローチケ、日テレゼロチケ※チケット料金は全て税込み価格。※未就学児は入場無料。※広島県立美術館の受付でのチケット販売は行いません。※無料対象者も未就学児を除き、広島展公式オンラインチケットで日時指定予約が必要です。※学生料金でご入場の際は、学生証のご提示をお願いします。※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳及び戦傷病者手帳の所持者とその介助者(1名まで)の料金は半額です。ご入場の際、手帳をご提示ください(オンラインチケットで半額チケットをお買い求めください)。※特別展入館当日に限り、所蔵作品展もご覧いただけます。ただし、7月16日~18日、8月26日は所蔵作品展が展示替えのため、ご覧いただけません。※特別展入館当日に限り、本展チケットもしくは二次元バーコードのご提示(半券可)により、100円で縮景園にご入園いただけます。※団体料金の設定や、各種割引はありません。【主催】 広島県立美術館、広島テレビ、イズミテクノ【共催】 日本テレビ【特別協賛】 au(KDDI株式会社)【協賛】 図書印刷【広島展協賛】 広島県信用組合、一般財団法人ケンシン地域振興財団【展示協力】 ア・ファクトリー【特別協力】 スタジオジブリ【お問合せ】 広島県立美術館 082-221-6246【展覧会公式HP】 ※記載内容に変更が生じる場合があります。最新の情報は公式HPでご確認ください。■どんな展示?(1) 時代ごとに紐解くジブリ作品の魅力【“金ロー”とジブリのヒストリーを辿る圧巻のデータベース!】「金曜ロードショー」はこれまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放送してきました。その歴史はスタジオジブリが人気を確立し、作品の評価を不動のものとしていく足跡とともにあり、現在も続いています。番組の放送が始まった1985年は、スタジオジブリが“スタジオ開き”をした年であり、日本テレビが特別番組で「風の谷のナウシカ」を初放送した年です。本展ではそんな1985年を起点に、スタジオジブリ作品の公開年、そして「金曜ロードショー」で初放送された年がどんな時代だったのかを振り返りながら、記憶と記録を通じて作品が持つ時代性と普遍性を浮かび上がらせていきます。“金ロー”とジブリのヒストリーを辿る (C)Studio Ghibli【名シーンを絵コンテで振り返る!ジブリ作品の“設計図”に迫る】「風の谷のナウシカ」から「アーヤと魔女」まで、ほぼ全作品の絵コンテの一部を展示。絵コンテとは、いわば映画の設計図。シーンの流れをコマ割りしたもので、場面構成やセリフなど演出イメージがつかめます。作品の生まれる過程を見られる貴重な機会となるでしょう。■どんな展示?(2) ジブリ映画ポスタースタジオ【ポスターの主役はあなた!】スタジオジブリ作品のポスターの中に飛び込んで、主人公のように撮影できる空間。そこはまるで架空のスタジオに迷い込んだような場所。作品の主人公になった気分でお楽しみいただけます!対象作品は「魔女の宅急便」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「猫の恩返し」「崖の上のポニョ」。ジブリ映画ポスタースタジオ (C)Studio Ghibli【小人になれる? 不思議なAR体験】<「アリエッティの世界」AR>特別協賛のau(KDDI)の協力により、ARコンテンツを提供します。アプリ「SATCH X」をダウンロード(無料)し、会場内にある「借りぐらしのアリエッティ」ポスター付近のARマーカーを読み込むと、アリエッティと同じ目線で巨大な植物と虫たちが溢れる世界をARで体験できます。画像、映像はスマートフォンに保存できます。■どんな展示?(3) ジブリの幻燈楼【音と光に包まれる幻想的な空間】「幻燈」とは、フィルムや造形物などに強い光を当てて、レンズで幕などに拡大映像を投影して見せることができる装置。ガラスの町・富山の富山ガラス造形研究所、富山ガラス工房、地元作家らが制作を担当し、スタジオジブリが監修しました。キャラクターをモチーフとしたガラスに光を照射することで、映画の世界観を音と光に包まれながら体感できます。ジブリの幻燈楼 (C)Studio Ghibli■どんな展示?(4) 風の谷のナウシカ 王蟲の世界【“金ロー”とジブリの原点】「金曜ロードショー」とスタジオジブリのヒストリーの原点といえば「風の谷のナウシカ」。本展では、映画に登場する“腐海”の空間を、稀代の造形作家として世界に多くのファンを持つ竹谷隆之さんらが作った造形物で表現します。圧巻のクオリティーで作られた王蟲、大王ヤンマ、ムシゴヤシなどが待つ空間は、来場者を魅了することでしょう。風の谷のナウシカ 王蟲の世界(1) (C)Studio Ghibli風の谷のナウシカ 王蟲の世界(2) (C)Studio Ghibli【腐海へ迷い込むAR体験】<「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」AR>特別協賛のau(KDDI)の協力により、ARコンテンツを提供します。アプリ「SATCH X」をダウンロード(無料)し、王蟲の展示場所にあるARマーカーを読み込むと、大迫力の王蟲たちがARで出現。何が起こるかは会場でお確かめください。<「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」とマチカメ撮影>特別協賛のau(KDDI)の協力により、ARコンテンツを提供します。プロ仕様の構図で写真撮影ができる遠隔カメラ「マチカメ」で、腐海のなかで王蟲と一緒にいるかのような写真を撮影することができます。※写真は京都展の様子です■金曜ロードショー1985年から日本テレビ系で放送されている映画番組。1972年から放送されていた「水曜ロードショー」の放映曜日が金曜日に移ったのを機に、名称を変更しあらたにスタート。1986年に「風の谷のナウシカ」を初放映(※)して以来、これまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放映。1997年から2009年までは、スタジオジブリが制作したオリジナルのムービー(音楽:久石譲)がオープニングを飾りました。キャラクターの“フライデーおじさん”は宮崎駿監督(※)が生み出し、「耳をすませば」の近藤喜文監督が仕上げたものです。※「風の谷のナウシカ」の初放映は1985年、日本テレビの特別番組※「宮崎駿監督」の「崎」は「立つざき」が正式表記 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年05月10日20世紀美術、とりわけシュルレアリスムの画家たちに強い影響を与えた画家、ジョルジョ・デ・キリコ。彼の作品が100点以上展示される大回顧展『デ・キリコ展』が東京都美術館で4月27日(土) に開幕。8月29日(木) まで開催されている。イタリア人の両親のもと、ギリシャで生まれ育ったジョルジョ・デ・キリコ(1888〜1978)。父の死後に移り住んだミュンヘンで美術を学んだデ・キリコは、ニーチェの哲学や、アルノルト・ベックリン、マックス・クリンガーらの作品に大きな影響を受け、「形而上絵画」と名付けた作品群で世界中から注目を集める存在となっていく。同展は作風を変遷させながらも、自らの美を追求したデ・キリコの全貌を5章構成で迫る回顧展だ。展示室内にはデ・キリコの作品をイメージしたアーチ型の門が設えられた場所もあり、展示空間からもその作品世界を追体験することができる。展示風景より (C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024デ・キリコは生涯にわたって何百枚もの自画像、肖像画を描いた。第1章「自画像・肖像画」では彼の多様な画風について、自画像や肖像画の変遷でたどっていく。《弟の肖像》は、のちにアルベルト・サヴィニオの名前で作家・劇作家・作曲家として活躍する実弟の肖像画。デ・キリコが象徴主義の画家、アルノルト・ベックリンの強い影響を受けていた頃に古典的な肖像画の形式に則って描いたものだ。この約50年後に描いた《17世紀の衣装をまとった公園での自画像》は、バロック時代の衣装を身に着けた自分自身を描いている。《弟の肖像》1910年 ベルリン国立美術館蔵(C) Photo Scala, Firenze / bpk, Bildagentur fuer Kunst, Kultur und Geschichte, Berlin(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024《17世紀の衣装をまとった公園での自画像》1959年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵 (C) Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024第2章「形而上絵画」は、彼の代名詞とも言える「形而上絵画」について取り上げる。「形而上(メタフィジックス)」とは、哲学において、形のないもの、形を超えたもの、つまり思考や精神、概念などを示す言葉だ。1910年のある日、見慣れたフィレンツェのサンタ・クローチェ広場を見たとき、まるで初めて見る景色であるかのような感覚に襲われたデ・キリコは、この「啓示」をきっかけに、歪んだ遠近法用いたり、脈絡のないモチーフを配置した広場や室内、マヌカン(マネキン)などを描き始める。わかりやすいモチーフや構図を使っていながらも、どこか現実離れした不穏で神秘的な雰囲気を醸し出すこれらの作品を、後に自ら「形而上絵画」と名付けたのだ。アーケードや長く伸びる影、雲ひとつないのに不穏な青空などを描いたイタリア広場のシリーズをデ・キリコは数多く描いている。この謎めいた作品群に、詩人で小説家、評論家のギヨーム・アポリネールや若きシュルレアリストたちはたちまち魅了されていった。《バラ色の塔のあるイタリア広場》1934年頃トレント・エ・ロヴェレート近現代美術館蔵(L.F.コレクションより長期貸与)(C) Archivio Fotografico e Mediateca Mart(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024《イタリア広場(詩人の記念碑)》1969年ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵(C) Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024第一次世界大戦勃発にともない、パリからイタリアのフェッラーラに移り住んだデ・キリコは、「形而上的室内」と呼ばれる室内空間を描くようになり、その後、マヌカンをモチーフにいた作品を生み出していく。《福音書的な静物Ⅰ》1916年大阪中之島美術館蔵(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024《形而上的なミューズたち》1918年カステッロ・ディ・リヴォリ現代美術館(フランチェスコ・フェデリコ・チェッルーティ美術財団より長期貸与)(C) Castello di Rivoli Museo d’Arte Contemporanea, Rivoli-Turin, long-term loan from Fondazione Cerruti(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024《予言者》1914-15年ニューヨーク近代美術館(James Thrall Soby Bequest)(C) Digital image, The Museum of Modern Art, New York / Scala, Firenze(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024同展では、各章の合間にデ・キリコの絵画以外の活動も紹介している。彫刻や舞台芸術においてもデ・キリコは精力的に活動を行っていた。展示風景よりデ・キリコによる彫刻群 (C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024バレエ『ブルネッラ』衣装1931年上演ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 20241920年代に入ると、徐々に古典主義的な表現を取り入れ始めるが、そのことに対して多くのシュルレアリストたちは反発し、デ・キリコと袂を分かつこととなる。第3章「1920年代の展開」、第4章「伝統的な絵画への回帰『秩序への回帰』から『ネオ・バロック』へ」では、デ・キリコの新しい表現、そして伝統的な絵画への回帰を取り上げる。左:《谷間の家具》1928年ナーマド・コレクション(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024右:《谷間の家具》1927年トレント・エ・ロヴェレート近現代美術館(L.F.コレクションより長期貸与)(C) Archivio Fotografico e Mediateca Mart(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024デ・キリコは1920代頃からルネサンス期の作品に、1940年代にはバロック期に傾倒し、自らの作品も西洋絵画の伝統的な様式へと回帰していく。《風景の中で水浴する女たちと赤い布》1945年ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵(C) Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024そして、最終章となる第5章「新形而上絵画」は、最晩年、1960年代後半以降について取り上げる。「形而上絵画」から始まり、古典絵画へと回帰していったデ・キリコは、その後、さらにそれまでの経験をふまえた「新形而上絵画」と呼ばれる新しい画風を切り開き、亡くなるまでの10年にわたって描き続けた。「新形而上絵画」では、かつての形而上絵画にあった寂しさや寂寥感は薄れ、よりいっそう謎めいた作品が増えている。《オデュッセウスの帰還》1968年ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団(C) Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024《瞑想する人》1971年ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団蔵(C) Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma(C) Giorgio de Chirico, by SIAE 2024若い時期に脚光を浴びながらも、そのスタイルに甘んじず、批判を浴びながらも自らの芸術を追求し続けてきたデ・キリコ。世界各地から集った約100点以上もの作品で、その画業を通覧できる貴重な機会だ。彼が作り出す不思議な世界をしっかりと目に焼き付けよう。取材・文・撮影:浦島茂世<開催概要>『デ・キリコ展』2024年4月27日(土)~8月29日(木)、東京都美術館にて開催公式サイト:チケット情報:()
2024年05月09日現在、東京駅エリアで開催中の展覧会を2つピックアップします。静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)の特別展「画鬼河鍋暁斎×鬼才松浦武四郎」と、アーティゾン美術館の「ブランクーシ本質を象る」です。それぞれのミュージアムショップで買えるユニークなグッズもご紹介!特別展「画鬼河鍋暁斎×鬼才松浦武四郎」展示室入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 332静嘉堂@丸の内で開かれている本展では、幕末明治期を生きた天才絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、探検家や著述家など多彩な才能を持つ松浦武四郎(1818~88)の二人にフォーカス。暁斎の絵画を中心に、武四郎が集めた古物などの文化財や資料も展示しています。河鍋暁斎は、7歳のとき絵師の歌川国芳に入門。さらに10歳で狩野派の絵師に師事し、40歳前後で絵師としての地位を確立。「画鬼」と呼ばれた絵師で、あらゆるものを描くことができ、出版物の挿絵から写実的な作品まで幅広く手がけ活躍しました。松浦武四郎は、蝦夷地(北海道)の調査を6回行った探検家で、北海道の名付け親としても知られています。明治新政府から開拓判官に任命されていましたが、政府の政策に反対して職を辞したあと、いっそう古物蒐集に情熱を注ぎました。武四郎は暁斎の画力を気に入り、自分の出版物に挿絵を依頼。さらに、本展の必見作で今では重要文化財になっている《武四郎涅槃図》も、武四郎が暁斎に注文して描いてもらったものです。中央:重要文化財 河鍋暁斎《武四郎涅槃図》明治19年(1886) 松浦武四郎記念館蔵プレス内覧会では、本展の企画を担当した静嘉堂文庫美術館学芸員の吉田恵理さんが、《武四郎涅槃図》について次のように解説しています。吉田さん本作品は、武四郎が存命中に自分自身をお釈迦様に見立てて河鍋暁斎に描かせた大胆不敵でユニークな絵画です。作品のなかでは、トレードマークの大首飾りをかけ、幸せそうな顔をして寝ている武四郎の姿が描かれています。武四郎の周りには、彼が集めた観音様のお像やさまざまな彫刻、人形なども描かれています。さらに、本作品のなかに登場する大首飾りや古物の一部も、今回一緒に展示しています。武四郎の理想の世界を存分にお楽しみください。欲しい…!《地獄極楽めぐり図》ステッカー河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》 明治2~5年(1869~72) 静嘉堂蔵 ※会期中場面替えあり本展では、河鍋暁斎の《地獄極楽めぐり図》も展示されています。本作は、日本橋の小間物問屋・勝田五兵衛の愛娘である田鶴(たつ)の追善供養のために描かれたもの。14歳で亡くなった少女が、地獄を見物したり、閻魔大王と宴会したりしながら極楽にたどり着く奇抜な物語です。現世と同じようにあの世でも楽しく過ごす少女の姿が生き生きと描かれた本作品は、暁斎の代表作のひとつです。《地獄極楽めぐり図》ステッカー 2種 各¥700静嘉堂のミュージアムショップでは、この《地獄極楽めぐり図》をモチーフにしたステッカーも販売中。「旅立ち~再会編」と「冥界見物~極楽往生編」の二種類あり、仏様に見守られながら極楽に向かう田鶴のさまざまな姿がステッカーになっています。小さなグッズですが、暁斎の鮮やかな色も再現され、画力の高さが感じ取れます。「ブランクーシ本質を象る」コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》1907-10年、石膏、石橋財団アーティゾン美術館蔵JR東京駅の八重洲中央口から徒歩5分で行けるアーティゾン美術館では、現在「ブランクーシ本質を象る」が開かれています。本展では、ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876~1957)の彫刻作品を中心に、絵画や写真作品も展示。ブランクーシ・エステートをはじめ、国内外から集められた作品約90点が紹介されています。20世紀彫刻を代表する作家のひとりであるブランクーシは、ブカレスト国立美術学校に学んだあとフランスに渡り、ロダンのアトリエで助手を務めます。しかし約一か月でロダンのもとを離れ、独自の造形を追求して前衛的な作品を生み出し、アメリカなどで高く評価されました。アーティゾン美術館学芸員の島本英明さんは、本展について次のように解説。島本さんブランクーシは、まとまった数の作品を集めるのが簡単ではないアーティストです。今回は国内外の美術館や機関、個人コレクターなどからお借りし、彫刻作品を23点揃えることができました。特に、早い時期の作品が充実しています。また、ブランクーシにとっては写真も大切な要素のひとつでした。彼は自分の作品を写真に撮り、創作を再解釈していました。会場では、彫刻を中心に、関連する写真や絵画をあわせて展示しています。かわいい…!モフモフ系ワンコのぬいぐるみアーティゾン美術館ミュージアムショップ美術館のミュージアムショップでは、本展のオリジナルグッズが充実。アーティゾン美術館が所蔵するブランクーシの傑作《接吻》のグラスやTシャツ、キーホルダーなどもあります。ぬいぐるみ¥1,650ちょっと変わり種のグッズは、モフモフ系ワンコのぬいぐるみです。これはブランクーシの愛犬をモチーフに製作されたもので、お顔もキュート。ブランクーシは「白」にこだわりがあったそうで、アトリエの床も壁も白く、自分の服装も愛犬も白でした。本展の会場では、彼のアトリエをイメージした展示室もあるので、ぜひそちらで「白」へのこだわりも体感してみてください。Information特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎『地獄極楽めぐり図』からリアル武四郎涅槃図まで」会期:2024年4月13日(土)~6月9日(日)場所:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)開館時間:10:00~17:00※土曜日は 18:00、第4水曜日は20:00 閉館※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、5月7日(火)※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館入館料:一般 ¥ 1,500、大高生 ¥ 1,000、中学生以下無料「ブランクーシ本質を象る」会期:2024年3月30日(土)~7月7日(日)場所:アーティゾン美術館(6階展示室)開館時間:10:00~18:00(5月3日を除く金曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日入館料:ウェブ予約チケット¥1,800円、窓口販売チケット¥2,000(予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます)学生無料(高校生以上要ウェブ予約)同時開催:石橋財団コレクション選(5・4階 展示室)特集コーナー展示清水多嘉示(4階 展示室)
2024年05月05日2024年5月12日(日)より、山種美術館では、『【特別展】犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで-』を開催する。古来、日本美術には様々な動物が登場してきたが、そのなかでも犬と猫が描かれた江戸時代以降の日本の絵画を紹介する展覧会だ。同展の見どころは、なんと言っても、犬と猫を描いた名作が集結することに尽きるだろう。なかでも注目したいのは、今回初公開となる《洋犬・遊女図屛風》(17世紀、江戸時代、個人蔵)。当時日本では珍しかった洋犬を遊女とともに描いた、極めて貴重な作品だ。その他、琳派の祖・俵屋宗達や、奇想の系譜で有名な伊藤若冲、長沢芦雪らが描いた、ころころとかわいらしい仔犬の図、また愛猫家で有名な浮世絵師・歌川国芳やエコール・ド・パリの画家・藤田嗣治による、美女と猫の作品なども紹介。《洋犬・遊女図屛風》17 世紀(江戸時代) 個人蔵さらに自らの愛犬ムクとモルをモデルにした川端龍子の《立秋》《秋縁》(ともに大田区立龍子記念館蔵)、大人気の現代作家・山口晃の、鶴を捕獲しようと画策する猫たちの姿をユーモラスにあらわした《捕鶴圖》(山種美術館蔵)など、バラエティ豊かな作品が展示される。川端龍子《立秋》1932(昭和 7)年大田区立龍子記念館蔵また山種美術館のレジェンド猫といえば、竹内栖鳳の《斑猫》【重要文化財】(山種美術館蔵)だが、本作は子犬たちが無邪気にじゃれ合う長沢芦雪の《菊花子犬図》(個人蔵)とともにスマートフォンでの撮影が可能。この機会にぜひ、かわいい名品を自身のスマホに収めたい。その他特集展示として、菱田春草の初公開作品《柏二小鳥》を筆頭に、横山大観や上村松園の花鳥画の名品も紹介する。日本人がいかに古くから動物に親しみ、愛してきたかがわかる同展は、アートファンはもちろん、犬や猫をはじめとする動物好きの心を、一瞬にして溶かしてしまうに違いない。<開催概要>『【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―』会期:2024年5月12日(日)~7月7日(日) ※会期中展示替えあり会場:山種美術館休館日:月曜時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)料金:一般1,400円、大高1,100円※きもの割引あり公式サイト:
2024年04月30日近鉄グループの文化事業である「松伯美術館」では、開館30周年を記念して、2024年5月18日(土)から7月15日(月・祝)まで松伯美術館開館30周年記念特別展「文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之展」を開催します。上村松園は格調高い美人画で1948年に女性として初めて文化勲章を受章しました。松園の息子・松篁は花鳥画の世界で新たな日本画表現を切り開き、1984年に同章を受章。そして、花鳥画を通して東洋独自の絵画空間を追求してきた松篁の長男・淳之が2022年に同章を受章しました。日本画の分野で三代にわたり文化勲章を受章した事例はこれまでにない空前の快挙です。松園、松篁、淳之はそれぞれ描く対象や画風は異なりますが、日本画ならではの美を追い求める情熱や根底にある美意識は受け継がれてきています。本展では、3人の画業を振り返り、他館所蔵作品も含め、それぞれの名品約60点を一堂に展観します。特に上村松園の作品(本画)については、「月蝕の宵」(大分県立美術館蔵)など当館で初めて展示する作品も含め、すべて他館所蔵作品です。本展開催期間中にご来館いただいた皆さまに、開館30周年記念クリアファイルをプレゼントします。詳細は別紙のとおりです。上村松園「月蝕の宵」大正5年(1916)大分県立美術館蔵艶やかな着物を来た女たちが月蝕を鏡に映して楽しんでいる。著作にも繰り返し取り上げられており、松園自身にとっても思い出深い作品と思われる。別紙1. 名 称 松伯美術館開館30周年記念特別展 文化勲章 三代の系譜 上村松園・松篁・淳之展2. 開催期間 2024年5月18日(土)~2024年7月15日(月・祝)3. 主 催 公益財団法人 松伯美術館、読売新聞社4. 会 場 松伯美術館5. 休 館 日 月曜日(ただし、7月15日は開館)6. 開館時間 午前10時00分~午後5時00分(入館は午後4時00分まで)7. 入 館 料 大人〔高校生・大学生を含む〕1,400円、小・中学生700円・20名以上は団体割引(入館料1割引)・障がい者手帳のご提示によりご本人と同伴者1名まで入館料2割引8. 展示作品数 約60点9. 主な展示作品 ※作品名に下線のあるものは当館初展示●上村松園【通期展示】「月蝕の宵」大分県立美術館蔵、「静」東京国立近代美術館蔵、「初雪」大川美術館蔵 ほか【5/18~6/16展示】「青眉」吉野石膏コレクション、「春さめ」大分県立美術館蔵 ほか【6/4~6/16展示】 「夕暮」京都府立鴨沂高等学校蔵(京都府文化博物館管理)【6/18~7/15展示】「砧」山種美術館蔵、「美人詠哥」吉野石膏コレクション ほか●上村松篁【通期展示】「蓮」・「熱帯花鳥」・「真鶴」・「松虫草」松伯美術館蔵 ほか【5/18~6/16展示】「杜若」神奈川県立近代美術館蔵、「閑庭迎秋」松伯美術館蔵【6/18~7/15展示】「池」京都市美術館蔵●上村淳之【通期展示】「秋映」・「双鶴」松伯美術館蔵、「十二支」京都花鳥館蔵、「月の水辺」個人蔵 ほか【5/18~6/16展示】「憩」松伯美術館蔵【6/18~7/15展示】「雁金」 京都市美術館蔵10. その他 本展覧会開催期間中、ご入館の皆さまに開館30周年記念クリアファイルをプレゼントします。※お一人様一部、無くなり次第、終了。以 上《参考画像》上村松園「静」昭和19年(1944)東京国立近代美術館蔵上村松園「青眉」昭和9年(1934)吉野石膏コレクション上村松園「砧」昭和13年(1938)山種美術館蔵上村松篁「杜若」昭和53年(1978)神奈川県立近代美術館蔵上村淳之「十二支 辰」平成18年(2006)京都花鳥館蔵《参考》〇松伯美術館について松伯美術館は、上村松篁・淳之両画伯からの作品の寄贈と近畿日本鉄道株式会社(現 近鉄グループホールディングス株式会社)からの基金出捐により1994年3月に開館した。当美術館では、上村松園・松篁・淳之三代にわたる作品、下絵、写生等、美術資料の収集と保管、展示を通じ、三代の画業を紹介することを目的としている。また、広く日本画の普及、作家の育成を図るため、特別展、公募展等も開催している。○当館の名称の由来「松」は、松園・松篁両画伯の名前と、美術館所在地である故佐伯勇近鉄名誉会長旧邸の庭に植えられている百数十本の松に、「伯」は、画伯の伯と佐伯氏の伯あるいは邸内の茶室の号、「伯泉亭」に由来するものである。また「松伯(しょうはく)」の音は、常磐木である「松柏」にも通じるようにとの意味が込められている。松伯美術館 (外観)※大渕池の対岸から臨む。【開館時間】 10時~17時(入館は16時まで)【休館日】 月曜日、年末年始、展示替期間【電話番号】 0742-41-6666【所在地】 〒631-0004 奈良市登美ヶ丘2丁目1番4号【館長】 上村 淳之【所蔵作品数】上村松園・松篁・淳之の作品 約600点 ほか●上村松園明治8年(1875)~昭和24年(1949)京都に生まれる。鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事。1948年、女性として初めての文化勲章を受章。京都の風俗、歴史、謡曲の物語等に取材した気品ある格調高い女性像を描く。●上村松篁明治35年(1902)~平成13年(2001)京都に生まれる。母は上村松園。京都市立絵画専門学校に学び、西山翠嶂に師事。1948年、日本画団体「創造美術」の結成に参加。1984年、文化勲章受章。近代的造形、色彩感覚を取り入れた花鳥画で知られる。●上村淳之昭和8年(1933)〜京都に生まれる。父は上村松篁。京都市立美術大学に学び、在学中より新制作協会展に入選。以後、同展及び創画展を中心に作品を発表する。東洋独自の空間表現を模索しながら花鳥画の新しい展開を求め研鑽を重ねている。2022年文化勲章を受章。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月26日企画展「長崎県美術館・三重県立美術館コレクション 果てなきスペイン美術 — 拓かれる表現の地平」が、長崎県美術館にて、2024年5月22日(水)から7月7日(日)まで開催される。その後、三重県立美術館に巡回する。スペイン美術の特徴と魅力長崎県美術館と三重県立美術館は、日本では数少ない、スペイン美術をコレクションの軸のひとつとしている美術館だ。企画展「長崎県美術館・三重県立美術館コレクション 果てなきスペイン美術 — 拓かれる表現の地平」では、両館のコレクションから100点以上の作品を選りすぐり、スペイン美術の特徴と魅力を紹介する。長崎県美術館と三重県立美術館のスペイン美術コレクション長崎県美術館と三重県立美術館のスペイン美術コレクションは、互いに特色が異なっている。長崎県美術館が、中世から現代までのスペイン美術作品を多数収蔵しているのに対して、三重県立美術館は、バルトロメ・エステバン・ムリーリョやフランシスコ・デ・ゴヤといった古典絵画ばかりでなく、バレンシアの現代作家による作品を加えた、独自のコレクションを形成してきた。スペインでは、古来より豊かな芸術文化が育まれてきたものの、日本国内では、主にゴヤ、パブロ・ピカソやサルバドール・ダリといった巨匠に焦点が合わせられ、スペイン美術の展開を紹介することを主眼とした展覧会は少なかった。本展では、両館が誇る2つのスペイン美術コレクションを通して、スペイン美術史をひもといてゆく。キリスト教の精神全5章からなる本展は、スペインの美術史を読み解くためのキーワードによって、各章を構成している。たとえば、第1章「宗教 —神秘なるものへの志向」では、スペインで信仰されてきた宗教のうち、キリスト教に着目。ムリーリョの《アレクサンドリアの聖カタリナ》や、フアン・カレーニョ・デ・ミランダの《聖アンナ、聖ヨアキム、洗礼者聖ヨハネのいる聖母子》といった作品とともに、スペインの芸術文化に底流するものに光をあてる。芸術における“光と闇”また、第4章は、「光と影」がキーワード。スペインの歴史を顧れば、スペイン帝国の栄華と衰退などに見るように、光と影を思わせる両面性を見て取ることができる。こうした社会の明暗に対峙するなか、芸術においても光と闇をテーマに制作を深めた作家が存在した。会場では、ゴヤを中心に、こうした芸術家の活動を紹介する。展覧会概要企画展「長崎県美術館・三重県立美術館コレクション 果てなきスペイン美術 — 拓かれる表現の地平」会期:2024年5月22日(水)~7月7日(日)会場:長崎県美術館 企画展示室住所:長崎県長崎市出島町2-1開館時間:10:00~20:00(入場は19:30まで)休館日:5月27日(月)、6月10日(月)・24日(月)観覧料:一般 1,200円(1,000円)、大学生・70歳以上 1,000円(800円)、高校生以下 無料※( )内は前売および15名以上の団体割引料金※前売券は、4月27日(土)から5月21日(火)まで、長崎県美術館、チケットぴあ(Pコード 686-921)、ローソンチケット(Lコード 84605)、セブンチケット(セブン-イレブン)、CNプレイガイド(ファミリーマート)、イープラスほかにて販売※身体障害者手帳などの提示者および介護者1名は5割減額※会期中、本展観覧券でコレクション展にも入場可能■巡回情報・三重会場会期:2024年7月20日(土)~9月29日(日)会場:三重県立美術館(三重県津市大谷町11)【問い合わせ先】長崎県美術館TEL:095-833-2110
2024年04月22日本物そっくりのカラフルで精巧なクリームやキャンディ、フルーツなどを用いたインスタレーションや現代アート作品を制作する作家、渡辺おさむの展覧会「お菓子の美術館~渡辺おさむ スイーツアート in 氷見~」を5月3日(金)から氷見市芸術文化館【富山県氷見市】にて開催いたします。チョコレートの館■北陸で初開催!お菓子を口にしたときのような、幸せな気分になれる美術展渡辺おさむは、樹脂などを材料に本物そっくりに作られた“スイーツ”を使い、デコレーションするスイーツデコの技術をアートに昇華させた現代美術作家です。本展では、思わず食べたくなるようなホイップクリームやマカロン、キャンディなどカラフルな“スイーツ”を用いて、3mのお菓子のメリーゴーラウンドや4m50cmのお菓子のドラゴン、全長25mのお菓子の水族館など、壮大なスケールの作品を展開します。また、プロの舞台照明チームにより、より作品の世界に没入できるような演出が随所に施されており、夢の世界へ迷い込んだような、圧倒的なファンタジー空間をお楽しみいただけます。お菓子のメリーゴーラウンド■関連イベント●渡辺おさむギャラリートーク日時:5月3日(金・祝)・5月11日(土) 11時~/14時~費用:無料(要観覧券) 予約不要●渡辺おさむワークショップ 「富山名物・細工かまぼこを作ろう」日時 :5月4日(土) 11時~/14時~場所 :交流室1・2 ※参加には展覧会入場券が必要です参加費:1,500円【定員:各回 25名】富山の定番といえば【富山名物・細工かまぼこの鯛】!渡辺おさむさんと一緒に樹脂を用いて、可愛い鯛かまぼこのデコアートを体験しましょう!お申し込みは TEL:0766-30-3430 氷見市芸術文化館まで●フォトスポットラリー【会場内で毎日開催】展覧会の会場内にあるフォトスポットをめぐって撮影しよう!出口でスタッフに画像を提示された方にはプチプレゼントをお渡しします。●ぬりえコンテスト【会場出口エリアで毎日開催】「お菓子の美術館」オリジナルイラストが描かれた用紙を会場出口で配布します。カラフルに彩って提出してくれた方全員にプチプレゼントをお渡しします。また、後日審査のうえ優秀作品に選ばれた方には賞品を進呈します。※提出されたイラストは館内に掲示し、優秀作品は芸術文化館SNSで後日発表します。●氷見市芸術文化館 公式LINEお友達登録キャンペーン【会場内で毎日開催】氷見市芸術文化館の情報をお伝えする公式LINEに登録してくださった方にプチプレゼントをお渡しします。●氷見市芸術文化館 インスタグラムフォロー&投稿キャンペーン【会場内で毎日開催】氷見市芸術文化館の情報をお伝えする公式インスタグラムをフォローして、投稿してくださった方にプチプレゼントをお渡しします。氷見市芸術文化館ホームページ ■渡辺おさむ氏コメントこの度は、能登半島地震において被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。新年に震災のニュースを目にし、展覧会を開催すべきなのか迷いましたが、長い復興の道のりの中で、どこかで芸術が人々に生きる力と感動を与えてくれるはずだと思い、今こそ自分の持てる力を集結させ、夢のあるお菓子の美術館をつくりあげたいと思い、多くの方々の協力を経て本展開催となりました。作品の世界は夢のある世界でありたいと考えています。この展示場所は舞台も兼ねており、プロの舞台照明チームと共にファンタジーの世界に没入できるような演出も計画しており、これまでにない試みですが、手応えを感じています。ご来場いただいた皆様の楽しい思い出の1ページとなりましたら幸いです。■渡辺おさむについて渡辺おさむ(わたなべ おさむ)/2003年東京造形大学デザイン学科卒。スイーツデコの技術をアートに昇華させた第一人者として「東京カワイイTV」(NHK)や「徹子の部屋スペシャル」(テレビ朝日)などにもとりあげられる。本物そっくりのカラフルで精巧なスイーツアート作品は、国内はもとより世界各国でも話題を呼んでいます。国内では、清須市はるひ美術館「渡辺おさむ お菓子の美術館」(愛知県)、防府市地域交流センター アスピラート「渡辺おさむ展 Sweets Wonderland-お菓子の遊園地-」(山口県)などで開館以来動員人数過去最高記録を更新してきました。渡辺おさむホームページ: ■開催概要会期 :2024年5月3日(金・祝)~2024年5月30日(木)※会期中無休時間 :10時~17時(最終入場:16時30分)土曜日のみ 10時~19時(最終入場:18時30分)会場 :氷見市芸術文化館〒935-0021 富山県氷見市幸町31番9号観覧料 :【一般】 前売券1,000円(当日券1,200円)【高校・大学生】当日券のみ800円【中学生以下】 無料主催 :氷見市文化振興財団、氷見市、氷見市教育委員会、富山新聞社、北國新聞社、北日本放送後援 :富山県、富山県教育委員会、富山県私立幼稚園・認定こども園協会、とやま観光推進機構、氷見市自治振興委員連合会、氷見商工会議所、氷見市観光協会、FMとやま協力 :渡辺おさむアトリエ、氷見まちづくり、氷見菓子工業組合、富山県洋菓子協会、石川県洋菓子協会企画協力:M&M Color 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年04月19日20世紀初頭に「形而上絵画(けいじじょうかいが)」と後に自らが名づけた謎めいた作品群を発表して、シュルレアリスム運動に多大な影響を与えた画家ジョルジョ・デ・キリコ(1888−1978)。その70年に及ぶ画業を展観する大回顧展が、4月27日(土)から8月29日(木) まで、上野の東京都美術館で開催される。「形而上学」は古代ギリシャに始まる哲学だが、デ・キリコの「形而上」は哲学というよりも、「日常の奥に潜む非日常」を指す言葉として使われていたそうだ。イタリア人の両親のもとギリシャで生まれ、ドイツでニーチェなどの哲学や象徴主義の絵画などから影響を受けたデ・キリコは、パリに滞在した1910年頃から、簡潔明瞭な構成で広場や室内を描きながらも、歪んだ遠近法や脈絡のないモティーフの配置、独特の幻想的な雰囲気によって、「日常の奥に潜む非日常」を描き出したのだった。《「ダヴィデ」の手がある形而上的室内》 1968年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団 © Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024ダリやマグリットなどシュルレアリストに大きな衝撃を与えつつも、やがて伝統的な絵画技法に対する関心をより深めたデ・キリコは、古典絵画の様式へと回帰し、シュルレアリストたちと袂を分かつこととなる。その一方で、自身の以前の形而上絵画の題材を取り上げた作品も頻繁に制作し、また後年には、これまでの創作を統合した「新形而上絵画」と呼ばれる作品の制作も行った。同展は、そうした複雑な歩みを見せたデ・キリコの初期から晩年までの絵画を余すところなく紹介するものだ。画業を代表する「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分けて、それぞれの初期の代表作から後年の展開へとたどることで、時代ごとの作品を比較しつつ、デ・キリコ芸術の全体像に迫る構成となっている。《瞑想する人》 1971年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団 © Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024同展の出品作品は100点以上に及ぶ。とりわけ評価の高い初期の形而上絵画は世界の名だたる美術館に収蔵されており、集めるのが難しいものだが、今回はその稀少作が充実しているのも見どころのひとつ。また、絵画のみならず、彫刻や挿絵、舞台美術に関わる作品の展示もあり、長いキャリアの中で展開された幅広い創作活動にもふれることができる。日本では10年ぶりとなるこの大規模な回顧展で、デ・キリコが生み出した謎と不思議に満ちた世界を心ゆくまで堪能したい。<開催概要>『デ・キリコ展』会期: 2024年4月27日(土)~8月29日(木)会場:東京都美術館時間:9:30~17:30、金曜は20:00まで(入室は閉室30分前まで)休室日:月曜(4月29日、5月6日、7月8日、8月12日は開室)、5月7日(火)、7月9日(火)~16日(火)料金: 一般 2,200円 大学1,300円、65歳以上 1,500円公式サイト:※土日祝、8月20日(火)以降は日時指定予約制(当日空きがあれば入場可)チケット情報:()
2024年04月16日展覧会「マツオヒロミ展 ~レトロモダンファンタジア~」が東京・弥生美術館にて、2024年6月30日(日)まで開催される。レトロモダンな世界を描くイラストレーター・マツオヒロミマツオヒロミは、レトロモダンな世界を美麗に描いた作品で人気のイラストレーター。色香を湛えた女性像をはじめ、衣装・装飾品・建物・ロゴなど、画面の隅々にまでレトロで和モダンな世界観を詰め込んでいる。マツオヒロミは、明治・大正・昭和初期を主に作品の舞台に取り上げており、作画の際には徹底的な資料研究を重ねた上、独自のアレンジを加えているのが特徴だ。マツオヒロミ初の東京での個展展覧会「マツオヒロミ展 ~レトロモダンファンタジア~」は、そんなマツオヒロミの東京初個展となる。会場では、8ページ程度のショート漫画を描くマツオヒロミならではのイラストレーションに漫画を添えたコミック&イラストの作品や、最新作を展示する。たとえば、創刊100周年を迎える女性誌『ロンド』という設定で、記事や広告、関わった人々のエピソードを描いた近著『マガジンロンド』の中から、1922年の創刊号から2022年の最新刊まで『ロンド』の“実物”がずらりと並ぶ。マツオヒロミと弥生美術館がタッグを組み、実物の制作を行っているそう。作中の百貨店や古書店を再現また、代表作の『百貨店ワルツ』で描かれた三紅百貨店を展示室内に再現。1階服飾雑貨部、2階美粧部、3階呉服部といったエリアが再現され、作品世界への没入体験が可能だ。加えて、『マガジンロンド』のヒロイン・ジンノがオーナーをつとめる古書店「ル・ソレイユ」の再現も。創作のヒントとなった弥生美術館収蔵資料も併せて展示される。【詳細】「マツオヒロミ展 ~レトロモダンファンタジア~」会期:2024年4月6日(土)~6月30日(日)会場:弥生美術館 1階~2階住所:東京都文京区弥生2-4-3休館日:月曜日、5月7日(火)※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)料金:一般 1,000円、大高生 900円、中小生 500円※竹久夢二美術館にて同時開催される「夢二がえがく動物ワンダーランド ~大正ロマンのイラスト&デザインを中心に~」と2館あわせて鑑賞可能。【問い合わせ先】弥生美術館TEL:03-3812-0012
2024年04月15日2024年4月27日(土)より、大阪のあべのハルカス美術館では、『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』を開催する。尾張徳川家の至宝を保存・公開している名古屋市、徳川美術館のコレクションより、尾張徳川家の歴史と華やかな大名文化を紹介する展覧会だ。徳川将軍家に連なる御三家の筆頭格で、諸大名の中でも最も高い格式を誇っていた尾張徳川家。家康の九男・義直(1600-50)が創始して以来、この家系には、家康の遺品「駿府御分物(すんぷおわけもの)」をはじめ、歴代当主や夫人たちの遺愛品など一万件余りが伝えられてきた。その精華を紹介する同展では、まず第一章「尚武」で、武家の象徴として大切に守り伝えられてきた、甲冑や刀剣など格式ある「いくさ道具」を紹介。大阪落城で焼けるも再刃された、刀剣ファンに人気の《脇指銘吉光名物 鯰尾藤四郞》も大阪に帰省する。《脇指銘吉光名物 鯰尾藤四郞》、鎌倉時代 13世紀第二章の「清雅」では、大名が礼法や教養として求め られた茶・能・香といった文化的な側面に焦点を当てる。また第三章「求美」では、大名やその家族が「奥」と呼ばれるプライベートな空間で、趣味や教養を高めるために使用した「奥道具」の数々を展示。第四章「至宝」では、現存最古の源氏絵の遺例である国宝「源氏物語絵巻」と、三代将軍家光の長女・千代姫の婚礼調度、国宝「初音の調度」を紹介する。国宝《初音蒔絵旅櫛箱》江戸時代 寛永16年(1639) ※展示期間:4/27~5/26なお、「源氏物語絵巻」は《竹河(一)》《早蕨》《宿木(三)》《東屋(二)》の四場面を、それぞれ約2週間ずつ、「初音の調度」は《初音蒔絵旅櫛箱》と《胡蝶蒔絵掛硯箱》を、約一カ月ずつ展示する。作品や期間については変更する場合もあるので、展示スケジュールは講演会などの関連イベントの詳細と合せて、美術館ホームページで確認を。<開催概要>『徳川美術館展 尾張徳川家の至宝』会期: 2024年4月27日(土)~6月23日(日)※会期中、展示替えあり会場:あべのハルカス美術館時間:10:00~20:00、月土日祝は18:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日: 5月7日(火)、5月27日(月)料金:一般1,800円、大高1,400円、中小500円公式サイト:
2024年04月11日三鷹の森ジブリ美術館では、宮崎駿監督作『君たちはどう生きるか』の新企画展示が5月25日(土)からスタートする。新展示は、“第二部レイアウト編”と題され、レイアウトを、200点あまり展示する。レイアウトとは、そのカットの背景やキャラクターの位置関係、動きの指示、カメラワークなどが書き込まれた、アニメーションの設計図。本作では、原画担当のアニメーターによって描かれ、宮崎監督と作画監督が確認・修正。製作過程で描かれた絵のほとんどが、紙に鉛筆と絵の具で描かれているという意味において、近年では稀な手描きアニメーション作品。本企画展示では、製作過程において描かれた絵をそのまま展示し、手描きの表現の豊かさと、カットにこめられた力と思いが感じられる展示を目指しており、3期にわたり、展示物を半年ごとに全て入れ替えて公開中だ。新企画展示「君たちはどう生きるか」展第二部レイアウト編は5月25日(土)~11月10日(日)三鷹の森ジブリ美術館にて開催予定。(シネマカフェ編集部)■関連作品:君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibli
2024年04月10日箱根ガラスの森美術館では、2024年初夏所蔵作品展「ヴェネチアン・グラスと祝祭の都」を、2024年4月27日(土)から7月15日(月)まで開催する。祝祭にふわさしい華やかなヴェネチアン・グラス16世紀頃のヴェネチア共和国は、絹織物や陶磁器、香辛料など、さまざまな物品が海上交易によって運び込まれるなど、東地中海の覇者として君臨していた。しかし海は、莫大な富をもたらすばかりでなく、制海権をめぐる争いやペストの流行など、災厄をも招き入れる存在であった。こうした困難から立ち上がるためにヴェネチアが選んだ方法が、祝祭である。海上支配を宣言する「海との結婚」、ペスト終息に感謝を捧げる「レデントーレ祭」や「サルーテ教会祭」、歓楽の都として有名となる契機となった「カーニバル(謝肉祭)」など、祝祭は国家をまとめる政治手段でもあったのだ。これらの祝祭は、形を変えつつも現在まで続いている。2024年初夏所蔵作品展「ヴェネチアン・グラスと祝祭の都」では、箱根ガラスの森美術館の所蔵作品より、ヴェネチアの祝祭にふわさしい華やかなヴェネチアン・グラスを公開。あわせて、写真家・坪谷隆によるヴェネチアン・カーニバルの写真作品も展示する。展覧会概要2024年初夏所蔵作品展「ヴェネチアン・グラスと祝祭の都」会期:2024年4月27日(土)~7月15日(月) 会期中無休会場:箱根ガラスの森美術館住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48開館時間:10:00〜17:30(入館は17:00まで)入館料:大人 1,800円、高校・大学生 1,300円、小・中学生 600円、65歳以上 1,700円【問い合わせ先】箱根ガラスの森美術館TEL:0460-86-3111
2024年04月05日新潟市美術館にて、企画展「もしも猫展」が2024年4月13日(水)から6月2日(日)まで開催される。江戸時代の“擬人化”表現に迫る以前にも名古屋市博物館や京都文化博物館にて開催された「もしも猫展」。本展の主軸となるのは、猫を“擬人化”したり、逆に役者を猫の顔に見立てたりした作品で知られる浮世絵師の歌川国芳だ。そんな歌川国芳による猫を題材とした作品を中心に、江戸時代から明治時代にかけての擬人化表現の魅力に迫る。擬人化表現を読み解くうえでのポイントのひとつは、作品が“パロディの一種”となっていること。擬人化作品は、当時の人々に広く知られた伝承や、世間を騒がせた話題などをもとに制作されることがある。そのような作品と、元のイメージとを見比べることで、擬人化表現の魅力を再発見することができる。また、1841年(天保12)、歌川国芳による《猫の百面相》という団扇絵が流行。実在する歌舞伎役者を、猫に見立てて描くという趣向は、当時の新機軸となった。会場では、「もしも、あの有名人が猫になったら?」などユーモアの溢れるアイデアと、国芳ならではの観察力や的確な表現力によって展開される作品が紹介される。このほか、山東京山と歌川国芳によって制作された合巻『朧月猫の草紙』や、国芳が擬人化猫作品を集中的に描き始めた頃の作例を展示する。【詳細】「もしも猫展」会期:2024年4月13日(土)~6月2日(日)時間:9:30~18:00休館日:月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)、5月7日(火)場所:新潟市美術館 企画展示室住所:新潟県新潟市西大畑町5191-9料金:〇前売・一般 1,200円・オリジナルポストカード付前売券 1,300円〇当日・一般 1,400円・大・高校生 1,000円・中学生以下 無料<前売券情報>販売期間:2024年2月22日(木)~4月12日(金)販売場所:セブン-イレブン(セブンチケット、セブンコード103-953)、ローソン(Lコード:35682)、インフォメーションセンターえん(メディアシップ1階)、万代シティビルボードプレイス(2階サービスデスク)、新潟県立万代島美術館ミュージアムショップ、新潟市美術館、新潟市新津美術館※会期中、一部作品の場面替えがある。※観覧券販売は、閉館30分前までとなる。【問い合わせ先】新潟市美術館TEL:025-223-1622
2024年04月02日企画展「大地に耳をすます気配と手ざわり」が、東京都美術館にて、2024年7月20日(土)から10月9日(水)まで開催される。自然と関わりつつ制作を行う現代作家に着目企画展「大地に耳をすます気配と手ざわり」は、自然に深く関わりつつ制作を行う5人の現代作家、榎本裕一、川村喜一、倉科光子、ふるさかはるか、ミロコマチコを紹介する展覧会だ。写真、木版画、油彩画、水彩画、インスタレーションなど、さまざまな作品を通して、自然と人の関係性に光をあててゆく。たとえは、榎本裕一は、2018年より北海道の根室にもアトリエを構え、冬の景色をモチーフに制作を行ってきた。近年取り組んでいるのが、アトリエ近くの自然の光景が偶然に織りなす形に着想した作品。一見すると抽象画のように思える油彩画は、よく見れば風景が浮かび上がるものとなっている。本展では、雪の湖面を表す新作などを展示する。また、ふるさかはるかは、青森で自然とともに生きる人々に取材を重ねつつ活動。自身が採取した土や、自ら育てた藍から絵具を作り、木の形や木目を活かして版木を手がけるなど、自然と関わる手仕事としての木版画に取り組んでいる。本展では、取材地の漆を使った大きな木版画を制作し、会場の空間に合わせた展示を展開する。本展の作品は、未開の大自然ではなく、自然と人の暮らしが重なる場で育まれたものだ。そこには、生命の輝きや自然の驚異ばかりでなく、都市生活では希薄になりやすい、人の力の及ばない自然への畏怖と敬意をも感じることができるだろう。展覧会概要企画展「大地に耳をすます気配と手ざわり」会期:2024年7月20日(土)~10月9日(水)会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C住所:東京都台東区上野公園8-36開室時間:9:30~17:30(金曜日は20:00まで)※入室はいずれも閉室30分前まで休室日:月曜日(8月12日(月・振)、9月16日(月・祝)・23日(月・振)は開室)、9月17日(火)・24日(火)観覧料:一般 1,100円、大学生・専門学校生 700円、65歳以上 800円、高校生以下 無料※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳の所持者および付添者(1名まで)は無料(証明できるものを要提示)※同時期開催の特別展「デ・キリコ展」「田中一村展奄美の光 魂の絵画」のチケットを提示することで、各料金より300円引き■出品作家榎本裕一、川村喜一、倉科光子、ふるさかはるか、ミロコマチコ【問い合わせ先】東京都美術館TEL:03-3823-6921
2024年04月02日弘前れんが倉庫美術館では、写真家・映画監督の蜷川実花(にながわ みか)氏と、クリエイティブチーム・EiM(えいむ)との協働による大規模な個展「蜷川実花展 with EiM:儚(はかな)くも煌(きら)めく境界 Where Humanity Meets Nature」を開催します。本展では、EiMとともに作りあげるインスタレーション作品のほか、蜷川実花氏が弘前で撮影した桜をはじめとした、日本各地の花々を捉えた作品を紹介します。本展は、弘前れんが倉庫美術館を含む青森県内5つの美術館・アートセンターが連携して実施する「AOMORI GOKAN アートフェス2024」のメイン企画の一つとして開催されます。開催概要開催期間:2024年4月6日(土)~2024年9月1日(日)時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)休館日:火曜日※4月23日(火)、30日(火)、8月6日(火)は開館観覧料(税込):一般1,500円(1,400円)大学生・専門学校生1,000円(900円)※()内は20人以上の団体料金※弘前市民は上記料金から500円引き(他の割引との併用不可・住所を確認できるものの提示が必要)※以下の方は無料(住所や年齢などを確認できるものの提示が必要)高校生以下の方/弘前市内の留学生の方/満65歳以上の弘前市民の方/ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方/障がいのある方と付き添いの方1名場所:弘前れんが倉庫美術館〒036-8188青森県弘前市吉野町2-1TEL :0172-32-8950●展覧会の見どころ弘前市には、国内に現存する最古級のソメイヨシノをはじめとした約2,600本の桜の木を擁する桜の名所、弘前公園があります。蜷川実花氏は2022年から、桜の開花に合わせて弘前を訪れ継続的に撮影を行なっています。これまでさまざまな花を撮影してきた蜷川実花氏は、花の中でも桜をとりわけ特別な存在だと語ります。蜷川実花氏が感じる桜の魅力とは、短い間に姿を変える儚さであり、本展でご紹介する弘前の桜を撮影した作品群にも、刻一刻と変化する桜の一瞬の姿が収められています。また、蜷川実花氏がEiMと作りあげる大型作品≪残照≫と映像を組み合わせた新作インスタレーションは、美と儚さ、一時性と永遠性といった、相反する要素が共存するように構成された作品で、鑑賞する角度によってその表情が大きく異なります。歴史ある煉瓦倉庫の空間と共鳴する蜷川作品の魅力を体感いただけます。●同時開催【弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考(しらかみのぞきみこう)』】弘前れんが倉庫美術館では、弘前ゆかりのアーティスト等に地域の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込んでもらうことを目指して、作品制作や調査研究のほか、地域コミュニティと関わるプロジェクト「弘前エクスチェンジ」を開催しています。「白神覗見考」は、白神山地をテーマに実施するリサーチ・プロジェクトで、狩野哲郎(かのう てつろう)氏、佐藤朋子(さとう ともこ)氏、永沢碧衣(ながさわ あおい)氏、L PACK.(えるぱっく)の4組のアーティストたちが、それぞれの視点で作品展示をはじめ、ワークショップやトークイベントなどを実施します。●AOMORI GOKAN アートフェス2024青森県内にある現代美術を楽しめる5つの美術館とアートセンター(青森県立美術館、青森公立大学国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)では、2024年4月13日(土)から9月1日(日)まで「AOMORI GOKAN アートフェス2024」を開催します。「つらなりのはらっぱ」を共通のテーマに、展覧会、イベントなどさまざまなプログラムが各館で展開されます。(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2024年03月28日20世紀前半までの西洋美術を収蔵・展示してきた国立西洋美術館で、現代アーティストとの初の大規模なコラボレーション展『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問 | 現代美術家たちへの問いかけ』が3月12日(火) に開幕した。小沢剛、長島有里枝、ミヤギフトシら21組が参加し、5月12日(日) まで開かれている。国立西洋美術館は、第二次世界大戦後にフランス政府から寄贈返還されることになった松方コレクションを収蔵、展示する施設として1959年に設立された。実業家・松方幸次郎が日本の若い画家たちに「本物の西洋美術を見せたい」と収集された西洋美術コレクション。戦後に国立西洋美術館の創設に協力した当時の美術家連盟会長の安井曾太郎は〔松方コレクションの〕「絵がもし返ってきた時、誰が一番これの恩恵を受けるんですかと、それは日本国民全部かもしれんけども直接的には我々美術家じゃありませんか」との思いを表明していた。つまり、未来を生きるアーティストに資するためにこの美術館ができたのではないか。開館から65年目を迎え、「国立西洋美術館は、未来のアーティストたちが生まれ育つ場所となりえてきたのか」という自問を込めてこの展覧会はつくられた。3月11日に開かれた記者内覧会で、同展を企画した国立西洋美術館主任研究員の新藤 淳は「作家の皆さんの熱量を持った反応によってこの展覧会は成り立っています」と感謝を述べた。記者内覧会。国立西洋美術館主任研究員の新藤 淳(中央)と出展作家たち展覧会は0章〜7章と「反-幕間劇」で構成。同館設立の資料を展示した0章をはじめ、多大な文脈から編まれている。印象に残る作品をいくつか紹介したい。第1章「ここはいかなる記憶の磁場となってきたか?」は、所蔵作品と現代作家の対話のような展示だ。同館が所蔵するポール・セザンヌの油彩画と、その作品を見た内藤礼の新作絵画。一見、白い色面のような内藤作品はじっと見ていると色彩が浮かんでくる。また、同館で開催された1974年の「セザンヌ展」や1981年の「モーリス・ドニ展」に触発されたという批評家で画家の松浦寿夫も独自の絵画で応答している。左から、ポール・セザンヌ《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》1885-86年、内藤礼《color beginning》2022-23年左から、ポール・セザンヌ《ポントワーズの橋と堰》1881年、松浦寿夫《キプロス》2022年続く第2章「日本に『西洋美術館』があることをどう考えるか?」では、日本の近代彫刻史を研究する彫刻家・美術評論家の小田原のどかが、新作インスタレーションの中でロダンの彫刻を横倒しにして展示。実際に美術館の収蔵庫で、地震対策も兼ねて横倒しで保管されているのを見て発想したという。併せて、部落解放運動の出発点であるとともに日本最初の人権宣言といわれる「水平社宣言」を起草した画家・西光万吉の掛け軸を展示。「転倒」に「転向」を重ねて複層的な問題提起がなされている。小田原のどかの展示より、奥に五輪塔、床にオーギュスト・ロダン《青銅時代》1877年(原型)、西光万吉《毀釈》1960年代、床にオーギュスト・ロダン《考える人》1881-82年また、第4章「ここは多種の生/性の場となりうるか?」では、写真家・鷹野隆大が、「国立西洋美術館の所蔵品がもし現代の一般的な部屋に並んでいたらどう見えるか」と考え、展示室にIKEAの家具を並べ、その中に所蔵作品と自身の写真作品を配置した。また、飯山由貴は松方コレクションの成り立ちを批判的に読み解く展示壁を制作し、鑑賞者の声も拾えるように仕立てた。鷹野隆大の展示より、壁面にはギュスターヴ・クールベ《眠れる裸婦》1858年、鷹野隆大《kikuo(1999.09.17.Lbw#16)「ヨコたわるラフ」シリーズより》1999年飯山由貴《この島の歴史と物語と私・私たち自身——松方幸次郎コレクション》(2024年)より階段から続く「反-幕間劇——」と称した弓指寛治のインスタレーションも胸に残る。近年の上野公園整備に伴い、あまり姿が見えなくなった路上生活者を山谷地区に訪ねて描いた肖像画などを展示。もとは新藤のリクエストから始まったため、新藤を誘って山谷に出かけ、路上生活者をケアする看護師たちにも出会っていく。亡くなった路上生活者がつくりためた作品群が異彩を放つ。弓指寛治の展示より弓指寛治の展示より。路上生活者に出会っていく様子やそれぞれの人生の物語などが描かれているところで、行方不明だった松方コレクションのクロード・モネ《睡蓮、柳の反映》が2016年にルーヴル美術館で発見されたのち、国立西洋美術館に所蔵となったニュースをご記憶だろうか。第5章「ここは作品たちが生きる場か?」では、竹村京が、この絵画の欠損部分を補完するように大きな布に絹糸を刺し、モネ作品にベールを重ねるようにインスタレーションした。残っていたモノクロ写真をもとに、色彩や筆跡を推察してつくりあげたという。「モネの眼になってつくるのが楽しかった」と竹村が語る、時空を超えたコラボレーションだ。竹村京《修復されたC.M.の1916年の睡蓮》2023-24年釡糸、絹オーガンジー作家蔵裏側にクロード・モネ《睡蓮、柳の反映》(1916年)が展示されているさらに最終章では、梅津庸一、坂本夏子、杉戸洋に物故作家の辰野登恵子を加え、日本の現代作品がポロックら同館所蔵作品といかに拮抗しうるかを見せる。左から、辰野登恵子《Work 85-P-5》1985年、ジャクソン・ポロック《ナンバー8、1951 黒い流れ》1951年、坂本夏子《Tiles》2006年左壁面は杉戸洋作品、右壁面と手前の立体は梅津庸一作品ほかに、常設展の絵画を子どもや車椅子の目線に下げて展示することなどを提案した田中功起作品ほか、さまざまな方向から美術館に問いかけがなされている。なお、飯山由貴は記者内覧会の最後、国立西洋美術館はオフィシャルパートナーを務める企業にイスラエルと武器貿易をしないよう働きかけてほしいと有志とともに訴えた。開会式終了後には、同じく出品作家の遠藤麻衣も、作家の百瀬文とともにアクションを行った。今、主にヨーロッパのミュージアムでは、現代の問題に応答すると同時に、過去の歴史とどう向き合うかを検証し始めている。そうした世界の動きに連なる行為ともいえるだろう。取材・文・撮影:白坂由里<開催概要>『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ』2024年3月12日(火)~5月12日(日)、国立西洋美術館にて開催公式サイト:
2024年03月28日東京都現代美術館では、2024年4月6日(土)より『ホー・ツーニェンエージェントのA』展を開催する。シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェン(1976-)の個展である。映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスの分野で高い評価を得ているホー・ツーニェンは、幅広い資料や言説を参照し、再編成することで、東南アジアの歴史的な出来事や、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティなどを描き出してきた。同展では、彼の最初期の作品を含む6点の映像インスタレーションと国内初公開の最新作で、彼の歴史的探求の軌跡を探る。まず2003年に制作された《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》は、ホーが監督と脚本を務めたデビュー作。シンガポールという国名を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説をめぐりながら、イギリス人植民地行政官による近代の建国物語を解体する。《ウタマ―歴史に現れたる名はすべて我なり》 2003年《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)は、トラを人間の祖先とする信仰や、第二次世界大戦中、「マレーのトラ」といわれた陸軍軍人・山下奉文など、トラにまつわるエピソードで構成された3Dアニメーションによる作品だ。姿を変え続けるトラと人間を介して、シンガポールの支配と被支配の歴史を物語る。こうした作品の基盤となるプロジェクトが「東南アジアの批評辞典」だ。同展では、東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムで都度組み合わされる映像作品《CDOSEA》(2017年-)を展示する。《ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声》2021年、展示風景 撮影:三嶋一路写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]ホーの新たな展開ともいえる最新作が《時間(タイム)のT》。ホーが引用し、アニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって時間の様々な側面とスケールを描き出すシークエンスに編成される。会期中は、ギャラリートークや読書会など関連プログラムの開催も。参加方法や詳細は、美術館のウェブサイトで確認を。<開催概要>『ホー・ツーニェンエージェントのA』会期:2024年4月6日(土)~7月7日(日)会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)料金:一般1,500円、大学・65歳以上1,100円、高中600円展覧会ページ:
2024年03月28日弘前れんが倉庫美術館では、写真家・映画監督の蜷川実花(にながわ みか)氏と、クリエイティブチーム・EiM(えいむ)との協働による大規模な個展「蜷川実花展 with EiM:儚(はかな)くも煌(きら)めく境界 Where Humanity Meets Nature」を開催します。本展では、EiMとともに作りあげるインスタレーション作品のほか、蜷川実花氏が弘前で撮影した桜をはじめとした、日本各地の花々を捉えた作品を紹介します。蜷川実花《花、瞬く光》2022年 (c)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery●企画展詳細ページ 本展は、弘前れんが倉庫美術館を含む青森県内5つの美術館・アートセンターが連携して実施する「AOMORI GOKAN アートフェス2024」のメイン企画の一つとして開催されます。●開催概要開催期間 :2024年4月6日(土)~2024年9月1日(日)時間 :午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)休館日 :火曜日※4月23日(火)、30日(火)、8月6日(火)は開館観覧料(税込):一般 1,500円(1,400円)大学生・専門学校生 1,000円(900円)※( )内は20人以上の団体料金※弘前市民は上記料金から500円引き(他の割引との併用不可・住所を確認できるものの提示が必要)※以下の方は無料(住所や年齢などを確認できるものの提示が必要)高校生以下の方/弘前市内の留学生の方/満65歳以上の弘前市民の方/ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方/障がいのある方と付き添いの方1名場所 :弘前れんが倉庫美術館〒036-8188 青森県弘前市吉野町2-1TEL :0172-32-8950<ウェブサイト> ●展覧会の見どころ弘前市には、国内に現存する最古級のソメイヨシノをはじめとした約2,600本の桜の木を擁する桜の名所、弘前公園があります。蜷川実花氏は2022年から、桜の開花に合わせて弘前を訪れ継続的に撮影を行なっています。これまでさまざまな花を撮影してきた蜷川実花氏は、花の中でも桜をとりわけ特別な存在だと語ります。蜷川実花氏が感じる桜の魅力とは、短い間に姿を変える儚さであり、本展でご紹介する弘前の桜を撮影した作品群にも、刻一刻と変化する桜の一瞬の姿が収められています。また、蜷川実花氏がEiMと作りあげる大型作品≪残照≫と映像を組み合わせた新作インスタレーションは、美と儚さ、一時性と永遠性といった、相反する要素が共存するように構成された作品で、鑑賞する角度によってその表情が大きく異なります。歴史ある煉瓦倉庫の空間と共鳴する蜷川作品の魅力を体感いただけます。蜷川実花 2023年 (c)mika ninagawa, Courtesy of Tomio Koyama Gallery●同時開催【弘前エクスチェンジ#06『白神覗見考(しらかみのぞきみこう)』】弘前れんが倉庫美術館では、弘前ゆかりのアーティスト等に地域の歴史や伝統文化に新たな息吹を吹き込んでもらうことを目指して、作品制作や調査研究のほか、地域コミュニティと関わるプロジェクト「弘前エクスチェンジ」を開催しています。「白神覗見考」は、白神山地をテーマに実施するリサーチ・プロジェクトで、狩野哲郎(かのう てつろう)氏、佐藤朋子(さとう ともこ)氏、永沢碧衣(ながさわ あおい)氏、L PACK.(えるぱっく)の4組のアーティストたちが、それぞれの視点で作品展示をはじめ、ワークショップやトークイベントなどを実施します。<イベントホームページ> ●AOMORI GOKAN アートフェス2024青森県内にある現代美術を楽しめる5つの美術館とアートセンター(青森県立美術館、青森公立大学国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)では、2024年4月13日(土)から9月1日(日)まで「AOMORI GOKAN アートフェス2024」を開催します。「つらなりのはらっぱ」を共通のテーマに、展覧会、イベントなどさまざまなプログラムが各館で展開されます。<アートフェス公式WEBサイト> 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月27日2024年4月2日(火)より、京都国立近代美術館で、『没後100年富岡鉄斎』展が開催される。「最後の文人画家」といわれる富岡鉄斎(1836-1924)は、家学である石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教などの諸学を学びながら、独学で絵画も極め、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開した。明治初期には神官として古跡の調査と復興に尽力し、「万巻の書を読み、万里の路を行く」ことを座右の銘に日本全国を旅して理想の山水図を探求。1924年(大正13)年の大晦日に数え年89で亡くなった。そんな鉄斎の没後100年を記念して開催される同展は、彼の画業と生涯を改めて回顧する、京都では27年ぶりとなる展覧会だ。富岡鉄斎 《富士山図》(右隻) 1898年 63歳 清荒神清澄寺 鉄斎美術館※展示期間:4/2~4/14、4/16~4/29最大の見どころは、六曲一双の大作《富士山図》や《菟道製茶図・粟田陶窯図》双福など、鉄斎の画業を語る上で欠かすことのできない代表作が多数展示されること。なかには重要文化財《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》(展示期間:4月2日~4月14日)や《妙義山図・瀞八丁図》のように、京都会場でしか展示されない作品や、これまで一般に公開されてこなかった《土神建土安神社図・椎根津彦像・平瓫図》三幅対、50年振りの公開となる《渉歴余韻冊》など、従来の鉄斎展では見られなかった作品を鑑賞できる貴重な機会となっている。富岡鉄斎 《菟道製茶図・粟田陶窯図》(右隻) 1869年 34歳 清荒神清澄寺 鉄斎美術館※展示期間:5/1~5/12、5/14~5/26富岡鉄斎 《菟道製茶図・粟田陶窯図》(左隻) 1869年 34歳 清荒神清澄寺 鉄斎美術館※展示期間:5/1~5/12、5/14~5/26さらに生前、書家としても親しまれた鉄斎の書の名作や、彼の画室に置かれていた硯や墨、絵具、絵具皿といった遺愛の品々も紹介する。とくに稀代の印章コレクターとして知られる鉄斎の印章120顆の公開も興味深い。4月13日(土)14時~、同館主任研究員で同展担当者、梶岡秀一による講演会「富岡鉄斎の旅と日常」も予定されている。詳細は同館ホームページで確認を。<開催概要>『没後100年富岡鉄斎』会期:2024年4月2日(火)~5月26日(日)※会期中展示替えがあり会場:京都国立近代美術館時間:10:00~18:00、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)料金:一般1,200円、大学500円公式サイト:
2024年03月26日展覧会「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」が、2024年3月22日(金)から5月12日(日)まで、長崎美術館にて開催される。精緻な鉛筆画を手掛けた吉村芳生の大回顧展吉村芳生(よしむらよしお)は、鉛筆による細密な描写で知られる日本人画家だ。2013年に63歳で急逝した吉村の大回顧展となる「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」では、初期のモノクロ作品から、色鉛筆で描かれた鮮やかな花々まで、約500点にものぼる作品を展示。吉村の圧倒的な描写力に迫る展覧会となっている。機械的な技法と卓越した画力版画や鉛筆でのドローイングが中心だった初期の作品では、より細かで機械的な吉村の描写を目にすることができる。たとえば《ジーンズ》は、2.5mm四方のマス目にひたすら斜線を引いて濃淡を表現する、驚きの技法によって描かれた。マス目には0から9までの数字が記入され、“4は斜線5本”など明確なルールに基づいて静物を写生している。また、活字の1文字1文字をすべて手描きで写しとった“新聞”に、自身の“自画像”を重ねた「新聞と自画像」シリーズにも注目。実物の新聞の上に自画像を描いたのではないかと疑うほど精密にコピーされた新聞と共に、吉村の様々な自画像を見ることができる。自画像の表情は、その紙面を見たときの実際の吉村の表情となっているそうだ。色鉛筆を用いた晩年の作品も会場では、晩年の吉村が手掛けた、カラフルで巨大な作品も公開。色鉛筆で菜の花を描いた《未知なる世界からの視点》は、全長約10mの圧倒的な存在感を放つ。実際の情景とは天地を反転させて描いているのが特徴で、上下を逆さにすることで、虚構と現実、日常と非日常が入れ替わる様子を表現している。展覧会概要「超絶技巧の鉛筆画 吉村芳生展」会期:2024年3月22日(金)~5月12日(日)会場:長崎県美術館 企画展示室開館時間:10:00~20:00(最終入場 19:30)休館日:4月8日(月)、4月22日(月)観覧料:・一般(大学生以上) 前売券 (全日) 1,100円、当日券(平日) 1,200円 、当日券 (土日祝日) 1,300円・小中高生 前売券(全日) 500円、当日券(平日) 600円、当日券 (土日祝日) 700円※小学生未満無料※本展観覧券でコレクション展にも入場可※15名羽状の団体と身体障害者手帳等掲示者、および付添者1名は前売料金※詳しくは長崎県美術館のホームページを確認前売券販売期間:2月9日(金)~3月21日(木)前売券販売所:ローソンチケット・ローソン各店(L コード: 81993)、紀伊國屋書店長崎店、メトロ書店本店、好文堂書店、くさの書店チトセピア店、ララコープ各店(一部店舗除く)、長崎新聞社(本社文化ホール、佐世保支社)、長崎県美術館【問い合わせ先】長崎県美術館TEL:095-833-2110
2024年03月22日「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」が2024年4月20日(土)から6月30日(日)まで、熊本市現代美術館にて開催。東京などでも開催された巡回展となる。サンリオ60年の歴史&“カワイイ文化”に迫る展覧会「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」は、2020年に創業60年を迎えたサンリオの軌跡を辿る展覧会。本展では、サンリオが創業される以前の歴史から紐解き、日本の“カワイイ文化”を牽引してきたサンリオの歩みに迫っていく。サンリオが60年の間に生み出したキャラクターは、450以上。会場では、ハローキティをはじめとする人気キャラクターはもちろん、パティ&ジミーなどのなつかしいキャラクターやレアなキャラクターにもスポットを当て、貴重な原画や資料、商品展示などから多角的に“カワイイ文化”を紹介する。また、マイメロディなどのキャラクターが誕生する舞台裏や、ファンとサンリオの交流の場となった機関紙『いちご新聞』、時代性を取り込み変化するハローキティの戦略など、サンリオキャラクターが長く愛され続ける背景にもフォーカス。作り手側だからこそ明らかにできる企画意図や苦労話など、サンリオの秘密を知ることができる貴重な機会となっている。熊本会場オリジナル展示もまた館内では、熊本会場オリジナルの展示も予定。おもちゃの交換プログラム「かえっこ」で集まったサンリオのキャラクターグッズを花のように敷き詰めた、藤浩志の《Happy Garden Ver. Sanrio》など、アーティストとのコラボレーション作品や、熊本ならではのサンリオとの関わりを示す展示にも注目だ。展覧会概要「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」会期:2024年4月20日(土)~6月30日(日)会場:熊本市現代美術館 ギャラリーI・II住所:熊本県熊本市中央区上通町2₋3 びぷれす熊日会館3階開館時間:10:00~20:00 ※入場は19:30まで休館日:火曜日料金:一般 1,500(1,300)円、シニア 1,200(1,000)円、学生(高校生以上) 900(700)円※()内は前売、20名以上の団体、電車・バス 1日乗車券、 JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証、熊本県立美術館友の会証提示者の料金※中学生以下無料※各種障害者手帳を提示者と付き添い者1名無料(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等を予定)【問い合わせ先】熊本市現代美術館TEL:096-278-7500
2024年03月18日