株式会社SCRAP(所在地:東京都渋谷区、代表:加藤隆生)は、過去に開催された人気リアル脱出ゲームが楽しめる「リアル脱出ゲーム THE BEST」を全国4店舗にて開催することを発表します。■詳細ページ: リアル脱出ゲーム THE BESTリアル脱出ゲームとは、ある特定の空間から制限時間以内に脱出を目指す体験型ゲーム・イベント。2007年に初開催して以降、マンションの1室や廃校、廃病院、そして東京ドームや六本木ヒルズなど、様々な場所を舞台に、現在までで820万人以上を動員。リアル脱出ゲーム誕生15周年を迎える2022年も、その勢いを止めることなく続々と新作を生み出し続けています。「リアル脱出ゲーム THE BEST」は、過去に開催されたリアル脱出ゲームを、もっとたくさんの方にお得にお楽しみいただきたいという思いから、東京ミステリーサーカス、リアル脱出ゲーム吉祥寺店、リアル脱出ゲーム名古屋店、リアル脱出ゲーム岡山店の4店舗で約4カ月にわたり開催します。開催されるゲーム・イベントは、SCRAPが自信をもってお届けする10作品。現在までに開催された多くの作品の中からセレクトしたラインナップはまさに、“オールタイム・ベスト”とも言える名作揃いです。名古屋で開催される一部のゲーム・イベントに関する情報は後日発表いたします。続報にご期待ください。そして今回のリバイバル開催にあたり、チケット料金を初演時より最大500円お得な価格へ見直しを行いました。参加者自身が主人公となり、実際に「物語」を体験することのできるリアル脱出ゲームを、ぜひこの機会にお得にお楽しみください。「リアル脱出ゲーム THE BEST」概要■「リアル脱出ゲームTHE BEST」詳細ページ: ■実施期間2022年3月17日(木)〜2022年7月18日(月祝)※イベントごとに開催日程が異なります。■実施店舗、イベントスケジュール▼東京ミステリーサーカス5月11日(水)〜6月5日(日)『ドラキュラ城からの脱出』(1チーム最大6人)6月7日(火)〜7月3日(日) 『あるオークション会場からの脱出』(1チーム最大6人)▼リアル脱出ゲーム吉祥寺店3月17日(木)〜4月24日(日)『宇宙怪獣からの脱出』(1チーム最大6人)4月28日(木)〜6月5日(日)『僕と勇者の最後の7日間』 (1チーム最大6人)6月9日(木)〜7月18日(月祝)『ある飛行機からの脱出』(1チーム最大5人)▼リアル脱出ゲーム名古屋店3月17日(木)~4月17日(日) 『潜水艦ポセイドン号からの脱出』(1チーム最大6人)※ほか3作品のリアル脱出ゲームを開催予定です。詳細は後日発表します。▼リアル脱出ゲーム岡山店5月13日(金)〜6月5日(日) 『あるオークション会場からの脱出』(1チーム最大6人)6月10日(金)~7月3日(日)『ある幽霊船からの脱出』(1チーム最大6人)■チケット情報<チケット発売日>2022年3月11日(金) 12:00~<料金>【平日】▼前売券一般:2,700円学生:2,400円グループチケット:15,600円(1人あたり2,600円)▼当日券一般:3,000円学生:2,700円グループチケット:17,400円(1人あたり2,900円)【土日祝】▼前売券一般:3,000円学生:2,700円グループチケット:17,400円(1人あたり2,900円)▼当日券一般:3,300円学生:3,000円グループチケット:19,200円(1人あたり3,200円)※リアル脱出ゲーム吉祥寺店で開催される『ある飛行機からの脱出』のグループチケットの料金は上記と異なります。詳細ページよりご確認ください。補足情報リアル脱出ゲームとは?2004年に発表された「クリムゾンルーム」というネットの無料ゲームを発端に、爆発的に盛り上がった「脱出ゲーム」。そのフォーマットをそのままに現実世界に移し替えた大胆な遊びが「リアル脱出ゲーム」。マンションの1室や廃校、廃病院、そして東京ドームや六本木ヒルズなど、様々な場所で開催されている。07年に初開催して以降、現在までで820万人以上を動員している。日本のみならず上海、台湾、シンガポールやサンフランシスコなど全世界で参加者を興奮の渦に巻き込み、男女問わずあらゆる世代を取り込む、今大注目の体験型エンターテインメントである。※「リアル脱出ゲーム」は株式会社SCRAPの登録商標です。ツイッターアカウント⇒@realdgameリアル脱出ゲームオフィシャルサイト : リアル脱出ゲームの様子1リアル脱出ゲームの様子2リアル脱出ゲームの様子3●情報掲載の際にお渡しできるもの・過去のリアル脱出ゲームで出した謎・キャンペーンビジュアルデータ・現在開催中のリアル脱出ゲームご招待・リアル脱出ゲーム過去写真等の素材※その他必要なものがあれば気軽にお問い合わせください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月11日海外の掲示板『Reddit』に投稿された猫の写真に、反響が上がっています。写っているのは、投稿者のフランチェスコさんの愛猫であるマーヴィン。マーヴィンを、フランチェスコさんの姉妹が抱きかかえているのですが…。見た人たちが思わずギョッとした写真がこちらです。女性の手がマーヴィンの体を貫通している!そんなはずはないと思いながらも、やはりマーヴィンの胸のあたりから、女性の手が出ているようにしか見えません。この写真は、多くの人たちの頭を混乱させてしまったようです。・いまだにこの写真がどうなっているのかが分からないんだが…。・猫が2匹いるんじゃないの?・なぜこの猫はこの状態で、こんなにかわいい表情をしていられるんだ!・これってリアル?フォトショップでしょ?正解は…ユーザーのdeiviux90さんが描いたイラストのようになっていました。出典:deiviux90フランチェスコさんはコメントで、「写真の編集はしていません。deiviux90さんが描いてくれた絵が、もっとも分かりやすい説明です。私の姉妹の腕は、猫の右の脇の下にあります」とつづっています。マーヴィンはちょっぴり太り気味で、毛がふわふわなのだそう。だから、抱いた時に女性の腕が毛の中にすっぽりと隠れてしまったのですね。一瞬、ホラーな写真かと思いましたが、マーヴィンの体に穴が開いていなくてホッとしました![文・構成/grape編集部]
2021年12月22日毎年の夏休みの自由研究、保護者のみなさんはどこまで手助けしていますか?子どものやりたいこと、やる気を引き出しながら、親としていかにうまくサポートできるか…なかなか難しいですよね。今回は、手伝いすぎて大失敗したわが家の例も交えながら、ベストな方法を探ってみましょう。手伝いすぎて大失敗、わが家の例◆小1、学童で作った簡単な工作で選出、本人やる気スイッチオン娘が小1のとき、本人はもちろん、私自身も親として何をしていいのかわかりませんでした。なので、夏休み明けには、本人が夏休み中に学童で作ってきた簡単な工作を提出しました。すると、それがなんと市の作品展に展示されることに!初めてのことに子どもは大喜び!「来年は賞をとる」と気合いが入りました。◆小2、こんなの作りたい!手伝いのパパやる気スイッチオンそして小2のとき。子どもがこんなのを作りたいとアイデアを出したので、パパが担当でお手伝いをすることになりました。純粋に子どもが「こうしたい」と言うのをサポートする感じで、材料集めやひとりではできない部分を少し手伝っていました。この年は、市の作品展に出展、なんと入賞しました。◆小3、子どものやる気を完全に奪ったパパやる気全開小2の入賞後は、俄然、パパのやる気がヒートアップ。小3の夏休みになると、娘に「次はこんなのを作ろうか」と勝手にアイデア出しをして、どうやって作れるのかの詳細をネットで調べ、「こうやったら作れるよ」と提案。盛り上がるパパに言われるがままに、娘は作業を実行。かなり大がかりな作品ができあがりました。大きな作品だったので、夏休み明けは作品を運ぶためにパパも一緒に登校。娘は、自分が作った自慢の作品という思いもないようで、そんな大きな作品を持っていくのもちょっとはずかしいという感じでした。大満足なパパでしたが、その年は、市の作品展に出品されることはなく、教室内での展示にとどまりました。子どもらしい発想の作品がベスト娘が小3のときに作ったものは、金のこをつかって金属を切ったり、電池を使って電気がついたりするものでした。材料も普段目にすることもないものを、パパがお金をかけて用意していましたし、小3が学校で習っている知識のレベルでできるものではなかったので、どう考えても子どもの発想ではないですね。子どもが自分で作れるものではないような作品を作り、結果、子どものやる気を奪ってしまいました。賞をとることが目的ではないですが、子どもの発想と子どもの知識の中でできる作品でないと、評価という面でもマイナスになるんだなと改めて思い知らされました。子どもにやらせなければいけない点、親が手伝うべきこと◆何をするのか、どうやったらそれができるのか子どもが何か言い出す前に、親から「こんなのどう?」と言うのはNG。まずは子どもの意見を尊重しなければなりません。親のアイデアを先に言葉にすると、子どもの発想がそこでストップしてしまうので、子どもがどんなことをしたいのかをうまく聞き出しましょう。そして、それが明確になったら、どうやったらそれができるのかを一緒に考えます。「こうしたい」けれど「どうやったらできるかわからない」ということであれば、少しアイデアを足してあげるといいですね。◆準備するものへの考え方何をするか決まったら、何が必要か一緒に考えて準備しましょう。家にあるもので使えるものはないかを考えたり、買う必要のあるものは、親が買ってくるのではなく、できれば一緒に買いに行きましょう。そして「身近なもので作ることができる」「お金をかけすぎない」ということも頭に入れておいた方がいいと思います。親がつい必要以上にやる気になったり、わが子によりよいものを創作してほしいという気持ちになるのは、よくわかります。ただ、あくまでも「自由研究は子どもの宿題」ということを肝に銘じて、子どもが自分自身でこれをやりたいと思ったものを、どうしたら実現できるのかを一緒に考え、サポートすることが大切だと思います。適度なアドバイスで子どもらしい作品づくりを手助けできるといいですね。<文・写真:ライター鳥山由紀>
2020年08月18日彼氏と長続きさせたいと思っている方も多いのではないでしょうか。リアルに長続きしているカップルの約束事をご紹介します。しっかり連絡を取るカップルがケンカになる原因の中に、「連絡」があるのではないでしょうか。長続きするカップルは、連絡が取れる時はしっかり取って、お互いに無駄なストレスを溜めないようにしています。連絡をどのくらいのペースで行いたいかは、人によって変わってくるので二人で決めることが大切です。しかし、連絡が来ているのに放置したりするなど、相手を心配させるようなことはしないように気を付けてくださいね。お互いが嫌がることをしない長続きさせていくためには、お互いが相手のことを思いやった言動が必要です。異性と必要以上に仲良くすることで恋人を傷つけてしまったり、出来心から浮気をしてしまったりすると二人の関係が壊れてしまいますよね。お互いが嫌がることをしないように気を付けることで、安定した穏やかな恋愛が出来るでしょう。また、相手が喜びそうなことを考えて、何かをしてあげるというのも二人の仲を深めていくきっかけになるかもしれません。ケンカをしたら話し合うケンカをした時に、イライラしてその場を離れようとしたり、連絡を無視したりして逃げてしまうことはありませんか。ケンカのたびに逃げていると、信頼関係が築けずに長続きさせることが難しくなってしまいます。そのため、ケンカになったらお互いの気持ちを伝え合うようにしてみましょう。何が嫌だったのか、どうしてこうなってしまったのかなど、冷静に話し合うことが大切ですよ。一人の時間を大切にする二人でいる時間はもちろん、お互いが一人で過ごす時間も大切に出来るカップルは長続きしやすいでしょう。一人の時間がないと、いくら好きだと思っていても、彼氏が疲れてしまう可能性がありますよ。彼氏のことばかり考えてしまうという方は、少しずつでも彼氏以外のことに集中できるようになるといいですね。いつも彼氏との予定を優先してしまうなら、あえて友達との予定をたくさん入れてみるなど、工夫していきましょう。
2019年10月29日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回ご紹介するのは、社会が変わっても相変わらず多くの女性たちの心にはびこるモンスターの卵、「幸せなふり」にがんじがらめにされてしまった妻のケースです。「幸せなフリ」は、妻たちを本当の幸せから遠ざける。それは拙著 『モンスターワイフ 幸せなふりはもうしない』 でも、こちらの連載でもお伝えしてきた通りです。前の時代は「経済的に苦しいのに、余裕があるふりをしたくて専業主婦の座に固執する」という「幸せなふり」が蔓延していました。ところが、現代版の「幸せなフリ」モンスターは、これとは様子が異なります。「家庭も仕事も両立できて当然。両立に疲れて、所帯じみてくたびれた雰囲気になるのはお断り。きっちり仕事して、家庭でも良き妻・良き母で、そのうえ自分磨きも怠らず、充実した日々を楽しまなきゃ!」現代社会が生み出したキラキラ系モンスター「新型幸せなふり」は、そんなふうに考えて生きています。確かに、理想的な生き方のように聞こえます。けれども、そんな妻たちの実情はどうでしょう。自分のためにも家族のためにも、意識の高い「キラキラ系」を目指して頑張ってきたものの、気付けば「新型幸せなふり」モンスターに足元をすくわれていた…なんてことも。■子どものため、夫のため…いつも努力が空回り「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」代表:笑美(仮名)37歳の場合「できた…!」娘の明日の弁当の下ごしらえをした笑美は、達成感と疲労感の両方でいっぱいになった。時計を見ると、もう22時半。いけない、早くお風呂に入らなきゃ。最近、顔のむくみが気になりお風呂でリンパマッサージを始めたので、22時にはバスタイムと決めていたのに…今日は仕方がない。明日からは、もう少しお弁当作りの効率を上げなくちゃ。そんなことを考えながらエプロンを外していると、一人娘の優乃(ゆの)がトイレに起きてきた。笑美のほおが、思わずゆるむ。「じゃじゃーん!」笑美は眠そうな優乃をキッチンに招き入れると、お弁当のデザインを見せた。ところが…。「えーっ! ママ、何これ!? お野菜と果物ばっかり。優乃、いつもみたいなお弁当がいい!」優乃は、顔をしかめてすごい勢いで嫌がる。気付くと笑美は、キッチンカウンターに手のひらを思い切り叩きつけていた。調理器具がシンクにカンッという音を立てて転がり落ちる。「なんで!? どうしてそんなこと言うの? 優乃ちゃんのために、ママがどれだけ頑張ってるか…」怯えた顔で立ちすくんでいる娘の姿が、涙でにじんでゆく。野菜ソムリエの資格取得のために、かかった時間と労力。そしてお金。忙しかったのに。疲れていたのに。家族のため、娘の健康のためにと、どうにか時間とエネルギーをやりくりして頑張った。それなのに、この反応は何?ああ、もうイヤ。こんなに頑張っているのに、どうしていつもダメなんだろう。自分のためにも家族のためにも、私はいつだって努力している。いつまでたっても「幸せになりたい」という飢餓感でいっぱいなのか…。物音を聞きつけて、夫の文哉が飛んで来た。優乃はすぐさま文哉にしがみつく。笑美は無言で娘と夫の横を通り過ぎ、できかけのお弁当をまるごとゴミ箱に放り込んだ。そして振り返ることなく、キッチンを出て行く。その心は虚しさと徒労感で、重く重く沈んでいた。■インスタでは「完璧・理想なワーママ」その仮面の下は…笑美と文哉は、千葉の高校の同級生だった。と言っても高校時代の2人は、ただの仲の良いクラスメート止まり。それぞれ別の都内の大学に進学し、都内で就職した後、28歳の時にたまたま再会。そこから交際が始まった。笑美は大手飲料メーカー勤務。広報という仕事柄、ファッションに気をつかうようになり、すっかり垢抜けた笑美は再会した文哉を驚かせた。文哉は電機メーカーで開発に携わっていた。こちらも優良企業で、笑美と文哉はお似合いのカップル。旧知の仲であることもあり、2人の交際は順調に進み、再会から2年後には結婚。その翌年には娘も生まれて、一家の人生は順風満帆と思われた。ところが…笑美が1年の育児休業を終えて職場復帰を果たした頃から、夫婦間のすれ違いや衝突が少しずつ増えていくことに。理由は明らかだ。笑美が忙しすぎたのだ。「最初は時短勤務からでもいい」と言ってくれた会社には、夫に相談もせず「フルタイムで問題ありません」と即答。せっかく就職した大企業、せっかくつかんだ希望の職種、やるからには、順調なキャリアアップを目指したい。自分の産休・育休中にもバリバリ働いていた、独身の同期や子どものいない同僚に、これ以上差をつけられるわけにはいかなかった。長時間利用可能な保育所に高い料金を支払って、笑美は仕事に邁進(まいしん)した。育児をおろそかにしているのかといえば、そんなことはまるでない。満員の通勤電車の中ではスマホを片手に、知育玩具や、情操教育に良いとされる絵本を検索・購入。週末も持ち帰った仕事で忙しいことが多い中、子どもに人気のスポットをリサーチして、できる限り娘を連れ出すようにする。さらに笑美は、自分磨きにも余念がない。美容・健康関連の習い事に参加したり、仕事に役立ちそうな資格について調べたり…あまりに休む間もなく常に忙しくしているので、文哉が思わず「大丈夫? やることだらけでパンクしない?」と心配したことがある。すると、笑美はその翌週には、「文哉の言う通りね。もっと効率よく物事をこなすために、タイムマネジメントのオンライン講座を受講することにしたの」と言い出す始末だった。文哉は徐々に、笑美のことが理解できなくなっていった。どうして妻はいつもスケジュールをギュウギュウにして、常に何かに追われる生活を続けているのだろう? スマホのカレンダーはぎっしりうまっている。忙しくても、本人がそれを楽しんでいるのなら構わない。けれども笑美は楽しそうにはとても見えないし、むしろ疲れて殺伐として見える。それを指摘しようものなら、笑美は「私はやりたくてやってるの」「文哉に迷惑かけてないじゃない」と、全否定だ。そして、家の外やSNSでは、笑美は疲れ切った顔の上に「充実した毎日を楽しむ幸せなワーキングマザー」という仮面を貼り付けていた。ついさっきまで家でくたびれ切った顔をして不機嫌オーラ全開だった妻が、ママ友に会った途端、1オクターブ高い声で満面の笑みを振りまいている。夫に子どもの世話を押し付けてブツブツ言いながら資格試験の勉強をしていた妻のインスタグラムには、試験対策テキストとブランド物のコーヒーカップの写真が「#資格試験」「#自分に投資」「#充実した時間」といったハッシュタグとともに投稿されている。そんな妻の様子に、文哉は首をひねるばかりだ。この頃から、2人の夫婦仲にすきま風が吹くようになる。■セレブエリアへ引越し、理想がさらにエスカレート…娘の優乃の保育園入園前にもう少し大きなアパートに引っ越そうという話になった時、笑美と文哉の意見が対立した。「生活の質は住む場所で決まる」と主張し、都内の子育て世代に人気の街に住みたいという笑美。千葉の2人の地元である町に戻れば、両家の両親から育児のサポートが得られるうえに、家賃も大幅に節約できると訴える文哉。結局いつも通り、「子どものためにも上質な生活を」と熱弁する笑美に文哉が屈することになった。家賃ははね上がったが、元の家賃に上乗せられた金額の大半を笑美が負担するということで、この一件はどうにか丸く収まった。しかし、新たな街に引っ越すと、笑美の「より上質な生活」を目指す熱意はさらに過熱していった。その背後にあったのは新たな街でできた、新しいママ友たちの存在だった。皆いつもおしゃれで、家を訪ねればインテリア雑誌に出てくるような部屋。子どもの誕生日パーティーに招かれれば、海外の盛大なバースデーパーティーのような華やかな飾り付け…。彼女たちの生活を垣間見るたびに、笑美は「私にはやるべきことがまだまだある」と痛感した。そして、この頃から笑美は、ママ友たちと自分を比べては落ち込み、ふさぎ込むことが多くなっていった。「凜花ちゃんママのインスタで遠足の日のお弁当を見たんだけど、本当にすごいの。私、あんな凝ったお弁当作ったことない…。もしかして優乃に、みじめな思いをさせてたかしら」「怜ちゃんのピアノの発表会のお疲れさまパーティーに呼ばれたんだけどね。お部屋の飾り付けもお料理もすごくスタイリッシュで、洗練されてて。怜ちゃんのママはテーブルコーディネートの資格を持ってるんですって。うちもこれからお客さんを呼ぶ機会が増えるかも知れないし、私もテーブルコーディネートくらい勉強しておかないとダメよね…」笑美はそんなことを言って、いつも自分にないものを探し出しては嘆いてばかりいる。文哉はずっと、妻は向上心の塊のようなタイプなのだと思っていた。しかし、これでは「向上心が旺盛」なのか、「自分へのダメ出しが過ぎる」のか分からない。「俺はそもそも、そこまで弁当やらテーブルコーディネートやらに凝る必要性を感じないんだけどさ。笑美の場合、凝りたくたって仕方がないじゃないか。フルタイムで働いて、家でも持ち帰りの仕事だろ。人脈づくりの異業種交流会にまで顔を出して、それでいつキャラ弁作りや、テーブル・部屋の飾り付けまで時間をさけって言うんだよ」文哉は至極当然の指摘をしたつもりだったが、笑美は不満げに口を尖らせる。「『時間がない』なんてただの言い訳よ。要は自分の時間とエネルギーをどう活用するかなの。そのためにタイムマネジメントや、目標達成戦略を勉強して…」「言い訳じゃないよ。事実だよ。『家庭と仕事の両立』だけでも大変だ、大変だって、みんな言ってるのにさ。それに加えてアレもコレもだなんて、苦しくならないほうがおかしいよ」それでも笑美は引き下がらない。「そんなことないわ。私より忙しくても、私よりずっと多くのことを実現できている人はいっぱいいるわ」「『いっぱいいる』って…例えば、誰? ていうかさ、どうしてそんなに『多くのことを実現』しなきゃならないわけ? 一体何をどれだけ実現すれば、笑美は満足なんだよ?」いつになく執拗に追及してくる文哉に、笑美はたじろいだ。私よりずっと多くのことを実現できている人…一つの顔が、笑美の脳裏に浮かんだ。■夫や子どもに八つ当たり「どうして理想通りにならないの?」文哉に詰め寄られた時、笑美の頭の中に浮かんだのは淑美の顔だった。淑美というのは笑美の大学時代の友人、寛人の妻だ。大学卒業後も寛人とは時々会っていたのだが、文哉に寛人を紹介すると、意気投合。今ではこの男2人のほうが、仲の良い友人同士になっていた。こうした事情で笑美と文哉は時々、寛人とその妻の淑美に会う機会があったのだ。淑美は大手出版社勤務。人気女性ファッション誌の編集部で働いている。そんな彼女は、いつ会っても最高にファッショナブル。編集者の仕事は多忙なはずだが、疲れなど感じさせない優雅な雰囲気だ。一人娘の恵麻も、いつ会っても髪型にも服装にも、しっかりと手がかけられている。淑美のインスタグラムには、美しい料理の写真の数々。彼女は野菜ソムリエの資格を持ち、お菓子作り教室にも長く通っていたという。まさに、完璧な女性。仕事も家庭も完璧に両立しながら苦労をまるで感じさせず、余裕たっぷりでキラキラと輝いている…。淑美さんのような人が奥さんなら、寛人は最高に幸せなはず。恵麻ちゃんだって、自慢のママが大好きに違いない。そんなことを考えていたら、笑美はだんだん悲しく、みじめになってきた。何もかも完璧な淑美のような女性がいる一方で、私は足りないものだらけ…。妻が押し黙っているのを見て、自分の説得が功を奏したのだと勘違いした文哉。彼は気を良くして言った。「な! スーパーウーマンなんていないんだよ。笑美はもう十分頑張ってるよ。これ以上、あれもこれもやらなきゃなんて、焦る必要なんて全然ないじゃないか」残念ながら、そんな夫の言葉が笑美の心に響くことはなかった。笑美はますます仕事にも、家事・育児にも、自分のステップアップにも熱中し、彼女の生活は多忙を極めた。笑美の「向上心」は、夫の目にはもはや「強迫観念」のように見えた。彼女は楽しそうにしていることなどまるでなく、いつも疲れてイライラ、カリカリ。夫や娘に当たることも増えた。特に笑美が家族のために良かれと思ってしたことが受け入れられないと、ヒステリックに激怒するようになった。ママ友から聞いてきた習い事に、優乃が興味を示さない。クタクタの体にムチ打って、ネットで高評価のイベントに優乃を連れて行ったのに、優乃が喜ばなかった。聞いたこともない「スーパーフード」を突然朝食に出し、味が苦手な文哉が断った…。そんなことが起きるたびに、笑美は大爆発。「私がこんなに頑張ってるのに」「死ぬほど疲れてるのに、あなたのためにやってあげたのよ」が、激昂した笑美の口癖になっていた。文哉と優乃は次第に、笑美の顔色をうかがってビクビクしながら過ごすようになっていった。家庭がそんな状況になっても、笑美は家の外やSNS上での「ステキなワーキングマザー」の仮面だけは絶対に手放さなかった。「スーパーフード」をめぐってケンカになったその日のインスタグラムには、文哉が手を付ける前の朝食の写真が投稿され、「#夫の健康管理」「#パパいつもおつかれさま」などと書き込まれていた時には、文哉は妻の異常性を感じずにはいられなかった。■とうとう病気を発症! それでもキラキラ生活にしがみつく妻ある日、熱があろうが頭痛がひどかろうが、意地でも会社を休まなかった笑美が、尋常ではない腹痛に襲われて病院に駆け込むことに。そこで彼女はストレスによる心の病気という診断を下される。笑美から話を聞いた文哉は驚き、「通院の頻度は?」「どんな治療をするんだ? 薬はもらったのか?」と妻を質問攻めにした。しかし、文哉を驚かせたのは、笑美の答えだった。「しないわよ、通院なんて。残業ができないだけでも大きなハンデなのに、加えて通院のために半休なんてとんでもないわ。薬も勧められたけど、飲むと眠くなったりだるくなったりするんですって。そんな薬飲んでちゃ、仕事にならないわ」普段、穏やかな文哉も、この時ばかりは猛抗議した。健康が第一。きちんと通院して薬も飲んで、働き方も見直すべきだと文哉は主張する。しかし笑美は「この病気の原因がストレスだって言うなら、定期的に通院したり、毎日眠くなる薬を飲んで仕事をしなきゃいけないのが最大のストレス」だと言い張り、聞く耳を持たない。この議論は未曾有の夫婦ケンカに発展した。どちらも自分の言い分が絶対に正しいと信じているので、仲直りの糸口すら見えないまま、険悪なムードで日々が過ぎてゆく。その間も笑美は、毎日絶不調の体を引きずるようにして仕事と家事・育児、ママ友付き合いをどうにかこうにか回していた。顔にはいつもの笑顔を貼り付けていたが、正直、心身ともに限界だった。そして迎えた、ある週末。前々から寛人・淑美夫妻と約束していた、キャンプの日がやって来た。笑美は最悪な顔色と微妙な夫婦仲のまま、まぶしすぎる淑美と顔を合わせたくなかったが、仕方がない。寛人が誘ったもう一家族も加えた三家族分のキャンプ場がすでに予約されているからだ。鬱々とした気分のまま、笑美はキャンプ場に向かった。淑美が雑誌の撮影にも使用したその場所は、従来の「キャンプ場」のイメージを覆すものだった。新しいキャンプ体験ができる最近流行のグランピング施設で、どこもかしこも清潔でセレブ感が漂う。これなら雑誌の撮影現場にもなるだろう。子どもたちが安全に目一杯遊べる遊び場も併設されている。一言で言うと「さすが淑美さん」としか言いようのないキャンプ場だった。優乃は早速歓声を上げながら、淑美の娘・恵麻と、もう一家族の子どもたちと遊んでいる。その楽しそうな姿を見て、笑美はまた心が沈んだ。こんな場所があるなんて、私、全然知らなかった…情報収集不足だわ。恵麻ちゃんはきっと、優乃よりずっとたくさん楽しい場所に連れて行ってもらえてるのよね。それに、今日も恵麻ちゃんのファッションは完璧。子ども用のアウトドアウエアに、こんなにかわいいアイテムがあるなんて…。ひたすら落ち込んでゆく今日の笑美に、キラキラと輝く淑美の姿を眺め続けるのはキツすぎた。淑美がもう一人のママとの話に花を咲かせている間に、笑美はそそくさと退散。一人になれそうな場所を探して歩いた。■憧れの女性だったのに…親友の告白で知る現実木陰に腰を下ろして缶ジュースをすすっていると、誰かが近づいてくる。振り向くと、そこには寛人が立っていた。「よっ!って、笑美、お前何だよ、ジュースかよ!? ビール持って来ようか?」いつも通りの屈託のない寛人の笑顔に、笑美もつられて微笑みながら「今はジュースでいい」と答える。まさか「ストレスによる心の病気でおなかの調子が悪いから、アルコールは控えている」なんて言えない。寛人が笑美の隣に腰を下ろしながら、笑美の顔をのぞき込む。「笑美、なんか今日元気なくないか?」鋭い指摘にギクッとする。けれど、今自分が抱えている鬱々とした気分、健康問題、夫婦ケンカ…何をどこから、どう寛人に話せばいいのだろう。考えがまとまらないまま、気付くと笑美はつぶやいていた。「寛人は幸せ者だよね…」「はぁ? 何だよ急に?」「淑美さんみたいな、いっつもきれいでおしゃれで余裕があって、職場でも家庭でも完璧な奥さんがいて。私なんてさ、もうダメダメだよ。仕事に追われてヒーヒー言ってるし、家でも頑張ってるつもりなのに、一人で空回ってる感じ。家族に喜んでもらいたいのに、全然うまくいかなくて…」いけない、涙目になってきた。笑美は思わず寛人から顔を背ける。寛人はしばらく黙っていたが、キョロキョロとあたりをうかがうと、低い声で話し始めた。「ここだけの話だぞ。淑美ってさ、確かに余裕しゃくしゃくみたいに見えるけど、本当は全然そんなことないんだぜ。毎日ボロボロになって帰ってくるし、特に締め切り前なんて殺気立っててさ。家でもいらだってて、恵麻が怖がることもあるくらいだよ」「うそ…そんなの全然想像できない。私、淑美さんのインスタもチェックしてるんだけど、いつもすごく豪華なお料理の写真をアップしてるじゃない。恵麻ちゃんにお菓子作ってあげたりとか」「あれなー。なんか『職場のみんながインスタやってるから、私もやらなきゃ』とかって言って始めたんだけど、“ステキな暮らし”の演出に躍起になってるよ。俺は見栄えだけいいワケの分からん洋食より、普通に肉じゃがが食いてえって言っても、即却下。やたら手の込んだ洋菓子作って、恵麻の反応がイマイチだと腹立てるしな。ハッキリ言って、家族からするとはた迷惑なことも結構あるよ」何だか耳が痛い…あの「完璧な淑美さん」が、家では実は、私と同じようなことをしている…? 笑美はポカンと口を開けたまま、寛人の話を聞いていた。「知り合った頃、仕事をバリバリ楽しんでる淑美をいいなって思ったのは事実だよ。でも 仕事を楽しんでるからって淑美を好きになって結婚したわけじゃない。結婚しても、子どもが生まれても、仕事は昔と変わらずバリバリ、家庭でも完璧な妻、母で、ファッションや習い事は独身貴族並みなんて、どう考えてもムリだろ?俺はただ、淑美に昔みたいにニコニコしててもらいたいだけなんだ。そのために仕事をセーブしたければ、すればいい。家事や育児で手抜きをしたければ、すればいい。でも淑美には、そんな選択肢はあり得ないんだよ。『ここまで全力疾走してきたんだから、ここで足を止めるわけにはいかない』みたいに思ってるみたいで」そのうちぶっ倒れたり、ノイローゼになるんじゃないかって、結構真面目に心配してるんだ、と寛人は苦笑した。ずっと憧れていた、理想としてきた「いつも余裕の完璧な女性」の実態を知って、笑美は脱力してしまった。淑美さんのようになれれば、「私にはあれが足りない、これも足りない」なんて自分を責めなくてすむようになるはず。そうすれば、いつも感じている欠乏感や飢餓感から解放されて、自分に自信が持てるはず。幸せになれるはず。ずっとそう思っていた。けれども「ゴール」にたどり着いたところで、見える景色はどうやら今と大差ないようだ。それなら…それなら私は、どうやって幸せになればいいんだろう。どうやって家族を幸せにすればいいんだろう。寛人の話を聞き終わる頃には、笑美の涙も乾いていた。遠くから、「おーい、寛人、笑美! 肉焼くぞー」という文哉の声が聞こえてくる。2人は顔を見合わせると、同時に立ち上がった。みんなのところへ足早に戻りながら、「今夜は少し、文哉と話してみようかな」と笑美は思った。
2018年11月24日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「親しき仲にも礼儀あり」とは、人生の真実。とはいえ「親しい」どころのレベルではなく「運命共同体」である夫婦の間で、このことをきちんと理解できていないケースが多いのは非常に残念なことです。夫婦としてどれだけ親しい、近しい関係にあろうとも、夫はあなたとは別の人間。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然なのです。ところが、そんな当然のことを認められない、認めたくない場面が出てきてしまうのが、夫婦生活の難しいところ。「この人の、こういうところがどうしても理解できない。苦手」「親身になってアドバイスしてるのに、まったく聞く耳を持ってくれなくて頭にきちゃう」相手が知人や友人ならば、距離を置くという選択をすることも可能です。けれども、夫婦となると、そうはいきません。毎日顔を合わせなければならないし、簡単に距離を置くことなどできない。今後もおそらく、ずっと一緒にいる相手。お墓もおそらく一緒…。だからこそ、夫を自分の都合がいいようにしたい。夫に気になる言動があったら、直して欲しい。夫にも、自分のやり方に従って欲しい。そう思うようになってしまうのです。「長い人生を共にする、代えなどきかないパートナー」だと思うからこそ、「相手と自分は違う人間」という当たり前過ぎる事実が見えなくなる。相手を支配したいと思うようになってしまう…。妻の中のこうした傾向は、夫の人格を否定する「モラハラ系モンスター」の卵。このタイプのモンスターワイフは、夫という自分とは別の人間の存在を無意識に否定し、夫婦仲を崩壊させます。あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めていないでしょうか?悪気などまるでなく、けれども気づけば完全なモラハラモンスターと化していた友梨佳さんのケースを参考にしてみてください。■断捨離に狂ったモラハラ系妻「家から次々とモノがなくなっていく…」「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」代表:友梨佳(仮名)34歳の場合裕貴は我が家のドアの前に立つと、ドアノブに手をかけて大きくひとつ深呼吸をした。最近ではこの瞬間が、一日の中で最も緊張する時間かもしれない。意を決して家の中に入る。リビングに異変はない。そこから見えるキッチンも、問題なさそうだ。鍋の中をのぞき込みながら「おかえり」とつぶやくように言った妻の友梨佳の様子も、いつもと変わりない。よかった。今日我が家では、何も起こらなかったようだ…そう胸をなで下ろして洗面所のドアを開けた裕貴はギョッとした。洗面所が、異様に広々として見える。それもそのはず、1年半前に友梨佳に懇願されて渋々購入した乾燥機が、跡形もなく消え去っているのだ。裕貴が唖然としていると、いつの間にか彼の背後に立っていた友梨佳が、不気味な笑いを浮かべて言った。「どう?スッキリしたでしょ。乾燥機も断捨離しちゃった。やたら場所を取るし、やっぱり服を傷めちゃうし。それにね、ネットで見たんだけど、乾燥機にかかる平均的な1カ月分の電気代って…」裕貴は嬉々としてしゃべり続ける妻の声が、遠のいていくのを感じた。勘弁してくれ。毎日毎日、家の中から何かしらなくなっていく。最初は、去年のクリスマスにねだられたホームベーカリーだった。次はトースター。続いて炊飯器が消えた。そして、今度は乾燥機?裕貴は文字通り頭を抱えると、「断捨離」の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ。■浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」友梨佳と裕貴は、ともに27歳の時に結婚した。いわゆる「授かり婚」で、長女の芽衣は今年7歳。2歳下には長男の海斗もいる。少々いい加減でだらしないところはあるが、基本的に明るくニコニコしている友梨佳。優柔不断なところもあるけれど、穏やかで優しい裕貴。2人の結婚生活は、それなりにうまくいっていた。けれど、経済的な不安はあった。裕貴は小さなメーカー勤務で、収入はそれほど多くない。それなのに働くのが嫌いな友梨佳は第一子妊娠を理由に、ほとんど独断でショッピングモールの販売員の仕事を辞めてしまったのだ。長男の幼稚園入園後、夫にせっつかれてようやく友梨佳は重い腰を上げ、パート先を探し始めた。友梨佳の口癖は「好きなことしかしたくない」。そんな調子なので彼女の仕事探しはなかなか進まず、夫婦けんかも増えた。妻の「好きなこと」は、世の中にあまりないように裕貴には見えた。しょっちゅう「何か楽しいことないかなぁ」などと言いながらダラダラとネットサーフィンを続け、その時々の流行の商品やサービスを購入したりする。だが、どれも1カ月もしないうちに、友梨佳はきれいサッパリ忘れ去ってしまう。そんな性格の反動なのか、数年に一度、何かにハマると友梨佳はすさまじい勢いで熱中した。彼女が好条件とは言えない雑貨屋のパートの職にあっさり収まったのも、そのショップの雑貨にハマったからだった。キッチン小物やらベランダ用の置き物やらガーデニング用品やら、友梨佳はしょっちゅう細々したものを購入してパートから帰って来る。稼いだそばから浪費してしまうのも困りものだったが、それ以上に裕貴を困惑させたのは、どんどんひどくなる家の散らかりぶり。「春になったらハーブを植えるのよ。そのハーブを使ってお料理するの。すてきじゃない?」友梨佳はそんなことを言って自分の妄想にうっとりしているが、実際に春が来る頃にはそんな妄想などすっかり忘れているに違いないと、裕貴はため息をつく。一体どうして妻は、「ベランダ」というより「エアコンの室外機置き場」と言ったほうがいい小さな小さなスペースのために、これだけ大量のモノを購入してくるのだろう。キッチンだってそうだ。同じようなものをすでに持っていても、「デザインがすてき」、「ひと工夫あって使いやすい」などと言って、似たようなものを山ほど買ってしまう。おかげでキッチンも、モノだらけでグチャグチャ。その収納のために「すきま収納」家具が欲しいと友梨佳が言い出した時には、さすがの裕貴も異議を唱えた。「家具を増やして収納することより、少しはモノを減らすことも考えてくれよ。似たようなものがいっぱいあるじゃないか。同じようなものは処分するなり、ネットで売るなりできないのか?」自分の要望が通らず、友梨佳は逆上した。「何よ。私は家族のためにおうちをすてきな場所にしようと思って、そのためのアイテムを買いそろえてるのに。それに、料理なんてほとんどしない裕貴に、キッチン用品の使い勝手なんて分からないでしょ。何にも分からないくせに、口出ししないでよ」こうして始まった冷戦は結局、友梨佳が自分のパート代ですきま収納家具を購入し、裕貴がそれを黙認するまで続くことになった。この家が足の踏み場もない状態になるのも、時間の問題だな…。さらに狭くなったキッチンをながめながら、裕貴はがっくりと頭をたれた。 ■断捨離に目覚めた妻「トースター、炊飯器、次は…」やりすぎで生活崩壊ところが、事態は思わぬ展開を見せた。雑貨コレクターと化していた友梨佳が、断捨離ブームに乗っかったのである。「モノに依存しても、本当の幸せは得られないって気づいたの。それどころか、モノをためこむことで、幸せは逃げていってしまうみたい。これからはできる限り、シンプルライフを目指すわ」断捨離に関する本や雑誌を、散らかり放題のテーブルに山積みにして満足そうに笑う友梨佳。どうせ断捨離のムック本やら、お片付け講座のDVDやらが増えて、さらに部屋が狭くなるだけに違いない。そう思っていた裕貴だったが、翌週から本当に部屋が片づき始めた。毎晩裕貴が帰宅すると、友梨佳は夫の帰りを待ち構えていたかのようにやって来て、すごい勢いでまくし立てた。「今日はゴミ袋4つ分捨てちゃった」「しゃもじはね、厳選してこれ一つだけ残すことに決めたの」「私はこれまで新しいモノを買うことで、『新しい自分』になれるような気がしてたんだけど、今は違うの…」友梨佳は何やら、断捨離によってすさまじい充足感・達成感を得ているらしい。その没頭ぶりは多少異常なような気もしたが、とにもかくにも部屋が片づくのは素晴らしい。裕貴はそう思い、妻の変化に目を細めていた。しかし、そんなふうに呑気に構えていられたのは最初のうちだけ。裕貴はすぐに、断捨離にハマり過ぎた妻についていけなくなっていった。似たようなものが山ほどある、鍋しきやら調味料ケースを断捨離してくれるのは大歓迎。だが、さんざんねだられて買ったばかりのホームベーカリーを手放したと聞いた時には、裕貴も驚いた。「まだ新品同様だったじゃないか。これからまだまだ使えたのに…」「そういう問題じゃないのよ」決然とした口調で、まるでその道の専門家か何かのように友梨佳が解説する。「『まだ使えるモノ』であっても、『実際には使っていないモノ』を家に置いておくのが大問題なわけ。使われていない不要なものは、負のエネルギーを出すようになっちゃうんだから」確かにホームベーカリーは購入直後に2、3度使われたきり、まったく使用されていなかった。費用を負担した裕貴としては「もったいない」という気持ちはあったが、これからもずっと使われない運命にあるモノに、決して広くない家の中の空間を占拠させておくほうが「もったいない」のかもしれない。裕貴はそう考えて、自分を納得させることにした。ところが、しばらくしてトースターまで捨てたと言われた時には裕貴は訳が分からなくなった。「トースターは毎日使ってるじゃないか」すると友梨佳は、「まったく、これだから何も知らない人は…」と言わんばかりの顔で答えた。「トーストなんて、フライパンでもできるんだから。ミニマリストの間では、家電を減らしてほかのもので代用するのは常識よ、常識」ミニマリスト…? ついこの間まで「私って『ステラレネーゼ』なの」などと言っていた妻が、一体いつの間にミニマリストになったというのだ。裕貴はひたすら理解に苦しんだ。その間にも友梨佳の断捨離熱は、ひたすら過熱していった。次に姿を消したのは、炊飯器。友梨佳に言わせれば、「時短料理ブームの時に買った圧力鍋を使えば、あっという間にごはんが炊けるから炊飯器なんていらない」とのことだった。ところが、そこはもともとズボラな友梨佳のこと。「フライパンでトースト」も「圧力鍋で炊飯」も1週間と続かず、朝食のパンは「トーストしなくたっていいじゃない」とそのまま出されるようになり、ごはんの代わりに麺類ばかり出される日が続いた。「今日は米が食べたい」と裕貴が何日か連続でリクエストすると、とうとう「そんなにごはんが食べたければ、コンビニでパックのやつ買ってきたら?」などと言い出す始末。この頃になると、断捨離に関する夫婦けんかが急増した。「何でもかんでも後先考えずに処分して、生活に支障が出てきてるじゃないか」「支障って何よ? 家の中はどんどんスッキリ、快適になってきてるじゃない。きれいなものはネットフリマで売ると2000円位になるのよ。上等じゃない!」「なんだよ、その言い方。俺は前みたいに毎日普通に米が食べたいし、子どもたちだって朝はトーストが食べたいって言ってるだろ。快適、快適って言い張ってるのは、友梨佳だけじゃないか」こんな時、友梨佳はお決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をする。そして、やれやれと首を振りながら言うのだ。「あなたは本当の『快適』の意味が理解できてないのよ。麺か米か? パンがトーストしてあるかどうか? そんなことが本当に重要だと思ってるの? だとしたら、あなたはこの過剰消費社会に踊らされてるのよ。あれこれ用途別に家にモノを増やして、それで快適な生活を手に入れているつもりなんだとしたら、そんなの健全じゃないわ。モノだらけの空間は精神衛生上よくないし、お金も浪費…」「じゃあコンビニの白米パックやコインランドリーは何なんだよ!」裕貴はすかさず反論した。「乾燥機なんてスペースばっかり取って服を傷めるって言って処分しておいて、やっぱり干すのが面倒でコインランドリーに頼ってるのは一体、何なんだ? せっかく買ったものを何にも考えずに処分して、新たな出費まで発生してるようじゃ、それこそ浪費以外の何物でもないじゃないか」「どうしてあなたは、いつもそうなの!?」ここで友梨佳は、まさかの逆ギレ。「私はいつだって家族のために、最善のライフスタイルを目指して頑張ってる。それなのにあなたは、いつもそうやってあげ足を取って、ケチをつけて…。どうして私の気持ちを分かってくれないの!?」こうして友梨佳の大爆発で、何の解決にもならないまま、けんかが強制終了されるのがいつものパターン。友梨佳は自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく。裕貴はそんな日々に疲れきっていた。けれども実は、この頃はまだよかったのだ。友梨佳の断捨離テリトリーが、主婦の主戦場であるキッチンや洗面所に限られていた頃は…。 ■「パパ、ダメね~」子どもを味方に断捨離を強要する妻そのうち友梨佳はベッドまで断捨離したいと言い出した。さらには、裕貴の個人的な持ち物にまで、連日うるさく口出しするようになる。「ねえ、このカタログ捨てていいでしょ」「この漫画本、全然読んでないじゃない。売りましょう」「あなたのクローゼットで、こんなシャツ見つけたんだけど。悪趣味よ。全然あなたに似合わない。捨てちゃっていいわよね」自分の持ち物にまで、断捨離に狂った妻の魔の手が伸びてきそうになり、裕貴も自分の身を守るために徐々に攻撃的になっていく。もはや断捨離をめぐる衝突は、日常の一部と化していた。ひたすら断捨離の素晴らしさを説き、それを夫にも押しつけようとする友梨佳。そんな妻を異常だと感じ、抵抗する裕貴。自分が理想とするライフスタイルを認められず、じれにじれた友梨佳は、とうとうこの問題に子どもたちまで巻き込み始めた。裕貴と口論になると、これ見よがしに子どもたちに向かって大声で言うのだ。「パパったら、いらないものをいつまでもためこんでダメねぇ。整理整頓ができなきゃダメって、幼稚園でも習うわよねぇ」「あーあ。パパはまだ、使わないものを捨てられずにいる。芽衣ちゃんと海斗くんは、パパみたいな大人になっちゃダメだぞー」子どもたちの前で「ダメな大人の見本」扱いされるにいたって、裕貴の妻を見る目も完全に変わってしまった。以前はズボラでミーハーで、とても「できた奥さん」とは言えなくても、それなりにかわいいところもあって、一緒にいて楽しいこともあった。けれども、今の友梨佳は独裁者だ。家庭内で自分の設定したルールが通らなければ即、激怒。自分のやり方こそ正しく、これを認められないのはお前がダメだからだという態度。そのうえ、子どもたちの前で、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返す。一体なぜこんな妻と一緒にいるのか。裕貴はいよいよ分からなくなってきた。■ついに夫のコレクションまで断捨離、その結果…そんなある日、決定的な出来事が起きた。大けんかの翌日、仕事から帰った裕貴がパソコン部屋に入ると、コレクションしていた映画のキャラクターのフィギュアが消えていた。何が起きたか、疑問に思うまでもなく一瞬で分かった。友梨佳が捨ててしまったのだ。持ち主である裕貴に何の相談もなく、何の許可も得ずに。裕貴専用のパソコンの横の、小さな箱に収められた、本当にささやかなコレクションだった。そんな小さな空間であっても、友梨佳は自分にとって「ムダなもの」にスペースを取られるのが、どうにも我慢ならなかったらしい。裕貴はリビングで、ミニマリストのブログに夢中になっている友梨佳に話しかけた。「お前の言う通り、健全な人生のためには、思いきっていらないものを捨てる覚悟も必要かもな」友梨佳はびっくりした顔でスマホから顔を上げたが、その顔はすぐに輝くばかりの笑顔に変わった。「もう! やっと分かってくれたのね! そうよ。ムダを排除して、本当に必要なものだけを持つことが一番大事なの。そういう生き方を、子どもたちにも早い段階から見せてあげることが…」友梨佳の弾んだ声を、裕貴がキッパリとした口調でさえぎった。「それなら俺が真っ先に断舎離すべきは、友梨佳、お前だよ」今ではガランとしたリビングで、友梨佳はポカンと口を開けたまま裕貴を見上げていた。「私が進む道こそが、我が家が進むべき道」と断捨離に没頭した友梨佳さん。夫の意見も持ち物も勝手に断捨離した結果、自分自身が夫の断捨離対象になってしまいました。果たしてこの夫婦の行く末は? 次回は、モラハラ系モンスターの診断チェックテスト、そして友梨佳さん、裕貴さん夫婦の結末をご紹介しましょう。
2018年11月10日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「子どもが生まれたら、子ども中心の生活」。それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、そんなライフスタイルが、夫婦仲にヒビを入れる可能性があることも忘れてはなりません。自分の子どもがかわいいのは当然です。しかし、子どものことしか見えなくなり、夫との関係をおろそかにしていると…家族の基礎である夫婦仲が、確実にぜい弱化していきます。夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫を置いてけぼりにしていた…。夫との間に、決定的な亀裂が入っていた…。今回ご紹介するのは、そんな亜由美さんのケースです。■悲劇は妊活から始まった…“子どもが恋人”ママモンスター誕生「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」代表:亜由美(仮名)38歳の場合「はるくん! タマネギもちゃんと食べなきゃダメだぞ~」大好物のナポリタンで口のまわりを真っ赤にした息子の陽翔(はると)に向かって、亜由美は言った。口では怒りながらも、亜由美の顔は満面の笑み。もうすぐ4歳になるひとり息子が、かわいくてかわいくて仕方がない。郊外の住宅街。子ども部屋やリビングのみならず、ダイニングスペースまで亜由美が厳選したおもちゃであふれ返る家。水色のエプロンをした亜由美は、満ち足りた顔で愛情いっぱいのまなざしを陽翔に向けている。陽翔も甘えん坊特有の上目づかいで、亜由美の顔を見つめている。絵に描いたような幸せな食卓…の片隅に亜由美の夫・敬二は、いつもの仏頂面で座っていた。「あら、あなた、食べないの?」敬二の手つかずのナポリタンを見て、亜由美は言った。「あのさあ、何度言わせるんだよ。俺はケチャップ嫌いだって言ってるだろ。それに甘ったるいタマネギも。なのに昨日はオムライス、今日はナポリタンってこれ…」さっきまで笑顔だった亜由美が、キッと鋭い視線を敬二に向ける。そして、そんな様子を息子には気取られまいと、視線とは裏腹の明るい声を上げて言った。「やだ~、パパがそんなこと言ってちゃダメだよねぇ。はるくんは、タマネギ食べれるでしょ? ほ~ら、パパに、お手本見せてあげて!」妻の取ってつけたような高い声と笑顔に、敬二はうんざりして顔を背けた。妻はいつもこうだ。息子のことしか考えていない。俺のことなんてどうでもいいと思っている…いや、そもそも夫のことなんて、なんにも考えていないのだ。昔はこんなじゃなかった。俺たちだって昔は、仲の良い夫婦だったのだ。そう、妊活が始まるまでは…。もちろん息子はかわいい。けれど、今の家庭の状況、夫婦関係を考えるにつけ、敬二は「こんなはずじゃなかった」という思いをぬぐい去ることができなかった。■奥ゆかしかった妻が「排卵日セックス」要求亜由美が大学生、敬二はすでに会社員として働いていた頃に2人は出会った。敬二の仲の良い同期の恋人が亜由美の大学の友人で、ダブルデートをすることになったのだ。5歳も年下の、しかもまだ学生をしている女の子となにを話したらいいんだ? やたらキャピキャピした子が来たらどうしよう?と心配していた敬二。しかし、自分と同じ奥手で真面目過ぎるくらいの亜由美に、一瞬で好感を持った。亜由美のほうも同じだった。それまでまともに男性と交際したことがなかった亜由美だが、誠実で頼りがいのあるお兄さんのような敬二に、どんどんひかれていった。こうして、晴れて付き合い始めた2人。交際は亜由美が中堅企業の一般職に就いてからも順調に進み、亜由美が27歳、敬二が32歳の時に結婚した。亜由美は家庭的なタイプで、子どもも大好き。きっと理想的な妻になってくれるだろうと、敬二は幸せに浸っていた。そして実際、2人の結婚生活は楽しかった。亜由美が30歳の時に、妊活を始めるまでは。心から子どもを望んでいたのに、自分が妊娠しづらい体質であることが分かった亜由美。思うように妊活の成果が出ないとひどく落ち込んだり、感情的になることも増えていった。彼女の穏やかで落ち着いた人柄を愛していた敬二にとって、これはつらかった。けれど、もちろん妻の苦しみは理解できる。だから敬二は、懸命に妻のサポートを続けた。ところが、亜由美の変化はそれだけではなかった。妊活に取り組む夫婦にとって避けては通れない道とはいえ、敬二は亜由美の寝室での変貌ぶりに衝撃を受ける。奥手で恥ずかしがり屋で、奥ゆかしいところがたまらなくかわいらしかった亜由美が、堂々と排卵日セックスを要求。そのうえ、ネットで見つけてきた「妊娠しやすい体位」を事細かに指示してくるわ、事後にも「妊娠しやすいから」と、いつまでも奇妙な姿勢を取っているわ…。分かっている。妻は一生懸命なのだ。必死なのだ。それは自分にだって、よく分かっている。頭ではよくよく分かっているのだ。だから、敬二はなんとか、亜由美と同じだけの熱意をもって妊活に参加しようとした。それでも、なかなか気持ちが追いつかず、排卵日セックスをひどく億くうに思うようになっていった。でも、これも今だけだ。ずっと続くわけじゃない。妊活さえ成功すれば、自分たちは元通りになれる。元のかわいい亜由美が戻ってきてくれるはずだ。そう自分に言い聞かせて、敬二は耐えた。そして2人の努力がついに実り、亜由美は妊娠。これで妻も穏やかではにかみ屋で、いつも自分を頼って慕ってくれていた昔の妻に戻ってくれるはず…敬二はそう信じていた。だが、事態は彼が望む方向へは進まなかった。妊活中、あれほどセックスを要求してきた亜由美が、妊娠後はセックスのセの字もなくなったのだ。■セックス拒否の妻「子どもが生まれれば…」我慢、我慢の日々妊活中の「必要に迫られてするセックス」から解放された今こそ、昔のような2人に戻れるのではないか。子どもが生まれるまでの数カ月間は、夫婦だけで過ごす最後の時間になる。2人で楽しい時間を過ごしたい。子どもが生まれたら行けないような場所にも行っておきたい。セックスだって子どもが生まれたらしばらくは、なかなかできないかも知れない…。そう考えた敬二はある日、リビングのソファでいかにも幸せそうに妊婦向けの雑誌を眺めている亜由美の隣に座り、肩を抱きながら久しぶりに妻を誘った。すると、妻の表情が一瞬にして激変した。「冗談よね?」妻のこわばった、相手を非難するような表情に敬二は困惑した。「え…、いや、安定期に入ったしさ。妊娠が分かってから俺たち、一度もしてないだろ。それに、おなかが大きくなったら、また難しいだろうしさ…。もちろん、絶対に激しくなんかしないし」「なに言ってるのよ!」亜由美は敬二から飛び退くようにして立ち上がり、敬二をにらみつけた。「安定期に入ったからって、赤ちゃんが無事に生まれてくる保証なんてどこにもないのよ! 赤ちゃんに万が一のことがあったらって、不安にならないわけ!? こんな時にセックスだなんて、敬二さん、どうかしてるわ。あなた、それでも父親なの!?」まるで汚いものでも見るような目つき。相手を完全に突き放し、見下した口調。まったく予想していなかった妻からの反応に、敬二は傷つく。と同時に、心には不満も芽生えた。つい数カ月前まで、こっちが引くくらい求めてきたくせに…。子どもさえできれば、俺はお払い箱かよ。俺は精子バンクか。そんな思いを、敬二はグッと飲み込む。4年近い不妊治療の末に、やっと授かったわが子。亜由美がナーバスになるのも無理はない。そうでなくとも、妊娠中の女性は気持ちが不安定になることがあるという。この件に関しては、自分が悪い。子どもが無事に生まれて、少し落ち着いたら、きっと妻も元に戻ってくれるはずだ。それまで自分が夫として、父親として、しっかりサポートしていかなければ。セックスにこだわらず、夫婦仲を良くしたうえで、わが子を迎える日に備える。敬二はそう思うことにした。ところがその後、敬二の心は妻からどんどん離れていくことに。正確には、亜由美が敬二にまったく関心を示さなくなり、敬二も「仲良し夫婦」を目指すのをあきらめてしまった、といった状態だ。亜由美はヒマさえあればあらゆる妊婦向け雑誌やウェブサイトを読みふけり、とにかく生まれてくる子どものことしか眼中にない。2人で並んで座っていても、スマホの妊婦向けアプリに夢中で、敬二が話しかけると露骨に面倒臭そうな顔をする。クレジットカードの請求がびっくりするような額になっていて、敬二が亜由美に問いただしたこともあった。すると妊娠中に食べると良いらしい健康食品をネットで見つけては、あれこれ注文したとのことだった。これまたネットでどこかの国の聞いたこともない教育法の情報を見つけてきては、なにやら高価な材料を取り寄せて、寝具やら知育玩具やらを作り始めたりもしている。正直、敬二はついていけなかった。子どもを迎える準備といえば、夫婦で子ども服やおもちゃを見に行って、ああでもない、こうでもないと、楽しく頭を悩ませるシーンを想像する。ところが実際には、「プロの妊婦」と化した妻がどんなことでもリサーチにリサーチを重ね、完璧かつ最高の条件を用意して子どもの誕生を待ち構えている。そこに敬二が入り込む余地はない。すると今度は「あなたの子でもあるのに、やる気あるの?」と亜由美に責められる。そんな生活に、敬二は嫌気がさし始めた。そうこうしているうちに待望の第一子、陽翔が生まれた。■夫は邪魔者? 息子を溺愛すぎる妻亜由美の母親ぶりは申し分ない。赤ん坊の夜泣きの対応をどちらがするかで夫婦けんかになるなどという話も聞くが、亜由美と敬二の間にそんな問題は皆無。どんなに疲れていても陽翔が少し声を上げれば、亜由美は飛び起きてすっ飛んでいく。「亜由美、疲れてるだろ。俺が見るよ」と敬二が言っても、「ダメ。はるくんには特別なあやし方があるんだから」と言って、亜由美は陽翔を渡そうとしない。妊娠が判明した直後からさんざん育児書を読みあさっていただけあって、亜由美の母親としてのパフォーマンスは最高だった。ところが…敬二の亜由美に対する不満は、息子の誕生後も募る一方だった。亜由美の献身的な母親ぶりには、もちろん感謝している。けれど、今の亜由美は陽翔の母親であって、それ以外の何者でもない。夫のことなどまるで眼中になく、夫の意見など完全スルー。彼女が夫を必要とするのは、子どもにかけるお金が欲しい時だけだ。もはや亜由美には、「妻」らしさがまるでない。夫との関係になど、まったく関心がないように見える。セックスに誘えば「疲れてるから」「はるくんがいつ目を覚ますかわからないから」と、いつもいつも同じ言い訳。そして「こんなに疲れてるのに、一体なにを言い出すのよ」「隣の部屋で子どもが寝てるのに、信じられない」という、軽蔑に満ちたまなざし。産後十分な期間待ったつもりなのに、一体、何度冷たく断られたかわからない。食事も、家の中のあれこれの配置も、生活パターンもすべて息子が中心。そして亜由美は、それを夫にも強要してくる。敬二の好きな和食が食卓に上ることはほとんどなくなり、陽翔の好物の洋食ばかりが用意される毎日。さらに亜由美は「父親がお酒を飲む姿を子どもに見せたくない」と、敬二のささやかな楽しみだった晩酌まで禁止する。シンプルにまとめて居心地の良かったリビングも、今では陽翔の「知育玩具」だらけ。壁にも目がチカチカするような「あいうえお」や「ABC」の表が何枚も貼り付けられている。敬二がこだわって選んだテレビボードに陽翔がシールを貼ってしまっても、亜由美は黙ってニコニコしていた。育児や教育の方針についても、亜由美は絶対君主制を敷いている。陽翔とずっと一緒にいるのは自分だし、自分は育児についてものすごく勉強しているのだから、自分のやり方こそ絶対に正しいと言う。例えば、亜由美が陽翔を甘やかし過ぎている気がして、敬二が少し強い口調で陽翔に注意でもしようものなら、すぐさま亜由美は飛んできて陽翔を擁護する。「叱らない育児」「ほめて伸ばす教育」という類の本を片っ端から読んでいる亜由美は、敬二が陽翔に少しでもきつい口調になると、もう我慢ならない。そして、そんな亜由美の言動について、陽翔のいるところで反論しようものなら、ギロリとにらまれ小声で「後で」と言われる。亜由美は「子どもに両親が言い争う姿を見せてはならない」という主旨の心理学者の記事をネットで読んだらしい。陽翔が起きている間は、意見することすら禁じられるようになった。そして陽翔が寝静まった「後で」2人の関係・問題について話し合おうとしても、亜由美は「疲れてるのよ」と言って、自分もさっさと寝てしまう。「あなたとの関係なんて、どうでもいいのよ」。敬二はそう言われているように感じていた。この家の王様は陽翔で、亜由美はその忠実な従者。そして、自分は…この家庭にとって自分は、ただのATMだ。いつしか敬二はそんな風に感じるようになっていた。■「俺は精子バンクか?」夫の怒りがついに爆発!そんなある日。敬二が寝室に入ると、いつもは先にひとりで寝ている亜由美が、珍しく起きて待っていた。「どうしたんだよ」敬二がいぶかしげにたずねると、亜由美は言った。「ねえ、はるくんももう4歳でしょ。私、もう1人、子どもが欲しいの」そして久しぶりに、本当に久しぶりに、敬二に向かって笑顔を見せた。この笑顔を、俺はずっと待っていた。待っていたはずなのに…。敬二は自分が奥歯をかみしめているのに気づいた。「ねえ、なんとか言って…」亜由美が言い終わる前に、敬二が怒鳴り声を上げた。「ふざけるな!」一瞬にして亜由美の顔から笑顔が消え失せ、目が一気につり上がる。「シッ! ちょっとなんなのよ、はるくんが起きちゃう…」亜由美の言葉をさえぎって、敬二は怒鳴り続けた。「おまえは俺のことなんか、精子バンクかATMとしか思ってないんだよな。さんざん俺を無視しやがって、欲しいものがある時だけ愛想よく笑ってみせて…もう、うんざりなんだよ!」ようやく授かったわが子を溺愛する亜由美さん。母親としては完璧ですが、妻としては…夫に我慢を強要し続け、ついに沸点まで追いつめてしまいました。母親の役目は、確かに大仕事。けれども妻の「完全ママ化」は、夫婦関係の悪化を招いてしまいます。あなたも「母親」としての役割しか見えなくなって、夫を無視して暴走するモンスターに変身してしまう危険性を抱えてはいませんか?幸せな子どもは、幸せな家庭から。幸せな家庭は、幸せな夫婦から。愛するわが子のためにも、夫婦仲をもっと大切にしましょう。その第一歩として、まずは、次回ご紹介する「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」チェックテストをお試しください。
2018年10月27日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。まずは「就活」に勤しみ、その後「婚活」も闘い抜いた女性たちの次なる闘いは「妊活」…。社会に、世間に、次から次へと「○○活動」を押し付けられているような気がして、息がつまるような思いをしている女性も少なくないのではないでしょうか。ある行動が「○活」と呼び名を持つようになると、それは「みんながしていること」と認識されるようになります。するとメディアによる情報提供が増え、個人間で体験や意見を交換し合う場も一気に増加。SNS全盛時代の今、その傾向は強まる一方です。スマホひとつあれば24時間、いつでもどこでも、あらゆる情報が流入してくる時代。もちろん、情報というものは、うまく活用できればとても有益なものです。けれど、世間に氾濫する情報に流され、溺れ、SNSにあふれる「体験談」と自分の現状を比較して苦しむ…そんな女性が増えている気がしてなりません。特に「妊活」中の女性は、そんな情報社会の犠牲者にならないよう、ご自分の身を守ってほしいと思います。今回は、そんな思いをこめて、麻子さんのケースをご紹介しましょう。■妊活のはてに…「なにもかも、どうでもいい」「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」代表:麻子(仮名)36歳の場合「あぁ、またソファで寝ちゃった…」午後3時。リビングのソファで目覚めた麻子は、ぼんやりつぶやいた。おかしな姿勢で長時間寝ていたせいで、体のあちこちが痛い。そうでなくても、最近の麻子は全身が絶不調だ。いつもだるくて気分が悪く、体が重くて仕方がない。眠い目を開けると、目に入って来たのは散らかり放題の部屋。床にはビールや酎ハイの空き缶と、いかにも体に悪そうなおつまみの空袋が転がっている。ダイニングチェアには、洗ったままの洗濯物…いや、あのトレーナーはまだ洗濯してなかったっけ。ゴミ箱もいっぱいで、今にも中身があふれそうだ。でももう、なにもかもどうでもいい、と麻子は思った。眼前のカオスをこれ以上見ていたくなくて、目をつむる。そして、窮屈な姿勢のまま、彼女は再び眠りについた。■学業、就職、結婚…「努力さえすれば夢はかなう」麻子はこれまで、ずっと優等生だった。大人にやりなさいと言われたことには疑問を抱くこともなく、いつでも素直に従う子ども。おとなしく真面目で勉強もできたから、親や教師の覚えもめでたいタイプだ。そして、そこそこのレベルの公立大学に進学する。料理自慢の母に似て、趣味は料理とお菓子作り。周囲からはいつも「いいお嫁さんになりそう」と言われていた。そして麻子本人も、「私は特別、興味のある仕事なんてないけれど、家事は苦にならないタイプ。子どもが大好きだし、早く結婚して幸せな家庭を築きたい」と思っていた。ところが大学入学後、ほどなくして出会ったあるアクセサリーブランドが、麻子の人生を大きく変えた。若い女性を対象としたそのブランドのアイテムは、どれも繊細でかわいらしい。お値段的にも、アルバイトを頑張れば学生でも手が届く価格だ。麻子は家庭教師のアルバイトに励むかたわら、暇さえあればこのアクセサリーショップに通いつめ、バイト代がたまるたびに1つずつお気に入りを増やしていった。大学3年生になる頃には、ショップの店員全員と顔見知りになるほどだった。そんなある日、麻子は、このショップが販売員を募集していることを耳にする。大好きなアイテムに囲まれて働くことができたら、どんなに幸せだろう。麻子は、早速ショップの責任者に懇願したが、「うちでは学生のアルバイトは採用していない」という回答。それでも麻子はあきらめられなかった。自分がどれほどこのブランドに夢中か、どれほどブランドのコンセプトを熟知しているか、もしも採用してもらえたら、どれほど骨身を惜しまずに働くかを熱弁した。すでに麻子と何度も顔を合わせており、麻子のブランドへの熱烈な愛着を理解していたこの責任者は、麻子の希望を本社にかけ合ってくれた。「この子はうちの商品のことは、もう社員並みに熟知している」という責任者の推薦のおかげで、麻子は例外として学生ながらアルバイト採用されることになる。採用時に誓った通り、麻子は本当によく働いた。大好きなブランドのショップで働くのが、楽しくて仕方なかった。彼女の熱心な働きぶりは本社にもたびたび伝わり、麻子は大学卒業後、正社員としてこのブランドで働けることになった。麻子にはさらに大きな夢が芽生える。今は販売部にいるけれど、いつかはデザイン部で働きたい。そんな思いを胸に、24歳の麻子は新たな目標に向かって走り出した。忙しく働きながら、アクセサリーのデザインの勉強を始めたのだ。そして27歳の時に、ついにデザイン部へ異動。すべてが思い通りに運び、麻子は有頂天になってしまう。「私の人生、なにもかもうまくいっている。努力してるから当然よ。頑張ればなんだってできるの。努力さえ惜しまなければ、どんなことだって達成できるんだから」麻子は充実感でいっぱいだった。デザイン部でも人一倍努力し、成果を認められた麻子。「いいお嫁さん」という以前のゴールを忘れたわけではなかったが、仕事に没頭して気づけば29歳。しかし、人生が充実している時には、忙しく過ごしていても良縁が転がりこむものだ。麻子に人一倍目をかけていたデザイン部の先輩が、夫の大学時代の後輩を紹介してくれたのだ。麻子より2歳年上の俊は、小さな雑貨輸入会社勤務。こだわりを持つ大人を対象とした文具の輸入を担当しており、自分の仕事や扱う商品に誇りを持って生き生きと働いていた。仕事に情熱を傾ける2人は、あっという間に意気投合。精力的に仕事を楽しみつつ、料理上手で家事もテキパキこなす麻子に、俊がプロポーズするまでに時間はかからなかった。やさしく思いやりにあふれ、自分のことも自分の仕事も尊重してくれる俊からのプロポーズに、麻子は「はい!」と即答した。30歳の秋だった。■「妊娠しない…」結婚3年目の不安仕事と結婚生活の両立もうまくいった。ブランドの新作発表前になると、麻子はオフィスに泊まりこみ徹夜で働くこともあったが、俊は麻子を応援してくれた。学生時代から一人暮らしをしていた俊は、家事も自分でこなせる。多忙な麻子が家事に手が回らない時にも、2人が衝突するようなことは皆無だった。そして、互いに仕事が落ち着いている時期には、一緒に旅行へ出かけ、おしゃれなショップやカフェを回ったりして、楽しい時間を過ごした。ところが、結婚3年目。麻子はある不安を抱き始めた。夫婦生活は普通にある。そして子どもが欲しい麻子は、避妊をしていない。それなのに、3年たっても妊娠しない。危機感を抱いた麻子は、ネットで「タイミング法」や「妊娠しやすい体の作り方」について調べ、実践し始めた。「妊活」と銘打ったサイトが、山のように見つかる。「私はこうして妊娠した」といった成功者のアドバイスを、あれこれ試す日々。けれど1年続けても、効果はあらわれなかった。病院嫌いの麻子だったが、さすがに専門のクリニックにかけこんだ。さまざまな検査の結果、ホルモンのバランスが原因で、麻子は妊娠しづらい体質であることが判明。目の前が真っ暗になった。結婚して、子どもを生んで、温かい家庭を築く。それはもう、ずっと昔から当たり前に実現されるべき幸せの形として、いつも麻子の心の中にあった。全力で情熱を傾けられる仕事に出会って、優先順位が2番目になっていただけのこと。忘れたわけでも、あきらめたわけでもない。けれど、私ももうすぐ34歳。「第1子は35歳までに」と、みんなが言っている。仕事は相変わらず最高に面白いけれど、そろそろ「妊活」にも時間を割くべきではないのか。そうしなければ、きっと後悔する…。そう考えた麻子は、ホルモン治療を受け始めることにした。夫の俊は「子どもは好きだけれど、授からなければそれでも構わない」という考え方だが、麻子の願いを知っていたため、「2人で治療を頑張っていこう」と言ってくれた。翌週から、麻子のホルモン療法が始まった。■不妊治療「仕事と子ども、どっちをとる?」副作用に関する説明は受けていた。受けてはいたのだが…。いざ治療が始まると、麻子は想像以上の苦痛にさいなまれることになった。頭痛と吐き気に悩まされ、体が重くて仕方がない。そんな体調不良のせいなのか、それとも精神面への副作用なのかわからないが、気分もひたすら重く、鬱々としてしまう。そんな状態なので、なかなか仕事に集中できない。ただでさえクリニック通いで、以前より職場に迷惑をかけているのに…。麻子は肉体的にも精神的にも追いつめられ、ギリギリと歯を食いしばりながら毎日仕事に通っていた。そんなある日。新作発表前の怒涛(どとう)のスケジュールについて行けなくなった麻子は、とうとうオフィスで倒れてしまう。連絡を受けて、あわててかけつけた俊の車の助手席で目を覚ました麻子は、消え入りそうな声で「ごめんなさい」とつぶやいた。涙が流れて止まらない。普段ならすぐにやさしい言葉をかけてくれるであろう俊が、この日はいつになく強張った顔のまま、麻子のほうを見ずに黙って運転を続ける。そして重苦しい沈黙の後、思い切ったように俊は口を開いた。「麻子にとって仕事がどれだけ大切か、俺も分かってるつもりだよ。でも、最近の麻子はあまりにしんどそうで、俺、見てられなくて…。こんなこと、本当は言いたくないけど…」「待って」苦しそうに、慎重に言葉を選びながら話す夫を麻子がさえぎる。「分かってるの、私も。仕事も子どもも、本当は両方あきらめたくないのよ。でも、両方同時には手に入らないんだとしたら、タイムリミットが迫ってる妊活のほうを優先しないといけないのよね…」麻子の顔は、涙でグチャグチャになっていた。俊は人気のない場所に車をとめると、麻子にハンカチを渡し、彼女の手を握った。「麻子、ずっと忙しかっただろ。いくら楽しんで働いていたとはいえ、やっぱり激務は体にこたえたと思うし、ストレスもあったと思う。一緒に見た妊活サイトにも『ストレスは大敵』とか、『リラックスできるライフスタイルになった途端、妊娠』とかって話が載ってただろ。麻子もあっさり、そんなことになるかもよ。それに麻子、『時間に余裕があれば、もっと気合いを入れて料理したいのに』っていつもボヤいてたじゃないか。そういうことを、のんびり楽しんだらいいんじゃないかな。俺も豪華な料理が食べられるようになるの、楽しみだなぁ」努めておどけたようにそう言う俊のやさしさに、麻子は泣き笑いの顔で応えた。こんなにやさしい人が夫で、本当によかった。今まで仕事を全力で頑張ってきた分、これからは妊活を全力で頑張ろう。大丈夫。きっとうまくいく。これまでずっとそうやって、なにもかもうまくいってきたんだから…。夫の手を握り返しながら、麻子はそう心に誓った。そして、その翌日には、会社に退職届を提出する。■結果が出ない妊活「好きだった仕事まで辞めたのに…」その3カ月後に退職して、麻子は生まれて初めて専業主婦になった。それまで朝から晩までオフィスで働いてきたため、最初の1週間は戸惑いがあまりにも大きく、なにもできないまま終わってしまった。が、翌週からは気を取り直して、妊活成功のためのスケジュールを練り始めた。ネットで妊活情報をリサーチしていてしょっちゅう見かけた「温活」スタジオや、ヨガ教室。「これまでは時間がなくて無理だったけど、これからは行けるのよね」妊活に効果的なメニューも毎日用意するのは難しかったけれど、これからはレシピを検索する時間も、買い物に行く時間も、料理する時間もいくらでも取れる。「あ、お野菜はできるだけ、農薬が使われていないものを選ぶべきなんだった。有機野菜のお取り寄せサービスも、契約しちゃおうかな」こうしてあっという間に、長い長い「妊活To Doリスト」が出来上がった。これを一つ一つきちんとこなしていけば、必ず妊娠というゴールにたどり着けるはず。ただの大学生だった私が大好きなブランドの正社員になって、デザイン部にまでたどり着けたように…。麻子は再び、自分の中にやる気とエネルギーが満ちあふれるのを感じた。ところが、やる気が大きければ大きいほど、費やした労力や金額が大きければ大きいほど、それが報われなかった時の絶望感も大きい。なんの成果も得られないまま、妊活に専念する生活が半年も過ぎると、麻子は仕事を辞めたことを激しく後悔するようになった。あんなに大好きだった仕事をあきらめて…今の私は毎日毎日、温活のために退屈で死にそうになりながらよもぎ蒸しに通って、授かりヨガに通って。大好きなお酒もコーヒーもダメ、お料理だって塩分ひかえめじゃなくちゃダメ、苦手な発酵食品も食べなくちゃいけない。仕事を辞めればストレスがなくなって妊娠しやすくなるなんて、大ウソよ。ネットの「妊活成功体験談」なんて、信じるんじゃなかった。働いていた頃よりこの妊活生活のほうが、私にとってはよっぽどストレスだわ。ストレスと欲求不満と後悔で、麻子は頭がおかしくなりそうだった。それでも必ず赤ちゃんを授かれるというのなら我慢できる。でも、そんな保証はどこにもないのだ。仕事の繁忙期はキツかったが、いつでも終わりが見えていた。けれども妊活はいつ終わるのか、いつ終えることができるのか、誰にも分からない…。でも大事な、大好きな仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだ。なにがなんでも、絶対に成功させなければならない。いや、絶対に成功させてみせる。「これまでずっと、そうやって欲しいものを手に入れてきたんだから。もっと頑張らなくちゃ。頑張れば、必ず道は開けるんだから」麻子はそう思い、より強力なホルモン療法を希望した。医師には「あなたは副作用が強く出るタイプだから、あせらないほうがいい」と言われたが、麻子は譲らなかった。治療の副作用が以前にも増してひどくなってからも、麻子は日々熱心に妊活に励んだ。毎日何時間もネットサーフィンを続け、「コレで妊娠!」といった情報を見つけては、サプリメントであれエクササイズであれ、なんでもとり入れた。それでも妊娠できないまま1年が過ぎると、麻子は精神的にひどく追いつめられていった。日々の努力もむなしく無情にも生理が来てしまうたびに、麻子は荒れるようになる。普段「健康的なライフスタイル」「健康的な食生活」を徹底している反動で、まるで体を傷めつけるかのような暴挙に出るようになったのだ。生理が来たその日にはお酒を浴びるように飲み、塩辛いおつまみや油分でギトギトのファストフードを、気分が悪くなるまで胃につめこむ。よもぎ蒸しもエクササイズも当然すっぽかして、ひたすら飲み食いしながらテレビの前でボンヤリ…。翌日は、強烈な二日酔いと自己嫌悪に襲われて、無気力感でいっぱいになり、なにもできずに1日が終わる。そしてこの「なにもできない日」の日数が、毎月次第に増えていく。気づけば生理が来てから1週間は病的な無気力感に襲われて、妊活もまったく再開できないような状態になっていた。そして「魔の1週間」が終わっても、体や心は常に重い。麻子の頭にはもう、妊活以外のことはなにひとつ思い浮かばなくなっていた。妊活をしている時以外は、空気が抜けた風船のように、常にソファに寝そべっているような状態。基本的な家事も手につかず、洗濯物、洗い物、ゴミがどんどんたまっていく。この頃になると、麻子は自分の感情をコントロールすることができなくなっていた。毎日欠かさずチェックしている妊活ブログで妊娠の報告を目にして、手にしていたマウスを壁に投げつけて壊してしまったことがある。麻子の現状を知らない友人からメールで妊娠を知らされた時には、ベッドに潜りこんで金切り声を上げて怒り狂い、メールにはとうとう返信せずじまいになってしまった。献身的に麻子を支えてきた夫の俊も、急激に変わっていく妻をもてあますようになっていった。俊は基本的に残業や出張が少なく、また多くの夫が苦手とする「排卵日セックス」にもいつも協力的だったはずなのに…。■ついに夫から「排卵日セックス」拒否「今日は絶対に早く帰ってきてね」と麻子が念を押していたある日、俊から電話が入る。「麻子、本当にごめん! イタリアから来た新しい仕入先のお偉いさんのフライトが、急にキャンセルになっちゃって。彼、日本は初めてだし、日本語も全然分からないし、俺がアテンドしないといけないんだ。本当に申し訳ないけど、今夜は…」俊が言い終わる前に、麻子はものすごいけんまくで怒鳴り始めた。「冗談じゃないわ! こっちは年にたったの12回しかチャンスがないのよ! そのたった12回のために、私が毎日どれだけつらい思いをしてるか、俊は全然分かってない。そんな外国人なんかほっといて、とっとと帰って来なさいよ!」その時「イタリア人のお偉いさん」は、俊の隣にいたらしい。低い声で短く「悪いけど」と一言告げて、俊は電話を切ってしまった。麻子は背中を震わせ、しゃくりあげながら泣いた。事の重大さを、夫はまったく分かっていない。チャンスは月に1度だけ。そして私は、刻一刻と年を取っている。妊娠できる可能性は、どんどん低くなっていく。だから少しでも早く結果を出すべく、私は最大限の努力をしているのだ。それなのに夫はなぜ、私の全身全霊をかけた努力を無にするようなことができるのか…。気づけばクッションカバーが破れ、写真立ては倒れ、コップも床で粉々になって、リビングは惨憺(さんたん)たる状態。麻子はソファに倒れこみ、涙でぬれた顔のまま目をつむる。毎日毎日、つらいだけ。楽しいことなんて、なにひとつない。妊活のための運動、妊活のための料理…私はまるで、妊活のためだけに生きながらえているゾンビみたい。それでも…それでも努力が実るその日まで、なんとか、どうにか、頑張り続けなければ…。麻子はスマホを手に取り、毎日何度となくチェックしている『ベビ待ちコミュニティ』のページを開いた。そして無表情のまま、深夜まで妊活情報を探し続けた。スマホはもはや、地獄の入り口に化していた。順風満帆な仕事を楽しみ、幸せな結婚も果たした麻子さん。真面目な努力家で家庭的な奥さんです。そんな麻子さんが、突如、妊活モンスターに変身。妊活というのは重大なテーマだけに、事がうまく運ばないと、それまで「いい奥さん」だった妻まで一気にモンスターワイフと化してしまう恐れがあります。あなたも麻子さんのように、妊活モンスターの泥沼に引きずり込まれないように。次回の後編をチェックして、注意点を確認してください。
2018年10月13日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「いつまでも若く美しく」。それは女性の究極の願い。そんな女性たちの願望を反映して、今やアンチエイジングは一大産業です。美容院やエステサロンのソファでめくる美容雑誌。息を飲むほど美しいモデルたちの笑顔…。最新の技術・研究のおかげで、女性たちの「見た目年齢」はかつてないほどの若返りを実現しました。ついには「美魔女」と呼ばれる女性たちまで登場しました。妻たちがいつまでも若々しく、かわいらしく、女性らしい…。そんな社会が到来すれば、私の人生テーマである「仲良し夫婦」の人口は確実に増えていくでしょう。ところが残念ながら、女性なら誰もが持つこの「アンチエイジング願望」が暴走し出し、妻をモンスターワイフ化させてしまう恐れがあるのです。「若くありたい。誰よりも美しくありたい」そんな女心に、モンスターがつけ入るスキを与えないよう、今回ご紹介するケースを他山の石としてください。■子どもが独立「残ったのはオバサン化した自分だけ」美魔女ブームにあせり…「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」代表:翔子(仮名)49歳の場合「え、この人が50歳? ウソでしょー!?」リビングのソファでスナック菓子をつまみながらスマホをながめていた翔子は、一人で大声を上げてしまった。1年前、長年使用していた「ガラケー」がとうとう故障。翔子はいらないと言い張ったが、次男の和明に「今どきガラケーなんてもう売ってないから」と説得され、新しく持たされたのがこのスマホだった。少し前まで翔子のスマホは、ガラケーと同じように電話とメールにしか使われていなかった。ところが3カ月前、和明が大学を卒業して就職のために首都圏へ引っ越すと、ポッカリと空いた時間と心の隙間を埋めるように、翔子はスマホが手放せなくなった。翔子は21歳の時に、同い年の正人と結婚。2人の息子に恵まれた。正人は真面目な働き者。しかし小さなメーカーに勤める夫の収入だけでは、大学卒業まで続く息子2人分の教育費などをまかなうのは難しい。そう考えた翔子は、若い頃からあらゆるパートに精を出した。5年前からは近所のスーパーで、週に5日働いている。そんな翔子の努力を知ってか知らずか息子たちは立派に育ち、2人とも国公立大学に進学してくれた。そして兄に続いて優良企業への就職を果たした次男も、ついに実家を巣立っていったのだった。長い間、子ども中心に過ごし、夫よりも子どもたちと一緒に過ごしてきた翔子。2人の子どもが独立した今、家での時間をどう過ごしていいか分からない。夫と話をしようにも、息子たちの近況やテレビニュースくらいしか話題がなく、会話が続かない。そんな時、次男が残していってくれたスマホが目に止まった翔子。彼女は驚いた。こんな小さな携帯ひとつで、あらゆる情報が瞬時に手に入る。ネット上には料理のレシピにダイエットのエクササイズ、あらゆる情報があふれている。しかもそれらが全部タダ。翔子は一気にネットサーフィンのとりこになった。そんなある日。健康に関する情報を探していた翔子は、とある美容サイトにたどり着いた。そこで彼女は耳慣れない言葉を目にする。「美魔女…?」そこには女優かなにかのような、華やかな女性の笑顔。その横にはひとこと、「私、50歳に見えますか?」。「50歳って…私より年上!?」翔子は衝撃を受けた。そして思わず、リビングの鏡の中の自分の顔をのぞき込む。…スマホの中で微笑んでいるこの女性と私は、まるで別の生き物だ。これまで家事や育児とパート仕事ばかりの生活で、自分の外見だの美容だのといったことは、気にかけたことすらなかった。けれど特に根拠もなく、自分の見た目は「年相応」だろうと思っていた。ところが、私が忙しく日々を過ごしているうちに、「年相応」などという基準はなくなってしまったらしい。そう思ったらなんだか急に、翔子は自分のたるんでくすんだ肌、最後に美容院に行ったのがいつだったか思い出せないほどのバサバサ髪を、とてもみじめに感じた。「こういう人たちってどうせ、ものすごいお金持ちの奥様とかなんでしょ。庶民は足を踏み入れることもできないような、会員制高級エステとか? そんなところの化粧品ばっかりそろえてるのよ。そりゃあ金に糸目をつけなければ、美しさも買えるってもんよね…」くやしまぎれにブツブツ言いながらスマホをいじっていた翔子の指が、ピタリと止まった。「奇跡の美魔女・麗子さんプロデュースのコスメの購入はこちらから…? え、なに、この人が使ってる化粧品が、買えるの? それもスマホで?」翔子は思わずネットショップのページへと飛び、「おためしセット」の値段を確認してしまう。「2週間分が3,000円って、高い! いつもドラッグストアで買ってるオールインワンジェルは1,000円しないし、2カ月はもったわよね。お得なセットで3,000円って、高すぎるわよ!」そう思いショップのページを閉じようとした翔子だったが、ふと考えた。これまで和明にかけてきたお金、これからはある程度自由になるのよね…。次男の引越しがすんで以来、翔子の銀行口座の残高は増える一方だった。パートとはいえ、週に5日働いていればそこそこの額が稼げる。老後に備えるためにも、もちろん給与のすべてを「おこづかい」として使えるわけではない。けれども、これまでなんだかんだと息子のために消えていったお金の一部を、自分のために使ったってバチは当たらないだろう。これまでずっと、家族のために頑張ってきたんだから…。それでもまだ躊躇(ちゅうちょ)している翔子の背中を、スマホで微笑む美魔女の麗子さんが押した。「私が特別なわけではありません。丁寧なお手入れを続ければ、あなたの中の若々しさや美しさも、必ず目を覚まします」「…よし!」翔子は「購入」ボタンをクリックした。■美魔女活動に精を出す妻「若さを取り戻したい!」しかし、夫は無関心…その日から翔子の生活は一変した。ヒマさえあれば、スマホで美魔女情報探し。彼女たちは、その実年齢がとても信じられないほど若々しく、かわいらしい。私だってもっと若ければ、こんな服を着てみたかった。こんな髪型にも挑戦してみたかった。美魔女たちは翔子がそんな風に憧れるスタイルを、年齢にとらわれず自由に楽しんでいるように見える。そんなスマホの向こう側の美魔女たちを連日ながめているうちに、翔子は自分の人生は間違っていたのではないかという絶望感にさいなまれ始めた。私はずっと家事と育児に追われて、一番きれいな時期、楽しい時期を、これっぽっちも楽しまずに年をとってしまった。体重もシミもシワも、白髪までどんどん増えて、花柄のワンピースもピンクのミニスカートも、明るい色のゴージャスな巻き髪も、私にはもう無理…。心を押しつぶすような後悔の念が、翔子に重くのしかかる。「今から、少しでも若返りたい」そう切望した翔子は、「有名美魔女」オススメの商品とあらば、化粧品であれサプリメントであれ飛びつくようになった。当然、パートの給与はどんどん消えていくため、それまでは「家庭第一」と断っていた週末の出勤や遅番も、翔子は引き受けるようになった。さらにダイエットのために、毎日最低1時間のウォーキングも開始した。使える時間とお金を一気に美容に傾注した甲斐あって、翔子の体重は順調に落ち、肌や髪もツヤを取り戻し始めた。パート仲間たちは、すぐに翔子の変化に気づいてくれた。「なんだか最近スッキリしたね!」「お肌の調子が良さそう。化粧品変えたの?」そんな言葉をかけられるたびに、翔子は幸福感に満たされた。結婚後すぐに妊娠。出産して以来ずっとあきらめてきたものを、私は今、取り戻している。そう思ったら、翔子の若返り熱にはもう歯止めがきかなくなった。「私だって美魔女になりたい。若い頃にできなかったことを、今からだってやってみたい」憧れの美魔女たちのブログやインスタグラムをくまなくチェックするのが、翔子の日課になっていた。彼女たちの生活の中に少しでもマネできそうなことを見つければ、すぐさま自分の日常に取り入れる。近所の大型衣料品店で買っていたダボダボの部屋着は、丈の短い花柄のワンピースになった。「近いから」というだけの理由で10年以上通っていた美容院は卒業。ネットで見つけたおしゃれなヘアサロンで、カラーリングとパーマをオーダー。ファッション雑誌など以前は買ったことがなかったが、今では毎月2冊以上を購読。それも「無難に年相応」な雑誌ではない。美魔女たちをマネて20代の女の子のようなかわいらしさを追求し始めた翔子は、20代向けの女性誌を読みあさるようになる。美魔女たちがSNSで発信しているように、「愛され系」「艶っぽ系」に大変身して、夫ともラブラブ…というのが、翔子の思い描いたシナリオだった。ところが…これだけ努力して成果を上げているにもかかわらず、夫の正人が翔子にほめ言葉らしきものをかけてくれたことは一度もない。「お父さん、私8キロも痩せたのよ。部屋着だってすごくおしゃれに、女っぽくなったでしょ。お肌も髪も若返ったって、パート仲間にもほめられるのよ。なのにお父さんは、どうしてなにも言ってくれないの?」夫が鈍感なタイプであることは、もうずっと前から分かっていた。でも、それにしたって…これだけきれいに、色っぽく若返ったのだ。面と向かってほめるのが照れくさいなら、ちょっと態度がやさしくなるくらいでもいい。これまでの結婚生活で捨てざるを得なかった「オンナ」を、私は今取り戻そうとしているのだ。夫にも私のことを、ひとりの女性として扱って欲しい。美活に没頭する一方で、翔子のそんな欲求不満はどんどんふくらんでいった。■夫とセックスレス「露出多めの下着やナイトウエア」で迫ってみたものの…そんなある日、いつものようにスマホでアンチエイジングの特集記事を読んでいた翔子は、衝撃的な見出しを目にする。「いつまでも若い女性は、ベッドでもいつまでも現役!」「女性ホルモンの分泌を促進する『若返りセックス』!」翔子は動揺しつつ、記事を読み進める。「いくら努力してスタイルやお肌のコンディションを維持しても、セックスから遠のいてしまった女性には、女性らしい艶や潤いが足りません。ベッドでもいつまでも『現役』の女性は、セックスなしでは醸し出せない女らしさ、色気をまとっています。そんな女性は、いくつになっても魅力的。セックスによって女性ホルモンの分泌が促進されると、女性は心も体も若返ります。セックスこそ、最高のアンチエイジングなのです」翔子は愕然とした。どんなに時間とお金をかけて努力しても、セックスなしじゃダメってこと? もしかして、「美魔女」たちがあんなに輝いてどこからどう見ても年齢不詳なのは、セックスの効果? セックスこそ、アンチエイジングの決定打ということか…。そこまで考えて、翔子は思考停止におちいってしまった。セックスって、私もうどれだけしてないのかしら。次男が生まれてから、ほとんどしていない気がする…ってことは、20年以上!? 希望通り2人の子どもを授かって以来、セックスについて考えたことなんてなかった。でも美魔女たちは、40代、50代になっても「してる」ってこと?セックスがアンチエイジングの最終兵器になるというのなら、絶対に試してみなければ。「ラブラブ夫婦」への突破口も、ここから開けるかもしれない。翔子は夫をベッドに誘う決意をした。金曜日の夜。それほど遅くなる前にベッドに入った翔子は、夫の背中に手を置いて話しかけた。「ねえ、お父さん…」「あ?」正人の声はすでに眠そうで、話しかけられて迷惑そうな様子。「あ、なんでもない」翔子はあわてて手を引っ込める。あまりにも久しぶり過ぎて、どこからどう話を切り出していいか分からない。どうしたものかと策をめぐらせていると、1分もたたないうちに夫の寝息が聞こえてきた。翔子は仕方なく、自分も眠りにつくことにした。翌日。翔子はスマホとにらめっこしながら、「夫をさりげなく誘う方法」をリサーチしていた。「愛され妻になるための方法」といったホームページやブログが、山のようにヒットする。「完全なマンネリ夫婦で色っぽい雰囲気にならないのなら、ナイトウエアを工夫してムードを演出?」ナイトウエアって、パジャマのことでしょ? パジャマなんて私、ショッピングモールの福袋に入ってたのをなにも考えずに着てたわ…。その記事には、ツヤツヤしたサテンのネグリジェの写真が添えられている。かわいい…でもこんなの、若い子向きでしょ。あ、このページから、オンラインショップにジャンプできるのね。今ならセール中で4,000円? 私の年齢じゃムリかと思ったけど、家で、しかも夜しか着ないんだからいいかしら。それに、うちのお父さんは鈍感だもの。これくらい思いきらないと、気づいてもらえないかもしれないわ。結局、翔子はその日、「おうちでもオンナに手を抜かない」「寝姿もセクシーにかわいく」というキャッチコピーのパジャマやネグリジェを3着購入した。すぐに購入した商品は届き、早速鏡の前で身に着けてみる。ダイエットの甲斐あって、体のラインがあらわになってももう見苦しいことはない。お父さん、なんて言うかしら。翔子はドキドキしながら夜を待った。ところが…正人はネグリジェ姿の翔子をひと目見るなり、「なんだ、そりゃ」と眉をひそめた。「ネットでね、セールになってたの。たまにはこういうのもいいかと思って…」「いくら安くても、それはないだろ。そんなスースーした格好して、腹こわすぞ」それだけ言うと、正人は翔子に背を向けて、いつも通りすぐに寝入ってしまった。そして、残念ながら購入した残りの2着についても、夫の反応は翔子の期待を裏切るものばかりだった。「一体なんのつもりだ。風邪ひくぞ」「年を考えろよ」「悪趣味だな」翔子はすっかり気落ちしてしまった。いい雰囲気になるどころか、夫は冷たい言葉でダメ出しの連発。悲しいと同時に、夫に対して腹も立った。一体どうすれば、このマンネリを打開して、20年ぶりのセックスにこぎつけることができるのか…そんな悩みを抱えてスマホにすがりつく翔子の目に、今度はこんな記事が飛び込んできた。「抱かれる女性は下着にこだわる」「エロかわいい大人ピンクで、男性をトリコに」そのページで紹介されているのは、ふんだんな黒のフリルで飾られた、ショッキングピンクのシースルースリップだった。女の私から見ても、すごくセクシー…。こんな下着姿で迫られたら、男性なら誰でも心奪われるはず。気づいた時、翔子はすでに、そのスリップの「購入』ボタンを押していた。今度こそイケるはず。この一着で、勝負を決める。翔子の意気込みにはすさまじいものがあった。スリップが届いたその晩。翔子は早速これに身を包み、夫の布団に入っていった。正人の目は驚いたように見開かれている。でも、ここで尻込みしちゃダメだ。今夜こそ、20年ぶりのセックスに持ち込む。翔子の決意は揺るがなかった。「ねえ、お父さん。私、最近きれいになろうとすごく頑張ってるのよ。結婚してから今までずっとバタバタしてて、そんなこと言ってる余裕がなかったけど…。それでね、お父さん。お父さんともまた…」「おいおい、一体なにがどうなってるんだよ!?」翔子の言葉をさえぎって、正人がほとんどどなるようにして言った。「お前最近おかしいぞ。なにがあったんだよ。突然、濃い化粧なんか始めるし、髪型も派手になるし、服やアクセサリーだって年甲斐もなく…。それにその格好。一体なにがしたいんだよ。どうしたんだよ、一体!?」翔子は絶句した。あんまりだわ。確かに私はもう20代じゃない。美容からもファッションからも、長年遠ざかっていた。だけど、私がそんな人生を送ってきたのは誰のせい? お父さん、あなたのせいでもあるんじゃないの? 私だってお金持ちの家の奥さんだったら、もっと若い頃から美容やファッションに気をつかえたはず。もしかしたら今頃は、「美魔女」のようになれていたかもしれないのに…。私はずっと、家計を支えるために働きっぱなしだった。仕事で忙しいあなたの分まで、男の子2人の相手も一手に引き受けた。元気いっぱいの息子2人と外をかけずり回ってできた、シミやシワ。スーパーで買ったお菓子をドカ食いするくらいしかストレス解消法がなかったせいで、ついてしまった脂肪。これまでずっと、こんなにも家族に尽くしてきたのに。それなのに…あなたは私の気持ちなんて、これっぽっちも分かってくれないのね。きれいになりたい、女性として扱われたいという女心を、そうやって踏みにじるのね。気づくと翔子は、不気味なくらい静かな声で夫に語りかけていた。「家政婦にオンナもきれいさも求めない、年相応に老け込んでいけばいいって言いたいのね」「は? 家政婦? 誰もそんなこと言ってないだろ」「お父さんのせいよ!」突然激昂した翔子に、正人は固まった。「若い時にやりたいこと、なんにもできなかったのはお父さんのせいよ! 私はお金も時間も、ちっとも好きなように使えなかった。夫婦仲良く、なんて言ってる余裕もなかった。だから今からでもって思ったのに、そうやって私のことバカにして…。私の若さを返して! 私の人生を返してよ! お父さんとなんてもう一緒にやっていけない。離婚してちょうだい!」ピンクのシースルースリップ姿で、泣き叫ぶ翔子さん。彼女の胸は、張り裂けんばかりに傷ついています。一方、夫の正人さんも、妻の変貌と突然の大爆発に唖然。妻に恐怖すら覚えています。長年良妻賢母として家族を支えてきた翔子さんを、「やりすぎ美魔女」モンスターと化すまで追いつめたものとは、一体なんだったのでしょう。次回、チェックテストとともに解説していきます。
2018年09月29日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。女性も性に関してオープンかつ積極的になってきたのはとても良いことです。しかし、これは寂しさや虚しさを埋めるために、不特定多数の異性と関係を持つことをすすめるものではありません。恋人同士、夫婦のセックスが充実すれば、2人の関係性も向上する。私がお伝えしたいのはそこなのです。ところが、夫婦間のセックスがうまくいかず、寂しさや欲求不満を持て余して婚外交渉に走る女性が年々増えてきている気がしてなりません。SNSの発達で、男女の出会いがたやすくなったのは承知のとおりです。妻の不倫が夫にバレた場合、待ち受けているのは壮絶な修羅場。男の身勝手と言ってしまえばそれまでですが、男性は女性に「純潔」を求め、自分だけのものという意識があります。女性以上にパートナーの不貞行為を許せません。だから「夫にかまってもらえないのが寂しくて」不倫に走った結果、妻側には離婚の意思がなかったのに別れるハメに…などというケースがあとをたたないのです。結婚とは、人生を共にするパートナーの選択であると同時に、セックスのパートナーの選択でもある…ということに気づかず、セックスの相手を安易に外へ求める妻たちが急増中。人妻でありながら臆することなく、合コンに参加するツワモノまで出てきました。今回は、そんな妻たちの一人、香織さんのケースをご紹介します。■妻が浮気?「夫に相手にされなくたって、私は平気!」「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」代表:香織(仮名)31歳の場合「香織ちゃん、いい飲みっぷりだね!」「やだ~、昌弘くん。そんなにすすめないでよ。私、本当はお酒、あんまり強くなくて…」そう言いながら、香織はゆるくウェーブのかかったツヤ髪をかき上げると、ピンクベージュのカーディガンを脱いだ。男性陣の視線が一気に、襟ぐりの大きく開いた薄手のニットを押し上げる香織のバストへ集中する。ベタだけど、これが私の常勝戦略。香織は、男たちの視線を存分に浴びて、快感だった。ここは、都内のスパニッシュレストラン。店の奥の半個室では、男女4対4の合コンが今まさに進行中だ。女性陣の中でひときわ男性の注目を集めているのは、幹事チエの学生時代からの腐れ縁、香織だった。彼女は、結婚3年目の人妻だ。しかし、1年ほど前から、誘われれば必ず、誘われなければ誰かにセッティングを頼み込んでまで、合コンに明け暮れているのだった。■合コン三昧の腰かけOL「理想は専業主婦」たどりついた結婚相手は?香織は、大学卒業後、大手メーカーに一般職として就職。勉強は嫌い、働くのも好きじゃない彼女だったが、女子アナ風のルックスと、中学時代から磨き上げてきた愛想の良さが功を奏したのだろう。誰もが知る一流企業に就職できたのだ。香織が、その会社へどうしても就職したかった理由。それはズバリ、理想の夫探しのためだった。一流企業に勤めていれば社内での出会いにも期待できるし、合コン参戦時にも箔がつくというもの。社会人になってからの香織は、学生時代以上に真剣に合コンへといそしんだ。合コン三昧の生活は楽しかった。仕事にやりがいを見出しているわけでもなければ、これといった趣味も特技もない香織だったが、合コンだけはいつも中心人物でいられた。ネットのモテ記事、モテ本を読みあさってテクニックの研究を重ねては、合コンで実践。男たちから狙ったとおりの反応を得られると、香織は快感にひたった。私は女としてすごく価値がある。だってほら、彼らは私に夢中よ…こうして香織は、ほかのなにものによっても得られない万能感を楽しんでいた。セックスに関しても同じだった。香織は自分にセックスを懇願してくる男たちをじらし、「お許し」を出してやると夢中になって奉仕する男たちの姿をながめるのが好きだ。自分は男に対して力を持っている。セックスも最高。誰にも負けない魅力がある。その感覚は、香織に大きな満足感を与えた。そうして20代半ばまで、香織はひたすら楽しい時間を過ごした。そして25歳を過ぎると、いよいよ真剣に結婚相手探しに励むようになる。最終的に彼女は、同じ会社の営業部のエースと呼ばれていた真司と付き合うことにした。真司は安定した収入なうえに、スポーツマン。そしてなにより、香織をお姫様扱いしてくれる。理想の男をゲットした自分に酔いしれる香織。そして、香織28歳、真司33歳の時に、2人は結婚した。「お家のことをちゃんとやりたいのよ」試算の結果、真司の収入でやっていけるとふんだ彼女は、今の時流に逆らい、専業主婦の道に入る。■結婚生活は不満だらけ「私をもっとお姫様扱いして!」バブル期に結婚した母の影響か、香織にとって、職場は結婚相手を探すための場でしかなかった。パートナーを見つけ出すことが会社での自分の役目。成果を上げるポイントは、仕事の評価よりも結婚相手の獲得だ。時間にもお金にも余裕があって、いつもきれいにしていて夫にも愛される専業主婦。それが香織の理想だ。「家のことをちゃんとやりたい」というより、「イヤでも家事はしなくちゃいけないんだから、仕事との両立なんてしんどいことはまっぴら」というのが本音。とにもかくにも、真司は香織の希望を受け入れてくれた。夢の結婚生活が始まるはずだった。ところがすぐに、彼女は結婚生活に不満を感じ始めることになる。結婚したら一緒に過ごせる時間が増える分、やさしい恋人だった真司は、これまで以上に私を満足させてくれるはず。ずっとお姫様気分で暮らせるはずだわ。そう思っていた香織にとって、新婚生活は幻滅の連続だった。第一に、2人の時間が思ったよりずっと少ない。結婚前のデートは、多忙な真司に合わせて週に1度だった。香織は寂しかったが、「結婚したら2人で過ごせる時間が増えるはず」と自分に言い聞かせつつ、合コンで知り合った男性と飲みに出かけたりしていた。そんな「退屈しのぎ要員」たちがチヤホヤしてくれたからこそ、香織は忙しい真司に文句を言わず、いつもニコニコと付き合っていられたのである。しかし、結婚してみると、自分を大切にしてくれるはずの夫が、自分のために時間を割いてくれない。香織は憤慨した。真司は基本、帰りが遅い。営業という仕事柄、出張や接待もしょっちゅうだ。週末ですら、人脈を広げるためのイベントをリサーチしたり、ジムやテニスに1人で行ってしまったりする。恋人時代は、少なくともデートの間だけは、自分だけに100%集中してくれていた真司。しかし、結婚後は自分を単なる生活の一部として、軽んじている気がする…香織は我慢できなかった。 ■きれいな妻でいるために「おこづかいは最低でも5万円」「週末くらい、ずっと私と一緒にいてよ」ある土曜日、香織はジムに出かける準備をしている夫に不満をぶつけた。「いや、トレーニングには行かないと。営業は第一印象も大事だから、接待を言い訳にブクブク太るわけにもいかないんだよ」「じゃあ、明日のテニスには行かないで」「2週間ぶりだから、そろそろ行かなきゃ体がなまっちゃうよ。香織だって『趣味がテニスなんてステキ』って言ってくれてたじゃないか。あ、よかったら香織も来ない? 同年代の子たちもいるし、始めてみたら楽しいかもよ」「イヤ。日焼けするから」香織はつっけんどんに答えた。確かに恋人時代、テニスでいつもほどよく日焼けした真司は香織の目にも魅力的に映った。けれど、趣味も日焼けも、私との時間に支障をきたさないところですませてもらわなければならない。奥さんにだけ目をかけ、奥さんをかわいがって、友だちに自慢してくれること。香織にとって、それが夫の最重要条件なのだから。「それじゃあせめて、週に1度は、インスタ映えするレストランに連れてって。恋人同士の時みたいに」思いっきりおしゃれして、真司とレストランやバーに出かける。そうすれば、2人の時間が少ない不満も少しは和らいで、気分も晴れるだろう。香織としては、思い切り譲歩した提案だ。ところが真司は、眉間にシワを寄せて言った。「もう共働きじゃないんだから。それに香織、おこづかいは月5万は要るって言うじゃないか。それに加えて、さらに外食はきついよ」香織は絶句した。これが…私のために時間もお金も工面できないと言うこの男が、私が厳選した理想の夫?会社員時代の貯金はある。社会人になっても実家住まいだったのでそこそこの額だ。母親が貯めておいてくれた結婚資金もありがたい。でも、美容院とまつエク、それに料理教室の月謝のことまで考えたら、月に5万円はないと回らない。「時間にもお金にも余裕がある、いつもきれいな愛され妻」という理想のために最低限、夫からもらいたい額だ。ワガママを言っているつもりなど、香織にはまるでない。夫のためにきれいにしている妻のどこがおかしい?■新婚なのにセックスレス「釣った魚にエサはやらない?」香織が不満に思っていたのは、時間やお金に関することだけではない。セックスについても、結婚後、不満を抱き始めていたのだ。結婚前のデートでは、真司はいつも情熱的に香織を求めてきた。ところが、結婚してからというもの、セックスの頻度はどんどん下がり、内容的にも物足りない。熱意が感じられず、「求められている」と実感できないのだ。これは香織にとって初めての体験だ。男はみんな、私とセックスしたいんじゃないの? 私は女として価値がある。男は私を欲しがって当然。なのにどうして…どうして、毎晩同じベッドで寝ている夫すら、私にセックスを求めてこないのだろう?状況が理解できず、香織は混乱した。しかし、いくら夫が誘ってこないからといって、自分の方から誘うなどということは考えられない。セックスは、男が女に求めるものだからだ。セックスがないまま1カ月が過ぎようというある日、香織は我慢できずに寝室で夫にたずねた。「ねえ真司さん、私たち最近あんまりエッチしてないよね。どうして? 前はもっとしてたのに」このところ残業続きだった真司は、すでに眠そうな目をしている。「そうかな。まあ、そう言われてみれば、そうかもしれないな」夫ののんきな口調に、香織はカッとなった。自分は「男に求められない」という屈辱感にさいなまれ、「今日は誘われるか」「今日こそ、いよいよ?」と、毎日息をこらすようにして過ごしてきたのに。それなのに夫は「まあ、そうかもしれない」?? そんなとぼけた反応、納得できない。「『そうかもしれない』じゃないわよ。付き合ってた頃は、週に1度は絶対にしてたじゃない。なのにどうして?」「うーん。どうしてって言われても、これと言った理由があるわけじゃないけど。最近忙しかったし…それに結婚して、毎日会えるわけだからさ。『今日しないと!』って感じることがないっていうのもあるかな」「なるほどね」香織の中で、あらゆることがストンと腑に落ちた。そして自分でもびっくりするくらい嫌味な声が出た。「つまり、釣った魚にはエサをやらないってわけね」「なんだよそれ」香織の口調に、穏やかな真司も語気を荒げた。 ■「中身からっぽのかまってちゃん妻」夫の不満も爆発結婚して以来、妻は口を開けば不平不満ばかり並べている。だが、言わせてもらえば、こっちにだって不満は山ほどある。口にこそ出さなかったが、真司も相当ストレスをためていた。妻はいつ、いかなる時でも、自分のことを最優先して欲しがる。自分が仕事で忙しい時でも、たまの休みに息抜きをしようとしている時にも、妻はとにかく少しでも多くの時間とお金、労力を自分に注がせようと、夫を徹底マークしているのだ。それに、妻がこんなにつまらない、自立できていない女だとは結婚するまで知らなかった。趣味もなにもなく、夫にかまってもらうことしか考えていないように見える。極度の「かまってちゃん」だ。週に1度しか顔を合わせない間柄ならともかく、結婚した相手がこれでは正直、息がつまる。真司は大きなため息をついた。「俺にこれ以上、どうしろって言うんだよ」夫のその言葉とうんざりした顔に、香織のプライドはズタズタだ。私はかわいい、みんなの憧れの「香織ちゃん」なのだ。その私を、夫はちっとも大事にしていない。私の価値を分かっていない。一体どうして私は、こんな男の「専属」になってしまったのか。私を大切にしてくれる男性は、山ほどいるというのに。香織は自分の結婚を激しく後悔した。そして、その日を境に香織は夫を、結婚生活をかえりみなくなった。夫婦仲の悪化は当然、加速していき…。■かまってくれない夫に仕返し「合コン参戦」宣言数カ月後、学生時代からの友人チエから電話がかかってきた時、香織は躊躇(ちゅうちょ)なく言った。「チエ、次回の合コンは、私にも声かけてよ」とにかく誰かにかわいいと言ってもらわなければ。自分をほめて、求めてくれる男がいなければ、私は干からびてしまう。香織は必死だった。夫に対する罪悪感など抱く余裕はなかった。チエは「合コンの女王」。2人は以前、しょっちゅう連れ立って合コンに参戦していた。それでも、さすがに香織の結婚後は、合コンに誘うことはなくなっていた。「えーっ? なによ、やさしい旦那様となにかあった?」「別に。ただ単にヒマなのよ。主婦って」「もーっ、贅沢者! あくせく働きながら旦那探しまで頑張ってる私に、そういうこと言わないでよね」チエは笑いながら言った。「でもいいわ。既婚者が参加してくれれば、ライバルが1人減るもんね。今度企画する時には、絶対声をかけるよ」1カ月後、チエは実際に香織を誘ってくれた。服は自分のスタイルを目一杯際立たせてくれるものを選ばなくちゃ。久しぶりに、短めのスカートはいちゃう? それとも丈は普通で、ボディラインを強調するデザインのワンピース? 髪も久しぶりに巻いちゃおう。メイクも最近は新しいアイテムをチェックしていない。デパートに見に行かなくちゃ。自分の女としての魅力を、100%発揮するのだ。そして、女としての自分の価値を実感しなければ。香織は久しぶりに、気力がみなぎるのを感じた。真司には合コンに参加することを宣言した。黙っていることもできたのに、「人数合わせのためにどうしてもって、友だちに誘われちゃって」とあえて告げたのだ。真司が嫉妬して止めてくれるかもしれない。あせって、自分をもっと大切にしてくれるようになるかもしれない。そんな期待を、香織はまだ完全には捨て切れずにいた。ところが、真司はうっとうしそうに香織を一瞥(いちべつ)すると、冷たく一言。「あっそ」と言っただけだった。もはや妻のことになどまったく関心がないような夫の態度に、香織は自分の中でなにかが崩れ去るのを感じた。そうして迎えた合コン。香織のパフォーマンスは、すさまじいものがあった。笑顔を一時もたやさず、甘い声を響かせ、絶妙のタイミングで髪をかき上げる。適度なボディタッチも忘れない。既婚者と知りながら、彼女と連絡を交換したがる男が続出した。香織は、本当に久しぶりに、大きな満足感を味わうことができた。自分にはまだまだ価値がある、男を操れる魅力があるのだと、自信を取り戻すことができた。彼らの本心は「あとくされない、結婚を求めない女」…かもしれないのに。■これって浮気?「超えてはいけない最後の一線」がぼやけていく…以来、香織は合コンに没頭した。家では完全なすっぴん、髪はボサボサ。ルームウェアにもまるで気をつかわなくなり、常に不機嫌オーラ全開だ。合コンの日だけ「最高のワタシ」を演出するようになっていた。夫婦仲は完全に冷え切り、言葉も交わさないレベルにまで悪化した。セックスも当然ない。そのうち香織は、当初は自分の中に存在していた越えてはならない「一線」が、どんどんぼやけてゆくのを感じるようになった。「一線」とはもちろん、合コンで出会う男性との肉体関係だ。「合コンでチヤホヤされて『自分はまだイケてる』と思えれば、夫が私を見ようとしない、みじめな結婚生活にも耐えられる」「ほかの男性にやさしくされて、私の心に余裕ができれば、夫婦仲も改善するかも」最初はそう思って、香織は合コンに参加していた。ところが、そんなことを繰り返すうちに、夫婦仲はますます破綻してゆく。香織はどんどん不安定になり、ついには「誰でもいいから男に求められたい、抱かれたい、寄りかかりたい」と思いつめるところまで来てしまったのだ。その頃になると、真司が目を疑うような奇抜なデザインの矯正下着を香織は恥ずかしげもなく着用するようになり、合コンの日だけセクシーなランジェリーを身にまとうのが常になっていた。スパニッシュレストランの一角で酔ったフリをしながら、香織は自分に酒をすすめてくる目の前の男を冷静に観察していた。話が面白く、女心をくすぐるツボも心得ている彼にやさしくされるのは快感だ。連絡先も交換した。それにさっきからずっと、私だけを見つめてくれている気がする…今夜、彼と一線を越えてしまおうか。そうすれば私は、虚しい結婚生活でため込んだ怒りも屈辱感も悲しみも、どうでもいいと思えるようになるだろうか。とびきりの笑顔を弾けさせる香織の頭の中では、さまざまな感情や計算がグルグルと渦巻いていた。理想の夫と結婚したはずの香織さん。ところが、結婚当初から不満を抱え、合コンに逃げ道を見出すようになります。香織さんはその後、どうなったのでしょうか?もしかしたらあなたも、香織さんのように「合コン狂いの人妻かまってちゃん」の泥沼に足を踏み入れてしまうかもしれません。次回ご紹介するチェックテストでリスクを判定してみましょう。
2018年09月15日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「草食系男子」と表現される男性が数年前から認知されるようなっています。そんな男性陣を、若い女性たちは、「最近の男性なんてそんなもんでしょ」「いたって普通」「ギラギラしてるほうが格好悪い」という目で見ているようです。「草食系」などとキャッチーな呼び名を付けられて、メディアにも取り上げられるようになると、「今はそれがスタンダード」という雰囲気が漂い始めます。けれども、草食系男子が一般化しつつあることと、あなた自身がパートナーの草食化を良しとするか否かは、まったく別の問題です。「私の彼、草食系かも…。でも、今はそんなの普通だし、世の中の草食系男子だって結婚してるし。気持ちがやさしいし、家事もしっかりやってくれるし、きっとケンカも少ないだろうし…。だから私も、彼と結婚して大丈夫よ」そんなふうに考えて、草食系の彼との結婚に踏み切る女性たち。どこにでもありそうな話です。結婚決定は、人生を左右する重要事項。希望的推測も必要。草食系かもしれないけれど、良い点のみをすくい上げなければ結婚などできるものではありません。結婚決定には勢いも大事です。しかし残念ながら、こうした女性たちが結婚から数年後、「セクシャル系モンスター」と化してしまうケースが少なくないという事実も知っておいてほしい。知ったうえでの結婚であれば、あとの対処法が違ってきます。自分の性の欲求を甘く見てはいけません。「こんなはずではなかった」の新型セクシャル系モンスターワイフ。これが今回のテーマです。■夫は「草食系男子」…セックスレスに悩む愛美の場合「モダンセクシャル系モンスター 生殺し妻」代表:愛美(仮名)29歳の場合会社帰り、書店で女性誌を購入した愛美は、それを隠すようにバッグにしまった。セックスレス特集の雑誌。もう何冊目だろう。こうした特集の中で伝授される「対策」は、もう片っ端から試した。けれど、どれも効果がなかった。ネットに流れてくるセックス系の記事もほぼチェックしている。オフィス帰りの愛美は、ストライプのシャツワンピ姿。艶のあるセミロングの髪を、きれいにブローしている。上品なピンクベージュのバッグも今風。「女を捨ててる感じの奥さんじゃ、セックスレスになっても仕方ないんじゃない?」愛美は、そんなふうに言われてしまう“もう女を捨てている”タイプと自分自身は真逆だと思う。ずっと美容に気をつかってきたし、ファッションも男子受けよしのフェミニンにまとめている。夫・純也とのセックスレスに悩むようになってからは、下着もセクシーなものを選ぶようになった。それなのに、セックスレスは解消されない。愛美は屈辱感と怒りで爆発しそうだった。■セックスレスは恋人の時から…結婚しても大丈夫?愛美と純也は、結婚して2年半になる。2人の出会いは合コンだった。その合コンでカップルは誕生しなかったが、全員気が合い、その後も男女6人で出かけるようになった。グループ交際。2つ年上の純也はいつもニコニコしていて、愛美にとってやさしいお兄さんのような存在だった。動物好きで猫カフェやうさぎカフェに通う愛美に純也が付き合ってくれるようになってから、2人で出かける機会が増えた。動物や子どもにやさしく接する純也の姿を見た愛美は、「この人、旦那さんとしてアリかも」と、彼を異性として意識し始めた。その後、ITエンジニアとして働く純也が多忙でメンタルが弱っているところを愛美が支えたことで、急接近。愛美のほうから告白して、2人は恋人同士になった。「子どもは2人欲しいな。いつかペットOKのマンションを買いたい」愛美のそんな夢を、純也は笑顔で聞いてくれる。彼の温厚な性格は愛美の両親にも気に入られ、2人はスムーズに結婚までこぎつけることができた。しかし、愛美にはひとつだけ気になることがあった。純也がセックスを求めてこないことだ。愛美のほうでお膳立てして2、3度したきり、その後はなにもない。「純くんは最高に優しい。私のことを大切に思ってくれているから、気安くセックスを求めてこないのよ。今は仕事が忙しい時期だし、結婚の準備も大変。だからそんな雰囲気にならないのかも。それに、前に何度かできたんだもの。仕事も結婚生活も落ち着いたら、セックスだって自然とできるようになるわ」今はエッチしていないけれど、しようと思えば、環境が整えば、できるようになるはず…。純也の淡白さについてはそう考えることにして、愛美は結婚に踏み切った。■セックスレス「うちの夫、もしかしてふつうじゃない?」結婚生活は楽しかった。純也はいつも愛美の趣味に付き合ってくれた。派遣の事務員として働く愛美には残業も繁忙期もなかったが、純也は家事も快く分担。料理上手の純也は、愛美の好物をなんでも作ってくれる。特にイタリアンはプロの腕前。おしゃれのセンスもなかなかだ。周囲からは「すてきな旦那さん」と言われ、愛美も満足している。なんの不満もない結婚生活。セックスは相変わらずなかったが、2人で出かけたり、家で映画を観たり、楽しいことがいっぱいで、特に気にならなかった。そんなある日。愛美の学生時代からの親友、ミナから婚約報告の電話があった。愛美が結婚した頃、ミナにも婚約寸前の恋人がいたが、別れてしまった。ミナに言わせれば「すごくいい人なんだけど、スキンシップやセックスが物足りない」というのがその理由だった。1年ほど前に出会った新しい彼とは「気も合うしセックスの相性もバッチリ。野獣よ。野獣! あん、燃えるーー!」と、ミナは最高に幸せだと言う。「やっぱりあの時、『いい人だから』ってだけで結婚しちゃわないでよかったよ」。そうのろけるミナの声は、うれしさで弾んでいた。親友を祝福しながら、愛美は自分たち夫婦の現状を振り返る。純くんはやさしくて真面目で、趣味も合う。でも、純くんがミナの彼の半分でも積極的だったら、もっとうれしいんだけどな。それに現実的な問題として、そろそろ子どもも欲しい。となると結婚後一度もしていないというのは、さすがにまずい…。「今夜、夫を誘ってみよう」。愛美は密かに決意した。ところがその晩。純也は「急にどうしたの?」と、明らかにうろたえた表情を見せた。え? 私たち、夫婦なのに? 「急に」って、じゃあどう誘えばよかったの? 私が誘わなきゃ、純くんからは誘ってくれないじゃない。自分からの誘いを、夫は喜ぶどころか拒絶していると感じて、愛美は猛烈に恥ずかしくなった。同時に、純也のほうから男らしく誘ってくれれば、女の私が誘ったりしなくてすんだのにと、夫が憎らしくもある。「ほら、私ももうすぐ30だし」恥ずかしさをかき消そうと、愛美は夫を誘った正当な理由を説明し始めた。「子づくりって、始めたらすぐ妊娠、ってわけにはいかないことも多いらしいから。もう今からでも始めたほうがいいと思うの」純也は相変わらず、居心地が悪そうに視線を落としたままだ。「いきなりそんなこと言われても…」純也の腰が引けた態度に、愛美は当惑した。結婚前から「子どもは2人欲しい」って、私いつも言ってたよね? 私の年齢からして、いつ子づくりを始めたって全然驚くような状況じゃないのに。愛美の心の中に、大きな不安が渦巻き始めた。純也がいわゆる「草食系男子」であることは、結婚前から認識していたこと。それでも結婚して打ち解け合い、まして「子づくり」という明確な目的ができれば、その時には自然にことが進むはずだと、漠然と思っていたのだ。ところがここへ来て、愛美の根拠のない楽観主義に暗雲が…。純くんって、まじで性欲ないのかも。でも、赤ちゃんを授かるために、セックスは必須。それにミナから聞いた、「心身ともにラブラブ」っていうのも、何だかうらやましい…。心に渦巻くさまざまなモヤモヤを払拭するには、どうにか夫婦のセックスを軌道にのせるしかない。そう考えて愛美は、明快な実行計画を努めて明るく提示した。「私の排卵日を予想するから、その時にしようよ」純也はただ、困ったようにうつむいているだけだった。■子づくりを拒絶「セックスできるのにしない」草食夫に不満爆発!そして迎えた、排卵予定日。「純くん、今夜だよ!」先日の様子からして、何の前触れもなく迫ったりしたら純也は逃げ出してしまいそうだ。愛美はそう思い、出勤前の夫に明るく声をかける。ところがまた、純也は気まずそうな顔。小声で「いってきます」と言うと、そそくさと家を出てしまった。純くん、かなり緊張してるみたい…。でも、今夜一度うまくいってしまえば、不要な緊張も解けるわ。愛美はそう考えていた。ところが。このところずっと7時には帰ってきていた純也が、8時になっても帰って来ない。愛美が待ちくたびれていると、純也からメールが届いた。「愛美ちゃんごめん! 急に先輩に誘われちゃって。二次会まで付き合わなきゃいけない雰囲気だから、悪いけど先に寝てて。本当にごめん!」先輩と飲み? それも二次会まで? 純也はお酒がほとんど飲めず、会社の飲み会が嫌いだ。どうしても参加しなければならない飲み会でも、二次会は断って帰って来る。それなのに、どうしてよりによって今日? 愛美は、心底がっかりした。けれど、今日のところは仕方がない。また来月頑張ろう。愛美はそう思うことにした。しかし、ことは彼女が思うようには進まない。その後、なんと半年の間、純也は「約束の日」にはなにかと理由をつけて、日付が変わってから帰宅するようになった。当初は「そろそろ始めなきゃ」と、のんびり構えていた子づくり計画。しかし、セックスに持ち込むことができない現実に直面して、愛美の中で一気に「緊急課題」となる。それだけではない。愛美は「自分はこのままセックスが皆無の人生を送ることになるのでは」という不安にもかられ始める。「セックスができない相手と結婚して、一生セックスなしでいい」と覚悟して結婚に踏み切ったわけではない。「結婚すれば、いつかできるようになるはず」と思っていたのだ。愛美は性欲が強いほうではない。それでもまだ20代の自分が、女として求められることなく一生を終えることになるかもしれないと思うと、いたたまれなかった。そして生まれて初めて「男性から求められたい、抱かれたい」と切実に渇望するようになった。「子どもが欲しい」と真剣に願う一方で、「このまま一生セックスなしなんてあんまりだわ。私、いつか浮気しちゃうかも」などということも考える。頭も心もどんどん混乱してゆく。彼女はもう限界だった。「純くん、約束の日になると、必ず予定が入るんだね。どうして? 子どもが欲しくないの? それとも私とセックスするのがそんなに嫌?」愛美に詰め寄られると、純也はあからさまにオドオドした。「なんていうか、目的があって『今日しなきゃ!』みたいに言われると、プレッシャーっていうかさ。そういう気分になれないんだよ」「じゃあ、今日しよう」「え?」「今日は排卵日じゃないよ。子づくりとか目的なしで、私とセックスしてよ」純也は追い詰められた表情になった。そして、愛美を残して部屋を出て行ってしまった。愛美は呆然とする。ケンカをした時でさえ、純也が一方的に会話を中断してその場を離れてしまったことなど、それまでにはないことだった。その日から愛美は雑誌やネットで、あらゆるセックスレス克服法を読み漁り、実行した。けれども、状況は一向に改善しなかった。良好だった夫婦仲もギクシャクしたものになっていった。ある日とうとう愛美は、泣きじゃくりながら純也を問い詰めた。「純くん、どうして? 私はただ普通にセックスをして、普通に子どもが欲しいだけだよ。私、何かワガママなこと言ってる?」純也はいつもの困り顔で黙っている。「私もう疲れちゃったよ。ねえ純くん、本当はどう思ってるの? 正直に答えて。本当に子どもが欲しいって思ってる?」「それは、思ってるよ」「じゃあ、このままずっと私とセックスしてくれないなら、不妊治療のクリニックに一緒に行ってくれる? 純くんの精子をくれる?」「い、いきなり、なに言い出すんだよ…。突然そんなこと言われても」「全然、突然じゃないでしょ!」愛美は叫んだ。「私もう、何カ月も待ったよ。でも純くん、ちっともセックスしてくれないじゃない。なんで? EDなの? セックスできないなら、もうお医者さんに頼るしかないじゃない。お医者さんに精子を取り出してもらうしかないよ」「いや、そういうわけじゃ…」夫のその答えに、愛美は驚いた。純也の性格からして、浮気の可能性は限りなくゼロに近い。風俗なども毛嫌いしている。そして、マスターベーションをしているらしい痕跡も、愛美は感じたことがない。だから、純也はEDなのだと、ほとんど確信していたのだ。愛美は即座に聞き返した。「え、どういうこと? 純くん、勃つの? 射精できるの?」「女の子がそういうこと聞くかな」「質問に答えてよ!」「うん…できるよ」「ひとりでならならできるんだ?」ひたすら居心地が悪そうにしていた純也の顔に、いらだちが加わった。そして、うんざりした口調で答えた。「ああ、できるよ」「最後にしたのいつ?」「2週間くらい前かな」…それって、私の排卵日の頃じゃない。あの時、純くんは「仕事でトラブっちゃって」なんて言いながら、ご丁寧に排卵日のみならず、その前後1日ずつまで思いっきり遅く帰って来たのだ。まさかあのタイミングで、マスターベーションしていたなんて。夫は自分でならできる。それなのに、これだけ懇願している私とは、絶対にセックスしてくれないのだ。愛美の理性は完全に崩壊した。「そんなに私とセックスしたくないわけ!? なんなのよ、なにがいけないのよ!? 私はどうすればいいのよ!」子づくりにあせる気持ちと、女性として求められないさみしさ。ネガティブな感情が混じり合って、愛美さんはパニック状態に陥ってしまいました。彼女はどこで、モンスターワイフへの道に足を踏み入れてしまったのでしょうか。次回ご紹介するチェックテストで確認してみてください。
2018年09月01日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。時代の変化にともない、家族のあり方も変わっていきます。どのような形の家庭を築くかは、各夫婦の選択に委ねられるべき問題です。それぞれの夫婦が、カスタマイズした家庭を形作ってゆけばいいでしょう。けれども、どんな家族の形を模索するにせよ、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、夫婦は互いに協力するものであるということ。「そんなの当然」と思うのは頭の中だけで、実際には非協力的な夫婦たちのトラブルがあふれています。友だちとのトラブルなら距離を置けばいい話ですが、夫婦間は距離を置くと冷え切ってしまいます。結婚前や、結婚後しばらくの間は、夫婦間の協力が「当然」のこととして認識されているかもしれません。ところが、それから月日がたち、子どもも生まれて、家事に育児に忙殺されるようになったら…?環境が変われば、「夫婦間の協力」という意識はすっ飛んでしまいます。相互協力という夫婦関係の基本中の基本を忘れてしまった妻はモンスター化まっしぐら。そして夫婦仲は、破綻の一途をたどることに。今回ご紹介するのは、そんな夫婦間で協力しようという姿勢を完全に忘れてしまったモンスターワイフです。■「あんたなんか夫でも父親でもない!」妻の暴言が止まらない「夫放置系モンスター 実家帰り」代表:あずさ(仮名)32歳の場合あずさは、お気に入りのピンクのブランケットにくるまり、大好きなホットココアを飲みながら、海外ドラマに夢中になっていた。至福の時間。ところが…。「…ただいま!」息子を起こさないようにつけていたヘッドフォン越しに、突然耳に入ってきた雑音に振り返る。そこには、夫の大輝が不機嫌な顔で突っ立っていた。「え、なに?」あずさも負けず劣らず不機嫌な声で応える。「ただいまって、何度言わせるんだよ」あーあ、せっかくいいところだったのに。「ただいま」に対して、すぐ「おかえり」が返って来なかっただけですねるなんて、まるで子どもね。まだ3歳の息子・恵太のほうが、よっぽど物わかりがいい…。あずさは大きなため息をついた。「腹減った。メシは?」「え? もう10時半よ。会社で食べて来たんじゃないの? 最近ずっと、会社で出前をとっていたじゃない」まゆをひそめるあずさに、大輝の口調がますますイラ立ちを増す。「食ってるヒマ、なかったんだよ。冷蔵庫に何かあるだろ?」「ないわよ。お夕飯は恵太と実家で食べて来たんだもん」「またかよ…。じゃあ、なにか簡単なものでいいから作っといてくれよ。先に風呂入ってくるから」「お風呂わいてないわよ。私たち、実家で入ってきちゃったから。恵太がおじいちゃんと入りたいって…」「いい加減にしろよ!」ついに大輝が怒鳴り声を上げた。「家事もせず実家に入りびたって、俺から生活費だけ巻き上げて。おまえ、この家でまともに生活していないじゃないか。こんなの詐欺だよ、詐欺!」「はぁ!?」夫に怒鳴られても、あずさは一歩も引かなかった。夫の言い分が、彼女にはさっぱり理解できない。詐欺ってなに? 私は仕事ばかりの夫なんかに頼らず、実家のサポートを得て頑張っている。大輝は、給料がたいしたことないくせに家事を手伝うこともない。うちの実家のおかげで食費や生活必需品にかかるお金が浮いている。夫は私と私の実家に感謝すべきなのだ。それなのに詐欺とはなんだ。許せない。あずさは夫以上の剣幕(けんまく)で怒鳴り返した。「詐欺はどっちよ!? ロクに家にいないあんたなんか夫でも父親でもないわ!」■夫を放置…「始まりは長めの“里帰り出産”」あずさは、4歳年上の大輝と5年前に結婚した。小さな出版社に務める夫の大輝は、常に忙しい。朝は早く、夜は遅い。休日出勤もしょっちゅうだ。それでも結婚後、待望の第一子妊娠が分かった時、あずさは幸せでいっぱいだった。ところがその後、ひどいつわりにおそわれる。食べられないし、動けない。そんな窮地を救ってくれたのが、実家の母。電車で1時間かかる距離を毎日通い、面倒を見てくれた。夫の出張中には、泊まり込んで世話を焼いてくれた時もある。それ以降、つわりがおさまってからも、あずさはなにかと実家を頼るようになった。彼女の両親のほうも、一人娘が嫁いでからも自分たちと過ごしてくれることを喜んでいた。そして、あずさは妊娠7カ月になる前に、里帰りすることを決めたのだ。「ずいぶん早くないか?」大輝の顔がくもった。「もうすぐ繁忙期も終わるし、子どもが生まれる前にさ、少しはあずさと2人でゆっくり過ごそうと思って…」「でも、健診とかは、ママに車で送ってもらって、付き添ってもらえるほうがラクなんだもん。ママとお医者さんと相談して、もう決めてきたから」あずさは聞く耳を持たず、大輝は渋々あずさを送り出した。産後の1カ月を実家で過ごしたら帰って来る、という妻の言葉を信じて。ところが、あずさが大輝と住む家へ戻って来たのは、産後4カ月を過ぎてから。母子ともに健康だったが、あずさはなにかと理由をつけて、実家に居座わる。「恵太は俺たちの子どもだろ。週末だけ、あずさの実家で恵太の顔を『見せてもらいに行く』みたいな生活は、もう嫌だ。あずさも恵太も健康なのに、4カ月も帰って来ないなんて、いくらなんでも長過ぎるよ」大輝にそうつめ寄られて、あずさはむくれ顔でようやく帰って来た。こうして始まった「家族水入らず」の生活だったが、初めから難航した。■「育児ノイローゼが引き金に」親離れ子離れできない妻初めての、ひとりぼっちの育児。あずさは初日からパニックになった。夜遅く疲れ果てて仕事から帰る大輝を待ち構えるのは、ゾンビのような顔をして泣きぐずるあずさ。それが、毎晩のように続いた。玄関で靴もまだ脱いでいない大輝を相手に、あずさの口からは泣き言と愚痴の嵐。「どうしたら恵太が泣きやむか分からない」「疲れて死にそうだ」「大輝はいいわよ、どんなに忙しくたって、ランチとトイレくらいは、行きたい時に行けるでしょ」…。ようやく妻から解放されたと思ったら、今度は息子が泣き始めて、眠ろうにも眠れない。「このままでは共倒れになる」と大輝が危機感を覚え始めていたある日、あずさが「ママに手伝いに来てもらう」と言い出した。「また実家かよ」と大輝はむかつく。けれど、背に腹は代えられない。赤ん坊を抱えて、夫婦共倒れではどうにもならない。大輝は仕方なく、これを受け入れるしかなかった。しかし、これが間違いだった。義母は泊まりがけで、娘と孫の面倒を見始めたのだ。初めは、大輝の出張中だけだった。ところが次第に大輝が家にいる時でさえ、あずさは「ママ、泊まっていったらいいじゃない」「もう遅くなっちゃったから」「こんなに雨が降ってる中、帰るの大変でしょ」と、母親を引きとめるようになったのだ。確かに、義母のおかげで助かっている。だから、あずさのこんな主張を否定することなど、大輝にはできない。だが…大輝は居心地の悪さに押しつぶされそうだった。会社では、ひたすら忙しく働く。やっと家で過ごせる時間ができても、そこはすでに妻・息子・義母、そして時には義父という「定番メンバー」に占拠されていて、自分の居場所などない。それに…息子の夜泣きがひどい時などは、あやし上手の義母の存在は本当に有り難い。けれど、たとえ息子がぐっすりと眠っている夜でも、義母がいてはセックスなど望めない。というより、義母がいる時のあずさはすっかり「娘」に戻っていて、自分の「妻」という感じがしない。ついさっきまで「ママ、ママ」と義母にべったり甘えていた妻に、大輝はベッドの中で手を伸ばす気になれなかった。あずさの妊娠が分かってからこれまで、一度もセックスしていない。そろそろなんとかしないと、俺たちまずいんじゃないのか? 大輝はあせっていた。■夫婦崩壊「妻の実家から徒歩1分に引っ越し」で決定的にそんなある日。大輝が帰宅すると、あずさがいつになく明るい顔で出迎え、ニコニコしながら言う。「実家から歩いて1分のところにね、新築のアパートができるんだって! 大家さんがパパの知り合いで、私たちのことを話したら、1階の庭付きの角部屋を特別に確保してくれるって言うの。しかも家賃まで特別割引き!」「実家から歩いて1分」という言葉に大輝は初め「冗談じゃない」と思った。けれど…案外、悪い話ではないかもしれない。歩いて1分の距離となれば、さすがに義母が泊まっていくことはなくなるだろう。そうすれば少なくとも義母が帰ってからは、家族の時間、夫婦の時間を持てるはずだ。それに庭付きのアパート、家賃も割引きというのもオイシイ。恵太が元気に動き回るようになって、もう少し大きなアパートに引っ越さなければならない、庭付きの物件があれば最高だ、とちょうど夫婦で話していたところだったのだ。大輝はさまざまな条件を天秤(てんびん)にかけたが、最終的にはあずさの熱意に負けて、このアパートを借りることに。ところが、これが致命的な決定打となって、家庭は完全に崩壊した。確かに義母が泊まりに来ることはなくなる。なぜなら、あずさが恵太を連れて、完全に実家に入りびたるようになったからだ。大輝が家賃を払う新しいアパートにあずさと恵太が帰ってくるのは、恵太のおもちゃを取りに来る時と、寝る時だけという状態に。そんなアパートは掃除もろくにされておらず、あちこちホコリがたまっている。食事もすべて実家ですませてくるので、あずさが最後に自宅のキッチンに立ったのは、もういつのことだか分からない。「最近ランチに出かけそびれることが多いから、弁当を作ってくれないか」という大輝のリクエストも、あずさは当然のように完全スルー。週末の昼食でさえ、「私と恵太は実家で食べるの。大輝も来たければ来てもいいわよ」などと言われる始末…。そして最近では、夫婦が自宅で顔を合わせれば十中八九ケンカになるような状態が続いているのだ。夫が仕事で忙しいことを理由に、実家に頼りきりになったあずささん。自分と息子さえ快適に過ごせれば、夫のことなどお構いなし、というモンスターっぷりです。彼女はなぜ、モンスターワイフになってしまったのでしょうか? 後編でチェックテストとともに見ていきましょう。
2018年08月18日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。過去、「企業戦士」という言葉がありました。ワークライフバランスが高らかにうたわれる現代、その言葉は消滅したかと思いきや、そうでもない現状を皆さんもご存じでしょう。今では、最前線で男性と肩を並べて闘う「女性企業戦士」も珍しくありません。ビジネスシーンで自分の立場や利益を守るためには、シビアな損得勘定やドライな割り切りも不可欠。確かに社会で上を目指していくには、そうした「武装」も必要でしょう。けれども、そんな企業戦士の鎧(よろい)が完全に肌に張りついて、もはやプライベートでも脱ぎ去ることができなくなってしまったら…それは考えものです。今回は、家庭でもドライな理論武装を解除できなくなってしまった妻のエピソードをご紹介します。■パワハラ、セクハラに歯ぎしり「家でも企業戦士」の妻「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」代表:茉莉(仮名)32歳の場合「茉莉、おかえりー。夕飯もうすぐできるよ」都心にほど近いスタイリッシュな新築マンション。家具は少なく、ホテルの部屋のようなすっきりした家だ。明るく出迎えた夫の亮平に、茉莉は「ただいま」と一言素っ気なくこたえ、そのまま自分の部屋に消える。オーダーメイドのスーツを脱ぎ捨てると、バッチリメイクをふき取りシートでゴシゴシ落とす。その間、茉莉はずっと、奥歯をかみしめていた。「冗談じゃないわよ…パワハラの原点はまさにこれだわ」茉莉は大手商社で海外営業を担当している。同期の女性社員の間で、彼女は出世頭ともてはやされていた。けれど、明らかに自分よりも能力が劣るとしか思えない男性同期たちが、次々と昇進していく。そんな現実に直面するたび、茉莉は死ぬほどくやしい思いをしていた。それでも「男の何倍も努力して、実績で勝負してやる」と、自分をふるい立たせてきたのだ。睡眠不足だろうが、熱があろうが、生理痛がひどかろうが、常に背筋を伸ばして仕事に向かっている。接待のため、嫌いなお酒も“訓練”して強くなった。「営業は見た目も実力のうち。デブは体調管理もできない意思が弱い人間と思われる」と自分を鼓舞し、時間さえあればジム通い。人脈を広げようと、朝は早起きして異業種交流の朝活にいそしんでいる。SNSは仕事関係のビジネスパーソンばかりとつながっている。英語で書き込むこともしばしば。ビジネス用語を調べながら投稿したりすると、時間がたつのを忘れるほどだ。残業、人脈作りのSNS、パワーブレックファースト…。朝食も夕食も夫婦そろって取れない日が続くこともある。そんなことに構ってはいられない。「誰にも負けたくない」茉莉は全力で努力していた。それなのに…残業中に上司から、国内のマイナー部署への異動を打診された。目の前が真っ暗になった。あわてて上司に食ってかかると、彼は気まずそうに茉莉に言った。「稲田さんって結婚して、えーっと、3年目? あ、セクハラとかって思わないでくれよ。やっぱり年齢的にも、子どものこととか考えるでしょ? となると、海外営業って激務だからさ…。国内担当の部署のほうが、育休からの復帰後も、何かと融通が利くし。ほら、うちは育休制度ばっちりフルサポートだからさ」「もっと仕事で結果を出すまで、妊娠・出産など一切考えるつもりはありません!」茉莉は上司をにらみつけ、そう言い残してオフィスを飛び出してきたのだ。■「くやしくないわけ?」家でも仕事モードの妻にうんざり食卓についても、茉莉の頭の中では上司の言葉が際限なくリプレイされていた。メイク落としの時に使ったヘアバンドがそのままで、眉間に寄ったシワが丸見えだ。イラつく茉莉には、夫が用意してくれマーボーナスの味すらわからない。亮平は大手電気機器メーカーに勤務している。帰宅時間は茉莉よりも早いことが多く、そうした日には夕飯を用意して妻の帰宅を待っている。食卓の重苦しい沈黙を破るように、亮平は明るい声を出して言った。「あ、そう言えばさ、俺の後輩の小宮。あいつ今度、フランスに赴任だって。すごいよなー」「栄転ね」茉莉のトゲを含んだ口調に、亮平はビクリとする。「後輩に先越されて、くやしくないわけ? 私だったらそんなの絶対に嫌。後輩に出し抜かれて、よくヘラヘラしてられるわね」まただ、と亮平は思った。先を越されるとか、出し抜かれるとか。茉莉はいつから、こんな闘争心の塊のような人間になってしまったんだろう。茉莉が頑張っているのは、よく分かる。それは分かるが、このギスギスした空気は耐えがたいものがある。ここは会社ではなく、2人の家なのに…。亮平はもう楽しい雰囲気を作ろうとするのをあきらめて、自分が用意した夕飯をひたすらかき込んだ。 ■「私のキャリアを犠牲にしろ?」夫に海外単身赴任を強いる妻茉莉の猛抵抗で、国内部署への異動の危機が過ぎ去りつつあったある日。帰宅すると、亮平がいつになく興奮した様子で出迎えた。「茉莉、俺、アメリカ赴任になった! でかいプロジェクトに参加できそうなんだ」茉莉は表情を変えない。「それは、おめでとう」あーあ、やっぱり、男ってだけで得よね…。そんな本音が顔に出ないよう注意しながら、茉莉はどうにか口角を上げて見せた。「頑張ってね。私は行けないけど」うれしそうだった亮平の顔が、一瞬にして暗くなった。「茉莉だって、アメリカに住んでみたいって言ってたじゃないか。だから俺、いつも部長に『海外赴任するならアメリカに』って言ってあって…」「それは私の実力が認められて、自分がアメリカに派遣されたらの話よ。駐在員の妻として、夫にくっついて行くなんてゴメンだわ」亮平はしばらく黙り込んでしまったが、やがて言葉を選ぶようにして言った。「向こうに行ったら、少なくとも3年は戻って来られないんだ。結婚する前、子どもは2人欲しいって話し合ったよね。となると、そろそろ…」「じゃあ、子どもはあきらめましょ」あまりにキッパリとした、まるで相手を切り捨てるかのような茉莉の物言いに、亮平は絶句した。対する茉莉の頭の中は、自分の夫と上司が結託して、自分のキャリアをブチ壊そうとしているイメージでいっぱいになっている。「つまりあなたのキャリアのために、私のキャリアを犠牲にしろって言ってるんでしょ? どうして私が、あなたの犠牲にならなきゃいけないの? 男女は平等、夫婦は対等でしょ。あなたについて行くために、私が仕事をやめる? あなたの子どもを生んで育てるために、私が仕事をあきらめる? どう考えたって不公平じゃない」一言の反論も許さないような、バッサリとした茉莉の口調。どこまでも冷たくドライな妻の態度に、亮平は反論する気力が消え失せるのを感じた。結局亮平は、一人で渡米する決心をした。亮平の出発までの3カ月間、もともとギクシャクしていた夫婦仲は一層冷え切ったものになっていった。■「子どもを作る気はありません」義母への言葉に夫は…亮平が忙しく引越し準備を進めていた、ある日曜日。自宅の電話が鳴ったので茉莉が出ると、相手は亮平の母親だった。茉莉はこの昔気質な義母が、昔から苦手だ。義母は、結婚したら女性は家庭を最優先すべきで、子どもを生み育てることこそ女性の最高の幸福だと信じて疑わないタイプ。案の定、義母は単身で渡米する息子を案じる小言を並べ始めた。「亮平はああ見えて、昔から寂しがり屋なところがあるから。しっかり者の茉莉さんがついて行ってくれたら、本当に心強いのにねぇ。それに、亮平のお給料で十分食べていけるでしょ? 何もそんなに必死になって、共働きしなくたって…。妊娠や出産だって、早ければ早いほどラクよ。体力的にね」「子どもを作る気はありませんから」茉莉はピシャリと言った。もうウンザリだった。誰もかれも、子ども、子どもって。私は“生む機械”じゃない。「私の仕事は、育児をしながら片手間にできるような仕事じゃないんです。産休・育休なんて言いますけど、一度、戦線離脱したら元いた場所には戻れませんから。それにお給料のことをいうなら、私のほうが稼いでるんですよ。亮平さんもお義母さんもそんなに子どもをご希望なら、亮平さんが生めたらよかったのに。残念」電話の向こうで、義母が息をのむのが分かる。ふと気配を感じて振り向くと、亮平が背後から茉莉を見つめている。その目は何だか、他人を見るような目だった…。プライベートなどそっちのけ。全力で仕事に邁進(まいしん)する茉莉さん。けれども、その「頑張り」は、いつしか「突っ張り」に。社会で自分を守るために理論武装をしてきたのでしょう。これを夫と将来について率直に話し合うべき場にまで、そのまま持ち込んでしまうようになりました。自分のキャリア、自分の立場、自分の利益…損得勘定や自分の意見の主張ばかりに固執するようになってしまった茉莉さんは、その後どうなったのでしょうか? そして、シビアな現代社会で頑張るあなたも、茉莉さんほどはいかないまでも、「私利死守モンスター」の卵を抱えていませんか?次回ご紹介するチェックテストで確認してみてくださいね。
2018年08月04日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。 前回 は、仕事の忙しさを理由に、家庭生活をかえりみなくなってしまったバリキャリ系モンスターワイフをご紹介しました。今回も同じバリキャリ系モンスターワイフに分類されますが、実は真逆。仕事と家庭の両立に非常に熱心なタイプです。しかし、そんな立派な妻も、一歩間違えばモンスターワイフに…。せっかく「デキる女」と「愛され妻」を両立しようという気概を持つ健気なあなたが、迷走してしまうことがないように。こちらのエピソードをお届けします。■髪ふり乱して手抜きメイク「仕事も家事も完璧妻」「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」代表:亜紀(仮名)33歳の場合始業10分前に駆け込んだ会社の女子化粧室。鏡に映る自分の姿に、亜紀は朝からゲンナリした。おでこも鼻もテッカテカ。髪は毎日同じひっつめ髪。そしてなにより、くたびれた感じが全身からにじみ出ている。亜紀の朝は、出勤前から戦争だ。起床と同時に洗濯機を回し、お弁当作りに朝食作り。夫の隼人を送り出したら洗濯物を干して、超時短メイク。そのメイクも、駅までダッシュしている間に崩れてしまうのだが…。服だって、本当はパリッとアイロンのかかったブラウスを着たい。けれど自分の服は、ノンアイロンでOKなものと決めている。毎週末、隼人のワイシャツのアイロンがけだけでも大変なのに、これ以上手間を増やす気にはなれない。半年前、真面目な仕事ぶりを評価され、亜紀はチームリーダーに昇進した。地道な努力が報われたのだ。亜紀は自分をほめまくった。「わたしって最高! 家庭と仕事の両立ができてるって感じ!」それ以来、亜紀は以前にも増して熱心に仕事に取り組んでいる。残業はほぼ毎日だ。家事にあてる時間が短くなってしまったが、だからといって手抜きは厳禁。手を抜くというのは怠けだ。努力さえすればできるものをあきらめるなんて、それは単なる怠惰だ。会社で評価されたい。そして同時に、家庭でも「理想の奥さん」でいたい。隼人が職場の友だちに「うちの亜紀は満点の奥さんだよ」と自慢する光景を何度想像したことか。亜紀は理想が人一倍高かった。 ■イライラ完璧妻が夫と追いつめる…「今日も遅くなっちゃった…」駅から家までの道を髪ふり乱して小走りしながら、亜紀は考える。もうクタクタ。こんな夜はゆったりお風呂につかりたい。ラベンダーオイルたっぷりたらして…。マンションの入り口が見えてくると、亜紀は現実に戻り、ため息をひとつつく。本日の「家事 TO DO」が待ち受けている。隼人は10時前に帰ってくるのだ。大急ぎで夕飯の支度をして、隼人に食べさせる。それがすんだら食器を洗って、洗濯物をたたんで…。朝は5時半に起きなければならない。睡眠時間を確保するために、お風呂でゆっくりは今日もおあずけだ。シャワーですまそう。家事の段取りを考えながら、バタンとドアを開けると…。「亜紀、おつかれ! 今日は早く上がれたんだ。LINEするの忘れたけど」先に帰宅していた夫の声に、亜紀はびっくりした。隼人は洗濯物を取り込んでいる。その光景を見て、亜紀は身ぶるいする。ブルルル…。「ダメダメ! シャツはそこに置かないで! つるさなきゃシワになっちゃう。ここは私がやるから、隼人はお風呂入ってきて!」「わかったよ…。あ、そうだ、メシは出前取ろうよ。亜紀疲れてるだろ」「ダメよ。1週間分の献立を考えて、買い物してあるんだから。葉ものの野菜は傷みやすいの。今日、火を入れないと。一緒に明日のお弁当の下ごしらえもするんだし。私の計画を崩さないで」何か言いたげな隼人を半ば強制的にバスルームに押し込むと、亜紀はいつものやり方で洗濯物を取り込み始めた。せっかくきれいに干してあったシャツがシワになってしまったら、週末のアイロンがけがさらに面倒になってしまう。そうだ、アイロンスムーザーも買い置きしておかねば。急いで夕飯を用意し、洗濯物をたたんでいると、風呂上がりの隼人がサッパリした顔でやって来た。「冷たいもんあるかな。この前、ダイエットコーラ買っといたよな」毎晩お風呂につかれていいわね…の気持ちがついいじわるな言葉で口から出てしまう。「夕ごはんの前に甘いもの、飲まないでよ」ムッとしながら洗濯物を引き出しにしまい込む。つい不満が態度に出てしまうのを抑えることができなかった。黙りこくって夕飯を食べていると、隼人が切り出した。「週末は久しぶりに一緒に出かけないか? 恵比寿に新しくできたカフェ、行きたいって言ってただろ」亜紀は大きなため息をひとつつき、答えた。「ムリ。土日は水回りのお掃除もアイロンがけもたまってるし、1週間分の買い物にも出かけないと。それが終わったら、とにかく体力を温存したいの」隼人の方もムっとする。「なあ、亜紀はいつも疲れてるだろ。だからおれも家事を手伝いたいのに、なにかしようとすると、大抵ケンカになる。一体どうすれば…」「ごめんってば。もっと要領良くできるようにするから!」亜紀はピシャリと隼人の言葉をさえぎった。隼人は立ち上がってソファに移動し、iPadでニュースを読み始める。なんだよ、またこのパターンだよ。こうなるなら、なにも言わなければ良かった…。亜紀はいつも自分が悪いことにして謝ってくる…隼人は内心ぼやきながら、謝る妻にさらに文句を言うことはできない。隼人は後悔していた。まじめで頑張り屋のところが好きで結婚したのに。度を越してパーフェクトを目指そうとする妻に、窮屈感を感じ始めている。自分のジョークに笑い転げるかわいい妻の姿は今やない。結婚する時、「隼人の理想の奥さんになるね」とほほえんでくれた亜紀。理想の奥さんからどんどんかけ離れていることに亜紀はなぜ気づかないんだろう。家にいる時くらい、ゆっくりのんびりすればいいのに。洗濯物がシワになってても、弁当のおかずがサケ一切れでも全然かまわないのに。隼人の頭の中は、亜紀への不満がうずまき始めていた。会社でも家庭でも完璧なパフォーマンスを発揮しようと奮闘する亜紀さん。しかし、その立派な心がけにもかかわらず、夫婦仲はギクシャクし始めています。健気な頑張り屋さんほど陥ってしまいやすい、この展開。あなたは大丈夫ですか? 次回ご紹介するチェックテストでご確認ください。
2018年07月21日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回からは、別種の新型モンスター「バリキャリ系モンスター」をご紹介していきましょう。「寿退社」という言葉が死語となり、結婚してからもフルタイムで働く女性は増加中です。そして、ぶち当たる仕事と家庭の両立。専業主婦で家にいることができたら、掃除も料理ももっと手をかけられるのにと満員電車の中で考える。家事にかける時間がない、体力がない。ぐったりしながらも家事をする妻の姿を見ても夫は「あーー疲れた」とゴロンとしている。妻の社会での活躍が広がるほど、離れてしまう夫婦の溝。これだけ女性の社会進出が進んでも、「男のプライド」が社会の変化に追いついていないことに気づいている方も多いのでは。そこを意識しながら夫に向き合わねば、毎日プチケンカが勃発します。そのストレスはいつの日か噴火するはめに。「仕事では達成感があるけど、プライベートが犠牲になってしまった」。そんなことにならぬよう、今回からご紹介するエピソードを参考にしてください。■昇給も昇進も夫を追い越し…仕事人モンスターワイフ「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」代表:絵里奈(仮名)35歳の場合夜10時。「走れるパンプス」の靴音をカツカツと響かせながら、絵里奈は家路を急いでいた。チークなど塗っていなかったが、そのほほは満足げに上気している。彼女がリーダーを務める一大プロジェクトのプレゼンの資料がついに完成したのだ。上出来だ。明日のプレゼン成功は間違いない。「ただいまぁ」リビングのドアを開けると、夫の茂樹はビールを片手にぼんやりテレビでボクシングを観ていた。「またソファでダラダラと…。洗濯物、たたんでおいてくれればよかったのに」先週もそのことで衝突したばかりだった。「洗濯物は絵里奈の担当じゃないか」と言われ、「でも、私は今忙しくて茂樹はヒマなんだから、そこは臨機応変に対応してよ」と言い返すと、秀樹は自分の部屋にこもってしまったのだ。同じケンカは避けたい。絵里奈は気を取り直してたずねた。「夕飯、どうしたの?」「ああ、後輩にバッタリ会って、一緒にいつもの店で食べて来た」“いつもの店”というのは、茂樹が最近よく利用しているカジュアルなイタリアンレストランだった。テイクアウトもできて、サラダは絵里奈もお気に入りだ。「それなら私にもサラダ買って来てくれればよかったのに。あそこのサラダ、好物って知ってるでしょ」おなかもすいていたので思わずそう言うと、茂樹は面倒くさそうにため息をついた。「一体、何なの? いつから、私たちはこんな風になってしまったんだろう…」 ■妻の成功の陰で、夫は新人同僚女性と…都内の一流と言われるメーカーに同期入社した2人。ともに上昇志向が強く、互いに刺激し合える関係だった。この人となら切磋琢磨(せっさたくま)し合っていけると思い、絵里奈は結婚を決めた。それなのに…私は何も変わっていない。今でも日々、全力で努力している。対して、茂樹は変わってしまった。覇気のない緩慢な動作。昇給も昇進も、私がすっかり彼を追い越してしまった。いけない。絵里奈はハッとわれに返った。2人のことに頭を悩ませている場合ではない。明日は大事なプレゼンなのだ。冷凍食品でおなかを満たしたら、明日のシミュレーションをしなくちゃ。「私、明日プレゼンなの。もうちょっと起きて準備するから、今夜は自分の部屋で寝る」そう言い残して、絵里奈はリビングをあとにした。仕事が忙しくなり始めた頃、絵里奈は自分の部屋用にソファベッドを買っていたのだ。翌日、プレゼンは大成功。絵里奈は満足感でいっぱいだった。スマホを取り出し、ニッコリする。「今夜は外食しよう。私のおごり!」茂樹にメッセージを送った。ところが…。「ごめん。今夜は飲み。週末埋め合わせする」絵里奈は心底がっかりした。妻が大仕事を終えたその日に、飲み? もうちょっと気を利かせてよ…。トボトボと家路についた絵里奈だったが、駅前まで来て驚くべき光景を目にした。茂樹が若い女の子と歩いている。あれは…確か入社2、3年目の、総務の池田さんだ。A4サイズの書類など入らない、かわいらしい小ぶりなバッグ。走ることなどできそうにないハイヒール。「愛されOL」を絵に描いたような池田さんが、ふんわりと巻かれた髪をゆらしながら、夫の隣で微笑んでいた。そっとあとをつけてみた絵里奈。小洒落たワインバーに入っていく2人を見届け、しばらくその場に立ち尽くしていた。■ついに夫が大反撃! バリキャリモンスターの行く末は?「結局、茂樹もポーッとした若い子が好みだったのね。知らなかったわ。あの子たちって、『〇〇じゃないですかあ…』って甘ったるい話し方するでしょ。ばっかみたい」茂樹が帰宅するなり、絵里奈は冷ややかにそう切り出した。一瞬驚いたように目を開いたが、茂樹はすぐにいつものムスッとした顔に戻った。「彼女…総務の池田さん、彼女がうちの部署用に作成した書類に不備があって、そのフォローを俺がしたんだよ。それで、お礼をさせてくださいって言われて」「なるほどねぇ。デキない女ほどかわいいってことかしら。男にフォローしてもらえておトクよね」茂樹はドスンとテーブルをたたく。「いい加減にしろよ!」珍しく声を荒げた茂樹に、絵里奈は固まった。「いつもいつも、人を見下したような態度で。うっとうしくて仕方ないんだよ! おまえより給料低くて悪かったな。これからもどんどん稼いでくださいよ、奥さん」仕事では絶好調なものの、夫婦仲に暗雲が立ち込め始めた絵里奈さん。一体なぜ、こんな状況に陥ってしまったのでしょう?絵里奈のように、仕事に精を出している皆さん。プライベートは大丈夫ですか? 上から目線の言葉を、夫に投げかけていませんか。次回でご紹介するチェックテストで、あなたの「バリキャリ系モンスター 超絶仕事人」度をチェックしてみましょう。
2018年07月07日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回ご紹介するのは、「バイオレンス系モンスター」。これまでに見てきたタイプのモンスターワイフたちよりも、ドロドロの修羅場を繰り広げる危険性がさらに高いモンスターです。「修羅場だなんて、私はそんな!」と思った、そこのアナタ。ギョッとするような大爆発を起こしているモンスターワイフも、つい昨日までは普通のいい奥さんだったかもしれないのです。あなたもある日突然、大爆発を起こしてしまう危険性はないでしょうか?■積もり積もった不満が爆発! 突然噴火するバイオレンス系モンスター「バイオレンス系モンスター 修羅場火山」代表:理恵(仮名)36歳の場合「人がおとなしくしていればいい気になって、つけ上がって! 一体、何様のつもり!? 章人さん、私、あなたの家族なんてやってられない!」これまでずっと心の中に渦巻いていて、けれど一度だって口に出したことはなかった思いが自分の口から飛び出していく。目の前では夫と義父、義妹が、宇宙人でも見るような顔で固まっている。理恵は6歳年上の章人と、28歳の時に職場結婚をした。誰にでも親切で面倒見のよい章人と、真面目で完璧な仕事ぶりで笑顔を絶やさない理恵は「理想の夫婦」と呼ばれ、理恵は幸せの絶頂にいた。しかし、結婚して一変。気になり始めたことが…。章人には5歳年下の妹、真美がいる。甘やかされて育ったためワガママ放題の真美は、思春期の頃から父親と折り合いが悪い。母親は真美がまだ学生の頃に病気で他界していた。そのため、以前から何かといえば兄に頼るのが当たり前のようになっていた。真美はいまだに独身だ。突然電話をかけてきて、理恵に向かって「明日、そっちに遊びに行くから、ゴハン作っといて」などということもザラだった。「なんて非常識な人なの」と理恵はいつもウンザリしていた。けれど、章人が妻に申し訳なさそうにしながらも、真美にノーと言わずにいるのを見ると、妻として夫の意思を尊重してあげなければと感じ、口出しすることはなかった。夫の意をくんで、黙って従う妻。これぞ理想の良き妻。理恵はそう信じていた。だからこそ、真美が章人に高額な誕生日プレゼントをねだった時には、「私もちょっと応援するわ」とお金を差し出したのだ。「面白そうな仕事」を見つけるとすぐに飛びつき、しょっちゅう職を転々としている真美。章人はつねに心配して気をもんでいるので、「真美さんとゆっくり話してみたら?」と、夕飯へしょっちゅう誘った。「夫の妹は私の妹、仲良くしなくちゃ…」そんな思いもあったのだ。すべては、章人の最高の妻でいるためだった。夫の家族にも優しく、思いやりにあふれ、配慮がゆき届いた妻でいたかった…。ただ、章人は理恵の努力をくみ取ろうとはしない。理恵の気づかいに鈍感で「あ、サンキュ」とサラリと甘えた。いつもいつも、理恵がどんなに頑張ってもそっけない態度の章人。もやもやしたものが何年もの間に心の底に積もっていった。けれども今回ばかりはもう限界だった。 ■「離婚よ、離婚!」娘の誕生日パーティーが台無しに…5歳になる娘の理香の誕生日は家族水入らずでお祝いするつもりだった。ところが、地方に住む義父が、自分も孫の誕生日を祝いたいと言い出した。おまけに「都会に出るのは久しぶりだから、行きたいところが山ほどある」と言う。せっかく娘のために計画したあれこれが台無しになり、理恵は途方に暮れた。しかし、そんな本心を夫に見せてはいけない。一人暮らしの70歳になる義父が、久しぶりに訪ねて来るというのだ。イヤな顔などできるわけがない。さらに娘の誕生日前日になって、今度は真美が「私も理香ちゃんの誕生日を祝う」と言い出した。背筋が凍った。犬猿の仲の父娘が、愛娘の誕生日にやって来る。きっとケンカが始まるに違いない。理恵は泣きたい気分だった。章人は「家族なんだから大丈夫だよ。」とさほど気にしていない。そして、誕生日当日。理香は、みんなが集まってくれて上機嫌で、ずっと歌を歌っている。理恵はどうにか穏便にことを進めようと、当日は普段以上の笑顔と気配りで義父と妹をもてなした。しかし、義父が思い出話を始めた時、「あの頃は仕事ばっかしてて、子どものことなんか考えてなかったくせに」と悪態をつく真美。やはり理恵の努力もむなしく、義父と義妹は口論を始めてしまった。章人は、とりなすこともせず知らんぷり。理恵だけがオロオロしている。気分を害した義父は、予定を早めて家に帰ると仏頂面で言い出す始末。理恵が必死に2人の間をとりなそうとしていると、真美が呑気な顔で言った。「父さんが帰るなら、今夜、和室は空いてるのよね。それなら私、泊まっていこうかな」理恵の頭の中に、誰かがマッチで火を点けた。シュボっという音とともに炎が上がる。「はあ? この女は一体何を言っているの? あんたなんか私にとっては、ただの迷惑な他人。なのにこれまで私がどれだけの時間とお金とエネルギーを、あんたのために費やしたと思ってるの? っていうか、章人、あんたの妹でしょ。怒りなさいよ。なんで、黙認? はあ? あんたは妹の奴隷?? はあ?」頭の中の炎が一段と大きな輪郭を描いて燃え上がる。紫の芯にだいだい色の炎。メラメラと音を立てる。理恵はもう自分で自分を制御できなかった。気づけば真美に向かってどなりちらしていた。章人が呆然としつつも止めに入る。しかし、理恵はもう止まらない。次は章人に、フルーツゼリーを投げつける。「あなたもあなたよ! いい年してこんな無茶苦茶な妹に、やりたい放題やらせておいて。本当にワケがわからない。こんな人たちもう無理! 私の苦労を完全にスルーして、気づいてくれないあなたも最低。最低夫!離婚よ、離婚!! こんな家族とはサヨウナラ」理恵は理香の手を取り、玄関から飛び出した。「完璧な良妻」の仮面がはがれ落ち、家族のいる前で大爆発してしまった理恵さん。その後、彼女はどうなったのでしょう。そして、完璧な妻を目指して努力してきた彼女の、何が問題だったのでしょうか?次回は、理恵さんが陥ってしまった失敗を確認しながら、あなたも同じ間違いを犯してしまう危険性がないかチェックしてみましょう。
2018年06月16日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。 前回 に引き続き、今回も新型である「マウンティング系モンスターワイフ」のエピソードをご紹介します。今回の舞台は、ママ友社会。ママ友同士の派閥や見えの張り合いなんてバカみたい! と思っていても、気づくとはまっているおそろしいママ友の世界。うっかり無益な戦いに身を投じてしまわぬよう、ご用心。「人のふり見て、わがふり直せ」とはまさにこんな場合です。■「最高の街、最高のマンション、最高の私」「マウンティング系モンスター 見下しママ」代表:香織(仮名)34歳の場合人気私立幼稚園の園庭の片隅。カチッとした紺のパンツスーツ姿で娘の恵里菜を迎えに来た香織は、今日もママ友の井戸端会議の中心となって笑顔を振りまいている。「この間お話したうちのマンションのスカイラウンジ、皆さんぜひ遊びにいらして! お茶はスタッフが出してくれるから、お菓子を持参すればすてきなお茶会ができるわ」みんなが私の“お城”に興味津々。私の暮らしがうらやましいに違いない。声高に話しながら、香織はほおがゆるむのを止められなかった。香織家族は、娘・恵里菜の幼稚園入園に間に合うよう、この街に引っ越してきた。みんなの憧れの街。上品な雰囲気に豊かな緑、そして幼稚園から大学にいたるまで、一流の教育機関が集まっている。わが子に最高の環境を。それが香織の信念だった。だから、娘の幼稚園入園を前に完成する高級マンションの情報を、香織はいち早く入手した。人気幼稚園まで徒歩5分、入居者専用のジムに共有スカイラウンジ…なんてすてきな生活。香織はすぐさま資料をそろえて夫の秀樹に掛け合ったが、夫は「価格が高過ぎる」とおよび腰だった。秀樹は勢いのあるITベンチャー企業の役員だ。年収は同世代の会社員よりはるかに良い。しかし、タワーマンションともなると、その価格にも敷居の高さにも決意が揺らいでいるのだろう。「でも、子どもには、最高の環境を与えてあげなくちゃ」香織は「自分も職場復帰するから」と説得した。実家の両親が頭金を半分出してくれることも伝えた。香織の父親は数年前、祖父の土地を相続して余裕がある。妻にそこまで詰め寄られると、秀樹も最終的には首を縦に振らざるを得なかった。■ブランドスーツで武装「バリキャリママ」のフリ香織は、結婚前に働いていたメーカーにアルバイトの事務職で戻ることができた。社員の服装にうるさい会社ではないので、スーツで出勤する必要などまったくない。けれども、香織は高価なブランドスーツを買いそろえ、秀樹を仰天させた。マンションに引っ越して来て、香織は焦りを感じていた。いわゆる「ママ友」たちが皆、有閑マダムか外資系企業に勤めるバリキャリタイプなのだ。住宅ローンのために働いているだなんて、口が裂けても言えない。だから自分も「バリキャリ風」に見えるよう、スーツで武装することにしたのだ。効果はテキメンだった。幼稚園でできたママ友たちは香織のことを、「あの新築マンションに引っ越してきた、キャリアウーマンのカッコいいママ」と認識してくれているようだった。17時までの勤務は週1回、ほかの日は早めにあがれて、子どものお迎えにも差し障りがない。遅くなる日はお迎えサービスを頼んでなんとかなる。ママ友たちには「子どもが小さいうちはワークシェアできるの。夜は在宅ワーカーなの」と、かっこいい体裁を作る。完璧なストーリーを作り上げた。 ■タワーマンション最上階に住む“敵”夢のお城を手にした私に集まる、羨望(せんぼう)のまなざし…香織は優越感にひたっていた。幼稚園のママ友の中にいる、たった一人の“敵”を除いては…。「あら、茉奈ちゃんママ。こんにちは」井戸端会議に参加していたママの一人が声を上げた。茉奈ちゃん一家は、香織のマンションの最上階の住人だ。41階。マンションの販売前から説明会に参加していた香織は、最上階の部屋のびっくりするような価格を知っている。茉奈ちゃんママはいつも流行とは無縁だけれど、ひと目で上質なものと分かるものを身に付けている。肌など白雪姫のように真っ白で、幸せそうな顔。専業主婦。おっとりした話し方は、「人生で忙しかったことなど一度もございません」と言わんばかりだ。別のママがたずねた。「茉奈ちゃんのバレエ教室、どうですか?」バレエ? 茉奈ちゃんはピアノも英会話も習っていたはず。それに加えて、今度はバレエ? うちの恵里菜は英会話だけだ。顔の引きつりを無理やりほぐすように笑顔を作って、香織は言った。「いいねぇ、茉奈ちゃん。頑張ってね。うちも習い事を増やしたいのは山々なんですけど、私の仕事がさらに忙しくなってしまって。大きな案件を任されたもので…おかげでまたやつれてしまって」「仕事で忙しい」「やつれてしまう」というのは、香織の常套句だった。ある日の井戸端会議で、有閑マダムのママ友たちが「子どもが幼稚園に行っている間、何をして過ごすか」と話し合っていた時、「私は仕事が忙しくて」と言うと「まだ子どもが小さいのにすごいわね」と言われたからだ。彼女たちの持っていないもの、それは仕事だ。社会でハツラツと働き、経済参加をしているという事実が彼女たちには憧れのフックになる。そして、ママ友たちがダイエッの話題で盛り上がっているのを聞いて、一番細身だった香織は「私は仕事が忙しくて、やつれてしまうんです」と付け足した。すると、ママ友たちからは嫉妬のまなざし。それからというもの、香織は「仕事で忙しい」「やつれてしまう」をキーワードに、ママ友社会で闘っている。■ママ友ヒエラルキーの闇「すべて一番じゃないと気がすまない!」その晩、香織は夫の秀樹が帰宅するなり切り出した。「習い事、やっぱり英会話だけじゃ恵里菜がかわいそうよ。ほかのお友だちはみんな、いろいろ習っているのに」「恵里菜が何かやりたいって言ってるのか?」「そういうわけじゃないけど…。でも、親が機会を与えてあげなくちゃ」何か言おうとした秀樹をさえぎるようにして、香織が続けた。「それから新しい車のこと。やっぱりファミリー向けの国産車なんてダメよ。習い事の送り迎えの時にうちだけそんな車だったら、恵里菜が恥ずかしい思いをするわ。国分寺のおとうさんに言って、アウディを買ってもらおうかな」秀樹はいつも実家をあてにする香織の態度に嫌気が差していた。まるで自分の稼ぎが少ないことを馬鹿にされているような気がする。「恥ずかしい思いをするのは、恵里菜じゃなくて、おまえだろ」そんな言葉を秀樹は飲み込んだ。言おうものなら「私は恵里菜のためを思って!」「あなたは恵里菜がかわいくないの?」と、ものすごいけんまくでお決まりの反論が始まるのが分かっていたからだ。ママ友社会のヒエラルキーの上位に君臨するのに必死な香織さん。経済的マイナスを実家に頼る幼稚さ。そんな彼女に、夫はウンザリしています。同年代の女性が集まるママ友社会では、女性の虚栄心や、同性に負けたくない気持ちが刺激されます。そこでつい、何かにつけて相手より上に立とうとしたり、「幸せなフリ」合戦を始めてしまったり…。夫から見ると「イヤな女」まっしぐら、という危険が潜んでいます。次回ご紹介するチェックテストで、あなたが抱える「マウンティング系モンスター 見下しママ」リスクを確認してみてください。
2018年06月03日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。拙著『モンスターワイフ―幸せなふりはもうしない』が出版されてから10年。この間に、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。女性が一線で働くようになり、寿退社の激減、そして年収格差もろもろ。それにともない、より複雑かつ強力な『新型モンスターワイフ』まさにモンスターワイフ2.0が増殖中です。誰でも陥りそうな不安定な結婚生活から現れ始めた新型モンスターワイフは、急激な社会の変化による犠牲者といえるかもしれません。目まぐるしく変化する現代社会の中で、気付けば自分もモンスターワイフと化していた…そんなことはありませんか?■一番幸せなのは絶対にワタシ! 新型マウンティング妻、現る「マウンティング系モンスター 勝ち組はワタシ」代表:小百合(仮名)31歳の場合「亜美、ニューヨーク赴任決定おめでとう!」久しぶりに集まった4人組は、汐留のイタリアンレストランで乾杯した。大学時代、いつも一緒だった4人。それが今では、バラバラの世界に散らばっている。ちゃんと結婚して子どもを2人生み、正統派の女の幸せをつかんでいるのは私だけ…小百合はワイングラスを片手に、しみじみと感慨にひたった。「ありがとう」パリッとしたスーツに身を包んだ亜美は、祝福に笑顔で応える。大手銀行に就職し、海外勤務を志望していた彼女は、とても幸せそうだ。「さすが、亜美」「ニューヨーク、遊びに行きたいな!」はしゃぐ2人を横目に見ながら、刺々しい声で小百合は言い放った。「でも、3年は向こうにいなくちゃいけないんでしょ? 戻ってきたら高齢出産のお年頃よ…結婚は? ちゃんと考えてる?」「うーん、今は仕事がすごく楽しいから、仕事優先かなぁ」スッキリとセットされたセミロングの髪に手をやりながら、亜美が曖昧な笑みを浮かべて答える。そして話題を変えるように言った。「そうそう、直美、テーブルマナー講座始めるんだって?」直美は結婚後、仕事を辞めて夫のイギリス赴任に同行していた。イギリス滞在中にテーブルマナーを学び、帰国後、日本でも資格を取ったという。「そうなの。今は準備で大忙し」大忙し、と言いながらも、直美からは優雅な余裕が漂っている。直美の質のいい素材のブラウスをにらみながら小百合は思う。幾何学模様のスカートはイタリア製か…頭の中のブランド辞典がパラパラめくれる。テーブルマナー講座? 子どものいないヒマな主婦による、ヒマな主婦のための講座でしょ。こっちは2人も子どもを育ててるのよ。そんなヒマつぶしで「大忙し」だなんて、笑っちゃう。本音がにじみ出ないよう注意しながら、小百合は言った。「直美、せっかく大企業に就職したのに、旦那さんの赴任で辞めちゃって、惜しいことしたよね。イギリスでは働けないから、その間に出産ってプランかなと思ってたんだけど…そっか、マナー講座かぁ」直美も亜美と同様、微妙な表情を浮かべながらも、おっとりと答えた。「そうね、そういう考え方もあったかも…。でも向こうで学んだことを生かしてみたいと思って」小百合はなおも何か言い出そうとしたが、恵美子が直美に助け舟を出した。「マナー講座、楽しそう! 私も最近、習い事を始めたんだ。ほら、ジェルネイル」屈託なくそう言うと、縦ロールが揺れる長い髪を耳にかけながら、ピンク色に輝く指先をヒラヒラしてみせる。小百合は呆気にとられた。ネイル? 結婚して家事をするようになったら、ましてや子どもでも生まれたら、ゆっくりハンドクリームを塗る時間すらないんだから!「恵美子は昔からオシャレだったもんねー。でもさ、今は実家暮らしだからいいけど、結婚して家事をするようになったり、子どもが生まれたりしたら、爪なんて伸ばせないよ」誰も反論できない正論を突きつけたつもりだった。ところが恵美子の反応は、小百合が予想していなかったものだった。「だったら私、結婚も出産もまだ先でいいやー。やってみたいこと、まだ山ほどあるし。服とか髪とかネイルとか、自分の好きなように選べないのって、辛くない?」小百合は全身がカッと熱くなるのを感じた。好きなようにファッションを選べない…。恵美子、私がダサいって言いたいわけ? 確かに青山の美容院には長いこと行けていない。服もずっと動きやすさ重視のものばかり選んできたけど…。でも、バリキャリの亜美や、子どものいない有閑マダムの直美、ファッション誌から飛び出してきたようなOLの恵美子たちと比べられてはたまらない。私は主婦業にママ業と、フル稼働してるんだもの。そしてそれこそ、女の真の幸せでしょ?「全然、辛くなんかないよ。子どもは宝物だし、子どもたちと過ごす時間が一番幸せよ!」■浅ましいマウンティング妻に夫も友人もウンザリ■特別、趣味や特技もなく、大学卒業後は小さな会社に就職し、そこで出会った夫と結婚。2人の子どもが生まれ、大忙しの毎日を送っていた。夫の仕事は忙しいわりに、お給料が良いとは言い難い。けれども、それを理由に、夫は家事や育児に消極的だ。小百合は家で孤軍奮闘。いわゆるワンオペ育児で、正直、辛い。それが小百合の人生だった。だけど、自分で自分をあわれんでしまったら、それこそ救いがない気がする。だから「結婚、出産、育児に専念」という昔ながらの女性の生き方こそ、女の真の幸せなのだと自分に言い聞かせてきたのだ。しかし、そのジレンマで小百合はどんどん「イヤな女」になっていった。久しぶりに女友だちと会った後は、嫉妬丸出しの愚痴をぶつけた。「亜美ってば海外赴任だって。帰って来てから婚活始めて、手遅れにならなきゃいいけど」「直美は講師を始めるとか…。20代のうちに子作りすればいいのにね」「恵美子なんて、まだ独身でネイルがどうとか言ってるのよ。ちゃんと将来のこと考えてるのかしら」お前はお節介な親戚のおばちゃんか? どうして人のことばっかり、あれこれ言いたがるんだ? 夫からすれば、小百合が友人たちを妬んでいるようにしか見えない。そこには、かつて愛した妻ではなく、トゲのある言葉しか吐かない、うっとうしい、浅ましい女がいるだけだった。「こんなやつだったかなあ…」自信のなさの裏返しなのか、マウンティングに走り周囲を見下すことによって、自分の生き方こそ幸せ、自分こそが勝ち組だと思い込もうとして、イヤな言葉やオーラを周囲にまき散らしている小百合さん。この「イヤな女」むき出しの姿は、女友だちから引かれるだけではなく、夫の心も遠ざけていました。次回は、あなたの中にも潜んでいるかも知れないマウンティング系モンスター度を調べてみませんか? チェックテストをぜひお試しください。
2018年05月26日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回のテーマも多くの夫婦が直面する「産後のセックスレス」です。出産後ガミガミママになってしまった妻に、夫は腰が引けてしまう…というのが、 前回 ご紹介したケースでした。今回は、それとは様子が異なります。一見やさしいママで、けなげな妻。しかし、そんな妻たちにもモンスターの魔の手は忍び寄ります。家事も育児も頑張って、家族にはやさしく接している。けれどもどうにも気がめいり、うつうつとして仕方がない、午後になるとため息が出てしまう…あなたもそんな状態に陥っていませんか?■産後劣化が止まらない…女としては自信喪失な「理想の妻」「セクシャル系モンスター メソメソマミー」代表:美香(仮名)33歳の場鏡に映った自分の顔に向かって、美香は大きなため息をついた。「ひどい…まるでお婆さんだわ」同い年の健正と結婚し、かわいい息子の悠人は6カ月になった。美香は確かに幸せだった。けれども、鏡に映る自分の姿が目に入るたびに、ひどくみじめな気持ちになる。産後に抜けた髪が、最近一気に生え始めた。新しく生えてきた短い毛があちこちからツンツン飛び出て、まるでウニのようだ。お肌もひどい。妊娠中に乾燥肌に悩まされるようになったうえに、シミが急増した。腕やデコルテの乾燥もひどく、白い粉を吹いたような状態。服も、授乳のしやすさ第一で選んだゆるめの服ばかり。「昔は、家にいる時も、健正の前ではかわいい服装を心がけていたのに…」夫のことは、今でも大好きだ。なかなかイケメンだし、何よりとても優しい。仕事が忙しい中でも、できる限り家事・育児に協力してくれる。だからこそ、夫が仕事に集中できるよう家事も育児もバッチリこなし、家では安らげるように私もやさしくしている。理想の奥さんになるために、手を抜いていない。けれど、自分の外見の変化…世間では「劣化」などと呼ばれてしまうのだろう。それを鏡で目の当たりにするたびに、美香の心は沈みに沈むのだった。台風で電車が止まったある日、会社の同僚が車で健正を家まで送ってきた。窓から外の様子をうかがっていた美香には、その同僚の姿が見えた。若くてきれいな女性だった。身なりも髪形も美しく整えられたその女性が、自分とは違う世界の存在くらいに輝いて見えた。そんな彼女の隣にいる夫も、美香の隣にいる時よりも、何だか輝いて見える。「ただいま」いつも通りの声で帰宅した夫に、美香は自然に笑いかけることができなかった。 ■夫も困惑「メソメソ泣いてばかりの妻」を前にセックスレスその日から美香は以前にも増して、自分の「劣化」に思い悩むようになった。鏡を見るたびに、ボロボロの髪や肌を目にするたびに、自分がみじめで仕方がない。外出すれば、すがすがしく笑う夫のとなりに立つ老け込んだ自分は、どんなにあわれに見えるだろうと卑屈になってしまう。そのみじめな気持ちが、美香を疑心暗鬼にした。「健正だって私なんかより、若くてきれいな人といたいんじゃないかしら」そういえば…息子が生まれてからセックスレスだ。昔は週に1度は、必ずセックスしていたのに。私がボロボロになってしまったから? それともまさか…健正は浮気をしているのだろうか?美香は夫の帰りが遅くなるたびに血迷った妄想で頭が一杯になった。時には一人でメソメソと泣きはらし、帰宅した健正を混乱させた。「どうしたんだ?」とたずねても、下を向いてグスっと鼻をすする美香。何も理由は言わない。健正の帰宅が早く、息子の夜泣きもなく、寝室で静かな2人の時間が訪れても、美香はボロボロの肌や髪を見られるのがイヤで、すぐに電気を消して寝たフリをした。そのくせ、セックスレスの現状をうれいて、闇の中またメソメソと泣いてしまったりするのだ。健正は明るく笑顔を絶やさなかった妻のあまりの変わりように、当惑するばかりだった…。良き妻、良き母であろうと頑張る女性ほど、自分のことには手が回らなくなってしまいがち。子どもの世話や教育をパーフェクトにしなければという使命感も強く、生活の軸を家と子どもに置きます。そして、お手入れの行き届かない自分にあせり、その気持ちから夫の浮気を疑ってみたり、周囲の若い女性と自分を比べられて、夫に幻滅されているのではないかという被害妄想で頭が一杯になってしまったり。結果として、夫は妻にどう接すればいいかわからず、言葉が少なくなり、しだいに夫婦仲は悪化していきます。妊娠・出産をへて自信を喪失し卑屈になっている妻は、たとえベッドへのお誘いがあっても拒絶してしまったり、セックスを楽しめなかったりします。そのため、セックスレスにつながるリスクも非常に高いのです。「メソメソマミー」モンスターがあなたのことも狙っていないか、次回ご紹介するチェックテストで確認してみてください。
2018年05月12日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回は、夫婦が最も陥りやすい「産後のセックスレス」にスポットを当てていきます。育児雑誌でも、これまで何度もこの特集の監修をいたしました。それほど多くの夫婦が直面している問題なのです。交際中も結婚後もそれなりにセックスを楽しんでいた夫婦でも、妻の出産という一大イベントを機に、ガクンッとセックスレスに陥ってしまう危険性は大いにあります。女性にとって妊娠、出産、そして育児は、とても幸せな体験。けれども、同時に肉体的にも精神的にも、女性に大きな負担を強いるものです。夫とのエロスは忘れてしまい、聖母のような気持ちで赤ちゃんを見守る時期。夫より赤ちゃん優先の時期といえます。そして、ふと気づけば完全なセックスレスだった…そんなケースが後を絶ちません。産後セックスレスに陥って後々泣かないために、気をつけるべき点をご紹介しましょう。■産後セックスレスは「変わらない夫」への報復?「セクシャル系モンスター イライラモンモン」代表:加奈(仮名)32歳の場合授乳をすませ、ようやく娘を寝かしつけた加奈は、子ども部屋から戻って来るなり、首から上がカァーッと熱く頭に血が上るのを感じた。夫が夕食を取っていたダイニングテーブルから、汚れた食器は消えていた。しかし、その食器はキッチンに下げられていただけで、食洗機には入っていない。加奈はイライラで爆発しそうになりながら、食器を食洗機に放りこみ始めた。授乳に行く前に、食べ終わったら食器は片づけておいて」って言ったのに…。「片づける」って、食器を食洗機に入れて、洗剤も入れて、食洗機をスタートするところまでのことでしょ? 子どもじゃあるまいし、そんなことまで私が逐一指示しなくちゃいけないわけ? 赤ちゃんの世話で目が回りそうに忙しいのに、いい年をした夫の面倒まで、私が見なくちゃいけないなんて、自分のことは自分でやるよう小学校で言われたでしょ…! 夫への怒りが一気にふくれ上がる。2つ年上の和久と結婚して3年。もうすぐ1歳になる娘の彩乃の世話に忙殺される毎日。加奈も和久も子どもが欲しいと願い、望みどおりかわいい女の子を授かった。幸せなはずの毎日。けれども初めての育児に心身ともに疲れ果てていて、幸せを感じる余裕がない。それどころか、毎日苛立ちの連続だ。娘はあちこち歩き回っては何もかもグチャグチャにする。1日3回、離乳食を食べさせるのもひと苦労。授乳もまだ続いているので、時間も栄養も吸い取られている。こんな時にこそ自分の夫であり、娘の父親である和久にしっかりしてもらわなければならないのだが…和久がこんなに「使えない男」だったとは、育児が始まるまで知らなかった。娘の泣き声で、加奈はわれに返った。しまった。イライラしていて、食器の音を立て過ぎたか。そこへ和久が、風呂場から戻ってきた。「彩乃、泣いてるよ」そののんきな顔を見た途端、加奈は怒りでこめかみに激痛が走るのを感じた。「誰のせいで、彩乃が起きたたと思ってるのよ! せっかく寝かしつけたのに。私は疲れてるの! 死ぬほど疲れてるのに、どうしてあなたは食事の片づけひとつまともにできないわけ!?」和久は娘が生まれてからの加奈の豹変(ひょうへん)ぶりに、戸惑っていた。出産前の加奈は理知的で、感情的になることはあまりないタイプだった。そんなところが和久の好みだった。ところが彩乃が生まれてからというもの、加奈は自分にも娘にも、しょっちゅう怒鳴り散らしている。いつでもカリカリしている。ベッドの中ですらそうだ。彩乃が生まれて半年ほど経った頃、和久は遠慮がちにおうかがいを立てた。体はもう大丈夫? そろそろセックスを再開するのはどうだろう、と。しかし、加奈は和久をにらむと、ピシャリと言い放った。「勘弁してよ。24時間無休で、彩乃の面倒見てるの。あなたの世話までしてられないわ」世話…妻にとって俺とのセックスは「世話」でしかないのか。和久はひどく侮辱されたと感じ、またさみしかった。けれどもその後も何度かは、和久のほうからお誘いをかけてみた。もともと加奈と和久は体の相性がよく、交際中も新婚時もセックスをとても楽しんでいたのだ。二人の間にセックスが復活すれば、常に苛立っている加奈も、ピリピリした空気も、少しは和らぐのではないか。そんな希望を抱いてのことだった。けれども毎回、加奈はつっけんどんに和久を拒絶した。2度断られるだけでも、しょげてしまうのに、それでも頑張って誘ってみて…10度近くは断られただろうか。和久のプライドは崩れ落ちた。そして、妻とのセックスをあきらめてしまった。もはや加奈には、セックスへの関心の欠片もない…和久はそう思っていた。 ■「役立たずな夫」「豹変する妻」気持ちもセックスもすれ違う二人事実は少し違っていた。確かに、産後半年ほどで和久から誘われた時の加奈は、初めての育児に肉体的にも精神的にも疲労困ばいしていた。体のほうも本調子と言っていいものか、まだ自信がなかった。お産の時に膣と会陰が傷ついているので痛いのではないか、赤ちゃんが出てきた場所でまたセクシーな行為を行うことができるのか。けれども、何度か誘われた時には、実を言えば加奈のほうにも「そろそろしたい」という思いがあったのだ。加奈の性衝動をストップさせたものは何か。昼間の夫の役立たずぶり、そのせいで自分がどれだけイライラさせられたかを思い出すにつけ、「私もしたい」とは死んでも言いたくない気持ちになっていた。ある日、加奈は忙しく離乳食の準備をしながら、和久に「出かける時にゴミを出して行って。今日は燃えるゴミの日なの」と頼んだ。すると外出の支度を済ませた和久は、加奈のところへ戻って来て「ゴミはどこ?」とたずねた。「ゴミは自動的にゴミ袋に入ってあなたを待ってるとでも思ったの? 家中のゴミ箱からゴミを集めなきゃ、捨てに行けるわけがないでしょ! どうしてそんなことも分からないの!?」加奈は、ものすごい剣幕で和久を責めた。娘が吐き出した離乳食で手がベトベトと気持ち悪かった。甘ったるいかぼちゃの匂いが鼻につく。イライラは倍増した。びっくりした娘が泣き出すと、それが余計に加奈の神経を刺激した。「早く食べなさい!」大泣きする娘に、加奈はさらにきつい口調で怒鳴り散らした。本当は私だって、自分の娘に怒鳴ったりしたくない。優しいママでいたい。けれども、自分はあまりにも忙しく、あまりにも疲れている。娘が生まれてから自分の時間など皆無だし、趣味や楽しいことなど、何ひとつしていない。それに比べて、和久はどうだろう。結婚前から参加している焼酎サークルの集まりに、今でも月に一度は顔を出している。会社の飲み会にだって、以前とほぼ同じ頻度で参加している。私だってお酒は大好きなのに、妊娠が分かってから一度も口にしていない…。そして何と言っても、和久の家事・育児での役立たずぶり。私は死ぬほど疲れているのだ。そんな中で、常にやらなければならないことに追われている。そんな泣きたくなるような状況で私が必死に頑張っているのに、どうして夫はもっと私を助けてくれないのだろう。テキパキ動いてくれないのだろう。そんな不満でいっぱいの状態で、和久からのお誘いだ。とても「私もしたい」なんて言えない。夫は私よりずっとラクをしている。楽しい思いもしている。夫はズルい。私だけ損してる。こんな状態でセックスをして、夫にさらに楽しい思いをさせてやるなんて、まっぴらごめんだ。私とセックスしたいなら、もっと夫として、父親としての役目を果たしてから誘うべきなのだ。不満だらけの夫に、セックスなんてさせてやらない。加奈はかたくなになっていた。それにこれだけ不満を抱いている相手に、自分がベッドの上で喜ばされることを想像するのも我慢がならなかった。けれども出産のダメージから回復した加奈の体は、セックスを求めていた。この間など、気づいたらネットで官能小説を探していた。夫に求められ、それを素直に受け入れられる世のすべての妻に、加奈は嫉妬した。夫はもう誘ってこない。私はこんなにしたいのに…欲求不満が、加奈のイライラぶりをさらに加速していった。それでも自分のほうから抱いて欲しいだなんて、絶対に言えないし、言いたくない。加奈はストレスとフラストレーションを、ひたすら小言口調の態度で表現するばかりだった。ガミガミママになると同時に、セックスレスにも陥ってしまった加奈さん。果たして彼女のその後は…?そして、あなたには加奈さんと同じ失敗を繰り返してしまう危険性はないでしょうか? 次回ご紹介する チェックテスト で、リスクを判定してみてください。
2018年04月28日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。前回までは、ビジュアル系、メンタル系のモンスターワイフのリアル・ストーリーをご紹介してきました。いよいよ今回は、セクシャル系モンスターの登場です。セクシャル系モンスターワイフになるのは、実は無自覚のケースが大半。ハッと気付けばモンスター化していた、というケースが多いのです。けれども、一度暴れだしたモンスターを退治するのは茨の道。ご紹介するエピソードとチェックテストを参考に、セクシャル系モンスターの魔の手が自分に忍び寄りつつないか、確認してみてください。■筋金入りのマグロ女、気づいてみたらセックスレス!?「セクシャル系モンスター 遅咲き冷凍マグロ」代表:和枝(仮名)34歳の場合「え…うちってマズイの?」和枝は思わずつぶやいた。テレビをつけると、セックスレス特集番組が目に飛び込んできたのだ。夫の雅史と最後に抱き合ったのはいつだったか、和枝は思い出せなかった。1年くらい前…? 2年以上前ってことはないと思うけど…。不安感が、和枝の心をじわじわととらえ始めた。「私たちがセックスレス? 男はいつだって、セックスのことで頭がいっぱいなんじゃないの?」和枝は性的に淡泊なタイプだった。ただ、男というのは誰でもセックスしたがるもの。そしてセックスさせてあげれば、男女の仲は安泰…それが、和枝のセックス観。和枝はふくよかなボディだ。豊満なバスト。ムッチリした太もも。バスタイムに鏡にうつる魅力的なボディを見つめて、笑みを浮かべていた。実際、黙ってセックスを「させてあげる」ことで、彼女は好条件の夫を手に入れた。同い年の雅史は真面目な働き者で、とても優しい。2人は28歳の時に結婚した。結婚後、セックスに興味のない和枝には、定期的にお誘いがかかる夫とのセックスが、ただの面倒な作業にしか思えなかった。それでも仕方なく、4度に1度くらいは誘いに応じるようにしていた。しかし…和枝はベッドの上では仰向けに寝そべったまま動かない。雅史が腰を振る時だけかろうじて背中に手を回すという動作しかしない。ましてや雅史をなでるとかなめるとかは一切ない。和枝は筋金入りの『冷凍マグロ』だった。和枝にとってセックスは男に「させてあげるもの」。自分のほうから何か「してあげる」必要があるなどとは、夢にも思っていなかったのだ。冷凍マグロの和枝は、雅史の心まで冷まし始めた。雅史は次第に和枝を誘わなくなっていった。そこに、テレビのセックスレス特集である。男というのは断られても、しぶとく誘ってくるものだと和枝は思っていた。それが今では、もう最後に誘われたのがいつだったか思い出せない…。「なんで? どうして? まさか雅史、浮気してるの…??」■浮気を疑って夫のパソコンを見たら、そこには驚きの…和枝は夫の行動に目を光らせ始めた。夫のスマホを盗み見るまでした和枝だが、疑わしい点は何一つ見当たらない。それでは夫の部屋にあるパソコンは? パソコンを使って浮気相手とやり取りしている可能性だってある。そう考えた和枝は、週末自室でパソコンを使っていた雅史がトイレに立ったスキに、夫の部屋に忍び込んだ。「なにこれ…!!」そこには、和枝が想像すらしていなかった光景が広がっていた。アダルト動画のサイト…和枝の頭の半分は、衝撃でまひしている。けれど、残りの半分は妙に冷静だった。雅史はこれまでに、どんな動画を視聴してきたのだろう? マウスに置かれた手が勝手に動く。和枝の目の前に、雅史が購入ずみの動画一覧が表示された。「…女子大生? …セーラー服?? …幼な妻???」甘ったるい童顔、薄桃色のほっぺ、切りそろえた前髪、小柄で華奢(きゃしゃ)な体…これでもかと言わんばかりに若さを前面に押し出した女たちの裸体が、次々と目に飛び込んでくる。「これは、私への当て付けなの?」怒りに震えた。和枝はボディに自信があるし、雅史も彼女の女性らしい体つきが好きだと言っていた。自分は「求められる女」なのだという自信が和枝にはある。だからこそ、この現状に死ぬほど屈辱的な思いを感じてしまった。「確かに私はもう30代だし、グラビアアイドルでもない。だけど、画面の向こうの誰かじゃなくて、雅史の目の前にいる生身の女なのよ。それなのに…それなのに私とはセックスレスで、こんな動画を見てるだなんて、許せない!!」何が何でも雅史の目を、もう一度私のほうへ向けてやる。和枝は決心した。その夜の寝室。先にベッドに入り、車の雑誌を読んでいる夫に切り出した。「ねえ雅史、そういえば私たち、もうずっとセックスしていないよね。久しぶりにしない?」雅史はきっと大喜びでこの申し出に乗ってくる。和枝は確信していた。昔はあんなに誘ってきた雅史だもの。一人で動画なんか見てるより、実際に私とセックスできたほうが、ずっといいに決まってるわ。ところが、雅史の反応はまったく想定外のものだった。彼は居心地の悪いような、少し怒ったような顔をして、こう言ったのだ。「何だよ、どうしたんだよ、今さら。和枝はセックス嫌いだろ。いいよ無理しなくて。それじゃあ、おやすみ。」雅史は雑誌をポンっとサイドテーブルに投げてスタンドの灯りを消した。和枝は二の句をつげない。その夜、彼女は一睡もできなかった。 ■「遅咲きのマグロ女」に投げかけられた夫の非情な一言数日後、和枝は再び雅史にお誘いをかけてみた。普段はパジャマを着てベッドに入る和枝だが、この日は下着姿だった。バラの花の刺しゅうが右胸に施されているレース生地。パンティも光沢があるシルバー。アンダーヘアはもちろん小さな布におさまるようにカットしている。はみ出してはいない。和枝の持っている中で一番の勝負下着。けれど今回も、夫の反応は前回と同じ。そっけない「おやすみ」という言葉が寝室にひびく。和枝は怒りではらわたが煮えくり返る思いだった。しかし、ここで「あなたのパソコンチェックしたのよ! あんなにアダルト動画を見ておいて、私とはセックスできないわけ!?」などとは言えない。怒りと屈辱と敗北感で頭が大混乱していた和枝の口から出てきたのは、「どうして? もう私を愛していないから?」という言葉だった。雅史は静かな声で答えた。「愛してるよ。仕事も頑張って、家のこともちゃんとしてくれて、俺の実家との付き合いまでこなしてくれて…和枝は本当にいい奥さんだと思ってる。でももう、セックスとかは…。俺たち、そんな感じでもないじゃないか」もうそんな感じじゃない? どうして? 私が年を取ったから? 私なんかとセックスするより、パソコンで若い女の子の裸を見ているほうがいいって言うの? 両目から熱い涙をあふれ出しながら、和枝は突然、雅史の下半身に手を伸ばした。「やめろよ!」ギョッとした顔の雅史が、その手を乱暴に払いのける。「どうして!? どうして勃たないのよ!?」和枝は泣きながら叫んだ。その日から和枝の頭は、セックスのことでいっぱいになった。■夫から拒絶されるたびに…「私って女として価値がないの?」セックスなんて、自分さえその気になればいつだってできるもの、のはずだった。ところが、和枝が下着姿で迫ろうと、ペニスを握ろうと、パジャマのズボンを引きずり下ろして陰茎にかぶりついても…雅史の下半身は無反応。それどころか、雅史は一刻も早く和枝から体を離そうと、必死で逃げ惑う始末。「一体、なんなのよ…!?」どうして? 私ってそんなに、女として価値がないの? 夫にすら逃げられる女…それじゃあ私このまま、二度とセックスしないまま、人生終わるの? いつしたのか、どんなだったか、これっぽっちも思い出せないようなセックスが、私の人生最後のセックスだっただなんて、そんなのあんまりだわ!もうできないのか。二度とできないのか。そう思えば思うほど、和枝のセックスに対する執着心は、恐ろしい勢いでふくらんでいった。「自分は性的に淡泊なほう」と信じて疑わなかった昔の和枝とは、もはや別人だった。そんな和枝に、雅史はひたすら困惑するばかりだった。もっと正直に言えば、妻の豹変(ひょうへん)ぶりに恐怖すら覚えていた。気付けば『拒む側』から『拒まれる側』に回っていた和枝さん。生まれて初めて切実にセックスを渇望するようになりますが、その頃にはもう夫の熱意は完全に消滅していました。セックスに対する意欲が、完全にすれ違ってしまったこの夫婦…2人はこの後、どうなるのでしょうか? そして、あなたは和枝さんと同じ轍を踏んでしまう危険性を抱えていませんか?次回はそんなリスクを判定する チェックテスト をご紹介します。ぜひお試しください。
2018年04月14日前作「モンスターワイフ」の連載コラムをきっかけに、「知らず知らずのうちにモンスターワイフになっていたかもしれません」「私はがんばってるのに・・と思い込んでいました」「夫を責めてばかりでした」という声をいただくようになりました。自分の内にあるモンスターの卵に気づくか気づかないかで、結婚人生は180度変わっていきます。心当たりがあったとしても「でも、やっぱり夫が悪い」と受け入れられない方もいることでしょう。そこで、この新連載「リアル・モンスターワイフ、再び」では、実際の事例を分類し、リアル・エピソードを交えてお伝えしましょう。「人のふり見て我がふり直せ」の格言通り、一日でもはやくモンスターワイフの卵を握りつぶすことが大事です。■容姿に磨きをかけ「白馬の王子様」を手に入れたはずが… 「ビジュアル系モンスター 産後ボーボー」代表:美里(仮名)31歳の場合美里は有楽町にあるファッションビルで、ピンク地に小花のプリントがほどこされているフェミニンなブラウスを手に取った。「かわいいー! 買っちゃおう」今の美里には、目に映るすべてのものがパステルトーンのおとぎの世界に見える。それほどに気持ちは華やぎ、舞い上がっていた。同じ会社に勤めている3歳年上の後藤祥太にプロポーズされ、ハッピー気分は最高点。気分は、まるでプリンセス。ピンクの服を買いたい衝動にもかられた。同僚たち全員が狙っていたイケメンの祥太は学生時代、カヌー部に所属し、ほどよく筋肉がついた女子ウケする体型。プロジェクトリーダーを任されるほど仕事もできる。将来、スター部署に行くことは目に見えている。この理想の結婚相手を落とすまで、美里はかなり頑張った。自分の外見、動作にこだわり続けた。夜は必ずヘアトリートメントと目の下パック。早起きしてクルッと流れ落ちる巻き髪を作る。洋服もカチッとしたキャリアファッションではなく、ゆるふわのパステルトーン。給料の半分を服とコスメとネイルサロンに使うが、もちろん仕事にも手を抜かず、まじめに取り組んできた。美里はそれを「理想の結婚相手をゲットするための投資」と割り切っていた。自分が理想の女性になれば、必ず素敵な彼が見つかるという信念を持っていたのだ。結婚が決まってからは結婚情報誌に付箋を何枚もつけて、ウェディングプランにこだわった。ウェディングドレスはもちろんこだわりのオーダーメイド。父親に「人生最後のお願い」とねだり、その費用を捻出するという意気込みだ。ウェディング当日は、祝福と同時にうらやましがる同僚、学生時代の友人たちに向かって、満面の笑みをこぼした。確かに美里は群を抜いてきれいだった。「お前の彼女、読モとかやってる?」と友人たちから聞かれ、祥太もまんざらではなかった。結婚して息子のタケルが生まれるまでは…。 ■孤独な子育てで、美里の心が「プツン」と切れた 結婚した年に妊娠がわかり、美里は会社を辞めて専業主婦になった。息子のタケルが生まれ、初めての育児。タケルは夜泣き体質で、すぐに熱を出す。ミルクを吐き出してしまうことも多い。美里は寝不足にくわえ、慣れない育児で腰痛が出始めた。すべてがわからないことだらけ。実家は広島なので、母に頼ることもできない。スマホの育児サイトとにらめっこでタケルの世話をする毎日だ。夫の祥太は、会社で責任ある仕事を任されたので残業続き。早朝会議もあり、平日はほとんど家にいないため、タケルのオムツ替えも入浴も手伝う暇はない。たまの休日は疲れ果てて遮光カーテンを締め切って寝てばかりで。タケルが泣くと「眠れないから隣の部屋行ってくれ」とうるさがる始末だ。美里はなんとも言えぬ孤独を感じた。タケルが生まれて、理想通り若いうちにママになれた。タケルはよく熱を出すがとてもかわいい。でも、祥太はほとんど自分たちをかまってくれない。むしろ仕事にやりがいが出てきて、結婚前よりも張りがある生活を送っているようにも見える。そんな祥太を見て美里もまた仕事をしたくなっていた。マーケティングの基礎はわかるし、会計もできる。「保育園にタケルを預けて仕事をしたい」と言うと祥太は「いいよ、美里の好きにすれば」とものわかりのいい言葉を返した。だが、よくよく調べると保育園は待機人数が多く、すぐに入園するのは難しいようだ。美里は、マンションの一室でタケルと2人っきりで向き合っているうち、何にも束縛されず自由に動き回り、職場で活躍する祥太がうらやましくなっていた。祥太が飲み会のあと上機嫌で帰宅したり、休日に学生時代の仲間とラグビーに出かけることが続いた時、美里の中で「プツン」と何かが切れた。「私、バカみたい…。結婚前はあんなにチヤホヤしてくれたのに、今では全然、女性として見てくれない。タケルの世話も1日30分手伝ってくれればいいほう。私、お手伝いさんみたい。それなら、きれいにメイクしたり、キラキラしたママファッションをする必要なんてないよね」■気づけば2年間もセックスレス、しかし夫は…開き直ってからの美里は、女性であることを放棄し、彼女の女子度はガラガラと崩れていった。タケルに授乳しやすいように、いつもゆったりしたトレーナーと動きやすいジャージ。髪の毛はゴムで一括りで、もちろんブローなどしない。かろうじてシュシュをつける程度だ。イライラを鎮めるために、甘いおやつをむさぼる毎日。以前はとても気を遣っていた脇毛、アンダーヘアも伸ばし放題になった。下着はもちろん締め付けないゆるい実用タイプ。タケルの育児にはもってこいの動きやすいスタイルは、楽だった。ママタレントのブログで「育児中のママファッション」などを見ても「ふん! そんなきれいにしたって、誰にもほめられないわよ。てか、メイクしても子どもがなめたらどうするのよ」と毒づいた。そして、タケルが2歳になった時、ふと気づいた。「もしかして…私たち、セックスしてない…。これが、話題のセックスレスっていうのかな」土曜の夜、久しぶりにタケルが早く寝付いたので、祥太におそるおそる話しかけてみた。「ねえ、私たちさ、朝晩のキスはしてるけど、エッチしてないよね? 2年も…なんで? 祥太くん、性欲ないの?」祥太は口ごもる。「いや、その…。タケルが横に寝てるのに、ちょっとそれはないなあって思って…」「じゃあ、隣の和室におふとん敷くけど」「あ…そうだね。でも、わざわざそこまでしてすることないよ。タケルが小学校に上がって、子ども部屋を作ってからでもよくないか?」「小学校…6歳までしないってこと?」美里は途方に暮れた。祥太の本心は「美里にはもうセクシャルな魅力を感じない」。パステルカラーの服を着て、天使のような笑顔で肩に持たれてくる美里はもういなかった。ちょっと太ももに触ると恥ずかしがってピクリとする可憐な美里は、もうこの家にはいない。すっぴん、ジャージ、下腹ぽっこり。遅く帰ると必ずしかめっつらをして皮肉を飛ばす。一度、タケルを2人で風呂に入れた時に見た美里の股間は、黒い密林のようにゴワゴワヘアが生い茂っていた。正直、萎えた。あまりにも、出産前と違いすぎる。きれいだった美里は産後、別人になってしまった。祥太も家事や育児を手伝う時間が少なかったことを悪いとは感じているが、美里の変貌にとまどっていることも事実だった。 「ビジュアル系モンスター 産後ボーボー」のモンスターワイフとなった美里。彼女の過ち、間違いはどこだったのでしょうか? 祥太の愛を再び取り戻し、セックスレス解消となるのでしょうか?「リアル・モンスターワイフ、再び」第2回では、あなたの「ビジュアル系モンスター 産後ボーボー」度をチェック、判定! 「第二の美里」とならないためのアドバイスをご紹介します。
2018年01月26日臨場感たっぷり! 等身大のモンスターを狩る驚愕体験!リアルな“狩り”が体験できる臨場感あふれるアトラクション「モンスターハンター・ザ・リアル」。2017年1月13日(金)~6月25日(日)まで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで行われている、狩猟体験型パノラマシアター アトラクションです。忠実に再現された飛行船に乗り、等身大でリアルに現れるモンスターの狩りに挑みます。世界最大級のスクリーンと多彩なエフェクトが使われており、驚愕の"狩り"体験を味わえます。シリーズに実際に登場するフィールドや、モンスターからの攻撃や、超巨大モンスター「アマツマガツチ」がリアルに出現する世界に圧倒されること間違いなしです!撮影ポイントはここ♡ 絶対的人気のモンスター「キリン」モンスターハンターシリーズの中で、絶対的な人気を誇る「キリン」。そのキリンがなんと等身大で登場です! 画面の中でしか見ることができなかったキリンの、神々しく幻想的な姿がリアルに表現されています。幻獣と呼ばれたキリンと写真撮影して、SNSで発信しましょう。いいね! がもらえること間違いなしです!リアルに再現! オリジナルフードでスタミナチャージ!フードカートで販売されているオリジナルフードは、ゲーム内の食事をリアルに再現しています!ベルナ村名物「ねこめし~ベルナ村のチーズリゾット~」は、トマトやピリ辛など3つのソースの中から選んでスタミナをチャージしましょう! 「元気ドリンコ~アイスはちみつゆず~」は、自分で調合して楽しめるドリンク。混ぜると何かが起こるかも! 狩り必須アイテムのドリンクは、アトラクションを楽しむ前に飲んでおきましょう。「こんがり肉G」は、おいしさも大きさもG級です。オリジナルフードを食べて、いざ、狩りへ!「モンスターハンター・ザ・リアル」では、唯一無二の体験をすることができます! 等身大のモンスターを狩れる楽しさに病みつきになるかも! 期間限定のアトラクションなので、気になる方はユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ急いでGOです。スポット情報スポット名:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン住所:大阪府大阪市此花区桜島2丁目1番33号電話番号:0570-20-0606(インフォメーションセンター)
2017年05月16日わが子に中学受験をさせるかさせないか。子どもが小学4年生くらいになると、ふつふつと頭に浮かんでくる思いがあります。「もし、第一志望に入れなかったら?」実際、初めての挫折を味わったわが子にどう接すればいいのかと頭を悩ませる親も少なくありません。でも、 第一志望には不合格だったものの、結果的には中学受験自体を「成功だった」と感じている親もいるようです。なぜママたちは「わが子に中学受験をさせてよかった」と感じたのでしょうか。中学受験をさせたママたちの“第一志望不合格”に関するエピソードをご紹介します。■子どもが相談や悩みごとを打ちあけてくれる機会が増えた「中学受験をきっかけに、成績のことや受験に関する不安などを少しずつ話してくれるように。受験をしたことで親子の会話が増えて、関係が深まったと思います」(40歳 13歳男の子のママ)小学中高学年になると、成長の過程もあり、親と真面目な話をするのが恥ずかしいと思う子も増えてきます。学校や塾の成績の話を通して親子の会話がじょじょに増え、子どもの悩みや不安を知ることができたという親は以外と多いのです。コミュニケーションをとる機会が増えたおかげで、その後の学校生活の不安も、親に打ちあけられるようになったそう。■「1番じゃなくていい」と知って勉強が好きになった「娘は幼いころから成績が良かったため、“つねに1番でないといけない”と自分を追いつめるところがあったようです。中学受験に向けての勉強中はつらそうなときもありましたが、いまは“1番じゃなくていい”という安心感から、前より勉強が好きになったようです。自分の学力に合った私学に通い、いまはバレー部の活動に夢中。学校生活も楽しそうです」(41歳 12歳女の子のママ)勉強が得意な子どもほど、成績やテストの結果に対してプレッシャーを感じることは少なくありません。第一志望に不合格となり、第二志望の学校に通うことになったことで、“必ずしも1番でなくてもいい”ということを学ぶことができたようです。■「現状でがんばる」という気持ちを教えることができた「中学受験は本人が希望していました。でも、第一志望校は残念な結果に…。直後はひどく落ちこんでいましたが、すぐに気持ちを切りかえて受験を続行し、第二志望校は合格しました。受験によって心が強くなったのではと感じています」(43歳 13歳男の子のママ)自ら望み、努力もしたけれど、必ずしも結果が伴うとは限りません。大人になればそのようなことが山ほどありますよね。挫折を経験してもすぐに気持ちを切りかえ、与えられた場所で精一杯がんばるということを、身を持って経験することができたようです。■子どもが「本当に行きたい」と思う学校に入学できた「娘は親の期待に応えようと、圏内で最もレベルの高い学校を第一志望に決めました。しかし、オープンキャンパスで見た楽しそうな雰囲気やかわいい制服などで第二志望の学校にも未練があったようでした。第一志望は不合格でしたが、いまの学校生活にとても満足しているようで親としても満足です。偏差値重視で学校を決めさせていたら、入学後に勉強についていけず、さらに塾通いになっていたかもしれません。本人が生き生きと学生生活を送っていることがなによりのよろこびです」(42歳 13歳女の子のママ)中学受験をする子どものなかには、親の期待に応えようと受験をがんばる子もいます。学校のレベルだけで判断するのではなく、実際に通うわが子が楽しんで学校生活を送れるかを親も見極める必要がありそうです。第一志望に合格することはあくまでも目標です。不合格となったことが、決して人生のまちがいや失敗ではないということを、中学受験を通して感じてもらえたら、その受験は「成功」といえるのかもしれません。もちろん、中学受験を選択するしないに関わらず、習いごとや好きなことに集中できる環境を作ってあげるなど、子どもが成長するきっかけは他にもあるはずです。たくさんある選択肢の中で、子どもの意思を尊重しつつ、サポートしてあげたいものですね。(マムズラボ)
2016年09月21日最近のフェイクグリーンって超リアル。手軽でオシャレなインテリアとして使っている人も多いのでは。ここでは、そんなフェイクグリーンとリアルなドライフラワーを上手にディスプレイするテクを紹介します。これって、リアル? それともフェイク?○作り込んでいるのに、それを感じさせないナチュラルインテリア「ナチュラルテイストのインテリアが好き」Roomclipの人気ユーザー Yurinaさんは、インテリアにナチュラル感を出すために植物を育てるようになったのがガーデニングの始まりだとか。ここでは、ガーデンで花やハーブを育てているYurinaさんのグリーンを効かせたインテリア術を紹介します。カゴの底にある松ぼっくりはリアルだけど、グリーンはフェイク。ジョーロのブルーベリーはフェイクだけど、テーブルの上に転がっているのは、ベランダで収穫したブルーベリーがドライになったもの。Yurinaさんは、ベランダで栽培した花やハーブを収穫しては、ドライフラワーにしたり、ポプリにししたりして楽しんでいます。「ドライフラワーを作るのって楽しいんですよ。咲いている時とはまったく違う表情を見せてくれるから。そんなに可愛いと思わなかったものが、ドライフラワーになると、おもしろい姿になったり……」ポプリはみなビンの中に。同じ種類のビンをそろえてディスプレイ。ポプリのコレクションケース。ビンに付いているラベルはYurinaさんのお手製。ポプリは入浴剤の代わりに入れるそう。インテリア好きから始まったYurinaさんのナチュラルライフ。今は思いっきりエンジョイしているようですね。○お伺いしたお宅は……Yurinaさん部屋のインテリア実例共有サイト「RoomClip」フォロワー数2,000を超え、数々の雑誌でも紹介されている人気ユーザー。東京都在住。蚤の市や雑貨ショップをチェックし、お気に入りの雑貨を集めています。ナチュラルな北欧のインテリアに興味を持つようになってから、洗剤や掃除用のスプレーなど日用品まで自然素材にこだわるようになったとか。執筆:ウチダモモコ雑誌やムック、サイトでインテリアや美容、料理など女性のライフスタイル全般について記事を執筆。本稿の内容を実行したことによる損害や障害などのトラブルについて、執筆者および編集部は責任を負うことができません。記載内容を行う場合は、その有効性、安全性など十分に考慮いただくようお願い致します。記載内容は記事掲載日時点の法令や情報に基づいたものです。また紹介されている商品やサービスは、すでに提供が終了していることもあるほか、入手先など記事に掲載されている情報のみとなり、お問い合わせに応じることができません。記載内容を参考にしていただき、ご自身の暮らしにお役立ていただけますと幸いです。
2015年11月19日ヤマザキ・ナビスコは12日より、「エアリアル」より「エアリアル たらこバター味」を発売する。○たらこパウダーとたらこクリームの、ダブルの味付け「エアリアル」は、薄い生地を4枚重ねる独自の製法により、今までにないサクッとした軽い食感が楽しめるという"見て! 聞いて! 食べて! 楽しい"コーンスナック。同商品は、たらこのうまみにバターの風味をきかせた、たらこバター味。たらこパウダーとたらこクリームによるダブルの味付けで、濃厚でコクのある味わいに仕上げたとのこと。内容量70gで、希望小売価格は120円(税別)。1月12日よりコンビニエンスストアで先行販売を開始する。1月19日より、量販店で販売する。
2015年01月07日大人気アニメ「エヴァンゲリオン」と、話題の「リアル脱出ゲーム」のコラボイベント「ある使徒からの脱出」がこの秋、山梨・富士急ハイランドにて開催される。「リアル脱出ゲーム」は、株式会社SCRAPが仕掛ける体験型の謎解きイベントシリーズ。参加者は、初対面となる他のプレイヤーたちとチームを組み、会場の中から様々な暗号やアイテムを地道に探し出して、限られた制限時間の中で謎解きに臨む。関西で誕生したこのイベントは、瞬く間に人気を博して数年前に東京へ進出、2010年9月には夜のよみうりランドで約10,000人、同年12月には明治神宮野球場にて約12,000人を動員。さらに2011年ゴールデンウィーク期間中には東京ドームで開催され大盛況となった。会場がホテル、ホール、ドームと多種多彩であることや、謎解きの難易度が高くなかなか脱出成功しないことから、新シリーズが発表されるたびに挑戦者が増えて口コミで話題を集め、現在チケットはいずれも即日完売になるほどの人気イベントだ。その「リアル脱出ゲーム」と「エヴァンゲリオン」のコラボレーションが実現する。タイトルは「ある使徒からの脱出」。遊園地に偽装された特務機関NERV(ネルフ)本部が、突如何者かに取り囲まれ、職員たちは姿が見えない“使徒”により閉じ込められてしまう。参加者はNERVの一員となり、聴こえてくる謎のメロディーや、スーパーコンピューター“MAGI(マギ)”に表示される暗号を解読しながら、他のプレイヤーたちと協力して脱出をはかる。人気コンテンツ同士のコラボだけに、エヴァの世界観と謎解きの両方が存分に楽しめそうだ。チケットは、9月11日(日)昼12:00より発売開始(チケットぴあ店頭のみ10:00~)。詳細はオフィシャルHPにて。「リアル脱出ゲーム」シリーズはこの他にも、「円形闘技場からの脱出-謎解き天下一武道会-」が9月8日(木)より大阪・京セラドーム大阪にて、「夜の遊園地からの脱出」が10月7日(金)より三重・ナガシマスパーランドにて、「人狼村からの脱出」が10月28日(金)より北海道・モエレ沼公園ガラスのピラミッドにて開催。また9月25日(日)からは、東京・よみうりランドにて「リアル捜査ゲーム vol.1 よみうりランド園長誘拐事件」が開催される。チケット発売中。リアル脱出ゲーム×エヴァンゲリオン「ある使徒からの脱出」【日時】11月2日(水)11月3日(木・祝)11月4日(金)11月5日(土)11月6日(日)11月11日(金)11月12日(土)11月13日(日)開場17:15 / 公演開始18:00(全日共通)【会場】富士急ハイランド【チケット料金】一般 前売3,000円当日3,500円※前売り券が完売した場合は、当日券はありません。
2011年08月30日