乙女ゲームを原作にした『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』が8月に東京・紀伊國屋ホールにて上演される。本作は、同名の乙女ゲーム(PlayStation Vita向け)が原作。過去の記憶を失った少女・紅百合(べにゆり/藤本かえで)が、謎めいた洋館で緋影(ひかげ/山田ジェームス武)らと出会い、拳銃で「黒蝶狩り」をしながら“万華鏡の欠片”を集めていくサスペンスラブストーリー。従来の乙女ゲームとは異なる世界観で人気を博し、熱狂的なファンも多く、初の舞台化に注目が集まる。『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』チケット情報今作で座長を務める山田ジェームス武に意気込みを聞いた。実は「恋愛ゲームが好き」という山田。原作もプレイ中だそうで、「乙女ゲームの世界観はわかっているつもりでしたが、『黒蝶―』はサスペンス要素が強くて他とは違う雰囲気。引き込まれました」と語る。自身が演じる緋影に関しては「僕は、背伸びしてるんじゃないかと思っています。大人な面やクールな面は、実は取り繕ってる部分なのかなって。いろいろ抱えてる分、本当はしんどいんじゃないですかね。でもやさしくてお茶目な一面もありますね」。山田自身はどうかと聞いてみると、「僕はね、悩みがないんですよ(笑)。本当に真逆。そういう役は楽しみも多いです。緋影として中からしっかり作っていきたいです」。乙女心をときめかせるのも原作の魅力のひとつ。「キュンキュンさせられるかなあ?僕、どっちかというと残念なほうですよ。女性の求めるものが正直よくわからない」と笑う。「紅百合として恋するなら山都(やまと)。男らしさと荒っぽさの中にやさしさがあってキュンキュンします!同性として憧れるのは鴉翅(からすば)。本質的にいいところがたくさんあるからあの立ち位置でいられるんだと思う。……でも緋影が一番です!」舞台で初めての座長を務める山田。「がんばらないとなっていうのはありますけど、僕、気負っちゃうとダメなタイプなので、みんなで作れたらと思っています。今作は、初座長で、乙女ゲームも初で、アクションも初で、女性との恋愛ものも初。本当に初めてのことだらけなんですけど、一つひとつにしっかり取り組んでいって、皆さんに『黒蝶のサイケデリカ』をより好きになってもらえる舞台を届けたいです」原作や舞台についてたくさんのことを語る山田の姿から、本作への意気込みを感じられた。『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』は、8月3日(水)から7日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2016年06月13日昨年、好評を博した新感覚の歴史朗読劇『僕とあいつの関ヶ原』『俺とおまえの夏の陣』が約1年ぶりに再演される。本作は、原作・吉田恵里香(映画『ヒロイン失格』脚本)×演出・中屋敷法仁(劇団「柿喰う客」)という異色タッグによる朗読劇シリーズ。前回からキャストを一新。『僕とあいつの関ヶ原』2チーム、『俺とおまえの夏の陣』1チームの計3チームで、戦国武将たちの友情、忠誠、裏切り、愛情と、戦国末期を駆け抜けた男たちの生きざまを描く。今回、猪塚健太、須賀健太、染谷俊之、松田岳にそれぞれ意気込みを聞いた。チケット情報朗読劇の経験者である染谷はその魅力を「視覚に頼らず、情景や心情をお客さんが好きに想像できるのが良さだと思います。演じる側としては、身体を使わずに声だけでどう表現するかというのが楽しいところですね」と語る。今作はこれから作られていくが、前作を見た須賀が「演者の熱量がすごく大切な作品だと思いました。朗読劇は、立って読む様子ををみせるイメージがあったんですけど、この作品は意外と動いていたりして。新しい試みなのかなと思います」と話す通り、本作は和服姿で動きも交えて朗読する独特のスタイル。一人何役も演じることもあり、猪塚は「衣裳もメイクも変えずに何役も表現するのは、この作品ならではの特徴。それをどこまで表現できるか。メインの役以外でもその人の生き様があると思うので、役が生きるように演じ分けたい」と意気込みを語った。舞台となる戦国時代が好きだという松田。「戦国時代って合戦の勝ち負けのイメージがあるんですけど、実は政治的な部分が泥臭くて面白いんですよ。特にこの作品はその辺りがたくさん描かれているので楽しいと思います!」と魅力を教えてくれた。猪塚「初めての朗読劇ではありますが、今の自分にできる最高の舞台を観てもらえるようにがんばります!」染谷「人がすごくあっけなく死んだり、燃えるように生きたりと熱い時代。そんな時代を生きる男たちを一生懸命演じたいです」須賀「朗読劇は初めてなので、新しい一面をぜひ観て頂きたいです。再演なので、さらに新しい挑戦やこのキャストならではの魅力を出せたらと思います」松田「チーム感が大事な作品。“このメンバーが好きだな”と思ってもらえるようにがんばりたいです」『僕とあいつの関ヶ原』は7月7日(木)から9日(土)、『俺とおまえの夏の陣』は7月10日(日)に東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年06月10日劇団・犬と串のモラルが作・演出を務めるシュールコメディ『昆虫戦士コンチュウジャー』が、6月8日、東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。舞台『昆虫戦士コンチュウジャー』チケット情報本作は、地球の味方“昆虫戦士コンチュウジャー”と侵略者“爬虫類帝国”の戦いを描く新感覚のシュールコメディ。主役の中年「ヤゴ」戦士・時羽奏(ときわそう)をモト冬樹が務めるほか、元・特撮ヒーローの馬場良馬と斉藤秀翼、Berryz工房の須藤茉麻など個性的なキャストが顔を揃えた。ストーリーは2XXX年、爬虫類帝国の襲来で地球は未曽有のピンチに。科学技術で人間に昆虫の能力を与える「昆虫戦士コンチュウジャー計画」に未来が託される。そこで選ばれた5人の若者は、ひとまず地球のことは地球防衛軍に任せ、完全なる昆虫パワーを得るべく蛹(さなぎ)となり眠りにつく。30年もの年月が経ち、ようやく目覚めた若者たち。コンチュウジャーとして再び集合すると、ひとり中年男性が混じっていた…!モチーフが「トンボ」の時羽奏は、生態が不完全変態だったため、蛹になることなく普通に歳をとってしまったのだ…。そして地球もこの30年で何かが変わっていた――。若手俳優にひとり混ざるモト冬樹、のインパクトも去ることながら、ストーリーもシュール。30年前の血で血を洗う戦いは、「やることがないから戦うんだ」と就職のあっせんにより沈静化。それでもまだなんとなく戦い続けてしまっている爬虫類帝国だが、争いが勃発するたびに時羽奏が「まあ、まあ」と諫めてしまう。実際、帝国の最高幹部の面子も真面目な努力家やインテリ気取りなど、悪役としてはポンコツ揃い。コンチュウジャーについても、例えば馬場が演じるカブトムシ戦士は口癖の「そうだろ、みんな!?」がヒーロー感たっぷりだが、時羽奏に「そういう熱血漢な感じ、頭悪そう」といなされるなど、ヒーローもののセオリーが次々と覆されてしまう特撮ヒーロー風の動きや発想はこの舞台では違和感を生み、掛け合いのテンポも抜群。どのシーンでもキャスト一人ひとりが光っている。笑いどころは数えきれないが、思わず心が打たれるエピソードもあり、観劇後は意外と特撮ヒーローものならではの清々しさも感じる舞台だった。カーテンコールでは出演者全員によるライブがあり、モト冬樹はギタープレイも披露。公式サイトのテーマソングを覚えて行くとより楽しめそう!MMJプロデュース公演『昆虫戦士コンチュウジャー』は6月12日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2016年06月09日落語家・立川志の輔の新作落語をもとにした舞台『メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~』が6月4(土)に東京・パルコ劇場にて開幕した。舞台『メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~』チケット情報立川志の輔の4つの新作落語「踊るファックス」「ディアファミリー」「ガラガラ」「メルシーひな祭り」(2000年~03年に上演)からエピソードを繋ぎ、ひとつの作品として上演する本作。中井貴一、勝村政信、音尾琢真(TEAM NACKS)、YOU、阿南健治、明星真由美、サヘル・ローズらが演じる。物語は、さびれた商店街の会長を務める源造(中井)のもとに「フランス特使の奥様とお嬢様が商店街を見学したいと言っている」と、外務省の武田(音尾)から電話がくるところから始まる。源造は商店街を盛り上げる機会だと張り切るが――。中井演じる商店街会長は、いわゆる下町のおやじ。普段は穏やかな印象の中井がべらんめえ口調でまくしたてる様は見どころのひとつだ。そこに抜群の間合いでツッコミや相槌を入れるのが、妻役のYOU。男たちの行動をツッコミひと言で笑いに変えつつ、自身もボケるという器用さには貫禄すら感じる。さらに同じ商店街の魚屋を演じる勝村の振り切れっぷりも、本作ならではと言えそうだ。踊って寝転んでキスをして…どこまでがアドリブで台本なのかわからない自由さで客席の爆笑を生んでいた。賑やかなこの作品を志の輔がひとりで演じていたと考えると改めて驚愕だ。志の輔が作り上げた世界を実力派の俳優陣が12人がかりで再現するこの舞台。落語家がひとりで演じるからこその勢いや間が踏襲されながらも、複数の俳優が演じるからこその賑やかな掛け合いも実現するという、独特の楽しさが生まれていた。同じ登場人物が複数のネタを渡り歩く“落語あるある”がこのような形で観られるのも、本作ならではの魅力。もちろん元ネタを知らなくても、落語未経験でも、何も考えずに思い切り笑えて、心がぽっと温かくなる人情味も忘れない“落語の魅力”が味わえる舞台となっている。大阪でも上演する本作。中井は「大阪のお客さんはハッキリしていて、特にコメディ、喜劇をやるときは怖さすら感じるほど。今回、どう観ていただけるか僕たちも心配ですけど、みなさんが温かい時間を持って帰っていただける2時間になるようにみんなで努めます」。パルコ・プロデュース公演『メルシー!おもてなし~志の輔らくごMIX~』は、6月26(日)まで東京・パルコ劇場にて、6月28日(火)から30日(木)まで大阪・メルパルクホール大阪にて上演。撮影・取材・文:中川實穗
2016年06月08日浅利慶太プロデュース公演『この生命(いのち)誰のもの』が、6月4日(土)より東京・自由劇場にて上演される。【チケット情報はこちら】イギリス人作家ブライアン・クラークによって書かれた本作は、テレビドラマとして放映後、1978年にロンドンで初演し、ローレンス・オリビエ賞(作品賞)を受賞した。1979年に日本で初演された後、浅利が8年の歳月をかけて原作者と話し合い、舞台を日本に置き換えた改訂版で1987年から上演を重ねている。不慮の事故で身体の自由を失った若き彫刻家・早田健が選択した“治療の中止”と、病院側の“医の倫理”を巡る裁判を描く。1994年、2004年の公演で主人公・早田の担当医・北原を演じ、今回は朝田婦長を演じる坂本里咲に話を聞いた。稽古もほぼ大詰めという時期。「演出家(浅利)が毎日みっちり稽古をつけてくださってます。これまでこの作品は迫力や力で見せていた部分があるのですが、今回は役者ひとりひとりがリアリティを持って、自然にやれと言われています。これまでとはまた違った印象になると思います」。浅利が目指しているのは「本そのものの感動を、役者が透明な媒体になって客席に届ける」というものだという。「俳優は書かれているものを自分の体を通して言葉で伝えていくしかない。だから、言葉には厳密。一音でも落ちたら、お客様は『え?』ってなりますよね。そうなったときにはもう物語の世界からはずれて、役者の言葉を聞き取る方に意識が向いちゃう」と坂本は、浅利が独自に作り上げた発声法で、一音も落とさないよう、今でも訓練は欠かさないという。1994年から3度目の出演となる坂本は、演じる中で自身の変化も感じるという。「歳を重ねることで主人公の想いがわかるようになりました。以前、演じたときは、早田は特別な存在だと感じてたんです。特殊な考え方をする人だと。それが今はすごく共感できる。若いときはとにかく好きなことを一生懸命やっていればよかったのですが、役者をやめようかと悩んだ時期があり、それ以降、役者としてどう生きたいか、自分らしく生きるとは、と考えるようになり、作品が近くなりましたね」。主人公・早田はこれまで日下武史や石丸幹二とベテランが演じてきたが、今回は若手の近藤真行が演じる。「演出家には『役者として本に向かうだけじゃなく生きることを実感しろ』と言われながら、彼は今すごく一生懸命やっています。これまでとは全く違う雰囲気ですよ」。「“生命の尊厳”というと重いですけれども、生きることは素晴らしいと思っていただける舞台です。テーマを問うというものではなくて、温かい人間ドラマですので、気軽に来ていただければ」。『この生命誰のもの』は、6月4日(土)から6月11日(土)まで、東京・自由劇場にて上演。取材・文:中川實穗
2016年05月31日赤ちゃんたちが大人になってママのピンチを救う舞台『ママと僕たち』 ~たたかえ!!泣き虫BABYS~ が7月に開幕する。本作は、2013年に始まった『ママと僕たち』シリーズの3作目。舞台『ママと僕たち』チケット情報今回の赤ちゃん役は、シリーズ全作に出演中の原嶋元久、初出演の佐藤永典、木戸邑弥、井澤勇貴、三浦海里、上村海成の6人。脇を固めるのは、同じく全作出演中の今井ゆうぞうら個性豊かな実力派俳優に加え、デーモン閣下の出演も話題だ。本作で久々の共演となる佐藤永典と木戸邑弥に話を聞いた。「めっちゃ仲いい」と口を揃えるふたり。ミュージカル『テニスの王子様』以来、6年ぶりの共演について感想を聞いてみると「楽しみですよ」(木戸)、「俺はイヤなのよ」(佐藤)と真逆の反応。佐藤は「演出家さんもスタッフさんもそうだけど、久しぶりに共演したらダメになってるって思われたらイヤだなっていう変な緊張感はある。その分稽古が楽しみですけど」。木戸は「(佐藤出演の舞台を)観るたびにまた一緒にやりたいなっていう気持ちが強まってて。周りからも『あの子、邑弥と一緒にやってた子でしょ、すごくよかった』って聞くし」。本作については、「劇場で観て、本当にかわいらしい作品だな、元気な作品だなって思いました。ストーリーももちろん面白いですし、芝居以外でも歌があったり踊りがあったりっていうエンタメな部分もあったりして。お子様連れで来ていただいても楽しめる作品だと思います」(木戸)。役作りについて聞いてみると「この前、(別作品の稽古場で)子供がラーメン食べながら号泣してる動画を見たんですけど、あの絶妙なかわいさとおもしろさはすごい。その要素がみんなにあったらおもしろいと思います。でも変にやると白々しくなるので、そこはがんばりたい」(佐藤)最後に意気込みを。「気楽に楽しく観られる作品になると思うので、小難しいのが苦手だって人にも来てほしいです。僕たちは赤ちゃんに全力を尽くしますので、それを楽しんで帰ってもらえるのが一番ですね」(佐藤)「『ママ僕』の作品 ファンもいらっしゃると思うので、1作目2作目のいいところは引き継ぎつつ、今回のキャストでしか生まれない『ママと僕たち』ができればいいなと思っています。自分たちも次につなげられるようにがんばりたいです」(木戸)『ママと僕たち』 ~たたかえ!!泣き虫BABYS~ は、7月8日(金)から18日(月・祝)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo、7月22日(金)から24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。取材・文:中川實穗
2016年05月30日濱田めぐみの活動20周年を飾るソロ・ミュージカル『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』が、6月の公演に先がけ制作発表会を開催。報道陣のほか、130名のオーディエンスが招待された。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報本作は『CATS』や『オペラ座の怪人』で知られる巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーの作曲で、1979年にロンドンで初演され、現在も世界各国で上演されるソロ・ミュージカル。サラ・ブライトマンらが演じており、日本ではこれが初上演となる。濱田は、主人公・エマの設定「デザイナー志望でニューヨークに出てきたイギリスの女の子」をイメージした衣裳で登場。本編で1曲目に歌われる『放っておいてよ』と、『一通目の手紙』を、本番同様、江草啓太のピアノ伴奏で披露した。トークには、本作の演出を担当する市川洋二郎も登壇。日本、イギリス、アメリカで活躍中の市川は、濱田が所属していた「劇団四季」からの付き合い。本作のストーリーについて市川は「ひとりの女性・エマの自立を描く物語。夢と希望を胸にニューヨークに出てきた彼女が、さまざまな喜びと悲しみに遭遇しながら、人間として少しずつ成長していきます。そのエマの旅路を観客の皆様と辿る中で、生きるとは何か、人間が自分の足で立つとはどういうことなのか、考えていけたら」と解説。70分で25曲を歌唱する本作。ソロ・ミュージカルへの挑戦について濱田は「難しいです。一瞬たりとも気が抜けないことは、ソロ・ミュージカル以外ないと思う」と苦労を語った。エマというキャラクターについては「彼女が持っている夢を諦めないという信念や情熱、バイタリティーは、自分が今まで20年間やってこれた核心の部分とすごく似ている」と共通点を語る。「ひとり芝居の醍醐味として、舞台上に他の人間が出てこないという点はすごく大切だなと僕は考えていて。舞台の転換もやる濱田めぐみっていうのはなかなか新しいと思います」(市川)と、舞台上のことは全て濱田が行うことも明らかに。その後も、互いの印象などを語り合った。最後にはタイトル曲『サヨナラは日曜日に』を披露。「自分の中に持っている一番純粋な部分、夢を持っている情熱の部分、いろいろな部分をさらけ出して、誠心誠意、心を込めて、エマという女性と共に生き、皆さんと共に素敵な旅を毎公演したいと思います」(濱田)と挨拶した。『Tell Me on Sunday~サヨナラは日曜日に~』は、6月10日(金)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。取材・文:中川實穗
2016年05月25日ウーピー・ゴールドバーク主演の大ヒット映画『天使にラブ・ソングを…』をミュージカル化した『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、5月22日(日)に東京・帝国劇場で開幕。前日に、主役のデロリス・ヴァン・カルティエをWキャストで演じる森公美子と蘭寿とむ、デロリスを匿う修道院のシスターを演じる春風ひとみ、浦嶋りんこ、宮澤エマ、修道院長を演じる鳳蘭が会見を開いた。舞台『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』チケット情報本作は、殺人事件を目撃してしまったことで命を狙われるハメになった破天荒な黒人クラブ歌手・デロリス(森/蘭寿)がカトリック修道院に囲われ、そこで暮らすシスターたちと聖歌隊の特訓を通じ友情を育んでいく物語。2009年にウーピー自身のプロデュースでミュージカル化。2014年に日本初上陸し、今回はその大ヒットを受けての再演となる。会見にはそれぞれ役衣裳で登場。前作に続きデロリスを演じる森は「素晴らしいミュージカル。五月病の方でも、本当に明るく、明日を生きる力になるのではないかと思います!」と挨拶。Wキャストでデロリスを演じ、初参加となる蘭寿は「私は帝国劇場に初めて立たせていただける喜びをかみしめながら、この超ハッピーなミュージカルでお客様と一緒に盛り上がっていきたいと思います」と笑顔を見せた。2014年からの再演について森は「2年経って少しは覚えているかと思いましたが、ゼロの状態から始まりました(笑)。でも今回はまたさらにグレードアップして素晴らしいものになったと思います」。蘭寿は「難しいところはたくさんありますが、アラン・メンケン氏の曲が本当に素晴らしくて心躍るものなので、それが歌える喜びを感じながらできたら」と語る。そんな蘭寿を宝塚歌劇団の先輩・鳳は「宝塚で培われた華やかさとか、大劇場に負けない大きさがあるので私は安心しています」と評価した。仙台出身の森は、東北公演に懸ける想いを聞かれ思わず涙を浮かべる場面も。「初演でも盛岡と宮城に行かせていただいて、みなさんからの『元気になった』『素晴らしかった』って言葉に、私たちはこの仕事やっててよかったねって。私たちが元気をもらった作品でもある。来年は九州公演もあるので、ぜひ観て頂きたい。復興にはまだまだいろんな問題がありますけども、心は楽しく、前にいくように。この作品で少しでもみなさんの心の中に温かいものが生まれれば」と話した。ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は、5月22日(日)から6月20日(月)まで東京・帝国劇場にて。その後、大阪、愛知、岩手、北海道、宮城を巡回。2017年には福岡、静岡、長野での公演も決定。取材・文:中川實穗
2016年05月24日松井玲奈が沖田総司を演じる舞台『新・幕末純情伝』の制作発表会が5月18日、都内で開かれ、松井玲奈、石田明(NON STYLE)、細貝圭、早乙女友貴、味方良介、荒井敦史、伊達暁、永田彬、演出の岡村俊一が登壇した。舞台『新・幕末純情伝』チケット情報本作は劇作家・つかこうへいの代表作のひとつで、新撰組の沖田総司が実は女だったというユニークな着想のもと1989年に上演された。その後も、「この作品は代々、次代のヒロインと言われる方々が(沖田を)演じて、もう30年近くなります」(岡村)というように、広末涼子や石原さとみ、桐谷美玲らが演じ、松井は9代目。沖田の相手役・坂本龍馬は石田明が演じる。松井は本格的な舞台は初挑戦。すでにひとりで殺陣の稽古を始めているそうで「初心者なので。出演者の方々はアクションがすごくできるって聞いて、足を引っ張らないように、いいものを観ていただけるように殺陣の練習はしております」と気合を見せた。石田も「歴史のある舞台。今までやってきた方々に恥じぬよう、なんやったら今までの演者に勝てるように、一心不乱にがんばりたい」と話した。メインのふたり以外はまだ役が決まっていない、という話から岡村は「(石田が4月に)骨折したので、石田くんの役も今考え直してる」と発言。石田が「僕今必死ですよ。骨折を直すために松井秀喜とかベッカムがやっている治療法全部やってるんですから!」と慌てると、共演者は大爆笑だった。岡村は「力のあるものが勝つ、というのはつかさんの遺言」「これは殺し合いの物語なので、誰より誰が強いか、というのが重要」と配役について説明した。会見後、松井、石田、岡村の囲み取材では、岡村は「松井さんは頭がいいんですよ。台本を読んでの印象を聞いても非常に解析力がある」と絶賛。会見中に話題になった石田の骨折については「でも、右手がダメながら左手があるし、左手がダメなら(刀を)口でくわえてもいいし。そういういろんなことが起きても立ってる姿を見せるのが演劇だと思っている」と話した。松井も「(本作の出演が決まり)周りの方からすごいね、楽しみにしてるよって言われて、初めてことの重大さに気付いて。みなさんの期待以上のものにできるように頑張らないといけない」と決意を述べた。つかこうへい七回忌特別公演舞台『新・幕末純情伝』は、6 月23 日(木)に東京・天王洲 銀河劇場で開幕。命日でもある7月10日を挟みつかこうへい縁の東京・紀伊國屋ホール含む3会場で上演。取材・文:中川實穗
2016年05月20日5月27日(金)に開幕を控えた舞台『曇天に笑う』が、都内でファンを招いての製作発表記者会見を行った。曇天三兄弟の長男・曇天火役の玉城裕規、次男・曇空丸役の植田圭輔、三男・曇宙太郎役の百瀬朔、安倍蒼世役の細貝圭、金城白子役の松田凌がそれぞれ役衣裳で登場。さらに、脚本を担当する高橋悠也、演出を担当する菜月チョビ(劇団鹿殺し)も揃い、今作の魅力やエピソードを語り合った。舞台『曇天に笑う』チケット情報原作は、唐々煙の人気コミック「曇天に笑う」(マッグガーデン刊)。2015年2月に初舞台化された際、全15回の公演チケットが即日完売。ファンからのアンコールの声で今回の再演が実現した。ファンを前にまず披露されたのはキャスト陣による大迫力の殺陣。会場を大いに盛り上げた。さらに今回の再演のために描き下ろされたイラストも披露され、原作者の唐々煙から届いた「キャラではなくどんな人間を見せてもらえるか今から楽しみにしております」というメッセージも読まれた。演出の菜月は初演との違いを聞かれ「人見知りですが、今回はせっかく2回目なので、人見知りを超えて、仲良くなるのも超えて、仲悪くなる気で行きたいなって。仲悪くなるくらいの勢いで最後まで作品を作っていけたら。遠慮なしにやりたいなって思ってます」と話し、玉城に「役者陣、今無言ですからね」とツッコまれた。キャスト同士の印象を問われ、玉城は植田について「新しい植ちゃんが稽古でだんだん見え始めているので、本番までにどんな植ちゃんが見られるのか今から楽しみです」、植田は百瀬について「すごくエネルギッシュ。お菓子とかご飯をあげまくって懐かせたのでペットだと思います」、百瀬から細貝については「お話の中では絡みはないですが、仲良しですよね?ふざけると全部拾ってくれるし、精神年齢は同じだと思っています」、細貝から松田については「綺麗な顔してるけど一番好きなのは笑顔。共演できて嬉しいです」、松田から玉城の印象は「座長は玉城裕規だと聞いて、これ以上に安心感のある役者さんはいない。役者から信頼される役者なのかなと思います」と語った。その後も終始和やかな空気で、稽古場でのエピソードや、菜月独自のトレーニングを披露。チームワークのよさを感じさせる会見となった。舞台『曇天に笑う』は、5月27日(金)から6月5日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて、6月10日(金)・6月11日(土)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。撮影・取材・文:中川實穗
2016年05月20日舞台『ペコロスの母に会いに行く』の製作発表が都内で行われ、出演者の藤田弓子、東国原英夫、仁科亜季子、木村理恵、佐藤正宏、酒井敏也、文音、室龍規、原作者の岡野雄一、演出を担当する大野木直之、音楽を担当する一青窈が登壇した。舞台『ペコロスの母に会いに行く』チケット情報『ぺコロスの母に会いに行く』は、認知症を発症した母・ミツエ(藤田)とその息子・ユウイチ(東国原)のおかしくも心温まる日常を描いた物語。原作である岡野雄一の同名漫画は、悲劇になりがちな認知症の介護問題を明るくユーモラスに表し、第42回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。2013年には映画化されるなど話題を集めた。原作者の岡野は「西の果て(舞台は長崎)の小さな町での物語が、認知症介護という時代に遭遇して、あっという間に大きな広がりを見せ、今に至っており。つくづくそういう時代なんだなと実感しております。舞台をすごく楽しみにしています」と挨拶。演出家の大野木は「認知症は重いテーマなんですが、舞台なので、お客さんが家路に着くときに重い気持ちではなくてなんらかの希望を見出して帰れるようにしたい。笑い、音楽、サブストーリーを重点に演出していきたい」と話した。キャストは扮装で登場し、母親役の藤田は「先ほど岡野さんにお目にかかったら『本当のお母さんに似てる』とちょっと涙ぐまれました。すごく楽しい話ですし、最後にいくところはみんな一緒ですから。皆さんの心に響く作品にしていきたいと思います」、本格的な舞台は初挑戦という東国原は「本番が近づいてくるにつれ、これは責任重大だなということをひしひしと感じております。素人みたいなものですが、皆さんにご指導ご鞭撻をいただいて大きな山を乗り切っていきたいです」と決意を示した。キャストには認知症介護の経験者が多く、マスター役の酒井は「自分を含め、僕の周りに介護で大変な思いをしている方がいっぱいいまして。今回は友達や親せきに声をかけて劇場に足を運んでもらおうと思います。それで一瞬の楽しさや癒しを与えられたら。目標として300人呼ぼうと思っています」と宣言し、キャスト達を笑わせた。最後に一青窈が「自分の母がもし生きていたら、たくさんの景色を見せてあげたかったと思いながら(歌詞を)書きました」とエピソードを語り、主題歌の『霞道』を披露した。中日劇場開場50周年記念舞台『ペコロスの母に会いに行く』は7月23日(土)から31日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。長崎、愛知など全国8会場を巡演。取材・文:中川實穗
2016年05月20日漫才コンビ「中川家」の中川剛(兄)と礼二(弟)が『それいけ!アンパンマンおもちゃの星のナンダとルンダ』にゲスト出演することになり5月18日(水)、アフレコ収録の模様を報道陣に公開した。劇場版第28弾となる本作には、おもちゃの星からやってきたお姫様ルンダと体が大きくてやさしいロボットでルンダに付き従うナンダが登場!礼二さんはナンダ役を演じ、剛さんは海を守る巨大な主・ヌラの声を担当している。アフレコでは剛さんは、低音を響かせヌラの役を熱演!礼二さんはセリフは「ナンダ」だけだが、状況によって声色を変えていくつもの「ナンダ」を繰り出す。今回のオファーについて剛さんは「正直に言うと、もうちょっと早めにやりたかった。もう子どもが13歳になるので…」とすでに子どもたちが『アンパンマン』を卒業していることがちょっぴり残念なよう。双子のパパである剛さんだが、子どもたちが小さかった頃は「アンパンマンに囲まれていました」と懐かしむ。「双子だから、(グッズやおもちゃを)2つずつ買わないといけない苦労がありました。人気があるから(売り切れで)おもちゃ屋で困りました」とふり返る。一方、礼二さんは「うちの娘は6歳なのでギリギリの間にこの仕事をいただいてよかったです!お父さん、こんな仕事したんだぞと自慢できます!」と嬉しそう。実際、娘さんに伝えたところ「台本を見て『ナンダ』しか言わないので、これで全部やるの?とビックリしてました(笑)」と明かす。娘さんと共に『アンパンマン』を見ていて、大人ながらに感動してしまうこともあるそうで「エンディングの曲を聴いて泣きそうになることもあります」と強い思い入れを口にした。アフレコでは、出番の少ない剛さんは「10分くらいで終わった」と涼しい顔だが、礼二さんはタイトルにも登場する重要キャラとあって「2時間くらい『ナンダ』しか言ってない!この状況が何だ?っていう感じ」と苦笑いを浮かべる。自分なりの「ナンダ」や笑いの要素を散りばめているかと思いきや「そうすると、絶対にやり直しになると学んだので、監督の指示に全て従ってます!」と過去の声優経験からの教訓を語っていた。個性的なキャラクターたちが魅力の『アンパンマン』だが、中川家の2人が新キャラを作るなら?という問いには「おっさんマン」と「おばちゃんマン」を提案!おっさんマンは、タンの絡んだイヤ~なせきをゲホゲホとするおっさんで、おばちゃんマンは、大阪の世話好きのおばちゃんが原型とのこと。2人はその様子をリアルなミニコントで実演し、スタジオは爆笑に包まれた。礼二さんは、「快傑えみちゃんねる」に出演しており、同番組にて共演者の加藤晴彦が40万円の飲み代をあるお笑い芸人にたかられたと告白し、その後、その芸人がオモロー山下であることが判明したことが話題となっているが、どちらに“アンパンチ”を食らわせたいか?と尋ねられると「先輩ですけどオモロー山下さんですね」と即答!収録をふり返り「会場が『先輩芸人って?』と期待して前のめりになったけど、オモロー山下って聞いて『だれ?』と後ろに引いた(笑)。晴彦くんが一番かわいそう」と冗談交じりに語り「しっかりせぇ!」と一喝!剛さんは「名前出て、本人は喜んでいるんじゃ?」とシニカルに分析してた。『それいけ!アンパンマンおもちゃの星のナンダとルンダ』は7月2日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月18日5月19日(木)に開幕を迎えるWBB vol.10『懲悪バスターズ』。初日まであと6日という稽古場にて通し稽古が行われた。WBB vol.10『懲悪バスターズ』チケット情報「WBB」とは、ジャニーズ事務所の佐野瑞樹と、*pnish*の佐野大樹による兄弟プロデュース公演。記念すべき10作目となる本作は弟の大樹が作・演出を担当し、佐野瑞樹、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、鈴木勝吾、OH-SE(電撃チョモランマ隊)、五十嵐麻朝、有澤樟太郎、政岡泰志(動物電気)らが出演。ダンスあり殺陣ありの派手で楽しい「サイエンス×ホラー×アクション活劇」となる。物語は、悪霊退治の薬を発明中の天才科学者・館合(瑞樹)と、落ちこぼれの悪霊・レイヴン(田村)や、悪霊退治兵器・オーメン(大樹)で金儲けをする恋塚(土屋佑壱)たちによる騒動記。天才ゆえに人情味の薄い館合と悪霊なのに人のいいレイヴンが出会い、いつしか友情が芽生えていく――。大掛かりなセットが組まれた稽古場で、この日まず最初に行われたのはダンスとアクションの確認。ダンスは出演者でもあるOH-SEが振り付けを担当している。かつてはジャニーズJr.として数々のステージで踊っていた瑞樹だが、身体のキレは健在。科学者らしいクールなダンスを軽やかに踊ってみせる。逆にダンスは苦手という田村は真剣そのもの!共に悪霊役を演じる鈴木や五十嵐と、悪霊をコミカルに表現したダンスを披露した。さらに、悪霊VS人間のアクションは、キャストみんなが参加する賑やかで楽しいシーンに。どこか悪くなりきれない悪霊のポップなアクションが次々と繰り出される。大樹の作品らしいマンガが動き出したようなコミカルな世界が広がった。わかりやすく、楽しく、派手で、おもしろい。子供や演劇初心者でも楽しめる、観ると元気の出る作品に仕上がりそうだ。また、通し稽古中もあちこちでキャストが振りの確認をしたり、芝居の打ち合わせをしたりと、「よりよくしたい」という気持ちが伝わる。本作が舞台出演3作目という有澤の、どんな場所にいても決して目を離さずに先輩たちの芝居を見つめる姿も印象的だった。WBB vol.10『懲悪バスターズ』は5月19日(木)から5月22日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、5月28日(土)から5月29日(日)までは兵庫・新神戸オリエンタル劇場にて上演。出演者によるアフタートークは、大樹がリーダーを務める*pnish*全員集合の日や、これまでWBBに出演してきた佐藤永典、神永圭佑、古川裕太が参加する日も!取材・文:中川實穗
2016年05月17日ネルケプランニングのアイドルステージ第4弾『アンプラネット』が、4月30日(土)に東京・紀伊國屋ホールで開幕。前日に公開ゲネプロが行われた。『アンプラネット』チケット情報赤澤燈らも出演した「少年ハリウッド」、佐藤流司らの「プレゼント◆5」、畠山遼らの「三日月」、崎山つばさらの「CHaCK‐UP」など、人気俳優を送り出してきたネルケプランニングによるアイドルステージの新シリーズ。今回は、惑星アイドル「CHaCK-UP」に憧れて準惑星より来星した新たなグループ「アンプラネット」が主人公となる。「アンプラネット」のお披露目となる本作。先輩「CHaCK-UP」から、本作で重要な役割を担う冥王星人・ポミィの美波日音(みなみかのん/福島海太)をはじめ、木星人・ジュジュの鳴上林檎(なるかみりんご/影山達也)や金星人・ヴィーの美野アカネ(よしのあかね/古川裕太)が出演し、後輩のデビューを盛り上げる。さらに、「少年ハリウッド」から出演するKimeruは学長・西園寺巌を演じるほか、アニメ『タッチ』上杉達也の声でもおなじみの三ツ矢雄二(ジャン・ミナモト役)、SM☆SHとして人気を博し現在は韓国と日本で活動のHERO(ノア役)も出演する。本作は、第一部で演劇、第二部でライブという構成。第一部の舞台は、芸能の名門校・私立SOJ学院。今期の選抜コースに選ばれたのは、海月璃紅(かつきりく/赤澤遼太郎)、近江 蒼(おうみあおい/井阪郁巳)、黄楊いるか(つげいるか/松田将希)、翠木真滉(みすきまひろ/石川正人)の4名。惑星アイドル「CHaCK-UP」の大ファンという彼らは、自分たちを準惑星アイドル「アンプラネット」と名付け、「CHaCK-UP」のポミィをどうしても自分たちのリーダーにしたいと懇願するが――。“欲しいのは本物(ひとつ)だけ”という「アンプラネット」に秘められたストーリーを描く。第二部は、参加型のアイドルライブ。「アンプラネット」のメンバーはもちろん、ジュジュやヴィー、ノアも一緒に客席を盛り上げる。ペンライトやうちわを振って楽しめるキャッチ―な楽曲に加え、キレのあるダンスで魅せる楽曲も披露。シリーズを観劇してきた人にはお馴染みの、私立SOJ学院・校歌は全員で歌って踊り、客席も一緒に楽しめるステージとなった。『アンプラネット』は、5月8日(日)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2016年05月06日ムッシュ・モウソワール第二回来日公演『レッド・ジャケット』の来日記者会見が行われた。会見には平野良伯、滝川英治伯、宮下雄也伯、オラキオ伯、佐藤永典伯、脚本・演出の西田シャトナー伯が出席。5月11日(水)の開幕を前に意気込みを語った。ムッシュ・モウソワール第二回来日公演『レッド・ジャケット』チケット情報“ムッシュ・モウソワール”とは、シャトナー伯が生んだ妄想がテーマのフェイクコメディシリーズ。昨年の初来日公演が盛況を呈し、今回は再来日となる。平野伯、宮下伯、オラキオ伯は前回に引き続き出演、滝川伯と佐藤伯は初出演。稽古中ということで、平服で登場した紳士たち。再来日公演が実現したことについて演出のシャトナー伯は「もう一度来日できたらいいなって、1回目が終わった後にみんなで言っていた。再来日公演ができることになって喜んでおります」と話した。5人芝居の本作。平野伯は「少人数で出来るっていうのは役者としては至福。5人でこぢんまりした芝居をするんじゃなくて、この5人だからこそ無限に広がる空間になっているんだ、と思っています」と話す。稽古中は、「英治伯に“芝居がんばれ”って言ったら“はい!”って脱ぎだしたのにはびっくりした」(シャトナー伯)、「最近オラキオ伯は急にお腹を出す習性がある」(平野伯)など、異文化圏ならではのエピソードも。オラキオ伯は「心許してるシグナル」だと説明した。紳士が集う稽古場は“お茶会”も多いそうで、佐藤伯が「それも作品に反映されてる気がしますね」と話すと、シャトナー伯は「俳優の人生丸ごと、センスとか感覚とかいうものを芝居に押し込もうとしていますから。お茶会が必要なんです」と解説した。本作について宮下伯は「密室劇で、男5人がいろんな会話をする。暗転もないし、あっという間。こういう演劇のスタイルを初めて観るお客さまもいるんじゃないかな。新しい世界、新しい生き物を見る感覚で観に来てほしいなと思います。前作はアトラクションに乗ったような勢いのあるものになっていましたが、今作はいろんなものを構築しながら作っていく物語。また違ったものが観られると思います」と語る。会見後は公開稽古も実施。公開されたのは短いシーンではあったが、オラキオ伯によるアドリブには記者たちから笑いが漏れていた。会見中に滝川伯が「各々の生き様、強い魂を感じていただきたい」と話したように、ほんの1シーンにもキャラクターの個性が見えておもしろく、早く本番を観たくなる稽古だった。ムッシュ・モウソワール第二回来日公演『レッド・ジャケット』は5月11日(水)から5月15日(日)まで東京・草月ホールにて。取材・写真・文:中川實穗
2016年05月06日『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』が、4月27日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』チケット情報本作は、2010年から上演がスタートした男女ふたりの朗読劇シリーズ。出演者は日替わりで、8度目となる今回は、相葉裕樹×日笠陽子、小林豊×佐野ひなこ、染谷俊之×近野成美、平間壮一×和音美桜、廣瀬智紀×入来茉里、福山潤×田中美里、前田公輝×徳井青空、矢崎広×三倉茉奈、竜星涼×真野恵里菜という9組が出演する。『私の頭の中の消しゴム』は、永作博美と緒形直人が主演のテレビドラマ『Pure Soul~君が僕を忘れても~』(2001年)を原作とした韓国映画(2004年)。若年性アルツハイマー病に冒された薫と彼女を支え尽くす浩介の物語を、男女ふたりが言葉で紡いでいく。初日となる4月27日は、ミュージカルを中心に活躍中の平間壮一×和音美桜ペアで上演。オフホワイトで統一された舞台セットの中、同じくオフホワイトの衣裳を着たふたりが椅子に座り、日記を朗読した。日記の始まりは、ふたりが出会った頃。初期に書かれているのは、恋する戸惑いや喜び。感情が上がったり下がったりする中でも、ふたりの声から伝わるのは楽しさばかりだ。いつでも怒鳴り口調だった浩介が穏やかになった頃、結婚。新婚生活を綴った日記には底なしのしあわせと希望が溢れ、リズムのいい会話のように毎日の出来事が描かれる。しかし、そのリズムは薫の病気の発症と共に崩れ始め、病気が進行するほどに一方的な語りへと変わってしまう。どんどん子供のようになっていく薫と、どこまでもやさしく寄り添おうとする浩介――そんな生活を記す日記には、愛を示す言葉も増えるが、えぐるような言葉も増えていく。平間の温かな声と和音の明るい声が、どんな言葉も平等に客席に届けることが辛い。休憩なしの2時間の熱演。カーテンコールでは、涙が止まらない平間に笑って手を差し出す和音が印象的だった。泣き顔のまま笑い合い、寄り添うように舞台を去っていったふたり。その姿を見て、言葉を重ねていく朗読劇だからこそキャストによって全く違うものになるのだと感じた。『朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter』は5月8日(日)まで。2回観劇すると舞台特製パネルがプレゼントされる特典も!取材・文:中川實穗
2016年04月28日村上龍の同名小説を初めて舞台化した『コインロッカー・ベイビーズ』が、6月4日(土)より東京・赤坂ACTシアターで上演される。舞台『コインロッカー・ベイビーズ』チケット情報橋本良亮と河合郁人(共にA.B.C-Z)がW主演を務め、昆 夏美、シルビア・グラブら実力派が顔を揃えるこの舞台。河合演じるキクを愛する少女・アネモネを演じる昆、橋本演じるハシの子を宿す二ヴァを演じるシルビア、脚本・演出の木村信司に話を聞いた。長きにわたり宝塚歌劇団の脚本・演出を務める木村が2001年からあたためていた本作。数年前、原作者・村上龍のもとに届き「ぜひやってほしい」と実現に至った。上演の予定のなかった本作はなぜ書かれたのか。「私は宝塚歌劇団の『清く 正しく 美しく』という教えのもとにずっと(脚本を)書いてきている。宝塚歌劇団のことをとても愛しているんですけれども、2001年の当時、宝塚歌劇団では絶対にできない脚本を書きたい、書けるんだろうかと思った。それでチャレンジとして宝塚歌劇団から一番遠い作品を書いてみるか、と。自分に対する挑戦でしたね」(木村)主演のふたりについて、木村は「楽しみですね。(製作発表会見でふたりに)キスしてもらったことで伝わったのは、本物の“命がけ”。『なんでもやります』っていう気迫がないとあんなこと笑ってでもできないわけで。それはまずすごくありがたいものとして受け止めた」。河合とのキスシーンがある昆。お互い人見知りだが「(河合と)なかなか目が合わない(笑)。でも人見知りって聞いて安心しました。一番向き合う相手なので、少しずつ、河合くんと私の関係性のように、キクとアネモネの関係性を作っていければいいなと思います」。不安定なハシ(橋本)と向き合い包み込む役柄のシルビアは「(橋本が)始まる前からちゃんとこっちを向いてくれている感覚があるので、やりやすいです。好きになることがたぶん簡単だと思う。そこで母性を込めて彼を無償で愛することは浮かびますね」。「誠心誠意、命がけにならなかったらバチが当たる」と話す木村に、キャスト陣も「木村さんをはじめとする私たちの熱い想いで劇場を埋め尽くすことができたら」(昆)、「熱い想い、期待を裏切らないように取り組みたい。世界初演ですから!」(シルビア)と応える。流れる熱い空気に、必ずや面白い作品になると感じた。舞台『コインロッカー・ベイビーズ』は6月19日(日)まで、東京・赤坂ACTシアターで上演。その後、福岡、広島、大阪を巡演。取材・文:中川實穗
2016年04月28日塚田僚一(A.B.C-Z)と渡部秀の二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』が、5月に東京・PARCO劇場で上演される。その翻案・脚本・演出を担当するノゾエ征爾(はえぎわ)に話を聞いた。舞台『ボクの穴、彼の穴。』チケット情報原作はイタリア人童話作家デビッド・カリの絵本。日本では、松尾スズキ初の翻訳絵本として注目を集めた作品だ。「戦争です!」という言葉から始まる物語は、戦場の塹壕に取り残され、穴=シェルターの中でお互いへの恐怖と疑心暗鬼にさいなまれるふたりの兵士の姿を描く。「戦争は遠いものだと思いがちですが、根っこにあるのは誰もが持っているものです。今回、現代の若者といえるふたりに集まってもらえたので、“一見遠い戦争”と“現代の若者”の融合によって、現代の設定では表出できない、人間味のようなものを舞台上に立ち上げられたらと思っています」キャストの何を見るか尋ねると「芝居より人柄」だという。塚田と渡部の印象は『陽』だと答えた。「でも絶対『陽』だけのわけがない。その奥にすごく惹かれています。素とはまた違う、根っこにあるものを役に投影したい。嘘はつかせたくないっていうのはありますね」。共に身体能力の高いふたりだが、設定は「穴の中」。身体能力を発揮する場面は少なそうだが、敢えて選んだ。「身体のポテンシャルが高いふたりの“出したいエネルギー”をどうギュッとさせるか。それによって漏れてくるものがすごくあると思うので。(フラストレーションが溜まって)何回か喧嘩があるかもしれない(笑)。でも、“いい負荷”ってあると思うんです」。渡部も「穴の中で疑心暗鬼、そんな極限状態で自分の中から出て来るナニカをみつけて舞台上で表現してみたい」とコメントを寄せた。8月7日で43年の歴史に一旦幕を閉じることになったPARCO劇場。本作は「クライマックス・ステージ」の“シーズン2”の作品として上演される。“シーズン2”では、劇場の次なる時代を担うであろうクリエイター“ネクスト世代”の作品が中心。ノゾエにとってPARCO劇場は初登壇だが、話をもらったときは「数秒止まった記憶があります。でも正直嬉しかったです。演劇人ならやりたい場所ですから」。PARCO劇場には「確固たる演劇愛を感じる」と話しつつも「最後の枠に僕を引っ張り上げてくれるのは嬉しいですけど、褪せない開拓心に感服です」と笑った。『ボクの穴、彼の穴。』は、5月21日(土)から5月28日(土)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は4月29日(金・祝)午前10時より。取材・文:中川實穗
2016年04月28日劇団・犬と串のモラルが作・演出を務める『昆虫戦士コンチュウジャー』が、6月に東京・紀伊國屋ホールにて上演される。『昆虫戦士コンチュウジャー』チケット情報本作は、謎の中年戦士を含む地球の味方「昆虫戦士コンチュウジャー」と、侵略者「爬虫類帝国」の戦いを描く新感覚のヒーロー・コメディ。コンチュウジャーのカブトムシ戦士を演じる馬場良馬と、アゲハチョウ戦士を演じる斉藤秀翼に意気込みを聞いた。「秀翼くんは若いのにすごくしっかりしているし、ビジョンがあって、芯がある。男らしいところもあってかっこいいんですよ。すぐ仲良くなれました」(馬場)、「良馬くんはエネルギッシュ。現場を常に明るくしてくれます。いい意味で歳の差を感じさせずに接してくれるところが素敵だなと思います」(斉藤)と互いの印象を語るふたり。舞台『俺たち賞金稼ぎ団』(2015年)以来の共演でチームワークもバッチリな様子。ヒーロー・コメディ作品だが、ふたりは特撮ヒーローの経験者でもある。「そこは僕らの強みですよね。特撮ヒーローをやってきた僕たちが、オマージュとしてどれだけ全力でふざけられるか。そこでもうワクワクします。それにモト(冬樹)さんが加わって…絶対面白くなるだろうな」(馬場)、「だからキメポーズのレパートリーも多いですよ。戦隊モノのお約束だったり“らしさ”をわかったうえで演じるので、楽しんでいただけるはず」(斉藤)。馬場が演じるのは、熱血漢で「そうだろ、みんな!?」が口癖の自称リーダー。「熱血漢でうざいキャラですよね。僕と似てます。結構『うざいね』って言われるし…。みんなにウザ絡みできればいいな(笑)」斉藤が演じるのは、生まれつき多才であるため『努力の力』を認めようとせず、周囲に対しても一歩引いたような態度のナルシスト。「自分自身とは近いとも真逆ともといえる感じ。今は“努力の力を認めようとせず”とか“一歩引いた態度”を、本人は嫌味でやってるわけじゃなかったりするのかなと探っているところ。人間味のあるキャラクターにしたいですね」振り切ったコメディになりそうだが、馬場は「“舞台は生もの”と言いますが、特にその感覚が強いのがコメディ。同じことをやっているつもりでも日によって観客の反応が全然違うんですよね。ちゃんと観客の心をキャッチできる作品を作りたいです」。斉藤も「楽しい作品だからこそ、僕らが楽しむだけじゃなく、ちゃんと観客も楽しませることを忘れずにやりたいです。ぜひ観に来てください!」と意気込んだ。MMJプロデュース公演『昆虫戦士コンチュウジャー』は6月8日(水)から12日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2016年04月27日川平慈英、長野博、松岡充、鈴木壮麻によるオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』が4月末に開幕する。それに先駆け、都内で公開稽古と囲み取材が行われた。【チケット情報はこちら】本作は、1990年の初演以来アメリカ各地で上演され続けているスチュワート・ロス脚本のコメディミュージカル。事故で亡くなったサウンドグループ“Forever Plaid”のメンバー4人が一晩だけ地上に戻り、できなかったショーを実現する、という物語。日本では2013年に上演され、今回は再演。川平、長野、松岡、鈴木の“Forever Plaid”メンバーが再び顔を揃えた。公開稽古では、本番同様のセットに揃いの衣裳に身を包んだ4人が登場。軽やかに奏でる美しいハーモニー、コミカルなマイクパフォーマンス、キャラクターらしさが伝わるトークと、ステージから溢れ出すように楽しさが伝わってくる。「一番楽しんでいるのはお客さんよりも僕たち4人なんじゃないのかっていう、そんな瞬間があるんですよ」(川平)という彼らの姿は、観ているだけで自然と笑顔になるはずだ。ミュージカル界、アイドル界、音楽界と、普段はそれぞれの場所で活躍するメンバー。3年ぶりとなる再演だが、ステージ以外でも終始仲のよさそうな様子を見せ、「同じメンバーで舞い戻れたのはミラクル」(川平)、「一人でも変わると“Forever Plaid”じゃなくなる気がする」(長野)と再集結を喜んだ。美しいハーモニーが印象的な本作。実力派揃いとはいえ絶妙な音のハモリを合わせるのには苦労しているそうで、川平は「譜面を見ただけで『これは危ない』という和音。でもそれが“Forever Plaid”の良さなんです」と解説。松岡も「相手の音を聴くと自分が歌えなくなるので、(相手のことを)嫌いになってもおかしくないほど」と大変さを語りつつ「でも座長(川平)がちゃんとまとめてくれるので、なんとか和音が奏でられる」と笑顔を見せた。余震の続く九州での公演も予定している本作。「舞台の間は違う世界にお連れします。いろんなことを忘れて、楽しくなっていただいて、それが元気の源になってくれたら」(長野)、「コーラスという形で想いを届けられたらいいなと思っています。だからこそ一音一音をすごく大事に僕たちは歌っているので、そのハーモニーが皆さんの心に届くことを願っての稽古の日々です」(鈴木)と想いを話した。『Forever Plaid』は、4月26日(火)の埼玉・志木市民会館パルシティでのプレビュー公演を皮切りに、全国13会場で公演。取材・文:中川實穗
2016年04月25日佐野瑞樹、大樹の兄弟ユニットによる公演WBB vol.10『懲悪バスターズ』が5月に上演される。作・演出・出演をする佐野大樹と、佐野の舞台に初出演する鈴木勝吾が、作品にかける想いを語ってくれた。WBB vol.10『懲悪バスターズ』チケット情報「今作は子供にも観に来てほしい。家族で楽しめる舞台にしたいです」と話す佐野。瑞樹演じる天才科学者と、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)演じる悪霊によるハートフルコメディ。「落ちこぼれの悪霊とそれを退治する気難しい天才科学者が、お互いを知って仲良くなっていくストーリーです。今回のテーマは『知ること』。病気にしても何にしても知ることで怖くなくなるじゃないですか。未知なものにみんな恐怖を感じるから、そこを描けたらいいなって」鈴木は悪霊役。佐野は「色んなチラシ見るたびに(鈴木の)名前があるんですよ。きっとみなさんお願いしたがる方なんだろうなと思って」と話す。鈴木は「コメディはそんなに体験してきてないのですが、年々『勝吾くんっておかしいよね』って共演者から言われるようになって…(笑)。自分のズレてるところが出せたらと思っています」今作の構想を「お祭りのイメージ。普段はやらないダンスを取り入れたり、いつもより派手に。身体と体力で見せたいですね。どれだけ演劇的に表現できるか」と佐野が語ると、鈴木も「絶対そっちの方が楽しいと思います。演劇でしかできないことだから」と目を輝かせた。記念すべきWBB10作目。佐野は「今作の目標として、最後の最後までこだわり続けたい。どこまで追求できるか、その勝負はしたいです。大人になるとできないこともわかってしまうから、わがままを言わなくなったりもするんですけど、その時期を経て、それじゃだめだよなと思いました。嫌われてもいいからギリギリまで詰めていきたいです」。それに対し鈴木が「すごく共感します。それをやってこそ、ですよね。観客の前に出すものであること以前に、自分が選んでやっていることだったりするので、やっぱり納得いくまでやりたい」と話すと、佐野は「素晴らしい!」と笑顔を見せた。「大樹さんの想いを聞いて、僕ももっと頑張んなきゃなと思いました。夢が詰まった楽しい作品に必ずしようと思います。がんばって踊ります!」(鈴木)「今回は先輩方が多いのでプレッシャーはありますけど、そこは信じて、自分のやりたいものをまっすぐぶつかっていけたらなって思います」(佐野)WBB vol.10『懲悪バスターズ』は5月19日(木)から5月22日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、兵庫にて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2016年04月25日俳優として活躍する大河元気が演出・脚本を務める『烈!バカフキ!』が、4月14日(木)、東京・Zeppブルーシアター六本木にて開幕した。舞台『烈!バカフキ!』チケット情報本作は、『PERSONA3』シリーズや『帝一の國』シリーズなどにも出演する大河が、2014年に初脚本・初演出に挑んだ「バカフキ!」シリーズの2作目。大河が大好きな特撮・アニメ・プラモデルの要素をふんだんに盛り込み、ポップな衣装や髪型、そして個性的なキャラクターたちによる、殺陣あり、歌あり、踊りあり!さらにも笑いもあり!な楽しい舞台となっている。主演は前作同様、藤原祐規。大河、汐崎アイル、加藤良輔、若井おさむらも引き続き出演する。さらに新メンバーとして根本正勝や桜田航成らも参加。蒼井翔太、大葉健二、なだぎ武、阿澄佳奈と、日替わりゲストも濃厚だ。物語は、『大和國(やまとのくに)』で敵対するふたつの勢力『龍ノ巣(りゅうのす)』と『虎ノ穴(とらのあな)』が舞台。前作では、虎ノ穴の隠密・ラゴ(藤原)が仲間と共に龍ノ巣に潜入し、隠し持っていた兵器を破壊。その活躍でラゴは英雄となった。今作は、その一年半後のラゴを描く。ネタバレなく楽しんでほしい、というこだわりも「バカフキ!」シリーズの特徴。役名や役どころは公式サイトでも伏せられており、劇場では作品パンフレットは公演終了後に開くようアナウンスしたり、グッズの一部はネタバレを避けるために一幕終わりから販売するほどの徹底ぶりだ。初日を迎え、大河は「初演からバカフキシリーズというものに関しては、本気でふざけてごっこ遊びをしてみようということで、ふざけるというのは悪い意味ではなく精一杯大人ができるバカなことをやっていこうということです。本当は色々想いはありますが、メッセージ性などは考えずに帰る時にあー楽しかったなと言って頂ければ、もうそれでこちらは本当に満足だと思っておりますので、とにかく何も考えずに頭を空っぽにして観て頂ければと思います」とコメントを寄せた。コミカルなシーンには何度も爆笑が起き、美しい殺陣や熱い台詞は観ていて胸が掴まれる。前作から引き続き出演するキャラクターが登場すると客席は大盛り上がりで、この続編を待ちに待っていた空気が伝わり、キャストがそれに応えることで温度が上がる。本作はキャストだけでなく、観客も一緒に、全力で遊んでいる舞台だと感じた。『烈!バカフキ!』は、4月17日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて。取材・文:中川實穗
2016年04月15日雛形あきこと渡部豪太がふたり芝居で演じる舞台『令嬢と召使』の稽古場を取材した。舞台『令嬢と召使』チケット情報原作はストックホルム生まれのスエーデン人作家アウグスト・ストリンドベリが1888年に発表した戯曲「令嬢ジュリー」。令嬢・ジュリーと召使・ジャンの関係を描いた作品だ。原作に登場するのは、ジュリー、ジャン、料理女・クリスティンの3人だが、本作ではふたり芝居用に再構成。雛形は大女優、渡部は若手俳優という設定。そのふたりが令嬢と召使の即興芝居を始める、というところから舞台はスタート。雛形は令嬢に加え召使の許嫁も演じる。その日は稽古開始から約10日という頃。すでに通し稽古が始まっていた。ピアノの生演奏が流れる中で、雛形と渡部はふたりの俳優として物語を始める。演出は『坂の上の雲』『紙の月』など数々のテレビドラマを手がけてきた一色隆司。ふたりが即興芝居で演じるのは、惹かれ合っている令嬢と召使。立場の違うふたりが恋に落ちる…定番の設定だ。だが、そこから回り始めるふたりの関係の歯車は予想以上に生々しい!「男は(女は)調子がいいな」「女は(男は)ずるいな」と思わず苦笑いしてしまうシーンも…。雛形が演じる令嬢は高慢だが、どこか女々しい女性。召使への誘い方が大人でセクシーで、観ていてドキドキするシーンがたくさん。一方、許嫁役での雛形はテレビのふわっとかわいい姿とは対極の、サバサバとした女性を力強く演じている。許嫁がいながら令嬢の誘いを受ける、貧しい召使を演じる渡部。時にやさしく、時に最低な(!)態度をみせる。「やさしくしてほしいの」と懇願する令嬢にやさしくしない召使が、許嫁には「もっとやさしくしてくれよ」と言う。劇中、ふたりの立場はくるくると変わり、それによりお互いへの態度も変わる。お互いを心から求めているようで、利用している側面もある。恋愛だからこそありえる関係性をリアルに描いていく。最初に感じた「なぜ急に即興芝居を始めたのか?」という疑問。劇中のセリフなどで答えが出されることはないのだが、即興芝居を観ているうちに「そういうことか」と自然に納得できる。令嬢と召使を演じている最中にいわゆる「中の人」が出てくる瞬間というものがあり、その出現によりこの答えを感づかせてくれる瞬間は気持ちがいい。ふたりがどうなるのか、この即興芝居は一体どこへ向かっているのか――生だからこそ感じられる臨場感をぜひ劇場で味わってほしい。舞台『令嬢と召使』は4月21日(木)から24日(日)まで東京・シアタートラムにて。取材・文:中川實穗
2016年04月12日風間俊介主演の舞台『イントレランスの祭』が、4月9日に東京・全労済ホール/スペース・ゼロにて開幕した。本作は、作・演出を手がける鴻上尚史によるプロデュースユニットKOKAMI@networkの第14 回公演。KOKAMI@network vol.14『イントレランスの祭』チケット情報物語の舞台は日本。地球に580万人の宇宙人が難民として逃げてきて、国連で決まった割り当てに従い、日本では25万人の宇宙人を受け入れることになる。宇宙人が地球に溶け込み、生活を始めてから数年がたったある日、売れないアーティストの佐渡健吾(風間)は恋人(岡本玲)から自分は宇宙人だと告白される――。タイトルの「イントレランス」とは「不寛容」の意味。劇中には「差別」という言葉が何度も出てくる。地球人と宇宙人だけでなく、会社員とフリーター、若い美人と太めの中年女性……人が人を区別し差別する姿と、傷つきながらもしたたかに生きようとする姿が描かれている。観客という立場で観ていると、その「不寛容」はひどいものだ。言いがかりのような差別でも、弁が立つ者が正当性を主張すれば、それを鵜呑みした世間が被差別者を追い詰めていく。その媒介はインターネット。すぐさま“祭”となる世界に反論の余地はない。あるとき、宇宙人に「地球人だから差別される側の気持ちがわからない」と言われたTVディレクターが「わかる」と反論する。そこで告白したのは「父は日本人ではない、母は特別な地区の出身」という身の上話。舞台上と現実が交差する瞬間にハッとさせられる。苦しくなるようなテーマを扱っているが、そこは鴻上作品。「深刻にではなく面白く、重くではなく軽やかに、悲しくではなく笑える形で追及し、描きたい」と、登場するキャラクターはそれぞれ魅力的で、笑いどころも盛りだくさん。風間演じる主人公は路上で“相手にふさわしい言葉と踊り”を売るアーティストだが、その作品には思わず笑ってしまう。宇宙人を迫害する“日本防衛隊”と宇宙人による乱闘シーンも見どころのひとつ。旗を使ったアクションとダンスは華やかで美しく、その中で恋人のために必死に戦う風間のダンスには胸を打たれた。観劇後のスッキリとした気持ちは、実力派揃いだからこそ実現したと感じる。座席に置いてある、鴻上による手書きの「ごあいさつ」も必見だ。4月17日(日)まで東京・全労済ホール/スペース・ゼロ、4月22日(金)から大阪・シアターBRAVA!、4月29日(金・祝)から東京・よみうり大手町ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2016年04月12日WBB vol.10『懲悪バスターズ』の制作発表が東京芸術劇場にて行われ、佐野瑞樹、佐野大樹、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、鈴木勝吾が登壇した。また、出演者のひとりでもある土屋佑壱(*pnish*)が司会として参加した。WBB vol.10『懲悪バスターズ』チケット情報「WBB」は、ジャニーズ事務所の佐野瑞樹と、*pnish*の佐野大樹が、兄弟でプロデュースする公演。ふたり交互に企画を担当しており、記念すべき10作目となる『懲悪バスターズ』は弟の大樹が作・演出を行う。佐野兄弟以外は毎回違う顔ぶれで公演を行っており、今作では、田村亮、鈴木勝吾、OH-SE(電撃チョモランマ隊)、五十嵐麻朝、有澤樟太郎、政岡泰志(動物電気)らと、演劇以外にもお笑いやダンスなどさまざまな分野のキャストが揃った。制作発表では、作品にあまり関係ない質問をしたり、同じ人に同じ質問を2度するなど、土屋の迷司会ぶりが炸裂。記者たちを爆笑させながら進行した。悪霊退治を研究している偏屈な天才科学者(瑞樹)と、人を驚かせることが苦手で落ちこぼれの悪霊(田村)を中心に、ダンスあり殺陣ありの派手で楽しいエンターテインメントとなる本作。作・演出を担当する大樹が「落ちこぼれの悪霊と偏屈な科学者が出会って、心が緩んでいくハートフルコメディです」と紹介すると、土屋から「ポスターには思いっきり『サイエンス×ホラー×アクション活劇』と書いてありますけど」とツッコミが。大樹は「ホラーと言っても“かわいいホラー”です」と慌てて説明した。2007年に劇団「田村亮一座」を立ち上げ、定期的に公演を続ける田村は、客演として他の劇団に参加するのは今作が初めて。「どんな稽古をしているかも興味があります。(舞台の作り方を)勉強しながら、自分も楽しめてお客さんも楽しめるようになれば」と話す。悪霊役の鈴木は「僕は鬼だったりロボットだったり、人じゃない役を演じることがすごく多いので、とうとう悪霊まできたか、と。ファニーに演じられたら」と話した。大樹は「(瑞樹は)兄でもあるし、この世界の先輩。ものづくりに対してのシビアさとかこだわりをすごく感じています。そこに負けないようにがんばりたい」。瑞樹は「(大樹の)いいところは真っ直ぐなところ。これは兄弟ならではなんですけれども、普通、面と向かって言えないようなところも言い合えるので、シビアに作品に取り組んでいけます」とWBBの楽しさを語った。WBB vol.10『懲悪バスターズ』は5月19日(木)から5月22日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、兵庫・新神戸オリエンタル劇場にて上演。チケットの一般発売は4月17日(日)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施中、4月11日(月)午前11時まで受付。取材・文:中川實穗
2016年04月08日市村正親と大竹しのぶがW主演、宮本亜門が演出を手掛けるブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』の公開稽古が行われた。2007年、2011年、2013年と3度にわたり、市村と大竹がW主演を務めてきた本作だが、今回の2016年度版がこのコンビでは最後となることが市村の口から発表された。ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』チケット情報本作は18世紀のロンドンに実在したという恐怖の理髪師をモデルにした、痛快で悲しい復讐のストーリー。妻と娘と共に幸せに暮らしていた理髪師ベンジャミン・バーカー(市村)は、ある日、妻を横恋慕する判事ターピン(安崎求)に無実の罪を着せられ、流刑に処せられる。15年後、街に戻った彼は、かつての自分の店の1階で今もパイ屋を営むラヴェット夫人(大竹)から、妻が狂死し、娘はターピンの養女になっていることを知らされる。怒りに燃える彼は「スウィーニー・トッド」と名乗り、再び理髪店を開店。ターピンへの復讐の機会を狙いながら、彼の正体を知る人間を次々と殺し、その肉を使ってラヴェット夫人はパイを焼く――。公開稽古で披露されたのは、オープニング曲の『スウィーニー・トッドのバラード』。亡霊たちが「スウィーニー・トッド」とは何者かを歌うナンバーで、その圧倒的なステージに稽古場は一気に不穏な空気に包まれた。公開稽古後の囲み取材には、市村、大竹、宮本が出席。市村が「僕としのぶさんの『スウィーニー・トッド』はファイナルです。うぅ」と泣きまねすると、すかさず宮本が「前回もファイナルって言ってた気がしたけど」とツッコミ。市村は「今回は本当のファイナルです」と断言した。宮本は「ふたりの人生のすごみが役に入り込んできて、だから毎回唸るような作品の濃さになっていく。このふたりが最後っていうのは演出家としても悔しいですよね」と悔やんだ。市村「ドラマはちょっと強烈だけども痛快な爽快感がある話です。亜門ちゃんの演出で、僕としのぶさんとカンパニーで、最高のものをお見せしたい」大竹「音楽も素晴らしいし、怖いだけじゃなくてワクワクして笑えるところもある楽しい作品。劇場という空間の中で、違う世界に連れてってもらえると思います」宮本「大人しかできない、本物が観たい人に観てほしいミュージカルです。特にこのふたりのコンビはこれが最後なので、演劇ファン、ミュージカルファン、映画ファン、劇場に行ったことない人にも必ず観てほしい。すごい瞬間をお届けできると思います」ブロードウェイミュージカル『スウィーニー・トッド』は4月14日(木)から5月8日(日)まで東京・東京芸術劇場にて。その後、大阪、名古屋を巡演。取材・文:中川實穗
2016年04月06日中谷美紀主演の舞台『猟銃』が4月2日、東京・パルコ劇場で開幕した。本作は、2011年に中谷が初舞台として挑み、各演劇賞に輝いた作品の再演。“パルコ劇場ゆかりの作品”として上演される「パルコ劇場クライマックスステージ」ラインナップの一作品。舞台『猟銃』チケット情報原作は、井上靖の恋愛小説『猟銃』。三杉譲介に宛てられた手紙で構成された書簡体小説で、愛人の娘・薔子、妻・みどり、愛人・彩子の手紙から、13年間に渡る不倫が暴かれてゆく。その三人の女性をひとりで演じるのが中谷だ。着替えは舞台上で行い、足元には薔子のシーンでは浮草の浮かぶ水辺、みどりのシーンでは玉石が敷き詰められ、彩子のシーンでは板の間が生まれる。約90分間、舞台が暗転することはなく、中谷の芝居と足元の景色だけが世界をガラリと変えていく。薔子が焚く線香の白檀の香りが客席まで漂い、ふとここがどこだかわからないような感覚に陥った。演出は初演同様、NYメトロポリタン・オペラやシルクドソレイユの作品も手掛けるカナダ人演出家のフランソワ・ジラール。三杉譲介を無声の身体表現のみで演じるのも初演同様、カナダ人のフィジカル・アクター、ロドリーグ・プロトー。開幕前日の4月1日には、パルコ劇場にて3人による会見が行われた。20歳の薔子の姿で登場した中谷は「5年も経つと私も人間的に成長を少しくらいはしたかなと思います。人生でたくさんの経験をしたり周囲の方々からお話をうかがう中で、3人の女性の悲しい人生をより深く味わえるようになってまいりました」と振り返った。5年ぶりの再演について「初演のときはどちらかというとひとり芝居の意識がありました。セリフを操ることに本当に必死で。今回は稽古場でロドリーグさんと対面でお芝居をすることによって、私の感情もより深く醸成されたように思います」(中谷)。「井上靖さんの『猟銃』は限りなく深みのある作品ですので、探求は終わらないと感じました。今回再演するチャンスをいただいて、より深くディテールを掘り下げることができて、美紀さんの女優として、アーティストとしての成長を感じました」(フランソワ・ジラール)。膨大なセリフの中で中谷が特に好きなセリフは『あなたは愛することを望みますか? あるいは愛されることを望みますか?』。この問いかけから生まれる凄絶な想いをぜひ舞台で味わってほしい。4月24日(日)まで東京・パルコ劇場にて。その後、新潟、愛知、京都、兵庫、福岡を巡演。取材・文:中川實穗
2016年04月04日白井晃が演出、長塚圭史が台本、早見あかりが主演を務める『夢の劇-ドリーム・プレイ-』の公開稽古が行われた。同舞台は4月12日(火)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場で開幕する。『夢の劇-ドリーム・プレイ-』チケット情報本作は、19世紀後半から20世紀初期に活躍し、日本では『令嬢ジュリー』『死の舞踏』などで知られるヨハン・アウグスト・ストリンドベリの作品。夜にみる夢の世界を戯曲化したとされ、唐突に場所が変わったり登場人物が入れ替わるなど、精神世界の迷宮のような混沌とした“夢”の世界が描かれている。物語は、神インドラの娘アグネスが人間界に降り立つところから始まる。人間たちと共に過ごす中で人間界の不条理を経験し、成長していくアグネスの姿を描く。そのアグネスを演じる早見は、本格的な舞台初出演。共演者には田中圭、江口のりこ、玉置玲央、那須佐代子、森山開次、山崎一ら魅力的な面々が揃う。さらに、舞台『星の王子さま』やテレビ番組『からだであそぼ』などでもおなじみの森山開次が振り付けを担当。白井、長塚、森山は演者としても出演する。mama!milkの生駒祐子と清水恒輔、阿部海太郎、トウヤマタケオが演奏する音楽の中で始まった公開稽古。披露したのは、結婚生活を経験したインドラの娘(早見)が「こんなの嫌だ」と飛び出し、公平と平等と安息の港町に連れて行ってもらうはずが、病人だらけの町にたどり着いてしまうシーン。アグネスは誰もが悲しみを隠し意気消沈する世界を静かに見つめ、「お父様!人生は残酷!人間ってあわれだわ!」と叫ぶ。ダンスシーンでは、バレエ界でも活躍する高瀬瑶子のダンスや、圧倒的な存在感を放つポールダンスなど、森山ならではの独創的な世界に取り込まれる。また、森山らと共に早見もダンスを披露。軽やかに踊ってみせた。シーンの合間には小道具を触ったり、ダンスの確認をしたり、雑談をしたりとキャストはコミュニケーションを取りながらも、常に目線は舞台を向いていたのが印象的。江口がピアノの演奏を披露するシーンでは、アドリブで演奏を延ばされたのか、キャスト達が笑い合う場面も見られた。白井の言葉に耳を傾け、ときに笑顔を見せる早見。1月の制作発表で涙とともに吐露した不安は取り払われているようにも見え、本番への期待が高まる。KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『夢の劇-ドリーム・プレイ-』は、4月12日(火)から30日(土)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場にて上演。その後、長野、兵庫を巡回。撮影・文:中川實穗
2016年04月04日演劇集団キャラメルボックスが2013年に舞台化した『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が、キャストをほぼ一新したプロデュース公演として、4月21日(木)から東京、大阪で上演される。原作は累計100万部を突破した東野圭吾の同名小説。脚本・演出は、初演と同じく同劇団の成井豊。主役のコソ泥3人組を多田直人、松田凌、鮎川太陽が演じる。舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』チケット情報その中で、物語の要ともいえる「ナミヤ雑貨店」の店主・浪矢雄治を演じるのが、ドラマ『相棒』伊丹刑事でもおなじみの川原和久。約4年ぶりの舞台出演となる川原に話を聞いた。キャラメルボックスの作品には、『また逢おうと竜馬は言った』(1992年)や『容疑者Xの献身』(2009・2012年)などに続き6度目の参加となる川原。自身も劇団ショーマに在籍しながら、数多く出演してきたキャラメルボックスについて「昔はね、変えてやろうと思って(出演していました)。もちろん劇団それぞれで価値観は違いますし、やり方は違うんですけど、うち(劇団ショーマ)のやり方もいいよってことをね、トヨタの車もいいけど日産の車もいいよという感じで伝えたかったんですけど、なかなか届かなかったですね」。それでも出演してきた理由を問うと「僕には多くの信頼できる演出家がいまして。成井さんもそのひとり」と厚い信頼をのぞかせた。ストーリーについては「点で散らばっていたものが最終的に線になるっていう、いわゆるミステリーと同じつくり。しっかりその点を描いていかないと、線にはならないなって気はしています」。その中でも自身が演じる役は「(ストーリーの)発端ですよね。浪矢雄治という人が起こした事件によって点が散らばっていって、最終的にひとつの線になる。人間関係が特にね。そこが醍醐味なんじゃないかな」。映像作品にも数多く出演する川原。映像と舞台の違いを聞いてみると「僕はそんなに大きな差は感じてないです。でも、劇場に入って舞台に立って芝居をしていると『やっぱり僕は演劇の人間なんだな』と思います。張ってる声が気持ち良かったり、(客席に向かって)飛ばす芝居だから発散力がすごい。これをずっとやってきたんだなって思い返させてくれる。もちろん映像のお芝居も好きなんですけどね」。20代から50代まで幅広い年代のキャストが揃う本作。川原が食事に連れて行くことも多い。「最近の現場はいつも最年長だから出費が…」と笑いながらも、「なるべくみんなで行きたいですね。あっという間だから」とコミュニケーションも大切にしながら稽古を重ねている。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、4月21日(木)~5月1日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木、5月6日(金)~8日(日)まで大阪・シアターBRAVA!にて上演。この5月で11年の歴史に幕を下ろすシアターBRAVA!では、「さよならBRAVA!」と題し閉館までのカウントダウンを飾る。取材・文:中川實穗
2016年04月04日劇作家・内藤裕敬の新作『魔術』が、3月27日、東京・本多劇場で開幕した。本作は、デビュー30周年を迎えた中山美穂が、初めて挑む本格的舞台作品。舞台『魔術』チケット情報出演者は中山、萩原聖人、橋本淳、勝村政信と個性派揃い。深夜の高架下のおでん屋台を舞台に、ここ十年余りに社会が直面してきた言い知れない不安、世界の不確実性や他者との距離感の欠如を、4人の会話劇として描いていく。中山は本番を前に「今、本当に緊張しています。楽しみな気持ちも同じくらいあるんですけど…」と緊張の面持ちを見せながらも「お稽古の中で日々いろいろな気付きがあって、毎日(芝居が)変わっていくんです。だから本番でも(気付きを)見つけていきたいと思っています。そういう流れる変化が魅力的な作品だと思うので」と話した。作・演出の内藤は、「作・演出をやっていて稽古中にこんなにも気付かされることが多いことはなかなかない。日に日に『ベストメンバーだな』と確信しました。稽古の過程で(4人を)信用していますので、あとはもう任せるだけ」と自信をのぞかせた。内藤作品には過去3作品出演している萩原は、今作の印象を聞かれ「さっぱりわからないです」と答え、内藤は大笑い。「でもわからないままでいいと、ゴールがないと、この芝居には。そういう意味で、わからなくていいと思っています」と話した。中山については「(中山以外の)僕ら4人は舞台をそれなりにやっていて、美穂さんは(舞台が)初めてなので、『なんでも聞いてください』なんて言ってたんですけど、最終的には僕らが背中を押されました。美穂さんは稽古場では余計なこと一切喋らないし一番隅っこに佇んでるんですけど、日に日に“女(役名)”が変わるんですよ。それに触発されて、引っ張られたところはありますね」と印象を語った。勝村は「それぞれバラバラの場所から来ているメンバーなので、稽古場でなにかするのが楽しかったですね。難しい部分ももちろんありましたけど楽しいことの方が多かったです」と稽古を振り返った。また、宮田慶子、宮本亜門ら名だたる演出家の作品への出演が続き注目を集める橋本が「僕は一番下ですし、舞台上で先輩の胸を借りながらやらせてもらってます」と話すと、萩原らにちょっかいを出される場面も。仲の良さを感じさせた。自分たち以外ひと気のない世界で一体何が起きているのか。“魔術”にかかったのか、とけたのか。おでん鍋の底に沈むのは果たして…?『魔術』東京公演は4月10日(日)まで本多劇場にて。その後、愛知、兵庫、愛媛、高知、宮城、北海道と各地を巡る。取材・文:中川實穗
2016年03月29日