子どもが2人以上いる家庭では、ちょっとしたことで揉めたり、きょうだい喧嘩が勃発したりすることがしばしばあるでしょう。喧嘩するなら近寄らなければいいのに、わざわざ至近距離にいたり、喧嘩したかと思ったら妙に仲が良かったり…という光景を目にしたことのあるパパやママも多いのでは?このきょうだい喧嘩、一度勃発すると、親としてどこで仲裁に入ればよいのか、判断が難しいところ。一体、親としてどのような対応をするのがよいのでしょうか。きょうだい喧嘩はなぜ起こる?喧嘩ができる、ということはお互い遠慮していない証拠です。思ったことを言い合う、嫌なものは嫌!とはっきり言う。喧嘩しても何事もなく仲直りできる。こういった遠慮のない関係であるというのが、きょうだい喧嘩が起きる、そもそもの前提条件と言えます。それを踏まえた上で、きょうだい喧嘩をする意義についてもう少し考えてみると、それは「これからもめごとに直面した時の練習」といえるかもしれません。生きていれば、小さなもめごとなど、さまざまなトラブルが起こります。それを乗り越えるための練習=きょうだい喧嘩と考えられなくもないでしょう。時には知性で、時には理性で自分の気持ちをぶつける→相手の言い分を聞く→和解する。きょうだい喧嘩からは、これら一連のコミュニケーションを学ぶことができるのです。親はきょうだい喧嘩を仲裁したほうがよいのか?きょうだい喧嘩はもめごと解決のための練習なわけですから、基本は親が介入せず、子どもたちで解決するのをじっと待つことが大切です。喧嘩している声を毎日聞いている親の立場としてはイライラして、「いい加減にして!」「喧嘩ばかりしないで!」と、つい言いたくなってしまいますが、でもそこはぐっと我慢しましょう。ただし、解決するどころかヒートアップして取っ組み合いになりそうであれば、仲裁役として入ることも必要です。その際、以下のことを実践してみましょう。きょうだいそれぞれの言い分を聞くそれぞれの言い分に共感するお互いの気持ちを伝え合うように仲立ちする できれば子どもには、別々に話を聞くことをおすすめします。そのほうが、子どもも気持ちを伝えやすいですし、親としてもそれぞれの子どもの言い分に共感しやすいでしょう。きょうだい喧嘩を仲裁する時、決してやってはいけないことは?きょうだい喧嘩仲裁の際、以下のことを言ったり、やったりしてしまうのはNGです。<NGその1.「喧嘩両成敗だから」と、子どもの言い分を聞くことなく一方的に叱る>子どもがきょうだい喧嘩をするのは、決まって親がいる時。実は、親のいないところではほとんど喧嘩をすることがありません。これには、喧嘩を通じて「自分の意見を親に認めて欲しいと思っている」という、子どもなりの意図が含まれているのではないでしょうか。それゆえ、子どもの言い分を聞くことなく、一方的に親が叱ってしまうと、「話を聞いてもらえない」と、子どもが思い込むようになってしまうかもしれません。多少面倒ではありますが、トラブルがあった時にはきちんと意見を聞く環境づくりが、自然と家族を思い合うきっかけづくりにつながるといえるでしょう。 <NGその2.上の子ばかり叱ってしまう>「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」と、一方的に上の子を叱ったり、我慢させたりするのはNGです。下の子は上の子に比べて、要領の良さとうまく親に甘えるかわいさとを持っているケースが多いのでついそう言ってしまう、というママも少なくないようですが、上の子にしてみれば、自分ばかりが責められることで「ママは僕(私)のことわかってくれない」「下の子ばかりかわいがる」といった自己否定につながりやすくなります。さらに、そうした自己否定感から生じるストレスの矛先がまた下の子に向かってしまう…といった悪循環に陥る可能性も否めません。そのほか、「自分のやることは認めてもらえない」と自信を喪失してしまうケースもあるので注意してください。 きょうだい喧嘩は、起こって当たり前のこと。時に様子を見て放っておいたり、時に仲裁に入ってお互いの言い分を聞いたり、と親が上手に対応することでお互いを思いやることのできる優しいきょうだいが育つことでしょう。(ライター:遠藤光恵)
2015年08月24日広場や公園、お子さんが集まる公共の場に行くと、往々にして起こるのが「おもちゃの取り合い」です。親としては、お友だちとのトラブルを避け、できるだけ仲良く遊んで欲しいと思うもの。しかし、2歳を過ぎれば、たとえみんなで遊ぶためのおもちゃでも「これは自分のもの!」と所有を主張したくなったり、お友だちが使っているおもちゃがよく見えたりするのもごく自然なことです。そんな時、親としてはどのように対応することがベストなのでしょうか?■おもちゃを「取り合うこと」は、子どもの成長に必要なこと家でひとり遊びをしていたり、おとなと遊んだりしている時には、おもちゃを取り合うような状況は起こりません。実は、お子さんにとって、この「取り合い」という行為は、非常によい経験となります。独り占めしてはいけないことを知る、譲る、駆け引きするなど、ものを取り合うことで一度にたくさんの思いや学びを得ることができるのです。子育てサロンや児童館で小さい子が遊ぶ姿を見ることがありますが、子どもの年齢が低ければ低いほど、多くのママたちが子どもの後ろにぴったりとくっつき、ちょっとでもお友だちに近づくだけで「お友だちが使っているからダメよ!」と遮ってしまう場面をよく見かけます。実は、これはあまりよくないことなのです。ただ、お友だちに興味を持って近づいているだけかもしれないし、たとえおもちゃを取ろうとしていたとしても、ママが先回りしてお子さんのやることを遮ってしまうことは、子どもが自分自身で「これをやりたい!」と思って行動する気持ちを遮断してしまうことに繋がります。そうなると、お子さんはママの顔色を見て行動するようになったり、持っている好奇心を封じ込めてしまったりすることになるでしょう。■取り合いが起きてしまったら…とはいえ、トラブルはできるだけ避けたいもの。おもちゃの取り合いが起きてしまったら、親としてはどのように対処するのがよいのでしょうか。<まだ物の貸し借りが理解しにくい年齢の場合>なるべくケンカにならないように見守りながら声かけをするとよいでしょう。「●●ちゃんも使いたかったね。でも、○○くんも遊びたいんだって」と状況を説明し、「順番にしようか?」や「こういう時は、『かして』『どうぞ』と言うんだよ」などと教えてあげましょう。それでもダメな場合は、「こっちにこんな楽しいおもちゃあるよ!」と別の物で子どもの気を引く、という方法もおすすめです。<物の貸し借りが理解できるような年齢の場合>「どうやったら仲良く遊べるか、取り合いにならないか一緒に考える」という方法がとても有効です。「じゃあ、順番に遊ぼう」とか、「一緒に遊ぼう」とどちらかが言いだせばOK! 2人で相談して、お互いに譲ったり一緒に遊び始めたり、自分たちで解決策を見つけること自体が、とてもよい経験となります。ただし、自分が遊びたいものを「順番だから」といって、後からきたお友だちに譲るなんて嫌だ!と思うお子さんもいます。そこで言いがちなのは、「もし○○ちゃんが逆の立場だったらどう思う?」という声かけですが、実はこれが通用しないこともあるのです。「順番」という理論を重視して行動する子どもにとっては、相手の気持ちを想像することが難しい場合もあります。そんな時は、子どもの「僕が(私が)教えてあげる!」という気持ちがくすぐることがポイント。「どうやったら仲良く遊べるか教えて~」や「ママにどんな風にすれば楽しく遊べるか見せて~」といった言葉かけをしてみてください。だいたいの子どもが得意気になって、不思議と一緒に仲良く遊べるようになったりしますよ。過干渉のママが増加しているため、トラブルや想定外の状況に弱いお子さんや、好奇心がないお子さんが増えているという意見もあります。良い思いだけでなく、嫌な思いも含めて、なるべくたくさんの経験をお子さんにさせてあげることが健全な成長に繋がることでしょう。ただし、お友だちを叩くといった暴力的な行為に出た時は直ちに抑止して、別の方法を教えてあげることが必要です。
2015年02月19日私は日頃、NPO法人で子育て支援活動を行っているのですが、その中でママたちから「おじいちゃん、おばあちゃんが孫に対して甘やかしすぎる」という悩みを聞くことは意外と多いものです。我が家の娘たちも昨年から、夏休みなどの長期休みに子どもだけで祖父母の家に泊まらせていますが、大抵ワガママになって帰ってきます。子どもからすると、「おじいちゃん、おばあちゃんは何でも買ってくれる! 何でも好きなものを食べさせてくれる!」という存在だと感じているようです。たしかに、孫をかわいがってくれるのはありがたいですが、親の本音としては「あまり甘やかさないでほしい」と伝えたい時もあるではないでしょうか。どう伝えればよいのか、ママたちの意見で多いケースを取り上げ、対応策を紹介します。■祖父母が、孫の欲しがるおもちゃやモノをどんどん買ってしまう場合(1) 子供の感謝の気持ちを育てたい、と祖父母にも協力を求める「欲しいものを何でもすぐに買ってもらえる、ということに慣れてしまうと感謝の気持ちを持たなくなってしまう。おもちゃやモノを買ってもらったことに対して、きちんと感謝の気持ちを持つ子に育てたいので、時には我慢させる環境も一緒に作って欲しい」と、祖父母にも孫のしつけへの協力をお願いするとよいでしょう。そのほか、「おもちゃがありすぎて、ひとつのものでじっくり遊ばなくなって、困っているんです」と悩みを打ち明けるかたちで、暗に「おもちゃを買い与えないでほしい」という気持ちを伝える手もあります。(2)「子供を片付けのできる子に育てたい」と、親としての目標を祖父母に伝える小さいうちから自分のものを自分で管理する、お片付け上手な子どもに育てたいと祖父母に伝え、協力を仰ぎましょう。そして、どんなおもちゃを持っていて、どこにしまうかということを子どもが自分で理解できるようにするためには、収納とおもちゃの量のバランスをとることが必要だと伝えてみましょう。■祖父母が孫に、お菓子や好きな食べ物を何でも食べさせてしまう場合祖父母世代との食に関するギャップは、多くのママたちの悩みどころ。特に、アレルギーや食品添加物などに慎重になっているママにとって、構わずどんな食べ物でも与えてしまう祖父母の対応は、気が気でないかもしれません。そんな時は、はっきりとママの食に対する考え方を伝えましょう。「こういうものをあまり与えすぎると、こういう悪影響を及ぼすので、なるべく控えたいと思っています」「この段階では、まだ●●を口にするのは早いと考えています」「お菓子を食べすぎると、夜ご飯を食べなくなってしまって栄養的に心配です」など、しっかりと伝えたほうがよいでしょう。はっきり言うことがなかなか難しい場合は、母子手帳や育児本など、育児方法について書かれているものを見せて、「今はこう書いてあるので、それに従おうと思うのですが、そのほうがいいですよね?」と相談形式をとってみましょう。「テレビで(有名な教育者が)そう言っていたので、そうしようと思っているんです」と言うのもよいかもしれません。■祖父母のように、子供を甘やかしてくれる存在は、実は必要であることもまた事実孫を甘やかす祖父母への対応を紹介しましたが、一方で甘やかしたくなる祖父母の心理を理解することも忘れてはいけません。祖父母は「孫を甘やかす」ことで「孫への愛情」を表現しています。親は、どうしても子どもに対して責任と期待がある分、厳しくなってしまったり、余裕がなくなったりして、本当に子どもの思いに気づかないこともあります。それゆえ、子どもの気持ちを笑顔で受け止める存在、時には子どもの逃げ場になる存在というのはとても重要なのです。それがまさに、子どもにとっての祖父母の大切な役割なのです。『ちびまる子ちゃん』でいう、まる子とおじいちゃんの関係(お母さんやお父さんが相手にしないバカバカしいまるこの話も笑顔で受け止める関係)と言えば、わかりやすいでしょうか。ですから、「おもちゃや食べ物を与えるのではなく、遊び相手や話し相手、孫の気持ちをよしよしと受け止める相手になってほしい」と伝えるのも、孫を甘やかす祖父母への有効な対応策になるかもしれませんね。
2015年01月02日