シンガー・ソングライター宇多田ヒカルが、『SFマガジン』6月号(早川書房/4月25日発売)に登場する。SF 作家・小川哲と創作論を交わし、「SF」と「文学」について語った宇多田。同誌では、その様子を、撮り下ろしグラビア3ページと、1万字の対談記事にて掲載する。この4月にデビュー25周年を記念した初のベストアルバム『SCIENCE FICTION』を発表した宇多田ヒカルと、『地図と拳』で第168回 直木賞を受賞したSF 作家・小川哲の特別対談が、『SFマガジン』6月号(早川書房/4月25日発売)にて実現した。対談では、ベストアルバム『SCIENCE FICTION』のタイトルについてのトークを発端に、新曲「Electricity」の小川哲によるSF 作家ならではの考察や、互いに深く共感しあえる創作論が交わされた。その他、宇多田が偏愛するSF 小説や映画、思わず一気読みした小川哲『君のクイズ』の感想や、中上健次、川端康成、ヘルマン・ヘッセといった共通の好きな作家の作品についての読書談義なども収録。2人のアーティストの創作の源流にせまる、ファンのみならずクリエイターを志す人には必読の内容となっている。【SFマガジン6月号主な特集】・特別対談宇多田ヒカル×小川哲・電子音楽家 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーインタビュー・映画『デューン 砂の惑星 PART2』&Netflix 独占配信ドラマ『三体』公開記念特集・SF 作家テリー・ビッスン、ハワード・ウォルドロップ追悼企画
2024年04月18日SF戯曲『ロボット』が、2024年11月から12月にかけて東京・シアタートラムで上演されることが決定した。本作は、1920年にチェコの国民的作家・劇作家であるカレル・チャペックによって発表されたSF戯曲の金字塔。チャペックは「労働」を意味するチェコ語「robota(ロボタ)」から、「ロボット」という言葉を新たに生み出したと言われている。今回は卓越した発想力とユーモアで、独特の奇想天外な世界観を描き出す作風に定評のあるノゾエ征爾の潤色・演出により、シニカルかつ不条理なドラマとして転換し、現代の物語として届けられる。作品の舞台となるロッサム・ユニヴァーサル・ロボット社の社長ドミン役を渡辺いっけい、ドミン社長の妻にして、人権同盟代表としてロボットの地位の向上を訴えるヘレナ役を朝夏まなと、ロボットの反乱後、ただひとり残される人間であるロボット研究者アルキスト役を水田航生が演じる。またシアタートラムでの公演後、兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演が予定されている。■潤色・演出:ノゾエ征爾 コメントこれは人間を批判するようなお話ではありません。幸せを求めるのも、進歩に邁進することもごく自然なことで、なんら悪いことではない。便利になるのは助かるし、苦労が減るのはありがたいかぎりだ。代わりに色々とやってくれるロボットが開発された?最高じゃないですか。でも、あまり幸せになった気持ちになれないのはなぜだろうか?幸せという感情は消えるようにできていると誰かが言っていた。確かにそうかもしれない。しかし、幸せを求める感情も消えないようにできているようだ(ただ、これまでと同じような求め方ではいけないことはそろそろ分かりつつ)。絶望と希望がぐるぐるする、このなんとも人間味溢れる物語を、この素晴らしい俳優さんたちでのぞめることがまずはとても幸せで、しかしやがて消えてしまうらしいこの幸福感を、観劇してくださる皆さまに繋げられることを願って、泥臭く挑みたく思います。■水田航生 コメント自然とは何か、不自然とは何か。生物は何を求め、何の為に生きているのか。そもそも「生物」とは何を指すのか。この『ロボット』を最初に読み終えた時、しばらくそんなことを考え込みました。この戯曲が生まれてから100年後を生きる自分が、何を感じどう表現出来るのか、役者として、そして一人間としての探究の日々が、ちょっぴりの怖さはあるものの、楽しみでなりません。演出のノゾエさん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと稽古を通して沢山ディスカッションをして、その場で揺れ動く心を大切に、本番へ向け突き進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!■朝夏まなと コメント憧れの劇場のひとつであるシアタートラムで、しかもノゾエ征爾さんの演出を受けられること、それを初めて共演する俳優さん方と取り組めることにワクワクしています!100年以上前に作られた、まるで今の時代を予知していたかのような『ロボット』という作品が、現代ではどのように描かれるのか、また男性たちを翻弄するという、自分とかけ離れていると感じる今までに経験のない役柄なので新たな自分に出会えるのも楽しみです。刺激を得てお芝居にどっぷり浸かって表現できるように頑張ります!■渡辺いっけい コメント百年前のこの戯曲、恐ろしいほど現代に突き刺さるその世界線もさることながら、劇的に絡み合っていく登場人物たちのその会話の熱量にまず驚かされました。面白い戯曲というのは演じるのが大変です。きっと悩みながら、台詞と格闘しながらの本番になる事でしょう。ノゾエ君には過去に何度も声を掛けて頂きながらご一緒する機会がありませんでした。しかし漸くご一緒できる作品がこんなにもアグレッシブな戯曲になるとは!しかも舞台では初共演の役者さんばかり……。身震いするほど初めてづくしのこの座組で「熱い冬」を、濃密に過ごしたいと思います。<公演情報>『ロボット』作:カレル・チャペック『ロボット』(海山社・栗栖茜訳)潤色・演出:ノゾエ征爾出演:水田航生 朝夏まなと/渡辺いっけい ほか『ロボット』チラシビジュアル日程:2024年11月~12月会場:東京・シアタートラム※兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでツアー公演あり。公式サイト:
2024年04月12日『300〈スリーハンドレッド〉』や『ジャスティス・リーグ』など、数々のヒット作を手掛けてきたザック・スナイダー監督。最新作は、黒澤明監督の名作『七人の侍』からインスパイアを受け、構想に20年以上かけたオリジナルSF超大作『REBEL MOON:パート1 炎の子』です。そこで、Netflixでの独占配信がスタートしたばかりの話題作について、こちらの方々にお話をうかがってきました。ソフィア・ブテラさん & エド・スクラインさん【映画、ときどき私】 vol. 626壮大な銀河を舞台に繰り広げられる本作で、すべてを支配する銀河の帝国“マザーワールド”にリベンジを誓った主人公コラを演じているのが、映画『キングスマン』に登場する義足の殺し屋でも知られるソフィアさん。そして、冷酷非道で血も涙もない“マザーワールド”の執行官であるノーブル提督をテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や映画『デッドプール』でも注目を集めたエドさんが演じています。今回は、劇中で激しいバトルを繰り広げるおふたりに、アクションシーンの裏側や現場での様子、そして影響を受けている日本のカルチャーなどについて語っていただきました。―本作では、何と言っても壮絶なアクションが見どころですが、ソフィアさんはダンサーでもあるので、そういった経験が生かされた部分もありましたか?ソフィアさんそうですね。ダンスにも格闘シーンにも振り付けがあるので、そういう意味で類似する部分はたくさんあると感じています。私の場合、学びのプロセスは見ることから始まるので、まずはスタントダブルの方がどういう動きをしているのかを観察するところから取り組みました。ちなみに、ダンスのときは特定のカウントで動いていますが、アクションのときに意識しているのはリズム。言葉で説明するのは難しいですが、頭のなかで「ダダダ、ダダ、ダ、ダダダ」みたいなリズムを感じながらアクションをしているんですよ。とても健全な環境で撮影に挑むことができた―面白い違いですね。対するエドさんも杖を持ちながらのアクションなど、難しさもあったのではないでしょうか。エドさん僕もスタントダブルの方に、いろいろと教えてもらうことは多かったです。なかでも、さまざまな開発に取り組んだのは、杖の持ち方。撮影で使っているものは軽い杖ですが、自宅でトレーニングする際には11キロ以上ある鉄の棒を使って練習しました。ちなみに、実はこの杖にもちゃんと意味合いがあって、絶滅してしまった動物の大腿骨を使っている杖という設定。希少価値の高いものが暴力の象徴となってしまっている様子を描いているそうです。そんなふうに、ザックはすべてに対して説明をしてくれるので、本当に素晴らしい監督だと思いました。―なるほど。細かいところにもこだわりが隠されているとは興味深いですね。ソフィアさんザックは創造性と才能に溢れた天才で、彼の熱意は毎日私たちにも伝わっていたので、とても健全な環境で撮影に挑むことができました。こういう作品で初めて主演を務めさせていただけてうれしかったです。主人公が女性ということもあって、視覚的にも美しい映像が詰まっている作品になっていると感じています。エドはキャラクターを見事に体現していた―また、劇中でのエドさんの見事な悪役ぶりには思わずこちらまでゾクッとしてしまいましたが、ソフィアさんから見たエドさんの素顔を教えてください。エドさんまずは、怖がらせてしまってごめんね!ソフィアさん彼はまさにこの通りの素敵な人ですよ(笑)。実は、エドとはこれまでに共演の話が5回くらいあったもののなかなかうまくいかず、今回ようやく一緒に演じることができたんです。彼は役作りとしてダイエットもしていたようですが、青白い肌と骨格がわかるような顔つきでキャラクターを見事に体現していると思いました。彼がそういう状態を作り上げてくれていたからこそ、私も本当に恐ろしさを感じました。エドさんソフィアのことも怖がらせていたみたいでごめんね(笑)。ソフィアさんでも、そこまで仕上げて役になりきってくれたおかげで、私は自分の緊張感やエネルギーをテイクの間でも維持し続けることができましたし、すんなりと役に入れてとても演じやすかったです。おそらくそういった部分は、画面にもはっきり出ていると思います。本人が考えている以上にエドは素晴らしいことをしていると私は感じました。いつか日本で撮影することが夢―また、ザック・スナイダー監督といえば日本の映画やポップカルチャーから大きな影響を受けている方ですが、おふたりも日本に関して興味を持っていることはありますか?ソフィアさん私が大好きなのは、やっぱり日本のアニメ。なかでも、『聖闘士星矢』や『ドラゴンボールZ』、『攻殻機動隊』、『獣兵衛忍風帖』、『AKIRA』、それから宮崎駿監督の作品などを観て育ちました。エドさん僕は大学で絵画を学んでいたのですが、その際に日本のアーティストから影響を受けたこともありました。大学時代には日本人の学生との共同制作で絵を作ったこともあり、その作品はいまでも大切に家に飾っています。また、僕はいろんな作品のワールドツアーで多くの国を回っていますが、そのなかでも日本が100%お気に入りの場所。みなさんの落ち着きや他人を尊重する気持ちは本当に素晴らしいので、「ほかにもこういう場所がもっとあればいいのに…」と思っているほどです(笑)。以前、日本で撮影するチャンスをもう少しで実現できそうだったこともありますが、いまでも日本での撮影は僕の夢。いつか役に立つ日が来るかもしれないと思って、剣道を学んでいるところです。何かを克服するときは自分のなかでも力を感じる―ぜひ、楽しみにしています!本作では反乱者たちによるリベンジが描かれていますが、もしご自身の人生のなかで何かにリベンジした経験などがあれば教えてください。ソフィアさん生きていると、人生のなかでさまざまなレベルで何かに立ち向かわなければいけないときってありますよね。「リベンジ」というほど強いものではありませんが、いろんなことを克服するときは自分のなかでもより力を感じる瞬間かなと。そういった経験は、これまでもたくさんしてきました。この作品で言うなら、物語やキャラクターを理解して、きちんと自分のものにすることが今回の私が成し遂げるべきことだったと思っています。それはまるでそびえ立つ山のようだったので、どうやってうまく登っていくかということを考えながら演じました。ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしている―エドさんはリベンジされる側でしたが、いかがでしたか?エドさん僕は生涯を通して反抗的な理念を持っているような人間で、若い頃から反体制的な主義を掲げながら育ってきました。アンダーグラウンドやサブカルチャーといったものに興味を持ち、自分を非エリートだと思っているので、もし自分がこの作品のなかに実在していたら、きっと武器を持って戦いに出るタイプだったでしょうね!とはいえ、自分はリベンジや復讐といったものにはまったく共感していません。むしろ怒りや悔しさ、恨みといった感情はつねに自分の心から切り離すようにしているほど。それは自分のためだけでなく、相手にとってもそのほうがいいと考えているからであって、ネガティブな感情は最低限に抑えるようにしています。ただ、父親として3人の子どもたちにいろんなことを教える立場になった途端、自分が体制側の人間みたいだなと感じることは最近よくありますけどね(笑)。日本のみなさんとこの作品を共有できることがうれしい―それでは最後に、日本の観客に向けてひと言お願いします。ソフィアさんこの作品は、153日間というとても長い撮影期間をかけて作り上げました。ザック・スナイダー監督が先導してくれたこの映画をみなさんに観ていただけることをうれしく思っていますし、共有できることにすごく興奮しています。インタビューを終えてみて…。劇中では敵対関係にあるおふたりでしたが、撮影時には冗談を言って笑い合うなど、仲の良さが伝わってきたソフィアさんとエドさん。お互いへの信頼関係があったからこそ、激しくぶつかり合うことができたのだと感じました。クライマックスのなかで、最大の見どころでもあるおふたりの手に汗握るアクションシーンは必見です。圧倒的な映像に興奮が止まらない!無限に広がる銀河に誘われ、壮大な世界観と美しい映像が堪能できる本作。圧巻のアクションシーンはもちろん、アウトロー集団たちが繰り広げるドラマにも胸が熱くなること間違いなしです。写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン)取材、文・志村昌美ストーリー巨大帝国“マザーワールド”が支配する銀河。暗い過去から逃げてきた心優しい熱き戦士コラは、惑星の片隅にある平和な村で暮らしていた。ところがある日、帝国の刺客が突然現れ、侵略を開始。コラは侵害されてしまった村人の敵討ちのために立ち上がり、仲間を集める旅へと出ることに。コラが出会ったのは、顔色ひとつ変えずに復讐心を燃やす二刀流使いのネメシスや金でしか動かないクールな宇宙船パイロットのカイを始めとする団結とは無縁なアウトローたち。果たして、寄せ集めの〈チーム・レベルズ〉は冷酷非道で人間味ゼロの提督アティカス・ノーブルを倒し、悪の帝国へリベンジできるのか…。テンションが上がる予告編はこちら!作品情報Netflix映画『REBEL MOON — パート1: 炎の子』12月22日(金)世界独占配信写真・園山友基(ソフィア・ブテラ、エド・スクライン)
2023年12月22日「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」シーズン1が、12月10日(日)より一挙放送されることが決定した。来春からは、BSでシーズン2の放送も決定している本シリーズは、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄が残した数々の傑作SF短編を実写化したドラマ。およそ半世紀も前に描かれていながら、まるで21世紀の世界を予見していたかのような物語は、いずれも人間の身勝手な欲望や恐ろしい本性を突き、不安に満ちた現代に生きる私たちの心をつかむ。また、1話15分完結というサイズも見やすい、珠玉の少し(S)不思議(F)なドラマだ。シーズン1は、「おれ、夕子」「メフィスト惨歌」「定年退食」「テレパ椎」「昨日のおれは今日の敵」「親子とりかえばや」「流血鬼」「どことなくなんとなく」「イヤなイヤなイヤな奴」の全9作品(全11回、2作は前後編あり)。水上恒司、富田望生、堀田真由、竜星涼、西野七瀬、増田貴久、浅利陽介、飯島寛騎、竹中直人らが出演している。「藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ」シーズン1は12月10日(日)1時25分~NHK総合テレビにて再放送(9日深夜)。(シネマカフェ編集部)
2023年12月07日文:八木 奈々写真:後藤 祐樹“SF”ときいて皆さんは何を思い浮かべますか?映画でいえば“スターウォーズ”や“バック・トゥ・ザ・フューチャー”などが有名ですが、そんな圧倒的自由な非現実世界で繰り広げられるのがSFの世界の特徴です。どのストーリーも読めば読むほどに嫌でも惹き込まれてしまいます。ただ、興味はあっても小説だと最後まで読み切れるか不安で手を出せずにいるという声もよく聞きます。もったいない……。難解に思われがちなSF小説ですが、SFと一括りにいっても扱うテーマは多岐にわたり、なかには驚くほどサクッと読めるものも存在するのです。写真はイメージです。今回はSF好きな人はもちろん、初めての方にもおすすめのSF小説をより手に取りやすい“短編集”に絞ってご紹介させていただきます。まとまった読書時間がとれない人や集中して読むのが苦手な人でも短編集であれば気兼ねなく物語に浸ることができるはずです。1.星新一『ボッコちゃん』日本のSF作家の第一人者でもある、星新一のショートショート集。なんと作者自らが選んだ50もの作品がこの一冊に集約されています。荒んだ人間社会への皮肉や教訓、起こり得そうな未来にゾクッとしたり……かと思えばクスッと笑えたり。50年以上も前に書かれた作品とは思えない世界観と、想像できそうでできない結末に何度でも搔き乱されたくなります。一作一作の物語はかなり短いにも関わらず、展開が二転三転するスピード感とそのオチを理解した後にもう一度読まずにはいられなくなる表現力の高さに気づけたのは大人になってからでした。星新一、恐るべし。2.キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』韓国人SF作家の初短編集。本作はコミュニケーションを主題に、コールドスリープやファーストコンタクト等SFの定番ネタを盛り込んで紡がれていきます。SF要素が強いのに不思議と物語に住む人たちは現在の私達とそれほど心持ちは違わず、親しみやすいのが印象的です。そう、なんといいますか、SF小説を読んでいたつもりが、いつのまにかどうしようもない現実に目を向けてしまっているような……一度読んだら癖になる面白い読書体験でした。もしこの物語の結末にあなたの心が動いたとしたら、現代で自分がすべきことは何か、“片手間に”考えてみてください。かなり引力のある作品なので読後の感情は自己責任でお願いします。3.倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』短編でも強い刺激を感じたい人におすすめの作品。正直かなり変化球でぶっ飛んでいるお話も多いですが、SF特有の独特な世界観と特異な設定は健在です。読みながらも私は今何をしているのだろう……と我に返ったり、そうかと思えば背筋を伸ばして足早に読み進めてみたり、ときに独特な表現から脳内の配線に直接触れられたような感覚に陥ります。理解が追いつかないまま進む物語が苦手な人は少し読み疲れてしまうかもしれません。でも私はこの本を手に取った自分を誇りに思います。最後に、この短編集への敬意をこめて私が読後に抱いた感情を残します。「最高の時間の無駄遣いでした」。■SFの世界を味わうならまずは短編からいかがだったでしょうか? 今回の3作品からはあえて外しましたが私は12歳の頃、日本のSF作家、“筒井康隆”さんから小説の世界にグッと魅了されました。難解なイメージをもたれがちなSF小説ですが、一度その魅力にハマると心ごと掴まれ抜け出せなくなります。まずは忙しい合間にも手軽に読める短編から、SFの世界に飛び込んでみてください。■「TheBookNook」についてこの連載は、書評でもあり、“作者”とその周辺についてお話をする隔週の連載となります。書店とも図書館とも違う、ただの本好きの素人目線でお届けする今連載。「あまり本は買わない」「最近本はご無沙汰だなあ」という人にこそぜひ覗いていただきたいと私は考えています。一冊の本から始まる「新しい物語」。「TheBookNook」は“本と人との出会いの場”であり、そんな空間と時間を提供する連載でありたいと思っています。次回からはさらに多くの本を深く紹介していきますのでお楽しみに。↓八木奈々さんご紹介作品の購入はこちらから↓
2023年10月20日実写ドラマ「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」のシーズン2が、来春に放送されることが決定した。「オバケのQ太郎(共著)」「パーマン」「キテレツ大百科」「エスパー魔美」など児童漫画の名作の数々を送り出す一方、大人をドキッとさせる刺激的でシュールな味わいのある「SF短編漫画」をもライフワークとし、110を超える名作を残した藤子・F・不二雄。4月から放送された本シリーズでは、そんなSF短編漫画の中から、「おれ、夕子」「メフィスト惨歌」「定年退食」「親子とりかえばや」「流血鬼」など計10作を12回(2作は前編後編あり)にわたって実写ドラマ化した。今回放送が決定したシーズン2では、8作品を放送する予定。そのうち、4作品を発表。「アン子 大いに怒る」不思議な能力をもった少女が家族の危機を救う「アン子 大いに怒る」、老人が謎の巨大な「鉄人」の主になる一晩の物語「鉄人をひろったよ」、浪人生が宇宙人からのとんでもない要求に振り回される「いけにえ」、タイムマシンを作ることに血道を上げる男と友人の物語「あいつのタイムマシン」。いずれもコミカルでありながら、時に人間の身勝手な欲望や恐ろしい本性を突くドキッとさせる物語で、意外な結末が待ち受けている。「いけにえ」また、6月にBSプレミアム、BS4Kにて放送された「どことなくなんとなく」、「イヤなイヤなイヤな奴(前編後編)」が、NHK総合・夜ドラで放送が決定した。「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」シーズン2は2024年春、NHKBS・BSP4Kにて放送予定。「藤子・F・不二雄SF短編ドラマ」シーズン1「どことなくなんとなく」は12月11日(月)22時45分~、「イヤなイヤなイヤな奴 前後編」は12月13日(水)前編、14日(木)後編22時45分~NHK総合にて放送。(シネマカフェ編集部)
2023年10月04日初心者にもおすすめ!想像力を刺激する「時空系エンタメ」をご紹介。時空モノ、つまりSFは、本から摂取するとなると、ハードルの高さを感じてしまう人もいるのでは?そこで「時空系エンタメ 小説編」は、SFファンはもちろん初心者にも親しみやすいラインナップに。アンソロジーやロマンスは、始めの一歩にぴったり。声優であり、日本SF作家クラブ前会長でもある池澤春菜さん。時空系入門編としてもおすすめの小説を紹介してもらうと、「“時空”で括ると膨大な作品数があるので、まずは“時間”で絞りましょう。そして入門編には、複数の作品が一冊にまとまっているアンソロジーが読みやすいと思います。1編が短く、すぐに読み切ることができ、合わなければ次にいくこともできるので。また、タイムトラベルは、ロマンスと相性がいいという側面もあります。『ロマンティック時間SF』というサブジャンルがあるほどなので、そういった恋心をくすぐるような作品から入るのも一手では」時空系エンタメの中でも、小説が映画やアニメと決定的に違うのは、ビジュアルがないところ。「そのぶん、より大きな世界を描けるのが、小説の魅力だと思います。読者も頭の中で、イメージをどんどん膨らませることができる。一番遠くまで連れてってくれるメディアが小説かもしれません」『夏への扉〔新版〕』ロバート・A・ハインライン 著福島正実 訳ハヤカワ文庫SF 924円タイムトラベル小説の王道。猫好きの人はなおさら必読。時間を行き来する小説を読むならまずはこれ、といわれるほど、SFファンに愛されている王道かつ不朽の名作。発明家のダンは親友と恋人に裏切られ、ある思惑から愛猫のピートと冷凍睡眠につくことを思いつくが…。「タイムトラベル小説の中には、科学性が強く難解なものもありますが、これは人間同士のドラマなど情緒的な物語がメインなので、普段SFを読まれない方もなじみやすいはず。それでいて、時間の移動により、元の世界の自分をいかに救うかなど、時空モノ特有の魅力も詰まっている。そして何より猫ちゃんがかわいいので、猫派にはたまらないのでは」『金色昔日【こんじきせきじつ】―現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ 編中原尚哉ほか 訳ハヤカワ文庫SF 1518円超大作『三体』にいく前に短編ではずみをつけよう。SFになじみはなくても、世界中で大ベストセラーとなっている中国の小説『三体』のタイトルを、聞いたことがある人は多いはず。「時空モノとしても『三体』は最高峰ですが、かなりの長編なので、入門編としてはハードルが高いかも。そこでおすすめしたいのが、『三体』の著者である劉慈欣(リュウ・ジキン)の短編『月の光』も収録された、現代中国SFアンソロジー。『月の光』は、ある男が未来の自分からかかってきた電話の指示に従い、未来を変えようとする物語。読者を思いがけないところまでぶっ飛ばしてくれる、劉慈欣作品の爽快感の一端が体感できます」『時間SF傑作選ここがウィネトカなら、きみはジュディ』大森 望 編テッド・チャン、クリストファー・プリーストほか 著ハヤカワ文庫SF 1034円本格的なハードSFの名手も耽美な切り口で軽やかに。SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーという、タイムトラベル小説における選りすぐり間違いなしの一冊。「私がおすすめしたいのは、テッド・チャンの『商人と錬金術師の門』。彼はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画『メッセージ』の原作となった小説『あなたの人生の物語』の著者で、バリバリのエンジニア系のハードSFを書くことで知られています。そんな中でも『商人と錬金術師の門』は、アラビアンナイトの世界を舞台にしたロマンティックな物語。もちろん現代物理学に矛盾なく、タイムトラベルの醍醐味を軽やかに味わえます」『時の娘ロマンティック時間SF傑作選』ジャック・フィニイ、ロバート・F・ヤングほか 著中村 融 編創元SF文庫 1012円時間SF×ロマンティックの相性のよさが堪能できる。時間SFにロマンスが掛け合わさった小説の傑作選。このジャンルの名手であるジャック・フィニイやロバート・F・ヤングなどの、9編の短編が収録されている。「この中でとくに読んでもらいたいのは、やはりロバート・F・ヤング。『時が新しかったころ』という、恐竜の調査をするため白亜紀にタイムトリップをした男性の物語です。そこで彼は、その時代にいるはずのない人間の男の子と女の子に出会って…。これがどこでロマンティックに繋がるかというところが、この作品のキモ。最後に大どんでん返しがあり、それに気づいた時に“キュン”となります」『タイム・リーパー』大原まり子 著ハヤカワ文庫JA 847円(電子書籍版)空飛ぶ車あり、超能力あり。“未来”の2018年へトリップ。1988年、銀行員の徹は、恋人の目の前で交通事故に遭い、目覚めるとそこは30年後の2018年で…。「2023年の今となっては、2018年は過去の世界。でも、作品の中では、車が空を飛び、機械の体が無限のパワーを持ち、超能力が一般化している。それだけにとどまらず、世界はさらに広がり、複雑で美しい構成を見せます。一方で、時を超え、不可能を可能にすることができても、どうしても変えられないものがある。だからこそ愛おしいものは何か、読みながら考えてみてほしい。大原まり子さんはこうした世界観を、大胆かつ繊細に描くところが魅力です」時間旅行者(タイムトラベラー)の系譜『紅玉(ルビー)は終わりにして始まり』ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 1078円胸キュン満載で乙女心がジェットコースター状態!グウェンドリンは、ロンドンのハイスクールに通う女の子。タイムトラベラーの遺伝子を持つ一族に生まれたが、その能力がいつ開花してもいいように準備にいそしんでいたのは、いとこのシャーロット。ところが、何の準備もしていないグウェンドリンのほうが、過去に飛ばされてしまい…。「基本的にはヤングアダルトなので、キュンキュンする展開が満載です。飛ばされた先でギデオンという美男子に出会いますが、自信過剰で第一印象は最悪。そこから少しずつ恋心が芽生え…。三部作、全4巻の中で、謎あり、ロマンスあり、冒険活劇あり。とても楽しい作品です」『青玉は光り輝く』ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 1210円『比類なき翠玉』(上・下)ケルスティン・ギア 著遠山明子 訳創元推理文庫 各968円『時の町の伝説』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 著田中薫子 訳徳間書店 1870円人違いされた少女の運命は?広げた風呂敷の畳み方が見事。主人公は11歳のヴィヴィアン。1939年、彼女は疎開列車に乗っていたが、「時の町」の破滅を招くという伝説の女性「時の奥方」と間違われて、不思議な少年にさらわれてしまう。「作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズは非常に優れた児童文学作家で、日本では『ハウルの動く城』の原作者というとわかる人も多いのでは。本作の舞台となる『時の町』には、甲冑姿の人や未来人など、いろんな時の人が存在します。そこで秘密をめぐるドタバタなどが巻き起こり、こんなに風呂敷を広げて大丈夫!?と思いきや、きれいに畳んでくれるところが気持ちいい。一気読み必至です」『ドゥームズデイ・ブック』(上・下)コニー・ウィリス 著大森 望 訳ハヤカワ文庫SF 各1210円過去の世界でウイルスに感染!無事、現代に戻れるのか…。オックスフォード大学史学部の学生キヴリンは、実習の一環として念願の14世紀にタイムスリップ。しかしそこは、疫病が蔓延するなどイギリス史の中でも最も危険とされる時代。彼女は到着と同時に、病に倒れてしまう。「コニー・ウィリスの作品は、時間を行ったり来たりするドタバタが多いのですが、本作はわりと深刻。『ドゥームズデイ』とは、『最後の審判の日』という意味です。ウイルスに感染したキヴリンは現代に戻ろうとするものの、そちらでもトラブルがあり、戻るに戻れない。コロナ禍を経験した今読むと、その緊迫感が一層身に染みるのではないでしょうか」池澤春菜さん声優。代表作は『ONE PIECE』のケイミー、『ふたりはプリキュア』のポルンなど。読書家としても知られる。著書に『SFのSは、ステキのS+』(早川書房)。※『anan』2023年10月4日号より。取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年09月30日空想の世界を描く、サイエンスフィクション(以下、SF)映画に心躍らせたことがある人は多いのではないでしょうか。宇宙や近未来などを題材にしている映画は、日常とはまったく違う世界観が描かれていて、ワクワクするものです。そんな中、X(Twitter)に投稿された1枚の写真が「とてつもないSF感」と話題になっています。こちらをご覧ください。「写真を撮る瞬間にブレて、なんか『エラいこと』になりました」こうコメントしたのは、車が趣味だというHitoki(@FZR400RR3TJ1)さん。愛車の写真を撮ろうとしたところ、手元がブレてしまい、このような仕上がりになったといいます。ビームのように上へと伸びる、LEDヘッドライトの光。宇宙船のようにも見えるスポーツカーの形状が、いっそう『それっぽさ』を引き立てていますね…!Hitokiさん自身も「どうやって撮ったのかを、ちゃんと分かっていない」という、再現性ほぼゼロな『奇跡の1枚』には、たくさんのコメントが寄せられました。・撮ろうと思っても、なかなかここまでうまくはいかない。かっこよくて、面白い写真!・まるで、サイバーパンクの世界。何か転送されている…?・ゲームのプレイ画面をスクリーンショットしたのかと思った。これ、絶対にUFOがロックオンしているやつだ!・映画『トランスフォーマー』シリーズのキャラクターみたいに、この後、人型に変形しそう。多くの人々の好奇心をくすぐった、Hitokiさんの写真。SFの世界は、実は思ったよりも身近にあるかもしれませんね…![文・構成/grape編集部]
2023年09月28日10月7日(土) よりWOWOWで日本初放送・配信されるドラマ『SF超大作「三体」』の予告映像が公開された。『三体』は、“SF界のノーベル文学賞”といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞し、世界累計発行部数2,900万部を突破したSF小説を原作とした実写ドラマ。2023年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信されると、配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった。物語の始まりは、相次ぐ科学者たちの自殺。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼されたナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、科学境界の“主”を探るべく、警官・史強(シー・チアン)とともに異星が舞台のVRゲーム『三体』の世界に入る――。公開された60秒の映像は、最新技術を駆使して作り上げられたハイクオリティな映像と、壮大なスケールで描かれる本作の世界感が垣間見える内容となっている。『SF超大作「三体」』予告映像<番組情報>『SF超大作「三体」』10月~WOWOWで放送・配信予定『SF超大作「三体」』キービジュアル【ラインナップ】第1話~第10話:10月7日(土)・8日(日) 放送・配信予定(第1話無料放送/期間限定無料配信)第11話~第20話:11月放送・配信予定第21話~第30話:12月放送・配信予定詳細はこちら: TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD
2023年09月07日読書家であり、これまでに数々のSF小説を読んできたというティモンディの前田裕太さん。世界中で一大ムーブメントを起こし、Netflixでの実写化も話題の『三体』をはじめとするSF小説の魅力を語ってくれました。理論に基づいた現実にありそうな物語が好き。――最初に触れたSF作品は何でしたか?筒井康隆先生の『時をかける少女』です。先にアニメを見ていたのですが、僕が好きな『現代語裏辞典』を書いている人が原作者なんだと知り、興味が湧いて読みました。すると、科学的な裏付けや人間ドラマが熱く描かれていて楽しくて。それが高校3年生くらいの時でした。――前田さんが思うSF作品の魅力とはどんなものでしょうか。幼少期には『ハリー・ポッター』や『バーティミアス』などファンタジー作品を読んでいたんですけど、SF作品は、“F=フィクション”に“S=サイエンス”がついているように、理論や理屈があって作られた“本当にあるかもしれない”と思わせてくれるストーリーが面白いです。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界が近づいてきた時に似たワクワク感があるというか。しかも、毎年、さまざまなSF作品が発表されますから、“ようやくあの作品の世界に現実が近づいてきた”と思っていた矢先に、さらに想像を超えた新しいアイデアで描かれた作品が登場するから、結局、いつまでも追いつけない。追いかけても手に入らない好きな人、みたいな魅力もあります(笑)。――近年、中国の作家・劉慈欣の手がけた『三体』シリーズが、世界で大きな話題になっています。バラク・オバマ元米大統領がスピーチで『三体』の話をしているのを聞いて読んでみたら、とんでもなかったです。まさに、出合えて嬉しい作品ですね。『三体』は3部作で、1部が『三体』、2部が『三体II 黒暗森林』、3部が『三体III 死神永生』となっています。それぞれに異なるSFのいいところがグッと色濃く出ていて。1部は歴史を絡めた少し難解な部分があり、2部と3部に関しては、SF要素と、激しいバトルシーンが登場するなどエンターテインメント性が増していきます。1部を読んだ後に、これを超える作品はあるのだろうかと思っていたら、2部で軽く超え、さらに3部でも超えていったので恐ろしいなと思いました。3部の途中からうれションが止まらなくなり(笑)、読み終わった後は30分くらい放心状態になって現実に戻ってこられませんでした。人間の脳みそが、ここまで面白くて楽しいものを考えつくんだなと。想像を裏切るとかではなく、誰も想像のつかない展開が繰り広げられる。つまり、全読者が1000%裏切られるし、リアリティゆえのゾッとする感じも体験できる。エンターテインメント性の高いSF作品の中でもトップクラスに面白いです。世界中のファンたちがこぞって二次創作をしていますが、作品の余白の部分を自分なりに想像して楽しめる、“はかどる”作品でもあると思います。二次創作が熱いというのは、元の作品が最高だという証拠でもありますから。『三体』の出版社が、二次創作作品の中から「これは公式と言っていい」というものにお墨付きを与え、『三体X 観想之宙』として出版しているのも面白いです。――日本でここまで人気になった理由は何だと考えますか?作者の劉慈欣先生は、検閲のために日本の作品を読むことが難しかった時代が終わったタイミングで、小松左京先生の『日本沈没』や、星新一先生の作品に触れ、日本にこんなに面白い作品があるんだと思ったそうで。『三体』の源流を辿ると、日本のSF作品にインスピレーションを受けた部分があることは間違いないとも公言しています。だから日本人は、『三体』で描かれているものに馴染みがないわけではなく、作中で起こる突飛な出来事に対しても、“意味がわからない”で終わらない何かがあると思います。日本のSF黄金世代の源流を濃縮し、劉慈欣先生の味付けをした、エンターテインメントの原液みたいなものが『三体』ではないでしょうか。――内容や言葉が難解で、途中で止まっているという人も少なくありません。前田さんはどのようにして読んでいったのでしょう?結構、いろいろな部分を読み飛ばしながら読みましたね。科学的な部分は本当に何を言っているかわからないところも多く、最初は理解しようと頑張って調べたりもしましたが、個人的には“調べたとて…”くらいだったんです。何度も繰り返し読んでいますが、ちゃんと理解している理論は2割くらいしかないし、それでもめちゃくちゃ楽しめます。難解な部分は、物語の展開に根拠や裏付けがあるよ、適当なことを言っているわけじゃないよ、と伝える時間だと考えています。思っているよりも適当に読んでいいと思いますよ。翻訳をしている大森望先生ですら、「読み飛ばしてますよ」と言っていますから(笑)。登場人物たちの名前も難しいと感じるかもしれませんが、極論を言うと、物語が壮大すぎて一回しか名前の出てこない人もたくさんいます。そういう人は“誰だっけ?”のままでよく、“よく出てくるな”という人だけ覚えておけばいいのかなと。本に主要人物の名前が書かれた小さな冊子が付いているので、気になった人がいたらそれを見れば大丈夫。“地球の歴史で考えたら一人一人の名前なんて覚えられない”くらいの気持ちでいてください(笑)。――ついに実写化もされます。こんな面白い発想や壮大な世界が実写映像化できるのか、どのように描くんだろうか、と思いました。世界中に多くのファンがいるということはプレッシャーもすごいでしょうし、制作側の腕も試されるでしょうし。でも、SF小説を実写化した作品を見ると、本では難解で不明瞭だった描写が、映像で見るとすぐにわかることも多くて。たとえば、「重力に耐えるために接合部分がどうのこうの~」みたいな表現が、映像では部品を映して終わりとか。『三体』も、小説では“わかる人にはわかる”だった部分を、視覚表現によってみんなが理解できるものにしてくれそうだという期待があります。100%、楽しみです!『三体』アジア初のヒューゴー賞受賞作。文化革命で父を亡くし、人類に絶望した女性科学者の葉文潔は、宇宙に向けて電波を発信、それが惑星「三体」の異星人に届く。すると彼らは地球への侵略活動を開始、とんでもない災厄に襲われることになる。『三体II 黒暗森林』『三体III 死神永生』と続く3部作。実写版がNetflixで来年1月から配信予定。劉慈欣 著立原透耶 監修大森望、光吉さくら、ワン・チャイ 訳早川書房まえだ・ゆうた1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。芸人。『ハレバレティモンディ』(札幌テレビ)、『天才てれびくん』(NHK Eテレ)、ラジオ『ティモンディの決起集会』(FM愛媛)などにレギュラー出演中。エッセイの連載も。※『anan』2023年8月30日号より。写真・小笠原真紀取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年08月27日「SF界のノーベル文学賞」といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞した世界的大ベストセラー「三体」が映像化、超大作SFドラマをWOWOWで日本独占初放送・配信する。2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者ワン・ミャオは、突然訪ねてきた警官シー・チアンによって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺、そして知り合いの女性物理学者の死を知らされたワン・ミャオ。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム「三体」の世界に入るが、そこにはある秘密が…。SF超大作ドラマ「三体」は、2023年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信。配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった作品。脚本執筆に4年、撮影に126日間、最新の映像技術を駆使して映像化不可能ともいわれた原作の世界観を忠実に再現した驚異的なクオリティーに、視聴者からは絶賛の声があがった。謎が謎を呼ぶ予想のつかないサスペンス展開と、人類に迫り来る巨大な危機に立ち向かう重厚な人間ドラマも見どころとなっている。SF超大作「三体」は10月7日(土)・8日(日)に第1~10話、11月に第11~20話、12月に第21~30話とWOWOWにて3か月連続放送・配信(第1話無料放送/期間限定無料配信)。(シネマカフェ編集部)
2023年08月17日『SF超大作「三体」』が、10月から12月にかけてWOWOWで日本初放送・配信されることが決定した。『三体』は、“SF界のノーベル文学賞”といわれるヒューゴー賞の長編部門をアジア圏作品として初受賞し、世界累計発行部数2,900万部を突破したSF小説を原作とした実写ドラマ。2023 年1月に中国の配信プラットフォーム“テンセントビデオ”で配信された作品で、配信開始1時間で話題性の高さを表わす“熱度指数”が同プラットフォーム史上最速で2万超えを記録し、“ホットランキング”でも30日連続でランキング1位を独占。さらに評価参加数が過去最高となる220万を突破し、記録的ヒットとなった。2007年、北京オリンピック開催間近の中国。ナノ素材(マテリアル)の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、突然訪ねてきた警官・史強(シー・チアン)によって正体不明の秘密会議に招集される。そこで世界各地で相次ぐ科学者の自殺、そして知り合いの女性物理学者の死を知らされた汪淼。一連の自殺の陰に潜む学術組織“科学境界(フロンティア)”への潜入を依頼された彼は、科学境界の“主”を探るべく、史強とともに異星が舞台のVRゲーム『三体』の世界に入るが、そこにはある秘密が隠されていた――。WOWOWでは10月に第1話から第10話、11月に第11話から第20話、12月に第21話から第30話が放送予定。併せて特報映像が公開された。『SF超大作「三体」』特報映像<番組情報>『SF超大作「三体」』10月~WOWOWで放送・配信予定『SF超大作「三体」』ビジュアル【ラインナップ】第1話~第10話:10月7日(土)・8日(日) 放送・配信予定(第1話無料放送/期間限定無料配信)第11話~第20話:11月放送・配信予定第21話~第30話:12月放送・配信予定詳細はこちら: TECHNOLOGY BEIJING CO., LTD
2023年08月17日『スパイの妻』の黒沢清監督が描く、ホラーでもSF でもない、全く新しいジャンルの映画『チャイム』の制作が決定。今作は、Web3時代のメディア配信プラットフォーム・Roadsteadにて2024年の独占販売を予定している。ある料理スクールで、男性生徒の田代を教える松岡。田代が突然、何かの声が聞こえると言い出す。料理教室でも、田代は少し変だと言われているが、松岡は気にしない。しかし翌日、田代は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し…。『CURE キュア』(1997)で世界的な注目を集めて以降、『トウキョウソナタ』(2008)で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞、『岸辺の旅』(2015)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞、『スパイの妻』(2019)で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢監督。最新作について、「これは見た人があ然となり、見終わった後に恐怖が強く残ることを狙った作品です。通常の物語で必要とされていることは一切説明されません。また、ホラーとかサスペンスといったジャンルにも当てはまりません。狂った映画、世にも異様な映画、それが今回の作品の狙いなのです」と、気にならずにはいられないコメントを寄せている。(シネマカフェ編集部)
2023年07月10日パンデミックが起きる前に制作されていたにもかかわらず、「まるで映画が現実になったようだ」と世界に衝撃を与えている話題作がいよいよ日本でも公開。今回は、ブラジルから届いた驚きの映画をご紹介します。『ピンク・クラウド』【映画、ときどき私】 vol. 551ジョヴァナとヤーゴは一夜の関係のつもりで過ごしていると、けたたましい警報に襲われる。その原因は、突如として世界中に発生した正体不明のピンクの雲。それは「ピンク・クラウド」と呼ばれ、10秒間で人を死に至らしめる毒性の雲だという。緊急事態によって外出制限が設けられ、人々の生活は一変する。家族や友人とオンラインで連絡は取れるものの、いつ終わるかわからない“監禁生活”によって状況は悪いほうへと傾き始めていた。そんななか、ジョヴァナとヤーゴも現実的な役割を果たすことを迫られ、子どもを持つことになる。しかし、ジョヴァナのなかで生じた歪みが徐々に大きくなろうとしていた……。2017年に脚本が執筆され、パンデミック以前の2019年に撮影したという本作。そうとは思えないほど私たちが経験してきた出来事が数多く描かれていると大きな反響を呼んでいますが、今回はこちらの方にお話をうかがってきました。イウリ・ジェルバーゼ監督本作で念願の長編デビューを果たし、ブラジルの新鋭として注目を集めているジェルバーゼ監督。そこで、物語が誕生した背景や映画と現実が重なったときの心境、そしてキャラクターを通して女性たちに伝えたい思いなどについて語っていただきました。―非現実的なロックダウン下で共同生活をする2人のキャラクターを描きたかったということですが、その理由から教えてください。監督まずは、「作品のなかに制限を設けたい」というのが最初にありました。それを実現させるために考えたのは、登場人物の数を少なくし、舞台はずっと同じ場所にすること。さらに“強制された結婚”にすることを思いつきました。「現代的かつシュールな状況での強制的な結婚とは何か?」と考えたときに、一夜限りの関係だった相手と予期せぬ出来事によって一緒にいなければいけなくなるという設定が浮かんできたのです。―“強制された結婚”というテーマに興味を持ったのはなぜですか?監督それは、自由について考えたかったからだと思います。自由といっても、人によってさまざまなカタチや意味がありますよね。たとえば、ジョヴァナはこの男性と結婚したかったわけではないし、子どももほしくはなかったのにピンク・クラウドが出てきたことによって、社会が女性に求めるステップを踏まざるを得なくなってしまいます。特に、結婚や出産、キャリアということに関しては本人の意思が尊重されるべきなのに、周囲が「しなさい」と言うのは女性にとっては社会的圧力になるのではないかなと。そんなふうに、女性は多くのプレッシャーを与えられている傾向にあるように感じています。女性たちは社会的な女性の規範に囚われている―それはありますね。劇中では、その圧力を意味するものとして描かれているのが雲ですが、通常だと脅威の対象は人に恐怖を感じさせるようなもので描かれることが多いなか、それとは真逆のイメージがある雲を選ぶというのは珍しいのではないかなと。監督まずは、「科学的に解決できそうなリアルな設定にしたくなかった」というのも理由の一つ。そのために、雲が10秒で人を殺してしまうというシュールでよくわからない要素が必要だったのです。そうすることによって、観客は「なぜ雲があるのか?」ということを意識しなくなり、キャラクターにフォーカスできると思ったからです。あと、ブラジルは夕焼けが有名なので、本作に登場するような色の雲はよくあるんですよ。そういったことも理由だったのか、初めから私の頭の中にはずっとピンク色の雲があったように思います。色にもこだわっていたので、VFXアーティストの方には、「まったく危険を感じないような美しくてソフトなピンクにしてほしい」とお願いしました。―ピンクという色にも監督なりの思いが込められているとか。監督ほかの国もそうかもしれませんが、ブラジルでは男の子がブルーで、女の子がピンクとされているので、ジョヴァナは社会的な女性の規範に囚われていることを意味しています。特に、「完璧な女性とはこういうものですよ」と見せられると、ついそれが魅力的に感じてしまいますよね?でも、その裏にある大変な部分や恐ろしいところは見せていない場合が多いだけですから。そういったこともあり、私たち女性はジョヴァナと同じように、気がつかないうちに自分の意志に反したことを“社会のピンク・クラウド”によってさせられてしまっていることもあるのです。つまり、私たちは“女性に対するプロパガンダ”につねに囲まれているとも言えるのではないでしょうか。ブラジル映画界でも、女性監督の意見が通るのは難しい―なるほど。ちなみに、ブラジルの映画界でも女性監督ならではの苦労などを感じていることもありますか?監督そうですね。素晴らしい女性監督もどんどん出始めていますが、まだまだ男性監督のほうが多いので、自分の意見を聞いてもらうことが難しいという場面はよくあります。実は、今回の映画を作る過程でも、監督である私の声に男性たちが耳を傾けてくれないことがあったくらいです。―自身の監督作でさえも起きているとは……。そういった状況に陥ったとき、意識していることがあれば教えてください。監督すでに何名かの男性には伝えましたが、「あなたは私の話をいつも遮っていることに気がついていますか?」と言うようにしています。とはいえ、これはお互いに良い関係にある状態であれば問題ないですが、敵対関係にある人や目上の人であれば言い方に気をつけないと大変なことになります。ただ、そういう状況に追い込まれてしまっているのであれば、相手に気を遣いながら「私の話を聞いてください」と伝えることは大切なことです。ほかの女性たちも、そういうことが言えるようになったらいいなと思っています。―その通りですね。また、劇中では同じ状況下でもジョヴァナとヤーゴは正反対の反応を見せています。2人のキャラクターを作り上げるうえで意識したことはありましたか?監督すべての男性とすべての女性が2人と同じようになるという意味ではなく、あくまでも自分の経験から分析して作りました。私からすると、女性のほうが求めることが多く、男性のほうがその場の状況になんとなく適応してしまうような気がしています。そういったことを踏まえて、ジョヴァナが息苦しさを感じているいっぽうで、ヤーゴは「むしろ雲があってハッピー」みたいな感じにしました。実際、カップルのケンカでも「まあいいんじゃない?」と言う男性に対して、「きちんと解決しなければいけない」と考える女性のほうが多いのではないかなと。全員とは言いませんが、そういう傾向にあるように感じていたので、それを基にキャラクターを設定していきました。SFとして作ったものが現実となり、奇妙な感覚だった―そのあたりは、鑑賞後に男女で話し合ってみるのもおもしろいかもしれませんね。本作は現在のコロナ禍を予期していた作品としても話題になっていますが、観客の反応はいかがでしたか?監督実は、私はみなさんがどんな反応をするのかに関して、上映前はすごく神経質になっていました。特に、私がこの状況を利用して利益を得ているように思われたくなかったからです。そんななか、初めてお披露目したのは2021年のサンダンス映画祭のとき。上映後には多くの人が「最初はどう感じるかわからなかったけど、自分でも理解できなかったパンデミック中の気持ちがわかるようになった」といったポジティブな反響があったので、すごくうれしかったです。―とはいえ、自分が書いた映画がどんどん現実とリンクしていく様子を目の当たりにしたときはどのような心境だったのでしょうか。監督すごく心配しました。もちろん、世界中の方が心配したと思いますが、私にとってはもう一つレイヤーがかかっているような感覚だったかなと。というのも、私は自分の作った映画のなかに生きているような気がしていたというか、SFとして作った物語が現実になってしまってすごく奇妙な気分でした。それは私だけでなく、本作に関わる俳優たちやスタッフたちも同じで、みんな信じられない気持ちだったと思います。初めは1か月くらいでパンデミックが収まると考えていたので、「私たちはこの作品でリハーサルしたようなもんだよね」と冗談を言っていましたが、そんな状況ではないとわかって本気で心配になったほどです。誰もが自分らしく生きたいともがいている―編集中にパンデミックを経験したということですが、実際に映画と同じような状況になってからご自身や作品に影響を与えたことはありましたか?監督以前から撮影以外は自宅で脚本を書く生活をしているのであまり変化はありませんでしたが、とはいえ「人生は本当に予期できないものだ」と感じました。そしてこういった奇妙な状況でさえも、人は適応していかなければいけないのだなと。あとは、友達に会ったり、パーティをしたりといった当たり前のことに対して感謝するようにもなりました。意外かもしれませんが、作品に関して変更したのは1点のみ。雲が発生しているのはブラジルだけという設定を世界中で起きていることにしたという部分です。それ以外は変えていないので、これだけ似ていることはクレイジーなことだなと思いました。―確かに驚きですね。では、日本についておうかがいしますが、どういった印象をお持ちですか?監督日本は行きたい国リストのトップに入れているのですが、ブラジルからあまりにも遠いので、残念ながらまだ行ったことはありません。日本に興味を持っている理由としては、いろんなことがブラジルとはあまりにも違うから。ブラジル人はうるさくて大げさですけど、日本の方はデリケートな印象です。あとは、静かな田舎とテクノロジーが発展している都会がどのようにミックスされ、バランスを取っているのかも見てみたいなと。食べ物やアートワークも魅力的なので、そういったものも気になっています。―それでは最後に、ジョヴァナのように仕事や恋愛に悩む日本の女性たちにもメッセージをお願いします。監督周りの人たちを喜ばせなきゃいけないとか、完璧な女性に見られたいとか、いろんなプレッシャーがあるかもしれません。でも、ジョヴァナという女性を通して、「自分らしく生きようともがいているのは自分だけじゃない」というのを感じてもらえたらうれしいです。他人を満足させるためではなく、自分なりの幸せや自由について考えるきっかけにこの作品がなったらいいなと思っています。抑えていた欲望が込み上げる!コロナ禍で女性たちが抱いてきた生きづらさや葛藤を描き、まるで自分の姿を見ているかのような錯覚に陥る本作。この状況のなかでどう生きていくべきか、自身のこれからを考え直す意味でもいま観ておきたい1本です。取材、文・志村昌美胸がざわつく予告編はこちら!作品情報『ピンク・クラウド』1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開配給:サンリスフィルム️© 2020 Prana Filmes
2023年01月26日ミーガン・フォックスが『Subservience』に主演することになった。SFスリラーで、監督はS・K・デール。家事を助けるために購入されたAI(フォックス)が意識を持ち出し、持ち主(ミケーレ・モローネ)を危険に晒すという物語らしい。撮影は年明けに始まる。フォックスは今年日本公開された『ティル・デス』でもデイルと組んだ。次回作は来年公開予定の『エクスペンダブルズ4』。文=猿渡由紀
2022年12月22日『ドラえもん』や『キテレツ大百科』などで知られる藤子・F・不二雄が多くの大人ファンを魅了した「SF短編シリーズ」の原画展、『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』が、10月22日(土)より、藤子・F・不二雄ミュージアムにて開催される。夢あふれる児童まんがをライフワークとしていた藤子・F・不二雄は、『ドラえもん』の連載が始まる前年の1969年、児童まんがのタッチはほとんど変えず、大人向けに『ミノタウロスの皿』を発表。この作品は多くの読者に衝撃を与え、その後、藤子・F・不二雄のSF読み切りまんがが様々な雑誌で発表されるようになった。のちに藤子・F・不二雄が『ドラえもん』や『キテレツ大百科』などを連載する傍ら描いたこれらの作品群は、「SF短編シリーズ」として主に大人のファンから大人気となった。本原画展では、その「SF短編シリーズ」のまんが原画を、かつてない規模で特集する。「SF」という呼び名について、藤子・F・不二雄は、“僕にとっての「SF」は、サイエンス・フィクションではなくて、「少し不思議な物語」のSとFなのです。”(1989年 藤子不二雄ランド『少年SF短篇』2巻(中央公論社))と語っている。「SF短編シリーズ」の作品はどれも、児童まんがで培った親しみやすい絵柄と読みやすいコマ運びで描かれる物語で、読み切りの短編作品でありながら、読者に深い印象を残す。また、執筆当時のシリアスな社会問題をテーマにした作品は、不思議と今の時代にも通じる普遍性も兼ね備えているのも特徴的だ。さらに、作品によって時折変化する絵のタッチも見どころのひとつとなっている。『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』を通して、児童まんがからイメージする藤子・F・不二雄とは異なる、彼の意外な一面を発見してみてはどうだろうか。また、本原画展の開催を記念し、ミュージアムショップやミュージアムカフェでは、第1期の展示作品を中心に新商品や新メニューも展開される予定となっている。【開催概要】『藤子・F・不二雄のSF短編原画展―Sukoshi・Fushigiワールドへの招待―』会期:2022年10月22日(土)~2023年10月中旬(予定)開催場所:展示室II(藤子・F・不二雄ミュージアム 2F)※会期を3回に分けて、約4か月ごとに、展示原画を入替予定。※入館は日時指定による事前予約制です。※入館チケットは全国のローソンでお買い求めください。藤子・F・不二雄ミュージアム公式サイト:
2022年10月11日人気K-POPグループ「SF9」のチャニ&フィヨン主演で贈る胸キュンラブコメディ「MIRACLE/ミラクル」から、恋のライバル同士を熱演したチャニ&フィヨンとヒロインを演じたカン・ミナよりコメント映像が到着した。本作は、“激推しのアイドル”VS“幼なじみの男友達”がヒロインをめぐって三角関係になる胸キュンラブコメディ。ソリンは“推し”のルイスのためにオタ活に励む日々を送りながらアイドルを夢みていた。そんな彼女をずっとそばで見守りながら想いを寄せてきた“幼なじみ”のシウ。その後、猛特訓の末に人気アイドルとなったシウはルイスとコラボすることに。そして事務所の社員として働くソリンはルイスのマネジャーに抜擢され、ルイスから理不尽な無理難題を押しつけられてしまう。一方、ルイスはある事件をきっかけに孤立無援となってしまうが、ソリンと過ごすうちにソリンに対する気持ちに変化が訪れる。そんなルイスの変化に気がついたシウは、心がざわついて…。映像では、同じグループのメンバーながら本作では恋のライバル同士を演じたチャニとフィヨンが、そしてカン・ミナと日本語で挨拶。チャニの「僕たちが出演する『MIRACLE/ミラクル』のDVDが発売されます」に続き、「愛と友情を描いた胸キュンラブコメディです」とフィヨンが見どころをアピールする。最後はカン・ミナの「ぜひご覧ください」に合わせ、3人とも爽やかな笑顔でポーズを決めている。「MIRACLE/ミラクル」は10月5日(水)よりDVD発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2022年09月30日K-POP9人組ダンスボーイズグループとしてのアーティスト活動をはじめ、最近ではロウン(「恋慕」)をはじめメンバー個人での活躍にも注目が集まっている「SF9」。中でも俳優として活躍を見せるチャニとフィヨンが共演を果たし、恋のライバル同士を熱演した「MIRACLE/ミラクル」のDVDが10月5日(水)よりリリース決定。そのメイキングの一部が公開された。放送当時の非地上波チャンネル歴代最高視聴率を記録した「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」や、ASTROチャウヌ主演「女神降臨」など大人気ドラマに出演し、子役から活躍してきた演技力が高く評価されているチャニと、映画化もされたドラマ「トッコ・ビンはアップデート中」では主演を務め、俳優としても精力的に活動しているフィヨンが、本作で恋のライバル役を熱演。普段、グループ内ではマンネ(末っ子)ラインとして非常に仲の良い2人が、ヒロインのソリンに思いを寄せる世界的アーティストのルイス(チャニ)と幼少期からの幼なじみであるシウ(フィヨン)をそれぞれ演じている。そんな2人からアプローチされるヒロイン役には、「女神降臨」「遠見には緑の春」などへの出演を果たした人気上昇中のカン・ミナ。芸能界を舞台にスターになることを夢みる男女が、恋や友情に悩みながらも奮闘する姿を描いたラブコメディとなる本作。ヒロインのソリンは心から愛する“推し”のルイスのためにオタ活に励む日々を送りながらアイドルを夢みていた。そんな彼女をずっとそばで見守りながら想いを寄せてきた“幼なじみ”のシウ。その後、猛特訓の末に人気アイドルとなったシウだが、突然ルイスとのコラボが決まり…。そんな中、事務所の社員として働くソリンはどういうわけかルイスのマネジャーに抜擢され、ルイスから理不尽な無理難題を押し付けられてしまう。一方、ルイスはある事件をきっかけに孤立無援となってしまうが、ソリンと過ごすうちにソリンに対する気持ちに変化が訪れる。そんなルイスの変化に気がついたシウは、心がざわついて…。本作は、「梨泰院クラス」「SKY キャッスル~上流階級の妻たち~」「夫婦の世界」など、多くの大ヒットドラマを輩出してきた韓国のSLLの作品。「コンビニのセッピョル」のソン・グンジュが脚本を担当し、「サーチ~運命の分岐点~」のミョン・ヒョンウが演出を手掛けた、日韓共同製作のドラマ。今回解禁となったのはDVD-BOX1に収録される特典映像より、撮影の裏側を楽しめる、メイキングの一部。公開された映像は、世界的に活躍するスーパースター・ルイス(チャニ)の推し活をしながらアイドルになることを夢みるソリン(カン・ミナ)が、ルイス本人だと気づかずに、ルイスのダンスを踊ってみせるシーンのメイキングからスタート。ルイス役のチャニとソリン役のカン・ミナと監督が集まり、何やら相談中。どうやらルイスとソリンが一緒に踊ることになっていたようだが、監督から「ソリンが上手に踊って2人で合わせるより、ルイスが教えてあげるのがいいと思う」と提案。「実際におかしい部分を直してあげて」という監督の指示に、真剣にうなずくチャニ。踊りに自信のないカン・ミナは「(おかしい部分は)最初から最後まで全部よ」とケラケラ笑い、和ませる。ほかにも、ソリンの幼なじみで人気アイドルグループ“n&s”のメンバーとなったシウ(フィヨン)とルイスが初対面し、ルイスの発言に機制を制する爆笑シーンのメイキングも見どころ。恋のライバル同士となるチャニとフィヨンが急接近する場面も。“激推しのアイドル”と“幼なじみの男友達”との間で三角関係が勃発する、胸キュン間違いなしの1作となっている。「MIRACLE/ミラクル」は10月5日(水)よりDVD発売&レンタル開始。(text:cinemacafe.net)
2022年09月16日全米ベストセラーの青春SFグラフィックノベルを初実写化したドラマシリーズ「ペーパーガールズ」がPrime Videoで独占配信されることが決定。キーアートと場面写真が解禁された。物語の舞台は1988年のオハイオ州クリーブランド。そこに住む4人の12歳の少女たちは、通う学校や家族構成などは違うものの、4人共通して新聞の配達をしていた。ハロウィーンの次の日の朝、いつものように早朝に新聞配達をしていると、突然タイムトラベラーたちの争いに巻き込まれ、少女たちの人生は永遠に変えられてしまう。空にピンクに光る雷のようなものを目撃した次の瞬間、4人の少女たちは2019年に飛ばされ、未来の「大人になった自分」と遭遇する。12歳で想像していた理想の自分とはだいぶかけ離れてはいたものの、少女たちは徐々に現実の姿を受け入れていきながら、1988年に戻る方法を模索していく。しかし、権力を独占し続けるためにタイムトラベルを禁止しているタイムトラベラーの過激派から少女たちは狙われることになり、少女たちはこの危機を打破するために、一致団結して戦わなければならない。ルーツも全く異なる4人の少女はお互いを信頼し、無事に1988年に戻ることができるのか…?原作は「サーガ」や「Y:ザ・ラスト・マン」シリーズで知られるブライアン・K・ヴォーンが手掛けるアメリカで大ヒットしたグラフィックノベル。また、今シリーズではエグゼクティブプロデューサーも務める。シーズン1のディレクターには「SUPERGIRL/スーパーガール」など数々のドラマシリーズを担当しているメアジー・アルマス、ミュージックビデオやドラマの監督で今後が期待されるゲオルギ・バンクス・デイビーズやイギリスでドラマ監督として活躍しているデスティニー・エカラガ、そして「LOST」や「シカゴ・ファイア」で数々のエピソードを担当したカレン・ガヴィオラなどドラマ業界で活躍するベテランから新進気鋭のクリエーターまでが集結した。メインの4人の少女を演じるのは、ハリウッドで期待されている超若手スターたち。ゲームが大好きでトランシーバーが手放せない少女ティファニー役は、『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)に出演のカムリン・ジョーンズ。オークランドに引っ越してきたばかりの少女エリン役に、犯罪系ドラマシリーズ「オルタード・カーボン」のライリー・ライ・ネレット。地域で初めて少女で新聞配達を始めたマック役には、コメディドラマ「ファスト・レイン」でもお馴染みのソフィア・ロジンスキー。そして「LAW&ORDER:性犯罪特捜班」などのドラマシリーズにも出演経験があるフィナ・ストラッツァは頭脳も運動神経も抜群のKJ役を演じる。今回公開されたキーアートと場面写真では、少女4人がタイムトラベルに遭遇するまでの出来事や4人の出会い、実際に未来に行って戸惑う様子などが切り取られている。新ヒロインの誕生を期待させる本作。夏の暑さを吹き飛ばせること間違いなしのミステリー/SFジュブナイル最新作に注目が集まる。「ペーパーガールズ」(全8話)は7月29日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信開始予定。(text:cinemacafe.net)
2022年07月27日世界で初めて作られたSF映画は、いまから120年前のジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(1902)。その後、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968)を皮切りに、それまでB級と称されていた“SF映画”というジャンルは飛躍的な発展を遂げ、いまやSF映画は主流のジャンルの1つとなった。様々な舞台が設定されるが、今回は孤立無援での宇宙空間によって緊張感がいっそうみなぎるSF映画からおすすめの3作品をご紹介。『ヴォイジャー』タイ・シェリダンら新世代キャストが集結地球温暖化による飢饉が人類を襲い、科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。そして2063年、その可能性を秘めた惑星を発見し、探査隊を派遣することになる。その探索隊の乗組員は30人の子どもたち。航行にかかる期間は86年。子どもたちは船内で成長して子孫を残し、目的の惑星に到達するのは彼らの孫の世代。そして10年後、クリストファー(タイ・シェリダン)とザック(フィン・ホワイトヘッド)は、彼らが毎日飲むように指示されている薬によって人間としての欲望が抑制されていることを知る。そして、反発した乗員たちは本能の赴くままに行動するようになり、ある事件をきっかけに船内の統制が崩壊していくーー。惑星移住ミッションに挑む若者たちの狂乱を描いた、『ダイバージェント』『リミットレス』のニール・バーガー監督と豪華キャスト陣が放つSF超大作。宇宙空間にたった1人…『ゼロ・グラビティ』(2013年公開)医療技師としてスペースシャトルで宇宙へ向かうライアン(サンドラ・ブロック)。彼女とシャリフは機体の修理を行い、2人の傍らでは船外活動ユニットのテストをマット(ジョージ・クルーニー)が行っていた。そんな時、管制から膨大な量の宇宙ゴミが高速で接近しているため、機内に戻れという指示が出る。ライアンらは作業を中断して機内に戻ろうとするが間に合わず、機体の主翼に宇宙ゴミが激突してしまう。さらに、シャリフは顔面に宇宙ゴミが貫通して即死。ライアンとマットは宇宙空間に投げ出される。的確な指示を出し、機体に近づこうとするマット。対照的にライアンは、酸素が急激になくなっていく恐怖からパニック状態になってしまう――。アルフォンソ・キュアロンの監督賞ほかアカデミー賞7部門を受賞。SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』(1968年公開)400万年前、まだ猿人が暮らしていたころ、ある集落に突然石板・モノリスが現れた。そして選ばれし1匹の猿人がモノリスに触れると、その猿人は突然拾った骨で狩りを始め、肉を食べ始める。その猿人は知能を受け取ったのだった。そして時は21世紀。猿人は人間へと進化し、月旅行へ行くことも可能になった世界。ヘイウッド・フロイド博士らはモノリスの調査団として月面クラビウス基地へと向かう。目的地に到着した調査団はそこでモノリスに対面する。しかし、思い切って触れた瞬間モノリスは突然強烈なシグナルを発し――。『ヴォイジャー』は3月25日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ゼロ・グラビティ 2013年12月13日より全国にて公開© 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.ヴォイジャー 2022年3月25日よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年03月04日『ダイバージェント』監督と若手注目俳優豪華共演のSF大作『ヴォイジャー』より、場面写真が解禁となった。本作は、『レディ・プレイヤー1』に主演して注目を集めたタイ・シェリダン、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・デップ、『ダンケルク』で新人ながらメインキャストに抜擢されたフィオン・ホワイトヘッドら才能溢れる若手俳優たちが共演するSF映画。宇宙船に乗り惑星探査へと向かった子どもたちが成長し、閉ざされた空間で本能に目覚め、狂乱に巻き込まれていく姿を描く。演技派俳優コリン・ファレルが子どもたちを見守る指揮官として出演、監督は『ダイバージェント』のニール・バーガーが務めた。この度解禁された場面写真では、クリストファー(タイ・シェリダン)と、セラ(リリー=ローズ・デップ)が宇宙船内で何かを相談する様子や、クリストファーとザック(フィオン・ホワイトヘッド)が誰もいない船内でモニターを見つめる様子、訓練中の30人の子どもたちの前に立つ防護服を着たリチャード(コリン・ファレル)の姿などが切り取られている。整頓された無機質な宇宙船の中で、一生を過ごすことを余儀なくされた子どもたちの本能が目覚めたとき、閉ざされた宇宙船の空間では何が起きるのか。孤立無援の宇宙船を襲うものとは一体…?少年が武器を構える緊迫のシーンも写し出され、本編のスリリングな物語を予感させる場面写真となっている。抑圧された環境で育った子どもたちの行く末を描くSF作品である本作。閉ざされた宇宙船内で起こる衝撃の展開に注目したい。『ヴォイジャー』は3月25日(金)よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヴォイジャー 2022年3月25日よりグランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開Ⓒ 2020 VOYAGERS FINANCING AND DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2022年02月25日亡き親友のメッセージを頼りに、たった一人で世界を救おうとする若い女性を描いたユニークなSF青春映画『スターフィッシュ』が、3月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開が決定した。親友グレイスを失ったオーブリー。悲しみに耐えきれず、グレイスの家に忍び込む彼女だったが、翌朝目覚めると、人々の姿が忽然と消え、見慣れた街は怪物が闊歩する異様な世界に変貌していた。わずかな手がかりは、トランシーバーから漏れ聞こえる男の声。そして、グレイスが遺した1本のカセットテープ。街のいたるところに隠されたテープを集めて信号を解読すれば、世界が救える。親友が遺した謎のメッセージを信じて、オーブリーは決死の覚悟で扉を開けて外へ飛び出していく――。『スターフィッシュ』予告編2018年に製作され、同年アメリカで公開された本作。しかし、キャストの知名度や突飛な内容が影響してか、日本未公開になる可能性が高かった。だが、その質の高さが徐々に浸透し、1月の「未体験ゾーンの映画たち2022」にて限定上映されると、映画ファンが殺到した。SNSで賛否両論を巻き起こし話題となった本作が、今回ついに、正式に劇場公開が決定。親友の遺したメッセージを胸に立ち上がるオーブリー役には、「ランナウェイズ」『ハロウィン』で注目されるヴァージニア・ガードナー。ミュージシャンとしても活動するA.T.ホワイトが監督を務め、幻想的な映像美とグロテスクな造形、アニメーションまで大胆にミックスし、彼女の複雑な心象風景を映像化した。そして、もうひとつの主役と言えるのが、テープに収録された音楽。アイスランドのポストロックバンド「シガーロス」をはじめ、「スパークルホース」、「グランダディ」などの楽曲が、オーブリーの心の声を物語っていく。『スターフィッシュ』は3月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:スターフィッシュ 2022年3月12日よりシアター・イメージフォーラムにて公開©2018 Starfish Productions,LLC. All Rights Reserved.
2022年02月06日『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞4冠に輝き、新作を切望されているポン・ジュノ監督が、ワーナーのSF映画で監督、脚本、製作を担当することが決まったという。主演候補にはロバート・パティンソンが挙がっており、現在交渉中とのこと。「The Wrap」などが報じた。タイトル未定の本作は、まもなく出版されるエドワード・アシュトンの小説「Mickey7」が原作で、「アンディ・ウィアーの『火星の人』とブレイク・クラウチの『ダーク・マター』を足して2で割ったような作品」とのこと。死の危険性がある仕事のためにデザインされた、消耗品かつ使い捨てのクローン人間の物語で、主人公は危険な未開の地を開拓するべく調査に派遣されているミッキー7。すでに6回の“死”を経験し、記憶は彼らから引き継がれて“再生”され再び仕事に就くが、ある日ミッキー7は行方不明となり、死んだとみなされる。しかし、ミッキー7は死んでいなかった。彼は基地に生還すると、ミッキー8が仕事をしているのを見て…。ツイッターには「原作小説さえまだ発売されていないのに、すでに楽しみ」「ポン・ジュノ監督とロバート・パティンソンの組み合わせが最高」「ジュノ監督のことは信頼しているからね!」と期待の声が多数寄せられている。(Hiromi Kaku)
2022年01月20日“SFアクションの金字塔”と呼ばれ、世界中を熱狂の渦に巻きこんだ『マトリックス』シリーズ。謎に包まれている18年ぶりの最新作『マトリックス レザレクションズ』が、いよいよ公開を迎えます。そこで、本シリーズを知り尽くしているこちらの方にお話をうかがってきました。声優の小山力也さん【映画、ときどき私】 vol. 437シリーズ1作目からキアヌ・リーブス演じる主人公ネオの日本語吹き替えを担当している小山さん。『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーや『名探偵コナン』の毛利小五郎など、幅広いキャラクターを演じていることでも知られている小山さんに、第一線で活躍し続ける秘訣や『マトリックス』の魅力などについて、語っていただきました。―ネオを演じるのは久しぶりとなりましたが、また演じてみていかがでしたか?小山さんリハーサルをしているうちに昔のことを思い出し、感慨深いものがありました。『マトリックス』といえば、僕にとっては劇場映画の吹き替えで最初の大役。いままでいろんな役をやらせていただいていますが、そういったこともあってネオについては鮮明に覚えているので、感覚を取り戻すのに時間はかかりませんでした。―小山さんにとって、ネオは演じやすいキャラクターですか?それとも苦労されることのほうが多いのでしょうか。小山さん1作目のときは、吹き替えの経験が浅かった時代で、僕自身がまだ新しい世界に戸惑っているところがありました。でも、そのなかでもいろいろなことを吸収したいという気持ちが『マトリックス』の世界に戸惑いながら成長するネオと重なる部分があったので、そういう意味では演じやすかったのかもしれませんね。ただ、キアヌさんといえば、ピュアでかっこよくて、エネルギーがあり、それでいてお芝居も洗練されている方なので、一番意識しているのは、そういう彼の良さを決して汚さないこと。そのために、息つぎのタイミングや表情の出し方というのは、確認するようにしています。キアヌさんは、吹き替えていて楽しい存在―最新作では、経験を重ねたからこそできたこともあったと思いますが。小山さんそうですね。僕とキアヌさんは同世代で、お互いに歳を取りましたが、今回の彼は歳を重ねたからこその良さがでていて、とても素敵だなと思いました。僕としては昔よりもいろいろな方法論や技術が増えたので、それを応用することができたのはよかったかなと。特に、日本語と英語では語順が違うので、英語のセンテンスの並びに合わせながら日本語の感情を出すように工夫しています。―小山さんから見たキアヌさんの魅力とは、どんなところですか?小山さんストイックに減量してヒーローを演じたと思ったら、オフでは無精ひげでちょっとぽっちゃりしてしまうところとか、二枚目なのに気取っていないところがいいですよね。純粋で子ども心を持っている方なんだろうなと思っています。そういう部分も、ネオとリンクしているのかもしれないですね。工夫しなければいけないことは多いですが、僕にとってキアヌさんは吹き替えていても楽しい存在。自分と役の気持ちをうまく膨らませて演じていらっしゃるので、僕はキアヌさんの遊び心を自分なりに想像しながら演じるようにしています。20年以上経っても、あのときの気持ちは忘れたくない―新作のなかで吹き替えていて楽しかったシーンと難しかったシーンについて教えてください。小山さん楽しかったのは、やっぱりトリニティーと久しぶりに会話できたこと。演じているキャリー=アン・モスさんも大人の魅力が増していてとても素敵だったので、思わずこちらまでドキドキしてしまいました(笑)。自分が相手をしていただいているつもりで演じられたのは、うれしかったです。難しかったのは、非常に凝っている特撮やグラフィックのディテールをつかまなければならなかったこと。そういう部分を想像しながら演じるのは、苦労したところです。―ちなみに、過去の作品のなかで忘れられないシーンもありますか?小山さん人の頭の後ろに装置が付けられていて、そこに長い鉄の棒がグサッと刺さるシーンを最初に見たときはやっぱり驚きましたね。あの場面はいまでも怖いですし、1作目はいま観ても新しいと感じます。―確かに、色褪せない魅力がありますよね。ご自身のキャリアにおいて、『マトリックス』シリーズとの出会いはどのようなものになりましたか?小山さん僕はドラマ『ER緊急救命室』で初めて吹き替えをやらせていただいたばかりだったので、そのときはまだド素人。にもかかわらず、なぜか『マトリックス』ほどの大作に主役で声をかけていただいたので、「本当に自分でいいのかな?」という戸惑いと喜びの両方がありました。あの気持ちは20年以上経っても忘れられないですし、これからもそのときの初心は持ち続けていきたいです。あとは、映画の反響が大きかったこともあり、日本語の吹き替えに受け継がれてきた伝統や先人たちの足跡、世界でどういった評価をされているのかも知ることができたので、そこで得たものは、今後も大切にしたいと思っています。ルーティンをなくすことで、プレッシャーが減った―そこから長年にわたって、第一線を走り続けていらっしゃいますが、ご自身で秘訣を挙げるとすればどんなことがありますか?小山さん先ほどの話とつながりますが、作品を汚さないことです。スタッフやキャストをはじめ、あらゆる才能が集まり、お互いの技術を切磋琢磨し合うことで素晴らしい作品が完成しているので、僕がそれをおとしめてはいけない、という意識はつねに持っています。―では、現場で欠かさずされていることは何かありますか?小山さん昔はいろんなルーティンがありましたが、フィギュアスケート羽生結弦選手が「一切のルーティンをなくしました」と話しているのを聞いて、実は僕もすべてなくすことにしたんです(笑)。不安も多少ありますが、いろいろなことの時間を節約できるようになり、楽になりました。あとは、よく見て、よく聞くことですね。―以前は、どのようなルーティンをされていたのでしょうか。小山さん直前に見直したり、準備運動したり、決まったペンを使うとか、そういったことですね。もちろん、見直す必要があるときもありますが、決めてしまうことで「これをしなかったから今日はうまくいかないんじゃないか」というプレッシャーになるのはよくないといまは思っています。ただ、イチローさんが現役時代にたくさんのルーティンを持っていたというのを聞いて、それもまた超一流の証明なんだなと。もちろんそこはイチローさんの素晴らしいところでもありますが、それを捨ててかかる羽生さんもすごいなと感じたので、僕も一旦なくすことにしました。忖度なしで励ましてくれる周りに支えられている―どちらも深いですね。今回、タイトルの「レザレクションズ」は「復活」という意味ですが、いま小山さんが復活させたいことはありますか?小山さんここ最近は、コロナや地震などで大変な思いをされた方が多いと思うので、できればいろいろな命を復活させたいです。科学の進歩とともに、助かる命が増えてほしいと願っています。―本当にその通りですね。劇中ではネオもさまざまなピンチを迎えますが、小山さんにとって声優人生で一番ピンチだったことといえば?小山さんコンディションを崩してしまって声が出なくなったり、求められているものができなかったりしたことは何度かあり、そのときはつらかったです。―苦しい時期や悩みは、どのようにして乗り越えていらっしゃるのでしょうか。小山さん自分が信頼している人や心を許せる人から励ましてもらうと、それが一番の力にはなりますね。たとえば、身内が「私がついているから大丈夫だよ」と声をかけてくれたり、先輩が「気にすることないよ。今日がダメでもまた今度ね」みたいに言ってくださったりとか、さりげない言葉でもこの人に言ってもらえたから助かった、ということはたくさんありました。そんなふうに、何の忖度もなく励ましてくれる周りの方には本当に感謝しているので、その気持ちは忘れたくないですし、きれいごとではなく、僕自身も誰かを励ませられる存在になりたいと思っています。日本語の吹き替えで作品をおもしろくしたい―これまでかなり幅広いキャラクターの声を演じていらっしゃいますが、今後挑戦してみたい役はありますか?小山さんどんな役かというよりも、歴史に残るような素晴らしい俳優さんや心から感銘を受ける作品に関わっていけたらいいなと思っています。あとは、どんな作品でも、「日本語の吹き替えでおもしろくするぞ!」という意気込みはあるので、1本でも多くの作品に携わりたいです。―ちなみに、ネオ以外にも実は『マトリックス』シリーズで演じてみたいキャラクターがあれば、教えてください。小山さん今回で言うなら、役名は伏せますが、一番の悪役でしょうか。ベラベラとしゃべっているところが少しコメディチックでもあったので、トライしてみたいなと思いました。―それでは最後に、公開を待っている観客へ向けて、見どころや注目のシーンを教えてください。小山さんいまではVRやAIが当たり前のように現実に入ってきているので、以前よりも人間が人工知能に負けてしまうのではないかといった恐怖や『マトリックス』の世界もリアルに感じられるかもしれません。そんななかで、この作品では人と人のつながりが復活する様子や前に進むために必要なことなどが大事に描かれているので、人間ドラマとしても考えさせられるはずです。SFとして楽しめるのはもちろんですが、そういった部分を自分に置き換えながら観ていただけたらうれしいなと思っています。インタビューを終えてみて……。『マトリックス』シリーズへの思い入れの強さはもちろんですが、どの作品に対しても深い敬意を払っていらっしゃるのが伝わってくる小山さん。忘れずに持ち続けている初心や仕事への向き合い方など、非常に興味深いお話を聞かせていただきました。ぜひ、本作に込められた小山さんの思いを感じながら、ネオに注目してみてください。興奮と覚醒が止まらない!さらなる進化とともに復活を遂げ、まさに新章の幕開けにふさわしい『マトリックス レザレクションズ』。アドレナリン全開の刺激的な映像と予想を上回る展開で、見たことのない世界へと一気に引き込まれること間違いなし。圧倒的な没入感は、ぜひスクリーンで体感してみて!写真・安田光優(小山力也)取材、文・志村昌美ストーリーもし世界がまだ仮想世界=マトリックスに支配されていたとしたら?ネオは、最近自分の生きている世界の違和感に気づき始めていた。 やがて覚醒したネオは、マトリックスに囚われているトリニティーを救うため、何十億もの人類を救うため、マトリックスとの新たな戦いに身を投じていく。衝撃が止まらない予告編はこちら!作品情報『マトリックス レザレクションズ』12月17日(金)より全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画©2021 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.写真・安田光優(小山力也)
2021年12月16日A24がSF冒険コメディ『Everything Everywhere All at Once』(原題)の予告編を公開した。映画ファンから「こういう映画を待っていた!」「今年最もよかった予告編」「ミシェルの才能が生かされた映画」など、高評価を受けている。主演は、『グリーン・デスティニー』『クレイジー・リッチ!』のミシェル・ヨー。税金を払い終える目処が立たずに疲れ切っている、移民の中国系アメリカ人イヴリンを演じている。予告編の冒頭では、そのお金の支払いについて辛口で容赦ない、役所らしきスタッフを演じるジェイミー・リー・カーティスが登場。厳しいことを言われてイヴリンが落胆していると、突然周りの光景が変わり、別世界に引き込まれ、「何が起きているの?」と困惑する。物語が展開するにつれ、イヴリンは、世界は一つだけ存在するのではなく多数あり(マルチバース)、イヴリンという人物もそれぞれの世界にいることを知る。イヴリンはそれぞれの世界の「自分」の記憶や感情にアクセスができ、彼女たちの技術――たとえばカンフーなども自分のものとして使うことができるのだ。複数の世界に存在する“邪悪なもの”を退治するには、イヴリンが必要だとして、ほかの世界から助けを求められる。予告編で、ミシェルが様々なイヴリンを演じている姿は圧巻。監督は『スイス・アーミー・マン』のダニエル・シャイナート&ダニエル・クワン。全米公開は2022年3月25日。(Hiromi Kaku)
2021年12月15日製作・配給会社のA24が、ミシェル・ヨー主演のSF冒険コメディ『Everything Everywhere All at Once』(原題)を海外向けにセールス中だ。アメリカでは2022年春に公開予定。「Deadline」が報じた。『Everything Everywhere All at Once』の製作が発表されたのは2018年8月で、当初はミシェルとともにオークワフィナ(『フェアウェル』)がメインキャストとして出演する予定だった。しかし製作に遅れが出たことで、オークワフィナは2020年1月に離脱。代わりにステファニー・スー(「マーベラス・ミセス・メイゼル」)がキャスティングされた。ほかにジェームズ・ホン(『カンフー・パンダ』)、ジョナサン・キー(『グーニーズ』)、ジェイミー・リー・カーティス(『ハロウィン KILLS』)らが出演している。ミシェルの役どころは中国系移民であり、唯一世界を救うことができる人物で、そのために別世界を探検することになるという。監督・脚本は、『スイス・アーミー・マン』でもA24とタッグを組んだ「ダニエルズ」ことダニエル・シャイナート&ダニエル・クワンのコンビ。アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟(『アベンジャーズ』シリーズ)が製作陣に名を連ねている。製作費にはA24の作品としては高額となる2500万ドル(約28億5000万円)規模の予算がかけられている。(Hiromi Kaku)
2021年10月27日主人公が時空を超えて旅をしたり、宇宙人や“人ならざる者”と恋に落ちたりと、特殊で刺激的な設定が物語の魅力となるSFドラマシリーズ。こうした非日常の世界にはなかなか入り込みづらいものだが、しっかりとした人物設定や背景、ストーリーラインを盛り込んだ脚本や、撮影、美術、衣装、音楽などに十分な説得力があれば話は別。一度ガッと心をつかまれたら、荒唐無稽な突拍子もない世界であってもすんなりと受け入れていくことができる。見始めたらいつのまにかハマっている、そんなドラマシリーズに注目してみた。あの「トッケビ」もSF!?引き込ませるのが巧い韓国ドラマ「ホテルデルーナ」いわゆるSFジャンルは“女性向け”ではない、と一体誰が決めつけたのだろう。いま熱い注目を集める韓国ドラマにおいて、こうした作風はラブストーリーに限らずいくらでもある。例えば、コン・ユ主演の大ヒット作「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」(2016-2017)は900年前の英雄だったキム・シン(コン・ユ)が“不滅の命”を生きる“トッケビ”(朝鮮半島に伝わる精霊、妖怪のようなもの)となってしまう話。“不滅の命”を終わらせることができる“トッケビの花嫁”ウンタク(キム・ゴウン)と、矛盾をはらんだ切ない恋を繰り広げる。壮大なロケーションも相まって、時を超えて生き続けるトッケビの儚い神秘性はコン・ユにぴったりで、死神(イ・ドンウク)との長身コンビも話題となった。記憶に新しいところでは、「ザ・キング:永遠の君主」(2020)はパラレルワールドが舞台。異なる2つの並行世界の主人公、皇帝イ・ゴン(イ・ミンホ)と女性刑事チョン・テウル(こちらも演じるのはキム・ゴウン)との時空を超えた恋が話題を読んだ。脚本のキム・ウンスクは「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」ほか「太陽の末裔Love Under The Sun」「青い海の伝説」などのヒット作で知られるベテランで、脚本の練り込まれ方は流石といえる。「星から来たあなた」(2013-2014)は、「サイコだけど大丈夫」キム・スヒョンが、朝鮮時代から現代まで400年にわたり地球で暮らしている、ほかの“星から来た”異星人ミンジュンを演じるラブコメディ。ミンジュンの視力や聴力は地球人の7倍、時を止める能力や物を動かせるテレキネシスを持ち、言うなれば“スーパーマン”のようなもの。3か月後に故郷の星に帰ろうとしていた彼は、人気が傾きかけたトップ女優ソンイ(チョン・ジヒョン)と運命的に出会う。キム・スヒョンは、感情を抑えた“ツンデレ”な異星人の演技でアジア中を夢中にさせた。人気ジャンルである“タイムスリップ”ものの「ナイン~9回の時間旅行~」や、ウェブ漫画の中の世界と現実を行き来する「W-君と僕の世界-」のソン・ジェジョン脚本による中世の雰囲気たっぷり「アルハンブラ宮殿の思い出」(2018)は、ヒョンビンとパク・シネが共演。スペインのグラナダやハンガリーのブダペストなどヨーロッパを舞台に、韓国初のAR(拡張現実)ゲームの中に入り込むドラマを創り上げた。SFやファンタジーの世界観をより確かなものにするためには、こうした人気実力派キャスト陣の存在感やVFXを多用してもブレない演技力が不可欠。ほかにも、SFと相性がいいと思われる俳優の1人にヨ・ジングがいる。子役から活躍しており、安定感はお墨付き。グローバルガールズグループ・デビュープロジェクト「Girls Planet 999:少女祭典」で「プラネットマスター」と呼ばれるMCを務めていることでも話題だが、「スタートアップ:夢の扉」ではAIであるヨンシルの声を務め、日本の漫画原作の「絶対彼氏。」では恋愛用ロボットにも。「サークル ~繋がった二つの世界~」は2017年と2037年、2つの世界が舞台となっていた。特に、アメリカでのリメイクやミュージカル化が決定している「ホテルデルーナ」(2019)では、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」など俳優としてもすばらしい活躍を見せる歌手のIUと共演。幽霊だけが泊まれるホテルのオーナーとホテリエとして、様々な人間ドラマの間に思いを通わせていった。IU演じるマンウォルは1300年以上も生き続けている、不可思議な存在。その自由自在に変わる衣装、ホテルのセットなども優美で、ファンタジック×時々ホラーなのも見どころだ。また、JTBC10周年特別ドラマとして壮大なスケールで描かれた「シーシュポス:The Myth」(2021)は、チョ・スンウ演じる天才工学者ハン・テスルの発明した装置で、荒廃した未来の韓国からパク・シネ演じるソヘがやってくるSFアクションエンターテイメント。次はどんな展開が待っているのか、“未来が読めない”状態でハラハラする。天才工学者テスルの軽妙さは“アイアンマン”のトニー・スタークを彷彿とさせ、ソへは“ブラック・ウィドウ”のごとく謎を抱えたクールなファイターで、「BTS」ファンのARMYでもある。非現実的な世界だからこそ、女性たちが大活躍できる点もSFの魅力。高校の保健教師が“人には見えないものが見える”能力で秘密や謎を解き明かしていく「保健教師アン・ウニョン」(2020)は、チョン・セランによる人気小説が原作で主演は『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョン・ユミ、監督はイ・ギョンミと女性キャスト&スタッフたちが中心となり、見るも愉快でユニークなSFファンタジー学園ドラマを誕生させている。韓国ドラマでは、SFの世界でも女性たちが力強い。それに、緻密に組み立てられたストーリーにおいて具体的な設定を説明できたり、丁寧な人物描写ができたりと、1本あたり16話~20話ほどある韓国ドラマゆえの“時間”もプラスに働いているといえるだろう。TVシリーズだからこそ貫ける“自由度”と“探求心”「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン1SFやファンタジー、ホラーといったジャンル系に際立った強みを見せるのは、Netflixオリジナルシリーズだ。なかでも1980年代アメリカの小さな町ホーキンスを舞台にした「ストレンジャー・シングス 未知の世界」(2016-)は、世界的ヒットを記録し大きなムーブメントを巻き起こしたNetflixを代表する作品。イレブン役でブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンは、いまや次世代を代表するアイコンであり、アクティビストでもある。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3オタクの仲良し少年4人組の1人、ウィルの失踪事件を巡り、家族や友人、地元警察が不可解な事件に巻き込まれていく本作。マイク役のフィン・ヴォルフハルトが出演した『IT/イット』シリーズをはじめとしたスティーヴン・キングや、『E.T.』『未知との遭遇』『グーニーズ』などスティーヴン・スピルバーグからの影響が色濃く遊び心満載で、シーズンを重ねるごとにスケールが拡大しながら、身近で起きているSF現象をきっかけに個々の体験や過去が浮き彫りになっていく人間ドラマが面白い。クリエイターのダファー兄弟がスピルバーグとタッグを組み、キングの小説「タリスマン」をNetflixでドラマ化するのも楽しみだ。また、無数のラインナップの中から“さて、どれを見たらいいだろう?”と迷ったら、イギリス発の1話完結アンソロジーシリーズ「ブラック・ミラー」(2011-)がオススメ。疑いもせず受け入れてきたテクノロジーにより、あらゆる面で変化した現実の社会と地続きとなる様々な世界の歪み、人間の不安感や強迫観念などをサスペンスフルに描いていく。現在シーズン5まで、各3~6話、視聴者が物語を選択して結末が変わるインタラクティブ映画『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』も配信中だが、1話完結であるため、気になったエピソードから自由に見ることができる。『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』日常の延長線上で十分あり得る話なのが、『ジュラシック・ワールド』ブライス・ダラス・ハワード主演、シーズン3の第1話「ランク社会」で、SNSでの印象評価ですべてがランク付けされる社会が舞台。『アベンジャーズ』シリーズのヘイリー・アトウェル&『スター・ウォーズ』シリーズのドーナル・グリーソンによるシーズン2第1話「ずっと側にいて」や、「ロキ」ググ・バサ=ロー&『ターミネーター:ニュー・フェイト』マッケンジー・デイヴィスによるシーズン3第4話「サン・ジュニペロ」などは愛する者の生死とSFの世界が交わっていく必見作。「サン・ジュニペロ」に続いてエミー賞で評価されたシーズン4の第1話「宇宙船カリスター号」は、現実世界では蔑ろにされているゲーム開発者(ジェシー・プレモンス)が自分の作ったゲームの世界では鬱憤を晴らすかのように傍若無人になる。女性スタッフ(クリスティン・ミリオティ)を中心とした彼への反撃は、#MeToo運動と重なるものでもあった。スマートフォンやタブレットをロックしたあの黒い画面が“ブラック・ミラー”となって、私たちの“近い未来の姿”を映し出しているわけだ。ポン・ジュノ監督による映画版をジェニファー・コネリーとダヴィード・ディグス(「ブラインドスポッティング」)でドラマ化、「オーファン・ブラック 暴走遺伝子」の脚本家がクリエイターを担当し、ポン・ジュノ監督も製作総指揮に名を連ねる「スノーピアサー」(2020-)も、もしかしたらいまの地球の行く末かもしれない。「スノーピアサー」シーズン2さらに、異世界でありながら現実の行く先を思わせるこうした作品にこなれてきたなら、打ち切り反対運動が巻き起こるほどの熱狂者を生みだした『マトリックス』ウォシャウスキー姉妹による「Sense8/センス8」(2015-2018)や、気鋭クリエイター ブリット・マーリングによる未完の「The OA」(2016-2019)などにも手を伸ばしてみてほしい。「ウエストワールド」シーズン3ヒュー・ジャックマン主演『レミニセンス』を生みだしたリサ・ジョイ監督の「ウエストワールド」(2016-/U-NEXT配信)や、マーガレット・アトウッドのベストセラーをドラマ化した「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」(2017-/Hulu配信)などにおいても、女性クリエイターとともに女性キャラクターたちの奮起とその強さを目の当たりにできる。“女性はSFに疎い”と一体誰が言い出したのだろう?現在支持されている作品の多くはこうした女性たちがいたからこそ、心奪われる世界を私たちに見せてくれるのに。(text:Reiko Uehara)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-
2021年09月27日記憶が呼び覚ますエモーションと愛。映画『レミニセンス』のレヴューをお届けします。温暖化で都市部が水没し、貧富の差が激しくなった近未来。元軍人ニックは相棒ワッツとともに、客に記憶を追体験させるビジネスを営んでいた。ある夜、失くした鍵を探したいという女性が飛び込んでくる。メイと名乗る美女に惹かれたニックは翌日、彼女がシンガーとして働くバーを訪れる。ステージに立つメイがニックの大好きな歌「Where or When」を歌ったのは偶然、それとも運命?結ばれた二人だったが、幸せの絶頂期にメイは忽然と姿を消す。人の記憶を立体映像として再現するSF的な装置が重要な役割を果たすが、雰囲気はネオ・ノワール調。しかも物語を牽引するのが謎解きなのでミステリーに分類することもできる。しかし美しくも切ない愛を描くラブストーリーでもあり、観る人の感情をさまざまに揺さぶる作品だ。物語を展開させる謎解きは、ギャングと戦う検察の証人の登場で加速する。瀕死の男から呼び起こした記憶で、麻薬で荒稼ぎするギャング、セント・ジョーとメイが過去に関係があったことを知ったニックは、恋人の行方を知る手がかりを求めてギャングのアジトに乗り込む。命を危険に晒しながら彼女を知る人々の記憶を再現し、恋人を追跡するニックはやがてメイとの出会いが偶然ではなかったことに気づく。果たして彼女の目的は?ニックは悪女にただ利用されていただけなのか?次々に浮上する疑惑に対し、記憶映像やちょっとした思い出が答えを出していく展開は、製作者ジョナサン・ノーランと兄クリストファー・ノーラン監督の名を有名にしたサイコスリラー『メメント』を彷彿させる。実際、観る前はノーラン的なSFスリラーと思い込んでいたが、観てビックリ。語り口は実にロマンティックだし、ニックとメイの愛情描写や主要な登場人物の心理描写も繊細で、いい意味で女性的なのだ。と感じていたから、エンドクレジットでジョナサンの愛妻リサ・ジョイが監督と知って納得。愛した女性を捜して奔走するニックの姿が、ヒロインをひたむきに愛するロマンス小説のヒーロー風なのも腑に落ちた。ニック役のヒュー・ジャックマンとメイを演じるレベッカ・ファーガソンの相性がこれまた抜群で、運命の恋人にしか見えない。だからこそ二人の間にあったのが真の愛であってほしいと願わずにはいられないし、彼女を知る人間の記憶で明らかになるメイの真実に心打たれた。ハリウッドが作り上げたファム・ファタール(魔性の女)のイメージを大きく変えている。これが劇場長編デビューとなったジョイ監督は、メイやワッツ、そして終盤に登場する富豪妻といった女性キャラクターの描き方が巧みだ。どの女性も弱さと強さを併せ持ち、悲しさを胸に秘めて幸せを求める複雑なキャラクターであり、女性ならば共感できる部分が多いだろう。物語に深みを与える映像美についても触れておきたい。水没したマイアミはヴェニスのような雰囲気を醸し出し、記憶を視覚化するために新たな視覚効果技術も開発されているという。ジョイ監督と夫ジョナサンがショーランナーを務めたTVシリーズ『ウエストワールド』のチームも関わった映像美は、観る人を圧倒するはずだ。『レミニセンス』監督・脚本・製作/リサ・ジョイ出演/ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、クリフ・カーティス、ダニエル・ウーほかTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開中。©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved※『anan』2021年9月29日号より。文・山縣みどり(by anan編集部)
2021年09月26日映画とは、人間の想像力と、想像世界を具現化する技術、個性的な表現を楽しむ総合芸術。なかでも、SFというジャンルは、映像文化の発展に大きく貢献してきた。ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』や『海底2万マイル』が生まれた1900年代初頭、それを観た人々は、どれほど腰を抜かし、驚きに目を輝かせ、胸をワクワクさせたことだろう。知られざる未来のワールドや、実際には存在しない世界をリアルに写し出したいと、映像作家たちは新しい表現方法や撮影技術を用いて、映画を進化させてきたのだ。『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』シリーズなど、映像の斬新さに定評のあったSFを初めて観た時の驚きは、宝物だ。だが、発表当時、多くの映像ファンが度肝を抜かれた後に抱いた「どうやって撮ったの?」という感想は、ある意味無粋だ。名作SFは、最新技術や表現方法だけに囚われていない。それらは物語を理想的に語るためのツールでしかないのだ。興業成績だけで名を残すのではなく、名作として観客の心に残る作品には、必ずストーリーの面白さがある。『未知との遭遇』(C) APOLLOSF映画特集を組まれても、なかなか筆頭には上がらない作品の中にも、面白い映画は数多い。科学的な視点から、現代とは違う非現実世界を描くということがSFの定義であるならば、そこで描かれるストーリーは多岐にわたるのだ。宇宙人の襲来、地球滅亡、タイムマシンでの時間旅行、ロボットのいる世界だけでなく、人類が遺伝子操作される未来を描いた『ガタカ』や、人の潜在意識に入り込む『インセプション』、AIとの恋を描いた『her/世界でひとつの彼女』など、すぐにやって来そうな未来で展開する究極の人間ドラマも魅力的だ。作品の幅が広いだけに、人によって好きな作品がかなり異なるのも、このジャンルの面白いところだろう。私のお気に入りはといえば、SFコメディ『ギャラクシー・クエスト』だ。主人公は、打ち切りとなって20年近く経っていても、カルト的な人気を誇る人気TVシリーズ「ギャラクシー・クエスト」の出演俳優たち。毎年開催されるコンベンションには、コスプレした熱狂的な“クエスタリアン”が集う。一方で、出演者たちは、いつまでも役のイメージに囚われ続けることに不満を持っている。そこへ、クラトゥ星雲から来たというサーミアンと名乗るグループが会場にやって来る。宇宙で受信した“歴史的ドキュメンタリー”「ギャラクシー・クエスト」の英雄たちに、悪者エイリアンと戦うため力を貸して欲しいと訴えてきたのだ。始めは、思い込みの激しい“ファン”に困惑気味の俳優たちも、やがて彼らの話を信じざるを得なくなり、戦闘に巻き込まれていく。本作の大きな魅力は、SF作品へのオマージュを込めた傑作パロディであること。そこにひねりが加わり、冒険と感動が見事に織り混ざっていること。そして、サーミアンたちからの純粋な信頼を受けて、自尊心を失っていた落ち目の俳優たちが、自尊心を再び取り戻していくという良質な人間ドラマでもあることだ。ありえない設定の数々、とんでもない急展開の波に飲まれながら、「そんなバカな」と大笑いしているうちに出演者たちに感情移入し、涙まで流してしまう始末だ。見始めた時と、中盤、終盤での感情の振れ幅がとにかく大きく、終演後の満足感も極上だ。アラン・リックマンのありし日の勇姿が観られるのも魅力のひとつとなっている。意外な名作という意味では、『アイアン・ジャイアント』も紹介しておきたい。手書きのタッチが可愛らしいアニメーション作品なので、子供向けと思いきや、大人が観れば物語の深さを味わうことが出来るだろう。舞台は1957年のアメリカ。メイン州の田舎町で母親と暮らす少年ホーガースと、流星とともに森に突然現れた巨大なロボット、アイアン・ジャイアントとの友情物語だ。ホーガースは、心優しいジャイアントを大人の目から匿っていたのだが、政府の捜査官に見つかってしまう。やがて、攻撃を受けることで豹変するジャイアントの悲しい秘密が明らかとなり…。偏見なく素直な心で物事を見つめる子供と、すべてを厄介事だと判断する大人との違いが、色濃く描かれているこの作品。シンプルでエモーショナルな物語だが、それは観る者の年代によって、違った感動を呼ぶ多層的な映画でもある。監督が『レミーのおいしいレストラン』のブラッド・バードだと聞けばなるほどと思う人も多いだろう。「原子爆弾」がモチーフとして登場するが、それは短絡的かつ攻撃的な大人社会の欠陥、大きな過ちの象徴として描かれているあたりに、平和への祈りを感じさせる。米ソ冷戦時代という背景を意識しておくと、本作の根底にある、愚かな争いへの警鐘のようなものも感じ取れることだろう。最後におすすめしておきたいのが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』だ。英国の作家ダグラス・アダムスによる原作は、あのイーロン・マスクの愛読書でもあったという。宇宙で銀河ハイウェイのバイパスを造るにあたり、その計画地上にあった地球が破壊されるところからストーリーは始まる。英国に暮らすアーサーは、間一髪で、実は宇宙人だったという友人に助けられ、宇宙をヒッチハイクで放浪することになり…。実に英国的な、詩や紅茶、哲学にまつわるエピソードやギャグ満載で、楽しいのだが、ほとんどがばかばかしい。ある意味、最新技術の大いなる無駄遣いでできている。(失礼!)でも、これは本作を愛する私からの最大限の賛辞だ。SFにつきものの特撮では、ブルーバックやグリーンバックで、何もなく、誰も居ないのに真剣に戦ったり、笑ったりする。実にばかばかしい。でも、それでいいのだ。ばかばかしいことを本気でやる。これは創作における原点であり必要なことなのだと感じさせるのが本作なのだ。お気に入りのパートは、イギリス・ジョークにさんざんお付き合いした後の、1時間20分あたりからのくだり。惑星を制作する会社で、地球の制作を担当したビル・ナイ演じる案内役が登場するエピソードが実に独創的で楽しい。冒頭のイルカの歌は、人類の変わらぬ愚かさをおちょくっている感じがして、実はけっこう胸に刺さる。今後も、過去の作品に影響を受けた名作が、数え切れないほど登場することだろう。2021年の新作では、話の複雑さから映像化困難とされ、何度も作家たちに挑まれてきた『DUNE/デューン 砂の惑星』が気になるところだ。個人的には、デヴィッド・リンチ版、スティング出演作がなじみ深いが、新作ではティモシー・シャラメの演技に注目したい。マーベルの最強ヒーローチームの活躍を描く『エターナルズ』も、絶対に楽しめるはずという安心感と、期待を上回ってくれるはずというワクワク感で待ちきれない。監督は、マンガをはじめ日本文化をこよなく愛するクロエ・ジャオ。『ノマドランド』で米アカデミー賞監督賞を受賞した、クロエ・ジャオ監督がどう撮るかに注目が集まっている。映画好きがSF作品から目が離せないのは、人間の想像力、夢、希望がたっぷり詰まっているから。SF映画は、今も昔も驚きが詰まった宝箱なのだ。(text:June Makiguchi)
2021年09月10日クラスメイト36人が、学校ごと異次元に漂流する。“令和の『漂流教室』”ともいえるアニメ『Sonny Boy』が放送中。監督・脚本は『ワンパンマン』などの人気作で期待を集める夏目真悟さん。自身でも「自分の全部、空っぽになるくらい詰め込んで作った」という本作。モノローグは一切なし、そして第1話ではBGMを使わない、勇気ある演出が話題になった。夏目監督に直撃すると「まさに“勇気がいる”っていうのが的確な表現ですね」と一言。中高生と、中高生だった全ての人に送る青春SFアニメ。「登場人物に心情を説明させず、起きた現象を切り取ることにこだわりました。36人全員に背景があって、育った環境も違えば、同じ制服でも着方が少しずつ変わる。そういう差異を積み重ねていけば、モノローグがなくても“あぁ、この子ってこういう子なんだ”と伝わるものがあると思うんです。自分としては、必要な情報は映像に入っているかなと。だから、彼らがどう行動していくか注目してもらえたら…。とはいえ自分でもなかなか怖くて、冷静に見られなかったりするんですが(笑)。プロデューサーに『好きなように』と言ってもらえたので、ありがたくわがままにやらせてもらってます」挑戦するのは、言語化しにくいものを言葉にせずに表現すること。「例えば“悲しい”という感情一つとっても、実は一言で表せるほどシンプルじゃない。登場人物の外見も一見テンプレート的でわかりやすいんですが、中身は乖離していたり倒錯していたりする部分も。そこに奥深さや共感が生まれるんじゃないかと」注目は銀杏BOYZ書き下ろしの主題歌。ほかにも楽曲制作には、ミツメやtoeなど豪華な顔ぶれが。「好きだから主題歌を銀杏BOYZにお願いしたい、って最初はおこがましい気がして(笑)。でも、スタッフに相談したら『受けてもらえるかどうかは別だけど、好きならお願いしたらいいじゃん』と言ってくれたので、思い切ってオファーしたら、快諾していただけました」「少年少女」を初めて聴いた感想は。「ど真ん中を突いてくれるぴったりの曲でした。峯田和伸さんをはじめにアーティストのみなさんは感受性が豊かで、むしろ自分が“この話って、こうだったんだ”と気づかされたりも。原作がないからこその醍醐味を感じました」最後に、どんな人に見てもらいたいか尋ねると。「中高生と、中高生を経験してきた全員ですね。とにかく今っぽいアニメじゃないということに尽きます。変わった作品になったので、先入観なく見てもらえたら嬉しいです」長い夏休みの半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生の長良(ながら)たちは、学校ごと異次元に漂流するという、思いもよらない事態に巻き込まれる。突如始まったサバイバルから、元の世界に戻れるのだろうか…。『Sonny Boy』中学3年生のひとクラス36 人が突然異次元に漂流する“SF青春群像劇”アニメ。毎週木曜24:30~TOKYO MXで放送中。サブスクリプションや配信など各サイトでも配信中。詳しくは公式HP をチェック。©Sonny Boy committee※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。(by anan編集部)
2021年08月17日