育児の「不要なもの」を捨てるとは
「ほかの子と比べたくなる」気持ちに悩まない
ママの『こうすればよかった』を投影しない
ママの安心感のために、先回り教育をしないの続きです。
子育てをしていると、「大人」vs.「子ども」となりがち。そんな構図ではなく、親子関係から見直してみませんか?
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しない7:「上手にほめられない」ことを悩まない
「子どもは、ほめて育てる」という言葉もよく育児書で使われるフレーズだ。しかし「ほめてばかりいると、わがままを言いたい放題にならないか心配」「ほめることと甘やかすことの違いはわからない」と、ママは上手にほめられないことで、また矛盾だらけな気分になる。
「花まる学習会の授業では、どの学年に対しても、
ほめるタイミングを逃さず声をかけるということを大切にしています。」と話すのは、「
花まる学習会」代表の高濱正伸さん。
でも、ほめるタイミングはとても難しい。そしてそもそも何をほめたらいいのだろうか。
「ほめるというと難しく考えてしまいがちですが、その子の行動を認めて言語化してあげるだけでいいんですよ(高濱さん)」
「テストで百点とれるなんて、さすが!」「一位になってすごいね!」などの大きな成果に対してでなくても構いません。
「計算がスムーズにできるようになったね」「前よりも字が丁寧に書けるようになったね」など、その子の
成長点を認めてあげるだけで、子どもは「見てもらえている」と感じることができるのです。
高濱さんの言葉で、「ほめる」ということは、もっとシンプルに考えればよいことなのだと気がつかされる。
しない8:無理してほめる言葉を探さない
『ほめることは大切』と書くと、まじめでがんばり屋のママは、「ともかくほめなくては!」と思ってしまうことも多いそう。
「ママというのは『ほめなくちゃ』というように、すぐに
『○○しなくちゃ』、にとらわれてしまいます。でも無理してほめようとすると子どもは必ず、この無理をしている匂いに感づきます」(高濱さん)
つまり、ママが無理に探してほめる言葉は逆効果ということ。それを知っておくことも、すごく大切なことかもしれない。
しない9:ネチネチ叱らない
ほめ方と同じでママが悩むのが叱り方。
子どもは、叱られても1時間後にはケロっと忘れているから、母としては、「もう忘れたの?」という気持ちに。だが子どもにしてみると、「なぜかわからないけれどいつも怒っているママ」というイメージばかりが固まってしまう。
「叱り方の3原則は、
『厳しく・短く・あとを引かず』です。また、子どもは『忘れっぽい』生きものと知り、その場で短く、やってしまったことに対してだけ叱る」(高濱先生)
しない10:ほかの子のどもの悪口を言わない
「ほめる」の反対評価である「けなす」。人の悪口についても考えてみよう。
子どもしかいないからと思って、ほかの子どもの悪口を言ってしまう場合もあるからだ。悪口とまではいかなくても、「あの子は○○よねー」などうわさ話のように子どもに伝えていることもある。
「
ママが言ったことは子どもにとっては絶対です。だから子どもが自分で判断する前に、『あの子は○○な子』と決めつけて接するようになってしまいます。これでは、子どもが生身のコミュニケ―ションから学ぶ機会を奪ってしまうことになります。」(高濱さん)
人とのつきあい方にマニュアルは存在しない。子ども時代からいろいろな経験を積んできた子、人間関係でもまれてきた子は、「やはり強い」と高濱さんは話す。
まわりの情報に流されずに最終的に自分で判断する力は、ママがほかの子のうわさ話をしないことから。そんな簡単なことがスタートラインなのだ。
次回は、最終回『夫との話し合いをあきらめない』の話です。
■今回取材を受けてくださった高濱正伸さんの著書
『
「しない」子育て」(花まる学習会代表 高濱正伸/KKベストセラーズ)』
(本体1,250円+税)
●高濱正伸
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。算数オリンピック委員会理事。
保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30,000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など多数メディア出演もしている。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳なぞぺー』など、著書多数。2016年7月からニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカーとして活躍中。
3歳になった次男のオムツ外れはいつ? わが家の三人三様の「トイレトレーニング」【うちの家族、個性の塊です Vol.98】