子育て情報『ICD-10、ICD-11とは?ICD(国際疾病分類)の概要、DSMとの違いなどについて解説します』

2018年6月19日 10:30

ICD-10、ICD-11とは?ICD(国際疾病分類)の概要、DSMとの違いなどについて解説します

例えば、発達障害に関係する障害は、主に「F00~F99 精神および行動の障害」に見つけることができます。さらに例として、自閉症について見てみると、「F80-F89 心理的発達の障害」>「F84 広汎性発達障害」>「F84.0 小児自閉症」のように分類されていることがわかります。

他にも、知的障害の場合、「F70-F79 精神遅滞[知的障害]」の中で程度や症状によって「F70 軽度精神遅滞[知的障害]」や「F73 最重度精神遅滞[知的障害]」といった異なるコードが与えられています。

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融道男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗/監訳 『ICD-10精神および行動の障害:臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院, 2005)

ICDの疾病分類は、日常的に使用されている病名や医師が使用する診断名とは必ずしも一致しません。

例えば、日常的に使用される「うつ病」という言葉に完全に一致するコードはICD-10上にはなく、代わりに「F32 うつ病エピソード」や「F33 反復性うつ病性障害」、「F41.2 混合性不安抑うつ障害」など、複数の「うつ」という言葉を使用したコードがあります。

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出典:融道男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗/監訳 『ICD-10精神および行動の障害:臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院, 2005)

そのため、神庭重信氏が、

今日の日本で「うつ病」という場合は、国際診断ではどの病名を指すのか、を決めなければならなくなったのである。

神庭重信(2012)「DSMは進化するか」『精神神経学雑誌』第114巻第9号1009頁(日本精神神経学会/刊)より引用
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1140091009.pdf
と指摘するように、専門家の間でも日常語とICDの対応関係が議論されているようです。

診断名とICDの関係については、厚生労働省のパンフレット「ICDのABC」にわかりやすい例が挙げられています。
このパンフレットでは、医師が診断名として「無顆粒球症」と「薬物誘発性好中球減少症」を区別して使用する場合が例示され、どちらの診断名もICD-10ではD70としてコードされることが指摘されています。

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