2018年4月3日 11:50
精神科医の仕事は、心に寄り添うための橋渡し役。発達障害のある子の「育ち」のために-精神科医・田中康雄
子どもたちも、どこか生活場面に戸惑い、追い詰められ、自己判断を否定され、思いを拾い上げてもらえず、糾弾されてしまう、という体験のなかで、苦しみうめいている。
この事実に、僕はより生活がしやすい方法を探し、環境調整に苦心するのが精神科臨床であると思っている。明確な診断がつかなくても、診断という海図におおよその目途をたて、難破することなく、巡航できることを計画することはできる。あとは天候に応じて微調整を計り続けるだけである。海図は、あくまでも海図である。そこにリアルタイムな関わりを創造していくのが僕たちの臨床なのだ。
発達障害を突き詰めるよりも、この子のこころにより近づこうとするほうが、実際は難しいが必要なことであり、近づく人は、この子の生活に実際に関わるすべての人たちでないといけない。その橋渡しが僕の役割である。
僕は、日々を送られる子どもたちとその親を、こころから応援したいと思っている。そしてそれを支える周囲の生活者に敬意を払いたいと思います。
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