2023年9月25日 14:31
育成に力を入れるジュニアユースが日本の育成年代の課題解消のために取り入れたブラジルのサッカー文化とは
日本クラブユース連盟(JCY)所属のジュニアユースクラブには、トップレベルを目指すだけでなく選手の人間的な成長にフォーカスして育成しているチームもあります。そのひとつが千葉県千葉市を拠点に活動するアベーリャス千葉FCです。
より良い選手を育成するために、様々な角度からアプローチする、アベーリャスの育成方針を紹介します。
(取材・文鈴木智之)
アベーリャス千葉FCジュニアユースの選手たち写真提供:アベーリャス千葉
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■チーム名に込められた想い
アベーリャス千葉FCは2010年、ブラジルサッカーにルーツを持つ、古川亮介さんが中心となり、創設されたクラブです。クラブ名の「アベーリャス」はポルトガル語で「みつばち」を意味する言葉。
古川さんは名前の由来を、次のように説明します。
「みつばちは人間が生まれる前から地球に存在しています。なぜ長い間、生き残れたかというと、それぞれが役割分担をしっかりしているからだと言われています。
アベーリャスという名前は、みつばちの持つチームワークとブラジル代表のカラーでもある黄色からイメージしてつけました」
みつばちは仲間とコミュニケーションとる際に、8の字ダンスをします。8の字ダンスは、ブラジルサッカーのキーワードでもある"ジンガ"の動きに似ているほか、8の字を横に倒すと"∞"(無限)になります。
古川さんは「子どもたちの可能性は無限なんだという意味も込めています」と穏やかに語ります。
■育成を考えると受験のためにサッカーをしない約1年の空白は見過ごせない
代表の古川さんがサッカーの指導を始めたのは、大学生のとき。当時の恩師がブラジルと深い関係を持っており、大学時代に2週間のブラジル指導者研修に参加。その後、教員を経て、サッカー指導の勉強をしに、再びブラジルのサンパウロに渡ったと言います。
「私がブラジルにいた1990年前後、日本の中学年代は部活が盛んでしたが、3年生中心で1年生はあまり試合ができませんでした。夏の総体予選が終わると、高校受験のために引退することもあり、3年のうち1年程度はサッカーをしていないことに気がつきました」
学校制度にサッカーが紐づいている日本ならではの文化ですが、サッカー選手の育成を考えると、3年間でおよそ1年間の空白を見過ごすことはできません。